特許第5871303号(P5871303)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エヌ・シー・アール・コーポレイションの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5871303
(24)【登録日】2016年1月22日
(45)【発行日】2016年3月1日
(54)【発明の名称】メディアアイテム搬送提供装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 5/00 20060101AFI20160216BHJP
   G07D 9/00 20060101ALI20160216BHJP
   G07D 1/00 20060101ALI20160216BHJP
【FI】
   B65H5/00 P
   G07D9/00 401E
   G07D9/00 416C
   G07D1/00 401
【請求項の数】13
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2011-183937(P2011-183937)
(22)【出願日】2011年8月25日
(65)【公開番号】特開2012-46356(P2012-46356A)
(43)【公開日】2012年3月8日
【審査請求日】2014年8月5日
(31)【優先権主張番号】12/868,842
(32)【優先日】2010年8月26日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391007161
【氏名又は名称】エヌ・シー・アール・コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】NCR CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100098589
【弁理士】
【氏名又は名称】西山 善章
(72)【発明者】
【氏名】スコット ディアス
(72)【発明者】
【氏名】ケン ピータース
【審査官】 西村 賢
(56)【参考文献】
【文献】 特表2002−501236(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0160127(US,A1)
【文献】 特開昭63−004391(JP,A)
【文献】 特開2007−308233(JP,A)
【文献】 特開2005−132570(JP,A)
【文献】 特開2005−035791(JP,A)
【文献】 特開2009−279762(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 5/00− 5/38
B65H 29/52
G07D 1/00
G07D 9/00− 9/04
G07D 11/00−13/00
G07F 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メディアアイテム搬送提供装置であって、
自身に結合されたノーズを含むシャーシであって、(i)シャーシから遠位側の搬送提供端部と、(ii)シャーシから搬送提供端部へ延在する搬送提供トラックとを含むシャーシと、
搬送提供トラック上に取り付けられ、それに沿って移動するキャリッジであって、リンク機構によってキャリッジ板に結合されたキャリッジ本体を含み、前記キャリッジ板がカムフォロワを含むキャリッジと、
カムトラックを画定するカムブロックであって、前記カムフォロワと係合してメディアアイテムを前記キャリッジ板上に配置できる開位置と、前記キャリッジ板と前記キャリッジ本体との間にメディアアイテムをクランプする閉位置との間で前記キャリッジを移動させるように動作可能なカムブロックと、を備え、
前記搬送提供トラックに平行で、前記カムフォロワを支持して前記キャリッジが前記開位置へ移動するのを防止するように構成されたトラックシェルフをさらに備え、前記トラックシェルフが、積載位置のカムブロックギャップをさらに画定し、前記カムブロックがカムブロックギャップに整列して取り付けられ、
前記カムブロックが、前記カムブロックギャップに整列するように構成され、それを充填する寸法のレッジを画定して、前記カムが前記レッジを前記トラックに平行になる位置まで回転させた時に、前記レッジが前記トラックシェルフを完結して前記カムフォロワが前記カムトラックに係合しないようにして、それにより前記キャリッジが前記キャリッジ板が閉位置と開位置との間で移動する位置である積載位置より先へ移動できるようにする、
ことを特徴とするメディアアイテム搬送提供装置。
【請求項2】
前記カムブロックが、前記カムトラックに隣接するリードイントラックをさらに画定し、前記キャリッジを積載位置へ移動させる時に、前記カムブロックを回転させて前記リードイントラックを前記トラックシェルフに整列させることができる、請求項に記載のメディアアイテム搬送提供装置。
【請求項3】
前記リードイントラックが前記搬送提供装置の取得端付近にあり、前記カムトラックが前記搬送提供装置の操作端付近から開始し、したがって、背面アクセス型ディスペンサでは前記キャリッジを前記リードイントラックに沿って移動させてメディアアイテムを顧客に搬送提供するが、前面アクセス型ディスペンサでは前記キャリッジを取得端の方へ移動させなければならず、前記キャリッジを移動させてメディアアイテムを顧客に搬送提供する前に前記カムブロックを前記レッジ位置まで回転させ、請求項に記載のメディアアイテム搬送提供装置。
【請求項4】
前記カムブロックが、円形ブロックの材料を含む、請求項1に記載のメディアアイテム搬送提供装置。
【請求項5】
前記カムブロックが、カムモータからの駆動力を受ける歯が付いた円周を含む、請求項1に記載のメディアアイテム搬送提供装置。
【請求項6】
前記カムブロックが、前記リードイントラック付近で開始し、オフセット中心点で終了する湾曲カムトラックを画定する、請求項に記載のメディアアイテム搬送提供装置。
【請求項7】
前記湾曲カムトラックが、(i)前記カムフォロワを下方に移動させて前記キャリッジを開く下向きカム面と、(ii)前記カムフォロワを上方に移動させる下向きカム面と反対側の上向きカム面とを画定する、請求項に記載のメディアアイテム搬送提供装置。
【請求項8】
前記カムフォロワが、前記キャリッジ板から横向きに延在するピンを含む、請求項1に記載のメディアアイテム搬送提供装置。
【請求項9】
前記カムブロックがシャフト上に取り付けられ、前記カムブロックが前記カムブロックシャフト上に取り付けられたターゲットを検知して前記カムブロックの回転位置を確認する位置センサを含む、請求項1に記載のメディアアイテム搬送提供装置。
【請求項10】
顧客にメディアアイテムの束を搬送提供する方法であって、
キャリッジが積載位置に達するまで搬送提供トラックに沿ってキャリッジを移動させるステップと、
前記キャリッジ上のカムフォロワをカムトラックに沿って第1の方向に案内して前記キャリッジを開き、キャリッジ本体から空間的に分離したキャリッジ板の上面を露出させるステップと、
個別のメディアアイテムを前記キャリッジ板の上面へ搬送してメディアアイテムの束を形成するステップと、
前記キャリッジ上の前記カムフォロワを前記カムトラックに沿って前記第1の方向と逆の第2の方向に案内して前記キャリッジを閉じて、前記キャリッジ板の上面と前記キャリッジ本体の下面との間に前記メディアアイテムの束を挟持するステップと、
前記キャリッジが搬送提供位置に達するまで前記搬送提供トラックに沿って前記キャリッジを移動させるステップと、
前記メディアアイテムの束を前記キャリッジから顧客へ搬送するステップと
の各ステップを含むことを特徴とする顧客にメディアアイテムの束を搬送提供する方法。
【請求項11】
メディアアイテムの束のうち1つ又は複数のメディアアイテムが顧客によって取り除かれていないことを検出するステップと、
前記キャリッジが積載位置にある時に前記カムトラックに沿って前記カムフォロワが案内されないように、前記カムトラックへのリードイントラックがレッジトラックに引き継がれるレッジ位置へ前記カムトラックを回転させるステップと、
前記搬送提供位置からパージ位置へ前記搬送提供トラックに沿って前記キャリッジを移動させるステップと、
前記検出されたメディアアイテムを前記キャリッジからパージビン内へ搬送するステップと
をさらに含む、請求項10に記載の顧客にメディアアイテムの束を搬送提供する方法。
【請求項12】
前記搬送提供位置からパージ位置へ前記搬送提供トラックに沿って前記キャリッジを移動させる前記ステップが、前記キャリッジを前記積載位置より先に移動させるステップを含む、請求項11に記載の顧客にメディアアイテムの束を搬送提供する方法。
【請求項13】
メディアアイテム搬送提供装置でキャリッジと併用するカムブロックであって、
前記カムブロックの縁部からカムトラックの入口へ延在するリードイントラックと、
前記カムトラックの入口からオフセット中心点へ延在し、上向きカム面と下向きカム面とを画定するカムトラックと、
前記カムブロックの一方の縁部から前記カムブロックの反対側の縁部へ延在するレッジと、
前記カムブロックをメディアアイテム搬送提供装置内のシャフト上に回転可能に取り付けることができるハブと
を確定するカムブロック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メディアアイテム搬送提供装置に関する。
【背景技術】
【0002】
メディアアイテム搬送提供装置は、メディアディスペンサの一部として使用される。メディアアイテム搬送提供装置は、メディアアイテムを顧客に搬送提供するディスペンサの一部である。一般的なタイプのメディアディスペンサとしてシート形式のメディアアイテム(例えば、紙幣、チケット、クーポンなど)の束(又はスタック)をディスペンスするシート束メディアディスペンサがある。
【0003】
束メディアアイテム搬送提供装置は通常、1つ又は複数のメディアアイテムピックユニットに結合されている。各々のメディアアイテムピックユニットは、内蔵のメディアアイテムカセット(又はホッパ)から個々のメディアアイテムを取得し、取得したメディアアイテムをメディアアイテム搬送提供装置へ搬送し、メディアアイテムを束に揃え(例えば、バリスティックスタッカ又はスタッキングホイールを用いて)、次にメディアアイテムの束を顧客に搬送提供する。顧客が搬送提供された束を取り除かない場合、搬送提供装置は束を引っ込めてパージビンへ搬送する。
【0004】
メディアディスペンサの一部は前面アクセス型である。これは、メディアアイテムが顧客にディスペンスされるのと同じメディアディスペンサの側にメディアアイテムカセットが挿入されるということを意味する。また、背面アクセス型のメディアディスペンサもある。これは、メディアアイテムが顧客にディスペンスされるのと逆のメディアディスペンサの側にメディアアイテムカセットが挿入されるということを意味する。
【0005】
改良型のメディアアイテム搬送提供装置を提供することが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明は、概して、改良型メディアアイテム搬送提供装置のための方法、システム、及び装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の「発明の概要」と下記の「発明を実施するための形態」で開示する主題に加えて、この項の以下の各節では、必要に応じて、本出願の手続中に使用することがある代替の請求項表現をさらに基礎固めすることが意図されている。本出願が認可された場合、いくつかの態様は本出願の手続中に追加された請求項に関連する可能性があり、別の態様は本出願の手続中に削除された請求項に関連する可能性があり、また別の態様は請求項に記載しなかった主題に関連する可能性がある。さらに、以下に詳細に説明するさまざまな態様は、他に別段の記載がない限り、互いに独立している。1つの態様に対応するいかなる請求項も、請求項に明記しない限り、残りの態様のいかなる要素又は特徴も組み込んでいると解釈すべきではない。
【0008】
第1の態様によれば、メディアアイテム搬送提供装置であって、自身に結合されたノーズを含むシャーシであって、(i)シャーシから遠位側の搬送提供端部と、(ii)シャーシから搬送提供端部へ延在する搬送提供トラックとを含むシャーシと、搬送提供トラック上に取り付けられ、それに沿って移動するキャリッジであって、リンク機構によってキャリッジ板に結合されたキャリッジ本体を含み、キャリッジ板がカムフォロワを含むキャリッジと、カムトラックを画定するカムブロックであって、カムフォロワと係合してメディアアイテムをキャリッジ板上に配置できる開位置と、キャリッジ板とキャリッジ本体との間にメディアアイテムをクランプする閉位置との間でキャリッジを移動させるように動作可能なカムブロックとを備えるメディアアイテム搬送提供装置が提供される。
【0009】
メディアアイテム搬送提供装置は、搬送提供トラックに平行で、カムフォロワを支持してキャリッジが開位置へ移動するのを防止するように構成されたトラックシェルフをさらに備え、トラックシェルフは、積載位置のカムブロックギャップをさらに画定し、カムブロックは、カムブロックギャップに整列して取り付けられる。
【0010】
そして、本発明の第1の態様においては、カムブロックは、カムブロックギャップに整列するように構成され、それを充填する寸法のレッジを画定しカムがレッジをトラックに平行になる位置まで回転させた時に、レッジがトラックシェルフを完結してカムフォロワがカムトラックに係合しないようにして、それによりキャリッジがキャリッジ板が閉位置と開位置との間で移動する位置である積載位置より先へ移動できるようにすることを特徴とする
【0011】
カムブロックは、カムトラックに隣接するリードイントラックをさらに画定してもよく、キャリッジを積載位置へ移動させる時に、カムブロックを回転させてリードイントラックをトラックシェルフに整列させてもよい。
【0012】
リードイントラックは搬送提供装置の取得端付近にあり、カムトラックは搬送提供装置の操作端付近から開始し、したがって背面アクセス型ディスペンサでは、キャリッジをリードイントラックに沿って移動させてメディアアイテムを顧客に搬送提供できるが、前面アクセス型ディスペンサでは、キャリッジを取得端の方へ移動させなければならず、キャリッジを移動させてメディアアイテムを顧客に搬送提供する前にカムブロックをレッジ位置まで回転させなければならない。
【0013】
カムブロックは、円、楕円、多角形、又はその他の任意の便利な形状を含んでもよい。
【0014】
カムブロックは、直接に又は1つ又は複数のギアを介してカムモータからの駆動力を受ける歯が付いた円周を含んでもよい。
【0015】
カムブロックは、リードイントラック付近で開始し、オフセット中心点で終了する湾曲カムトラックを画定してもよい。
【0016】
湾曲カムトラックは、(i)カムフォロワを下方に移動させてキャリッジを開く下向きカム面と、(ii)カムフォロワを上方に移動させる下向きカム面と反対側の上向きカム面とを画定してもよい。
【0017】
カムフォロワは、キャリッジ板から横向きに延在するアーム(ピン又はロッドなど)を含んでもよい。
【0018】
カムブロックは、シャフト上に取り付けられてもよく、カムブロックは、カムブロックシャフト上に取り付けられたターゲットを検知してカムブロックの回転位置を確認する位置センサを含んでもよい。
【0019】
第2の態様によれば、顧客にメディアアイテムの束を搬送提供する方法であって、キャリッジが積載位置に達するまで搬送提供トラックに沿ってキャリッジを移動させるステップと、キャリッジ上のカムフォロワをカムトラックに沿って第1の方向に案内してキャリッジを開き、キャリッジ本体から空間的に分離したキャリッジ板の上面を露出させるステップと、個別のメディアアイテムをキャリッジ板の上面へ搬送してメディアアイテムの束を形成するステップと、キャリッジ上のカムフォロワをカムトラックに沿って第1の方向と逆の第2の方向に案内してキャリッジを閉じて、キャリッジ板の上面とキャリッジ本体の下面との間にメディアアイテムの束を挟持するステップと、キャリッジが搬送提供位置に達するまで搬送提供トラックに沿ってキャリッジを移動させるステップと、メディアアイテムの束をキャリッジから顧客へ搬送するステップとを含む方法が提供される。
【0020】
上記方法は、メディアアイテムの束のうち1つ又は複数のメディアアイテムが顧客によって取り除かれていないことを検出するステップと、キャリッジが積載位置にある時にカムトラックに沿ってカムフォロワが案内されないように、カムトラックへのリードイントラックがレッジトラックに引き継がれるレッジ位置へカムトラックを回転させるステップと、搬送提供位置からパージ位置へ搬送提供トラックに沿ってキャリッジを移動させるステップと、検出されたメディアアイテムをキャリッジからパージ容器内へ搬送するステップとをさらに含んでもよい。
【0021】
搬送提供位置からパージ位置へ搬送提供トラックに沿ってキャリッジを移動させるステップは、キャリッジを積載位置より先に移動させるステップを含んでもよい。
【0022】
第3の態様によれば、メディアアイテム搬送提供装置でキャリッジと併用するカムブロックであって、カムブロックの縁部からカムトラックの入口へ延在するリードイントラックと、カムトラックの入口からオフセット中心点へ延在し、上向きカム面と下向きカム面とを画定するカムトラックと、カムブロックの一方の縁部からカムブロックの反対側の縁部へ延在するレッジと、カムブロックをメディアアイテム搬送提供装置内のシャフト上に回転可能に取り付けることができるハブとを確定するカムブロックが提供される。
【0023】
第4の態様によれば、メディアアイテム搬送提供装置であって、自身に結合されたノーズを含むシャーシであって、(i)シャーシから遠位側の搬送提供端部と、(ii)シャーシから搬送提供端部へ延在する搬送提供トラックとを含むシャーシと、搬送提供トラック上に取り付けられ、それに沿って移動するキャリッジであって、該キャリッジがリンク機構によってキャリッジ板に結合されたキャリッジ本体を有し、キャリッジ板がカムフォロワを含むキャリッジと、カムトラックを画定するカムブロックであって、カムフォロワと係合してメディアアイテムをキャリッジ板上に配置できる開位置と、キャリッジ板とキャリッジ本体との間にメディアアイテムをクランプする閉位置との間でキャリッジを移動させるように動作可能なカムブロックとを含むメディアアイテム搬送提供装置が提供される。
【0024】
メディアアイテム搬送提供装置は、搬送提供トラックに平行で、カムフォロワを支持してキャリッジが開位置へ移動するのを防止するように構成されたトラックシェルフをさらに備えてもよく、トラックシェルフは積載位置のカムブロックギャップを画定し、カムブロックはカムブロックギャップに整列して取り付けられている。
【0025】
カムブロックは、カムブロックギャップに整列するように構成され、それを充填する寸法のレッジを画定して、カムがレッジをトラックに平行になる位置まで回転させた時に、レッジがトラックシェルフを完結してカムフォロワがカムトラックに係合しないようにして、それによりキャリッジがキャリッジ板が閉位置と開位置との間で移動する位置である積載位置より先へ移動できるようにしてもよい。
【0026】
カムブロックはカムトラックに隣接するリードイントラックをさらに画定してもよく、キャリッジを積載位置へ移動させる時にカムブロックを回転させてリードイントラックをトラックシェルフに整列させることができる。
【0027】
いくつかの実施形態では、リードイントラックは搬送提供装置の取得端付近にあってもよく、カムトラックは搬送提供装置の操作端付近から開始してもよいため、背面アクセス型ディスペンサではキャリッジをリードイントラックに沿って移動させてメディアアイテムを顧客に搬送提供できるが、前面アクセス型ディスペンサではキャリッジを取得端の方へ移動させなければならず、キャリッジを移動させてメディアアイテムを顧客に搬送提供する前にカムブロックをレッジ位置まで回転させなければならない。
【0028】
カムブロックは、円、矩形、三角形などの任意の便利な形状を含んでもよい。円の形状は、円周がギアからの駆動力を受け、及び/又はギアに駆動力を提供する歯が付いた部分を含むことができるため、最も便利である。
【0029】
カムブロックは、リードイントラック付近で開始し、オフセット中心点で終了する湾曲カムトラックを画定してもよい。
【0030】
湾曲カムトラックは、(i)カムフォロワを下方に移動させてキャリッジを開く下向きカム面と、(ii)カムフォロワを上方に移動させる下向きカム面と反対側の上向きカム面とを画定してもよい。
【0031】
カムフォロワは、キャリッジ板から横向きに延在するピンに取り付けられたベアリングを含んでもよい。
【0032】
カムブロックはシャフト上に取り付けられてもよく、カムブロックはカムブロックシャフト上に取り付けられたターゲットを検知してカムブロックの回転位置を確認する位置センサを含んでもよい。
【0033】
第5の態様によれば、第1の態様のメディアアイテム搬送提供装置も結合されたピックユニットを含むメディアディスペンサが提供される。
【0034】
第6の態様によれば、第5の態様のメディアディスペンサを組み込むセルフサービス端末が提供される。セルフサービス端末は現金自動預払機であってもよい。
【0035】
第7の態様によれば、第2の態様の各ステップを実施するようにプログラミングされたコントローラが提供される。
【0036】
第8の態様によれば、前面アクセス型ディスペンサ又は背面アクセス型ディスペンサのいずれかと併用する反転可能なメディアアイテム搬送提供装置であって、中心トラックを含むシャーシと、シャーシに結合され、(i)シャーシから遠位側の搬送提供端部と、(ii)中心トラックに結合してシャーシから搬送提供端部へ連続するトラックを提供するように構成されたノーズトラックとを含むノーズと、ノーズと反対側のシャーシの端部に結合した着脱式トラックであって、中心トラックに結合してシャーシの一端からシャーシの反対側の端を通って搬送提供端部へ延在する搬送提供トラックを提供するように構成された着脱式トラックとを含むメディアアイテム搬送提供装置が提供される。
【0037】
この態様によって、シャーシのいずれかの端部にノーズを(またノーズと反対側のシャーシ端部に着脱式トラックを)有するようにメディアアイテム搬送提供装置を構成でき、メディアアイテム搬送提供装置を前面アクセス型ディスペンサ又は背面アクセス型ディスペンサ上で使用できる。
【0038】
メディアアイテム搬送提供装置は、搬送提供トラック上に取り付けられて、それに沿って移動するキャリッジであって、該キャリッジが、キャリッジ本体と、リンク機構によってキャリッジ本体に結合されたキャリッジ板とを含み、該キャリッジ板が、メディアアイテムをキャリッジ板上に配置できる開位置と、キャリッジ板とキャリッジ本体との間にメディアアイテムをクランプする閉位置との間で移動可能であるキャリッジをさらに備えてもよい。
【0039】
リンク機構は、キャリッジ本体が2つの位置(各々が互いに180度回転した位置)のいずれかに取り付けられ、キャリッジのメディアアイテム入口端が2つの位置の各々に対して同じ方向を向くようにリンク機構が再構成されるように数対のリンクアームを含んでもよい。これによって、前面アクセス型ディスペンサと背面アクセス型ディスペンサとに取り付けられるキャリッジに同一の部品を使用することができる。
【0040】
中心トラックは、ノーズと反対側のシャーシの端部(空き端部)からシャーシのノーズ端部まで延在してもよい。あるいは、メディアアイテム搬送提供装置は、空き端部でシャーシ上に取り付けられ、中心トラックに結合して整列してシャーシの空き端部からシャーシのノーズ端部を通ってノーズの搬送提供端部へ延在する搬送提供トラックを提供する着脱式トラックを備えてもよい。着脱式トラックは、シャーシに接触するノーズの部分と同様の寸法であってもよい。これによってシャーシのいずれかの端部にノーズを(またノーズと反対側のシャーシの端部に着脱式トラックを)有するようにメディアアイテム搬送提供装置を構成でき、そのためメディアアイテム搬送提供装置を前面アクセス型ディスペンサ又は背面アクセス型ディスペンサ上で使用できる。
【0041】
ノーズトラック、中心トラック、及び着脱式トラックは各々、キャリッジの一部を支持するように構成されたトラックシェルフ部を提供してもよい。キャリッジの一部は、(例えば、ピン、ロッド、又はその他のシャフトに取り付けられ、キャリッジ板から横方向に延在する軸受(滑り軸受又はボールベアリングなど)の形状の)カムフォロワを備えてもよい。
【0042】
キャリッジ本体は、キャリッジシャーシと、シャーシ上に取り付けられ、キャリッジ板側に弾力的に付勢された上板と、上板に取り付けられ、複数の伸縮式ベルトを含む上部搬送部と、シャーシ上に取り付けられ、上部搬送部を作動させる搬送モータとを備えてもよい。キャリッジ本体は、キャリッジを搬送提供トラックに沿って移動させるキャリッジモータをさらに備えてもよい。
【0043】
リンク機構は、キャリッジ板をキャリッジ板本体の一端(メディアアイテム入口端)に結合する複数のリンクアームと、キャリッジ板をキャリッジ板本体の反対側の端部(非入口端)に結合する複数のリンクアームとを備えてもよい。リンクアームによって、キャリッジ板は非入口端よりもメディアアイテム入口端でより多く下方に移動することができる。これを達成するために、リンク機構は、非入口端の1対のリンクアームよりも長い1対のリンクアームをメディアアイテム入口端に備えてもよい。あるいは、リンク機構によって、キャリッジ板は、キャリッジ板に平行に下方に移動できる。リンク機構は、四節リンク機能を実施することができる。
【0044】
複数対のリンクアームの代わりに、キャリッジ板は、メディアアイテム入口端の1対のリンクアームと非入口端の枢軸とによってキャリッジ板に結合できる。
【0045】
1対のリンクアームと単一の枢軸の代わりに複数対のリンクアームを使用する1つの利点は、複数対のリンクアームを用いてキャリッジ板をより小さい傾斜(又は水平)に維持できるということである。小さい傾斜によって、キャリッジ板が閉位置へ移動する時にキャリッジ板上に配置されたメディアアイテムが移動する可能性が小さくなる。さらに、複数対のリンクアームを用いることで、キャリッジ板をキャリッジ本体側のキャリッジ本体に全体として平行な位置に置き、それによって、キャリッジ板が閉位置に接近する時に非入口端の積み上げたメディアアイテムの束にかかる挟持力を低減できる。
【0046】
キャリッジ板は、カムフォロワと、複数の伸縮式ベルトを含む下部搬送部とをさらに備えてもよい。シャーシ上に取り付けられた搬送モータは、下部搬送部を作動させるように動作可能である。
【0047】
モータは、アンビリカルコネクタを介して制御盤(図示せず)に結合してもよい。制御盤(図示せず)は、シャーシ上に取り付けられてもよい。
【0048】
リンク機構は、キャリッジ本体が2つの位置(各々が互いに180度回転した位置)のいずれかに取り付けられ、同時にキャリッジのメディアアイテム入口端が2つの位置の各々に対して同じ方向を向くようにリンク機構が再構成されるようにリンクアームを備えてもよい。これによって、前面アクセス型ディスペンサと背面アクセス型ディスペンサに取り付けるキャリッジに同一の部品を使用することができる。
【0049】
メディアアイテム搬送提供装置は、キャリッジ板が開位置にある時にピックユニットから取得されたメディアアイテムを受け取り、取得されたメディアアイテムをキャリッジへ搬送するように構成されたメディアアイテム搬送ユニットをさらに備えてもよい。メディアアイテム搬送ユニットは、メディアアイテムが許容判定基準を満足しない場合に(例えば、メディアアイテムが許容限度より厚く、複数の重畳されたメディアアイテムが単一のアイテムとして搬送される場合、メディアアイテムが傾いている場合、メディアアイテムが破れている場合など)搬送されたメディアアイテムをパージ容器のパージコンパートメントへ振り分けるように動作してもよい。
【0050】
メディアアイテム搬送ユニットは、複数の重畳されたメディアアイテム、傾いたメディアアイテムなどを検出するメディアアイテム厚さセンサをさらに備えてもよい。メディアアイテム厚さセンサは、メディアアイテムの厚さを検出する光学的、機械的及び/又は磁気的システムを使用してもよい。
【0051】
メディアアイテム搬送ユニットは、出口ポートに位置し、それによって偏向されてメディアアイテムがメディアアイテム搬送ユニットから排出される時にメディアアイテムをキャリッジの入口端側へフリックする第1のメディアアイテムフリッカをさらに備えてもよい。メディアアイテム搬送ユニットは、また、出口ポートに位置しそれによって偏向されてメディアアイテムがメディアアイテム搬送ユニットから排出された後にメディアアイテムをキャリッジ板上へ下方にフリックする第2のメディアアイテムフリッカをさらに備えてもよい。第2のメディアアイテムフリッカは、第1のメディアアイテムフリッカと同軸に取り付けてもよい。第2のメディアアイテムフリッカは、第1のメディアアイテムフリッカがメディアアイテムが出口ポートから排出されると同時に出口ポートから離れる一方で、第2のメディアアイテムフリッカがメディアアイテムが出口ポートから排出された後で初めて出口ポートから離れるように、第1のメディアアイテムフリッカより長くてもよい。
【0052】
メディアアイテム搬送提供装置は、パージ容器をさらに備えてもよい。パージ容器は、メディアアイテム搬送ユニット内の振り分けゲートを用いて搬送中のメディアアイテムを方向転換できるようにメディアアイテム搬送ユニットの振り分け経路に整列したスロットを含む第1のコンパートメントを備えてもよい。
【0053】
パージ容器は、キャリッジ板内に積み上げられたメディアアイテムの束をキャリッジから排出して顧客に搬送提供することなく第2のコンパートメント内に落下させる搬送提供トラックを横断するスロットを含む第2のコンパートメントをさらに備えてもよい。
【0054】
パージ容器は、顧客に搬送提供されたメディアアイテムの束をキャリッジから排出して第3のコンパートメント内に落下させる搬送提供トラックを横断するスロットを含む第3のコンパートメントをさらに備えてもよい。
【0055】
メディアアイテムは、紙幣、チケット、クーポンなどを含んでもよい。
【0056】
説明を分かりやすく簡潔にするために、上記の態様で提供された要素はそのすべての組合せを明示しているわけではない。それにもかかわらず、技術的に不可能でない限り、又はその逆の内容が明示されていない限り、1つの態様を指すコンシストリクローズ(consistory clause)は、それらのコンシストリクローズが関連する可能性があるすべての他の態様のオプションの特徴として準用されることを当業者であれば直接かつ明確に認識することができるであろう。
【0057】
上記及びその他の態様は、添付の図面を参照しながら以下の具体的な説明を読むことで明らかになるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0058】
図1】本発明の一実施形態による背面アクセス型メディアアイテム搬送提供装置の簡略化した概略図である。
図2】3つの異なる動作位置にある図1のメディアアイテム搬送提供装置の一部(カムブロック)を示す図である。
図3A】4つの異なる位置にある図1のメディアアイテム搬送提供装置の別の部分(搬送提供トラック、カムブロック及びキャリッジ)を示す図である。
図3B】4つの異なる位置にある図1のメディアアイテム搬送提供装置の別の部分(搬送提供トラック、カムブロック及びキャリッジ)を示す図である。
図3C】4つの異なる位置にある図1のメディアアイテム搬送提供装置の別の部分(搬送提供トラック、カムブロック及びキャリッジ)を示す図である。
図3D】4つの異なる位置にある図1のメディアアイテム搬送提供装置の別の部分(搬送提供トラック、カムブロック及びキャリッジ)を示す図である。
図3E】カムブロック(レッジ位置)と搬送提供トラックの一部を示す図である。
図4】開位置にある図1のメディアアイテム搬送提供装置の一部(キャリッジ)の斜視図である。
図5】閉位置にある図4のキャリッジと図1のメディアアイテム搬送提供装置の別の部分(位置合わせデバイス)の側面図である。
図6図5のキャリッジ(閉位置)と位置合わせデバイスの斜視図である。
図7図5のキャリッジ(開位置)と位置合わせデバイスの側面図である。
図8図5のキャリッジ(開位置で位置合わせデバイスと係合状態)と位置合わせデバイスの斜視図である。
図9】メディアアイテムの束を作成するのに使用する図1のメディアアイテム搬送提供装置の上記部分(キャリッジ、カムブロック、位置合わせデバイス、及びメディアアイテム搬送ユニット)の斜視図である。
図10図1のメディアアイテム搬送提供装置の側面図である。
図11】本発明の別の実施形態による前面アクセス型メディアアイテム搬送提供装置の簡略化した概略図である。
図12】閉位置にある図11のメディアアイテム搬送提供装置の一部(キャリッジ)の上部斜視図である。
図13】閉位置にある図12のキャリッジの斜視図である。
図14】開位置にある図12のキャリッジの左側面図である。
図15】開位置にある図12のキャリッジの右側面図である。
図16】開位置にある図12のキャリッジの前面及び一側面の図である。
図17】開位置にある図12のキャリッジの背面及び一側面の図である。
図18】開位置にある図12のキャリッジの背面図である。
【0059】
提供された図面のいくつかは、実際の物理的な実施形態を生成できるコンピュータ図面に基づいていることを理解されたい。したがって、これらの図面のいくつかはこれらの実施形態の理解に必須ではない込み入った詳細内容を収めているが、当業者には有益な情報を伝える。したがって、図面に示すすべての部分を具体的に参照しているわけではない。さらに、図を見やすくし、多数の引き出し線を図面に詰め込むことを回避するために、すべての図面で全参照番号を示しているわけではない。さらに、いくつかの図では特徴を一部削除してさらに見すやさを高めている。
【発明を実施するための形態】
【0060】
まず図1を参照する。図1は、本発明の一実施形態によるメディアアイテム搬送提供装置10の(紙幣搬送提供装置の形態の)簡略化した概略図である。
【0061】
紙幣搬送提供装置10は、シャーシ12と、着脱式ノーズ14と、ディスペンサ(図示せず)のピックユニット(図示せず)に結合する紙幣搬送ユニット16と、マルチコンパートメントパージビン18と、キャリッジ20と、カムブロック22と、位置合わせデバイス24と、着脱式トラック26と、制御盤(点線28で示す)とを備える。
【0062】
シャーシ12は、その上部領域に位置する中心トラック30を含む。着脱式ノーズ14は、ノーズ14の結合端部40からノーズ14の搬送提供端部42へ延在し、中心トラック30に整列して連続トラックを提供するノーズトラック32を含む。着脱式トラック26は、シャーシ12の非搬送提供端部(本明細書では空き端部と呼ぶ)44に位置する。空き端部44は、ノーズ14が延在するシャーシ12の端部(本明細書ではノーズ端部46と呼ぶ)と反対側の端部である。結合端部40とノーズ端部46との間の距離は、着脱式トラック26の長さにほぼ等しい。
【0063】
着脱式トラック26、中心トラック30、及びノーズトラック32はすべて直線的に整列して結合し、組み合わさってシャーシ12の空き端部44からノーズ14の搬送提供端部42へ延在する搬送提供トラック(矢印48で示す)を提供する。キャリッジ20は、搬送提供トラック48の全長にわたって直線的に移動可能である。
【0064】
搬送提供トラック48は1つしか示していないが、搬送提供装置10は2つの着脱式トラック26と、2つの中心トラック30とを含み、着脱式ノーズ14は2つのノーズトラック32を含み、したがってシャーシ12は各々がシャーシ12の反対側に位置する2つの平行な搬送提供トラック48を含む。キャリッジ20は、両方の搬送提供トラック48に同時に係合する(キャリッジ20の対向する側の各々は別々の搬送提供トラック48に係合する)。しかし、図を見やすくするために図1では1つの搬送提供トラック48だけを示している。
【0065】
次に、3つの異なる動作位置のカムブロック22を示す3つの図である図2A図2Cを参照する。
【0066】
カムブロック22は、プラスチック製の円形ブロックを含む。カムブロック22は、制御盤28によって駆動されるカムモータ(図示せず)からの駆動力を受ける歯付きの円周60を含む。これによって、カムブロック22は、所望に応じて時計回り又は反時計回りに回転できる。
【0067】
カムブロック22は、湾曲したカムトラック62と、カムブロック22の円周上の1点から延在する直線のリードイントラック64と、カムブロック22の円周上の1点からカムブロック22の円周上の反対側の点へ延在するレッジトラック66(すなわち、レッジトラック66は弦である)とを画定する。湾曲したカムトラック62は、オフセット中心点68で終了する。湾曲したカムトラック62は、上向きカム表面62b(カムフォロワを上方に移動させる)と反対側の下向きカム表面62a(カムフォロワを下方に移動させる)を含む。
【0068】
4つの異なる位置にある搬送提供トラック48と、カムブロック22と、キャリッジ20とを示す図3A図3Dを参照する。4つの位置とは、搬送提供パージ位置(図3A)と;積載位置、キャリッジ閉(図3B)と;積載位置、キャリッジ開(図3C)と;搬送提供位置(図3D)である。
【0069】
図3A図3Dは、搬送提供トラック48(ノーズトラック32と、中心トラック30と、着脱式トラック26によって構成される)と、カムブロック22と、カムブロック位置センサ70と、それに沿って直線移動する搬送提供トラック48上に取り付けられたキャリッジ20とを示す。カムブロック位置センサ70は、カムブロック22が取り付けられたシャフト上に取り付けられた磁気ターゲットと協働する磁気センサを使用できる。これによって、カムブロック位置センサ70は、シャフトの回転位置を検知してカムブロック22の回転位置を推定することができる。
【0070】
図3Aは、紙幣の束をパージビン18へ搬送するのに使用される搬送提供パージ位置にあるキャリッジ20を示す。以下に詳述するように、この位置で紙幣の束が顧客に搬送提供されたが顧客によって取り出されなかった。
【0071】
図3Bは、キャリッジ20が閉位置にある積載位置のキャリッジ20を示す。図2Aに示すように、積載位置で、カムブロック22は、カムブロック22がカムシャフト位置に達するまでカムブロックモータ(図示せず)によって回転できる。
【0072】
図3Cは、キャリッジ20が開位置にある積載位置のキャリッジ20を示す。図2Bに示すように、キャリッジ20を閉位置から開位置へ移動させるために、カムブロック22はキャリッジ開位置に達するまで回転する。
【0073】
開位置のキャリッジ20の斜視図である図4を参照しながらキャリッジ20について詳述する。
【0074】
キャリッジ20は、紙幣をキャリッジ板74上に配置できる開位置と、キャリッジ板74とキャリッジ本体72との間に紙幣をクランプする閉位置との間で移動可能なキャリッジ本体72と、キャリッジ板74とを備える。
【0075】
キャリッジ本体72は、キャリッジシャーシ76と、上板78をキャリッジ板74側に弾力的に付勢させる4つのばね入りアーム80によってキャリッジシャーシ76に結合された上板78と、第1の紙幣センサ82と、第2の紙幣センサ83(図4には図示せず)と、第3の紙幣センサ84と、上板78に取り付けられ、複数の伸縮式ベルト92を含む上部搬送部(全体を矢印90で示す)と、キャリッジ20を搬送提供トラック48に沿って移動させ(モータ94a)、上部搬送部90を作動させる(モータ94b)キャリッジシャーシ76上に取り付けられた1対のモータ94a、94bとをさらに備える。
【0076】
キャリッジ本体72は、リンク機構(全体を矢印96で示す)によってキャリッジ板74に結合されている。リンク機構96は、キャリッジ板74をキャリッジ本体72の一端(メディアアイテム入口端)100に結合する1対のリンクアーム(入口リンクアーム)98と、キャリッジ板74をキャリッジ本体72の反対側の端部(非入口端)104に結合する1対のリンクアーム(非入口リンクアーム)102とを有する。
【0077】
入口リンクアーム98は、非入口リンクアーム102より長く、キャリッジが開いている時に入口端100は非入口端より確実に低くなる。
【0078】
紙幣センサ82、83、84の各々は、対応するプリズム86(図には2つのプリズムのうち1つだけを示す)に整列した光源を含む。第1及び第3の紙幣センサ82、84は、メディアアイテム入口端100又は非入口端104に存在するいかなる紙幣も検出できる。
【0079】
キャリッジ本体72は、また、各々の対がキャリッジシャーシ76の各々の側からキャリッジシャーシ76の他方の側へ延在するシャフト上に取り付けられた2対の駆動コグ106を含む。駆動コグ106は、搬送提供トラック48に係合し、1対のモータ94のうち1つ(キャリッジ移動モータ94a)によって回転して、キャリッジ移動モータ94aの回転方向に応じて、搬送提供トラック48に沿ってキャリッジ20を順方向(搬送提供端部42側)又は逆方向(空き端部44側)に移動させる。
【0080】
キャリッジ板74は、上面108と、下部搬送部110(1対の伸縮式無端ベルト112)と、下部搬送部(全体を矢印110で示す)から直立した1対の側壁114と、側壁114から横方向に延在して搬送提供トラック48に至るカムフォロワ(ピン上に取り付けられた滑り軸受の形状の)116とをさらに有する。実際には、キャリッジ板74の両側に1つづつ、2つのピン取付ベアリング116a、bがある。しかし、その片方(ピン取付ベアリング116a)だけがカムフォロワとして使用される。他方のピン取付ベアリング116bはカムフォロワとしては使用されないが、キャリッジ20が搬送提供トラック48に沿って移動する時に最も近い位置(積載位置以外)にキャリッジ板74を維持するために使用される。
【0081】
キャリッジ板74は、複数の凹部122を画定するメディアアイテム入口端100にバンパー120をさらに備える。
【0082】
キャリッジ20及び位置合わせデバイス24をさまざまな視点から見た図である図5図8を参照する。
【0083】
位置合わせデバイス24は、シャーシ12に結合されたブラケット130と、1対の旋回点134によってブラケット130に旋回可能に結合された支持板132と、フィンガ136を旋回点134側へ付勢させるばね(図示せず)によって支持板132に摺動可能に結合されたベース138に相互に結合された複数のフィンガ136とを備える。さらに、図5に示すように、旋回点134は、全体に水平の位置へ向けて支持板132を付勢させるばね(図示せず)を含む。
【0084】
フィンガ136は、キャリッジ板74の凹部122に整列するようにベース130上に配置されている(図8に最もよく示されている)。
【0085】
キャリッジ板74が開位置へ移動すると、フィンガ136がバンパーの凹部122に侵入することでバンパー120と組み合わされる(図8に最もよく示されている)。
【0086】
キャリッジ20上に駆動回路144が提供されてモータ94を制御する。駆動回路144は、柔軟なアンビリカルコネクタ(図示せず)によって制御盤28に接続されている。
【0087】
図3A図3D、及び図3Eを再度参照し、さらに位置合わせデバイス24と組み合わさり、紙幣搬送ユニット16に整列したキャリッジ20を示す図9及び図10を参照する。
【0088】
搬送提供トラック48は、搬送提供端部42からカムブロックギャップ152(図3E)以外の空き端部44へ延在するトラックシェルフ150(図10に最もよく示されている)を含む。
【0089】
さらに図2A図2C、及び図3Eを参照する。キャリッジ20が搬送提供トラック48に沿って移動すると、トラックシェルフ150はキャリッジ板74が開くのを防止する。しかし、トラックシェルフ150内にはギャップ(カムブロックギャップ152)がある。このギャップは、レッジトラック66をトラックシェルフ150に整列させることで充填できる。これは、図2Cに示すように、カムブロック22が直線トラック(又はレッジ)位置まで回転した時に実現する。レッジ位置は、カムブロック22を開始位置(図2A)から約55度反時計回りに回転させることで達成される。
【0090】
カムブロック22がレッジ位置にある時には(図2C)、キャリッジ板74を開かずにキャリッジ20を搬送提供端部42から空き端部44へ移動させることができる。
【0091】
しかし、カムブロック22を開始位置まで回転させた(図2Aに示すように)場合、トラックシェルフ150はリードイントラック64によって部分的にしか完了しない。キャリッジ20が空き端部44まで十分に移動すると、カムフォロワ116aは、カムトラック62内に落ち込む。しかし、キャリッジ板74の閉位置から開位置への移動はカムトラック62とリードイントラック64との結合部でキャリッジ20を停止させることでより正確に制御できるため、これは望ましくない。カムフォロワ116aがカムトラック62とリードイントラック64との結合部にある時には、キャリッジ20は積載位置にある。
【0092】
キャリッジ20は、積載位置にある時には、カムブロック22を約270度時計回りに回転させることで、カムフォロワ116aがキャリッジ20が開位置にあるオフセット中心点68に達するまでカムフォロワ116aを下方に移動させることができる(カムフォロワ116aの上面を押し下げる下向きカム面62aの作用によって)(図2B図3C図4及び図7図10に示すように)。
【0093】
キャリッジ板74は、キャリッジの開位置の方へ移動すると、バンパー120が位置合わせデバイス24と係合し、バンパーの凹部122をフィンガ136と組み合わせる。さらにキャリッジ板74を開位置へ移動させると、バンパー120は支持板132を下方に旋回し(図7に最もよく示されている)、ベース138を旋回点134から引き離す。これによって、フィンガ136は、紙幣を積み上げる際の壁となる位置合わせ縁部160(図8に破線で示す)を提供する。
【0094】
開位置のキャリッジ20に整列した紙幣搬送ユニット16と、バンパー120によって十分に偏向した位置合わせデバイス24とを示す図9及び図10を参照しながら、キャリッジ板74上の紙幣の積み上げについて説明する。
【0095】
紙幣搬送ユニット16は、協働する伸縮式無端ベルト及びローラ(個々に言及しない)を用いて主紙幣経路162(図10に矢印の線で示す)を画定する。
【0096】
紙幣搬送ユニット16は、搬送中の各々の従来の紙幣(銀行券)の厚さを検知し、搬送中の紙幣の傾きを検出する紙幣(銀行券)厚さセンサ(NTS)164を含む。また、紙幣搬送ユニット16は、振り分けゲート166(概略的に図1に最もよく示されている)を含む。振り分けゲート166は、作動して紙幣厚さセンサ試験(NTS164によって実施される)に不合格になった紙幣をすべて出口開口167を通してパージビン18の単一の紙幣パージコンパートメント168内に振り分ける。紙幣は、例えば、紙幣に許容できない大きさの穴が開いているために、又は紙幣が許容できないほど傾いているために紙幣厚さセンサ試験に不合格になることがある。
【0097】
紙幣が主搬送経路162から振り分けられない場合、主紙幣経路162の出口ポート170からキャリッジ板74上に排出される。紙幣搬送ユニット16は、紙幣が主紙幣経路162から排出される時にキャリッジ20のメディアアイテム入口端100の方へメディアアイテムをフリックする第1の紙幣フリッカ170(図では見えにくいが図10に示す)を出口ポート170に含む。第1の紙幣フリッカ172は比較的短く、紙幣搬送ユニット16から排出される紙幣に順方向加速を付与する。
【0098】
紙幣搬送ユニット16は、また、第1の紙幣フリッカ172よりも長い第2の紙幣フリッカ174を出口ポート170に含む。第2の紙幣フリッカ174は、紙幣が主紙幣経路162から排出された後にキャリッジ板74上へ紙幣を下方にフリックする。
【0099】
出口ポート170からキャリッジ板74上へ排出された各々の紙幣は、一部は紙幣に作用する重力の力によって、しかし大部分は排出された紙幣を位置合わせ縁部160の方へ付勢する第2の紙幣フリッカ174によって位置合わせ縁部160に下部の長い縁部を整列させている。
【0100】
所望の紙幣がすべてキャリッジ板74上へ排出されると、カムブロック22を回転させて開始位置まで戻すことができる(図2Aに示すように)。この処理では、カムブロックモータ(図示せず)がカムブロック22を約270度反時計回りに回転させる。これが実行されると、上向きカム表面62bがカムフォロワ116aがカムトラック62とリードイントラック64との結合部に達するまでカムフォロワ116aの下面を押し上げる。カムフォロワ116aが、上昇するにつれて、支持板132が全体に水平の位置(旋回点134内のばねのために)へ向けて戻り、ベース138はベースのばね(図示せず)によって旋回点の方へ付勢される。これによって、フィンガ136はキャリッジ板74を追跡し、閉位置から開位置へのキャリッジ板の経路(本明細書では閉鎖経路と呼ぶ)の一部(第1の部分)で位置合わせ縁部160をキャリッジ板74上の紙幣のスタックに接触させた状態に維持する。
【0101】
入口リンクアーム98及び非入口リンクアーム102は、閉鎖経路の第2の部分中にキャリッジ板74(及びその上の紙幣のスタック)が浅い角度で上板78に確実に接近するようにする寸法である。これによって、フィンガ136が紙幣のスタックに位置合わせ縁部160を提供することを停止した時に紙幣のスタックが確実にキャリッジ板74から滑落しないようにされる。フィンガ136が紙幣のスタックへの接触を停止するポイントは、閉鎖経路の第1の部分の終点と閉鎖経路の第2の部分の始点とを画定する。
【0102】
閉鎖経路の終点で、キャリッジ板74が上板78に接近すると、ばね入りのアーム80が、上板78によってスタックの最上部の紙幣の上面の大半又は全部に適当な力が確実に加わるようにする。これによって、紙幣のスタックの縁部が挟持されることが防止される。紙幣のスタックの縁部の挟持によって、スタックははみ出し、顧客にスタックを確実に搬送提供することがより困難になる。
【0103】
キャリッジ板74が閉位置に達すると、搬送提供装置10はいつでも紙幣の束(又はスタック)を顧客に搬送提供することができる。
【0104】
これは、キャリッジシャーシ76の各々の側の駆動コグ106を回転させてキャリッジ20を搬送提供位置へ移動させるキャリッジ移動モータ94aによって実施される(図3D)。キャリッジ20が搬送提供位置に達すると(位置センサ(図示せず)によって確認されるように)、ベルト搬送モータ94bが上部及び下部搬送部90、110を駆動して、顧客が取り出せるようにメディアアイテム入口端100から部分的に突き出るように紙幣の束(図3Dで束176として示す)を搬送する。
【0105】
顧客が紙幣の束を取り出した場合、それが第1の紙幣センサ82によって検出され(センサ82はメディアアイテム入口の紙幣の存在の検出を停止する)、キャリッジ移動モータ94aはキャリッジ20を積載位置まで戻す(図3Bに示す)。
【0106】
顧客が紙幣の束を取り出さない場合(又は束になった紙幣の一部だけを取り出した場合)、それが第1の紙幣センサ82によって検出される(センサ82はメディアアイテム入口の紙幣の検出を継続する)。ベルト搬送モータ94bは、紙幣の束176がキャリッジ20内に満杯になるように、上部及び下部搬送部90、110を逆方向に駆動して紙幣の束176を戻す。
【0107】
次に、制御盤28は、キャリッジ移動モータ94a及び駆動コグ106を用いて搬送提供パージ位置(図3A)へキャリッジ20を移動させる。
【0108】
これを実施するため、キャリッジ20は、空き端部44へ向けて積載位置の先まで搬送提供トラック48に沿って移動しなければならない。これを可能にするために、カムブロックギャップ152は閉じていなければならない。図2Cに示すように、これは、カムブロック22をレッジ位置まで回転させることで達成できる。これが実行されると、キャリッジ20は積載位置を過ぎて搬送提供パージ位置へ移動できる。
【0109】
搬送提供パージ位置で、上部及び下部搬送部90、110は、キャリッジ20から非入口端104を介してパージビン18の上面に画定された搬送提供束スロット182によりパージビン18の搬送提供束パージコンパートメント180(図1及び図10に最もよく示されている)内へ紙幣の束を搬送する。第3の紙幣センサ84は、紙幣の束176がいつキャリッジ20から排出されたかを検出する。これが起こると、紙幣の束176は搬送提供束スロット182に入り、キャリッジ20は制御盤28がキャリッジ移動モータ94aを駆動して駆動コグ106を回転させることで積載位置に戻る。
【0110】
この実施形態では、搬送提供パージ位置よりも空き端部44に近い第2のパージ位置(非搬送提供パージ位置)がある。これは、紙幣の束176が顧客に搬送提供されない(したがって、顧客の不正の可能性がない)パージ動作に使用される。非入口端がパージビン18の上面によって画定された非搬送提供束スロット184に整列した時にキャリッジ20は第2のパージ位置にある。非搬送提供束スロット184は、非搬送提供束パージコンパートメント186の上方に位置する。非搬送提供束パージコンパートメント186を使用する理由はいくつかある。例えば、一束の紙幣を完成するのに紙幣領域が足りない場合、スタック動作中に停電になった場合、単一の紙幣パージコンパートメント168が満杯で紙幣搬送ユニット16内の搬送された紙幣をパージビン18へ振り分ける必要がある場合、束を搬送提供する前に顧客が取引を取り消した場合、構成要素の1つに障害があって自動復旧工程を実施する必要がある場合、又は束を搬送提供する前に不正が試みられた場合がそれにあたる。
【0111】
顧客によって取り出されなかったためにパージされた紙幣の束、またキャッシュディスペンサの内部的な問題のためにパージされた紙幣の束のために別のコンパートメントを用意することで、顧客の不正による可能性がある(すなわち、束の紙幣の一部を取り出したが全部は取り出さない場合)取引を識別し調停することが容易になる。
【0112】
上記の搬送提供装置10によって制御された形で紙幣の束をキャリッジ20内に積載することができ、キャリッジ20を搬送提供位置(図3D)へ移動させて紙幣の束を顧客へ搬送提供でき、又は顧客が束の紙幣を全部取り出さない場合には、搬送提供パージ位置(図3A)へキャリッジ20を移動させることができる。
【0113】
本発明の別の実施形態による前面アクセス型紙幣搬送提供装置210の簡略化した概略図である図11を参照しながら以下に説明するように、上記の搬送提供装置10は、また、前面アクセス型ディスペンサで使用するように再構成できるという利点を有する。
【0114】
搬送提供装置210で使用する部品は、紙幣搬送提供装置10の部品とほぼすべてが同一である。
【0115】
搬送提供装置210内で、シャーシ12、紙幣搬送ユニット16、パージビン18、カムブロック22、位置合わせデバイス24、及び中心トラック30の位置は、搬送提供装置10内の対応する部品の位置と同じである。部品が同一であるため、同じ参照番号を用いている。
【0116】
搬送提供装置210と搬送提供装置10との相違点は、(i)搬送提供装置210内のキャリッジ220は、搬送提供装置10内のキャリッジ20とは異なった構成である、(ii)搬送提供装置210内の着脱式ノーズ214は、搬送提供装置10内の着脱式ノーズ14とは逆のシャーシ12の側に位置する、(iii)搬送提供装置210内の着脱式トラック226は、搬送提供装置10内の着脱式トラック26とは逆のシャーシ12の側に位置する、という点である。
【0117】
着脱式ノーズ214と着脱式トラック226は搬送提供装置10内の対応する部品と同一であり、それらの位置が交換されているだけであるため、本明細書では詳述しない。しかし、これは、搬送提供装置210の搬送提供端部242と空き端部244が搬送提供装置10の搬送提供端部42と空き端部44とは反対側にあるということを意味する。新しい搬送提供トラック248は、搬送提供トラック48と長さは同じであるが搬送提供トラック48と反対側から突き出ている。
【0118】
同一の部品を使用していても、キャリッジ220はキャリッジ20とは異なった構成である。
【0119】
異なった視点からのキャリッジ220の図である図12図18を参照する。キャリッジ板74は変化がないが、キャリッジ本体272は180度回転している(キャリッジ本体72に対して)。さらに、リンク機構は再構成されている。
【0120】
キャリッジ20では、入口リンクアーム98が非入口リンクアーム102よりも1対のモータ94から離れた位置に取り付けられている。これに対して、キャリッジ220では、入口リンクアーム298が非入口リンクアーム302よりも1対のモータ94に近い位置に取り付けられている(図14及び図15図7と比較して最もよく分かる)。これは、キャリッジ20内の入口端100が1対のモータ94の遠位側にあり、キャリッジ220内の入口端300が1対のモータ94の近位側にあることによる。
【0121】
リンクアーム98は、リンクアーム298と同一であり、唯一の相違点はそれらがキャリッジ本体72、272の異なる場所に接続されているということである。同様に、リンクアーム102は、リンクアーム302と同一であり、唯一の相違点は、リンクアーム102がキャリッジ本体72の1つの場所に結合し、リンクアーム302がキャリッジ本体272の別の場所に結合しているということである。
【0122】
伸縮式無端ベルト92を駆動するベルトのいくつかの引き回しのために、上部搬送部290は上部搬送部90とは多少異なった構成になっている。キャリッジ板74上には2つのピン取付ベアリング116a、bが提供されているが、片方のピン取付ベアリング116aだけがカムフォロワとして動作する。他方のピン取付ベアリング116bは、キャリッジ板74を閉位置に保持し、新しい搬送提供トラック248に沿ったキャリッジ220の搬送を容易にするために使用される。
【0123】
キャリッジ220の動作はキャリッジ20の動作と同じであるため、詳述しない。
【0124】
同一の部品を用いて前面アクセス型ディスペンサ又は背面アクセス型ディスペンサで使用する搬送提供装置を製造できることを理解されたい。さらに、着脱式ノーズと着脱式トラックの位置を交換し、キャリッジを再構成することで、搬送提供装置を前面アクセス型搬送提供装置から背面アクセス型搬送提供装置へ、またその逆に変換することもできる。
【0125】
本発明の範囲内で上記実施形態にさまざまな修正を加えることができる。例えば、別の実施形態では、クーポン、チケット、パス、引換券などの紙幣以外のメディアアイテムに搬送提供装置を使用してもよい。
【0126】
別の実施形態では、上記のリンク機構とは異なるリンク機構、例えば、摺動アームを使用してもよい。
【0127】
別の実施形態では、カムブロックは、上記の形状とは異なる形状、例えば、四角形を有していてもよい。
【0128】
別の実施形態では、搬送提供装置は、その間にキャリッジが取り付けられる1対の搬送提供トラックではなく、単一の搬送提供トラックを含んでいてもよい。
【0129】
上記実施形態では、キャリッジ板の両側にカムフォロワが提供されているので、180度回転した時もキャリッジを使用できる。しかし、別の実施形態では、1つの構成でしかキャリッジを使用しない場合、1つのカムフォロワだけを提供してもよい。そのようなカムフォロワは、カムブロックに最も近いキャリッジ板の側に取り付けられる。
【0130】
上記実施形態では、単一の紙幣パージコンパートメントが、壁を分割することで搬送提供束紙幣パージコンパートメント及び非搬送提供束パージコンパートメントから分離される。別の実施形態では、パージビンは、単一の紙幣パージ動作のための1つの入口スロットと両方の束紙幣パージ動作のための別のスロットとを有する単一領域を含んでいてもよい。
【0131】
別の実施形態では、必要な長さのノーズを使用できるように長さが異なる1組の着脱式ノーズを提供してもよい。これは、メディアアイテム搬送提供装置を異なるセルフサービス端末で使用する場合、またセルフサービス端末によってバンド上のディスペンサ開口とメディアディスペンサシャーシとの間の距離が異なる場合に有用である。
【0132】
本明細書に記載した方法ステップは、適宜、任意の好適な順序で、又は同時に実行してもよい。
【0133】
本明細書では、「備える」、「含む」、「組み込む」及び「有する」という用語は、限定されたリストではなく、1つ又は複数の要素又はステップの拡張可能なリストを記載するために使用される。そのような用語が使用される時には、リスト内に記載した要素又はステップはリストに追加できる他の要素又はステップを除外するものではない。
【0134】
文脈によって別の意味になる場合を除き、「ある」という用語はそれに続く少なくとも1つの要素、整数、ステップ、特徴、動作、又は構成要素を示すために使用されるが、追加の要素、整数、ステップ、特徴、動作、又は構成要素を除外するものではない。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18