(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5871288
(24)【登録日】2016年1月22日
(45)【発行日】2016年3月1日
(54)【発明の名称】患者適合型外科用ガイドおよびその使用方法
(51)【国際特許分類】
A61B 17/56 20060101AFI20160216BHJP
【FI】
A61B17/56
【請求項の数】20
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2013-518663(P2013-518663)
(86)(22)【出願日】2011年6月29日
(65)【公表番号】特表2013-530773(P2013-530773A)
(43)【公表日】2013年8月1日
(86)【国際出願番号】US2011042412
(87)【国際公開番号】WO2012006172
(87)【国際公開日】20120112
【審査請求日】2014年2月14日
(31)【優先権主張番号】61/393,695
(32)【優先日】2010年10月15日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/359,710
(32)【優先日】2010年6月29日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512332194
【氏名又は名称】フライ,ジョージ
【氏名又は名称原語表記】FREY,George
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】特許業務法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】フライ,ジョージ
【審査官】
井上 哲男
(56)【参考文献】
【文献】
特表2008−514362(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0082035(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0319491(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0114370(US,A1)
【文献】
国際公開第2010/033431(WO,A1)
【文献】
特開2010−082448(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/56
A61B 17/90
A61B 17/16
A61F 2/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定の椎骨の解剖学的特徴と適合する特定の患者用の椎弓根スクリューガイドであって、
椎骨に隣接して位置付けられるように構成された中央本体と、
前記中央本体の第1の側から延在し、第1のコラムで終端する第1の長いウィングであって、前記第1のコラムが前記特定の椎骨の少なくとも1つの第1の形状と解剖学的に適合した第1の底面を具える、第1の長いウィングと、
前記第1の側と反対の前記中央本体の第2の側から延在し、第2のコラムで終端する第2の長いウィングであって、前記第2のコラムが前記特定の椎骨の少なくとも1つの第2の形状と解剖学的に適合した第2の底面を具える、第2の長いウィングとを具え、
前記第1及び第2の底面が患者の解剖学的構造から決定され、当該解剖学的構造に相補的であることを特徴とする椎弓根スクリューガイド。
【請求項2】
請求項1に記載の特定の患者用の椎弓根スクリューガイドがさらに、前記中央本体の下側から延在する少なくとも2つのウィングを具え、前記少なくとも2つのウィングの各々が前記特定の椎骨の少なくとも1つの形状と解剖学的に適合した底面を具えることを特徴とする椎弓根スクリューガイド。
【請求項3】
請求項2に記載の特定の患者用の椎弓根スクリューガイドにおいて、当該ガイドが前記患者の複数の椎骨にわたるように構成されることを特徴とする椎弓根スクリューガイド。
【請求項4】
請求項1に記載の特定の患者用の椎弓根スクリューガイドにおいて、前記第1及び第2のコラムが少なくとも1つの器具をガイドするための経路を規定することを特徴とする椎弓根スクリューガイド。
【請求項5】
請求項2に記載の特定の患者用の椎弓根スクリューガイドにおいて、前記少なくとも2つのウィングの底面の各々が、特定の椎骨の薄層又は下関節突起の少なくとも1つの形状と解剖学的に適合することを特徴とする椎弓根スクリューガイド。
【請求項6】
請求項3に記載の特定の患者用の椎弓根スクリューガイドにおいて、当該ガイドは、前記患者の複数の椎骨にわたるための複数の他のガイドに連結するように構成されることを特徴とする椎弓根スクリューガイド。
【請求項7】
請求項3に記載の特定の患者用の椎弓根スクリューガイドにおいて、当該ガイドは、患者の複数の椎骨にわたるための、一体構造又は多段型構造で構成された複数のガイドから成ることを特徴とする椎弓根スクリューガイド。
【請求項8】
請求項1に記載の特定の患者用の椎弓根スクリューガイドがさらに、前記第1及び第2のコラムを通って長さ方向に延在する第1及び第2の穴を具えることを特徴とする椎弓根スクリューガイド。
【請求項9】
請求項8に記載の特定の患者用の椎弓根スクリューガイドにおいて、前記第1及び第2の穴は、前記特定の椎骨に1つ又は複数のインプラントを配置するために所定の軌道に沿って方向付けられ、前記所定の軌道は前記患者の解剖学的特徴から決定されることを特徴とする椎弓根スクリューガイド。
【請求項10】
請求項1に記載の椎弓根スクリューガイドにおいて、当該ガイドは、前記患者の1つ又は複数の椎骨で使用されるように構成されることを特徴とする椎弓根スクリューガイド。
【請求項11】
請求項2に記載の椎弓根スクリューガイドにおいて、前記少なくとも2つのウィングの底面の各々が、1つ又は複数の椎骨の薄層又は下関節突起の少なくとも1つの形状と解剖学的に適合することを特徴とする椎弓根スクリューガイド。
【請求項12】
請求項1に記載の椎弓根スクリューガイドにおいて、当該ガイドは、前記患者に関連する複数の解剖学的特徴にわたるための複数の他のガイドに連結するように構成されることを特徴とする椎弓根スクリューガイド。
【請求項13】
請求項1に記載の椎弓根スクリューガイドにおいて、当該ガイドは、前記患者に関連する複数の解剖学的特徴にわたるための一体構造又は多段型構造で構成される複数のガイドから成ることを特徴とする椎弓根スクリューガイド。
【請求項14】
請求項8に記載の椎弓根スクリューガイドにおいて、前記第1及び第2の穴は、前記患者の解剖学的特徴から決定された所定の軌道に関して1つ又は複数の器具を受けるように構成されることを特徴とする椎弓根スクリューガイド。
【請求項15】
請求項1に記載の椎弓根スクリューガイドにおいて、当該ガイドは、少なくとも第1の部分及び少なくとも第2の部分から成り、当該部分は選択的に、使用位置で互いに相互に連結されることを特徴とする椎弓根スクリューガイド。
【請求項16】
請求項15に記載の椎弓根スクリューガイドにおいて、前記少なくとも第1及び第2の部分は選択的に、前記椎弓根スクリューガイドの中央本体に関して相互に連結することを特徴とする椎弓根スクリューガイド。
【請求項17】
特定の患者の解剖学的特徴と適合する外科用ガイドであって、
前記解剖学的特徴に隣接して位置付けられるように構成された中央本体と、
前記中央本体の第1の側から延在し、第1のコラムで終端する第1の長いウィングであって、前記第1のコラムが前記患者の解剖学的特徴に関連する少なくとも1つの第1の形状と解剖学的に適合する第1の底面を具える、第1の長いウィングと、
前記中央本体の第2の側から延在し、第2のコラムで終端する第2の長いウィングであって、前記第2のコラムが前記患者の解剖学的特徴に関連する少なくとも1つの第2の形状と解剖学的に適合する第2の底面を具える、第2の長いウィングと、
前記中央本体の下側から延在する第1及び第2のウィングとを具え、前記第1及び第2のウィングの各々が、前記患者の解剖学的特徴に関連する第3及び第4の形状とそれぞれ解剖学的に適合する底面を具えることを特徴とする外科用ガイド。
【請求項18】
請求項17に記載の外科用ガイドにおいて、前記第1及び第2のコラムが少なくとも1つの器具をガイドするための経路を規定することを特徴とする外科用ガイド。
【請求項19】
請求項17に記載の外科用ガイドがさらに、前記第1及び第2のコラムを通って長さ方向に延在する第1及び第2の穴を具えることを特徴とする外科用ガイド。
【請求項20】
請求項17に記載の外科用ガイドにおいて、前記少なくとも第1及び第2の長いウィングは選択的に、前記外科用ガイドの中央本体に相互に連結し、前記中央本体から取外し可能であることを特徴とする外科用ガイド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2010年6月29日出願の米国仮特許出願第61/359,710号明細書と2010年10月15日出願の同第61/393,695号明細書の優先権を主張し、これら開示の全文を参照により本願に援用する。
【0002】
本開示は医療機器の分野に関し、概して、ある手術において特定の患者に使用するために、その患者固有の解剖学的特徴に基づいて構成可能な装置と、その製造および使用方法に関する。
【背景技術】
【0003】
外科手術の複雑さや手術中に使用される用具、器具、インプラントおよびその他の器材の多彩さのほか、このような用具、器具、インプラントおよび器材を受ける患者間の多様な解剖学的差異を考えると、特定の患者の特異な、時に不規則な解剖学的特徴を考慮した手術計画を立てることはしばしば困難である。たとえば、椎体への(補助的な、または独立した固定機構としての)椎弓根スクリューの植込みは、各種の脊椎病理の治療に当たる外科医の間で広く受け入れられており、各種の椎弓根スクリュー構造の性能は予測可能となったが、椎弓根スクリューや他の骨アンカの位置決めと刺入には依然として多数の課題が残っている。こうした課題が生じるのは、外科医が過去の手術によって骨の特徴点を参照できない場合や、患者の骨格が不規則な形状である場合等である。
【0004】
上記のような課題から、個々の器具および/またはインプラントの挿入、位置決めおよび/または整合において外科医を支援するための、術前計画とリアルタイム画像誘導システムとの組み合わせに基づく技術の開発に努力が注がれてきた。このようなシステムの1つが、Crawfordらの国際公開第2008027549号パンフレットで開示されており、このシステムでは、患者の解剖学的特徴のモデリングと触覚インタフェースとを利用して、術前準備において手術のシミュレーションが行われる。Crawfordらにより開示されているようなシステムは、器具とインプラントの位置決めの視覚的な支援とはなるものの、シミュレーションには時間がかかり、回数の多い手術には非現実的である。さらに、これらのシステムは、そのコスト面を1つの理由として広くは受け入れられてこなかった技術に依存しているため、いくつかの手術中の課題を伴っており、たとえば、個々の解剖学的モデルの作製とこれらのモデルの解剖学的分析における工学的依存度が非常に高く、ほとんどの外科医がこれを避けたがる。
【0005】
外科医は今や、磁気共鳴画像(MRI)データまたはコンピュータ断層撮影(CT)データをコンピュータ支援設計(CAD)プログラムおよび/または有限要素解析(FEM)プログラムにより読取可能なデータセットへと容易に変換することが可能であり、その後、これらを利用して、たとえばカスタムインプラントを、設計されるそのカスタムインプラントの使用対象となる解剖学的構造の動的性質に基づいて作製できる。このデータは、現在は外科医により手術計画策定中には使用されているものの、患者固有の解剖学的構造を補完するために設計される一連のカスタムメイドの器具その他の外科用器材の作製にはほとんど使用されていない。そのほかに、このデータを使って、たとえば任意の位置で切開を行うための、特定使用者用の外科用ガイドを作製するものもあり、これはSchoenefeldの米国特許出願公開第20080114370号明細書において開示されている。しかしながら、Schoenefeldが開示する外科用ガイドは、一部分が患者の解剖学的構造の皮下部分に刺入されるだけである(すなわち、ガイドのわずかな部分のみが切開部から挿入され、ガイドの本体は切開部から外に出たままである)。さらに、Schoenefeldが開示するガイドでは、ガイドを患者の解剖学的構造に適合させるために使用される固有のデータポイントの数が限定的であるため、手術中に簡単に整合がずれたり、方向が不適切になったりする恐れがある。Schoenefeldはまた、患者の解剖学的特徴に適合するだけでなく、その手術で使用される1つまたは複数のその他の装置、たとえばカスタムメイドの用具や器具またはもう1つの外科用ガイド等にも適合する、ラピッドプロトタイピング装置により製造されるカスタムメイドの装置は開示していない。
【0006】
先行技術では、MRIやCTスキャンから得られたデータに基づいて外科用装置の一式を作製するためのシステムの教示も行われていない。たとえば、椎体に関する患者固有のデータセットを用いることにより、外科医は、隣接する椎体の位置決めと整合において、特定の骨形状や不規則部分を避けるためにプレートの位置と方向をわずかに変化させることができる可能性がある。他の例として、これらのデータセットの使用はまた、外科医が、たとえば実際の手術中に椎弓根の壁部を横切ったり、脊椎管に進入したりしないように、植込み用器材のための任意の軌跡を選択する際にも役立つ可能性がある。このデータセットを使用すれば、外科医は、植込み用器材の締めすぎや挿入しすぎを防止するエンドストップまたはその他の安全機能を設けることのできるカスタムメイドの用具や器具を作製することによって、上記のようなミスを避けられる。データセットにより、外科医はまた、そのデータセットによって表現される解剖学的特徴の1つまたは複数と適合するように向けられた患者接触面を作ることもでき、それによって、患者接触面を適正な位置と方向に迅速かつ効率的に位置付け、設置できる。
【0007】
したがって、特定の患者の複数の解剖学的特徴および/または外科医が手術を安全に、効率的に完了するのを支援するための1つまたは複数のその他の装置に適合するようになされ、および/または構成され、および/またはそれが可能であり、また、それ以外に、前述の問題やリスクを排除しないまでも大幅に削減させるような、外科手術で使用するのに適した装置を提供することが有利であろう。
【発明の概要】
【0008】
本開示の1つの態様によれば、1回または複数の外科手術に使用するカスタムメイドの装置を開発するための新規なシステムと方法が記載される。この実施形態によるシステムと方法は、MRIデータまたはCTデータの収集から得られる患者固有の形態学的要素を使って、1つまたは複数の「患者適合型」装置を創出するものであり、この装置は、MRIまたはCTデータからの複数のデータポイントに基づく相補的な表面を含む。各「患者適合型」装置は、患者自身の解剖学的構造、所望の挿入軌道(これは術前準備において、たとえば国際公開第2008027549号パンフレットにおいて開示されているソフトウェアのような3D CADソフトウェアを使用して確認でき、同出願の全体を参照によって本願に援用する)および、本明細書に記載の1つの実施形態によれば、その外科で使用される他の装置に合わせて適合させ、方向付けられる。
【0009】
本願で開示するこのシステムの、カスタムメイドされかつ一体化された適合性のある態様は、先行技術より有利であり、特に、各装置に関して複数のインターロックおよび/または適合点が得られ、その結果、外科手術中の整合のずれ、位置ずれ、およびその後のミスの可能性が低減する。
【0010】
本開示の1つの態様によれば、外科手術を支援するシステムと方法は、
MRIまたはCTスキャンによって患者の解剖学的構造に関連するデータを取得するステップと、
MRIまたはCTスキャンデータを3次元データセットに変換するステップと、
患者に対して行われる外科手術の支援に使用するために構築される予定の器材の1つまたは複数の方向軸を決定するステップと、
決定された軸を用い、また、変換されたデータセットから得られるその他の制約を考慮に入れて、外科手術の支援に使用するための器材をモデリングするステップと、
たとえばラピッドプロトタイピング装置を使用して、モデリングされた器材のプロトタイプを生成するステップと、
そのプロトタイプを外科手術中に使用するために準備するステップと、
を含む。
【0011】
上記の態様によれば、変換されたデータセットから得られるその他の制約を考慮する方法ステップは、モデリングされた器材の大きさを外科医が受ける空間的制限に対応するように調整するステップ、モデリングされた器材の要素を、特定の解剖学的特徴を避けるように方向付けるステップ、外科手術中に使用される1つまたは複数の器具および/または用具に、都合よく、動作的に関連付けられる1つまたは複数の表面を生成するステップ等を含んでいてもよい。
【0012】
本開示のまた別の態様によれば、このシステムと方法は、超音波または核医学走査装置から得られたデータの使用を含む。
【0013】
また別の代替的実施形態において、上記の走査装置の1つから得られたデータに、骨密度スキャナからのデータを追加し、または合体して、外科手術終了後に患者の体内に残すように設計される器材を作製してもよい。患者の体内に残される器材の例としては、固定器材や植込み用器材がある。
【0014】
また別の実施形態によれば、患者から得られたデータによって、装置を通る経路が画定され、それが少なくとも1つの用具、器具またはインプラントと動作的に関連付けられ、それによって少なくとも1つの用具、器具またはインプラントを画定された経路の中にいつでも、再現可能な方法で挿入できるような装置を製造することができる。
【0015】
本開示のまた別の態様によれば、データに骨密度スキャナから得られたデータを追加し、または合体して、特にその外科手術で1つまたは複数の植込み用器材が挿入される場合に、どの任意の軸の方向に対する制御性も改善できるようにしてよい。
【0016】
本開示のまた別の態様によれば、既定の外科用テンプレートが開示され、これは少なくとも1つの用具を受けるための1つまたは複数のガイドを含む。この実施形態によれば、1つまたは複数のガイドはさらに、患者の解剖学的特徴と実質的に合致するように形成された患者接触面を含む。既定の外科用テンプレートの構成は、患者接触面が複数の解剖学的特徴点と嵌合式に接触して、ガイドまたはテンプレートの正しい整合と装着が確実に行われるように構成され、また、既定の外科用テンプレートのガイドが既定の外科用テンプレートを製造する前に選択された方向に向けられて、1つまたは複数のガイドの中に用具が任意に位置決めされ、整合され、または前進させられるようにする。
【0017】
本開示のまた別の態様によれば、外科手術で使用されるテンプレートを作製する方法が開示され、この方法は、
患者固有の解剖学的構造に対応するデータをその患者から収集するステップと、
収集されたデータから、患者固有の解剖学的構造に適合する複数の適合面を含むテンプレートのモデルを作成するステップと、
モデルに関連するデータを製造機械に提供するステップと、
複数の適合面を含み、さらに、その外科手術で使用される少なくとも1つの用具または器具に対応する少なくとも1つの別の適合面を含むように、テンプレートを迅速に生成するステップと、
外科手術で使用するために、そのテンプレートに基づく永久的器材を生成するステップと、
を含む。
【0018】
本開示の1つの実施形態において、モデルはデジタルモデルである。本開示の別の実施形態において、モデルは物理的モデルである。
【0019】
参照によって前文が本願に援用されるのは、概して外科手術に関連する方法と装置に関し、それゆえ、本開示のさまざまな態様のための文書による補足説明を提供する、以下の米国特許および特許出願である。参照によって援用される米国特許および係属中の特許出願は、米国特許第7,957,824号明細書、同第7,844,356号明細書、同第7,658,610号明細書および米国特許出願公開第20100217336号明細書、同第20090138020号明細書、同第20090087276号明細書、同第20080114370号明細書である。
【0020】
当業者にとっては当然のことであるが、本開示の実施形態はさまざまな大きさとしてもよい。本開示の実施形態の各種の要素の大きさは、種々の要素、たとえば患者の解剖学的構造、装置を操作する、または装置とともに動作する、またはその他、装置を使用する人物または他の器材、手術部位の場所、本明細書に記載の器材とともに使用される器材や器具の物理的特徴、たとえば手術用装置の幅、長さ、厚さ、大きさ等に基づいて決定してよい。
【0021】
本開示の実施形態には先行技術に対するいくつかの利点があり、その中にはたとえば、手術の速度と効率が改善される、手技の侵襲的要素が最小限となる、プロトタイプ器材が廃棄可能である、カスタム器械や用具を手術部位に挿入する際のリスクと周辺組織に対する損傷が最小限である、感染リスクが低い、ガイドや植込み用器材の設置および/または方向付けをさらに最適化できる、外科手術に関連する装置をより安全で制御可能な方法で設置、挿入でき、それによって装置の整合がずれたり、外れたりする可能性が一層低減する、手術部位において使用される用具や器具の数を減らし、および/またはより安価とすることができる点がある。
【0022】
当業者にとっては当然のことであるが、本開示の実施形態は、本開示の各種の態様を提供することが知られている、またはこれらを提供するように予測して製造される材料で構成してもよい。このような材料としては、たとえばステンレススチール、チタン合金、アルミニウム合金、クロム合金およびその他の金属または金属合金がある。これらの材料はまた、たとえばPEEK、炭素繊維、ABSプラスチック、ポリウレタン、樹脂、特に繊維強化樹脂性材料、ゴム、ラテックス、合成ゴム、合成材料、ポリマ、天然材料であってもよい。
【0023】
当業者にとっては当然のことであるが、本開示の実施形態は、自動または半自動操作を利用する器材とともに使用してもよい。本開示の実施形態は、装置が、たとえばオペレータにより遠隔的に、オペレータによりコンピュータコントローラを通じて遠隔的に、オペレータにより調和装置を使って、コンピュータコントローラによりプログラムを通じて、サーボ制御式メカニズムにより、油圧式機構により、空気圧式機構により、または圧電アクチュエータにより形成、確認されるように設計してもよい。本開示の目的のために、ラピッドプロトタイピング装置以外の別の種類の機械を、たとえばコンピュータ数値制御(CNC)装置によって、本明細書に記載のシステムと方法の中で使用できることを明確に理解する。
【0024】
「発明の概要」は、本開示の全範囲を表そうとしたものではなく、またそのように解釈されるべきではない。本開示は、「発明の概要」および添付の図面ならびに「発明を実施するための形態」の中でさまざまな程度の詳細さで記されており、本開示の範囲に関して、「発明の概要」に要素、構成要素等が含まれている、または含まれていないことのいずれによっても限定が意図されてはいない。本開示の他の態様は、特に図面と併せて「発明を実施するための形態」を読むことによって、より明らかとなりやすいであろう。
【0025】
上記の利益、実施形態および/または特徴は、特に本明細書に記載の特許性のある主旨に関して、必ずしも完全または網羅的ではない。前述の、および/または添付の図面に示され、および/または以下の説明の中に記されているように、単独または組み合わせて利用することにより、本開示の他の利益、実施形態および/または特徴も得られる。しかしながら、本発明は、本願において後述する特許請求の範囲によって定義される。
【0026】
明細書の中に取り入れられ、その一部をなす添付の図面は、本開示の実施形態を描いており、上述の本開示の一般的説明と図面に関する以下の詳細な説明とともに、本開示の原理を説明する役割を果たす。
【0027】
図面は必ずしも正確な縮尺で描かれていないと理解するべきである。場合により、本開示の理解に不要な、または他の詳細が理解しにくくなるような事柄は割愛されているかもしれない。もちろん、本開示は必ずしも本明細書で説明される具体的な実施形態に限定されないと理解するべきである。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】
図1は、本開示の1つの実施形態によってデータポイント群を得ることのできる、固有の解剖学的特徴集合の3次元モデルの斜視図である。
【
図2】
図2は、本開示の1つの実施形態による、外科手術を支援するための装置を製造し、使用する方法を実行する各種ステップを示すフローチャートである。
【
図3】
図3は、本開示の1つの実施形態による、外科手術を支援するための具体的な装置の側面図である。
【
図5】
図5は、固有の解剖学的特徴集合に関する、本開示の1つの実施形態による、
図3に示される装置の上面図である。
【
図6】
図6は、
図5に示される装置と固有の解剖学的特徴集合の斜視図である。
【
図7】
図7は、
図3に示される装置の別の斜視図であり、装置の、カスタムメイドの患者適合面を示す。
【
図8】
図8は、本開示の代替的実施形態による装置の斜視図である。
【
図9】
図9は、本開示のまた別の実施形態による装置の斜視図である。
【
図10】
図10は、
図3に示される装置を特定の外科手術中に使用されるカスタムメイドの器具とともに示す別の斜視図である。
【
図9】
図9は、本開示の代替的実施形態による装置の分解斜視図である。
【
図10】
図10は、
図9に示される装置の組み立てられた状態の他の斜視図であり、隣接する装置間の相補的な嵌合を示す。
【
図11A】
図11Aは、本開示の別の代替的実施形態による装置の一部の斜視図である。
【
図11B】
図11Bは、本開示の別の代替的実施形態による装置の一部の斜視図である。
【
図13】
図13は、本開示のまた別の代替的実施形態による装置の斜視図である。
【
図14】
図14は、本開示のまた別の代替的実施形態による装置の斜視図である。
【
図15】
図15は、本開示のまた別の代替的実施形態による斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
添付の図面に示し、本明細書においてさらに詳しく説明するように、本開示は、多様な多くの外科手術に使用される各種のカスタムメイドの患者適合型装置を開発するための新規なシステムと方法に関する。このシステムと方法は、MRIデータまたはCTデータの収集により得られる患者固有の形態学的特徴を利用して、データポイント群から得られる、外科手術中に遭遇する面と相補的な面を含む、1つまたは複数の患者適合型装置が作製される。本明細書に記載の各種の実施形態によれば、患者適合型装置はさらに、任意の軸および/または挿入軌道を含んでいてもよい。本明細書に記載の1つの代替的実施形態によれば、患者適合型装置はさらに、その手術中に使用される少なくとも他の装置とも適合してよい。本開示の他の特徴は、本発明に関する以下の開示とさまざまな実施形態を参照すれば明らかとなるであろう。
【0030】
本開示のいくつかの実施形態を
図1〜17に示す。まず
図1を参照すると、本開示の1つの実施形態による、固有の解剖学的特徴集合の3次元モデルの斜視図が示されている。ここで、モデル2は複数の椎体4、6を含むが、他の実施形態では、特定の患者に関するどのような解剖学的特徴集合を含んでいてもよい。モデル2に関連するデータは、MRIまたはCTスキャンから、または患者の対応する骨格のX線画像から捕捉してよい。データは、捕捉されると、公知のソフトウェアツールを使ってCADプログラムに変換されてもよく、その場合、データセットはモデル2を表し、これを利用して、外科手術で使用される予定の1つまたは複数の装置の輪郭、大きさ、形状、方向を画定するためのその他のデータポイントが得られる。
【0031】
代替的実施形態によれば、データは、超音波または核医学走査装置から収集してもよい。また別の代替的実施形態においては、このデータに骨密度スキャナから得られたデータを補足し、または合体して、特にその外科手術において1つまたは複数の植込み用器材が挿入される場合に、外科手術終了後も患者の体内に残し、あるいは所望の軸の向きをよりよく制御できるように設計された器材を製造してもよい。患者の体内に残される器材の例としては、固定器材や植込み用器材がある。
【0032】
図2は、本明細書に記載の各種の実施形態による、外科手術の支援に使用される装置の製造方法を実行する各種のステップを示すスローチャートである。
【0033】
好ましい実施形態による方法は、以下のステップを含む。
A)MRIまたはCTスキャンによって、患者の解剖学的構造に関連するデータを取得するステップと、
B)MRIまたはCTスキャンデータを3次元データセットに変換するステップと、
C)患者に対して実行される予定の外科手術の支援に使用するために構成される器材の1または複数の方向軸を決定するステップと、
D)決定された軸を使用し、また、変換されたデータセットから得られるその他の制約を考慮して、外科手術の支援に使用される器材をモデリングするステップと、
E)たとえば、ラピッドプロトタイピング装置を使用して、モデリングされた器材のプロトタイプを生成するステップと、
F)プロトタイプを、外科手術中に使用するために準備するステップ。
【0034】
図2に示されるように、この方法には、他のステップを含めてもよく、あるいはその外科手術で使用される他の器材について繰り返してもよい。
【0035】
データを取得するステップは一般に、従来の方法で、MRIまたはCTまたは当業界で公知の他の適当な走査装置を使って患者を走査することによって実行される。そこで、データをこの装置によって収集し、当業界で公知のソフトウェアやその他のアルゴリズム的手段によって3次元データセットに変換してもよく、これはたとえば、データを、たとえばCADフォーマットでデータを表現できる公知のモデリングソフトウェアプログラムにエクスポートすることによって行われる。データが変換されたら、そのデータセットに合った器材をモデリングし、患者の解剖学的構造の当初の走査からかられるデータセットを観察する前または、観察中に外科医が決定する1つまたは複数の軸により方向付けてもよい。
【0036】
変換されたデータセットから得られたその他の制約を考慮する方法ステップは、モデリングされた器材の大きさを、外科医が受ける空間的制限に対応するように調整するステップ、モデリングされた器材の要素を、特定の解剖学的特徴を避けるように方向付けるステップと、その外科手術で使用される1つまたは複数の器具および/または用具と都合よく、動作的に関連付けられる1つまたは複数の面を作るステップ等を含んでいてもよい。プロトタイプは、公知のラピッドプロトタイピング装置を使って、あるいはCNC切削機等の切削機によって生成してもよい。あるいは、この方法で製造される当初の装置は暫定的な状態であり、外科医が検討およびまたは操作を加え、その後、本明細書に記載する方法の1つを使って最終的に構築してもよい。これらのステップを補足的器材について繰り返してもよく、その一部または全部が、患者の解剖学的構造に、または過去に製造された器材と合致する、他の適合面を含んでいてもよい(すなわち、製造される器材には、1つまたは複数の器材を接合して一体化するための適合面を有していてもよく、これについては以下により詳しく説明する)。
【0037】
あるいは、本明細書に記載のシステムと方法は、特定の患者の各種の解剖学的特徴、たとえば脊椎変形を矯正するために患者の複数の椎体を整合させるのを支援できる。たとえば、データセットから解剖学的特徴に関する初期の位置を把握できるが、外科医が術前準備において、さらにそれを操作して所望のデータセット、たとえば外科手術終了後の解剖学的特徴に関する最終的な位置等を取得してもよい。このようにして、上記のシステムと方法により形成される器材は、解剖学的特徴の初期の位置または最終的な位置のいずれにも使用でき、その外科手術の各段階での具体的な位置や方向に適合させることができる。すると、これらの段階的器材が外科医にとって、術前計画と比較して術中にどの程度の矯正を達成できたかを判断するための視覚的ガイドとなる。本開示の方法のその他の変化形は、「発明の概要」に記載され、付属の特許請求の範囲に含められている。
【0038】
製造方法は、ラピッドプロトタイピング装置、たとえばステレオリソグラフィ装置または溶融堆積モデリング装置等の使用を含んでいてもよい。このようなラピッドプロトタイピング装置の一例は、3D Systemsから市販されており、モデルSLA−250/50として知られている。ラピッドプロトタイピング装置は、液体またはその他の未硬化樹脂を選択的に硬化させて3次元構造にするものであり、これを残りの未硬化樹脂から分離し、洗浄/殺菌し、装置として直接使用できる。プロトタイピング装置は、個々のデジタルデータセットを受け取り、所望の装置の各々に対応する1つの構造を生成する。
【0039】
一般に、ステレオリソグラフィ装置により生成されるのは樹脂製品であり、その機械的特性は最適でないかもしれない(特定の外科的用途には一般に受け入れられないかもしれない)ため、プロトタイピング装置により上記の代わりに型を生成してもよい。モデルが作製されたら、従来の加圧または真空成形装置を使って、より適当な材料、たとえばステンレススチール、チタン合金、アルミニウム合金、クロム合金、PEEK、炭素繊維またはその他の金属または金属合金等から装置を生成してもよい。
【0040】
他の代替的実施形態によれば、システムと方法は、CNC装置にデータセットを提供するステップを含んでいてもよく、次にこの装置を使用して、上記のような、より機械的に適当な材料の1つから、カスタムメイドの装置を製造してもよい。また別の代替的実施形態において、たとえば、特定の方向または挿入軌道が多数の患者間で共通である場合、本明細書に記載の実施形態による装置の量産も可能であるかもしれない。
【0041】
本開示の1つの特定の実施形態によれば、患者の脊椎に関連する各種の外科手術で使用される装置を製造するためのシステムと方法が提供される。変性椎間板疾患、先天的脊椎変位、椎間板ヘルニア、脊椎損傷またはその他の脊椎障害の患者にはしばしば、患者を痛みから解放し、障害の悪化を防止するために、患部領域への手術が必要となる。このような脊椎手術では、損傷した関節組織の除去、組織インプラントの挿入および/または2つまたそれ以上の隣接椎体の固定が行われるかもしれず、外科手術は、損傷の性質や程度によって異なる。
【0042】
さまざまな程度の変性椎間板疾患および/または神経圧迫およびそれに伴う腰痛を有する患者には、変性疾患を治療するために脊椎固定術または腰椎固定(「固定術」)が一般的に採用される。固定術では一般に、1つまたは複数の椎間腔の伸延および/または除圧を行い、その後、関連する面関節または椎間板を除去し、その後、2つまたはそれ以上の隣接する椎骨を一体に連結、すなわち「固定」する。椎体固定術ではまた、一般に、2つまたはそれ以上の隣接椎骨の固定が行われ、これは、ロッドまたはプレートおよびスクリューまたはその他の器材を椎骨関節に刺入し、椎骨のさまざまな部分を隣接椎骨の対応する部分に連結することによって行われてもよい。
【0043】
固定術は、患者の腰椎、椎体間または頸椎領域で行われてもよい。固定術には、椎骨にアクセスし、任意のインプラント、いずれかの生物活性材料等を植え込むための用具を必要とする。このような手術ではしばしば、他の用具および/または器具、たとえばドリル、ドリルガイド、創面切除用具、潅注器材、万力、クランプ、カニューレ、開創器、延長器、切削用具、切削ガイドおよびその他の挿入/開創用具や器具等を挿入する必要がある。これらの用具、器具および固定器材の挿入、整合および位置付けは、手術の成功にとって重要である。そのため、カスタムメイドの、特定患者用の用具や器具の提供により、外科手順が成功する可能性が高まる。
【0044】
たとえば、上記のシステムと方法により形成され、固定に関わる特定の手術に使用可能な1つの特定の装置が
図3と4に示されている。本開示の1つの実施形態によれば、この装置は椎弓根スクリューガイド10の形態であってもよく、これは中央本体12と2つの概して長いウィング14からなり、各ウィング14の終端には概して円筒形のコラム16がある。好ましい実施形態において、円筒形コラム16の各々は、
図3に示されるように、実質的に中空であり、その中に1つまたは複数のタイプの器材を挿入できる。中央本体12はまた、中央本体12の下面付近に形成される長さ方向の空洞20を含む(
図3の斜視図により示される)。円筒形コラム16の各々はさらに、下側患者接触面18,19を有し、これらは長さ方向の空洞20とともに、複数の解剖学的特徴に適合させるための複数の患者固有の形状を成すことになり、これについて以下により詳しく説明する。
【0045】
下側患者接触面18、19と長さ方向の空洞20の形状と位置は、患者のMRIまたはCTスキャンから変換されたデータセットを使って形成される。
図3と4に示される椎弓根スクリューガイド10の残りの部分は、外科医の特定の選好に合わせて形成してもよい。たとえば、ウィング14は、2つの円筒形コラム16をそれに対応する、患者に適合する解剖学的特徴の位置に位置付けられる長さであればよい。ウィングは他の形状、方向、厚さ等であってもよく、これらは本開示の新規な態様から逸脱しない。同様に、中央本体12は、長さ方向の空洞20を設けることができる大きさであればよく、必要に応じて、ウィング14以外に、椎弓根スクリューガイド10を把持または操作しやすくする延長部を含んでいてもよい。
【0046】
上記に加え、ウィング14は、椎弓根スクリューガイド10を、その特定の手術に関する、対応する解剖学的特徴集合の上に設置した時に、少なくとも部分的に締り嵌めの状態となるように半可鍛性または半剛性材料で作製してもよい。たとえば、スナップ式嵌合または締り嵌めの状態は、2つの円筒形のコラム16を下関節突起に隣接して設置した時に、ウィング14がわずかに撓み、その後、ウィングがその最終的な方向に位置付けられたところで、所望の位置へと撓むことによってなされてもよい。この点における本開示の他の態様を、以下により詳しく説明する。
【0047】
図5は、本開示の1つの実施形態による、固有の解剖学的特徴集合に関する
図3に示される装置の平面図である。ここで、椎弓根スクリューガイド10は、中央本体12が椎体4の中央部分の上方の中央に位置するように位置付けられ、それによって長さ方向の空洞20がこの特定の椎体4の棘突起41の形状と嵌合する。同様に、円筒形コラム16は各々、椎弓根スクリューガイド10のそれぞれの内側に位置付けられ、それによってウィング14が椎体4の薄層43の上に架かり、円筒形コラム16が下関節突起44、45に近接して位置付けられる。円筒形のコラム16の下側患者接触面18、19は、下関節突起44、45の形状と上関節突起42の裏側と嵌合するように形成される。
【0048】
それゆえ、椎弓根スクリューガイド10には複数の係合または適合位置が存在し、そのいずれかが正しく位置付けられないと、他の2つの着座に影響が及ぶ。この態様において、椎弓根スクリューガイドは、わずかに回転され、整合がずれ、または位置がずれる可能性があり、それでも外科医にとってはその器材が適切に着座しているかのように見えてしまう先行技術より格段に改良されている。冗長的な複数の嵌合面によって、椎弓根スクリューガイド10は位置も正しく、整合も正しく設置される。椎弓根スクリューガイド10の位置または整合が正しくないと、下側患者接触面18、19は下関節突起44、45の各々にフィットしないが、長さ方向の空洞20は棘突起の上にしっかりと着座させることができる。
【0049】
図6は、
図5に示される装置の斜視図である。任意の挿入軌道線A、Bが示されているのは、円筒形コラム16の位置決めが円筒形コラム16の各々の軸の方向付け以外にも行われることを示すためであり、これは下関節突起44、45に隣接して設置することとは別であってもよい(すなわち、法線に関する軸の方向は、円筒形コラム16間で異なっていてもよい)。円筒形コラム16の方向はまた、前述のデータセットからも得られ、1つの好ましい実施形態においては、固定器材(たとえば椎弓根スクリュー)を椎弓根の位置に合わせて、固定器材が椎弓根を貫通しない方向に刺入することができる方向に基づいて選択される(すなわち、スクリューが椎弓根を貫通したり、または椎弓根スクリューが椎弓根の側面から出る角度で刺入されたりする可能性がなくなる)。
【0050】
図3〜6に示される装置のカスタムメイドの、または設定された患者接触面は、
図7の椎弓根スクリューガイド10の底面側斜視図からわかる。ここで、下側患者接触面18、19は、複数の複合的な半径を持つ動的な形状であってもよく、それによって、面18、19は椎骨の、対応する解剖学的特徴と完全に合致する。それゆえ、これらの面は椎骨のうち、円筒形コラム16をその外科手術で設置される予定の面に実質的に適合し、椎骨の他の面とは実質的に適合しない。このようにして、椎弓根スクリューガイド10の整合がずれると、椎骨に正しく着座しないため、外科医にはすぐにそれがわかる。
【0051】
図8は、本開示のある代替的実施形態による装置を示す。この実施形態では、多段型椎弓根スクリューガイド10’がいくつかの隣接する椎体4、6、8に関して示されている。多段型椎弓根スクリューガイド10’は、多重的な第二のウィング14’と第三のウィング14’’を含み、その各々が、複数の椎弓根スクリューを隣接する椎骨部6、8に刺入し、整合させるための、対応する円筒形コラム16’、16’’を有する。多段型は3つより多くても、少なくてもよく、本発明の趣旨から逸脱しないものと明確に理解する。
【0052】
図9は、本開示のまた別の代替的実施形態による装置を示し、これは複数の部分12’’、12’’’、12’’’’を含む。
図8に示される実施形態と同様に、この椎弓根スクリューガイド10’’により、椎弓根スクリューを複数段の椎骨4、6、8に整合させ、刺入することができる。しかしながら、複数の部分12’’、12’’’、12’’’’の各々の中央本体は変形されており、係合端と受容端を有し、複数の部分12’’、12’’’、12’’’’を
図9に示されるように連結できようになっている。複数の部分12’’、12’’’、12’’’’の各々の受容および係合端は異なっており、組み立てた時に、部分12’’、12’’’、12’’’’が必ず正しい順序となる(すなわち、部分12’’は部分12’’’としか連結できない)。この図は、本開示のまた別の態様、特に、相互に隣接する具体的な器材を嵌合させ、または連結して、各器材に関連する特定の解剖学的特徴と確実に整合、嵌合させることが可能であることを示している。
【0053】
図10は、
図5の実施形態による装置と、特定の手術中にこの装置とともに使用可能なカスタムメイドの器材とを示している。たとえば、前述のような脊椎固定術中、外科医は一般に、1本また複数の椎弓根スクリューを患者の椎骨に取り付けて、椎体間を任意に固定する。円筒形コラム16の内径は、器具60の漸増する外径に対応させてもよく、それによって、器具60は円筒形コラム16内の所定の距離までしか進めず、これが物理的なストッパとなり、次にこれが、椎弓根スクリュー62が患者の骨格内に深く入りすぎないようにする手段となる。また別の実施形態によれば、円筒形コラム16の中空部分には内径を狭めた部分があってもよく(
図10には示されない)、これは器具60の外径の周囲に、器具が円筒形コラム16に進入しすぎて、椎弓根スクリュー62が安全限界を越えて刺入されることにならないような方法と位置でフィットするエンドストップにあたる。
【0054】
図11は、本開示のまた別の代替的実施形態による装置の斜視図である。ここで、この装置は椎弓根スクリューガイド100であり、これはさらに、中央本体の周囲に狭いブリッジ112を有し、これによって、
図12に示されるように、カラー130を変形型の椎弓根スクリューガイド100に連結できる。カラー130は、患者の棘突起に適合する、成形された下面を含んでいてもよく(
図3に示される実施形態の長さ方向の空洞と同様)、手術中に治療される椎骨の特定の解剖学的特徴に適合するよう、椎弓根スクリューガイド100の中に挿入されてもよい。それゆえ、この実施形態では、カラー130は、2つの円筒形コラム116の下側患者接触面118、119に加えて、患者適合形状の少なくとも1つを含み、異なる椎骨に対する外科手術のために必要に応じて、これを取り外し、別の形状の他のカラーと交換してもよい。この実施形態において、円筒形コラム116はさらに、円筒形コラム116の中に挿入されている間の椎弓根スクリューを見やすくするための1つまたは複数の開口部111を有していてもよい。
【0055】
図13は、本開示のまた別の代替的実施形態による、外科手術を支援するための装置の斜視図である。この実施形態において、前述のシステムと方法により形成される装置は椎弓切除ガイド150を含む。この椎弓切除ガイドはさらに、ガイドワイヤまたはその他の固定要素を挿入するための少なくとも1つの整合チャネル151と、ブレードまたはその他の切刃の経路の方向を決める切除スロット152を含む。上記の
図3に示される椎弓根スクリューガイドと同様に、この椎弓切除ガイド150はまた、椎弓切除ガイド150を1つまたは複数の椎体と嵌合させることのできる下側患者接触面155も有する。
図13には概して長方形の角柱として示されているが、椎弓切除ガイド150のその他の幾何学的形状も同様に実現可能であり、本開示の範囲内と考えられることを明確に理解する。
【0056】
図14は、本開示のまた別の代替的実施形態を示す。この実施形態において、前述のシステムと方法により形成される装置は管状開創器160を含み、これもまた、下側患者接触面165を含む。この患者接触面165は、管状開創器のうち、管状開創器165の円筒形本体163から選択的に取り外すことのできる部分164に形成されてもよく、それによって、管状開創器165は、部分164を成形しなおし、各患者のための円筒形本体163に連結して、何回もの手術に再利用してもよい。管状開創器はまた、概して中空の内腔162と、挿入中に操作し、外科医が管状開創器160を確実に正しく整合させるのを助ける少なくとも1つのタブ161を有する。
【0057】
図15〜17は、本開示のさらに別の代替的実施形態を示す。この実施形態において、テンプレートは、1つまたは複数の椎体間器材、たとえば、これらに限定されないが、1つまたは複数の生物活性物質または骨移植片、または人工椎間板等を挿入するための植込み用ケージの設置を支援するための患者適合型ガイド180を含んでいてもよい。
図15と16では、患者適合型ガイド180が、1つまたは複数の椎体間器材の設置において外科医を支援するための固有の解剖学的特徴集団に関する1つの考えられる位置(2つの隣接椎骨間)に示されている。
【0058】
図17では、患者適合型ガイド180が分解図で示され、特定の外科手術のために前述のシステムと方法を使用して複数の構成要素を製造する様子を示している。これらの構成要素は特定患者用インサート182、ガイドスリーブ184およびコネクタ186を含み、これらは、最終的に組み立てられると、
図15に示される患者適合型ガイド180を形成する。
【0059】
本明細書で開示される装置は、さまざまな異なる材料で作製できる。その材料としては、たとえば、これらに限定されないが、ステンレススチール、チタン合金、アルミニウム合金、クロム合金およびその他の金属または金属合金がある。これらの材料はまた、たとえばPEEK、炭素繊維、ABSプラスチック、ポリウレタン、樹脂、特に繊維強化樹脂性材料ゴム、ラテックス、合成ゴム、合成材料、ポリマ、天然材料であってもよい。
【0060】
本開示の各種の実施形態を詳しく説明したが、当然のことながら、当業者にとっては、これらの実施形態の改良や変更も着想されるであろう。しかしながら、このような改良や変更も、後述の特許請求の範囲に明記された本開示の範囲と主旨の中に含まれるものと明確に理解する。さらなる説明として、本明細書の付属書類Aに含まれる情報と資料は明確に本開示の一部であり、その全体が参照によって本願に援用される。
【0061】
本開示の上記の考察は、例示と説明を目的として記されている。上記は、本明細書で開示される1つまたは複数の形態に本開示を限定しようとするものではない。たとえば、上記の「発明を実施するための形態」の中では、本開示のさまざまな特徴が、効率的に開示するために、1つまたは複数の実施形態の中にまとめられている。この開示方法は、特許請求されている開示に、各請求項に記載されたもの以外の特徴が必要であるようにしようという意図を表すと解釈するべきではない。むしろ、以下の特許請求の範囲に反映されているように、発明性のある態様は、上で開示した1つの実施形態の特徴の全部に満たない、一部の特徴にある。それゆえ、以下の特許請求の範囲はこの「発明を実施するための形態」の中に組み込まれ、各請求項は、本開示の好ましい実施形態として独立しているものである。
【0062】
さらに、本明細書では、1つまたは複数の実施形態の説明と特定の変形と改良について説明したが、たとえば、本開示を理解した後に当業者の技能と知識に含められるような、他の変形や改良も本開示の範囲内である。取得しようとする権利には、特許請求されているものに対する代替的、互換的および/または均等な構造、機能、範囲またはステップを含めた可能な限りの代替的実施形態を含めるものとし、かかる代替的、互換的および/または均等な構造、機能、範囲またはステップが本明細書において開示されているか否かを問わず、また、特許性のある主旨を一般公衆に開放することを意図しない。