特許第5871318号(P5871318)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社イズミフードマシナリの特許一覧

<>
  • 特許5871318-冷菓製造装置 図000003
  • 特許5871318-冷菓製造装置 図000004
  • 特許5871318-冷菓製造装置 図000005
  • 特許5871318-冷菓製造装置 図000006
  • 特許5871318-冷菓製造装置 図000007
  • 特許5871318-冷菓製造装置 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5871318
(24)【登録日】2016年1月22日
(45)【発行日】2016年3月1日
(54)【発明の名称】冷菓製造装置
(51)【国際特許分類】
   A23G 9/04 20060101AFI20160216BHJP
【FI】
   A23G9/04
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-71785(P2012-71785)
(22)【出願日】2012年3月27日
(65)【公開番号】特開2013-201917(P2013-201917A)
(43)【公開日】2013年10月7日
【審査請求日】2014年5月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000127237
【氏名又は名称】株式会社イズミフードマシナリ
(74)【代理人】
【識別番号】100102211
【弁理士】
【氏名又は名称】森 治
(72)【発明者】
【氏名】生野 佑輔
(72)【発明者】
【氏名】柳川 治充
【審査官】 鳥居 敬司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−067198(JP,A)
【文献】 実開平01−127487(JP,U)
【文献】 実開平04−120489(JP,U)
【文献】 実開昭62−060191(JP,U)
【文献】 特開2013−146223(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23G 9/00−9/52
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
WPIDS/WPIX(STN)
FROSTI(STN)
FSTA(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブライン槽内に貯留されたブラインに、冷却されたブラインを供給するブライン噴出口を備えたブライン槽の槽内を、該ブライン槽の長手方向に冷菓用原料を充填したモールドを移動させることによって前記冷菓用原料を凍結させるようにした冷菓製造装置において、モールドの移動方向に対して直交するブライン槽の幅方向に亘って開口したスリット状のブライン噴出口を、ブライン槽の長手方向に間隔をあけて複数、かつ、ブラインの噴出方向が、ブライン槽のモールドの入側と出側とで異なる方向の斜め上向きとなるように形成し、モールドの前面及び背面にブラインが当たるようにしたことを特徴とする冷菓製造装置。
【請求項2】
前記ブライン噴出口を、ブラインの噴出方向が、ブライン槽の中央部で、鉛直上向きとなるように形成したことを特徴とする請求項1記載の冷菓製造装置。
【請求項3】
前記ブライン噴出口を、モールドの下端から10mm〜100mmの間隔をあけて形成するようにしたことを特徴とする請求項1記載の冷菓製造装置。
【請求項4】
前記ブライン噴出口を、モールドの移動方向に対して直交するブライン槽の幅方向に亘って、かつ、ブライン槽の長手方向に間隔をあけて複数配設したブライン供給管にそれぞれ形成したことを特徴とする請求項1、2記載の冷菓製造装置。
【請求項5】
ブライン槽の面積1m当たりのブライン噴出口から供給するブラインの流量を150L/min〜350L/min、ブラインの噴出速度を0.4m/sec〜1.5m/secとしたことを特徴とする請求項1、2、3記載の冷菓製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷菓製造装置に関し、特に、冷菓原料を充填したモールドをブライン槽内を移動させながらブライン槽内のブラインによって冷菓原料を冷却することによって冷菓を製造するようにした冷菓製造装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、冷菓用原料を充填したモールドをブライン槽内を移動させながら冷菓用原料を凍結するようにした冷菓製造装置が汎用されている。
そして、ブライン槽内に貯留されたブラインに、ブライン槽に配設されたブライン供給管から、このブライン供給管に形成した多数の丸孔からなるブライン噴出口を介して冷却したブラインを供給するようにした冷菓製造装置が提案され、実用化されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ところで、この冷菓製造装置において、冷却効率を向上させるためには、ブラインからモールド内の冷菓原料に熱が伝わる速度(熱移動量Q)を上げる必要がある。
【0004】
この熱移動量Qは、熱を受ける固体(モールド)の表面積及び固体(モールド)と媒質(ブライン)の温度差に比例し、以下の式で表される。
Q=h・A・(Tw−Ta)
h=Nu・k/L
Nu=0.664・Re1/2・Pr1/3
ここで、h:比例定数(熱伝導係数)(W/(m・K))
A:表面積(m
Tw:モールドの表面温度(K)
Ta:ブライン温度(K)
Nu:ヌセルト数
k:流体の熱伝導率(W/(m・K))
L:流れ方向の板長(m)
Re:レイノルズ数(=U・L/ν)(U:流速、ν:動粘性係数)
Pr:プラントル数(=η・Cp/k)(η:粘性係数、Cp:比熱)
である。
上記の式より、熱移動量Qを向上させるためには、固定値である表面積A並びに温度Tw及びTa以外の熱伝導係数hを大きくする必要がある。
そして、熱伝導係数hを決定するパラメータのうち、使用するブラインを変更しない(動粘性係数νや粘性係数ηが変わらない)場合には、変動させることができるパラメータは流速Uとなる。
したがって、ブラインからモールド内の冷菓原料に熱が伝わる速度(熱移動量Q)を上げるためには、モールドに当たるブラインの流速Uを上げる必要がある。
【0005】
ところで、モールドに当たるブラインの流速Uを上げるには、例えば、ブライン供給管からブライン噴出口を介して供給する冷却したブラインの流量(循環量)を増やすことが考えられる。
しかしながら、単に、ブラインの流量を増やす方法では、本件出願人が行った実験では、例えば、ブラインの流量が100L/minの場合に、常温で供給されたモールド内の冷菓原料の温度を−16℃に到達させるために必要となる凍結時間が、約550秒であるブライン噴出口を備えたブライン槽の場合、この凍結時間を約400秒にまで短縮するためにはブラインの流量を5倍以上にする必要があり、設備が大型化するとともに、エネルギ消費が大きくなるという問題があった。
また、この場合、ブラインの流量が大幅に増大することで、ブライン供給管の隣接するブライン噴出口を介して供給されたブライン同士が干渉し合うことによって、ブラインの流れが阻害され、幅方向に並ぶ複数の袋部を備えたモールドの冷却温度に温度ムラが発生しやすくなるという問題があった。
【0006】
また、ブラインは、粘度が高いため、多数の丸孔からなるブライン噴出口での初速度をモールドの近傍まで維持することは困難であり、これに対処するため、ブライン噴出口をモールドに近接して配設した場合、ブラインの流れに偏りが生じ、幅方向に並ぶ複数の袋部を備えたモールドの冷却温度に温度ムラが発生しやすくなるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2011−67198号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記従来の冷菓製造装置の有する問題点に鑑み、モールドの表面に対して、流速の大きなブラインが均一に当たることによって、ブライン槽の幅方向に並ぶ複数の袋部を備えたモールドの冷却温度に温度ムラが発生することを防止することができるとともに、冷却効率の高い冷菓製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の冷菓製造装置は、ブライン槽内に貯留されたブラインに、冷却されたブラインを供給するブライン噴出口を備えたブライン槽の槽内を、該ブライン槽の長手方向に冷菓用原料を充填したモールドを移動させることによって前記冷菓用原料を凍結させるようにした冷菓製造装置において、モールドの移動方向に対して直交するブライン槽の幅方向に亘って開口したスリット状のブライン噴出口を、ブライン槽の長手方向に間隔をあけて複数、かつ、ブラインの噴出方向が、ブライン槽のモールドの入側と出側とで異なる方向の斜め上向きとなるように形成し、モールドの前面及び背面にブラインが当たるようにしたことを特徴とする。
【0010】
この場合において、前記ブライン噴出口を、ブラインの噴出方向が、ブライン槽の中央部で、鉛直上向きとなるように形成することができる。
【0011】
また、前記ブライン噴出口を、モールドの下端から10mm〜100mmの間隔をあけて形成することができる。
【0012】
また、前記ブライン噴出口を、モールドの移動方向に対して直交するブライン槽の幅方向に亘って、かつ、ブライン槽の長手方向に間隔をあけて複数配設したブライン供給管にそれぞれ形成することができる。
【0013】
また、ブライン槽の面積1m当たりのブライン噴出口から供給するブラインの流量を150L/min〜350L/min、ブラインの噴出速度を0.4m/sec〜1.5m/secとすることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の冷菓製造装置によれば、モールドの移動方向に対して直交するブライン槽の幅方向に亘って開口したスリット状のブライン噴出口を、ブライン槽の長手方向に間隔をあけて複数形成することにより、ブライン噴出口から噴出されるブラインは、スリット状のブライン噴出口から面状に噴出されることとなるため、ブライン噴出口をブライン供給管に形成した多数の丸孔で構成した従来の冷菓製造装置のようにブライン供給管の隣接するブライン噴出口を介して供給されたブライン同士が干渉し合うことがなく、また、ブライン槽内に貯留されたブラインから受ける抵抗が小さいため、ブライン噴出口での初速度をモールドの近傍まで維持しやすく、さらに、ブラインの流れに偏りが生じにくいことと相俟って、ブライン槽の幅方向に並ぶ複数の袋部を備えたモールドの冷却温度に温度ムラが発生することを防止することができるとともに、冷却効率を向上させることができる。
そして、ブライン噴出口を、ブラインの噴出方向が、ブライン槽のモールドの入側と出側とで異なる方向の斜め上向きとなるように形成することにより、モールドの前面及び背面に対して、ブラインを均一に当てることができ、ブライン槽の幅方向に並ぶ複数の袋部を備えたモールドの冷却温度に温度ムラが発生することを防止することができるとともに、冷却効率を向上させることができる。
【0015】
また、ブライン噴出口を、ブラインの噴出方向が、ブライン槽の中央部で、鉛直上向きとなるように形成することにより、ブライン噴出口からモールドまでの最短距離で噴出されたブラインがモールドに当たり、ブラインの噴出速度の低下を最小限に抑え、冷却効率を向上させることができる。
【0016】
また、ブライン噴出口を、モールドの下端から10mm〜100mmの間隔をあけて形成することにより、ブライン噴出速度の低下を最小限に抑え、冷却効率を向上させることができる。
【0017】
また、ブライン噴出口を、モールドの移動方向に対して直交するブライン槽の幅方向に亘って、かつ、ブライン槽の長手方向に間隔をあけて複数配設したブライン供給管にそれぞれ形成することにより、ブライン噴出口を簡易に形成することができるとともに、各ブライン噴出口への冷却されたブラインの供給量の調整を簡易に行うことができる。
【0018】
また、ブライン槽の面積1m当たりのブライン噴出口から供給するブラインの流量を150L/min〜350L/min、ブラインの噴出速度を0.4m/sec〜1.5m/secとすることにより、モールド内に充填した常温の冷菓原料を短時間で製品となる所望の温度(例えば、約−16℃)まで冷却することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の冷菓製造装置の一実施例を示す一部切り欠きの全体概略図である。
図2図1のX−X断面図である。
図3図2のY−Y断面図である。
図4】同冷菓製造装置のブライン噴出口を説明する斜視図である。
図5】同冷菓製造装置のモールドの斜視図である。
図6】同冷菓製造装置及び従来の冷菓製造装置の冷却テストの結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の冷菓製造装置の実施の形態を、図面に基づいて説明する。
【0021】
図1図5に、本発明の冷菓製造装置の一実施例を示す。
この冷菓製造装置1は、ブライン槽2内に貯留されたブラインに、ブライン冷却手段5によって冷却されたブラインを供給するブライン噴出口3を備えたブライン槽2と、板状部材40に冷菓の形状をした複数の袋部41を設けた冷菓原料を充填するモールド4(図5参照。)と、このモールド4を架け渡すようにして取り付けた無端状の搬送手段6と、ブライン槽2の手前でモールド4の袋部41に冷菓原料を充填する原料充填手段7と、モールド4がブライン槽2から出たところでモールド4の袋部41から凍結した冷菓を取り出す冷菓取出手段8とを備えるようにしている。
また、冷菓製造装置1には、ブライン槽2を移動する途中で部分的に凍結した冷菓原料にスティックを挿入するスティックインサータ(図示省略)を配備することができる。
【0022】
ブライン槽2は、ブライン冷却手段5によって冷却されたブラインが、ブライン噴出口3から供給、噴出されることで、ブライン槽2内でモールド4を冷却するとともに、ブライン槽2内の温度が上昇したブラインを、堰20から溢れ出させるようにし、ブライン冷却手段5に環流させるようにしている。
そして、ブライン冷却手段5に環流したブラインは、冷却され、再びブライン噴出口3からブライン槽2に供給、噴出されるように構成されている。
これにより、ブライン槽2内のブラインは、常に所定温度(例えば、−35℃)を保ち、モールド4の袋部41内の冷菓原料を冷却、凍結することができるようにしている。
【0023】
ブライン槽2に形成されるブライン噴出口3は、モールド4の移動方向に対して直交するブライン槽2の幅方向に亘って開口したスリット状とし、ブライン槽2の長手方向に間隔をあけて複数形成するようにしている。
この場合、スリット状のブライン噴出口3は、ブライン槽2の幅方向の寸法(対向する堰20間の寸法)の、好ましくは、80%以上、より好ましくは、90%以上をカバーするように形成する。
これにより、ブライン噴出口3から噴出されるブラインは、スリット状のブライン噴出口3から面状に噴出されることとなるため、ブライン噴出口をブライン供給管に形成した多数の丸孔で構成した従来の冷菓製造装置のようにブライン供給管の隣接するブライン噴出口を介して供給されたブライン同士が干渉し合うことがなく、また、ブライン槽2内に貯留されたブラインから受ける抵抗が小さいため、ブライン噴出口3での初速度をモールド4の近傍まで維持しやすく、さらに、ブラインの流れに偏りが生じにくいことと相俟って、ブライン槽2の幅方向に並ぶ複数の袋部41を備えたモールド4の冷却温度に温度ムラが発生することを防止することができるとともに、冷却効率を向上させることができる。
【0024】
ブライン噴出口3は、ブライン槽2を移動するモールド4の下方で、モールド4の移動方向に対して直交するブライン槽2の幅方向に亘って、かつ、図4に示すように、ブライン槽2の長手方向に間隔Pをあけて複数配設したブライン供給管30に形成するようにしている。
これにより、ブライン噴出口3を簡易に形成することができるとともに、各ブライン噴出口3への冷却されたブラインの供給量の調整を簡易に行うことができる。
この場合、ブライン供給管30を配設する長手方向の間隔Pは、等間隔に、例えば、100mm〜400mmの間隔、好ましくは200mm〜300mmの間隔(本実施例においては、約250mmの間隔)で配設するようにしている。
このように、ブライン供給管30を長手方向に間隔Pをあけて配設することにより、隣接するブライン噴出口3を介して供給されたブライン同士が干渉し合うことがなく、移動方向に対して50〜70mm(本実施例においては、63.5mm)の等間隔に並ぶモールド4に対して、ブラインを均一に当てることができ、ブライン槽2の幅方向に並ぶ複数の袋部41を備えたモールド4の冷却温度に温度ムラが発生することを防止することができるとともに、冷却効率を向上させることができる。
なお、ブライン供給管30を配設する長手方向の間隔P、すなわち、ブライン噴出口3の間隔は、ブライン槽2の長手方向の全長に亘って等間隔とするほか、例えば、ブライン槽2のモールド4の入側では狭く、出側では広く設定したり、その逆に設定することで、モールド4の袋部41に充填した冷菓原料の冷却状態を調整するようにすることができる。
【0025】
ブライン噴出口3のスリット幅aは、ブラインの所定の初速度が得られ、かつ、粘度の高いブラインを円滑に噴出させることができるように、例えば、1mm〜3mm(本実施例においては、約2mm程度)に形成するようにしている。
また、スリット長さbは、ブライン供給管30の略全長に亘る1本の連続したスリットとすることも可能であるが、本実施例においては、強度を保持するために、部分的に接続部を設けた断続的な形状に形成するようにしている。
【0026】
ブライン供給管30は、ブライン供給母管31を介して、ブライン冷却手段5に接続するようにしている。
より具体的には、ブライン槽2の長手方向の略全長に亘って配設した2本のブライン供給母管31に形成したブライン供給口31aと連結する連結口30aをブライン供給管30に形成し、ブライン供給管30を2本のブライン供給母管31に架け渡すように水平に配設するようにしている。
なお、ブライン供給管30は、水平に配設するほか、例えば、中央部を高くした山形となるように配設することもできる。
【0027】
ブライン噴出口3は、ブライン供給管30に、ブラインの噴出方向が鉛直上向きとなるように形成するようにしている。
これにより、ブライン噴出口3からモールド4までの最短距離で噴出されたブラインがモールド4に当たり、ブラインの噴出速度の低下を最小限に抑え、冷却効率を向上させることができる。
【0028】
また、ブライン噴出口3は、ブライン供給管30に、ブラインの噴出方向が鉛直上向きとなるように形成するほか、図3の二点鎖線で示すように、ブラインの噴出方向が斜め上向きとなるように形成することもできる。
斜め上向きに形成する場合の角度α(図3に示す鉛直上向きを0度としたときの時計回り及び反時計回りの角度α)は、ブライン噴出口3からモールド4までの距離、ブラインの粘性等の諸条件に応じて任意に設定することができるが、ブライン噴出口3から噴出されたブラインがモールド4に到達するまでの距離を考慮して、通常、45度以下、好ましくは、30度以下、より好ましくは、5〜15度程度の角度に設定するようにする。
これにより、モールド4の前面又は背面に対して、ブラインを均一に当てることができ、ブライン槽2の幅方向に並ぶ複数の袋部41を備えたモールド4の冷却温度に温度ムラが発生することを防止することができるとともに、冷却効率を向上させることができる。
ここで、ブラインの噴出方向は、ブライン槽2の全長に亘って同じ方向とする(参考例)ほか、ブライン槽2のモールド4の入側(図1における右側)と出側(図1における左側)とで異なるようにすることができる。例えば、ブライン槽2の入側では、モールド4の移動方向に向け、モールド4の背面側にブラインが当たるようにし、ブライン槽2の中央部近傍で鉛直上向きとなるようにするとともに、ブライン槽2の出側では、モールド4の移動方向と逆方向に向け、モールド4の前面側にブラインが当たるようにすることができる。
【0029】
また、ブライン噴出口3は、モールド4の下端から10mm〜100mmの間隔Lをあけて形成するようにしている。
この間隔Lは、ブラインが、スリット状に形成したブライン噴出口3から面状に噴出されるため、モールド4に可及的に近付けることもでき、好ましくは、10mm〜70mm、さらに好ましくは、10mm〜50mmとすることにより、ブラインの速度の低下を最小限に抑え、冷却効率を向上させることができる。
また、冷菓の形状に合わせて変更するモールド4に合わせて、間隔Lを変更することができるように、ブライン噴出口3を上下に移動させる駆動機構(図示省略)を設けることができる。
そして、駆動機構を備えることで、間隔Lを、冷菓製造装置1の運転中に作業者が最適と思われる値に設定することもできる。
【0030】
次に、上記冷菓製造装置1を使用して冷菓を製造した場合(本件)と、ブライン噴出口をブライン供給管に形成した多数の丸孔で構成した従来の冷菓製造装置を使用して冷菓を製造した場合(従来)とを比較した冷却テスト(ブライン温度が−35℃±0.5℃で、常温の冷菓原料を−16℃まで冷却する時間(以下、「凍結時間」という。))を行った結果を、図6に基づいて説明する。
【0031】
ここで、モールド4は、搬送手段6によってブライン槽2内を間歇的に移動するようにしており、冷却テストにおいては、16.7サイクル/分及び25サイクル/分で行った。
また、実験に使用したブライン槽2は、長手方向の寸法が1850mm、幅方向の寸法が490mm(表面積約1m)のものを使用した。
なお、ブライン槽2の長手方向の寸法の関係から、モールド4を、ブライン槽2の長手方向を往復移動させて凍結時間を計測した。
【0032】
図6に示すように、従来のブライン噴出口を備えた冷菓製造装置における、ブラインの流量100L/minでモールドの移動サイクルを16.7サイクルとした場合、冷菓原料を−16℃に到達させるために必要な時間は約560秒である。
【0033】
この凍結時間を、約400秒に(28%の改善)するために、従来の冷菓製造装置では、ブラインの流量500L/minで、ブラインの噴出速度約1.0m/sec(モールドの移動サイクルを25サイクル)とすることで達成することができた。
【0034】
一方、上記冷菓製造装置1の場合、ブラインの流量250L/minで、ブラインの噴出速度約0.8m/sec(モールドの移動サイクルを25サイクル)としたときに凍結時間を、約400秒とすることができた。
冷菓製造装置1の場合、ブラインの流量100L/minの場合には、従来の冷菓製造装置と比べて凍結時間に大きな違いはないものの、ブラインの流量を増加させたときに、冷却効率の向上(凍結時間の短縮)の効果が顕著に表れる結果が得られた。
【0035】
この冷却テストの結果から、ブライン槽の面積1m当たりのブライン噴出口から供給するブラインの流量を150L/min〜350L/min、ブラインの噴出速度を0.4m/sec〜1.5m/secとすることにより、モールド内に充填した常温の冷菓原料を短時間で製品となる所望の温度(例えば、約−16℃)まで冷却することができることが確認できた。
【0036】
また、モールド4のブライン槽2の幅方向に配設される袋部41を6個としたときの各袋部41の凍結時間を計測した結果を表1に示す。
【0037】
【表1】
【0038】
表1に示すように、各袋部41の温度ムラ(凍結時間が最長の袋部と最短の袋部との時間差(通常、ブラインの流量を増やすことで時間差が大きくなる))は、上記冷菓製造装置1の場合、従来の冷菓製造装置と比べ短縮することができ、安定した品質の冷菓を製造することができることを確認した。
【0039】
以上、本発明の冷菓製造装置について、その実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明の冷菓製造装置は、モールドの表面に対して、流速の大きなブラインが均一に当たることによって、ブライン槽の幅方向に並ぶ複数の袋部を備えたモールドの冷却温度に温度ムラが発生することを防止することができ、また、冷却効率も高いものであることから、冷菓原料を充填したモールドをブライン槽内を移動させながらブライン槽内のブラインによって冷菓原料を冷却することによって冷菓を製造するようにした冷菓製造装置の用途に好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0041】
1 冷菓製造装置
2 ブライン槽
20 堰
3 ブライン噴出口
30 ブライン供給管
31 ブライン供給母管
4 モールド
a スリット幅
b スリット長さ
P ブライン供給管の間隔
図1
図2
図3
図4
図5
図6