(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0003】
人間や動物の被験者の体内の正常な組織又は異所性組織又は解剖学的構造(例えば臓器、靱帯、腱、筋肉、腫瘍、嚢胞、脂肪パッド等)を持ち上げや圧縮等で整復するのが望ましい様々な情況がある。このような手順は、多くの場合、疾患又は障害(例えば、過形成状態、肥大状態、病腫瘍形成、脱出症、ヘルニア、狭窄症、緊縮、転位、先天的奇形等)を治療し又は緩和する目的で、及び/又は美容を目的として(例えば、フェースリフト、ブレストリフト、ブローリフト等)、及び/又は研究開発を目的として(例えば、様々な病理学的状態に似せる実験動物モデルをつくるため)行われる。これらの手順の多くにおいて、患部組織又は解剖学的構造にアクセスしてこれを露呈するため、手術により身体に切開部を形成し、骨の折れる外科的剥離を行う。その後、幾つかの場合では、患部組織又は解剖学的構造を取り出し、又は切除する。その他の場合では、人工材料を使用して患部組織を持ち上げ、吊り下げ、整復、又は圧縮する。
前立腺肥大(BPH)
【0004】
病的に肥大した組織を持ち上げ、圧縮し又はその他の方法で除去するのが望ましい病状の一例は前立腺肥大(BPH)である。BPHは、男性、特に高齢の男性が罹患する最も一般的な病状である。米国では、60歳では、全男性の半分以上にBPHの組織病理学的証拠があり、85歳では10人のうち9人にこの病状があると報告されている。更に、先進国の人口の平均年齢の上昇に従って、BPHの発生率及び有病率が増大するものと予想される。
【0005】
前立腺は男性の生涯に亘って肥大する。人によっては、前立腺周囲の前立腺被膜により、前立腺のこれ以上の肥大が阻止される。これにより、前立腺の内部領域が尿道を縮小する。尿道に加わるこの圧力により、前立腺によって取り囲まれた尿道の領域を通る尿道の流れに対する抵抗が増大する。かくして、膀胱は、尿道の高い抵抗に抗して尿を圧送するため、更に大きな圧力を及ぼさなければならない。慢性的にこのような高い圧力を及ぼすことにより、膀胱の筋肉壁が再形成し、硬くなる。尿の流れに対する尿道の抵抗が増大すること及び膀胱壁が硬くなり肥大することの組み合わせにより、患者の生活の質を大幅に低下する様々な下部尿路通過障害(LUTS)が生じる。これらの症状には、排尿時に尿の出が悪かったりちょろちょろとしか出なかったりすること、排尿時にいきむこと、尿が出始める前に躊躇すること、排尿後に残尿感が残ること、尿切れが悪いこと、後に漏れること、特に夜間の排尿頻度が多くなること、急に尿意を催すことが含まれる。
【0006】
LUTSは、BPHの患者の他、前立腺癌の患者、前立腺の感染症の患者、及び特に前立腺肥大の男性で尿閉をもたらす特定の医薬品(例えば、エフェドリン、プソイドエフェドリン、フェニルプロパノールアミン、ジフェンホドラミン等の抗ヒスタミン剤、クロルフェニラミン)を慢性的に使用している患者にも現れる。
【0007】
BPHは、生命を脅かすことは稀であるが、尿閉、腎不全、反復性尿路感染症、尿失禁、血尿、及び膀胱結石を含む多くの臨床症状をもたらす。
【0008】
先進国では、患者の多くが前立腺肥大症の治療を受けている。80歳台では、米国の男性人口の約25%が何らかのBPH治療を受けているものと推計されている。現在、BPHについての利用可能な治療の選択肢には、経過観察、薬物治療(フィトテラピー及び処方薬)、外科手術、及び低侵襲手術が含まれる。
【0009】
経過観察の選択肢を選んだ患者については、治療を患者に直ちには行わないが、患者は、疾患の進行を観察するため、定期検査を受ける。これは、通常は、最小限の症状の患者に行われ、特に厄介ではない。
【0010】
BPH症の治療を行うための外科手術には、経尿道的前立腺切除術(TURP)、経尿道的前立腺電気蒸散術(TVP)、経尿道的前立腺切開術(TUIP)、レーザー前立腺摘除術、及び前立腺回復手術が含まれる。
【0011】
BPH症の治療を行うための低侵襲手術には、経尿道的マイクロ波温熱療法(TUMT)、経尿道的レーザーアブレーション(TUNA)、前立腺組織内レーザー凝固法(ILC)、及び前立腺ステントが含まれる。
【0012】
BPH症の治療を行うための現在最も効果的な方法は、副作用の危険が大きい。こうした方法及びデバイスは、全身麻酔又は脊椎麻酔のいずれかを必要とし、又は潜在的副作用があり、手術を手術室で行わなければならず、入院を余儀なくさせる。BPH症の治療を行うための副作用が小さい方法は、更に、症状スコアの低下が低い。これらの手順の幾つかは局所無痛法で診察室で行うことができるが、患者の症状は直ちには緩和せず、実際には、多くの場合、術後数週間に亘り、身体が治癒し始めるまで症状が悪くなったように感じる。更に、デバイスを用いる全てのアプローチは、尿道カテーテルを膀胱内に、場合によっては数週間に亘って配置することを必要とする。幾つかの場合では、カテーテル法が指定される。これは、治療により、実際には、術後所定期間に亘り障害を形成してしまうためである。その他の場合では、術後の出血及び閉塞をもたらすことがある凝血塊が形成する。薬剤治療は投与が容易であるけれども、得られる結果は最適下限であり、治療効果が出るまで時間がかかり、多くの場合、望ましからぬ副作用を伴う。
尿失禁
【0013】
出産後、又は加齢により、膀胱の制御がうまくいかなくなる女性が多い。この状態を広く尿失禁(UI)と呼ぶ。UIの程度は様々であり、酷い場合には、この障害により全身が衰弱し、ほとんど寝たきりのままになってしまう。通常は膀胱ヘルニアを伴い、膀胱頸部が膣内に又は場合によっては膣外に垂れ下がってしまう。
【0014】
UIの治療には、行動療法、筋肉強化訓練(例えばケーゲル運動)、薬剤治療、骨盤神経の電気的刺激、膣内デバイスの使用、及び手術が含まれる。
【0015】
UIの幾つかの場合には、一般的には、手術が治療の最高の選択肢である。一般的にはUIの治療に使用される外科手術は、膀胱及び尿道が骨盤腔内の正常な位置に戻るように膀胱を持ち上げて支持しようとするものである。これらの手術を行うための2つの最も一般的な方法は、腹壁に又は膣壁を通して切開部を形成する方法である。
【0016】
UIの治療に多くの様々な外科手術が使用されてきた。これらの手順の名称には、バーチ法、マーシャル−マルチェッティ手術、マーシャル−マルチェッティ−クランツ(MMK)手術、恥骨膣スリング、経膣テープ手術、尿道懸架術、膀胱尿感懸架術が含まれる。
これらの手順は、一般的には、a)恥骨後懸架術及びb)スリング手順の二つの範疇に分けられる。
【0017】
恥骨後懸架術では、代表的には、切開部を腹壁に臍下数インチのところに形成し、コネクタのネットワークを配置し、膀胱頸部を支持する。コネクタは、恥骨及び骨盤内の他の構造に固定され、本質的に、膀胱を支持するクレードルを形成する。
【0018】
スリング手順では、代表的には、切開部を膣壁に形成し、スリングを天然組織又は合成(人工)材料のいずれかで形成し、膀胱頸部を支持する。スリングの両端は、恥骨に取り付けられていてもよいし、恥骨の真上で腹の前側で結ばれてもよい。幾つかのスリング手順では、合成テープを使用してスリングを形成し、この合成テープの端部を結ぶのでなく恥骨の上に引き上げる。
【0019】
UIの治療に使用される手術は、一般的には、切開部が治癒するときに大きな不快感を伴い、少なくとも術数日に亘ってフォーリーカテーテル又は恥骨上尿道留置カテーテルを所定の場所に留置すること必要とする。かくして、当該技術分野において、術後不快感がなく、手術後に尿道留置カテーテルを留置する必要がない、UIを治療するための侵襲性が最少の(例えば切開部がない)手順を開発する必要がある。
美容整形手術又は再建手術での組織の持ち上げ及び整復
【0020】
多くの美容整形手術又は再建手術には、自然の組織、人工グラフト、又は異所性組織の持ち上げ即ちリフティング、圧縮、又は整復が含まれる。例えば、フェースリフト、ブローリフト、ネックリフト、タミータック(腹の上の皺を除去し、皮膚を引き締める腹部の美容成形)、等の外科手術が一般的にである。多くの場合において、これらの手順は、皮膚に切開部を形成し、筋肉及び筋膜の下の平面まで剥離し、筋肉、筋膜、及びこれに被さる皮膚を下側の構造(例えば骨又は他の筋肉)から外し、解放した筋肉、筋膜、及びこれに被さる皮膚を持ち上げ又は整復し、次いで整復した組織を下側の又は近くの構造(例えば骨、骨膜、他の筋肉)に取り付け、整復した組織をそれらの新たな(即ち持ち上げられた)位置に保持することによって行われる。幾つかの場合では、この手順中に余分の皮膚を除去してもよい。
【0021】
美容整形による組織のリフティング及び整復を行うための侵襲性が最少のデバイス及び方法を開発するための試みがなされてきた。例えば、標準的な又は変形例のコネクタ糸の一端を筋肉に取り付け、他端を骨、骨膜、又は他の構造に固定し、組織を所望の通りに持ち上げ、整復するコネクタ懸架リフト(connector suspension lifts)が開発された。これらのコネクタ懸架技術のうちの幾つかは、穿刺創の比較的小さな切開部を通して挿入したカニューレ又はニードルによって行われる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
体内の組織又は器官の持ち上げ、圧縮、支持、又は整復を、術中外傷なしで、術後不快感なしで、及び/又は比較的短い回復時間で行うのが望ましい様々な手順で使用できる、新たなデバイス及び方法を開発する必要が残っている。更に、介入手順での繰り返し使用が容易であり且つ便利である、装置及び関連した方法が必要とされている。詳細には、介入部位へのアクセスを行うことができ、並びに再装填後に再使用できる装置が必要とされている。更に、手動の特徴並びに自動の特徴を持ち、十分な使用を容易に行うことができるデバイスが必要とされている。
【0024】
本発明は、これらの及び他の必要に対処する。
【課題を解決するための手段】
【0025】
簡単に且つ大まかに述べると、本発明は、アンカーアッセンブリを患者の体内で展開するための装置及び方法に関する。本発明の装置は、トリガー又は他の手動でアクセスできる構造で動かすことができる様々なサブアッセンブリを含む。これらのサブアッセンブリの作動を協調し且つ同期し、アンカーアッセンブリを正確に且つ精密に埋め込む。デバイスの再装填を行うための構造もまた説明する。
【0026】
一実施例では、送出デバイスは、組織近付けアッセンブリ(tissue approximation assembly) で具体化される。工具は、トリガーアッセンブリ、ニードルスプールアッセンブリ、及び交換式カートリッジアッセンブリを取り囲むケースアッセンブリを含む。シャフトアッセンブリがケースアッセンブリから延びており、トリガーアッセンブリ及びニードルスプールアッセンブリに取り付けられている。更に、プッシャアッセンブリ、ニードル、及びカッターアッセンブリがシャフトアッセンブリを通って延びており、トリガーアッセンブリに連結されている。ニードルアクチュエータ及びニードル引っ込めアクチュエータ(例えばレバーアッセンブリ)がニードルスプールアッセンブリ及びカートリッジアッセンブリと作動的に関連している。後アクチュエータがトリガーアクチュエータと作動的に関連している。このアクチュエータは、器具の一方の側部に位置決めでき、レバーに組み込むことができる。デバイスの内部機構の移動を行うため、これらのアクチュエータの各々を単一の構造に組み込むことができるということもまた考えられる。ニードルアクチュエータを作動することにより、ニードルアッセンブリ及びコネクタ部材に取り付けられたアンカーアッセンブリの第1構成要素を介入部位まで前進する。ニードル引っ込めアクチュエータを作動することによりニードルアッセンブリを引っ込め、アンカーアッセンブリの第1構成要素を介入部位に残す。その後、後アクチュエータを操作することにより第2アンカー構成要素をコネクタ部材と係止係合し、コネクタ部材を所望の長さに合わせて切断する。
【0027】
一つの特定の特徴では、本発明は、第1アンカーアッセンブリ構成要素即ち遠位アンカーアッセンブリ構成要素を患者の体内の第1位置に送出し、第2アンカーアッセンブリ構成要素即ち近位アンカーアッセンブリ構成要素を患者の体内の第2位置に送出する送出デバイスに関する。デバイスは、更に、送出中に張力を加え、埋め込んだアンカー構成要素間に張力を加え、アンカーアッセンブリを所望の長さに合わせて切断し、及び近位アンカーをその場で組み立てる。手順は、デバイスに挿入したスコープ(膀胱鏡等)を使用して見ることができる。送出デバイスを、18F乃至24Fの範囲のシース、好ましくは19Fのシースと適合性であるような大きさ及び形状にできる。
【0028】
更に、ここで考えているアンカー送出システムの実施例では、ニードル展開アクチュエータを作動することにより、ニードルアッセンブリを患者の体内で介入部位まで前進する。ニードル引っ込めレバーを作動することにより、ニードルを引っ込め、アンカーアッセンブリの第1アンカー構成要素を介入部位で展開する。第2アクチュエータを押すことにより、アンカーアッセンブリへの第2構成要素の組み込み及び介入部位でのその解放を容易にする。更に、アンカー構造を送出デバイスから解放するように形成された脱出アッセンブリと同様に、送出システムの特徴をリセットするため、リセットアッセンブリが設けられている。更に、作動上の理由並びに安全上の理由のため、様々な係止機構が設けられている。
【0029】
本発明は、更に、可逆的手順、並びに超音波、X線、MRI、又は他の画像診断法で見たときに十分に見えるアンカーアッセンブリを考えている。一つの特徴では、埋め込み手順を逆に行うことができる。これは、アンカーアッセンブリのコネクタを切断し、以前に尿道に埋め込まれた近位側に配置されたアンカーの除去等によってアンカーアッセンブリのアンカーを除去することによって行われる。更に、アンカーアッセンブリは、密度が高く、これにより超音波による視認又は他の画像診断法を容易にするような構造で形成されていてもよい。
【0030】
アンカーアッセンブリは、人間や動物の被験者の体内の組織の引っ込め、持ち上げ、圧縮、支持、又は整復を行うように形成されていてもよい。更に、装置は、アンカーアッセンブリを展開するように形成されており、アンカーアッセンブリ自体は、身体の解剖学的構造を補足し、協働するように形成されている。更に、アンカーアッセンブリは、治療物質又は診断物質、詳細にはボツリヌス菌毒素又は銀イオンコーティングでコーティングされていてもよいし、こうした物質によって包埋されていてもよく、こうした物質がアンカー展開デバイス又は他の構造によって介入部位内に又はその近くに導入されてもよい。
【0031】
一実施例では、アンカー送出デバイスは、アクチュエータが取り付けられたハンドルアッセンブリを含む。アクチュエータは、ハンドルアッセンブリの本体と関連しており、ニードルアッセンブリ及び第1アンカー部材を前進する構造に作動的に取り付けられている。第2アクチュエータが、コネクタ部材への第2アンカー部材の組み立てを行う構造と作動的に関連している。更に、ハンドルアッセンブリには、考えられる一つの実施例において、アンカーアッセンブリを所望の長さに合わせて切断し、構造を介入部位で展開するように形成された構造が設けられている。
【0032】
特定の実施例では、アンカー送出デバイスは、アクチュエータを含むハンドルアッセンブリから遠位方向に延びる全体に細長いチューブ状ハウジングアッセンブリ部材を含む。
ハンドルアッセンブリの近位端には、円筒状拡大光学器械又は他の内視鏡視認器具を受け入れるように形成された取り付け構造が設けられている。円筒状拡大光学器械を受け入れる大きさのボアがハンドルアッセンブリの本体を通って遠位方向に、全体に細長い部材を形成するチューブ状外カバー部材を通って延びている。チューブ状ハウジングアッセンブリ内には、円筒状拡大光学器械を受け入れる大きさのボアの遠位区分を内部が形成する円筒状拡大光学器械チューブ、ニードルアッセンブリを受け入れるように形成されたニードルハウジングを通してインプラントアッセンブリの少なくとも一つの構成要素を受け入れる大きさの上チューブ状部材アッセンブリ、及びカッター部材を通してインプラントアッセンブリの少なくとも一つの第2構成要素を受け入れる大きさの下チューブ状部材アッセンブリが収容されている。
【0033】
更に、好ましい実施例では、第1アンカー部材は、チューブ状部分、中央区分、及びテール部分を含む。第1アンカー部材のテール部分は、更に、弾性部材として作用するコネクタ区分を含む。テールの末端部分は、表面積がコネクタ区分よりも大きく、組織と係合するためのプラットホームを提供するものと考えられる。
【0034】
更に、好ましい実施例では、第2アンカー部材の一つの構成要素は、間隔が隔てられた一対のアームを持つ第1端及び平らなチューブを形成する第2端を持つピンとして具体化される。
【0035】
更に、様々な変形例の使用方法も考えられる。即ち、本発明の幾つかの用途において、体腔を通る体液の随意の又は非随意の流れを促し、体腔又はキャビティの大きさ及び形状を変化し、前立腺肥大を治療し、尿失禁を治療し、組織、器官、又はグラフトを支持し、又はその位置を維持し、美容整形によるリフティング又は整復を行い、吻合連結部を形成し、及び/又は天然の又は病理学的な組織又は器官が隣接した解剖学的構造に押し付けられたり干渉したりしているこの他の様々な障害の治療を行うのに使用してもよい。更に、本発明には、組織、器官、グラフト、又は他の材料の引っ込め、持ち上げ、整復、圧縮、、又は支持等のこの他の多くの様々な外科的、治療的、美容整形又は再建の用途がある。
【0036】
一つ又はそれ以上の実施例において、開示のデバイスはコンパクトなシャフト輪郭を備えていてもよく、覚醒手順中に患者が許容するアクセスを行うため、例えば19Fの膀胱鏡シースに嵌着できる。デバイスは、工具のハンドルをレバーのように動かすことによって、介入部位にある組織を手作業で圧縮できるようにする剛性遠位シャフトを有する。特定の用途において、ばねにより駆動されるニードルを一つの深さまで展開できる。このニードルは、尿道−前立腺間距離の主ポピュレーション(predominant population)を通して穿刺するような大きさを備えている。十分な力及び速度で確実に穿刺するため、ニードルを解剖学的構造を通して自動的に展開することが考えられている。更に、ニードルが完全に引っ込められたことを使用者が確認するための触感フィードバックを提供する、ニードルを手動で引っ込める構造をデバイスに設けてもよい。これにより、更に、ニードルを任意の時期に引っ込める選択肢を提供するメカニクス(mechanics) を簡単にし、その結果、ニードルの引っ込め後に組織に第1及び第2のアンカー構成要素が置かれる。
【0037】
更に、デバイスは、アンカーアッセンブリの組み立てを確実に行うため、縫糸を中央に置く縫糸ガイド及び/又はアンカーを縫糸に配置する際に縫糸を安定した状態に保持するストップを持つように形成されていてもよい。更に、レバーの引っ込め中に作動する自動糸調子ばねが設けられている。かくして、アンカーの展開中に縫糸に一貫した張力を加え、アンカーを更に確実に着座させ、二つのアンカー間の距離を最少にし、ターゲット組織を近付けた状態に保持する。更に、張力が加えられた縫糸と位置合わせされるべきアンカーを整合するため、少なくとも一つの平らな位置合わせ表面を持つ送出工具シャフト内腔、並びにばね状障害タブを使用し、展開前に最も遠位ガイドのアンカーを所定位置に維持する。次いで、最終トリガーを作動することにより、プッシャエレメントを並進し、アンカーを、縫糸上で、確実な保持力で着座するのに十部な速度及び力で前進する。
【0038】
本発明のこの他の特徴及び利点は、本発明の原理を例示する添付図面を参照して以下の説明を読むことにより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1】
図1は、アンカー送出システムの一実施例を示す左側面図である。
【
図2】
図2は、
図1のアンカー送出システムを示す斜視図である。
【
図3】
図3は、
図1のアンカー送出システムを示す右側面図である。
【
図4】
図4は、
図3のアンカー送出システムを示す、ケーシングの一部を取り外した状態の側面図である。
【
図5】
図5は、
図1のアンカー送出システムを示す、ケーシングの一部を取り外した状態の左側図である。
【
図7】
図7は、ニードル駆動スプールアッセンブリを示す斜視図である。
【
図8】
図8は、
図7のニードル駆動スプールアッセンブリを示す別の斜視図である。
【
図9】
図9は、
図7のニードル駆動スプールアッセンブリを示す分解斜視図である。
【
図10】
図10は、ニードル駆動スプールアッセンブリの一部を示す拡大図である。
【
図11】
図11は、ニードル駆動スプールアッセンブリに取り付けられたニードルアッセンブリの一部を示す拡大図である。
【
図12】
図12は、送出デバイスのカートリッジアッセンブリを示す斜視図である。
【
図13】
図13は、
図12のカートリッジアッセンブリを示す、180°回転させた斜視図である。
【
図14】
図14は、カートリッジアッセンブリの構成要素を示す分解斜視図である。
【
図15】
図15は、アンカーの第1構成要素及びアンカー送出システムを示す側面図である。
【
図16】
図16は、
図15の構成要素をカートリッジアッセンブリに取り付けるための構成要素を示す斜視図である。
【
図17】
図17は、アンカー送出システム内でのカートリッジアッセンブリの交換を示す斜視図である。
【
図18】
図18は、アンカー送出システムの他の構成要素へのカートリッジアッセンブリの取り付けを示す斜視図である。
【
図19】
図19は、カートリッジから出たアンカーアッセンブリの一部を装填し、送出デバイス内のニードルアッセンブリに通す、斜視図である。
【
図20】
図20は、カートリッジアッセンブリの装填を含む別の工程を示す斜視図である。
【
図21】
図21は、アンカーアッセンブリの一部を送出デバイスの遠位端まで前進する工程を含む、カートリッジアッセンブリの別の装填工程を示す斜視図である。
【
図22】
図22は、介入手順を含む第1工程を示す断面図である。
【
図23】
図23は、送出デバイスを非作動形状で示す部分断面図である。
【
図24】
図24は、送出デバイスの遠位末端を示す部分断面斜視図である。
【
図25】
図25は、送出デバイスのアクチュエータを押したところを示す部分断面図である。
【
図26】
図26は、送出デバイスのアクチュエータの係合解除を示す部分断面図である。
【
図27】
図27は、ニードルアッセンブリの部分的射出を示す部分断面斜視図である。
【
図28】
図28は、ニードルアッセンブリが完全に射出されたところを示す部分断面斜視図である。
【
図29】
図29は、介入部位でのニードルアッセンブリの前進を示す断面図である。
【
図30】
図30は、いつでも使用できる状態の送出デバイスを示す部分断面図である。
【
図31】
図31は、送出デバイスのアクチュエータの押し下げを示す部分断面図である。
【
図32】
図32は、アクチュエータを押し下げたときの送出デバイスの構成要素の作動を示す部分断面図である。
【
図33】
図33は、送出デバイスのレバーを完全に押し下げた状態を示す部分断面図である。
【
図34】
図34は、ニードルアッセンブリを引っ込めてコネクタエレメントを残すところの部分断面斜視図である。
【
図35】
図35は、介入部位でのアンカーアッセンブリの第1構成要素の送出を示す断面図である。
【
図36】
図36は、アクチュエータの作動時の送出システムの内部構成要素の位置関係を示す部分断面図である。
【
図37】
図37は、送出デバイスの内部構成要素の別の作動を示す部分断面図である。
【
図38】
図38は、送出デバイスの内部構成要素の更に別の作動を示す部分断面図である。
【
図39】
図39は、ニードル駆動スプールアッセンブリの構成要素を示す側面図である。
【
図40】
図40は、ニードル駆動スプールアッセンブリの構成要素を示す断面図である。
【
図41】
図41は、スプールアッセンブリの構成要素の作動を示す側面図である。
【
図43】
図43は、カートリッジアッセンブリの構成要素をニードル駆動アッセンブリの構成要素と関連して示す斜視図である。
【
図45】
図45は、引っ込めレバーの作動後の
図43の構成要素の更なる作動を示す斜視図である。
【
図47】
図47は、送出デバイスのシャフトアッセンブリを示す斜視図である。
【
図48】
図48は、スコープマウントを形成する構造を示す斜視図である。
【
図49】
図49は、シースマウントアッセンブリを示す部分断面斜視図である。
【
図50】
図50は、送出デバイスのカッターアッセンブリを示す斜視図である。
【
図52】
図52は、送出デバイスのプッシャアッセンブリを示す斜視図である。
【
図53】
図53は、送出デバイスのトリガーアッセンブリを示す斜視図である。
【
図55】
図55は、引っ込めレバーの押し下げ前の送出デバイスを示す部分断面図である。
【
図58】
図58は、トリガーアッセンブリの作動を示す部分断面図である。
【
図59】
図59は、近位アンカーアクチュエータを押し下げる準備ができた状態の送出デバイスを示す部分断面図である。
【
図60】
図60は、
図59に示すデバイスの近位アンカーアクチュエータの押し下げを示す部分断面図である。
【
図61】
図61は、近位アンカーアクチュエータを押し下げた後の送出デバイスの内部構成要素の作動を示す部分断面図である。
【
図62】
図62は、コネクタ内への第2アンカー構成要素の前進及びコネクタとの係合を示す斜視図である。
【
図63】
図63は、介入部位内での第2アンカー構成要素の放出を示す断面図である。
【
図64】
図64は、送出デバイスの内部の構成要素の更なる作動を示す部分断面図である。
【
図66】
図66は、介入部位内への組み立て済のアンカーアッセンブリの放出を示す断面図である。
【
図67】
図67は、治療がなされていない状態の介入部位を示す断面図である。
【
図68】
図68は、介入部位に埋め込まれた二つのアンカーアッセンブリを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
次に、限定でなく例示として提供された添付図面を参照すると、本開示は、アンカーアッセンブリを患者の体内に送出するように形成されたデバイスに関する。上述のように、ここに開示した装置は、組織、器官、解剖学的構造、グラフト、又は患者の体内にあるこの他の材料の引っ込め、持ち上げ(リフティング)、圧縮、近付け、支持し、又は整復を含むがこれらに限定されない様々な医療の用途に使用できる。このような組織操作は、疾患や障害の治療を容易にすることを目的とする。更に、開示の発明には、美容や再建を目的とした用途があり、又は薬物療法の研究開発に関する領域に用途がある。
【0041】
一つの特定の特徴では、本開示のアンカーアッセンブリは、超音波で見ることができる構造で形成されているものと考えられる。従って、アンカーアッセンブリは、前立腺癌等の病状と関連した診断及び治療を医療専門家が行う場合の通常の経直腸的超音波検査等の超音波ボディスキャン中に見ることができる。
【0042】
本発明の一つの特徴では、アンカーアッセンブリ又はインプラントの第1部分を解剖学的構造の第1区分に当てて位置決めし、即ち埋め込む。次いで、アンカーアッセンブリ又はインプラントの第2部分を解剖学的構造の第2区分と隣接して位置決めし、即ち埋め込む。これは、解剖学的構造の第2区分を解剖学的構造の第1区分に関して引っ込め、持ち上げ、圧縮し、互いに寄せて近付け、支持し、又は整復すること、並びに解剖学的構造の第1区分を解剖学的構造の第2区分に関して引っ込め、持ち上げ、圧縮し、互いに寄せて近付け、支持し、又は整復することを目的として行われる。アンカーアッセンブリの第1部分及び第2部分の両方が、アンカーアッセンブリ又はインプラントの第1及び第2の部分に固定されたコネクタアッセンブリを介してこれらの部分に加えられた張力により、解剖学的構造を所望の通りに引っ込め、持ち上げ、圧縮し、互いに寄せて近付け、支持し、又は整復するように形成されていてもよいということもまた理解されるべきである。
【0043】
次に、
図1、
図2、及び
図3を参照すると、これらの図にはデバイス100の一つの実施例が示してある。このデバイスは、介入部位にアクセスできるとともに、一つ又はそれ以上のアンカーアッセンブリ又はインプラントを患者の体内で組み立て、埋め込むことができる構造を含むように形成されている。一つの特徴では、デバイス100は、交換式カートリッジを持つ単一のアンカーアッセンブリ又はインプラントを組み立て、埋め込むように形成されている。使用者がカートリッジを交換する場合、別のアンカーアッセンブリ又はインプラントを組み立て、埋め込むことができる。デバイスは、更に、19Fのシースとともに使用する上で適合性であると考えられる。デバイスは、更に、介入部位で行われる工程を観察できるように、従来のリモート観察デバイス(例えば内視鏡)を受け入れるように形成された構造を含む。
【0044】
アンカー送出デバイス100はハンドルアッセンブリ102を含み、このハンドルアッセンブリ102は、細長い組織アクセスアッセンブリ104に連結されている。細長い組織アクセスアッセンブリ104は、アンカーアッセンブリの形成に使用される構成要素を収容しており、19Fの膀胱鏡のシースに挿入される大きさを備えている。これは、患者が全身麻酔下にあるのでなく覚醒している状態で行う手順中に患者が耐えられるようにするためである。組織アクセスアッセンブリ104は剛性であり、ハンドルアッセンブリ102の梃子の作用で、介入箇所の組織を手作業で圧縮できる。
【0045】
アンカー送出デバイス100は、更に、多数のサブアッセンブリを含む。ハンドルケースアッセンブリ106は互いに噛み合うハンドル部品を含み、これらのハンドル部品がハンドルアッセンブリ102を取り囲む。ハンドルアッセンブリ102は、オペレータの手の中に快適に収まるような大きさ及び形状であり、従来の材料で形成できる。ハンドルケースアッセンブリ106には、介入手順をやめる必要がある場合にオペレータが手動停止を行うことができるように、デバイスの内部機構へのアクセスを提供するウィンドウが設けられていてもよい。
【0046】
一実施例では、送出デバイス100には、介入部位でのアンカーアッセンブリの組み立て及び送出を容易にする様々な作動可能な部材が設けられている。ニードルアクチュエータ108が設けられており、このニードルアクチュエータ108は、以下に詳細に説明するように、介入部位へのニードルアッセンブリ(アンカーアッセンブリの第1構成要素で装填された)の前進を行う。好ましい実施例では、ニードルアッセンブリは、湾曲した軌道を通って移動するニードルを有する。ニードルは、ハンドルエレメントと整合した状態で、特定の実施例では、グリップと整合した状態でニードルアッセンブリを出る。この他の様々な実施例では、ニードルハウジングは、垂直なハンドルグリップに対して2時の位置及び10時の位置の二つの位置のいずれかでニードルがハウジングを出るように配向されている。更に、ニードル引っ込めレバーアッセンブリ110が設けられている。このレバーアッセンブリは、作動されるとき、ニードルアッセンブリが引っ込められ、第1アンカー構成要素が露出される。この作動及び構造もまた以下に詳細に説明する。最後に、送出デバイス100には、後アンカーアクチュエータアッセンブリ112即ち近位アンカーアクチュエータアッセンブリ112が設けられている。これは、以下に更に詳細に説明するように、作動時に第2構成要素をアンカーアッセンブリに組み立て、アンカーアッセンブリを介入部位に放出する。
【0047】
次に、
図4、
図5、及び
図6を参照すると、送出デバイス100の多くのサブアッセンブリが導入されている。これらのサブアッセンブリの各々の機能及び構造を以下に詳細に説明する。図示の実施例では、ケースアッセンブリ106は、互いに噛み合う三つの部品、即ち左上ケース114、左下ケース116、及び右ケース118を含む。ケースアッセンブリの部品点数を変えることは、本発明の範疇に含まれる。ケースの部品は、互いに噛み合ってサブアッセンブリを取り囲むことに加え、取り囲んだ構成要素に対して剛性を提供し且つ支持するための構造的特徴を含む。
【0048】
ケースアッセンブリ106内には、ニードル引っ込めスプールアッセンブリ120及びカートリッジアッセンブリ122が収容されている。ニードルスプールアッセンブリ120及びカートリッジアッセンブリ122は回転軸線が同じである。シャフトアッセンブリ124は、一部がケースアッセンブリ106内にあり、一部がケースアッセンブリ106の前端から延びている。トリガーアッセンブリ126がシャフトアッセンブリ124に取り付けられており、これと作動的に関連している。トリガーアッセンブリ126もまた、ケースアッセンブリ106に収容されている。
図4及び
図5は、様々なサブアッセンブリの並置関係を示し、
図6はサブアッセンブリの分解図を示す。
【0049】
図7、
図8、及び
図9を参照すると、これらの図には、ニードル引っ込めスプールアッセンブリ120の構造のこの実施例に関する詳細が示してある。以下に更に詳細に説明するように、ニードル引っ込めスプールアッセンブリ120は、ニードルアッセンブリを介入部位のところで前進し、次いで引っ込めるため、ニードルアクチュエータ及びニードル引っ込めレバーと協働する。
【0050】
ニードル引っ込めスプールアッセンブリ120は、多数の可動部品を含むコンパクトな構造である。ニードルばねハウジング202がアッセンブリ120の一方の側部を形成し、ニードルスプールハウジング204と隣接して配置される。ニードルばねハウジング202の外側は全体に平らな表面を形成し、ニードルばねハウジング202の反対側には円形凹所が形成されている。ニードル引っ込めスプールアッセンブリ120がその組み立て済形態にあるとき、ニードルばねハウジング202の円形凹所は、ニードルスプールハウジング204に面する。ニードルスプールハウジング204の両側には、二つの追加の全体に円形の凹所が形成されている。
【0051】
ニードルばねハウジング202とニードルスプールハウジング204との間、及びその中に形成された向き合った円形凹所には、ニードル展開ばね206がニードル展開ばねアーバー208と隣接して設けられている。ニードル展開ばねアーバー208は、ニードルクラッチプレート210と隣接している。ニードルクラッチプレート210は、ニードルクラッチカップ212に形成された円形凹所と隣接しており、この凹所内に受け入れられる。ニードルばねハウジング202とは反対側のニードルスプールハウジング204の凹所には、ニードルスプール214が受け入れられる。ニードル展開ばね206は、ニードルスプール214を回転し、ニードル先端を所定の力及び速度で組織を通して突出する機能を備えている。一つの方法では、ニードルを単一の深さまで展開し、尿道−前立腺間距離の主ポピュレーション(predominant population)を通して穿刺するようにデバイス100を形成すべきであると考えられる。
【0052】
全体に円形輪郭のニードル展開ばね206及びニードル展開ばねアーバー208の各々には中央通穴が設けられている。更に、クラッチ押しロッド216が、完成したアッセンブリのこれらの整合した穴を通ってニードルばねハウジング202の外側からニードル展開ばね206及びニードル展開ばねアーバー208を通って延びる。ニードルばねハウジング202の外側面に形成された枢動自在のクラッチアクチュエータ218は、以下に更に詳細に説明するように、ニードル引っ込めレバーとの相互作用により、押しロッド216を横方向に移動し、その結果、押しロッド216がニードルクラッチプレート210と係合し、これをばねアーバー208から離間する。ばねアーバー208は、ニードル展開ばね206によって回転するように押圧されている。ニードル展開ばね206は、弦巻状モータばねで形成されていてもよい。更に、ニードルばねリセットレバー220が設けられている。最初に使用した後にばねアーバー208をリセットするため、このレバーにアクセスできる。
【0053】
上述のようにクラッチプレート210は、ニードルクラッチカップ212内に受け入れられる。クラッチカップ212の内部には、クラッチプレート210に形成された対応する凹所と噛み合う大きさのボス(図示せず)が設けられている。更に、クラッチプレート210に形成された中央穴は、クラッチプレートの隣接した面から延びる中央ポストを受け入れる大きさを備えている。このような構造により、クラッチプレート210及びクラッチカップ212の相補的回転が容易になる。更に、ニードルスプールハウジング204に形成された中央穴を通してクラッチカップ212及びニードルスプール214を相互連結することにより、クラッチカップ212及びニードルスプール214の相補的回転運動が行われる。
【0054】
アッセンブリは、更に、ニードルアクチュエータと作動的に関連したニードル展開爪222を含む。図示し、以下に説明するように、ニードルアクチュエータは、ニードル展開爪222をばねアーバー208と係合した状態から遠ざかるように枢動し、これによってばねアーバー208が回転できるようにする。
【0055】
更に、引き出し(unsheathing) 爪224が設けられている。この引き出し爪224の一端は、ニードル引っ込めレバーと係合するように形成されている。引き出し爪224の他端には、カプセル状カートリッジスプール(以下に説明する)と係合し、これによってニードルスプール214の回転時にその回転位置を固定するように形成された構造が設けられている。
【0056】
図10及び
図11に示すように、ニードルアッセンブリの近位端230は、他の構造に連結されるような大きさ及び形状を備えていてもよい。一つの方法では、ニードルアッセンブリの近位端230は、ニードルスプール214の周囲近くに形成された対応する凹所内に受け入れられるような大きさ及び形状の肩部を備えていてもよい。連結を行うためのこの他の方法も考えられる。こうした方法には、ニードルアッセンブリの端部に形成された凹所と係合し、ニードルアッセンブリをニードルスプールに対して所定位置に保持するためにシアーワイヤ(shear wire)(図示せず)を使用する方法等が含まれる。このような連結により、ニードルスプール214を回転することによってニードルアッセンブリの長さを前進したり引っ込めたりできる。これに関し、
図10及び
図11に示すように、ニードルスプール214に形成された周囲凹所は、ニードルアッセンブリの長さを吸収するために設けられている。
【0057】
カートリッジアッセンブリ122の詳細を
図12、
図13、及び
図14に示す。全体に円形輪郭の縫糸スプールスリーブ302がカートリッジアッセンブリ122の外構造を形成する。全体にディスク状の縫糸スプール軌道304及び主ノブ306との間に、及び組み立てた状態のカートリッジ122の縫糸スプールスリーブ302内に、糸調子ばね308及び縫糸スプール310が設けられている。以下に説明するように、糸調子ばね308は、アンカーアッセンブリのコネクタ部材(例えば縫糸)に張力を加えるように機能する。関連したばねの強さが異なる様々なカートリッジを提供できる。更に、本システムは、コネクタ部材を前進するとき、アンカーアッセンブリを介入部位に配置した後に発生した張力とは異なる張力を提供するように形成されていてもよい。縫糸スプール310は、引き出し爪224と解放自在に係合するように形成されている。更に、ノブフォロワー312及びワイヤクリップ314の機能を以下に説明する。
【0058】
アンカーアッセンブリの遠位アンカー350及びコネクタ部材352の一形態を
図15に示す。アンカーアッセンブリの近位端には、プッシャ(例えばPTFEでコーティングしたステンレス鋼製のワイヤ)354が形成されていてもよく、このプッシャは、スリーブ(例えばポリイミド製のスリーブ)356によってコネクタ部材352(例えばPETモノフィラメント製の縫糸)に取り付けられている。プッシャ354の近位末端が縫糸スプール304にワイヤクリップ314によって固定される(
図16参照)。縫糸スプール304の周囲に形成された環状空間は、所定長さのプッシャ354を受け入れるために設けられている。
【0059】
次に、
図17乃至
図21を参照すると、この実施例の特定の利点は、カートリッジアッセンブリ122が取り外し可能であり且つ交換可能であるということである。好ましい実施例では、送出デバイスの内部へのアクセスを提供するため、ケースにドアが設けられていてもよいし、開放ウィンドウが設けられていてもよい。別の態様では、左上ケース114を取り外して送出デバイスの内部へのアクセスを提供してもよい。交換時にカートリッジアッセンブリ122をスプールハウジング204の外側凹所に配置し、ニードルスプール214と係合する。ニードルスプール214から延びる中央ポストは、カートリッジアッセンブリ122をニードルスプール214に対して垂直に案内するのを補助する。ニードルスプール214及びカートリッジアッセンブリ122に形成された肩部360、362は、夫々、これらの部品間の適正な整合を保証する。
図19に最もよく示すように、アンカーアッセンブリの前末端364がカートリッジ肩部362から突出しており、所定長さのアッセンブリが予め縫糸スプールの周囲に形成されている。アッセンブリの末端364は、ニードルスプールの肩部360に形成された穴366と整合しており、この穴に挿入できる。
【0060】
挿入後、カートリッジアッセンブリ122の主ノブ306を回転し(
図20及び
図21参照)、アンカーアッセンブリの前末端及びコネクタ部分を穴366を通して前進し、次いでニードルアッセンブリの長さを通して前進する(
図10及び
図11参照)。ノブフォロワー312が完了点(completion point)で整合し、これによってアンカーアッセンブリがニードルアッセンブリ内に一杯に装填されたことが知らされるまで、主ノブ306を回し続ける。一実施例では、アンカーアッセンブリの前端は、ニードルの遠位開口部の直ぐ近位側にある。
【0061】
前立腺の治療における一つの特定の非限定的使用では(
図22参照)、送出デバイスの細長い組織アクセス部分104を、患者の膀胱(UB)に続く尿道(UT)内に置く。細長い部分104を、患者の体内で、その前端400が前立腺(PG)に届くまで前進する。
【0062】
図23に示すように、送出デバイス100は、この段階で、いつでも使用できる状態になっている。ニードルアクチュエータ108及びニードル引っ込めレバー110は、非作動位置にある。ニードルアクチュエータ108は、回転押圧アッセンブリ402によってばね賦勢されている。ニードルトリガー108を非作動位置に係止するため、ニードルアクチュエータ安全装置(図示せず)が設けられていてもよい。ニードルアクチュエータ108を押すと、係止解除カムアッセンブリ404が90°回転し、これによって、これに続いてニードル引っ込めレバー110を作動できる。アッセンブリは、更に、レバー110を引っ込めた後、押したニードル引っ込めレバーを保持するように形成されたレバーロック406を含む。この段階で、送出デバイスの細長い部分104の末端400は、完全に引っ込められた状態のニードルアッセンブリ410を収容しており、更に、後に展開するために位置合わせされた第2アンカーアッセンブリ構成要素450を含む(
図24参照)。
【0063】
最初にニードルアクチュエータ108を押すことにより、押圧アッセンブリ402の構成要素を枢動させる(
図25参照)。ニードルアクチュエータ108を離すことによって、このアクチュエータが押されていない状態に戻ることを容易にし、係止解除カムアッセンブリ404が90°回転できるようにする(
図26参照)。この位置で、係止解除カムアッセンブリ404は、ニードル引っ込めレバー110が作動できるように位置決めされている。
【0064】
送出デバイスの前端400では、
図27及び
図28に示すように、このような作用により、ニードルアッセンブリが細長い部材104内から前進されている。ニードルは、ニードル展開ばね206によって、この実施例ではハンドルアッセンブリが延びる方向と同じ方向に射出されるということは理解されるべきである。更に、ニードルアッセンブリは、その射出時にハンドルに向かって湾曲して戻るように形成されていてもよい。前立腺介入で使用する場合(
図29参照)、ニードルアッセンブリ410を前立腺(PG)を通して及びこれを越えて前進する。ばねによって展開することにより、ニードル先端が前立腺の丈夫な外被膜を、被膜が「テントを拡げた」状態にならずに、即ち被膜を穿刺し損なうことなく、確実に迅速に通過する。変形例では、使用者がニードルを手動で展開してもよい。一つの方法では、ニードル410は、ニチノール製のチューブで形成されており、パリレンNでコーティングされていてもよい。このようなコーティングは、ニードル貫通の有効性を低下する摩擦や環境による悪影響(即ち水分)を補償するのを補助する。
【0065】
図30、
図31、及び
図32を参照し、ニードルアクチュエータ108の作動時の送出デバイス100の内部副構成要素の作動を説明する。
図30は、ニードルアクチュエータ108を非作動状態で示す。ニードルアクチュエータ108を押すと(
図31参照)、ニードルアクチュエータ108が回転し、その延長部がニードル展開爪222と係合する。
ニードルアクチュエータ108を回転し続けると(
図32参照)、ニードル爪222が回転し、ニードル展開ばねアーバー208と係合した状態から外れる。次いで、この係合解除により、ニードル展開ばね206によってニードル展開アーバー208、クラッチプレート210、ニードルクラッチカップ212、及びニードルスプール214を回転できる(
図9参照)。ニードルばねリセットレバー220の位置の変化に注目することによって、ニードル展開ばねアーバー208の回転移動を観察できる。この場合も、ニードルアッセンブリに連結されているため、ニードルスプール214の回転によりニードルアッセンブリを所望距離前進する。
【0066】
次に、ニードルアクチュエータ108を完全に押し、ニードル引っ込めレバー110を係止解除した後、ニードル引っ込めレバー110を完全に作動できる(
図33参照)。このように作動したとき、レバーロック406がレバー110と係合し、これを所定の場所に係止する。後にレバーロック406を操作することによりレバー110を係止解除できる。このような作動により、ニードルアッセンブリ410を引っ込め、アンカーアッセンブリのコネクタ352を延長位置(
図34参照)に残す。延長時に、コネクタ352はニードルウィンドウを通って延び、縫糸ガイド構造によって中央に置かれる。
図35に示すように、前立腺介入手順では、これによって第1アンカー構成要素即ち遠位アンカー構成要素が前立腺(PG)の外面を越え、コネクタ352が送出デバイスの末端400に向かって延びる。
【0067】
送出デバイス100の内部では、ニードル引っ込めレバー110を作動することにより枢動自在のクラッチアクチュエータ218を回転させる(
図31乃至
図38参照)。
図36に示すように、クラッチアクチュエータ218はホーム位置にある。レバー110を作動すると、クラッチアクチュエータ218が回転する(
図37参照)。
【0068】
図39乃至
図42でわかるように、枢動自在のクラッチアクチュエータ218が回転すると、その傾斜したレバー表面が押しロッド216と係合する。次いで、これにより押しロッド216をクラッチプレート210に当てて横方向に並進し、クラッチプレート210をばねアーバー208から係合解除する。この係合解除により、ニードルスプール214は、ニードル引っ込めレバー110を操作することによって、ニードルアッセンブリを手動で引っ込めることができ、アンカーアッセンブリのコネクタに張力を加えることができる形態となる。ニードルの引っ込めを手動で行うことにより、ニードルの引っ込めの完了をオペレータが確認する上での方法が簡単になり、触感フィードバックを提供する。ニードル展開ばねのこのようなクラッチ解除(unclutching) により、患者はニードル引っ込めレバー110の操作を許容でき、送出デバイスの工具の移動をほとんど又は全く必要としないということは理解されるべきである。糸調子ばね308は張力を提供し、この張力は、遠位アンカーを引き戻し、例えば前立腺の外被膜表面等の所望の組織平面としっかりと接触させるのを補助する。ばねは、好ましい実施例において、最大0.454kg乃至0.907kg(1ポンド乃至2ポンド)又はそれ以上等の所望の力を提供するということに着目されたい。別の実施例では、ばねを使用してニードルアッセンブリを自動的に引っ込めてもよい。
【0069】
ニードルの引っ込め及び張力を加える上でのタイミングは、引き出し爪224及びニードルスプール214の相互作用で決まる。
図43及び
図44に示すように、引き出し爪224は、ニードルスプール214の時計廻り方向回転を許容するように形成されている。
ニードルスプール214の時計廻り方向回転は、ニードルアクチュエータを押しているとき、引き出し爪224がニードルスプール214に形成された溝と整合するまで生じる。
ニードル引っ込めレバー110を作動すると、引き出し爪224が変位し(
図38参照)、引き出し爪224がニードルスプール214から外れる。上文中に説明したように、ニードルスプール214が、この時点で、ばねアーバー208の作動から係合解除されているため、ニードルスプール214は、
図46に示すように、反時計廻り方向に回転できる。この反時計廻り方向回転は、ニードルスプール214に形成された凹所516と引き出し爪224が再び整合するまで続行される(
図46参照)。これらの凹所516は、対応する所望のニードル負荷を提供するように間隔が隔てられていてもよい。更に、この構造には、連続した長さ方向移動プロセスを提供するローラー−クラッチ(図示せず)が設けられていてもよい。この場合も、アンカーアッセンブリのコネクタに一貫した張力を自動的に提供するため、カートリッジアッセンブリ122の糸調子ばね308(
図14参照)が残される。これにより、コネクタは縫糸ガイド構造411に引き込まれ(
図34参照)、コネクタが中央に置かれ、コネクタが第2アンカー構成要素と係合する準備ができる。
このように張力を加えることにより、遠位構成要素即ち第1アンカー構成要素350を、所望の通りに、
図35に示すように、介入部位内に着座させ、埋め込んだアンカーアッセンブリの二つのアンカー部材間の距離を最小にする。この場合も、アンカー構成要素350の着座後に発生した張力は、アンカーアッセンブリのコネクタの送出中に発生する張力と異なっていてもよい。
【0070】
次に、シャフトアッセンブリ124及びトリガーアッセンブリ126を以下に更に詳細に説明する。アンカーアッセンブリのコネクタへの第2構成要素即ち近位アンカー構成要素の組み立て、及び完成したアンカーアッセンブリの介入部位での解放を行う上でのトリガーアッセンブリの作動を説明する。
【0071】
図47を参照すると、この図には、シャフトアッセンブリ124の一実施例が示してある。上文中に開示したように、トリガーアッセンブリ(以下に説明する)がシャフトアッセンブリ124に取り付けられており、シャフトアッセンブリ124は、デバイスのケースアッセンブリ106内に収容された構成要素並びにここから延びる構造を含む。シャフトアッセンブリ124の末端部分400には非外傷性先端スリーブ502が設けられている。先端スリーブ502の近位側には、ニードルアッセンブリを摺動自在に受け入れる大きさ及び形状のチューブ状シャフトアッセンブリ504が設けられている。チューブ状シャフトアッセンブリ504の遠位端部分は、このシャフトアッセンブリ504から突出するニードルが、送出デバイスのハンドルの方向とほぼ対応する方向に延びるように湾曲している。スコープ(膀胱鏡等)を受け入れる大きさ及び形状のスコープチューブ506がチューブ状シャフトアッセンブリ504と長さ方向で隣接して形成されている。カッターアッセンブリ及びプッシャアッセンブリの細長い部分を受け入れる大きさ及び形状の細長いカバー507がスコープチューブ506の下に長さ方向で隣接して形成されている。
【0072】
シャフトアッセンブリ124の近位端には、スコープマウント係止ねじアッセンブリ508が設けられている。ねじロック512を含むシースマウントアッセンブリ510がスコープマウントアッセンブリ508から遠位方向長さ方向に間隔が隔てられている。これらのアッセンブリ間にカッターアッセンブリ514及びプッシャアッセンブリ516の構成要素が配置される。しかしながら、カッターアッセンブリ514及びプッシャアッセンブリ516は、両方とも、シャフトアッセンブリ124の遠位端400に向かって延びる細長い部分を含むということは理解されるべきである。
【0073】
図48に示すように、スコープマウント係止ねじアッセンブリ508は、スコープマウントレシーバ522と隣接して回転自在に位置決めされたねじロック520を含む。スコープマウントアッセンブリは、更に、ハンドルプッシャ支持スナップフィット524を含む。上文中で言及した
図3、
図4、及び
図5で最もよくわかるように、スコープマウントは、実質的にスコープチューブ506の長さに亘って長さ方向に延びるのに十分な長さ方向寸法を持つスコープ550と係止係合する。
【0074】
シースマウント510は、シャフトアッセンブリ504の細長い部分に螺着できる(
図49参照)。シースマウント510はシール530を含んでいてもよい。このシール530は、シールを行い、送出デバイスのハンドル部分内への流体の侵入を最少にする。
【0075】
図50及び
図51に最もよく示すように、カッターアッセンブリ514の一実施例は、遠位端方向に差し向けられた細長いカッターチューブ562及びガイド564を支持するカッタープレート560を含む。更に、一対のばね延長部566が設けられており、これらのばね延長部566の各々は、カッターばねに取り付けられるように形成されている。
カッターチューブ562の遠位端568は、ブレードを備えて形成されている。その結果、カッターばねでカッターアッセンブリ514を引っ込めると、ブレードがアンカーアッセンブリのコネクタを所望の通りに切断できる。
【0076】
図52を参照し、シャフトアッセンブリ124のプッシャアッセンブリ516の一実施例を説明する。プッシャアッセンブリ516は、プッシャブロック582からプッシャ延長部584まで延びる細長いプッシャ部材580を含む。以下に更に詳細に説明するように、プッシャ延長部584は第2アンカー構成要素即ち近位アンカー構成要素の近位端と係合する。プッシャブロック582は、更に、トリガーアッセンブリの対応する構造を受け入れる大きさ及び形状の複数の凹所586を含む。
【0077】
トリガーアッセンブリ126の一実施例の詳細を
図53及び
図54に示す。トリガーアッセンブリ126はベース602及びフレーム604を含み、ここにこの他の構成要素が固定され、又は支持される。レバーピボット606が近位アンカーアクチュエータアッセンブリ608に回転自在に取り付けられる。以下に説明するように、レバーを、後アンカーアクチュエータ即ち近位アンカーアクチュエータ608を作動しないように係止する第1位置から、近位アンカーアクチュエータ608を作動できる第2位置まで作動することにより、レバーピボット606を回転する。近位アンカーアクチュエータアッセンブリ608を最終的に作動することにより、トリガー610の向きを変え、これにより、カム面を持つトリッパー612を解放する。更に、第1爪614が設けられている。第1爪614は、トリッパー612のカム面に当てた状態で配置され、上述のプッシャアッセンブリのプッシャブロックに形成された凹所内に配置される。以下に説明するように、第2爪616は第1爪614に従動し、プッシャブロックと所望の通りに係合する。更に、カッター爪618がトリッパー612のカム面と係合した状態に配置される。カッター爪との協働によりカッターアッセンブリを作動する。更に、トリガーアッセンブリ126は、リセットレバー620、及び押圧ばね624を持つカッター脱出アッセンブリ622を含む。
カッター脱出アッセンブリ622の作動を以下に説明する。しかしながら、システムは、例えばニードル引っ込めレバーを操作することにより、デバイスのリセット並びに脱出機能を行うことができるように形成されていてもよいということは理解されるべきである。
【0078】
次に
図55乃至
図58を参照すると、これらの図には、トリガーアッセンブリ126の断面を係止形状及び非係止形状で示すため、アンカー送出デバイス100の一実施例が断面で示してある。
図55では、ニードルアクチュエータ108及びニードル引っ込めレバー110は非作動位置にあり、レバーピボット606は、ボタンパッドアッセンブリ608を係止する第1位置にある。ニードルアクチュエータ108を押し、次いで引っ込めレバー110を作動すると(
図56参照)、レバーピボット606が回転し、近位アンカーアクチュエータアッセンブリ608と係合した状態から外れる。この段階で、近位アンカーアクチュエータアッセンブリ608が係止解除され、押し込むことができる(
図57参照)。押し込むと、近位アンカーアクチュエータアッセンブリ608は長さ方向に並進してトリガー610を回転し、トリッパー612と係止係合した状態から外れる。これにより、次いで、トリガーアッセンブリ126の作動を開始する。
【0079】
次に
図59を参照すると、この図には、作動前のトリガーアッセンブリ126が示してある。図示のように、近位アンカーアクチュエータ608は押す準備ができており、トリガー612は長さ方向遠位位置にある。更に、第1爪614は、プッシャアッセンブリのプッシャ582と係止係合した第1位置にある(更に、
図58を参照されたい)。
【0080】
近位アンカーアクチュエータアッセンブリ608を押すと、上述のように、トリッパー612が解放される。ばねアッセンブリ650によって押圧されているため、トリッパー612は、解放時にオペレータに対して近位方向に移動する(
図60参照)。トリッパー612が近位方向に移動するとき、トリッパー612のカム面が第1爪を回転し、プッシャ582と係合した状態から外す。この作用によりプッシャアッセンブリを解放し(更に、
図52を参照されたい)、遠位方向に長さ方向に移動する。プッシャアッセンブリの長さ方向並進は、第1爪に従動する第2爪616によって制御された状態に維持される。第2爪が回転し、プッシャ662を再度係止する。
【0081】
従って、プッシャアッセンブリの解放には、そのプッシャの遠位方向前進が伴い、これによりアンカーアッセンブリの第2構成要素450を前進し、アンカーアッセンブリのコネクタと係止係合する(
図62参照)。このような作動により、プッシャ582でアンカー構成要素450をコネクタ(例えば縫糸)上に前進する。これは、アンカー450を信頼性のある保持力で着座するのに十分な速度及び力で行われる。
図63に示すように、アンカーアッセンブリは、患者の体内で、介入部位内の解剖学的構造を横切るように形成されている。次いで、トリッパー612に形成された長さ方向に変位したカッターカム面がカッター爪618と係合してこれを回転し、カッターアッセンブリと係合した状態から外し(
図50乃至
図55参照)、これによって、カッターアッセンブリを押圧するばね660の作用でカッターアッセンブリを引っ込めることができる。カッターアッセンブリが引っ込められるとき、そのブレード部分570(
図51及び
図65参照)がコネクタ352を横切り、これによってコネクタを第2アンカー構成要素450の近くで切断する。結果的に埋め込まれたアンカーアッセンブリ700を
図65、
図68、及び
図69に示す。
図68は、外被膜組織が比較的強く、圧縮性がなく、変位不能であり、前立腺のアデノーマ及び尿道壁が圧縮性であり且つ変位可能であるため、アンカーアッセンブリが尿道周囲の肥大した前立腺組織を圧縮することによって拡げた尿道(UT)の部分断面図である。比較例として、
図67は、尿道周囲の肥大した前立腺組織によって狭められた尿道(UT)の、治療が施されていない介入部位の部分断面図を示す。
【0082】
図62及び
図65に示すように、送出デバイス100は、多数の第2アンカー構成要素450を保持し展開するように形成されていてもよい。これらのアンカー構成要素450は、一直線上に配置されており、トリガーの一回の作動毎に、単一のアンカー構成要素が1展開アンカー長だけ前進するように構成されている。トリガーアッセンブリをリセットしたとき、次のアンカー構成要素の展開の準備ができる。これに関し、カバー507には、ばね状遠位タブ710が形成されていてもよい。このばね状遠位タブ710は、第2構成要素乃至最も遠位側に位置決めされたアンカー構成要素に形成されたスロットと係合する。これにより、最も遠位側のアンカーを展開前に適正に位置決めされた状態に維持する。カバー507には、更に、近位縫糸スロット(図示せず)が設けられていてもよく、アンカー構成要素450をコネクタ部材352と整合する少なくとも一つの平らな位置合わせ表面を含むように構成された内部を備えていてもよい。更に、送出デバイスの遠位端には、可撓性/エラストマー製のカバーが設けられていてもよい。このカバーは、アンカー展開空間をシールドし、アンカーがコネクタに確実に着座するようにし、インプラントを送出工具から射出できるようにする。
図65では、送出デバイスの遠位端は、膀胱鏡シース712内に示してある。
【0083】
第2アンカー構成要素は、コネクタに固定されるように形成されたスロット付きアンカーで実施できる。スロットが設けられた近位アンカーは、横方向断面の幅が厚さよりも大きい平らにしたチューブと同様の形状の平らなチューブ状後端を含んでいてもよい。スロット付き近位アンカーは、更に、スロット付き近位アンカーの後端からスロット付き近位アンカーの前端まで延びる間隔が隔てられた一対のプロングを含む。これらの間隔が隔てられたプロングは、スロットの基端(inception)のところで互いに接合する。これらのプロングは、これらのプロングが実質的に撓まないようにする形状及び大きさ及び剛性を備えている。これらのプロングは、内方に面する突出部を備えていてもよい。これらの突出部は、その間にコネクタを捕捉し、変形し、コネクタがひとたび係合すると、スロット付きアンカーデバイスから外れないように形成されている。縫糸アタッチメントの機構及びアッセンブリの強度は、アンカーの剛性スロット付きプロング間での縫糸の圧縮並びに平らなスロット付きチューブ状アンカーの別個の縁部による縫糸表面の破壊の組み合わせである。別個の縁部は、アンカープロングと縫糸との間に下接触面領域を提供し、圧縮領域を集中することにより縫糸を内部凹所及び外面の両方の周囲の形体と一致する。更に、スロット付きアンカー又はクリップを形成するアンカーのこの他の様々な実施例もまた考えられるということは理解されるべきである。詳細には、コネクタに取り付けるための別の方法を提供する構造の様々な実施例を使用してもよい。即ち、アンカーは、変形可能であり、向きを変えることができ、ラッチ止めでき、入れ子にでき、溶融でき、及び/又はコイル状構造である。
【0084】
従って、本発明は、アンカーアッセンブリのアンカー部分に直接的に押し付けること並びにアンカーアッセンブリのコネクタを直接的に押すことの両方を考えている。更に、上文中に説明したように、遠位アンカー構成要素即ち第1アンカー構成要素を前進し、ニードルアッセンブリを通して展開し、近位アンカー構成要素即ち第2アンカー構成要素の少なくとも一つの構成要素を前進し、アンカー展開デバイスのハウジング部分から展開する。更に、展開デバイスによって、単一のアンカーアッセンブリ又は多数のアンカーアッセンブリの両方を介入部位に送出し、展開できる。従って、前立腺の治療の文脈で、本発明は、前立腺及び尿道前立腺部の開口部を圧縮し、インプラントを介入部位に送出し、インプラントの端部間に張力を加えるために使用される。更に、薬剤の送出が考えられ、これをBPH及び過活動膀胱の治療並びに前立腺癌及び前立腺炎の治療における別の治療薬として説明する。
【0085】
本発明のアンカーアッセンブリは、埋め込み後、組織を所望の通りに操作し、圧縮し、又は引っ込め、ターゲットである解剖学的構造と協働して非外傷性支持構造を提供する。
一つの好ましい実施例では、アンカーアッセンブリ700は、尿道内腔の開口部によって尿道に形成された自然の皺内等のターゲット組織にアッセンブリが嵌入する形状及び輪郭を持つように形成されている(
図68及び
図69参照)。実際には、アンカーアッセンブリが適正に配置された場合には、領域内のか細く柔らかな組織がアンカー構造の周囲に押し付けられる。最終的には、自然の組織がアンカーアッセンブリ700上で成長し、新たな細胞の経時的成長が生じる(
図69参照)。このようにターゲット組織と協働することにより治癒を促し、介入部位での石灰化や感染症等の望ましからぬ副作用を回避する。
【0086】
開示のアンカー送出デバイスは、多数回使用されるように形成されていてもよいし、一回使用であってもよい。これに関し、カートリッジアッセンブリを用いて送出デバイスに多数のアンカー構成要素を装填してもよいし、一つの第1アンカー構成要素を装填してもよい。カートリッジアッセンブリは、取り外し可能であり且つ交換可能なアッセンブリである。更に、
図34に示すように、多数の又は単一の第2アンカー構成要素をシャフトアッセンブリ内に形成できる。これに関し、第2アンカー構成要素は、シャフトアッセンブリ内で端部と端部とを向き合わせて並べられていてもよく、最も基端側の第2アンカー構成要素は、プッシャアッセンブリの前端と係合した状態で配置される。
【0087】
更に、最初に使用した後、更に使用するため、リセットレバー220を操作することによって送出デバイスのスプールアッセンブリをリセットできる(
図30乃至
図32及び
図36乃至
図38を参照されたい)。デバイスのリセットを行う上での最初の工程には、ニードル引っ込めレバー110を係止機構406と係合した状態から解放する工程(
図33参照)が含まれる。更に、トリガーリセットレバー620のアクチュエータによりトリガーアッセンブリのリセットを行うことができる。
【0088】
特定の場合において、第1アンカー構成要素を介入部位に送出した後(
図35参照)、カッター脱出アッセンブリ622が必要とされる(
図54、
図58、及び
図59参照)ことがわかっている。必要な場合にカッター脱出アッセンブリ622を押すと、カッター爪がトリップし、これによってカッターアッセンブリを解放し、次いでアンカーの組み立ての完了前にアンカーアッセンブリのコネクタを切断する。ニードルをいつでも引っ込めることができるということは、本発明の範疇に含まれるものと考えられる。これには、移動するニードルの拘束及び不完全に展開されたニードルの引っ込めが含まれる。
【0089】
更に、自然の解剖学的組織構造と協働しようとすることに加え、本発明は、治癒を早め瘢痕形成を低減するための方法も考えている。治癒を促す方法には、研磨材、テキスチャーを備えたコネクタ、生物由来物質、及び薬剤を使用する方法が含まれる。
【0090】
解剖学的構造内の様々な所望の位置にアンカーを配置することにより、最良の結果をもたらすことができるということが観察された。例えば、前立腺の治療を行う場合、アンカーアッセンブリの一つの部分を尿道内に配置し、第2構成要素を前立腺の外面の外に配置する。デバイスの遠位端を使用して前立腺葉をいずれかの側に変位する(この際、送出ニードルを引っ込めた後、糸調子ばねがコネクタの緩みをなくす)ことによってアンカーアッセンブリを埋め込む。この際、10時の位置及び2時の位置(尿道の軸線に沿って見た場合)が支持され即ち保持され、解剖学的に開放した状態を効果的に保持するように第2アンカー構成要素を展開する。これにより、更に、自然の組織内へのアンカー部分の嵌入を容易にする。このことは、膀胱近くの解剖学的領域及び射精管が尿道に連結する接合部について特にいえる。
【0091】
更に、アンカーアッセンブリの全ての構成要素又はその選択された部分(ここに説明した又は考えられる任意のアンカーアッセンブリの全ての構成要素又はその選択された部分)が、治療物質又は診断物質(例えば薬剤又は治療剤)でコーティングされ、又はこのような物質に埋設されていてもよい。また、前立腺の治療に関し、前立腺の大きさを小さくする5α還元酵素等の物質でアンカーアッセンブリをコーティングしてもよいし、又はこのような物質に埋設してもよい。考えられるこの他の物質には、一般的な植物化学剤、α−1a−アドレナリン受容体遮断薬、平滑筋弛緩薬、及びジヒドロテストステロンへのテストステロンの変換を阻止する薬剤が含まれるが、これらに限定されない。一つの特定の方法では、コネクタ95を、例えば、治療物質又は診断物質を含むポリマーマトリックス又はゲルコーティングで覆い、長期に亘って薬剤を徐々に放出してもよい。更に、静菌性コーティング並びに鎮痛剤及び前立腺炎用の抗生物質、及び他の癌治療用化学物質のコーティングを、本明細書中に説明したアンカーアッセンブリの様々な部分に適用してもよい。このようなコーティングは様々な厚さであってもよく、又はコーティングがコネクタとともに、コネクタに取り付けられたアンカー部材の円筒形部分の輪郭と一致するように特定の厚さを備えていてもよい。更に、インプラント展開デバイス又は他の医療用機器(即ちカテーテル)、及びこれを含むアンカーアッセンブリを通して治療用又は診断用のゲル又は他の物質を同時に送出することは、高周波適用デバイス(radio-loading device)(癌又は他の治療法用のカプセル状インプラント又はインプラントの遠位端等)と同様に本明細書の範疇に含まれる。一つのこのような方法では、展開デバイスは、ゲル物質を保持するリザーバを含み、このリザーバを通してアンカーデバイスを前進させ、所望量の治療用又は診断用のゲル物質を取り出す。
【0092】
ニードルアッセンブリ及びコネクタアッセンブリの前進のタイミング及びこれに続くこれらのアッセンブリ間の相対的な移動を調節する。即ち、先ず最初にニードルアッセンブリが介入部位へのアクセスを提供し、ニードルアッセンブリ及びコネクタアッセンブリの相対的な移動によって、コネクタアッセンブリがニードルアッセンブリの末端を越えて延びた状態にする。
【0093】
更に、特定の実施例では、アンカー送出デバイスは、このデバイスによって加えられた力又は他の環境条件を検出する性能を備えていてもよい。デバイスの様々な区分にこのようなデバイスが設けられていてもよく、考えられる一つの方法では、ニードルアッセンブリに沿ってセンサを配置してもよい。このようにして、オペレータは、例えば、ニードルが介入部位のところでターゲット解剖学的構造を破ったかどうか、及びどの程度破られたのかを検出できる。血液センサ又は他の化学的センサ又は成分センサ等の環境上の特定の特徴を検出できるこの他のセンサを使用してもよい。更に、送出中又は埋め込み後のアンカーアッセンブリの展開状態についてのフィードバックを提供する一つ又はそれ以上の圧力センサが考えられる。例えば、これらのセンサによって、張力又は深さのフィードバックを観察できる。更に、このようなセンサを、アンカーアッセンブリ自体に、展開デバイスの他の構造に、又は解剖学的構造に組み込んでもよい。
【0094】
更に、上文中に説明した手順を逆に行うことができるということは理解されるべきである。一つの方法では、アンカーアッセンブリの連結部を切断し、近位アンカー構成要素(即ち第2アンカー構成要素)を患者の体内から取り外してもよい。例えば、医師は、経尿道前立腺切除術で使用される電気外科手術デバイス、外科手術デバイス、又はレーザー外科手術デバイスを使用し、コネクタを単に切断すると同時に、例えば患者の尿道に予め埋め込まれた第2アンカーを取り出すことができる。
【0095】
本発明の様々な実施例の一つの特徴は、カスタム化可能な長さを持つ多数のアンカーアッセンブリ及び遠位アンカー構成要素を送出できるということである。各アンカーアッセンブリは、デバイスを患者から取り外す必要なしに様々な場所に埋め込まれる。様々な実施例は、送出される多数のアンカーアッセンブリの各々に対し、可変のニードル深さ及び可変のコネクタ長を提供する。本発明の様々な実施例のこの他の特徴は、アンカーアッセンブリを所定の負荷で、好ましくは0.4536kg(1ポンド)の負荷で送出すること、コネクタ(例えば縫糸)が一体化されたデバイスでアンカーアッセンブリを送出すること、切断すること、及びデバイスに設けられた内視鏡で見ながらアンカーアッセンブリの送出を行うことである。送出デバイスは、間隔が隔てられた第1アンカー部材間並びに埋め込んだ第1アンカー間に又は一つの第1アンカーにこのような負荷(0.227kg乃至2.268kg(0.5ポンド乃至5ポンド))を加え、第1アンカー構成要素が組織平面(例えば前立腺の外被膜)にしっかりと押し付けられた状態で着座し、第2アンカー構成要素がコネクタ及び送出デバイスに取り付けられるときに比較的堅固な状態を保持するのを補助するように独特の形状をしている。この特徴では、貫通部材として作用するニードルアッセンブリを、ニードルアッセンブリを引っ込める際に様々なアンカー部材間に所望の張力を発生する機構に協働するように連結できる。更に、埋め込まれた第1及び第2のアンカー部材間にこの負荷を加えることができる。
【0096】
開示のデバイスを製造する上で、様々な材料が本発明の範疇に含まれるということは理解されるべきである。更に、本明細書中に開示した一つ又はそれ以上のアンカーデバイスの遠位アンカー、近位アンカー、コネクタ等の一つ又はそれ以上の構成要素は、全体又は一部が生分解性又は生崩壊性であるように設計されていてもよい。
【0097】
更に、上述のように、本明細書中に開示したデバイス及び方法は、空洞及び壁を含む様々な内腔又は器官の様々な病理を治療するために使用できる。このような内腔又は器官の例には、尿道、腸、胃、食道、気管、気管支、気管支通路、静脈(例えば静脈瘤や弁閉鎖不全症の治療を行うため)、動脈、リンパ管、尿管、膀胱、心房、心室、子宮、卵管等が含まれるがこれらに限定されない。
【0098】
最後に、本発明をその特定の例又は実施例を参照して上文中に説明したが、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、これらの例又は実施例に様々な追加、削除、変更、及び変形を行ってもよいということは理解されるべきである。例えば、一つの実施例又は例の任意のエレメント又は属性を、別の実施例又は例に組み込んでもよいし又は別の実施例又は例で使用してもよい。これは、これを行うことによって、実施例又は例が特許性を失ったりその所期の使用について不適とならない限り、行うことができる。更に、例えば方法の工程を特定の順番で説明し、又は列挙したが、このような工程の順番は、方法が特許性を失ったりその所期の使用について不適とならない限り、変更してもよい。全ての妥当な追加、削除、変更、及び変形は、上文中に説明した例及び実施例の等価物と考えられるべきであり、以下の特許請求の範囲の範疇に含まれる。
【0099】
かくして、以上の説明から、本発明の特定の形態を図示且つ説明したが、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、様々な変更を行うことができるということは明らかであろう。