(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5871319
(24)【登録日】2016年1月22日
(45)【発行日】2016年3月1日
(54)【発明の名称】ライブラリ装置、コンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
G11B 15/68 20060101AFI20160216BHJP
G11B 17/22 20060101ALI20160216BHJP
【FI】
G11B15/68
G11B17/22
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-77627(P2012-77627)
(22)【出願日】2012年3月29日
(65)【公開番号】特開2013-206524(P2013-206524A)
(43)【公開日】2013年10月7日
【審査請求日】2015年2月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100134544
【弁理士】
【氏名又は名称】森 隆一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100150197
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 直樹
(72)【発明者】
【氏名】小時田 光永
【審査官】
斎藤 眞
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−100504(JP,A)
【文献】
特開2005−216389(JP,A)
【文献】
特開2011−204293(JP,A)
【文献】
特開平08−153358(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11B 15/68
G11B 17/22−17/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
個体ごとのIDデータが記録されている複数の媒体が配列されて収容されるマガジンが装填されるマガジン収納部と、
装填された前記マガジンに収容されている前記媒体にアクセスするハンドアクセッサと、
前記ハンドアクセッサを移動自在に支持しているアクセッサ移送手段と、
前記ハンドアクセッサに搭載されていて前記媒体のIDデータを読取入力するデータ読取手段と、
前記マガジン収納部への前記マガジンの挿入を検知する挿入検知手段と、
前記マガジンが挿入されるときに収容されている前記媒体のIDデータを前記データ読取手段に読取入力させる読取制御手段と、を備え、
前記媒体の収容方向と前記マガジンの装填方向とに直交する所定方向にも前記マガジンに複数の前記媒体が配列されて収容され、
前記マガジンに収容される前記媒体の前記所定方向の個数と同数の前記データ読取手段が前記ハンドアクセッサに前記所定方向に配列されて搭載されており、
前記読取制御手段は、挿入される前記マガジンに、前記所定方向に配列されている前記媒体のIDデータを、前記ハンドアクセッサに前記所定方向に配列されている前記データ読取手段に、個々に読取入力させる、
ことを特徴とするライブラリ装置。
【請求項2】
前記読取制御手段は、前記ハンドアクセッサを前記マガジンに追従させる、
請求項1に記載のライブラリ装置。
【請求項3】
前記挿入検知手段は、前記マガジン収納部への前記マガジンの挿入速度を検出し、
前記読取制御手段は、検出された挿入速度に対応して前記ハンドアクセッサを前記マガジンに追従させる、
請求項2に記載のライブラリ装置。
【請求項4】
前記挿入検知手段は、前記読取制御手段の読取結果から前記挿入速度を検出する、
請求項3に記載のライブラリ装置。
【請求項5】
前記挿入検知手段は、前記読取制御手段の認識エラーの訂正頻度から前記挿入速度を検出する、
請求項4に記載のライブラリ装置。
【請求項6】
前記読取制御手段は、少なくとも前記マガジンが挿入されるときに前記マガジン収納部の入口近傍に前記ハンドアクセッサを位置させる、請求項1ないし5の何れか一項に記載のライブラリ装置。
【請求項7】
前記媒体の収容方向と前記マガジンの装填方向とに直交する所定方向にも前記マガジンに複数の前記媒体が配列されて収容され、
前記アクセッサ移送手段は前記ハンドアクセッサを前記所定方向にも移動させ、
前記読取制御手段は、前記マガジンが挿入されるときに前記ハンドアクセッサを前記所定方向に移動させて前記データ読取手段に収容されている前記媒体のIDデータを読取入力させる、
請求項1ないし6の何れか一項に記載のライブラリ装置。
【請求項8】
個体ごとのIDデータが記録されている複数の媒体が配列されて収容されるマガジンが装填されるマガジン収納部と、装填された前記マガジンに収容されている前記媒体にアクセスするハンドアクセッサと、前記ハンドアクセッサを移動自在に支持しているアクセッサ移送手段と、前記ハンドアクセッサに搭載されていて前記媒体のIDデータを読取入力するデータ読取手段と、を具備し、前記媒体の収容方向と前記マガジンの装填方向とに直交する所定方向にも前記マガジンに複数の前記媒体が配列されて収容され、前記マガジンに収容される前記媒体の前記所定方向の個数と同数の前記データ読取手段が前記ハンドアクセッサに前記所定方向に配列されて搭載されるライブラリ装置のコンピュータプログラムであって、
前記ライブラリ装置が有する挿入検知手段に前記マガジン収納部への前記マガジンの挿入を検知させ、
前記ライブラリ装置が有する読取制御手段が前記マガジンが挿入されるときに収容されている前記媒体のIDデータを前記データ読取手段に読取入力させ、
前記読取制御手段は、挿入される前記マガジンに、前記所定方向に配列されている前記媒体のIDデータを、前記ハンドアクセッサに前記所定方向に配列されている前記データ読取手段に、個々に読取入力させる
前記ライブラリ装置のコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の媒体を収容したマガジンがライブラリ装置に装填されると、インベントリ動作としてハンドアクセッサのデータ読取手段で媒体のIDデータが個々に読取入力されるライブラリ装置、そのコンピュータプログラム、に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、アクセス頻度が低い大容量データを保存するため、テープライブラリ装置などのライブラリ装置が使用されている。このようなライブラリ装置では、ボックス状の媒体に収容されている磁気テープなどに電子データを記録しておく。
【0003】
このようなライブラリ装置では、複数の媒体を直方体状のマガジンに配列して収容する。この配列方向としては、左右方向、上下方向、前後方向、これらの組み合わせ、がある。一般的なライブラリ装置には、マガジンが左右方向に挿入されて収容される。
【0004】
このような多層構造のライブラリ装置では、装填されたマガジン収納部に収容されている複数のマガジンに、アクセッサ移送装置で左右方向に移送されるハンドアクセッサが媒体を出し入れする。
【0005】
上述のようなライブラリ装置の媒体は、個体を識別するためにID(Identity)データが記録されたバーコードマークがラベルや印刷で付与されている。そこで、複数の媒体を収容したマガジンをライブラリ装置に装填すると、インベントリ動作として、バーコードリーダが搭載されているハンドアクセッサが左右に移動し、複数の媒体のバーコードマークを個々に読取走査する。
【0006】
このインベントリ動作により、ライブラリ装置では、どの媒体が何処に収容されているかが特定されるので、例えば、その記録に基づいて以後の媒体の移送が実行される。
【0007】
なお、現在は複数の媒体を左右方向だけでなく上下方向にも配列してマガジンに収容し、複数のマガジン収納部を上下方向にも配列して収容する多層構造のライブラリ装置がある。
【0008】
このようなライブラリ装置のアクセッサ移送装置は、ハンドアクセッサを上下移動させるため、例えば、ハンドアクセッサを上下移動させる枠状のアクセッサリフトが形成されている。
【0009】
このようなライブラリ装置に、複数の媒体が収容されたマガジンが装填されると、ハンドアクセッサが上下左右に移動してバーコードリーダで複数の媒体のバーコードマークを個々に読取走査する。
【0010】
このようなアクセッサリフトの内部をハンドアクセッサが上下方向に移動するので、これでアクセッサ移送装置のハンドアクセッサは、ライブラリ装置に上下方向に配列されている複数のマガジン収納部にアクセスすることができる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2011−204293号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
特許文献1に記載のライブラリ装置は、複数の媒体が収容されたマガジンが装填されると、インベントリ動作としてハンドアクセッサが左右方向などに移動し、そのバーコードリーダで複数の媒体のバーコードマークを個々に読取走査する。
【0013】
しかし、近年のライブラリ装置では、マガジンに上下左右に配列されて収容される媒体の個数が増大する傾向にある。一方、上述のようなインベントリ動作はハンドアクセッサを左右方向などに機械的に移動させるので、その高速化には制限がある。
【0014】
このため、現在のライブラリ装置では、マガジンが装填されてからインベントリ動作が完了するまで多分に時間を要しており、マガジンを装填した直後に媒体をハンドアクセッサで移送するようなことができない。
【0015】
本発明は上述のような課題に鑑みてなされたものであり、マガジンに配列されて収容される媒体が多数でも、マガジンを装填した直後にインベントリ動作を完了するようなことができるライブラリ装置、そのコンピュータプログラム、を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明のライブラリ装置は、個体ごとのIDデータが記録されている複数の媒体が配列されて収容されるマガジンが装填されるマガジン収納部と、装填された前記マガジンに収容されている前記媒体にアクセスするハンドアクセッサと、前記ハンドアクセッサを移動自在に支持しているアクセッサ移送手段と、前記ハンドアクセッサに搭載されていて前記媒体のIDデータを読取入力するデータ読取手段と、前記マガジン収納部への前記マガジンの挿入を検知する挿入検知手段と、前記マガジンが挿入されるときに収容されている前記媒体のIDデータを前記データ読取手段に読取入力させる読取制御手段と、を備え、前記媒体の収容方向と前記マガジンの装填方向とに直交する所定方向にも前記マガジンに複数の前記媒体が配列されて収容され、前記マガジンに収容される前記媒体の前記所定方向の個数と同数の前記データ読取手段が前記ハンドアクセッサに前記所定方向に配列されて搭載されており、前記読取制御手段は、挿入される前記マガジンに、前記所定方向に配列されている前記媒体のIDデータを、前記ハンドアクセッサに前記所定方向に配列されている前記データ読取手段に、個々に読取入力させる。
【0017】
本発明のライブラリ装置のコンピュータプログラムは、個体ごとのIDデータが記録されている複数の媒体が配列されて収容されるマガジンが装填されるマガジン収納部と、装填された前記マガジンに収容されている前記媒体にアクセスするハンドアクセッサと、前記ハンドアクセッサを移動自在に支持しているアクセッサ移送手段と、前記ハンドアクセッサに搭載されていて前記媒体のIDデータを読取入力するデータ読取手段と、を具備し、前記媒体の収容方向と前記マガジンの装填方向とに直交する所定方向にも前記マガジンに複数の前記媒体が配列されて収容され、前記マガジンに収容される前記媒体の前記所定方向の個数と同数の前記データ読取手段が前記ハンドアクセッサに前記所定方向に配列されて搭載されるライブラリ装置のコンピュータプログラムであって、前記ライブラリ装置が有する挿入検知手段に前記マガジン収納部への前記マガジンの挿入を検知させ、前記ライブラリ装置が有する読取制御手段が前記マガジンが挿入されるときに収容されている前記媒体のIDデータを前記データ読取手段に読取入力させ、前記読取制御手段は、挿入される前記マガジンに、前記所定方向に配列されている前記媒体のIDデータを、前記ハンドアクセッサに前記所定方向に配列されている前記データ読取手段に、個々に読取入力させる。
【0018】
なお、本発明の各種の構成要素は、必ずしも個々に独立した存在である必要はなく、複数の構成要素が一個の部材として形成されていること、一つの構成要素が複数の部材で形成されていること、ある構成要素が他の構成要素の一部であること、ある構成要素の一部と他の構成要素の一部とが重複していること、等でもよい。
【0019】
さらに、本実施の形態では前後上下左右の方向を規定しているが、これは本発明の構成要素の相対関係を簡単に説明するために便宜的に規定したものであり、本発明を実施する場合の製造時や使用時の方向を限定するものではない。
【0020】
また、本実施の形態で云う前後上下左右の方向とは、完全に幾何学的に直交している必要はなく、相対的に前後上下左右となる方向となっていればよく、例えば、各方向が任意の方向に傾斜していてもよい。
【0021】
例えば、本実施の形態で云う上下方向に移動するとは、移動の結果として上下方向に相違する位置に変位することを意味しており、移動の方向そのものが表面に厳密に上下方向である必要はない。
【0022】
また、本発明で云うライブラリ装置は、コンピュータプログラムを読み取って対応する処理動作を実行できるように、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、I/F(Interface)ユニット、等の汎用デバイスで構築されたハードウェア、所定の処理動作を実行するように構築された専用の論理回路、これらの組み合わせ、等からなる読取制御手段を具備することができる。
【0023】
なお、本発明でコンピュータプログラムに対応した各種動作をライブラリ装置の読取制御手段に実行させることは、各種デバイスを読取制御手段に動作制御させることなども意味している。
【発明の効果】
【0024】
本発明のライブラリ装置では、マガジン収納部へのマガジンの挿入を挿入検知手段が検知すると、マガジンが挿入されるときに収容されている媒体のIDデータをデータ読取手段に読取制御手段が読取入力させる。このため、マガジンの装填が完了してからインベントリ動作を実行せず、マガジンの挿入と同時にインベントリ動作を実行することができる。従って、マガジンに配列されて収容される媒体が多数でも、マガジンを装填した直後にインベントリ動作を完了するようなことができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の実施の一形態のライブラリ装置の内部構造を示す模式的な横断平面図である。
【
図2】本発明の実施の一形態のライブラリ装置の回路構造を示す模式的なブロック図である。
【
図3】本発明の実施の一形態のライブラリ装置の処理動作を示す模式的なフローチャートである。
【
図4】本発明の実施の一形態のライブラリ装置の一変形例のマガジンを示す正面図である。
【
図5】本発明の実施の一形態のライブラリ装置の一変形例の内部構造を示す模式的な横断平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の実施の一形態に関して図面を参照して以下に説明する。ただし、本実施の形態に関して前述した一従来例と同一の部分に関しては、同一の名称を使用して詳細な説明は省略する。
【0027】
なお、本実施の形態では図示するように前後上下左右の方向を規定して説明する。しかし、これは構成要素の相対関係を簡単に説明するために便宜的に規定するものである。従って、本発明を実施する製品の製造時や使用時の方向を限定するものではない。
【0028】
本実施の形態のライブラリ装置1000は、いわゆるテープライブラリ装置であり、電子データが記録されている磁気テープ(図示せず)が、中空のボックス状の媒体1100に収容されている。
【0029】
この媒体1100は、
図1に示すように、直方体状のマガジン1200に五個が一列に配列されて収容される。そして、このようなマガジン1200が左方から装填されるマガジン収納部1010が、ライブラリ装置1000に形成されている。
【0030】
このため、
図1(c)に示すように、マガジン1200がマガジン収納部1010に装填されると、ライブラリ装置1000の内部には、五個の媒体1100が左右方向に一列に配列されることになる。
【0031】
そこで、本実施の形態のライブラリ装置1000では、アクセッサ移送機構1400により支持されたハンドアクセッサ1300が、上述のように配列された複数の媒体1100と対向する。
【0032】
ハンドアクセッサ1300は、媒体1100に係脱自在に係合する媒体係合爪(図示せず)等を有しており、装填されたマガジン1200に収容されている複数の媒体1100の任意の一個にアクセスする。
【0033】
アクセッサ移送機構1400は、ガイドレールやラックアンドピニオンや駆動モータ等を有しており(図示せず)、
図1(a)ないし
図1(c)に示すように、ハンドアクセッサ1300を左右方向に移動自在に支持している。
【0034】
媒体1100は任意のマガジン1200の任意の位置に収容されるため、個体ごとのIDデータとして光学マークであるバーコードマーク1110が記録されている。そこで、ハンドアクセッサ1300には、媒体1100のバーコードマーク1110を光学読取で読取入力するデータ読取手段であるカメラ1310が搭載されている。
【0035】
さらに、本実施の形態のライブラリ装置1000では、マガジン収納部1010へのマガジン1200の挿入を検知する光学センサなどの挿入検知センサ1011が、マガジン収納部1010の入口の位置に搭載されている。
【0036】
そして、本実施の形態のライブラリ装置1000では、
図2に示すように、挿入検知センサ1011とハンドアクセッサ1300のカメラ1310とアクセッサ移送機構1400とが、読取制御ユニット1500に接続されている。
【0037】
この読取制御ユニット1500は、適切なコンピュータプログラムが実装されたマイクロコンピュータなどからなり、マガジン収納部1010にマガジン1200が挿入されるときに収容されている媒体1100のバーコードマーク1110をハンドアクセッサ1300のカメラ1310に読取入力させる。
【0038】
より詳細には、読取制御ユニット1500は、少なくともマガジン1200が挿入されるときである、マガジン収納部1010にマガジン1200が挿入されていないときに、
図1(a)に示すように、マガジン収納部1010の入口近傍にハンドアクセッサ1300を位置させる。
【0039】
そして、読取制御ユニット1500は、挿入されるマガジン収納部1010に収容されている複数の媒体1100から、バーコードマーク1110を内包する連続データとして動画データをカメラ1310に連続的に読取入力させ、読取入力された動画データから複数のバーコードマーク1110の静止画データを個々に抽出する。
【0040】
ただし、本実施の形態のライブラリ装置1000では、挿入検知センサ1011でマガジン収納部1010へのマガジン1200の挿入速度も検出する。そして、その挿入速度が所定速度より高速であると、読取制御ユニット1500は、検出された挿入速度に対応してハンドアクセッサ1300をマガジン1200に追従させる。
【0041】
上述のようなライブラリ装置1000の読取制御ユニット1500のコンピュータプログラムは、マガジン1200が挿入されるときに、ライブラリ装置1000が有する挿入検知センサ1011にマガジン収納部1010へのマガジン1200の挿入を検知させ、挿入されるマガジン収納部1010に収容されている複数の媒体1100からバーコードマーク1110を内包する動画データをカメラ1310に光学読取させ、光学読取された動画データから複数のバーコードマーク1110の静止画データを個々に抽出し、抽出されたバーコードマーク1110によりインベントリ動作を実行する、ように記述されている。
【0042】
さらに、上述のようなライブラリ装置1000の読取制御ユニット1500のコンピュータプログラムに、マガジン1200が挿入されるときにマガジン収納部1010の入口近傍にハンドアクセッサ1300をアクセッサ移送機構1400に位置させ、マガジン収納部1010へのマガジン1200の挿入速度を挿入検知センサ1011に検出させ、検出された挿入速度に対応してハンドアクセッサ1300をマガジン1200に追従させる、ことも記述されていてよい。
【0043】
上述のような構成において、本実施の形態のライブラリ装置1000も、前述のようにテープライブラリ装置であり、磁気テープが収容されている複数の媒体1100がマガジン1200に配列されて収容され、そのマガジン1200がマガジン収納部1010に挿入されて装填される。
【0044】
ただし、本実施の形態のライブラリ装置1000では、
図2に示すように、適切なコンピュータプログラムが実装されたマイクロコンピュータからなる読取制御ユニット1500が、マガジン収納部1010の挿入検知センサ1011と、ハンドアクセッサ1300のカメラ1310と、アクセッサ移送機構1400と、に接続されている。
【0045】
そして、
図3に示すように、読取制御ユニット1500は、マガジン収納部1010にマガジン1200が装填されていないことが挿入検知センサ1011で検知されている初期状態では(ステップS2−N)、アクセッサ移送機構1400によりハンドアクセッサ1300をマガジン収納部1010の入口近傍に位置させる(ステップS1)。
【0046】
このような状態で、
図1(a)に示すように、マガジン収納部1010へのマガジン1200の挿入が挿入検知センサ1011で検知されると(ステップS2−Y)、ハンドアクセッサ1300のカメラ1310により挿入されるマガジン収納部1010の動画データが撮像される(ステップS3)。
【0047】
このとき、読取制御ユニット1500は、マガジン収納部1010へのマガジン1200の挿入速度を挿入検知センサ1011に検出させる。そこで、その挿入速度が所定速度より高速であると(ステップS4−Y)、読取制御ユニット1500は、
図2に示すように、検出された挿入速度に対応してアクセッサ移送機構1400によりハンドアクセッサ1300をマガジン1200に追従させる(ステップS5)。
【0048】
そして、
図1(c)に示すように、読取制御ユニット1500は、マガジン収納部1010へのマガジン1200の装填が完了すると(ステップS6−Y)、カメラ1310で撮像された動画データからバーコードマーク1110の静止画データを既存の画像処理により抽出する(ステップS7)。
【0049】
このようにバーコードマーク1110の静止画データが抽出されると、そのバーコードマーク1110が既存の画像処理により媒体1100ごとのIDデータとして認識され(ステップS8)、この認識された媒体1100ごとのIDデータによりインベントリ動作であるイニシャライズ動作が実行される(ステップS9)。
【0050】
本実施の形態のライブラリ装置1000では、上述のようにマガジン収納部1010へのマガジン1200の挿入を挿入検知センサ1011が検知すると、マガジン1200が挿入されるときに収容されている媒体1100のバーコードマーク1110をハンドアクセッサ1300のカメラ1310に読取制御ユニット1500が読取入力させる。
【0051】
このため、マガジン1200の装填が完了してからインベントリ動作を実行せず、マガジン1200の挿入と同時にインベントリ動作を実行することができる。従って、マガジン1200に配列されて収容される媒体1100が多数でも、マガジン1200を装填した直後にインベントリ動作を完了するようなことができる。
【0052】
特に、本実施の形態のライブラリ装置1000では、上述のようにマガジン1200が挿入されるときにマガジン収納部1010の入口近傍にハンドアクセッサ1300を位置させる。このため、マガジン1200に配列されて収容されている複数の媒体1100のバーコードマーク1110を最初から撮像することができる。
【0053】
しかも、本実施の形態のライブラリ装置1000では、上述のようにマガジン収納部1010へのマガジン1200の挿入速度を検出し、検出された挿入速度に対応してハンドアクセッサ1300をマガジン1200に追従させる。
【0054】
このため、マガジン収納部1010へのマガジン1200の挿入が高速で動画データからバーコードマーク1110の静止画データを抽出できないようなことがない。特に、これを実現するためにアクセッサ移送機構1400でハンドアクセッサ1300を移動させるので、既存のアクセッサ移送機構1400を制御するだけで動画データを適切に撮像することができる。
【0055】
なお、本発明は本実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で各種の変形を許容する。例えば、上記形態では一つのマガジン収納部1010に装填される一個のマガジン1200に、五個の媒体1100が一列に収容されることを例示した。
【0056】
しかし、
図4および
図5に示すように、一つのマガジン収納部1010に装填される二個のマガジン1210,1220に、複数の媒体1100が上下方向に三段および左右方向に二列と三列とに収容されてもよい。
【0057】
このようなライブラリ装置2000では、例えば、ハンドアクセッサ1300を上下方向に移動させるアクセッサリフト(図示せず)も有し、読取制御ユニット1500は、マガジン1200が挿入されるときに、アクセッサリフトにハンドアクセッサ1300を上下移動させてカメラ1310に収容されている媒体1100のバーコードマーク1110を読取入力させればよい。この場合、やはり既存のアクセッサリフトを利用してカメラ1310に動画データを適切に撮像させることができる。
【0058】
また、マガジン1200に収容される媒体1100の上下方向の個数と同数のカメラ1310がハンドアクセッサ1300に上下方向に配列されて搭載されており、読取制御ユニット1500は、マガジン1200が挿入されるときに上下方向に配列されて収容されている媒体1100のバーコードマーク1110をハンドアクセッサ1300に上下方向に配列されて搭載されているカメラ1310に個々に読取入力させてもよい。この場合、マガジン1200の挿入が高速でも、複数のカメラ1310で動画データを適切に並列に撮像することができる。
【0059】
さらに、上記形態ではマガジン収納部1010に挿入されるマガジン1200の速度が高速なときに、アクセッサ移送機構1400でハンドアクセッサ1300を追従させることを例示した。しかし、ハンドアクセッサ1300に搭載されているカメラ1310が充分に高速なフレームレートで画像を撮像するならば、ハンドアクセッサ1300を移動させなくともよい。
【0060】
さらに、上記形態ではマガジン1200に複数の媒体1100が左右方向に一列に収容されることを例示した。しかし、マガジンに複数の媒体1100が前後方向に複数列に収容される、いわゆるディープタイプとすることもできる。この場合、手前以外のインベントリ動作は従来と同様に実行されるが、手前の一列のインベントリ動作は高速に完了するので、結果的にインベントリ動作を高速化することができる。
【0061】
さらに、上記形態のライブラリ装置1000では、挿入されるマガジン収納部1010に収容されている複数の媒体1100からバーコードマーク1110を内包する動画データをカメラ1310に撮像させ、撮像された動画データから複数のバーコードマーク1110の静止画データを個々に抽出することを例示した。
【0062】
しかし、挿入されるマガジン収納部1010に収容されている複数の媒体1100ごとに対応するタイミングで、バーコードマーク1110の静止画データをカメラ1310に撮像させてもよい。
【0063】
このようなことは、例えば、媒体1100がハンドアクセッサ1300のカメラ1310と対向したときに、挿入検知センサ1011に検知される光学マーク(図示せず)をマガジン収納部1010に表記しておくことなどで実現される。なお、このようにバーコードマーク1110の静止画データを光学読取するデータ読取手段は、カメラ1310ではなくバーコードスキャナ(図示せず)とすることもできる。
【0064】
また、上記形態では光学マークとして一次元のバーコードマークを例示したが、これが二次元コードマークで形成されていてもよい(図示せず)。さらに、媒体1100にIDデータが格納された磁気ストライプが搭載されており、ハンドアクセッサ1300に磁気ヘッドが搭載されていてもよい(図示せず)。
【0065】
同様に、媒体1100に、IDデータが格納されたRFID(Radio Frequency Identification)チップが搭載されており、ハンドアクセッサ1300にRFIDリーダが搭載されていてもよい。
【0066】
さらに、上記形態では挿入検知センサ1011でマガジン収納部1010へのマガジン1200の挿入速度も検出することを例示した。しかし、データ読取手段であるカメラ1310で挿入速度を検出してもよい。また、挿入速度を直接検出せず、光学読取するIDデータの認識エラーの訂正頻度から挿入速度を検出してもよい。
【符号の説明】
【0067】
1000 ライブラリ装置
1010 マガジン収納部
1011 挿入検知センサ
1100 媒体
1110 バーコードマーク
1200 マガジン
1210 マガジン
1220 マガジン
1300 ハンドアクセッサ
1310 カメラ
1400 アクセッサ移送機構
1500 読取制御ユニット
2000 ライブラリ装置