特許第5871321号(P5871321)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許5871321-発熱体及び発熱部材 図000006
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5871321
(24)【登録日】2016年1月22日
(45)【発行日】2016年3月1日
(54)【発明の名称】発熱体及び発熱部材
(51)【国際特許分類】
   F24C 7/02 20060101AFI20160216BHJP
   H05B 6/74 20060101ALI20160216BHJP
   B65D 81/34 20060101ALI20160216BHJP
【FI】
   F24C7/02 561A
   H05B6/74 A
   B65D81/34 W
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-210603(P2012-210603)
(22)【出願日】2012年9月25日
(65)【公開番号】特開2013-139992(P2013-139992A)
(43)【公開日】2013年7月18日
【審査請求日】2014年2月19日
(31)【優先権主張番号】特願2011-270498(P2011-270498)
(32)【優先日】2011年12月9日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】511257089
【氏名又は名称】株式会社誠和
(73)【特許権者】
【識別番号】509164164
【氏名又は名称】地方独立行政法人山口県産業技術センター
(74)【代理人】
【識別番号】100080160
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 憲一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149205
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 泰央
(72)【発明者】
【氏名】田邊 勇次
(72)【発明者】
【氏名】小川 友樹
【審査官】 長浜 義憲
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−094271(JP,A)
【文献】 特開平03−089483(JP,A)
【文献】 特開平05−310279(JP,A)
【文献】 実開平07−009949(JP,U)
【文献】 特開2005−194132(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 7/02
H05B 6/74
B65D 81/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
照射されたマイクロ波により発熱して食品の表面を素早く加熱することで焦げ目を付ける炭化物と、
炭化物の昇温を設定到達温度に抑制する難燃剤としての水酸化アルミニウムと、
これら水酸化アルミニウム及び炭化物を相互に接着する接着剤として、比誘電率が3以上で誘電正接が0.01以上の誘電性を有し、かつ、耐熱温度が200℃以上のカルボキシメチルセルロースと、
を炭化物:カルボキシメチルセルロース:水酸化アルミニウム=1.0:0.4:1.3の重量比率で混合した混合物となし、
この混合物は、マイクロ波の照射により食品に焦げ目を付ける発熱量を得ることが可能な薄肉扁平なシート状となしたことを特徴とする発熱体。
【請求項2】
平均厚みを100μm〜250μmとなしたことを特徴とする請求項1記載の発熱体。
【請求項3】
請求項1又は2記載の発熱体の食品と面する側に、その食品の付着を防止するシリコン樹脂やフッ素樹脂であるコーティング層を積層する一方、反対側の面に台紙としての紙製シートを積層したことを特徴とする発熱部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子レンジにより短時間で食品を加熱処理するとともに、加熱処理する食品に焦げ目を付与する発熱体及び発熱部材に関する。
【背景技術】
【0002】
電子レンジは2.45GHzの電磁波(以下マイクロ波)を装置内に照射する装置であり、マイクロ波を照射させた際、電子レンジ内の物質は誘電損失により加熱される。通常、電子レンジは食品の再加熱(100℃以下)に使用されるが、近年、180℃以上に加熱しアミノカルボニル反応などの熱変性により食品の表面に焦げ目を付与する商品が開発されている。
【0003】
現在、電子レンジ用の発熱体として、アルミニウム蒸着層を用いた製品が提案されている(特許文献1)。また、発熱体を食品の上下面に配置して、電子レンジで発熱体を通して食品を加熱処理する補助具財の発明が開示されている(特許文献2)。
これらの製品は電子レンジから放射されたマイクロ波を食品だけではなく発熱体も吸収し、発熱体により食品に焦げ目を付与するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−6890
【特許文献2】特開2011−11044
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された発熱体などの金属蒸着層は、薄く熱伝導率が大きい為、食品と共にマイクロ波を照射した場合、所定の温度(例えば、220℃)まで上昇させるのに時間を要する。そのため、加熱時に生じる食品の水分・油分(以下ドリップ)が容器の底面に多く溜まる。そのため、食品中の旨味成分も水分と一緒に流出される。また、マイクロ波の照射による金属蒸着層の加熱速度が遅いため、加熱処理時間に時間を要し、調理時間が長くなってしまう。
【0006】
そこで、本発明は、上記の現状を鑑み開発されたものであり、マイクロ波照射により短時間で加熱され、調理時間も短時間で済む発熱体及び発熱部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明に係る発熱体は、照射されたマイクロ波により発熱して食品の表面を素早く加熱することで焦げ目を付ける炭化物と、炭化物の昇温を設定到達温度に抑制する難燃剤としての水酸化アルミニウムと、これら水酸化アルミニウム及び炭化物を相互に接着する接着剤として、比誘電率が3以上で誘電正接が0.01以上の誘電性を有し、かつ、耐熱温度が200℃以上のカルボキシメチルセルロースと、を炭化物:カルボキシメチルセルロース:水酸化アルミニウム=1.0:0.4:1.3の重量比率で混合した混合物となし、この混合物は、マイクロ波の照射により食品に焦げ目を付ける発熱量を得ることが可能な薄肉扁平なシート状となしたことを特徴とする。
【0008】
かかる発熱体では、食品を被覆する発熱体にマイクロ波が照射されると発熱体中の炭化物が急速に加熱され、食品表面を加熱しタンパク質の熱変性を生じさせる。この食品の表面の熱変性により、食品のドリップを抑えることができる。
【0009】
また、マイクロ波照射により食品内部も加熱され、内部と表面が同時に加熱されることにより、調理時間も短縮化される。
【0010】
発熱体の設定到達温度は食品の表面に焦げ目を付ける温度(例えば、180℃)まで上昇するので、調理された食品には焦げ目が付与される。ここで、設定到達温度とは、あらかじめ設定した時間内に到達する限界の温度であり、設定した短時間内に加熱されて上昇する温度の限界温度(それ以上には上昇しない温度)である。そして、食品が発火するに至らない温度である。
【0011】
その結果、食品のパサ付きを大幅に改善することができ、3分間以上要していた加熱処理時間(調理時間)を2分30秒以内となして短縮することができる。この際、発熱体の一部を形成している難燃剤としての水酸化アルミニウムが炭化物の昇温を設定到達温度に抑制して、炭化物が発火するのを防止する。しかも、発熱体は薄肉扁平なシート状に形成して、マイクロ波の照射により食品の表面に焦げ目を付けるための発熱量を得ることができるようにしている。さらには、マイクロ波が照射された発熱体をスパークさせることなく発熱させることができる。
【0012】
請求項2記載の発明に係る発熱体は、請求項1記載の本発明に係る発熱体であって、平均厚みを100μm〜250μmとなしたことを特徴とする。
【0013】
かかる発熱体では、平均厚みを100μm〜250μmとなすことで、マイクロ波の照射により食品の表面に焦げ目をつけるための発熱量を得ることができる。ここで、発熱体の平均厚みが100μm以下では、発熱体のマイクロ波の吸収量が減少し、発熱量が小さいため、加熱時間(マイクロ波の照射時間)が長くなり、ドリップの量が増加し、食品がパサつく可能性がある。一方、発熱体の平均厚みが250μm以上では、発熱体のマイクロ波の吸収量が増加し、発熱量が大きいため、水酸化アルミニウムの添加量を多くする必要がある。水酸化アルミニウムの添加量を多くすることにより、脱水反応による水の発生量が増加し、発熱温度の低下や水による発熱体自体の崩壊を招く可能性がある。
【0022】
請求項記載の発明に係る発熱部材は、請求項1又は2記載の発熱体の食品と面する側に、その食品の付着を防止するシリコン樹脂やフッ素樹脂であるコーティング層を積層する一方、反対側の面に台紙としての紙製シートを積層したことを特徴とする。
【0023】
かかる発熱部材では、発熱体の食品と面する側にシリコン樹脂やフッ素樹脂であるコーティング層を積層しているため、コーティング層の表面に食品が付着するのを防止することができる。そのため、食品の外形状を崩すことなく剥離することができる。また、発熱体の反対側の面に台紙としての紙製シートを積層しているため、発熱体を食品の表面に沿わせて被覆させたり、食品の表面から剥離させたりする取り扱い性を良好となすことができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、下記のような効果が生起される。すなわち、本発明では、発熱体により被覆された食品の表面側を、マイクロ波の照射により短時間で上昇させて、加熱時に生じる食品の旨味成分を含んだ水分・油分(いわゆるドリップ)の流出を抑制して、食品を素早く加熱することができる。また、発熱体の設定到達温度が、食品に焦げ目を付ける温度(例えば、180℃)以上であるため、調理された食品には焦げ目が付与される。その結果、食品のパサ付きを大幅に改善することができ、3分間以上要していた加熱処理時間を大幅に短縮化できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本実施形態に係る発熱部材の拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に、本発明の実施形態を、図面を参照しながら説明する。
【0027】
図1に示す1は本実施形態に係るシート状の発熱体であり、2は発熱体1の一面(内面)に積層したコーティング層、3は発熱体1の他面(外面)に積層した紙製シート層である。これら紙製シート層3と発熱体1とコーティング層2とを三層に積層して、シート状の発熱部材4を一体的に形成している。
【0028】
発熱体1は、電子レンジから照射されたマイクロ波により発熱する炭化物と、炭化物の昇温を設定到達温度に抑制する難燃剤と、これら難燃剤及び炭化物を相互に接着する接着剤と、を混合して混合物となしている。この混合物は、マイクロ波の照射により食品に焦げ目を付ける発熱量を得ることが可能な薄肉扁平なシート状に形成している。食品は、電子レンジから照射されたマイクロ波により加熱処理して食されるものであり、発熱体1により表面に焦げ目を付けることで生起される炭焼き風味が望まれるものである。被加熱処理物である食品としては、例えば、生鮮魚介類や加工水産物や芋類がある。
【0029】
発熱体1は、マイクロ波の照射により食品の表面を短時間で加熱するため、食品の表面のたんぱく質を熱変性させ、焦げ目をつけるための発熱量を得ることができるように、平均厚みを100μm〜250μm、好ましくは、170μm〜210μm、となしている。ここで、発熱体1の平均厚みが100μm未満の場合は、食品の表面に焦げ目をつけるための発熱量が足りないために、加熱時間(マイクロ波の照射時間)が長くかかり、ドリップの量が増える可能性がある。一方、発熱体1の平均厚みが250μmよりも大きい場合は、熱量が大きいため、水酸化アルミニウムの添加量を増やす必要がある。また、水酸化アルミニウムの添加量を増やすことにより、脱水反応による水の発生量が増し、発熱温度の低下や水により発熱体自体の崩壊を招くことにつながる。
【0030】
炭化物としては、800℃以上の高温にて炭化させたものを使用している。この800℃よりも低い温度では炭化が不十分となって、電気抵抗が大きく、希望する発熱温度に達しないからである。また、タール等が発生するために、食品に悪影響を及ぼす可能性があるからである。1000℃以上で炭化させたとしても、800℃以上であれば、電気抵抗が小さいため、マイクロ波を照射した場合に堅実に発熱する。以上のことから、炭化物を炭化させる温度は800℃以上が望ましい。炭化物は微粉砕器(例えば、遊星ボールミル)で微粉砕して、その粒径を100μm以下となしている。
【0031】
そして、設定到達温度とは、あらかじめ設定した時間内に到達する限界の温度であり、設定した短時間内に加熱されて上昇する温度の限界温度(それ以上には上昇しない温度)である。また、食品が発火するに至らない温度である。ここで、炭化物の設定到達温度は180℃〜350℃の範囲内、好ましくは200℃〜220℃の範囲内、より好ましくは210℃前後となしている。設定到達温度を210℃前後となすことで、200℃付近の温度で脱水反応して発火温度を抑制する難燃性に優れた金属水酸化物等の難燃剤(例えば、水酸化アルミニウム)を適用することができる。かかる炭化物が設定到達温度に達する時間は10秒〜25秒、好ましくは、15秒となしている。
【0032】
炭化物の種類には、ナラ・クヌギ・コナラ・ミズナラ・マツ等の木炭、モウソウチク・マダケ・ハチク・ネマガリダケなどの竹炭、ヤシガラ・サトウキビのしぼりかす・トウモロコシ・もみ殻等の炭、ウバメガシ・アラカシ・ナラ・ホオなどの白炭等があり、竹炭、木炭、トウモロコシの使用が望ましい。これらの中で、本実施例では竹炭での検証を行ったが、木炭や他の炭でも同程度の結果は得られており、何ら竹炭に限定されるものではない。
【0033】
接着剤としては、誘電性のある樹脂であり、耐熱温度が200℃以上のものを用いることができる。ここで、誘電性を有した樹脂とは、マイクロ波照射により加熱する事が出来る樹脂であり、比誘電率が3以上であり、誘電正接が0.01以上である事が望ましい。例えば、カルボキシメチルセルロース(CMC)、カルボキシエチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、トリアセチルセルロース、熱硬化性フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂の内の少なくとも一種類を使用することができる。本実施例ではCMCで検証した。他の接着剤を使用した場合でも、電子レンジ内でマイクロ波が照射された発熱体をスパークさせることなく発熱させることができる。また、接着剤の強化剤として、アミロースをα化させた物質を添加するとより強度が増す。例えば、発熱体1の接着力を増大させる場合には、前記した接着剤として誘電性のある樹脂に米粉をα化したもの(米のり)を添加することができる。
【0034】
難燃剤としては、有機系難燃剤と無機系難燃剤があり、有機系難燃剤には臭素化合物とリン化合物と塩素化合物がある一方、無機系難燃剤にはアンチモン化合物と金属水酸化物がある。有機系難燃剤である臭素化合物には、ペンタブロモジフェニルエーテル・オクタブロモジフェニルエーテル・デカブロモジフェニルエーテル・テトラブロモビスフェノールA・ヘキサブロモシクロドデカン等がある。リン化合物には、トリフェニルホスフェートなどの芳香族のリン酸エステル、赤リン等がある。ハロゲンを含むリン酸エステルも用いられる。塩素化合物には塩素化パラフィン等がある。無機系難燃剤であるアンチモン化合物には臭素化合物等がある。ハロゲン化合物の難燃性を高める助剤として、三酸化アンチモン・五酸化アンチモンが用いられる。五酸化アンチモンは繊維、紙へ塗布し、防炎性を与えるのにも用いられる。金属水酸化物には水酸化アルミニウム・水酸化マグネシウム等がある。
【0035】
本実施形態では、水酸化アルミニウムや水酸化マグネシウム等の金属水酸化物、ないしは、金属水酸化物を含んだ化合物を使用するのが望ましい。そして、本実施形態では、水酸化アルミニウムの使用が最も好ましい。発火抑制を行わないと、数秒で発煙発火するために水酸化アルミニウムによって発火抑制を行う。他に水酸化マグネシウム・タルク等があり、水酸化アルミニウムに限定したものではないが、それぞれ温度によって脱水反応を起こす温度が違うことより水酸化アルミニウムを採用するのが望ましい。
【0036】
つまり、難燃剤である水酸化アルミニウムは、200℃の付近の温度で脱水反応により水を生じさせ、発火温度を抑制するものであり、難燃性に優れるため使用するのが好ましい。本実施形態では、コーティング層2にシリコン樹脂を採用していることから、シリコン樹脂の耐熱温度内での温度抑制が必要なために水酸化アルミニウムの採用が望ましい。また、300℃付近でも脱水反応により水を発生させるため、コーティング層2の種類を変更した場合でも適合する。また、本実施形態における望ましい重量配合は、炭化物が0.8g〜1.5g、好ましくは、1.0gで、CMCが0.3g〜0.6g、好ましくは、0.4gで、水酸化アルミニウム(Al(OH))が1.0g〜1.5g、好ましくは、1.3gである。重量比率にすれば炭化物:CMC:Al(OH)=1.0:0.4:1.3となる。
【0037】
発熱部材4は、炭化物を主体とする発熱体1の食品と面する側に、その食品の付着を防止するシリコン樹脂やフッ素樹脂であるコーティング層2を積層する一方、発熱体1の反対側の面に台紙としての紙製シート層3を積層して一体的にシート状に、ないしは、帯状に形成している。ここで、発熱体1の平均厚みは100μm〜250μmであり、コーティング層2の平均厚みは10μm〜20μmであり、また、紙製シート層3の厚さは30μm〜2mmである。
【0038】
上記のように構成した本実施形態では、食品を被覆する発熱体1にマイクロ波が照射されると、発熱体1の一部を形成している炭化物が発熱し、食品の表面側を加熱することで、加熱時に生じる被加熱処理物の旨味成分を含んだ水分・油分(いわゆるドリップ)が外部に流出されるのを抑制して、内部と表面が同時に加熱される。その結果、食品のパサ付きを大幅に改善することができ、3分間以上要していた加熱処理時間を2分30秒以内となして短縮することができる。
【0039】
この際、発熱体1の一部を形成している難燃剤(ここではAl(OH)を使用)が炭化物の昇温を設定到達温度である180℃〜350℃の範囲内、好ましくは200℃〜220℃の範囲内、より好ましくは210℃前後に抑制して、炭化物が発火するのを防止する。しかも、発熱体1は薄肉扁平なシート状となして、マイクロ波の照射により食品(例えば、生鮮魚介類)の表面に焦げ目を付けるための発熱量を得ることができるようにしている。
【0040】
そして、発熱体1は、炭化物に混合した難燃剤により発火抑制を行わないと、数秒で発煙発火するため、難燃剤によって発火抑制を行う。難燃剤としての水酸化アルミニウムは、200℃の付近の温度で脱水反応して水を生じさせることで、発火温度を抑制する。そのため、難燃性に優れることから使用に好適である。なお、コーティング剤にシリコン樹脂を利用した場合には、シリコン樹脂の耐熱温度(例えば、230℃)内での温度抑制が必要なため、水酸化アルミニウムが望ましい。また、300℃付近でも脱水反応により水を発生させるため、コーティング剤を変更した場合でも適合する。
【0041】
また、発熱体1は、食品と面する側にシリコン樹脂やフッ素樹脂であるコーティング層2を積層しているため、コーティング層の表面に食品が付着するのを防止することができる。そのため、食品の外形状を崩すことなく剥離することができる。また、発熱体1の反対側の面に台紙としての紙製シート層3を積層しているため、発熱体1を屈曲させて食品の表面に被覆させたり、食品の表面から剥離させたりする取り扱い性を良好となすことができる。
【0042】
以上により本実施形態において、厚さは30μm〜2mmの紙製シート層3の片面に平均厚み100μm〜250μmの炭化物を主体とする発熱体1を接着し、発熱体1の表面に平均厚み10μm〜20μmのコーティング層2を施すことにより、従来からの不具合である食品のくっつきや、ドリップによるパサつきが大幅に改善され、個々のニーズに対応した電子レンジ用発熱体を製造することができる。そして、電子レンジ用発熱体を装着した電子レンジ加熱容器を製造することができる。
【実施例】
【0043】
以下に、本発明の実施例を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
炭化物は800℃で炭化させた竹炭を用い、粉砕は遊星ボールミルで行った。粉砕した炭化物の平均粒径は15μmであり、粒径は1μm〜100μmの範囲である。接着剤はカルボキシメチルセルロース(CMC)を用いた。竹炭1.0g、CMC0.4g、Al(OH)1.3gを混合し、水を適量加え、均一になるまで混合した。この混合物をパラフィン紙に塗布し、乾燥させた。乾燥後、マイクロメーターを用いて膜厚を測定した後、シリコン樹脂ノルマルヘキサン溶液を用いてコーティングし発熱部材を作製した。この際の発熱体の膜厚は170μmであった。
<比較例1〜3>
比較例1〜3として、水酸化アルミニウムをそれぞれ0g、0.5g、1.0gのを使用し、実施例1と同様の方法により発熱部材を作製した。発熱体の膜厚は170μmであった。
【0044】
【表1】
電子レンジに発熱体及び水100mlを入れ、マイクロ波を照射した。マイクロ波の出力は500Wである。発熱体の温度はマイクロ波照射後、直ちに電子レンジのドアを開け、放射温度計を用いて発熱体の表面温度を測定した。その結果を表1に示す。実施例1ではマイクロ波照射を4分間行っても発火することはなかったが、比較例1〜3ではマイクロ波を照射して4分を経過する前に発火が生じた。
<実施例2〜4>
実施例2〜4として、竹炭1.0g、Al(OH)1.3g、CMCをそれぞれ0.2g、0.3g、0.4g添加し、実施例1と同様に発熱体を作製した。
<比較例4>
比較例4として、CMC0.6gを用い、実施例1と同様に発熱体を作製した。
【0045】
【表2】
電子レンジに発熱体及び水100mlを入れ、マイクロ波を2分間照射した。マイクロ波の出力は500Wである。発熱体の温度はマイクロ波照射後、直ちに電子レンジのドアを開け、放射温度計を用いて測定した。その結果を表2に示す。実施例2〜3では200℃以上まで温度が上昇しているが、比較例4では160℃までしか温度が上昇していない。
<比較例5〜7>
竹炭1.0g、CMC0.2g、0.3g、0.4g、Al(OH)1.3g、水の混合物をパラフィン紙に塗布する際の膜厚を変化させて発熱部材を作製した。
【0046】
【表3】
電子レンジに発熱体及び水100mlを入れ、マイクロ波を2分間照射した。マイクロ波の出力は500Wである。発熱体の温度はマイクロ波照射後、直ちに電子レンジのドアを開け、放射温度計を用いて測定した。その結果を表3に示す。膜厚が薄い場合(90μm:比較例5〜7)は温度が200℃まで達せず、膜厚が厚い場合(270μm:比較例8〜10)には発火が生じた。
<実施例1における魚の加熱処理>
500Wの電子レンジにより実施例1の発熱体を介して魚を加熱処理した。魚の重量は100gとした。加熱処理時間は、焼き魚として美味しく食べられる状態であり、尚且つ魚の表面に焦げ目がつくまでの時間とした。
<比較例11>
比較例11として、ポリエチレンテレフタレート12μmにアルミニウムを60Å蒸着させた発熱体を作製した。500Wの電子レンジにより比較例11の発熱体を介して魚を加熱処理した。魚の重量は100gとした。
【0047】
【表4】
その結果を表4に示す。結果、実施例1は比較例11よりも短時間(2分30秒(150秒)以内)で食品を加熱処理することができ、かつドリップ量も少なかった。
【0048】
以上の事から、本実施例では炭化物1.0gに対しCMC0.2〜0.4g、AL(OH)1.3gの混合物を、100μm〜250μmの薄肉シート状に成形して発熱体となすのが望ましいと考えた。重量比率としては、炭:CMC:Al(OH)=1.0:0.4:1.3が、最も好ましい重量比率と考えた。
【0049】
また、表4の焼き上がり結果より、本発明品は、従来品に比べて時間の短縮(50秒〜60秒)・ドリップ量の削減において従来品の欠点(問題点)が解消されている。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明は、電子レンジ加熱調理手段に用いられる電子レンジ用発熱体として有効であり、個々のニーズに対応した電子レンジ用加熱容器の発熱体として有効である。
【符号の説明】
【0051】
1 発熱体
2 コーティング層
3 紙製シート層
4 発熱部材
図1