【実施例】
【0024】
次に、本発明の実施例について説明する。ただし、本発明は、以下の実施例の内容に限定されない。
【0025】
1.化粧品組成物の作製用原料
1.1 チタンアルコキシド
チタンアルコキシドには、ゲレスト社製のテトラエトキシチタン(以後、「TTE」という)を用いた。
1.2 乳酸
乳酸には、東京化成工業株式会社製のL−乳酸(以後、「LA」という)を用いた。
1.3 乳酸エステル
乳酸エステルには、ISPジャパン株式会社製の乳酸ラウリル(以後、「LL」という)を用いた。
1.4 有機溶媒
和光純薬工業株式会社製の脱水エタノールを用いた。
1.5 触媒
TTEの縮合触媒には、上記LAを2.5mmol、東京化成工業株式会社製の2−アミノ2−メチル1−プロパノール(以後、「AMP」という)を2.5mmol、蒸留水を25mmmolおよび和光純薬工業株式会社製のエタノールを混合・調整して合計10mLとした触媒溶液を用いた。
【0026】
2.評価方法
2.1 親水性(水の吸着性)
石英ガラスを基板として各試料を製膜した後、当該膜上に水滴を供したときの接触角の大小により評価した。接触角が大きいほど水の吸着性が小さいものと評価した。接触角は、JIS R 3257に準じて、自動接触角計(協和界面科学株式会社製、型式:Drop Master 300)を用いて測定した。また、加温に伴う重量減少については、TG−DTA分析装置(株式会社リガク製、型式:TG8120)を用いて、室温から200℃まで加温して調べた。80℃までの重量減少を吸着水の減少に伴うものとした。
2.2 疎水性(水に対する安定性)
上記基板に試料を塗布して製膜した後、水に浸漬し、30分経過後に指で擦った際に水が濁るか否かによって、水に対する安定性を評価した。
2.3 紫外線・可視光線の吸収特性
紫外可視光吸収スペクトル測定装置(日立製作所株式会社製、型式:U−4100)を用いて、上記基板に製膜した各試料の紫外線・可視光線の吸収特性を調べた。
【0027】
3.実験
(実験例1)
容器に、25mmolのTTEと、50mmolのLLと、脱水エタノールとを入れて合計40mLとし、室温(25℃前後)にて168時間の攪拌を行った(配位工程)。当該攪拌を行うに際してマグネチックスターラを用いた。また、攪拌する回転数は、550rpmに設定した。次に、予め用意した触媒溶液10mLを容器内に滴下し、引き続き、室温(25℃前後)にて168時間の攪拌を行った(ゾル化工程)。最後に、ロータリーエバポレータ(ビュッヒ社製、型式:R−215)を用いて減圧蒸留を行い、生成物の濃縮を行った(濃縮工程)。
【0028】
(実験例2)
配位工程において、LLを25mmol、LAを25mmolとする他、実験例1と同じ条件にて試料を作製した。
【0029】
(実験例3)
配位工程において、LLを16.75mmol、LAを33.25mmolとする他、実験例1と同じ条件にて試料を作製した。
【0030】
(実験例4)
配位工程において、LLを12.5mmol、LAを37.5mmolとする他、実験例1と同じ条件にて試料を作製した。
【0031】
(実験例5)
配位工程において、LLを10mmol、LAを40mmolとする他、実験例1と同じ条件にて試料を作製した。
【0032】
(実験例6)
配位工程において、LLを6.25mmol、LAを43.75mmolとする他、実験例1と同じ条件にて試料を作製した。
【0033】
(実験例7)
配位工程において、LLを5mmol、LAを45mmolとする他、実験例1と同じ条件にて試料を作製した。
【0034】
(実験例8)
配位工程において、LLを2.5mmol、LAを47.5mmolとする他、実験例1と同じ条件にて試料を作製した。
【0035】
4.評価結果
表1に、実験例1〜8にて作製した各試料を製膜した後の接触角および密着性を示す。
【0036】
【表1】
【0037】
表1に示すように、LL:LA=1:2およびそれよりLAのモル比の大きい実験例3〜8にて作製した6種の試料は、接触角が70度以下となり、水の吸着特性が良好であった。一方、LL:LA=1:3およびそれよりLAのモル比の小さな実験例1〜4にて作製した4種の試料は、水中での密着性が良好であった。表1の結果から、実験例3,4により作製した試料は、適度な親水性と疎水性とを兼ね備えたものと考えられる。
【0038】
図1は、実験例1,2にて作製した各試料の紫外・可視光吸収スペクトルを示す。
【0039】
両試料の紫外・可視光吸収スペクトルは、ほとんど同じ挙動であった。また、他の6種類の挙動も調べたが、LL/LA比に依らず、ほぼ同じ吸収スペクトルが得られた。
【0040】
図2および
図3は、実験例1,2,4,5にて作製した各試料のTG曲線を示す。
図2の(A)は、実験例1(LL/Ti=2,LA/Ti=0)の試料のTG曲線を、
図2の(B)は、実験例2(LL/Ti=1,LA/Ti=1)の試料のTG曲線を、それぞれ示す。また、
図3の(A)は、実験例4(LL/Ti=0.5,LA/Ti=1.5)の試料のTG曲線を、
図3の(B)は、実験例5(LL/Ti=0.4,LA/Ti=1.6)の試料のTG曲線を、それぞれ示す。
【0041】
表2は、実験例1,2,4,5にて作製した各試料の80℃までの重量減少を比較して示す。
【0042】
【表2】
【0043】
図2、
図3および表2に示すように、LAのモル比の増大に伴い、重量減少も大きくなる傾向が認められた。80℃までの重量減少は、吸着水に起因するものであると考えられることから、乳酸の成分が多いほど、水の吸着量が多いと考えられる。