特許第5871275号(P5871275)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5871275
(24)【登録日】2016年1月22日
(45)【発行日】2016年3月1日
(54)【発明の名称】回路保護素子および電極構体
(51)【国際特許分類】
   H01H 85/046 20060101AFI20160216BHJP
   H01H 37/76 20060101ALI20160216BHJP
【FI】
   H01H85/046
   H01H37/76 P
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-222031(P2012-222031)
(22)【出願日】2012年10月4日
(65)【公開番号】特開2014-75270(P2014-75270A)
(43)【公開日】2014年4月24日
【審査請求日】2014年11月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】300078431
【氏名又は名称】エヌイーシー ショット コンポーネンツ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】中島 慎太郎
(72)【発明者】
【氏名】寒澤 慎
【審査官】 佐藤 吉信
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−217416(JP,A)
【文献】 特開2011−119182(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 37/76
H01H 69/02
H01H 85/00−85/62
H01H 87/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁基板と、この絶縁基板に設けた複数の電極とを備えた電極構体であって、前記電極のうちヒューズ素子と接合する三つの電極の中央電極は、これを挟む他の二つの電極と対向する電極辺の両辺を弧状に張り出した張出部を含み、さらに残り二つの電極は、該中央電極の前記両辺と対向する電極端を弓なりに湾曲させた電極形状で、前記ヒューズ素子の接合に必要な接合代を確保しながら前記ヒューズ素子と接合する電極の電極面積を拡張したことを特徴とする回路保護素子用の電極構体。
【請求項2】
前記絶縁基板は、前記中央電極の下部に当接して設けた発熱素子、または前記中央電極の下部に前記絶縁基板を間に挟んで該基板裏面に設けた発熱素子をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の回路保護素子用の電極構体。
【請求項3】
前記中央電極および該中央電極を挟む前記他の二つの電極の電極形状は、前記発熱素子の熱によって加熱され高温になる前記絶縁基板のホットスポットの形状に整合した形状であることを特徴とする請求項2に記載の回路保護素子用の電極構体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保護素子の電極構体およびそれを用いた回路保護素子に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、モバイル機器など小型電子機器の急速な普及に伴い、搭載する電源の保護回路に実装される保護素子も小型薄型のものが使用されている。例えば、二次電池パックの保護回路には、表面実装部品(SMD)の保護素子が好適に利用される。これらの保護素子には、被保護機器の過電流により生ずる過大発熱を検知し、または周囲温度の異常過熱に感応して、所定条件でヒューズを作動させ電気回路を遮断する非復帰型保護素子がある。該保護素子は、機器の安全を図るために、保護回路が機器に生ずる異常を検知すると信号電流により抵抗素子を発熱させ、その発熱で可融性の合金材からなるヒューズ素子を溶断させて回路を遮断するか、あるいは過電流によってヒューズ素子を溶断させて回路を遮断できる。例えば、特許文献1および特許文献2には、異常時に発熱する抵抗素子をセラミック基板などの絶縁基板上に設けた保護素子と、この保護素子を利用した保護装置が開示されている。特に抵抗素子を内蔵したヒータ付き保護素子においては、抵抗素子に通電することでヒューズ素子を強制的に溶断させることから、ヒータへの通電開始からヒューズ素子が溶断するまでの時間がより短時間である方が好ましい。
【0003】
従来、保護素子の絶縁基板には矩形状のパタン電極が施されていた。ヒューズ素子は、この矩形状のパタン電極に接合されて使用されていた。しかしながら、従来の矩形パタン電極の形状は、専ら電極材とヒューズ素子との接合に主眼をおき接合代を均分に設けた形状であって、必ずしも抵抗素子の熱によって加熱され高温になる絶縁基板のホットスポットに整合した形状ではなかった。また、溶融したヒューズ素子は、表面張力と界面張力の作用でパタン電極に互いに球状に寄り集まって凸型の球状を形成し溶断するが、矩形パタン電極は縁辺が直線状であり、溶融ヒューズ素子を電極部に速やかに集中させ球状化させるのに適した形状とはいえない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特許文献1:特開2008−112735号公報
特許文献2:特開2011−034755号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明はヒューズ素子の溶断動作を補助してスムーズな溶断動作を確保できる保護素子の電極構体およびその電極構体を用いた回路保護素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によると、絶縁基板と、この絶縁基板に設けた複数の電極とを備えた電極構体であって、ヒューズ素子を接合する電極は、少なくとも一辺を弧状に成形したことを特徴とする回路保護素子用の電極構体が提供される。該絶縁基板は、必要に応じて発熱素子を設けてヒータ付き回路保護素子用の電極構体としてもよい。ヒータ付き回路保護素子用の電極構体においては、絶縁基板と、この絶縁基板に設けた複数の電極と、この電極の一対に接続された発熱素子とを備え、該電極のうちヒューズ素子を接合する電極は、少なくとも一辺を弧状に成形したことを特徴とする回路保護素子用の電極構体が提供される。
【0007】
本発明の別の観点によると、上記様態の電極構体を利用した回路保護素子が提供される。この回路保護素子は、耐熱性の絶縁基板と、この絶縁基板の表面に設けた複数の電極と、所望の電極に電気接続したヒューズ素子とを備え、該電極は、保護素子のヒューズ素子と接合した電極に張出部を設けて、このヒューズ素子と接合した電極の接合部周辺の電極面積を拡張した回路保護素子が提供される。該保護素子の絶縁基板には必要に応じて発熱素子を設けてヒータ付き回路保護素子としてもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明の保護素子用電極構体ならびにそれを用いた回路保護素子は、ヒューズ素子と接合する電極の少なくとも一辺を弧状に成形したことにより、ヒューズ素子の接合部周辺の電極の面積を拡張してヒューズが動作したときに溶融したヒューズ素子の濡れ代を大きく取れるようにする。ヒータ付き回路保護素子においては、ヒューズ素子を接合する電極の少なくとも一辺を弧状に成形したことにより、必要な接合代を確保しながらヒューズ素子の溶断部位の電極の電極面積を拡張でき、液相のヒューズ素子と電極との界面張力を増大して濡れを促進し、所望の電極に溶融合金を集合させて迅速な溶断を可能にする。電極の面積拡張によって発熱素子の熱を電極に円滑に伝熱できるようになり、スムーズな溶断動作が可能となる。また、所望の電極の外周辺の形状を弧状または楕円状に形成して溶融ヒューズ合金が表面張力で球状化したときの形状に整合させ、所望の電極間に橋絡された溶融ヒューズ合金が割かれるのを速め溶断時間を短縮できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に係る保護素子用電極構体10を表し、(a)はその上面図、(b)はその側面図、(c)はその下面図を示す。
図2】本発明に係るヒータ付き回路保護素子用電極構体20を表し、(a)はその上面図、(b)はその側面図、(c)はその下面図および発熱素子の積層構造を示し、対称軸D−D線に沿って絶縁層を除いた部分断面図を示す。
図3】本発明に係るヒータ付き回路保護素子用電極構体30を表し、(a)はその上面図、(b)はその側面図、(c)はその下面図を示す。
図4】本発明に係る回路保護素子の部品部材を分解した斜視図を示す。
図5】本発明の回路保護素子50であり、(a)は(b)のd−d線に沿って蓋体を切断しヒューズ素子の下部構造を透過線で表した上面図を示し、(b)は(a)のD−D線に沿った断面図を示し、(c)はその下面図を示す。
図6】本発明のヒータ付き回路保護素子60であり、(a)は(b)のd−d線に沿って蓋体を切断しヒューズ素子の下部構造を透過線で表した上面図を示し、(b)は(a)のD−D線に沿った断面図を示し、(c)はその下面図を示す。
図7】本発明のヒータ付き回路保護素子70であり、(a)は(b)のd−d線に沿って蓋体を切断しヒューズ素子の下部構造を透過線で表した上面図を示し、(b)は(a)のD−D線に沿った断面図を示し、(c)はその下面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明によると、絶縁基板と、この絶縁基板に設けた複数の電極とを備えた電極構体であって、電極のうちヒューズ素子と接合する電極は、その電極端の少なくとも一辺を弧状に成形した張出部を含み、この張出部でヒューズ素子の接合に必要な接合代を確保しながらヒューズ素子と接合する電極の電極面積を拡張したことを特徴とする回路保護素子用の電極構体が提供される。本発明に係る回路保護素子用の電極構体は、その電極のうち所定の電極間を橋絡した発熱素子をさらに備えたヒータ付き回路保護素子用の電極構体としても良い。この電極構体の電極は、絶縁基板の表面に直接設けた電極で構成されるか、あるいは、絶縁基板の表面に直接設けたパタン電極と、発熱素子の上面に積層して設けたカバー電極とから構成される。
【0011】
すなわち、耐熱性の絶縁基板と、この絶縁基板に設けた導電性部材からなる複数のパタン電極とを備え、ヒューズ素子を接合するパタン電極は、少なくとも一辺を弧状に成形した張出部を含むことを特徴とする回路保護素子用の電極構体が提供される。パタン電極に設ける張出部は、ヒューズ素子を接合するパタン電極の少なくとも何れか一辺を弧状に形成して設ければよいが、より好ましくは、図1(a)に示すように、パタン電極12同士が互いに対向する対向辺に凸曲線形または凹曲線形に形成した張出部13を設けるとよい。これにより、一方の張出部13aによって基板長辺側のパタン電極12aにヒューズ素子を接合するとき必要となる接合代を隅角部分で確保しながら、もう一方の張出部13bによって基板中央のパタン電極12bの電極面積を拡張し回路保護素子が溶断動作するときの溶融ヒューズ合金の濡れ代を大きく取ることが可能になる。保護素子の溶断部位の中心部に配置する基板中央のパタン電極12bの電極面積が増加すれば、その分、溶融状態のヒューズ素子とパタン電極12bとの界面張力を増強でき、ヒューズ素子の溶断を補助できる。また、溶断部位に配置する基板中央のパタン電極12bの外周辺の形状を弧状または楕円状に形成することで溶融ヒューズ素子が表面張力で自ら球状化しようとするときの形状に整合させ、基板中央のパタン電極12bと、その両脇に配置された基板長辺側のパタン電極12aとの間で溶融ヒューズ合金が割かれるのを促進し溶断時間を短縮する。
【0012】
さらに該回路保護素子用の電極構体は、ヒータ付き回路保護素子用の電極構体とするため、必要に応じて絶縁基板に発熱素子を設けてもよい。ヒータ付き回路保護素子用の電極構体は、耐熱性の絶縁基板と、この絶縁基板に設けた導電性部材からなる複数のパタン電極と、このパタン電極のうち所定のパタン電極間を橋絡した発熱素子とを備え、該パタン電極は、ヒューズ素子を接合するパタン電極の少なくとも一辺を弧状に成形した張出部を含み、この張出部でヒューズ素子の接合に必要な接合代を確保しながらヒューズ素子の溶断部位の電極面積を拡張したことを特徴とする回路保護素子用の電極構体が提供される。該発熱素子は、絶縁基板の上面または下面に設けられ、抵抗体の表面を覆って保護する絶縁層を含み、所定のパタン電極と電気接続される。パタン電極に設ける張出部は、ヒューズ素子を接合するパタン電極の少なくとも何れか一辺を弧状に形成して設ければよいが、より好ましくは、図2に示すように、パタン電極22同士が互いに対向する対向辺に凸曲線形または凹曲線形に形成した張出部23を設けるとよい。発熱素子26は、絶縁基板21の下面もしくは上面に設けられ、抵抗体26aの表面を覆って保護する絶縁層26bを含み、所定のパタン電極25と電気接続される。電気回路の異常を検知した時には、この発熱素子26に通電することで保護素子のヒューズ素子を強制的に加熱して溶断させることができる。必要に応じて発熱素子26の熱をヒューズ素子へ効率的に伝導し易いように、発熱素子26の絶縁層26bの表面に積層したカバー電極を設け、カバー電極と所定のパタン電極と接続し、このカバー電極の上にヒューズ素子を搭載するように変形してもよい。すなわち、図3に示すように、発熱素子36の表面をカバー電極37で覆って、カバー電極37の外周辺の形状を凸曲線形に形成し、かつこれと対向した基板長辺側のパタン電極32aの対向辺を凹曲線形に形成して両電極の拡張部33とし、カバー電極37は、片方のパタン電極32bと接続され、このカバー電極37の上にヒューズ素子を搭載する構成にしてもよい。
【0013】
本発明の別の観点によると、上記様態の電極構体を利用した回路保護素子が提供される。この回路保護素子は、図4に示すように、耐熱性の絶縁基板41と、この絶縁基板41に設けた導電性部材からなる複数のパタン電極42と、パタン電極42の間を橋絡するヒューズ素子100と、図示しないが、このヒューズ素子100の表面に塗布した動作フラックスと、動作フラックスを塗布したヒューズ素子の上部を覆った耐熱性の蓋体110とを備え、該パタン電極は、図5に示すように、ヒューズ素子100を接合するパタン電極52の少なくとも一辺を弧状に成形した張出部53を含み、一方の張出部53aでヒューズ素子100の接合に必要な接合代を基板長辺側のパタン電極52aに確保しながら、ヒューズ素子100を接合する基板中央のパタン電極52bの電極面積を拡張したことを特徴とする。本発明に係る回路保護素子は、図6のように、必要に応じて絶縁基板61の下面に発熱素子66をさらに設けたヒータ付き回路保護素子60としてもよい。発熱素子はヒューズ素子を取付ける絶縁基板の上面側に配置変更してもよい。図7のごとく発熱素子76の熱をヒューズ素子100へ効率的に伝導し易いように、発熱素子76の表面にカバー電極77を積層して設け、カバー電極77の一端を所定のパタン電極72bと接続して構成してもよい。この場合、カバー電極77は、このカバー電極77と発熱素子76とが絶縁層76bを挟んで積層され、かつ発熱素子76の抵抗体76aの上部をカバー電極77で覆ってパタン電極72bの一方と接続される。上述のヒータ付き回路保護素子60および70の溶断部位120(図2および図3参照)は、発熱素子の熱によって加熱され高温になる絶縁基板上のホットスポットと略同じ領域となっている。
【実施例】
【0014】
本発明に係る実施例1の回路保護素子用の電極構体10は、図1に示すように、アルミナ・セラミック製の絶縁基板11と、この絶縁基板11に設けたAg合金材からなる上面のパタン電極12および下面のパタン電極15とを備え、ヒューズ素子を接合するパタン電極12は、少なくとも一辺を弧状に成形した張出部13を含み、この張出部13でヒューズ素子の接合に必要な基板長辺側のパタン電極12aの接合代を確保しながら基板中央部のパタン電極12bの電極面積を拡張する。上面のパタン電極12に可融性の合金材からなるヒューズ素子を取り付けることでヒューズ素子の迅速な溶断を可能にする。すなわち、回路保護素子用の電極構体10は、ヒューズ素子を接合するパタン電極12同士が互いに対向する辺に張出部13を設け、対向辺を凸曲線形または凹曲線形の弧状に形成して、ヒューズ素子の接合に必要な基板長辺側のパタン電極12aの接合代を確保しながら、基板中央のパタン電極12bの濡れ代を大きく取ることにより、溶融したヒューズ素子の電極材への濡れを促進させ、液相となったヒューズ素子とパタン電極12との界面張力を増大させてヒューズ素子の溶断を補助する。絶縁基板11の上面に設けたパタン電極12と下面に設けたパタン電極15とは、絶縁基板11の側面に設けたスルーホール14により電気的に接続されており、下面のパタン電極15は外部回路基板にはんだ付けするための実装用の電極パッドとなる。
【0015】
本発明に係る実施例2のヒータ付き回路保護素子用の電極構体20は、実施例1の電極構体10に発熱素子を追加した変形例で、図2に示すように、アルミナ・セラミック製の絶縁基板21と、この絶縁基板21に設けたAg合金材からなる上面のパタン電極22および下面のパタン電極25と、下面のパタン電極25のうち一対の電極間を橋絡する抵抗体からなる発熱素子26とを備え、上面のパタン電極22は、少なくとも一辺を弧状に成形した張出部23aおよび張出部23bを含み、凹曲線形の張出部23aでヒューズ素子の接合に必要な基板長辺側のパタン電極22aの接合代を確保し、さらに凸曲線形の張出部23bでヒューズ素子の溶断部位120に設けた基板中央部のパタン電極22bの電極面積を拡張する。この上面パタン電極22にヒューズ素子を取り付けることで、ヒューズ素子の迅速な溶断を可能にする。すなわち、ヒータ付き回路保護素子用の電極構体20は、面積の限られた絶縁基板21を用いてヒューズ素子を接合するのに必要なパタン電極22の接合代を確保し、かつ回路保護素子が動作するとき溶融したヒューズ素子の電極材への濡れ代を大きく取ることで溶融したヒューズ素子の電極材への濡れを促進させ、液相となったヒューズ素子と上面パタン電極22bとの界面張力を増大させてヒューズ素子の溶断を補助する。絶縁基板21の上面に設けたパタン電極22と下面に設けたパタン電極25とは絶縁基板21の側面に設けたスルーホール24により電気的に接続されており、下面のパタン電極25は外部回路基板にはんだ付けするための実装用の電極パッドとなる。なお、発熱素子26は、抵抗体26aとその上部を覆った絶縁層26bとからなる。
【0016】
本発明に係る実施例3のヒータ付き回路保護素子用の電極構体30は、図3に示すように、アルミナ・セラミック製の絶縁基板31と、この絶縁基板31に設けたAg合金材からなる上面のパタン電極32および下面のパタン電極35とを備え、上面のパタン電極32は、ヒューズ素子を接合する基板長辺側のパタン電極32aと、抵抗体をガラス絶縁層で覆った発熱素子36を電気的に接続した基板短辺側のパタン電極32bとを含み、パタン電極32aは、ヒューズ素子の接合代を確保する凹曲線形の弧状辺を具備した張出部33aを有し、片方のパタン電極32bは、発熱素子36に積層されたAg合金材からなるカバー電極37と電気的に接続され、カバー電極37は、基板中央部のヒューズ素子の溶断部位120に設けられ、かつ電極面積を拡張する凸曲線形の弧状辺を具備した張出部33bとをさらに備える。両パタン電極32aおよびカバー電極37の各電極にヒューズ素子を取り付けることで、ヒューズ素子の迅速な溶断を可能にする。すなわち、ヒータ付き回路保護素子用の電極構体30は、ヒューズ素子を接合するパタン電極32aおよびカバー電極37に凸曲線形または凹曲線形の弧状辺を含む張出部33を設けて、ヒューズ素子の接合に必要な基板長辺側のパタン電極32aの接合代を確保しながら、基板中央のカバー電極37の濡れ代を大きく取ることにより、溶融したヒューズ素子の電極材への濡れを促進させ、液相となったヒューズ素子とカバー電極37との界面張力を増大させてヒューズ素子の溶断を補助する。ヒューズ素子を載置する絶縁基板31の上面に設けた発熱素子36は、ガラス材の絶縁層で被覆され、さらにその上面にAg合金材からなるカバー電極37を設ける。絶縁基板31の上面に設けたパタン電極32およびカバー電極37と下面に設けたパタン電極35とは絶縁基板31の側面に設けたスルーホール34により電気的に接続されており、下面のパタン電極35は外部回路基板にはんだ付けするための実装用の電極パッドとなる。
【0017】
本発明に係る実施例4の回路保護素子50は、実施例1の回路保護素子用の電極構体10を利用した回路保護素子であり、図5に示すように、アルミナ・セラミック製の絶縁基板51と、この絶縁基板51に設けたAg合金材からなる上面のパタン電極52および下面のパタン電極55と、上面のパタン電極52の間を橋絡するヒューズ素子100と、図示しないが、このヒューズ素子100の表面に塗布した動作フラックスと、動作フラックスを塗布したヒューズ素子100の上部を覆ったアルミナ・セラミック製の蓋体110とを備え、該パタン電極52は、パタン電極52同士が互いに対向する辺を弧状に成形した張出部53aおよび張出部53bを含み、張出部53aでヒューズ素子の接合に必要な基板長辺側のパタン電極52aの接合代を確保しながら張出部53bで基板中央部のパタン電極52bの電極面積を拡張する。パタン電極52にヒューズ素子100を取り付けることで、溶融したヒューズ素子100の濡れ代を増大させる。絶縁基板51の上面に設けたパタン電極52と、下面に配置した外部回路基板にはんだ付けするための実装用パタン電極55とは、絶縁基板51に設けたスルーホール54により電気的に接続されている。
【0018】
本発明に係る実施例5のヒータ付き回路保護素子60は、実施例2のヒータ付き回路保護素子用の電極構体20を利用した回路保護素子であり、図6に示すように、アルミナ・セラミック製の絶縁基板61と、この絶縁基板61に設けたAg合金材からなる上面のパタン電極62および下面のパタン電極65と、下面のパタン電極65のうち一対の電極間を橋絡する抵抗体からなる発熱素子66と、上面のパタン電極62の間を電気接続するヒューズ素子100と、図示しないがヒューズ素子100の表面に塗布した動作フラックスと、動作フラックスを塗布したヒューズ素子100の上部を覆った液晶ポリマー製の蓋体110とを備え、該パタン電極62は、パタン電極62同士が互いに対向する辺を弧状に成形した張出部63aおよび張出部63bを含み、張出部63aで基板長辺側のパタン電極62aへヒューズ素子を接合するのに必要な接合代を確保しながら、張出部63bでヒューズ素子の溶断部位120に設けた基板中央部のパタン電極62bの電極面積を拡張する。パタン電極62にヒューズ素子100を取り付けることで、溶融したヒューズ素子100の濡れ代を増大させる。絶縁基板61の上面に設けたパタン電極62と、下面に配置した外部回路基板にはんだ付けするための実装用パタン電極65とは、絶縁基板61に設けたスルーホール64により電気的に接続されている。
【0019】
本発明に係る実施例6のヒータ付き回路保護素子70は、実施例3のヒータ付き回路保護素子用の電極構体30を利用した回路保護素子であり、図7に示すように、アルミナ・セラミック製の絶縁基板71と、この絶縁基板71に設けたAg合金材からなる上面のパタン電極72および下面のパタン電極75と、上面のパタン電極72のうち一対の電極間を橋絡する抵抗体からなる発熱素子76と、この発熱素子76の上部を覆いかつパタン電極72の1つと一端を接続したAg合金材からなるカバー電極77と、上面のパタン電極72およびカバー電極77の間を電気接続するヒューズ素子100と、図示しないがヒューズ素子100の表面に塗布した動作フラックスと、動作フラックスを塗布したヒューズ素子100の上部を覆った液晶ポリマー製の蓋体110とを備え、上面のパタン電極72は、凹曲線形の弧状辺を含む張出部73aを有し基板長辺側のパタン電極72aにヒューズ素子100を接合するのに必要な接合代を確保する。カバー電極77は、凸曲線形の弧状辺を含む張出部73bを有しヒューズ素子の溶断部位120に設けた基板中央のカバー電極77の電極面積を拡張する。カバー電極77にヒューズ素子100を取り付けることで、溶融したヒューズ素子100の濡れ代を増大させる。発熱素子76はガラス材の絶縁層77で被覆され、さらに絶縁層77の上面にAg合金材からなるカバー電極77を設ける。絶縁基板71の上面に設けたパタン電極72およびカバー電極77と、下面に配置した外部回路基板にはんだ付けするための実装用パタン電極75とは、絶縁基板71の側面に設けたスルーホール74により電気的に接続されている。
【0020】
次に、表1に本発明に係る実施例と比較例の回路保護素子のヒューズ素子抵抗値、発熱素子抵抗値および溶断時間を比較した結果を示す。供試回路保護素子は、室温25℃でヒューズ素子抵抗値(搭載後のヒューズ素子の電気抵抗)と発熱素子抵抗値(発熱素子の電気抵抗)を測定電流100mAで四端子法を用いて測定し、次に各回路保護素子の発熱素子に10W印加してヒューズ素子が溶断するまでの動作時間を測定し両者を比較した。実施例と比較例のヒューズ素子は共に幅2.1mm×長さ2.4mm角の厚さ80μmの87Pb−13Sn合金板を厚さ10μmのSn−5Sbのはんだ材を用いてパタン電極に接合したヒューズ素子を適用し、実施例には、実施例5のヒータ付き回路保護素子60を用い、比較例には電極構体以外の寸法、材質を実施例と同一に合わせた矩形パタン電極を適用した従来のヒータ付き回路保護素子用いた。実施例と比較例のヒューズ素子抵抗値と発熱素子抵抗値は、ほぼ同じ値を示しているが、実施例の保護素子は比較例より動作するまでの時間が短縮され動作性能が向上しているのが分かる。
【0021】
【表1】
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明の回路保護素子用の電極構体およびそれを用いた回路可保護素子は、電気回路基板にはんだ付け実装されて、電池パックなど2次電池の保護装置に利用できる。
【符号の説明】
【0023】
10・・・回路保護素子用の電極構体、
20,30・・・ヒータ付き回路保護素子用の電極構体、
50・・・回路保護素子、
60,70・・・ヒータ付き回路保護素子、
11,21,31,41,51,61,71・・・絶縁基板、
12,22,32,42,52,62,72・・・上面のパタン電極、
15,25,35,55,65,75・・・下面のパタン電極、
12a,22a,32a,52a,62a,72a・・・基板長辺側のパタン電極、
12b,22b,52b,62b・・・基板中央のパタン電極、
32b,72b・・・基板短辺側のパタン電極、
13,23,33,43,53,63,73・・・張出部、
13a,23a,33a,53a,63a,73a・・・基板長辺側パタン電極の張出部、
13b,23b,53b,63b・・・基板中央パタン電極の張出部、
33b,73b・・・カバー電極の張出部、
14,24,34,44,54,64,74・・・スルーホール、
26,36,66,76・・・発熱素子、
26a,36a,66a,76a・・・抵抗体、
26b,36b,66b,76b・・・絶縁層、
37,77・・・カバー電極、
100・・・ヒューズ素子、
110・・・蓋体、
120・・・溶断部位。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7