(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5871269
(24)【登録日】2016年1月22日
(45)【発行日】2016年3月1日
(54)【発明の名称】スパイラル管押出成形方法及びスパイラル管押出成形機
(51)【国際特許分類】
B21C 23/10 20060101AFI20160216BHJP
B21C 25/04 20060101ALI20160216BHJP
B21C 25/02 20060101ALI20160216BHJP
B21D 11/06 20060101ALN20160216BHJP
【FI】
B21C23/10
B21C25/04
B21C25/02 D
!B21D11/06
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-75539(P2012-75539)
(22)【出願日】2012年3月29日
(65)【公開番号】特開2013-202664(P2013-202664A)
(43)【公開日】2013年10月7日
【審査請求日】2015年2月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】302045705
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100060690
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 秀雄
(74)【代理人】
【識別番号】100070002
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100110733
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥野 正司
(74)【代理人】
【識別番号】100073276
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 公總
(72)【発明者】
【氏名】小浦場 満
【審査官】
福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】
特開平9−295040(JP,A)
【文献】
特開平10−258308(JP,A)
【文献】
特開2009−172657(JP,A)
【文献】
特開2006−247734(JP,A)
【文献】
特開2009−220153(JP,A)
【文献】
特開平6−297033(JP,A)
【文献】
特開昭54−68763(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21C 23/10
B21C 25/02
B21C 25/04
B21D 11/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
管材押出方向先端に管材内周面成形用の雄型ベアリングを有して回転自在に配置したマンドレルと、該雄型ベアリングの管材押出方向外側でその長手方向全部又は一部を囲繞する管材外周面成形用の雌型ベアリングを有して同じく回転自在に配置したダイを備えるとともに上記雄型ベアリング及び/又は雌型ベアリングに成形突条を配置し、上記マンドレル及びダイ双方の強制回転下で管材を直進方向に押出成形して管材内外周面一方又は双方に管材長手方向に螺旋状をなす螺旋溝を連続形成することを特徴とするスパイラル管押出成形方法。
【請求項2】
上記雄型ベアリング及び/又は雌型ベアリングに配置した成形突条を、管材押出方向に向けて平行多数の直線突条によって形成してなることを特徴とする請求項1に記載のスパイラル管押出成形方法。
【請求項3】
上記マンドレルとダイの強制回転を、同速乃至異速の逆方向に行うことを特徴とする請求項1又は2に記載のスパイラル管押出成形方法。
【請求項4】
上記マンドレルとダイの逆方向の強制回転を、同速に行うことを特徴とする請求項3に記載のスパイラル管押出成形方法。
【請求項5】
上記マンドレルの雄型ベアリングの外周に成形突条を配置することによって、管材を熱交換用内面螺旋溝付き管材とすることを特徴とする請求項1、2、3又は4に記載のスパイラル管押出成形方法。
【請求項6】
管材押出方向先端に管材内周面成形用の雄型ベアリングを有して回転自在に配置したマンドレルと、該雄型ベアリングの管材押出方向外側でその長手方向全部又は一部を囲繞する管材外周面成形用の雌型ベアリングを有して同じく回転自在に配置したダイと、上記雄型ベアリング及び/又は雌型ベアリングに配置した成形突条と、上記マンドレル及びダイ双方を強制回転する駆動手段を備えてなることを特徴とするスパイラル管押出成形機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スパイラル管押出成形方法及びスパイラル管押出成形機に関する。
【背景技術】
【0002】
螺旋溝を形成したスパイラル管の押出成形方法として、例えば下記特許文献1は、ポートホールダイスのマンドレル先端にボルトによって、裁頭円錐形にして、裁頭の径小側をビレット側に、円錐底面の径大側を押出方向に向けて側面をテーパー面とするプラグを回転自在に配置するとともに該プラグ表面のテーパー面に管材内周面成形用にして螺旋形の成形突条を配置し、管材をマンドレルとダイキャップの間で直進方向に押出成形し、裁頭円錐形のプラグの長手方向中間位置でその螺旋形の成形突条を管材の内周面に強制接触させて該管材の進行に伴って該プラグを強制回転するとともに管材の内周面に成形突条による長手方向に螺旋状をなす螺旋溝を連続成形するものとされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−220153号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この場合、内周面に一連の螺旋溝を形成したスパイラル管を押出成形することができ、エアコンディショナーや冷凍機の熱交換器用伝熱管、床暖房の排熱用配管等として、従前の銅管に代えて、例えばアルミ乃至アルミ合金の管を用いた低コストにして量産性に優れたスパイラル管を提供することができる。
【0005】
しかし乍ら、一方で、テーパー面の表面に螺旋形をなす成形突条を形成した裁頭円錐形のプラグを用いることによって、該プラグの製作が煩雑化すること、裁頭円錐形のプラグに、そのテーパー面長手方向中間位置で管材内周面を接触させることから、比較的径大のスパイラル管には用い得ても、例えば1cm以下のように径小の内径を有するスパイラル管の押出成形には必ずしも適したものとはいえないこと、直進する管材内周面をプラグの螺旋形をなす成形突条に強制接触させてプラグを強制回転するとともに管材内周面に螺旋溝を成形するため、プラグの回転に伴なって管材がトルクを受けるため、管材の螺旋溝成形部分がプラグ回転方向に連れ回りするように回転する結果、管材の押出方向先端を牽引するプラーを回転する必要が生じるし、管材の巻取り機を設置したものにあっては、同じく巻取り機を管材の回転に応じて回転する必要が生じるから、押出成形後の管材処理が煩雑化すること、管材の進行に応じてプラグの回転を行うため、螺旋溝のねじれ角が小さくなる傾向を招き、ねじれ角を大きくするように押出速度を早めると管材の形状が崩れたりする押出不良を招く傾向があり、従って、比較的径大にしてねじれ角の比較的小さな管材の押出成形をなし得ても、径小にしてねじれ角の大きな管材の押出成形には適当であるとはいえないこと等の問題点が残されている。
【0006】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、その解決課題とするところは、径小にしてねじれ角の大きな管材を含めて、可及的簡易にして高精度なスパイラル管を確実に押出成形することができるとともに螺旋溝の成形に際して管材の回転を防止し得るようにしたスパイラル管押出成形方法を提供するにあり、また、該スパイラル管の押出成形に好適に用いられるスパイラル管押出成形機を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題に沿って本発明は、管材の押出成形に際して、その内周面成形用の雄型ベアリングを押出方向先端に固定したマンドレルと、該雄型ベアリングを囲繞するように管材の外周面成形用の雌型ベアリングを配置したダイを備えるとともにこれらマンドレル及びダイの双方を強制回転し、該強制回転下で管材を直進方向に押出成形し、その内外周面の一方又は双方に長手方向の螺旋溝を連続形成するようにすることによって、径小にしてねじれ角の大きな管材を含めて、可及的簡易にして高精度なスパイラル管を確実に押出成形し得るようにしたものであって、即ち、請求項1に記載の発明を、管材押出方向先端に管材内周面成形用の雄型ベアリングを有して回転自在に配置したマンドレルと、該雄型ベアリングの管材押出方向外側でその長手方向全部又は一部を囲繞する管材外周面成形用の雌型ベアリングを有して同じく回転自在に配置したダイを備えるとともに上記雄型ベアリング及び/又は雌型ベアリングに成形突条を配置し、上記マンドレル及びダイ双方の強制回転下で管材を直進方向に押出成形して管材内外周面一方又は双方に管材長手方向に螺旋状をなす螺旋溝を連続形成することを特徴とするスパイラル管押出成形方法としたものである。
【0008】
請求項2に記載の発明は、上記に加えて、雄型ベアリング及び/又は雌型ベアリングの螺旋溝を形成する成形突条を、押出方向に平行な多数直線の突条によるものとして該成形突条の形成を可及的簡易且つ確実に行い得るものとするように、これを、上記雄型ベアリング及び/又は雌型ベアリングに配置した成形突条を、管材押出方向に向けて平行多数の直線突条によって形成してなることを特徴とする請求項1に記載のスパイラル管押出成形方法としたものである。
【0009】
請求項3に記載の発明は、同じく上記に加えて、上記マンドレルとダイの強制回転を相互に同速乃至異速の逆方向に行うことによって、マンドレルとダイに生じるトルクを相殺して管材の直進性を確実に確保するとともに成形突条の回転に伴う螺旋溝におけるねじれ角を非回転のものに比して可及的に拡大してねじれ角の大きな、即ち、高密度配置の螺旋溝を効率よく形成し得るものとするように、これを、上記マンドレルとダイの強制回転を、同速乃至異速の逆方向に行うことを特徴とする請求項1又は2に記載のスパイラル管押出成形方法としたものである。
【0010】
請求項4に記載の発明は、同じく上記に加えて、マンドレルとダイの逆方向の強制回転を同速に行うことによって、上記成形突条の回転に伴う螺旋溝のねじれ角を非回転のものに比して倍増するように拡大し、螺旋溝の配置密度を可及的に大とするように、これを、上記マンドレルとダイの逆方向の強制回転を、同速に行うことを特徴とする請求項3に記載のスパイラル管押出成形方法としたものである。
【0011】
請求項5に記載の発明は、同じく上記に加えて、スパイラル管を、エアコンディショナー、冷凍機の熱交換器用伝熱管乃至床暖房の排熱用配管等に好適に使用可能の熱交換用内面螺旋溝付き管材を簡易且つ確実に得られるものとするように、これを、上記マンドレルの雄型ベアリングの外周に成形突条を配置することによって、管材を熱交換用内面螺旋溝付き管材とすることを特徴とする請求項1、2、3又は4に記載のスパイラル管押出成形方法としたものである。
【0012】
請求項6に記載の発明は、上記スパイラル管を押出成形するに好適に用いられるスパイラル管押出成形機を提供するように、これを、管材押出方向先端に管材内周面成形用の雄型ベアリングを有して回転自在に配置したマンドレルと、該雄型ベアリングの管材押出方向外側でその長手方向全部又は一部を囲繞する管材外周面成形用の雌型ベアリングを有して同じく回転自在に配置したダイと、上記雄型ベアリング及び/又は雌型ベアリングに配置した成形突条と、上記マンドレル及びダイ双方を強制回転する駆動手段を備えてなることを特徴とするスパイラル管押出成形機としたものである。
【0013】
本発明はこれらをそれぞれ発明の要旨として上記課題解決の手段としたものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明は以上のとおりに構成したから、請求項1に記載の発明は、管材の押出成形に際して、その内周面成形用の雄型ベアリングを押出方向先端に固定したマンドレルと、該雄型ベアリングを囲繞するように管材の外周面成形用の雌型ベアリングを配置したダイを備えるとともにこれらマンドレル及びダイの双方を強制回転し、該強制回転下で管材を直進方向に押出成形し、その内外周面の一方又は双方に長手方向の螺旋溝を連続形成するようにすることによって、径小にしてねじれ角の大きな管材を含めて、可及的簡易にして高精度なスパイラル管を確実に押出成形し得るようにしたスパイラル管押出成形方法を提供することができる。
【0015】
請求項2に記載の発明は、上記に加えて、雄型ベアリング及び/又は雌型ベアリングの螺旋溝を形成する成形突条を、押出方向に平行な多数直線の突条によるものとして該成形突条の形成を可及的簡易且つ確実に行い得るものとすることができる。
【0016】
請求項3に記載の発明は、同じく上記に加えて、上記マンドレルとダイの強制回転を相互に同速乃至異速の逆方向に行うことによって、マンドレルとダイに生じるトルクを相殺して管材の直進性を確実に確保するとともに成形突条の回転に伴う螺旋溝におけるねじれ角を非回転のものに比して可及的に拡大してねじれ角の大きな、即ち、高密度配置の螺旋溝を効率よく形成し得るものとすることができる。
【0017】
請求項4に記載の発明は、同じく上記に加えて、マンドレルとダイの逆方向の強制回転を同速に行うことによって、上記トルクの打ち消しとねじれ角を成形突条の回転に伴う螺旋溝のねじれ角を非回転のものに比して倍増するように拡大し、螺旋溝の配置密度を可及的に大とすることができる。
【0018】
請求項5に記載の発明は、同じく上記に加えて、スパイラル管を、エアコンディショナー、冷凍機の熱交換器用伝熱管乃至床暖房の排熱用配管等に好適に使用可能の熱交換用内面螺旋溝付き管材を簡易且つ確実に得られるものとすることができる。
【0019】
請求項6に記載の発明は、上記スパイラル管を押出成形するに好適に用いられるスパイラル管押出成形機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】スパイラル管押出成形機の概要を示す側面図である。
【
図2】マンドレルとダイによる螺旋溝形成の状態を示す部分拡大図である。
【
図3】内面螺旋溝付き管材の例を示す縦断面図である。
【
図4】外面螺旋溝付き管材の例を示す縦断面図である。
【
図5】内外両面螺旋溝付き管材を示す縦断面図である。
【
図6】他の例の内外両面螺旋溝付き管材の例を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下図面の例に従って本発明を更に具体的に説明すれば、図中1は、内周面に螺旋溝11を形成して内面螺旋溝付管材としたスパイラル管、2は該スパイラル管1を押出成形するスパイラル管押出成形機であり、上記スパイラル管1は該押出成形機2を用いて、管材押出方向先端に管材内周面成形用の雄型ベアリング231を有して回転自在に配置したマンドレル23と、該雄型ベアリング 231の管材押出方向外側でその長手方向全部又は一部を囲繞する管材外周面成形用の雌型ベアリング241を有して同じく回転自在に配置したダイ24を備えるとともに上記雄型ベアリング231及び/又は雌型ベアリング241に成形突条25を配置し、上記マンドレル23及びダイ24双方の強制回転下で管材を直進方向に押出成形して管材内外周面一方又は双方に管材長手方向に螺旋状をなす螺旋溝11を連続形成する押出成形方法によって、これを量産し得るようにしてある。
【0022】
本例にあって上記内面螺旋溝付き管材1は、例えば
図3に示すように、上記マンドレル23の雄型ベアリング231の外周に成形突条25を配置することによって、管材によって形成したスパイラル管1を熱交換用のものとしてある。即ち、本例の管材は、マンドレル23の雄型ベアリング231とダイ24の雌型ベアリング241のうち、前者のマンドレル23の雄型ベアリング231に上記成形突条25を配置する一方、ダイ24の雌型ベアリング241を、該成形突条25を配置することなく平滑面とすることによって、断面中空円形の管材の内周面に上記螺旋溝11を形成し、外周面を平滑な円筒面をなすようにしてある。
【0023】
上記成形突条25は、これを、管材押出方向に向けて平行多数の直線突条によって形成してあり、該直線突条によって、上記管材長手方向に螺旋状をなす螺旋溝11を形成するのは、該成形突条25を備えたマンドレル23を強制回転することによってこれを行うものとしてある。即ち、該マンドレル23を回転すると、直進方向に押出成形される管材は、その内周面に成形突条位置でマンドレルの回転に伴うトルクを受けて、これがマンドレル23の回転方向につれ回りするように回転することになるところ、該管材の押出成形に際して上記マンドレル23とともに管材外周面を成形するダイ24の双方を強制回転して、該強制回転下の押出成形とすることによってマンドレル23回転のトルクをダイ24の回転によって相殺するように打ち消して、直進方向に進行する管材の直進性を確保するようにしてある。これによって押出成形した管材は、押出成形機2の前方(押出方向先端側)に向けて回転することなく直進した状態の押出成形をなし得るようにしてある。
【0024】
上記逆方向の強制回転は、これを、同速乃至異速の逆方向に行うものとして、上記トルクの有効な相殺とこれによる管材直進性の確実な確保を行うようにしてあり、本例にあって、該逆方向の強制回転は、これを、同速に行うものとすることによって、トルクの相殺と管材直進性の確保に加えて、上記成形突条25の回転に伴う螺旋溝11のねじれ角を、非回転のものに比して倍増するように拡大して螺旋溝11の配置密度を可及的に大とし、本例の熱交換用内面螺旋溝付き管材としたスパイラル管1として、その熱交換効率を可及的に向上したものとしてある。
【0025】
強制回転は逆方向に行うことが必要であるところ、その回転速度は同速とすることが好ましいが、該回転速度は、押出成形する管材、即ち、スパイラル管1の径や断面形状、押出成形機2におけるベアリング231、241の加熱温度や表面状態等によって管材の内外における押出成形の抵抗差が変化するために、該抵抗差を吸収して上記トルクの相殺と管材直進性を確保する上で、一方を早く、他方を遅くして異速とするように調整することが必要となる場合がある。一般に、異速とする回転速度は、内周面に数十の溝数とする内周螺旋溝付き管材にあって、押出成形機2のマンドレル23とダイ24のベアリング231、241長さを同等とした場合、数%〜20%程度の回転速度の差とするように調整すればよく、抵抗差が比較的小さいとき、該回転速度の差は、これを10%程度以下とするのが好ましい。このように内外の押出成形の抵抗差に応じて、マンドレル23とダイ24を異速とすることによって、上記トルク相殺、管材直進性、ねじれ角を有効に確保することができる場合がある。
【0026】
実験によれば、30トンプレスの押出成形機を用いてアルミ乃至アルミ合金、例えばアルミ純度99.7%以上のA1070アルミ合金を、ダイス温度及びビレット加熱温度450〜500℃の押出条件で押出成形して、
図3の断面形状の内面螺旋溝付き管材、即ち、外径9.5mm、肉厚0.5mm、溝数50、溝高さ0.3mm、溝幅0.27mmのスパイラル管1を押出成形するについて、例えば、ラム速2mm/sでマンドレル、ダイを60rpmの同速で逆方向に回転したとき、螺旋溝のねじれ角は12.2°、ラム速2mm/sでマンドレル、ダイを120rpmの同速で回転したとき、螺旋溝のねじれ角は29.9°、ラム速4mm/sでマンドレル、ダイを60rpmの同速で回転したとき、螺旋溝のねじれ角は6°、ラム速4mm/sでマンドレル、ダイを120rpmの同速で回転したとき、螺旋溝のねじれ角は12.9°であった。このとき、管材1の先端をプラーで牽引したが、管材の回転が全くないため、いずれも図示する断面形状のように長手方向に変形や歪のない美麗な形状のものであった。因みに上記条件下にあって、マンドレルとダイは、これを50乃至120rpm程度の回転数の逆回転とするのが、螺旋溝のねじれ角を比較的大きく確保する上で有効であると認められる。
【0027】
図1及び
図2に示すように押出成形機2は、上記押出成形方法用のものとして、管材押出方向先端に管材内周面成形用の雄型ベアリング231を有して回転自在に配置したマンドレル23と、該雄型ベアリング231の管材押出方向外側でその長手方向全部又は一部を囲繞する管材外周面成形用の雌型ベアリング241を有して同じく回転自在に配置したダイ24と、上記雄型ベアリング231及び/又は雌型ベアリング241、本例にあっては雄型ベアリング231に配置した成形突条25を備えるとともに上記マンドレル23及びダイ24双方を強制回転する駆動手段3を備えたものとしてあり、特にアルミ乃至アルミ合金用のものとしてある。
【0028】
押出成形機2は、コンテナ21のビレット収容部に加熱したアルミビレット26を収容し、該アルミビレット26中央の透孔にマンドレル23を貫通配置した状態で、ダミーブロック221を介してラム(ステムといってもよい)22によって該アルミビレット26を加圧することによって、上記マンドレル23の雄型ベアリング231とダイ24の雌型ベアリング241によって螺旋溝付き管材を、図示省略のテーブル上に向けて押出成形し、該テーブルの押出方向先端に配置した巻き取り機の管材交差方向回転自在のホイール27に巻き取るようにしてある。
【0029】
本例にあって、押出成形機2は、その上記雄型ベアリング231を有するマンドレル23、雌型ベアリング241を有するダイ24を、それぞれ長尺鋼材乃至ブロック鋼材に放電加工を施すことによって、これらマンドレル23、ダイ24に各ベアリング231、241を一体成形したものとしてある。例えば、マンドレル23に別体に形成した雄型ベアリング231を螺着配置することも可能であるが、場合によって、押出成形時に雄型ベアリング231が加圧力を受けて変形する等のトラブルが生じる可能性が残るから、加圧力を常時受けることになるマンドレル23やダイ24は、これらを上記のように一体成形したものとすることが好ましい。
【0030】
ダイ24の雌型ベアリング241は、マンドレル23の雄型ベアリング231の外側でその全部又は一部を囲繞するように配置して、その配置の位置関係とするものとしてあるところ、雄型ベアリング231と雌型ベアリング241はこれらを同一長さとして、その位置関係を相互に対面した全部囲繞の状態とするように囲繞配置し、また、雄型ベアリング231と雌型ベアリング241を異長とした場合、雄型ベアリング231の先端が雌型ベアリング241より短寸、即ち、ラム22側に位置するように一部囲繞の状態とするように囲繞配置することが好ましい。一方、該異長とした一部囲繞の状態とするについて、雄型ベアリング231の先端が雌型ベアリング241より押出方向に突出するように配置すると、押出成形した管材における螺旋溝12の長手方向に向けたねじり角が小さくなる傾向を招くので、かかる囲繞配置は、これを避けるようにすることが好ましい。
【0031】
雄型ベアリング231を有するマンドレル23及び雌型ベアリング241を有するダイ24の逆方向の強制回転は、本例にあって電動モーター3によって、これを行うものとしてある。本例の電動モーター3は、該マンドレル23及びダイ24にそれぞれ設置して該マンドレル23及びダイ24を単独に回転駆動自在とするように押出成形機2に一対配置してあり、該各電動モーター3の各回転速度をコントロールすることによって、マンドレル23及びダイ24の同速乃至異速の回転を行い且つ一方の電動モーター3の回転方向を機械的に変換することによって双方を逆方向に回転するようにして、上記同速乃至異速にして逆方向の強制回転行うようにしてある。
【0032】
図4乃至
図6は、他の例にかかる管材、即ちスパイラル管1の例を示すもので、
図4及び
図5は、上記内周面の螺旋溝に代えて、
図4において多数にして数十、特に50本とし、
図5において少数にして90度の角度位置に、特に4本として、外周面に螺旋溝11を配置した外面螺旋溝付き管材の例、
図6は、上記内面螺旋溝11に加えて、外周面に各多数の螺旋溝11を配置した内外両面螺旋溝付き管材とした例である。外周面に螺旋溝11を形成するときは、上記に準じてダイの雌型ベアリング241に同様に成形突条25、特に管材押出方向に向けて平行多数の直線突条を配置し、また、内周面に螺旋溝を形成しないときは、マンドレル23の雄型ベアリング231を平滑面とすればよく、また、
図4及び
図5の押出成形は、上記
図3のものに準じてこれを行えばよい。
【0033】
図示した例は以上のとおりとしたが、本発明の実施に当って、スパイラル管、その管材、螺旋溝、マンドレル、雄型ベアリング、ダイ、雌型ベアリング、成形突条、必要に応じて用いる直線突条、駆動手段等の各具体的形状、構造、材質、これらの関係、これらに対する付加等は、上記発明の要旨に反しない限り様々な形態のものとすることができる。
【符号の説明】
【0034】
1 スパイラル管
11 螺旋溝
2 押出成形機
21 コンテナ
22 ラム
221 ダミーブロック
23 マンドレル
231 雄型ベアリング
24 ダイ
241 雌型ベアリング
25 成形突条
26 アルミビレット
27 ホイール
3 電動モーター