特許第5871335号(P5871335)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5871335多段単色印刷カートリッジ式印刷システムおよび印刷位置合わせ方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5871335
(24)【登録日】2016年1月22日
(45)【発行日】2016年3月1日
(54)【発明の名称】多段単色印刷カートリッジ式印刷システムおよび印刷位置合わせ方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/165 20060101AFI20160216BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20160216BHJP
【FI】
   B41J2/165 503
   B41J2/165 101
   B41J2/165 301
   B41J2/01 307
【請求項の数】8
【全頁数】49
(21)【出願番号】特願2013-533055(P2013-533055)
(86)(22)【出願日】2011年10月14日
(65)【公表番号】特表2013-539722(P2013-539722A)
(43)【公表日】2013年10月28日
(86)【国際出願番号】AU2011001312
(87)【国際公開番号】WO2012048382
(87)【国際公開日】20120419
【審査請求日】2014年5月29日
(31)【優先権主張番号】61/393,361
(32)【優先日】2010年10月15日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512193425
【氏名又は名称】メムジェット テクノロジー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】特許業務法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】プロファカ,マーク
(72)【発明者】
【氏名】コロドゥコ,ジュリアン ポール
(72)【発明者】
【氏名】ステイシー,ウィリアム ジョン
(72)【発明者】
【氏名】スレイペン,スティーヴン ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ストラドウィック,クレイグ ドナルド
(72)【発明者】
【氏名】エドワーズ,ニール ファイフ
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン,ランス トーマス
(72)【発明者】
【氏名】オステ,トビー デスモンド
(72)【発明者】
【氏名】オドネル,エリック パトリック
(72)【発明者】
【氏名】ソベイ,ピーター ジョン モーリー
(72)【発明者】
【氏名】ベルナルディ,デイヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー,ジェイムズ
【審査官】 高松 大治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−246761(JP,A)
【文献】 特開2010−173812(JP,A)
【文献】 特開2005−138371(JP,A)
【文献】 特開2010−173242(JP,A)
【文献】 特開2008−284719(JP,A)
【文献】 特開2002−120386(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J2/01−2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれが印刷媒体の進行方向に交差して延び、前記印刷媒体の進行方向に沿って離間した複数の印刷ヘッドカートリッジであって、各々が個別のインクジェット印刷ヘッドを有する印刷ヘッドカートリッジと、
前記複数の印刷ヘッドカートリッジを支持するための印刷ヘッドシャーシと;
前記印刷ヘッドを、印刷位置、移行位置、および保守位置間で昇降させるリフト機構と;
その上に装填した対応する複数の保守用受け台を有するシャーシフレームを支持する保守シャーシであって、各保守用受け台が各々の印刷ヘッドを保守し、前記シャーシフレームが前記保守シャーシに対して摺動可能である保守シャーシと;
前記保守シャーシを、前記保守用受け台が前記印刷ヘッドカートリッジから横方向に移動した格納位置と、各保守用受け台が各々の印刷ヘッドカートリッジの反対側にある動作可能位置との間で、横方向に摺動させる後退機構と;
前記保守シャーシの摺動方向に対して直交方向に前記シャーシフレームを前記保守シャーシに対して摺動可能に移動させるフレーム移動機構と;
その上を前記印刷媒体を支持し伝搬させるプラテンと;
を具え、
前記保守用受け台が各印刷ヘッドと平行に延在するキャッパ及びワイパーを具え、
前記動作可能位置にいて、前記フレーム移動機構が、前記シャーシフレームを前記保守シャーシに対して摺動させ、各キャッパ又は各ワイパーを各々の印刷ヘッドに整列させる、ことを特徴とするインクジェット印刷システム。
【請求項2】
請求項1に記載のインクジェット印刷システムにおいて、前記印刷ヘッドシャーシは、その各隅部にピンブッシュを含むことを特徴とするインクジェット印刷システム。
【請求項3】
請求項2に記載のインクジェット印刷システムにおいて、前記保守シャーシは、その各隅部から突出した位置決めピンを含み、各位置決めピンは、前記印刷ヘッドシャーシのピンブッシュに受け入れられるように構成されることを特徴とするインクジェット印刷システム。
【請求項4】
請求項3に記載のインクジェット印刷システムにおいて、前記印刷ヘッドシャーシの前記ピンブッシュの1つは、前記保守シャーシの位置決めピンを受け入れる円錐形の窪みを画定することを特徴とするインクジェット印刷システム。
【請求項5】
請求項4に記載のインクジェット印刷システムにおいて、前記円錐形の窪みにより、前記位置決めピンの前記ピンブッシュ内での水平面内の移動に対する自由度が全くなくなることを特徴とするインクジェット印刷システム。
【請求項6】
請求項3に記載のインクジェット印刷システムにおいて、前記印刷ヘッドシャーシの前記ピンブッシュの1つは、前記保守シャーシの位置決めピンを受け入れる楕円錐形の窪みを画定することを特徴とするインクジェット印刷システム。
【請求項7】
請求項6に記載のインクジェット印刷システムにおいて、前記楕円錐形の窪みにより、前記位置決めピンの前記ピンブッシュ内での水平面内の移動に対して1自由度が付与されることを特徴とするインクジェット印刷システム。
【請求項8】
前記印刷ヘッドシャーシを前記印刷システムの本体に取り付けるためのはさみ状ガイドと、
前記はさみ状ガイドと機械的に係合する持ち上げ機構と、
をさらに含む請求項1に記載のインクジェット印刷システムにおいて、
前記はさみ状ガイドおよび持ち上げ機構は、前記印刷ヘッドシャーシに、前記印刷位置、保守位置、および移行位置間で直線移動をさせることを特徴とするインクジェット印刷システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、複数のページ幅印刷ヘッドカートリッジを使用するカラーインクジェット印刷システムに関する。
【背景技術】
【0002】
フルカラー印刷用に設計されたインクジェット印刷ヘッドカートリッジは、従来から複数のノズル列を有し、シアン、マゼンタ、イエロー、およびブラックの各色の印刷ごとに1つのノズル列がある。このように構成された従来の印刷ヘッドカートリッジは、各ノズル列が、ページ上の各ラインの印刷に部分的に寄与するように動作する。言い換えると、ページ上に印刷される各フルカラーラインは、印刷ヘッドカートリッジのすべてのノズル列からインクを受け取る。
【0003】
例えば、カラー画像を印刷する際に、印刷ヘッドカートリッジのシアンノズル列の1つまたは複数のノズルが、ページ上の第1のラインに必要とされるシアン色のドットを印刷する。続いて、印刷ヘッドカートリッジのマゼンタノズル列の1つまたは複数のノズルが、ページ上のこの同じ第1のラインに必要とされるマゼンタ色のドットを印刷し、続いて、印刷ヘッドのイエロー列およびブラック列の1つまたは複数のノズルが同様に印刷する。このように、ページの第1のラインは、1つの印刷ヘッドカートリッジの各C、M、Y、およびKノズル列からインクを受け取り、それにより、ページの第1のフルカラーラインに必要なすべての色が再現される。
【0004】
過去において、インクジェット印刷システムは、ページ幅よりも遙かに短い(多くの場合、1または2ノズル分の幅であるが、複数のノズル分の高さがある)印刷ヘッドカートリッジが、ページ幅全体にわたって走査/移動して、ページ上のすべての必要な位置にインクを噴射する走査型印刷ヘッドカートリッジを採用した。そのようなシステムは、レーザ印刷システムなどの他の印刷方法よりも遅いという評価を得てきた。
【0005】
走査型インクジェット印刷システムの速度上の欠点に対処するために、静止式であり、画像が印刷される印刷媒体の幅全体にまたがる印刷ヘッドカートリッジを使用するページ幅インクジェット印刷システムが開発された。そのようなページ幅インクジェット印刷システムの印刷速度は、レーザ印刷システムの印刷速度と同等である。しかし、そのようなページ幅インクジェット印刷システムの印刷速度が、印刷品質を損なうことなくさらにいっそう増速されるならば、それは望ましいことである。
【発明の概要】
【0006】
本開示の第1の実施形態によれば、カラーインク印刷システムは、それぞれが印刷媒体の進行方向に交差して延び、印刷媒体の進行方向に沿って離間した複数の印刷ヘッドカートリッジと、印刷位置、移行位置、および保守位置間で駆動可能である、複数の印刷ヘッドカートリッジを支持するための印刷ヘッドシャーシと、格納位置と動作可能位置との間で駆動可能である、複数の保守用受け台を支持するための保守シャーシとを含む。複数の印刷ヘッドカートリッジの各々は、プラテンに対して静止した状態に保持され、印刷媒体は、印刷媒体に印刷が行われるようにプラテン上を進む。複数の印刷ヘッドカートリッジの各々は、その他の複数の印刷ヘッドカートリッジとは異なる流体を噴射する単色印刷ヘッドカートリッジである。
【0007】
第1の実施形態の一態様では、印刷ヘッドシャーシは、印刷位置においてプラテンに支持される。
【0008】
第1の実施形態の別の態様では、印刷位置にある印刷ヘッドシャーシは、プラテンより上に懸架された1対のガントリから支持される。
【0009】
第1の実施形態の別の態様では、印刷ヘッドシャーシは、保守位置において保守シャーシによって支持される。
【0010】
第1の実施形態の別の態様では、印刷ヘッドシャーシの印刷位置は、印刷ヘッドシャーシの保守位置よりも低い。
【0011】
第1の実施形態の別の態様では、印刷ヘッドシャーシの保守位置は、印刷ヘッドシャーシの移行位置よりも低い。
【0012】
第1の実施形態の他の態様では、格納位置にある場合に、保守シャーシは、印刷ヘッドシャーシの設置領域から外れて格納される。
【0013】
第1の実施形態の別の態様では、動作可能位置にある場合に、保守シャーシは、印刷ヘッドシャーシの設置領域の下に配置される。
【0014】
第1の実施形態の別の態様では、印刷ヘッドシャーシは、その各隅部にピンブッシュを含む。
【0015】
第1の実施形態の別の態様では、保守シャーシは、その各隅部から突出した位置決めピンを含み、各位置決めピンは、印刷ヘッドシャーシのピンブッシュに受け入れられるように構成される。
【0016】
第1の実施形態の別の態様では、印刷ヘッドシャーシのピンブッシュの1つは、保守シャーシの位置決めピンを受け入れる円錐形の窪みを画定する。
【0017】
第1の実施形態の別の態様では、円錐形の窪みにより、位置決めピンのピンブッシュ内での水平面内の移動に対する自由度が全くなくなる。
【0018】
第1の実施形態の別の態様では、印刷ヘッドシャーシのピンブッシュの1つは、保守シャーシの位置決めピンを受け入れる楕円錐形の窪みを画定する。
【0019】
第1の実施形態の別の態様では、楕円錐形の窪みにより、位置決めピンのピンブッシュ内での水平面内の移動に対して1自由度が付与される。
【0020】
第1の実施形態の別の態様では、印刷システムはプラテンをさらに含み、印刷媒体はプラテンに支持されて進む。
【0021】
第1の実施形態の別の態様では、プラテンは、その隅部からそれぞれ突出した位置決めピンを含み、各位置決めは、印刷ヘッドシャーシのピンブッシュ内に受け入れられるように構成される。
【0022】
第1の実施形態の別の態様では、プラテンの各位置決めピンはカムと機械的に係合し、カムは調整ノブと機械的に係合し、それにより、位置決めピンのプレートからの突出高さを調整することができる。
【0023】
第1の実施形態の別の態様では、各位置決めピンは、スプリング上に支持され、そのスプリングによって付勢されてプラテン表面から突出し、プラテンは、各位置決めピンのまわりに配置されて、各位置決めピンをプラテンの表面から所望の突出高さでクランプするクランプ装置を含む。
【0024】
第1の実施形態の別の態様では、印刷ヘッドシャーシは、印刷ヘッドシャーシの各隅部から上方に延びる複数の支持アームを含む。
【0025】
第1の実施形態の別の態様では、各支持アームは、印刷ヘッドシャーシに向かって下方に延びる位置決めピンを含む。
【0026】
第1の実施形態の別の態様では、各支持アームは、印刷ヘッドシャーシに向かう各位置決めピンの伸長を調整するピン高さ調整器を含む。
【0027】
第1の実施形態の別の態様では、印刷システムは、印刷システムの本体に取り付けられた取付フレームをさらに含み、取付フレームは複数のピンブッシュを含み、取付フレームは、プラテンより上に懸架されたガントリと連結するように構成される。
【0028】
第1の実施形態の別の態様では、支持アームの複数の位置決めピンは、それぞれ取付フレームの複数のピンブッシュに受け入れられるように構成される。
【0029】
第1の実施形態の別の態様では、取付フレームのピンブッシュの1つは、支持アームの位置決めピンを受け入れる円錐形の窪みを画定する。
【0030】
第1の実施形態の別の態様では、円錐形の窪みにより、位置決めピンのピンブッシュ内での水平面内の移動に対する自由度が全くなくなる。
【0031】
第1の実施形態の別の態様では、取付フレームのピンブッシュの1つは、支持アームの位置決めピンを受け入れる楕円錐形の窪みを画定する。
【0032】
第1の実施形態の別の態様では、楕円錐形の窪みにより、位置決めピンのピンブッシュ内での水平面内の移動に対して1自由度が付与される。
【0033】
第1の実施形態の別の態様では、印刷システムは、印刷ヘッドシャーシを印刷システムの本体に取り付けるためのはさみ状ガイドと、はさみ状ガイドと機械的に係合する持ち上げ機構とをさらに含み、はさみ状ガイドおよび持ち上げ機構は、印刷ヘッドシャーシに、印刷位置、保守位置、および移行位置間で直線移動をさせる。
【0034】
第1の実施形態の別の態様では、各印刷ヘッドカートリッジは、端部と端部を合わせて配置された複数の印刷ヘッドタイルで構成されたモジュール式印刷ヘッドを含む。
【0035】
第1の実施形態の別の態様では、各印刷ヘッドタイルは、複数のインク噴射ノズル列を画定し、印刷ヘッドは、複数のインク噴射ノズル列を画定する複数の印刷ヘッドタイルで構成される。
【0036】
第1の実施形態の別の態様では、各印刷ヘッドカートリッジの複数のインク噴射ノズル列はすべて、同じ色のインクを噴射する。
【0037】
第1の実施形態の別の態様では、ある印刷ヘッドカートリッジの複数のインク噴射ノズル列は、別の印刷ヘッドカートリッジの複数のインク噴射ノズル列によって噴射されるインクの色とは異なる第1の色のインクを噴射する。
【0038】
第1の実施形態の別の態様では、1つまたは複数の印刷ヘッドカートリッジは、印刷ヘッドタイルの周辺に画定された複数の通気スリットを含み、各通気スリットは、印刷ヘッドタイルから離れたインクエアロゾル粒子を吸い込むために吸引力を加えられる。
【0039】
第1の実施形態の別の態様では、1つまたは複数の印刷ヘッドカートリッジはそれぞれ、インクエアロゾル粒子を印刷ヘッドカートリッジから遠くに搬送するためのエアロゾル搬送手段と係合するように構成された通気出口を含む。
【0040】
第1の実施形態の別の態様では、エアロゾル搬送手段は、インクエアロゾルタンクに接続され、インクエアロゾルタンクは、エアロゾルフィルタを含む。
【0041】
第1の実施形態の別の態様では、印刷システムは、インクエアロゾルタンクに接続された吸引装置をさらに含み、吸引装置は、複数の通気スリットに吸引力を提供する。
【0042】
第1の実施形態の別の態様では、エアロゾル搬送手段は複数のホースを含み、各ホースは、1つまたは複数の印刷ヘッドカートリッジの通気出口をそれぞれインクエアロゾルタンクの入力ポートに接続する。
【0043】
第1の実施形態の別の態様では、エアロゾル搬送手段は、共通搬送レールと、1つまたは複数の印刷ヘッドカートリッジの通気出口を共通搬送レールに接続する複数の接続器とを含み、共通搬送レールは、その一方の端部でインクエアロゾルタンクにさらに接続される。
【0044】
第1の実施形態の別の態様では、各保守用受け台は、キャッパおよびクリーナを含む。
【0045】
第1の実施形態の別の態様では、保守シャーシは、複数の保守用受け台が支持された副フレームを含み、保守シャーシは、副フレームに取り付けられたモータをさらに含み、モータは、副フレームを保守シャーシ内で直線的に並進させるように動作可能である。
【0046】
第1の実施形態の別の態様では、副フレームは、保守シャーシ内を直線的に並進して、キャッパまたはクリーナの一方をそれぞれの印刷ヘッドカートリッジと整列させる。
【0047】
第1の実施形態の別の態様では、キャッパは、印刷媒体の進行方向に、クリーナに隣接して設けられ、副フレームは、印刷媒体の進行方向に直線的に並進して、キャッパまたはクリーナの一方をそれぞれの印刷ヘッドカートリッジと整列させる。
【0048】
第1の実施形態の別の態様では、クリーナは、流体吸収材料からなる第1のローラを含み、第1のローラは、それぞれの印刷ヘッドカートリッジの印刷ヘッドを拭くためにある。
【0049】
第1の実施形態の別の態様では、クリーナは、硬質材料からなる第2のローラを含み、第2のローラは、第1のローラを圧迫して、第1のローラに吸収されたインクを絞り出すためにある。
【0050】
第1の実施形態の別の態様では、クリーナは、第1のローラからインクを絞り出した第2のローラをこするためのワイパブレードを含む。
【0051】
第1の実施形態の別の態様では、各保守用受け台は、クリーナおよびキャッパが排液する排液溜めを含む。
【0052】
第1の実施形態の別の態様では、排液溜めは傾斜した床部を有する。
【0053】
第1の実施形態の別の態様では、排液溜めは、傾斜床部の下端にある排液穴を含む。
【0054】
第1の実施形態の別の態様では、保守シャーシは、その片側に沿ったインク収集チャネルを画定し、インク収集チャネルは、複数の保守用受け台の各排液穴からインクを受け入れるためにある。
【0055】
第1の実施形態の別の態様では、印刷システムは、廃インク収集器をさらに含み、保守シャーシのインク収集チャネルは、インク収集チャネルの端部に設けられたチャネル出口から廃インク収集器に排液する。
【0056】
第1の実施形態の別の態様では、廃インク収集器は平坦なトレイである。
【0057】
第1の実施形態の別の態様では、平坦なトレイは、少なくとも、保守シャーシが格納位置と動作可能位置との間で駆動されるときのチャネル出口の移動の軌跡を包含する設置領域を有する。
【0058】
第1の実施形態の別の態様では、平坦なトレイは厚さを有し、印刷位置にある場合に、平坦なトレイの底部が、印刷ヘッドカートリッジの印刷ヘッドよりも下にならないように配置される。
【0059】
開示される本発明の第2の実施形態によれば、印刷方法は、カラー画像を受け取り、カラー画像を複数の異なる色平面に分解するステップと、第1の異なる色平面用のドットデータを得るために、第1の異なる色平面をディザリングするステップと、第2の異なる色平面用のドットデータを得るために、第2の異なる色平面をディザリングするステップと、第1の印刷ヘッドカートリッジの複数のノズル列で印刷するために、第1の異なる色平面のドットデータを第1の印刷ヘッドカートリッジに供給するステップと、印刷媒体の進行方向で、第1の印刷ヘッドカートリッジより下流に配置された第2の印刷ヘッドカートリッジに第2の異なる色平面のドットデータを供給し、第2の異なる色平面のドットデータは、第2の印刷ヘッドカートリッジの複数のノズル列で印刷するためにあるステップとを含む。
【0060】
第2の実施形態の別の態様では、方法は、第2の異なる色平面のドットデータに遅延を加えるステップをさらに含み、この遅延は、第1の印刷ヘッドカートリッジからの第2の印刷ヘッドカートリッジの空間的隔たりを補償する。
【0061】
第2の実施形態の別の態様では、方法は、第1の印刷ヘッドカートリッジによる第1の異なる色平面の印刷を1つまたは複数のノズル列分だけ進ませる、および遅らせるために、第1の異なる色平面のドットデータを1つまたは複数のノズル列分だけ、印刷媒体の進行方向で垂直方向にずらすステップをさらに含み、印刷媒体の進行方向における第1の印刷ヘッドカートリッジの第2の印刷ヘッドカートリッジに対する物理的ずれが補償される。
【0062】
第2の実施形態の別の態様では、方法は、第2の印刷ヘッドカートリッジによる第2の異なる色平面の印刷を1つまたは複数のノズル列分だけ進ませる、および遅らせるために、第2の異なる色平面のドットデータを1つまたは複数のノズル列分だけ、印刷媒体の進行方向で垂直方向にずらすステップをさらに含み、印刷媒体の進行方向における第2の印刷ヘッドカートリッジの第1の印刷ヘッドカートリッジに対する物理的ずれが補償される。
【0063】
第2の実施形態の別の態様では、方法は、第1の印刷ヘッドカートリッジの複数のノズル列の最後の列からの、第1の印刷ヘッドカートリッジの複数のノズル列の最初の列の物理的な隔たりに合わせて、第1の異なる色平面のドットデータを再配列するステップをさらに含む。
【0064】
第2の実施形態の別の態様では、方法は、第2の印刷ヘッドカートリッジの複数のノズル列の最後の列からの、第2の印刷ヘッドカートリッジの複数のノズル列の最初の列の物理的な隔たりに合わせて、第2の異なる色平面のドットデータを再配列するステップをさらに含む。
【0065】
第2の実施形態の別の態様では、方法は、第1の異なる色平面のドットデータを1つまたは複数のドットピッチ分だけ印刷媒体の進行に対して垂直な方向で水平方向にずらすステップをさらに含むことをさらに含み、印刷媒体の進行に対して垂直な方向の印刷媒体の振れが補償される。
【0066】
第2の実施形態の別の態様では、方法は、第2の異なる色平面のドットデータを1つまたは複数のドットピッチ分だけ印刷媒体の進行に対して垂直な方向で水平方向にずらすステップをさらに含み、印刷媒体の進行に対して垂直な方向の印刷媒体の振れが補償される。
【0067】
開示される本発明の第3の実施形態によれば、印刷方法は、カラー画像を受け取り、カラー画像を複数の異なる色平面に分解するステップと、各異なる色平面を複数の偽造色平面に分解するステップと、1つの異なる色平面に対応する複数の偽造色平面を偽造色平面の合成物で論理的に構成される偽造カラー画像に編成するステップと、印刷するために、複数のノズル列を有する印刷ヘッドカートリッジの多色印刷エンジンに偽造カラー画像を渡すステップとを含む。
【0068】
第3の実施形態の別の態様では、方法は、偽造色平面を得るために、多色印刷エンジン内の偽造カラー画像を分解するステップと、各偽造色平面に対する印刷データを生成するステップと、第1の偽造色平面の印刷データを印刷ヘッドカートリッジの第1のノズル列に送り、第2の偽造色平面の印刷データを第1のノズル列と異なる印刷ヘッドカートリッジの第2のノズル列に送るステップとをさらに含む。
【0069】
第3の実施形態の別の態様では、方法は、第2のノズル列が印刷するドットが、第1のノズル列が印刷するドット上に載るのを防止するために、印刷ヘッドカートリッジを通り過ぎる印刷媒体の進行速度を増速するステップをさらに含む。
【0070】
開示される本発明の第4の実施形態によれば、印刷媒体進行路に沿って印刷システムに配置された複数の印刷ヘッドカートリッジであって、それぞれが、印刷媒体進行路の幅にわたって、端部と端部を合わせて配置された複数の印刷ヘッドタイルを有する複数の印刷ヘッドカートリッジを位置合わせする方法は、基準印刷ヘッドカートリッジとして第1の印刷ヘッドカートリッジを選択するステップと、基準印刷ヘッドカートリッジを使用して、第1の複数のバーニヤパターン(Vernier pattern)を印刷し、各第1の複数のバーニヤパターンは、基準印刷ヘッドカートリッジの印刷ヘッドタイルに対応するステップと、第2の印刷ヘッドカートリッジを使用して、第1の複数のバーニヤパターン上に第2の複数のバーニヤパターンを印刷するステップと、第1の複数のバーニヤパターン上に第2の複数のバーニヤパターンを印刷することで生じる干渉パターンから、基準印刷ヘッドカートリッジの対応する印刷ヘッドタイルからの、第2の印刷ヘッドカートリッジの複数の印刷ヘッドタイルの各々の印刷媒体進行路に沿った分離距離を求めるステップとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0071】
図1A図1Aは、移行位置にある、開示される本発明による印刷システムの前部斜視図である。
図1B図1Bは、印刷位置にある、開示される本発明による印刷システムの前部斜視図である。
図1C図1Cは、保守位置にある、開示される本発明による印刷システムの前部斜視図である。
図1D図1Dは、開示される本発明による印刷システムの上面図である。
図2A図2Aは、印刷ヘッドシャーシの上部斜視図である。
図2B図2Bは、印刷ヘッドシャーシの底部斜視図である。
図2C図2Cは、印刷ヘッドシャーシの上面図である。
図3A図3Aは、保守シャーシの上部斜視図である。
図3B図3Bは、保守シャーシの底部斜視図である。
図4A図4Aは、保守シャーシ副フレームの上部斜視図である。
図4B図4Bは、保守シャーシ副フレームの底部斜視図である。
図4C図4Cは、保守シャーシ主フレームの上部斜視図である。
図5A図5Aは、保守用受け台の上部斜視図である。
図5B図5Bは、保守用受け台の底部斜視図である。
図6図6は、開示される本発明による印刷システムの後部斜視図である。
図7図7は、インクブレードの平面図である。
図8A図8Aは、プラテンアセンブリの上部斜視図である。
図8B図8Bは、プラテンアセンブリの底部斜視図である。
図9図9は、位置決めブッシュの集合図(compilation view)である。
図10図10は、スロット付き位置決めブッシュの集合図である。
図11図11は、平坦なピンブッシュの集合図である。
図12図12は、印刷ヘッドカートリッジの平面図であり、印刷ヘッドタイル上のノズルおよびノズル列の配置を概略的に示している。
図13図13は、開示される本発明のバーニヤ校正マップを示している。
図14図14は、バーニヤパターンを示している。
図15図15は、基準ラインセンサの概略図である。
図16A図16Aは、開示される本発明の印刷システムで印刷するための画像を作成するプロセスを示すフローチャートである。
図16B図16Bは、開示される本発明の印刷システムで印刷するための画像を作成するプロセスを示すフローチャートである。
図16C図16Cは、開示される本発明の印刷システムで印刷するための画像を作成するプロセスを示すフローチャートである。
図16D図16Dは、開示される本発明の印刷システムで印刷するための画像を作成するプロセスを示すフローチャートである。
図17A図17Aは、開示される本発明の印刷ヘッドカートリッジ用のドットデータを作成するプロセスを示すフローチャートである。
図17B図17Bは、開示される本発明の印刷ヘッドカートリッジ用のドットデータを作成するプロセスを示すフローチャートである。
図18A図18Aは、単色印刷ヘッドカートリッジに代えて多色印刷ヘッドカートリッジが使用される場合に、印刷システムで印刷するための偽造カラー画像を生成するプロセスを示すフローチャートである。
図18B図18Bは、単色印刷ヘッドカートリッジに代えて多色印刷ヘッドカートリッジが使用される場合に、印刷システムで印刷するための偽造カラー画像を生成するプロセスを示すフローチャートである。
図19図19は、偽造カラー画像を印刷するプロセスを示すフローチャートである。
図20図20は、開示される本発明の第2の実施形態によるエアロゾル抽出システムを有する印刷ヘッドシャーシを示している。
図21図21は、開示される本発明の第3の実施形態による印刷システムを示している。
図21A図21Aは、開示される本発明の第3の実施形態による印刷システムを示している。
図22図22は、開示される本発明の第4の実施形態によるプラテンを示している。
図23図23は、開示される本発明の第4の実施形態によるプラテンを示している。
図24図24は、開示される本発明の第4の実施形態によるプラテンを示している。
図25図25は、開示される本発明の第5の実施形態による廃インク排出システムを示している。
図26図26は、開示される本発明の第5の実施形態による廃インク排出システムを示している。
【発明を実施するための形態】
【0072】
概説
ページ幅カラーインクジェット印刷システムの印刷速度を増速させるための1つの問題解決策は、プリンタにあるページ幅カラー印刷ヘッドカートリッジの数量を増やすことである。しかし、複数のページ幅カラー印刷ヘッドカートリッジを単に用意するだけでは、必ずしも、望ましい、期待される、または許容可能な結果が得られるわけではない。本発明の発明者らは、単一のページ幅カラー印刷ヘッドカートリッジが印刷するものを印刷するのに、単に、複数のページ幅カラー印刷ヘッドカートリッジを使用するだけでは、品質が大幅に損なわれた印刷画像になることを発見した。複数のページ幅カラー印刷ヘッドカートリッジを利用することに伴う問題が以下に説明される。
【0073】
ページ幅カラー印刷ヘッドカートリッジは、それぞれが、特定の色、例えば、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック、またはスポットカラー(例えば、カーキ)のドットを噴射する、複数の論理ノズル列を含むと考えることができる。この説明のために、ページ幅カラー印刷ヘッドカートリッジは、上記の各色ごとに1つとして、5つの論理列を有すると仮定する。シート状の印刷媒体にフルカラー画像を印刷中の所与の瞬間に、ページ幅カラー印刷ヘッドカートリッジの動作として、印刷ヘッドカートリッジの第1の論理列(例えば、マゼンタ)が第1のマゼンタドットラインを印刷し、第2の論理列(例えば、シアン)が、第1のラインに近接して、第2のシアンドットラインを印刷し、第3の論理列(例えば、イエロー)が、第1および第2のラインに近接して、第3のイエロードットラインを印刷し、以下同様に印刷すると考えることができる。
【0074】
次の瞬間に、ページ幅カラー印刷ヘッドカートリッジの動作として、第1の論理列(例えば、マゼンタ)が、前の瞬間に第2の論理列で印刷された第2のドットライン(例えば、シアン)に重なる新たなドットラインを印刷すると考えることができる。第2の論理列(例えば、シアン)は、前の瞬間に第3の論理列が印刷した第3のドットライン(例えば、イエロー)に重なる新たなドットラインを印刷し、以下同様である。最終的に、印刷媒体が、5つの論理ノズル列の設置領域に等しい距離だけ進んだときには、5つの(またはそれを超える)フルカラードットライン、および4つの(またはそれを超える)部分カラードットラインが印刷媒体に印刷される。
【0075】
例えば、印刷媒体を横切り、印刷媒体の進行方向に沿って前後に配置された5つのページ幅カラー印刷ヘッドカートリッジを使用するシステムでは、印刷媒体が進む速度は、単一の印刷ヘッドカートリッジの5つの論理列がドットを互いに重ねる形で噴射しないように増速される。その代わりとして、第1のページ幅カラー印刷ヘッドカートリッジは、異なる色(例えば、ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー、およびカーキ)の5つのラインを印刷し、後の(下流の)ページ幅カラー印刷ヘッドカートリッジは、同様に印刷するが、第1のページ幅カラー印刷ヘッドによって噴射された異なる色の5つのラインの上にそのドットを噴射するように構成される。このようにして、1つだけのページ幅カラー印刷ヘッドカートリッジが使用される場合よりも5倍速い速度でフルカラー画像が印刷される。
【0076】
しかし、本発明の発明者らは、上記の態様で動作する5つのページ幅カラー印刷ヘッドカートリッジを使用するシステムは、補償するのがきわめて困難な印刷欠陥をもたらすことを発見した。その欠陥を以下に説明する。
【0077】
印刷媒体を横切り、印刷媒体の進行方向に沿って前後に配置された複数のページ幅カラー印刷ヘッドカートリッジを利用するシステムでは、印刷ヘッドカートリッジ間で特定の量のずれが発生するのは不可避である。そのようなずれの1つは、カラー印刷ヘッドカートリッジを隔てる距離(すなわち、ピッチ/空き間隔)のずれである。
【0078】
各カラー印刷ヘッドカートリッジが、隣接する印刷ヘッドカートリッジから正確に8cmにあるようにシステムが設定されていても、この理想が厳密に満たされない場合、大きな印刷欠陥が認められる。そのようなシステムでは、第1の印刷ヘッドカートリッジが、それぞれのラインが異なる色である5つのラインからなる第1のグループを印刷し、第2の印刷ヘッドカートリッジが、同様にそれぞれのラインが異なる色である5つのラインからなる別のグループを5つのラインからなる第1のグループの上に後で印刷すると考えられるので、第1および第2の印刷ヘッドカートリッジを隔てる距離の1列分だけのずれにより、5つのラインのすべてが誤った色混合で印刷されると理解できる。
【0079】
例えば、第2の印刷ヘッドカートリッジの論理列が、第1の印刷ヘッドカートリッジから1列分遠すぎる場合に、第2の印刷ヘッドカートリッジが印刷する第1のドットラインは、第1の印刷ヘッドカートリッジが印刷する第2のドットラインと重なり、第2の印刷ヘッドカートリッジが印刷する第2のドットラインは、第1の印刷ヘッドカートリッジが印刷する(第2のラインではなくて)第3のドットラインと重なり、第2の印刷ヘッドカートリッジが印刷する第3のドットラインは、第1の印刷ヘッドカートリッジが印刷する(第3のラインではなくて)第4のドットラインと重なり、第2の印刷ヘッドカートリッジが印刷する最後のドットラインが(第1の印刷ヘッドカートリッジが印刷する最後のラインと重なるのではなくて)どれとも重ならないまで以下同様である。
【0080】
この問題は、使用される印刷ヘッドカートリッジの数が多くなるほど指数関数的に悪化する。5つのページ幅印刷ヘッドカラーカートリッジを利用するシステムでは、この問題はきわめて複雑になり、補償するのが困難になる。ある印刷ヘッドカートリッジは、一方の側の隣接するものと近すぎ、さらに、他方の側の隣接するものと近すぎることがあり、隣接する印刷ヘッドカートリッジも同様にその隣接するものからずれることがあり、以下同様である。
【0081】
さらに、ページ幅印刷ヘッドカートリッジは通常、ページ幅印刷ヘッドカートリッジの幅にわたって、端部と端部を合わせて配置された複数の単一印刷ヘッドタイルで構成される。1つまたは複数の印刷ヘッドタイルが、ページ幅印刷ヘッドカートリッジを構成するその他の印刷ヘッドタイルと必ずしも一列に整列しないのは、この場合も不可避である。1つまたは複数の印刷ヘッドタイルは、例えば、その他の印刷ヘッドタイルよりも相対的に高いか、または低いことがある。したがって、ある印刷ヘッドタイルは、隣接する印刷ヘッドカートリッジの印刷ヘッドタイルに近すぎることがあり、一方、別の印刷ヘッドタイルは、隣接する印刷ヘッドカートリッジから遠すぎることがある。ある印刷ヘッドカートリッジの複数の印刷ヘッドタイルが、隣接する印刷ヘッドカートリッジの印刷ヘッドタイルから近すぎ/遠すぎ、その隣接する印刷ヘッドカートリッジ自体が、他の隣接する印刷ヘッドカートリッジから近すぎる/遠すぎる場合の可能な組み合わせは複数あると理解できる。
【0082】
他のずれは、ページ幅印刷ヘッドカートリッジが完全な直線状になるのはまれであるということに起因する。ページ幅印刷ヘッドカートリッジの製造におけるばらつきにより、通常、印刷ヘッドカートリッジは、ランダムな方向に若干曲がる。したがって、印刷ヘッドカートリッジが印刷するドットラインが、ランダムな方向に若干曲がることがあるだけでなく、ある印刷ヘッドカートリッジの論理列を隣接する印刷ヘッドカートリッジの論理列から隔てる距離も、ノズルが列のどの部分にあるかに応じて変わることがある。論理列の中央にあるノズルは、隣接する印刷ヘッドカートリッジの論理列から理想的な距離にあり得るが、論理列の端部のノズルは近すぎるか、または遠すぎることがある。隣接する印刷ヘッドカートリッジの論理列が互いにどの程度近いか、またはどの程度遠いかは、各印刷ヘッドカートリッジの曲がり量と、印刷ヘッドカートリッジおよびその隣接するものの曲がりの方向/向きとによる。
【0083】
印刷ヘッドカートリッジ間のさらなるずれは、印刷ヘッドカートリッジ自体の、さらに、印刷ヘッドカートリッジを支持する構造体の熱膨張および熱収縮に起因して発生する。熱膨張は、他のタイプのずれを引き起こすだけでなく、印刷ヘッドカートリッジの論理列を隣接する印刷ヘッドカートリッジの論理列から隔てる距離のずれも引き起こす。
【0084】
各ページ幅カラー印刷ヘッドカートリッジは、各色の1ラインを印刷するので、各ページ幅カラー印刷ヘッドカートリッジは、フルカラー画像を構成する各単色画像の印刷に部分的に寄与すると考えることができる(フルカラー画像は、複数の単色画像の重ね合わせである)。したがって、各単色画像は部分的に印刷され、部分が互いに継ぎ合わされる寄せ集めとみなすことができる。各部分は、その部分を印刷した印刷ヘッドカートリッジに特有のずれを示す。したがって、各単色画像はそれ自体、各印刷ヘッドカートリッジの曲がりの様々な角度および方向、各印刷ヘッドカートリッジを隔てる距離、さらに、印刷ヘッドカートリッジの横方向(左右)のずれによって生じるばらつきを含む、ドット配置が大きくばらつく画像であると理解できる。
【0085】
各単色画像がドット配置の大きなばらつきを示し、そのばらつきが単色画像間で異なり、実際に、同じ単色画像の部分の間でさえ異なる場合に、単色画像を互いに重ねた合成から得られるフルカラー画像は、顕著な視覚的欠陥を示す。異なる印刷ヘッドカートリッジの論理列を隔てる距離がずれる可能性と、印刷ヘッドカートリッジを構成する個々の印刷ヘッドタイルがずれる可能性と、印刷ヘッドカートリッジの曲がりと、印刷ヘッドカートリッジに及ぼす熱膨張の影響と、各単色画像のどの部分を検討したかに応じて、各単色画像が異なってずれることとを考慮すると、異なる色の5つ以上のドットが互いに完全に重なり合う可能性はほんのわずかである。
【0086】
本発明者らは、5つのページ幅カラー印刷ヘッドカートリッジを使用するシステムを用いて印刷されたカラー画像が、明瞭な干渉パターンを示すことを発見した。
【0087】
上記の理由から、本発明は、複数のページ幅単色印刷ヘッドカートリッジを利用する。複数のページ幅カラー印刷ヘッドカートリッジの代わりに複数のページ幅単色印刷ヘッドカートリッジを使用することで、フルカラー画像を構成する各単色画像のすべてのラインは、1つの特定のページ幅印刷ヘッドカートリッジで印刷される。その結果、印刷ヘッドタイルなどの、印刷ヘッドカートリッジを構成する要素の不完全な位置関係によって生じる任意の可視欠陥(例えば、曲がり、印刷ヘッドタイル間のずれなど)は、それらが各単色画像全体を通して一貫しているためにそれほど不快なものではない。本質的に、5つの完全で視覚的に許容可能な単色画像が印刷される。この場合に、各単色画像が実質的に互いに重なってフルカラー画像を生成するように、各ページ幅単色印刷ヘッドカートリッジで印刷される単色画像(すなわち、22−画像、M−画像、Y−画像、K−画像、スポット−画像)の位置を合わせるだけでよい。これは、それぞれが5つの単色画像すべての印刷に部分的に寄与し、その結果として、5つの単色画像のどれもが、上記の顕著なばらつきおよびずれのために視覚的に許容できる範囲から外れ、そのため、5つの単色画像を位置合わせして互いに重ねるだけでなく、5つの各単色画像を補償および修正しようとする、5つのページ幅カラー印刷ヘッドカートリッジを利用するシステムとは対照的である。
【0088】
各単色画像が、他のすべての単色画像と完全に位置を合わせることができない結果として、例えば、ページ上の特定の点で「シアン」ドットが「マゼンタ」ドットの上に正確に載らず、局所的色誤差が若干生じることが認められた。しかし、局所的に不完全な色の配置に起因するこの印刷品質の低下は、5つの異なる印刷ヘッドを使用して、各単色画像を印刷することで生じるそれ自体のむらのある単色画像の印刷による印刷品質の低下よりも知覚的な認識可能性が遙かに低い。
【0089】
複数の印刷ヘッドカートリッジを使用することで、そのような複数の印刷ヘッドカートリッジをどのように支持すべきか、複数の印刷ヘッドカートリッジの保守およびクリーニングをどのように行えばよいか、一定の公差および印刷ヘッドカートリッジと印刷媒体との間の間隔をどのように維持すればよいか、複数の印刷ヘッドカートリッジ間のずれをどのように補正すればよいかなど、構造的および機械的に複雑になる。
【0090】
単一印刷ヘッドカートリッジ式(SPHC)印刷システムで使用される、これらの問題に対する問題解決策は、多段印刷ヘッドカートリッジ式(MPHC)印刷システムの問題解決策として必ずしも役立たない。さらに、これらの問題の一部は、単に、SPHC印刷システムに存在しない。
【0091】
例えば、SPHC印刷システムでは、保守およびクリーニング機構を印刷ヘッドカートリッジの印刷ヘッドに近接して取り付けることができるので、印刷ヘッドをクリーニング/保守するのが必要な場合に、保守およびクリーニング機構ならびに/または印刷ヘッドを所定の位置まで容易に駆動することができる。しかし、MPHCシステムでは、そのような問題解決策は、印刷ヘッドカートリッジの中およびまわりの構成要素の機械密集度を大幅に高め、その結果、より高い公差、より良好な冷却/通気、および/またはシステムのより大きい全設置面積が必要になる。
【0092】
さらに、MPHC印刷システムにおける印刷ヘッドの任意の移動は、印刷ヘッドカートリッジの他の印刷ヘッドカートリッジに対する、さらには、印刷システムのプラテンに対する、移動前および移動後の位置合わせを考慮に入れなければならない。ある印刷ヘッドカートリッジが、例えば、クリーニングおよび保守のために移動する場合、印刷ヘッドカートリッジが移動前と完全に同じ位置に戻ることができるかどうかを考慮しなければならない。クリーニングおよび保守が比較的定期的なイベントであり、このイベントは、各印刷ヘッドカートリッジに対して行われることを考慮すると、SPHCシステムと比較して複雑さが指数関数的に高まると容易に分かる。ある印刷ヘッドカートリッジの他の印刷ヘッドカートリッジに対するずれは、SPHC印刷システムでは明らかに発生しない印刷欠陥をもたらす。
【0093】
機械構造
第1の実施形態
図1A〜1Dは、本発明の第1の実施形態による印刷システム1−1000を示している。印刷システム1−1000は、複数の印刷ヘッドカートリッジ1−20a、1−20b、1−20c、1−20d、1−20e(図1Dを参照のこと)と、対応する印刷ヘッドコントローラモジュール1−25a、1−25b、1−25c、1−25d、1−25eとを保持する印刷ヘッドシャーシ1−10を有する。見やすくするために、図は、1つの印刷ヘッドカートリッジ1−20aのみを示している。ただし、参照数字1−20b、1−20c、1−20d、1−20eを使用して、その他の印刷ヘッドカートリッジがどこに配置されているかを示している。
【0094】
図示した実施形態では、5つの印刷ヘッドカートリッジ1−20a〜1−20eが印刷システム1−1000に設けられている。各印刷ヘッドカートリッジ1−20a〜1−20eは、印刷媒体1−200の幅にまたがっている。5つの印刷ヘッドカートリッジ1−20a〜1−20eは、印刷媒体の進行方向に沿って、すなわち、図1Aの座標軸で示すX方向で前後に配置されている。
【0095】
各印刷ヘッドカートリッジ1−20a〜1−20eは、それぞれの単色インク供給モジュール1−90a、1−90b、1−90c、1−90d、1−90eに接続されている。各印刷ヘッドカートリッジ1−20a〜1−20eは、単一の色/特性のインクのみを印刷する。これは、ある印刷ヘッドカートリッジが複数の色のインクを噴射するSPHC印刷システム、および走査型印刷システムと対照的である。1つの例示的実施形態では、各印刷ヘッドカートリッジ1−20a〜1−20eは、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック、およびスポットカラー(例えば、カーキ)の1つを印刷するが、任意の色の組み合わせを印刷ヘッドカートリッジ1−20a〜1−20eで印刷することができる。
【0096】
当然ながら、開示される本発明は、5つの印刷ヘッドカートリッジだけに限定されず、2つ以上の任意の数の印刷ヘッドカートリッジを含むことができる。さらに、説明を単純かつ簡潔にするために、印刷ヘッドカートリッジ1−20a〜1−20eによって噴射される流体は、本明細書では「インク」と称されるが、当然ながら、「インク」という用語は、定着剤、膠、または他の結合物質、流体半導体材料などを含む、印刷ヘッドカートリッジ1−20a〜1−20eによって噴射することができる任意の流体を指す。同様に、インクは「色」を有するとされるが、当然ながら、「色」という用語は、厳密に人間の可視スペクトル内の色を指すのではなくて、広範に、印刷ヘッドカートリッジ1−20a〜1−20eによって噴射される流体の特性を指すのに使用される。
【0097】
したがって、および上記にすでに示唆したように、定着剤は、本開示では「インク」と称することができ、定着剤は、他のインクから定着剤を区別する特性を有するという意味で「色」を有するとみなすこともできる。したがって、単色インクを受け入れる印刷ヘッドカートリッジは、シアンインク、マゼンタインク、イエローインク、ブラックインク、赤外インク、定着剤、膠、流体の状態の半導体材料などのただ1つの色/特性”のインク/流体を受け入れる印刷ヘッドカートリッジを指すことになる。
【0098】
印刷ヘッドカートリッジ1−20a〜1−20eは、印刷ヘッドシャーシ1−10から単独で取り外し可能な独立したカートリッジである。印刷ヘッドカートリッジ1−20が、図12にさらに詳細に示されている。印刷ヘッドカートリッジ1−20は、印刷ヘッドカートリッジの長さ(すなわち、図1AのZ軸)に沿って、端部と端部を合わせて配置された複数の印刷ヘッドタイル12−10を含む。図12は、ページ幅印刷ヘッドカートリッジ1−20を形成するように、端部と端部を合わせて配置された11個の印刷ヘッドタイル12−10を示しているが、当然ながら、必要に応じて、印刷媒体1−200の幅にまたがるように11個よりも多いまたは少ない数の印刷ヘッドタイルを使用することができる。
【0099】
各印刷ヘッドタイル12−10は、複数の論理列12−20を有する。図12では、各印刷ヘッドタイル12−10は、5つの論理列12−20と共に示されているが、それ未満の、またはそれを超える数量の論理列を設けることができる。各論理列12−20は、1対の副列12−30、12−40に分割され、その副列は、印刷ヘッドカートリッジ1−20の長さ(すなわち、図1AのZ軸)に沿って互いに対してずれている。各列12−20の第1の副列12−30は、ページ上のラインの奇数番目のドットを印刷し、一方、第2の副列12−40は、ページ上の同じラインの偶数番目のドットを印刷するか、またはその逆である。図12は、2つの隣接する副列12−30、12−40で構成されるとして1つの論理列12−20を示しているが、論理列は、実際上、必ずしも互いに隣接しない任意の偶数ドット印刷副列12−30および任意の奇数ドット印刷副列12−40で構成されてもよい。
【0100】
印刷ヘッドカートリッジ1−20a〜1−20eは、印刷システム1−1000の幅(すなわち、図1AのX軸)に沿って、すなわち、印刷媒体の進行方向に沿って互いから離間している。印刷ヘッドカートリッジ1−20a〜1−20eで印刷されるドット径と比較して、印刷ヘッドカートリッジ1−20a〜1−20e間の間隔は非常に広く、標準的な長さの単位(すなわち、mm、cm、インチなど)で測定される。一実施形態では、印刷ヘッドカートリッジ1−20a〜1−20eは、互いから8cm間隔で離間する。
【0101】
印刷ヘッドシャーシ1−10は、はさみ状ガイド1−40を介してプリンタ主フレーム1−50に取り付けられている。はさみ状ガイド1−40および持ち上げ機構1−60は、はさみ状ガイド1−40および持ち上げ機構1−60を相互連結する1対のワイヤ(図示せず)と共に、印刷ヘッドシャーシ1−10を印刷位置、移行位置、および保守位置間で駆動する。
【0102】
図1Aは、移行位置にあるときの印刷システム1−1000を示している。移行位置では、印刷ヘッドシャーシ1−10は、プラテン1−70に対して、保守シャーシ1−80が、印刷ヘッドシャーシ1−10によって干渉されることなく、印刷ヘッドシャーシ1−10の下で操作されるのを可能にする高さに保持される。特に、移行位置は、保守シャーシ1−80が、インク供給モジュール1−90a〜1−90eの下の格納位置に後退し、印刷ヘッドシャーシ1−10の下の動作可能位置から後退するのを可能にする。
【0103】
図1Bは、印刷位置にあるときの印刷システム1−1000を示している。図1Bでは、プリンタ主フレーム1−50は、プリンタ主フレーム1−50に収容された構成要素をより明瞭に示すために、片側を削除して示されている。印刷位置では、印刷ヘッドシャーシ1−10は、プラテン1−70上を進む印刷媒体1−200への印刷ヘッドカートリッジ1−20a〜1−20eによる印刷を可能にするように、プラテン1−70に近接して配置されている。
【0104】
図1Cは、保守位置にあるときの印刷システム1−1000を示している。保守位置では、印刷ヘッドシャーシ1−10は、プラテン1−70より上にある程度離れて配置され、保守シャーシ1−80は、プラテン1−70と印刷ヘッドシャーシ1−10との間に挟まれた動作可能な位置に配置されている。保守位置では、印刷ヘッド1−10は、保守シャーシ1−80によって支持されている。
【0105】
本発明の一態様では、プラテン1−70は、印刷システム1−1000の一部である。しかし、他の態様では、印刷システム1−1000はプラテン1−70を含まず、プラテン1−70は、その代わりとして、第三者および/またはエンドユーザによって構築および設計される。一方、第1の実施形態では、プラテン1−70は、印刷ヘッドシャーシ1−10の裏面にあるピンブッシュ2−100a、2−100b、2−100c、2−100d(図2Bも参照のこと)と結合する位置決めピン1−100a、1−100b、1−100c、1−100d(図8Aも参照のこと)を設けられている。図8Aに示すように、位置決めピン1−100a、1−100b、1−100c、1−100dは、ピンブッシュ2−100a、2−100b、2−100c、2−100dとのより正確な結合および位置決めを容易にする、丸いドーム形の頭部を有するのが好ましい。プラテン1−70は、印刷媒体1−200の供給源と、プラテン1−70の印刷面1−220上で印刷媒体1−200を送るための送り機構1−210とを含む。エンコーダホイール1−230はプラテン1−70に搭載されて、印刷媒体がプラテン1−70上を進むときに、印刷媒体1−200の速度を測定する。エンコーダホイール1−230で測定した速度を使用してタイミングをとり、印刷ヘッドカートリッジ1−20a〜1−20eの動作を同期させる。
【0106】
図2Aおよび図2Bは、印刷ヘッドシャーシ1−10および印刷ヘッドカートリッジ1−20a〜1−20eをさらに詳細に示している。図2Aおよび図2Bでは、この場合も見やすくするために、1つの印刷ヘッドカートリッジ1−20aだけが示されている。
【0107】
図2Aに示すように、印刷ヘッドコントローラモジュール1−25a〜1−25eおよび印刷ヘッドカートリッジ1−20a〜1−20eが、印刷ヘッドシャーシ1−10内に等しい間隔で配置されている。各印刷ヘッドカートリッジ1−20a〜1−20eは、対応するロックタブ2−40によって印刷ヘッドシャーシ1−10と取り外し可能に係合する。
【0108】
印刷ヘッドコントローラモジュール1−25a〜1−25eは、それぞれのロック機構2−10a、2−10b、2−10c、2−10d、2−10eの動作を通じて、それぞれの印刷ヘッドカートリッジ1−20a〜1−20eに向かって、およびそれから離れる方向に回転可能なように印刷ヘッドシャーシ1−10と係合する。各印刷ヘッドコントローラモジュール1−25a〜1−25eは、各印刷ヘッドコントローラモジュール1−25a〜1−25eの電気コネクタ列1−500(詳細切抜き図を参照のこと)が、印刷ヘッドカートリッジ1−20a〜1−20eを押すように、それぞれの印刷ヘッドカートリッジ1−20a〜1−20eに向かって回転することで、それぞれの印刷ヘッドカートリッジ1−20a〜1−20eと電気的に接触する。各印刷ヘッドコントローラモジュール1−25a〜1−25eは、ロック機構2−10a、2−10b、2−10c、2−10d、2−10eによって、それぞれの印刷ヘッドカートリッジ1−20a〜1−20eと電気接触してロックされる。
【0109】
印刷ヘッドシャーシ1−10の態様では、インクエアロゾルフィルタ2−20がシャーシの一方の端部に設けられて、各印刷ヘッドカートリッジ1−20a〜1−20eから生じるインクのエアロゾル粒子を収集および濾過する。インクエアロゾルフィルタ2−20は、各印刷ヘッドカートリッジ1−20a〜1−20eの周辺に設けられた吸い込みスリット2−35a、2−35b、2−35c、2−35d、2−35e、2−35f(図2Bを参照のこと)にそれぞれ接続された通気出口2−30a、2−30b、2−30c、2−30d、2−30e、2−30f(図2Cも参照のこと)にホース(図示せず)を介して接続されている。
【0110】
エアロゾルフィルタ2−20は、それぞれの通気出口2−30a、2−30b、2−30c、2−30d、2−30e、2−30fからのホースがつながる入り口ポート2−25と、好ましくはHEPAフィルタなどのさらなるフィルタにつながり、さらに吸引装置につながる出口ポート2−28とを含む。
【0111】
ピンブッシュ2−100a、2−100b、2−100c、2−100dは、印刷ヘッドシャーシ1−10の4つの底面隅部のそれぞれに設けられている。ピンブッシュ2−100a、2−100b、2−100c、2−100dは、(以下にさらに詳細に説明するように)印刷ヘッドシャーシ1−10を支持し、さらに、印刷ヘッドシャーシ1−10と保守シャーシ1−80との、および第1の実施形態ではプラテン1−70との適切な位置関係を保証する位置合わせ機構を形成する。
【0112】
図3Aおよび図3Bは、保守シャーシ1−80をさらに詳細に示している。保守シャーシ1−80は、印刷ヘッド保守用受け台3−20a、3−20b、3−20c、3−20d、3−20eを含む。各印刷ヘッド保守用受け台は、キャッパ3−25およびクリーナ3−27を含む。キャッパ3−25は、印刷ヘッドカートリッジが使用されないときに、印刷ヘッドカートリッジ1−20a〜1−20eの印刷ヘッドを封止する機能を果たし、さらに、初期注入(priming)およびクリーニング目的で、印刷ヘッドカートリッジからインクが噴射されるインク壺として働く。位置決めピン3−50a、3−50b、3−50c、3−50dは、保守シャーシ1−80の各隅部に設けられている。位置決めピン3−50a、3−50b、3−50c、3−50dは、印刷ヘッドシャーシ1−10の裏面に設けられたピンブッシュ2−100a、2−100b、2−100c、2−100dと結合するためにあるという点で、プラテン1−70の位置決めピン1−100a、1−100b、1−100c、1−100dと同様である。位置決めピン3−50a、3−50b、3−50c、3−50dは、丸いドーム形の頭部を有するのが好ましい。
【0113】
保守シャーシ1−80は、印刷ヘッド保守用受け台3−20a〜3−20eが支持される保守シャーシ副フレーム3−10(図4Aも参照のこと)と、保守シャーシ副フレーム3−10が中にある保守シャーシ主フレーム4−50とを含む。保守シャーシ副フレーム3−10は、保守シャーシ主フレーム4−50内を移動することができる。副フレーム移動機構3−40(図3Aを参照のこと)は、保守シャーシ主フレーム4−50に設けられ、保守シャーシ副フレーム3−10、ひいては、印刷ヘッド保守用受け台3−20a〜3−20eを保守シャーシ主フレーム4−50に対して移動させるために、連結部材3−30によって保守シャーシ副フレーム3−10に連結されている。保守シャーシ副フレーム3−10は、保守シャーシ主フレーム4−50に対して移動して、キャッパ3−25またはクリーナ3−27のいずれかが印刷ヘッドカートリッジ1−20a〜1−20eと整列するのを可能にする。
【0114】
図4Aおよび図4Bは、保守シャーシ副フレーム3−10をさらに詳細に示している。図4Cは、保守シャーシ主フレーム4−50をさらに詳細に示している。保守シャーシ副フレーム3−10は、1対のレール4−10を有し、レール4−10は、保守シャーシ主フレーム4−50のレール支持体4−15と係合して、保守シャーシ副フレーム3−10が保守シャーシ主フレーム4−50内をスライドするのを可能にする。各印刷ヘッド保守用受け台3−20a〜3−20eは、必要に応じて、印刷ヘッドカートリッジ1−20a−3を清浄するか、またはこれにキャップをするために、1対のレール4−10間に支持され、印刷ヘッドカートリッジ1−20a〜1−20e間の間隔と同じピッチで等間隔に配置されている。
【0115】
図5Aに最もよく示すように、クリーナ3−27は、マイクロファイバ材料からなる第1のローラ3−29と、ステンレス鋼または他の適切な硬質材料でできた第2のローラ3−28とを含む。第1のローラ3−29は、印刷ヘッドを拭き、印刷ヘッドからインクを吸い取る機能を果たし、一方、第2のローラ3−28は、第1のローラ3−29を押して第1のローラに吸い込まれたインクを絞り出す機能を果たす。ワイパブレード3−24も各印刷ヘッド保守用受け台3−20a〜3−20eに組み込まれて、第1のローラ3−29から絞り出した任意のインクを第2のローラ3−28からこすり取る。
【0116】
各印刷ヘッド保守用受け台3−20a〜3−20eは、第1のローラ3−29および第2のローラ3−28を駆動するローラドライバ3−30と、クリーナ3−27およびキャッパ3−25が受け入れたインクを収集する排液溜め3−40とをさらに含む。排液溜め3−40は、保守用受け台3−20a〜3−20eの一端に最下点を有する傾斜床部3−45(図5Bを参照のこと)を有する。図5Bに示すように、排液溜め3−40の床部は、排液溜めに収集されたインクが流れ出る廃液穴3−48を有する。各保守用受け台3−20a〜3−20eの廃液穴3−48は、保守シャーシ主フレーム4−50の片側に沿って設けられたインク収集チャネル3−60(図4Cを参照のこと)に排液する。インク収集チャネル3−60は、廃インクタンク6−30(図6を参照のこと)に流すためにプリンタ主フレーム1−50に設けられた一連のチャネルにつながっている。
【0117】
保守シャーシ1−80は、シャーシの両側にローラ3−70(図4Cを参照のこと)を設けられている。ローラ3−70は、保守シャーシ1−80が、(図1Bに示す)格納位置と(図1Aおよび図1Cに示す)動作可能位置との間で伸長および後退するのを可能にする。保守シャーシ主フレーム4−50に取り付けられたモータ3−80は、プリンタ主フレーム1−50の歯付きラック3−90と係合して、格納位置と動作可能位置との間で保守シャーシ1−80を並進させる。
【0118】
図6は、背面から見た印刷システム1−1000の図を提示している。図を見やすくするために、1つのインクブレード1−90eのほかはすべて、それぞれのインクブレード結合スロットから削除されている。印刷ヘッドシャーシ1−10の下の動作可能位置に移動しつつある保守シャーシ1−80も示されている。
【0119】
廃インクタンク6−30は、主シャーシ1−50の床部に固定されている。前述したように、廃インクタンク6−30は、浄化または初期注入動作の結果としてキャッパ3−25によって受け入れられたインクと、印刷ヘッドカートリッジ1−20a〜1−20eを清浄した結果としてクリーナ3−27によって受け入れられたインクとを貯蔵する。
【0120】
各インクブレード1−90a〜1−90eは、主シャーシ1−50からインクブレードを取り出すために、後方(図1Aの座標軸のマイナスZ方向)にスライド可能である。このように、特定の印刷ヘッドで印刷される色を変更するためのインクブレードの簡便な交換の助けとなる。
【0121】
図7は、インクブレード1−90a〜1−90eの1つをさらに詳細に示している。図7において、示されたインクブレードは、参照数字7−10を付与されている。インクブレード7−10は、インクブレード7−10の構成要素が取り付けられ、支持されたブレードシャーシ7−15として設けられている。ブレードシャーシ7−15は、インク入り口7−30が設けられたバックプレート7−20を画定する。インク入り口7−30は、入り口ホース7−40を介して外部大容量インク源(図示せず)からインクを受け入れ、大容量インクポンプ7−80の入力部7−60にインクを送る。大容量インクポンプ7−80の出力部7−70は、中間貯蔵器7−50の大量インク入力部7−90につながっている。
【0122】
インクフィルタ7−100は、中間貯蔵器7−50より下流に設けられ、インクマニホルド7−110につながっている。インクマニホルド7−110は、ピンチ弁7−120に接続され、次に、ピンチ弁は、インクを印刷ヘッドに送る。ホース担体7−130は、ピンチ弁7−120を印刷ヘッドに接続するホース(図示せず)を支持するために設けられている。インクを印刷ヘッドから中間貯蔵器7−50に戻すための戻しホース(図示せず)もホース担体7−130上に支持することができる。印刷ヘッドからの戻しホース(図示せず)は、印刷インクポンプ7−140につながり、次に、印刷インクポンプは、もとの中間貯蔵器7−50につながっている。印刷インクポンプ7−140は、印刷ヘッドより下流にあり、基本的に、インクを印刷ヘッドに押し込むのではなく、印刷ヘッドから吸い込む。中間貯蔵器7−50内を負圧に維持するために、負圧ポンプ7−150がさらに設けられている。
【0123】
インクマニホルド7−110は、最終的にすべてが単一の印刷ヘッドカートリッジ1−20a、印刷ヘッドカートリッジ1−20b、印刷ヘッドカートリッジ1−20c、印刷ヘッドカートリッジ1−20d、または印刷ヘッドカートリッジ1−20eにつながる複数の出口7−85を画定する。このようにして、各印刷ヘッドカートリッジ1−20a〜1−20eは、単一のインクブレード7−10からインクを供給され、したがって、単一色のインクを単色で供給される。印刷ヘッドカートリッジ1−20a〜1−20eに供給されるインクの色は、印刷ヘッドカートリッジに接続されたインクブレード7−10を交換し、印刷ヘッドカートリッジ1−20a〜1−20eから既存のインクを洗い流す適切な再注入プロセスを行い、印刷ヘッドカートリッジ1−20a〜1−20eを新たなインクで満たすことで変更することができる。インクブレード7−10を交換する場合に、印刷ヘッドカートリッジ1−20a〜1−20e全体が置き換えられるのが好ましいが、そうすることで、印刷システム1−1000で印刷される色を様々な印刷ジョブに適するように素速く変更することができる。
【0124】
図8Aおよび図8Bは、それぞれプラテン1−70の前部斜視図および後部斜視図を示している。前述したように、プラテン1−70は、一部の態様では印刷システム1−1000の一部である。他の態様では、プラテン1−70は、第三者またはエンドユーザによって用意され、印刷システム1−70と共に機能するように構成される。
【0125】
プラテン1−70は真空プラテンであり、プラテン表面1−220を通して吸引力を作用させることで、プラテン1−70の表面1−220を移動する印刷媒体を表面1−220に当てて、平らな状態に維持する助けとすることができる。プラテン1−70の表面1−220は窪み8−10を画定する。吸引穴8−15は、各窪み8−10内に画定され、プラテン1−70の表面1−220を通って反対側に至る。真空ボックスは、プラテン1−70の裏面に取り付けることができ、真空ボックス内には、プラテン1−70を通り抜ける下向きの吸引力を発生させるために、1つまたは複数の吸引装置が設けられている。
【0126】
位置決めピン1−100a、1−100b、1−100c、1−100dは、調整カムシステム8−20上に支持され、調整カムシステムは、調整ノブ8−30によって位置決めピン1−100a、1−100b、1−100c、1−100dの高さを調整することを可能にする。
【0127】
図9図10、および図11は、印刷ヘッドシャーシ1−10の裏面に配置されたピンブッシュ2−100a、2−100b、2−100c、2−100dを詳細に示している。
【0128】
印刷ヘッドシャーシ1−10の前方右の下隅部に配置されたピンブッシュ2−100aは、動作可能位置にある場合、図9に示すような形状および構造を有する位置決めブッシュになる。参照の都合上、図9に示す位置決めブッシュは、参照数字9−100を付与されている。位置決めブッシュ9−100は、円形頭部9−10を有する。円形頭部9−10は、円錐形窪み部9−20を画定する。円錐形窪み部9−20は、位置決めピン1−100a、3−50aを受け入れるように構成されている。くぼみ部9−20の円錐形の構造と、位置決めピン1−100a、3−50aの丸い頭部とにより、ピン1−100a、3−50aは、一貫した正確な係合で位置決めブッシュ9−100と常に結合する。
【0129】
印刷ヘッドシャーシ1−10の前方左の下隅部に配置されたピンブッシュ2−100bは、動作可能位置にある場合、図10に示すような形状および構造を有するスロット付き位置決めブッシュになる。参照の都合上、図10に示す位置決めブッシュは、参照数字10−100を付与されている。スロット付き位置決めブッシュ10−100は、円形頭部10−10を有する。円形頭部10−10は、楕円錐形窪み部10−20を画定する。楕円錐形窪み部10−20は、位置決めピン1−100b、3−50bを受け入れるように構成されている。窪み部10−20の楕円錐構造は、受け入れるピン1−100b、3−50bに1自由度を付与する。自由軸は図1AのX方向、すなわち、印刷システム1−1000の幅に平行(すなわち、印刷媒体の進行方向に平行)である。
【0130】
スロット付き位置決めブッシュ10−100は、図1AのX軸に沿って、すなわち、印刷システム1−1000の幅に平行な(すなわち、印刷媒体の進行方向に平行な)方向に沿って印刷ヘッドシャーシ1−10の前方左隅部に1自由度を付与するが、Z軸に沿って、すなわち、印刷システム1−1000の幅に対して垂直な方向で(すなわち、印刷媒体の進行方向に対して垂直な方向で)隅部を一貫した位置に合わせる。これは、ピン1−100b、3−50bおよびピンブッシュ2−100bの製造および位置のある程度のばらつきを許容する。このように、印刷ヘッドシャーシ1−20および/または保守シャーシ1−80の一貫し、かつ安定した支持は、位置決めピン1−100b、3−50bおよびピンブッシュ2−100bの製造および位置の精度の影響を受けにくい。
【0131】
したがって、受け入れる位置決めピン1−100a、3−50aにX−Y平面内を自由に移動させない位置決めブッシュ10−100により、プラテン1−70および保守シャーシ1−80に対する印刷ヘッドシャーシ1−10の基本/基準位置が定まる。X軸に沿った移動の自由を付与するが、Z軸に沿っては付与しないスロット付き位置決めブッシュ10−100が加わり、かつ印刷ヘッドシャーシ1−10が剛性構造であるという事実と相まって、X−Z平面内での印刷ヘッドシャーシ1−10の一貫した位置合わせが達成される。印刷ヘッドシャーシ1−10および保守シャーシ1−80のその他の2つの隅部は、位置決めブッシュ9−100およびスロット付き位置決めブッシュ10−100によって決まる位置決めに基づいて配置される。
【0132】
印刷ヘッドシャーシ1−10の後方左および後方右の下隅部に配置されたピンブッシュ2−100c、2−100dは、図11に示すような形状および構造を有する平坦なピンブッシュである。参照の都合上、図11に示す平坦なピンブッシュは、参照数字11−100を付与されている。平坦なピンブッシュ11−100は、円形頭部11−10を有するが、位置決めブッシュ9−100およびスロット付き位置決めブッシュ10−100とは異なり、頭部11−10の上面に画定される窪み部を有さない。その代わりとして、頭部11−10は、中実の平坦な表面11−20を示す。後方左のブッシュ2−100cおよび後方右のブッシュ2−100dとして印刷ヘッドシャーシで使用される平坦なピンブッシュ11−100の頭部11−10は、プラテン1−70または保守シャーシ1−80に対する印刷ヘッドシャーシ1−10のこれ以上の位置決めが必要ないことから、窪み部ではなくて平坦な頭部で形成することができる。位置決めブッシュ9−100およびスロット付き位置決めブッシュ10−100により、プラテン1−70および保守シャーシ1−80に対する印刷ヘッドシャーシ1−10の必要な位置合わせがすべて行われる。
【0133】
第2の実施形態
図20は、本発明の第2の実施形態による印刷ヘッドシャーシ1−10を示している。第2の実施形態では、通気出口2−30a、2−30b、2−30c、2−30d(図2Cを参照のこと)は、接続器20−20a、20−20b、20−20c、20−20dを介して1対の共通エアロゾル抽出レール20−10a、20−10bに給気する。共通エアロゾル抽出レール20−10a、20−10bは、エアロゾルフィルタ2−20に給気する。
【0134】
共通エアロゾル抽出レール20−10a、20−10bを使用することで、個々のホースが各通気出口2−30a、2−30b、2−30c、2−30d、2−30e、2−30fをエアロゾルフィルタ2−20に接続する必要がなくなる。印刷ヘッドシャーシ1−10は乱雑さを軽減され、使用者が、印刷ヘッドシャーシ1−10に支持された要素に触れ、これを取り扱うのをより容易にすることができる。さらに、印刷ヘッドシャーシ1−10の通気が顕著に改善される。
【0135】
第3の実施形態
図21および図21Aは、本発明の第3の実施形態を示している。第3の実施形態では、印刷ヘッドシャーシ1−10は、支持アーム21−10a、21−10b、21−10c、21−10dを設けられている。支持アーム21−10a、21−10b、21−10c、21−10dは、それぞれ印刷ヘッドシャーシ1−10の各隅部に取り付けられている。
【0136】
各支持アーム21−10a、21−10b、21−10c、21−10dは、それぞれ印刷ヘッドシャーシ1−10の隅部に固定され、印刷ヘッドシャーシ1−10の縁部に覆いかぶさるように、クレーン状の態様で印刷ヘッドシャーシ1−10より上に延びている。各支持アーム21−10a、21−10b、21−10c、21−10dは、位置決めピン1−100a、1−100b、1−100c、1−100dが設けられた支持固定具21−15a、21−15b、21−15c、21−15dを画定する。位置決めピン1−100a、1−100b、1−100c、1−100dは、それぞれピン高さ調整器21−20a、21−20b、21−20c、21−20dと係合し、ピン高さ調整器は、各位置決めピン1−100a、1−100b、1−100c、1−100dが支持固定具21−15a、21−15b、21−15c、21−15dから突出する量を調整する。
【0137】
第3の実施形態では、印刷ヘッドシャーシ1−10は、支持アーム21−10a、21−10b、21−10c、21−10dの位置決めピン1−100a、1−100b、1−100c、1−100dを介して、1対のガントリ21−30a、21−30bから支持されている。ガントリ21−30a、21−30bは、プラテン1−70より上で、プラテン1−70を横断して延びるように設けられて、プラテン1−70上に懸架される枠体を形成し、印刷システム1−1000はこの枠体に支持される。ガントリ21−30a、21−30bは、印刷システム1−1000の一部として設けられてよいし、または特定の要件に適するように第三者のプロバイダによって設けられてもよい。
【0138】
第3の実施形態の印刷システム1−1000は、プリンタ主フレーム1−50に固定された取付フレーム21−40a、21−40bを含む。各取付フレーム21−40a、21−40bは、1対のピンブッシュ2−100a、2−100dおよびピンブッシュ2−100b、2−100cを含む。各取付フレーム21−40a、21−40bに取り付けられたピンブッシュ2−100a、2−100b、2−100c、2−100dは、第1の実施形態で使用されたものと同一である。取付フレーム21−40a、21−40bは、印刷システム1−1000が、例えば、取付フレーム21−40a、21−40bとガントリ21−30a、21−30bとの間の相補的突起および溝連結器を用いて、ガントリ21−30a、21−30bに支持されるのを可能にする。
【0139】
ピンブッシュの1つとして、円錐形の窪み部9−20を有する第1のピンブッシュを使用し、ピンブッシュの2番目として、楕円錐形の窪み部10−20を有する第2のピンブッシュを使用し、ピンブッシュの3番目および4番目として、窪み部のない平坦なピンブッシュを使用することも第1の実施形態と同様である。
【0140】
各ガントリ21−30a、21−30bの取付フレーム21−40a、21−40bに設けられたピンブッシュ2−100a、2−100b、2−100c、2−100dは、プラテン1−70に対して印刷ヘッドシャーシ1−10を一貫して、かつ安定して支持する第1の実施形態で説明したものと同じ態様で、支持アーム21−10a、21−10b、21−10c、21−10dの位置決めピン1−100a、1−100b、1−100c、1−100dを受け入れる。ピン高さ調整器21−20a、21−20b、21−20c、21−20dは、各位置決めピン1−100a、1−100b、1−100c、1−100dが突出する量を調整するのを可能にし、それにより、プラテン1−70に対する印刷ヘッドシャーシ1−10の高さを調整するのを可能にする。
【0141】
スライダブロック21−50についての説明
第1の実施形態では、印刷ヘッドシャーシ1−10は、プラテン1−70から上方に突出する位置決めピンに支持される。使用される任意の印刷媒体は、突出する位置決めピンの境界線以内に収まらなければならないので、プラテン1−70から突出する位置決めピンを有することで、印刷システム1−1000が印刷できる印刷媒体の幅が制限される。
【0142】
それに対して、第3の実施形態は、プラテン1−70より上に懸架されたガントリから印刷ヘッドシャーシ1−10を支持する。このように、プラテンには、プラテンを通過する印刷媒体の幅を制限する突起がない。したがって、第3の実施形態の印刷システム1−1000は、任意の幅の印刷媒体の印刷に対応する。
【0143】
第3の実施形態では、大判の巻取印刷媒体にまたがった複数のガントリに配置された複数の印刷システム1−1000の使用が可能になる。各ガントリ21−30a、21−30aは、2つの隣接する印刷システム1−1000の取付フレーム21−40a、21−40bの対応する突起とそれぞれ結合する1対の位置決め溝21−50a、21−50bを設けられている。このようにして、複数の印刷システム1−1000が印刷媒体の幅にわたって並んで配置され、好ましくは互いに補い合って大判印刷媒体の印刷を可能にする。
【0144】
したがって、第3の実施形態では、任意の幅の印刷媒体を使用することが可能になり、適切なガントリ枠体上で印刷媒体の幅にわたってモジュール式に配置されるのに十分な印刷システムがありさえすればよい。
【0145】
第4の実施形態
図22〜24は、本発明の第4の実施形態によるプラテン1−70を示している。第4の実施形態のプラテン1−70は、位置決めピン1−100a、1−100b、1−100c、1−100dを上方に付勢するのにスプリング22−10(図4を参照のこと)を利用し、位置決めピン1−100a、1−100b、1−100c、1−100dを適切な高さでクランプするのにクランププレート22−20およびクランプねじ22−30を利用する。
【0146】
プラテン1−70の各隅部で、独立したスプリングで付勢された位置決めピン1−100a、1−100b、1−100c、1−100dを使用することで、各位置決めピン1−100a、1−100b、1−100c、1−100dの高さを他の位置決めピンから独立して調整することが可能になる。したがって、製造公差、環境要素などに合わせて、印刷ヘッドシャーシ1−10のバランスおよびプラテン1−70からの間隔を柔軟に調整して、理想的な間隔を得ることができる。
【0147】
さらに、第4の実施形態の各位置決めピン1−100a、1−100b、1−100c、1−100dのクランプおよびスプリング構成は、機械部品および動作がより少なく、適応性がより高いことを含めて、第1の実施形態のカム式システムよりも機械的に単純である。
【0148】
各位置決めピン1−100a、1−100b、1−100c、1−100dに対する望ましい高さは、各スプリング22−10がそれぞれの位置決めピン1−100a、1−100b、1−100c、1−100dを望ましい高さまで上方に付勢することを可能にし、次いで、クランププレート22−20を位置決めピン1−100a、1−100b、1−100c、1−100dに当ててクランプして、位置決めピン1−100a、1−100b、1−100c、1−100dを望ましい高さで所定の位置にロックすることで得られる。
【0149】
第5の実施形態
図25および図26は、本発明の第5の実施形態による印刷システム1−1000のインク排出システムを示している。第5の実施形態によれば、保守シャーシ1−80のインク収集チャネル3−60(図4Cを参照のこと)は、排液ポート25−10を設けられている。さらに、第1の実施形態の廃インクタンク6−30が、印刷システム1−1000のベース部に設けられた平坦な廃インクトレイ25−20と置き換えられている。平坦な廃インクトレイ25−20は、廃インクを捕捉するための吸収材料25−30を内張りされている。
【0150】
平坦な廃インクトレイ25−20は、保守シャーシ1−80の位置(例えば、印刷システムが印刷位置にあるか、移行位置にあるか、または保守位置にあるか)にかかわらず、平坦な廃インクトレイ25−20が排液ポート25−10からのインクを捕捉することを保証する大きさとされる。
【0151】
平坦な廃インクトレイ25−20を用いる場合、印刷システム1−1000は高さをより短くされ、より重要なことであるが、印刷ヘッドカートリッジ1−20a、1−20b、1−20c、1−20d、1−20eの印刷ヘッドタイル12−10の下に延在する構成要素を全く有さない。すなわち、インクが噴射される印刷ヘッドタイル12−10は、例えば、廃インクタンク6−30がプラテン1−70の表面よりも実質的に下にある図6に示す実施形態と対照的に、事実上印刷システム1−1000の最も位置が低い、または最も位置が低いに等しい部分であり、プラテン1−70の最も近くにある、または最も近くにあるに等しい。
【0152】
平坦な廃インクトレイ25−20を上記のように構成して利用することで、印刷システム1−1000がプラテン1−70より上で完全に支持/懸架され、(第3の実施形態で説明したように)印刷システム1−1000自体よりも幅が広いプラテンの印刷媒体と共に使用されるのが可能になる。これは、図6に示す印刷システムと対照的であり、図6において、(図1Aの座標軸によって規定された)マイナスZ方向にさらに延びるプラテンは、廃インクタンク6−30によって阻止され、これと干渉することから、このようなプラテンが印刷システムと共に使用できないのは明白である。
【0153】
当然ながら、印刷位置にある印刷ヘッドシャーシ1−10よりも実質的に低い位置にある廃インクタンクおよび他の構成要素を有する点で、第1の実施形態の印刷システム1−1000は、完全にプラテン1−70より上で懸架することができず、したがって、印刷システム1−1000よりも幅が広い印刷媒体を印刷するために、複数の印刷システム1−1000を並べて使用することができない。
【0154】
それに対して、第5の実施形態の印刷システム1−1000は、印刷ヘッドタイル12−10を越えてプラテン1−70の方に突出する構成要素が全くなく、したがって、任意の大きさのプラテンの上に任意の位置/状態で配置することができる。
【0155】
平坦な廃インクタンク25−20は、好ましくは保守シャーシ1−80の設置領域と合致するように大きさを合わせられる。最低限、平坦な廃インクタンク25−20は、保守シャーシ1−80が現在とっている位置(例えば、格納位置、動作可能位置、または格納位置と動作可能位置との間)にかかわらず、常に排液ポート25−10の下に廃インクタンクの一部があるような大きさおよび形状とされる。したがって、平坦な廃インクトレイ25−20の大きさおよび形状は、少なくとも、保守シャーシ1−80が動作可能および格納ポート間を移動するときの排液ポート25−10の移動の軌跡を包含しなければならない。
【0156】
機械動作
印刷システム1−1000の例示的な動作が図1A〜1Cを参照して説明される。
【0157】
まず図1Cを参照すると、印刷システム1−1000が保守位置で示されている。保守位置では、印刷ヘッドシャーシ1−10は、保守シャーシ1−80に支持されている。具体的には、保守シャーシ1−80の上部で4つの隅部に配置されたピン3−50a、3−50b、3−50c、3−50dが、それぞれ位置決めブッシュ2−100a、スロット付き位置決めブッシュ2−100b、および平坦なピンブッシュ2−100c、2−100dを支持している。この位置では、印刷ヘッドカートリッジ1−20a〜1−20eは、保守シャーシ1−80のキャッパ3−25またはクリーナ3−27のいずれかと係合する。
【0158】
印刷システム1−1000が作動していない場合、印刷ヘッドカートリッジ1−20a〜1−20eが乾燥し、汚染物を収集するのを防止し、一般的には、印刷ヘッドカートリッジの損傷を防止するために、印刷ヘッドカートリッジ1−20a〜1−20eはキャッパ3−25と係合するのが好ましい。印刷ヘッドカートリッジ1−20a〜1−20eをキャッパ3−25から切り離し、その代わりとして、印刷ヘッドカートリッジ1−20a〜1−20eをクリーナ3−27と係合させる(またはその逆)ために、印刷ヘッドシャーシ1−10は、最初に、持ち上げ機構1−60によって、例えば、図1Aに示す移行位置の高さまで、Y方向に上に向かって持ち上げられる。印刷ヘッドカートリッジ1−20a〜1−20eがキャッパ3−25から離れると、副フレーム移動機構3−40が、保守シャーシ副フレーム3−10をX方向に並進させて、キャッパ3−25は移動して印刷ヘッドカートリッジ1−20a〜1−20eと整列しなくなり、クリーナ3−27が移動して印刷ヘッドカートリッジ1−20a〜1−20eと整列する。次いで、印刷ヘッドシャーシ1−10が保守シャーシ1−80の上に下げ戻されて、図1Cに示す保守位置をとる。
【0159】
印刷ヘッドシャーシ1−10が保守シャーシ1−80まで下げられると、印刷ヘッドシャーシ1−10の前方右下隅部の位置決めブッシュ2−100aが、保守シャーシ1−80の前方右上隅部のピン3−50aと接触する。位置決めブッシュ2−100aの円錐形窪み部9−20はピン3−50aを受け入れ、そうすることで、X軸およびZ軸に沿って印刷ヘッドシャーシ1−10の前方右隅部を保守シャーシ1−80に対して位置合わせする。
【0160】
同様に、印刷ヘッドシャーシ1−10の前方左下隅部のスロット付き位置決めブッシュ2−100bが、保守シャーシ1−80の前方左上隅部のピン3−50bと接触する。スロット付き位置決めブッシュ2−100bの楕円錐形窪み部10−20はピン3−50bを受け入れ、そうすることで、Z軸に沿って印刷ヘッドシャーシ1−10の前方左隅部を保守シャーシ1−80に対して位置合わせする。印刷ヘッドシャーシ1−10の前方左隅部は、位置決めブッシュ2−100aがX−Z平面に固定された効果により、さらに、印刷ヘッドシャーシ1−10が剛性構造であることにより、X軸に沿ってすでに位置合わせされている。
【0161】
印刷ヘッドシャーシ1−10の前方右隅部および前方左隅部が、X軸およびZ軸に沿って位置合わせおよび固定されると、剛性構造であることで、印刷ヘッドシャーシ1−10全体が、保守シャーシ1−80と整列する。印刷ヘッドシャーシ1−10の後方左隅部および後方右隅部の平坦なブッシュ2−100c、2−100dは、位置決めブッシュ2−100aおよびスロット付き位置決めブッシュ2−100bにあるような位置決めスロット/窪み部を必要とすることなく、単に印刷ヘッド保守シャーシ1−80のそれぞれピン3−50c、ピン3−50dによって支持されるだけでよい。
【0162】
印刷ヘッドシャーシ1−10が再度保守シャーシ1−80によって支持されるが、このとき、キャッパ3−25が移動して、印刷ヘッドカートリッジ1−20a〜1−20eと整列しなくなり、クリーナ3−27が移動して印刷ヘッドカートリッジ1−20a〜1−20eと整列するように、保守シャーシ1−80が保守シャーシ副フレーム3−10を移動させた場合、印刷ヘッドカートリッジ1−20a〜1−20eは、クリーナ3−27のそれぞれの第1のローラ3−29と接触して配置され、この第1のローラ3−29は、印刷ヘッドカートリッジ1−20a〜1−20eの印刷ヘッドを拭くためにマイクロファイバでできている。
【0163】
印刷ヘッドシャーシ1−10を保守位置から印刷位置に移動させるためには、保守シャーシ1−80をプリンタ主フレーム1−50に格納する必要があり、印刷ヘッドシャーシ1−10をプラテン1−70に対して正確に下げながら位置決めする。したがって、最初に、印刷ヘッドシャーシ1−10が、持ち上げ機構1−60によって、図1Aに示す移行位置に持ち上げられる。
【0164】
移行位置において、印刷ヘッドシャーシ1−10は、保守シャーシ1−80によって支持されず、印刷ヘッドカートリッジ1−20a〜1−20eは、保守用受け台3−20a〜3−20eから切り離される。したがって、保守シャーシ1−80は、図1Bに示すように、自由にプリンタ主フレーム1−50内に戻って格納される。
【0165】
保守シャーシ1−80がプリンタ主フレーム1−50に戻って格納されると、プリンタヘッドシャーシ1−10は、プラテン1−70に向かって自由に下げられる。したがって、持ち上げ機構1−60は、印刷ヘッドシャーシ1−10をプラテン1−70に向かって下げる。
【0166】
印刷システムの第1の実施形態では、印刷ヘッドシャーシ1−10がプラテン1−70に接近すると、印刷ヘッドシャーシ1−10の前方右底隅部の位置決めブッシュ2−100aが、プラテン1−70の前方右隅部のピン1−100aと接触する。印刷ヘッドシャーシ1−10の保守シャーシ1−80に対する位置合わせに関連して上記に説明したものと同様な態様で、印刷ヘッドシャーシ1−10は、ピン1−100aを位置決めブッシュ−200aの円錐形窪み部9−20に受け入れることでプラテン1−70と整列する。このように、印刷ヘッドシャーシ1−10の前方右隅部は、X軸およびY軸に沿ってプラテン1−70に対して位置を合わされる。
【0167】
同様に、印刷ヘッドシャーシ1−10の前方左底隅部のスロット付き位置決めブッシュ2−100bが、プラテン1−70の前方左上隅部のピン1−100bと接触する。スロット付き位置決めブッシュ2−100bの楕円錐形窪み部10−20はピン1−100bを受け入れ、そうすることで、Z軸に沿って印刷ヘッドシャーシ1−10の前方左隅部をプラテン1−70に対して位置合わせする。印刷ヘッドシャーシ1−10の前方左隅部は、位置決めブッシュ2−100aがX−Z平面に固定された効果により、さらに、印刷ヘッドシャーシ1−10が剛性構造であることにより、X軸に沿ってすでに位置合わせされている。
【0168】
印刷ヘッドシャーシ1−10の前方右隅部および前方左隅部が、X軸およびZ軸に沿って位置合わせおよび固定されると、剛性構造であることで、印刷ヘッドシャーシ1−10全体が、プラテン1−70と整列する。印刷ヘッドシャーシ1−10の後方左隅部および後方右隅部の平坦なブッシュ2−100c、2−100dは、位置決めブッシュ2−100aおよびスロット付き位置決めブッシュ2−100bに画定されるような位置決めスロット/窪み部を必要とすることなく、単にプラテン1−70のそれぞれピン1−100c、ピン1−100dによって支持されるだけでよい。
【0169】
プラテン1−70のピン1−100a、1−100b、1−100c、1−100d、および保守シャーシ1−80のピン3−50a、3−50b、3−50c、3−50d、および位置決めブッシュ2−100a、スロット付き位置決めブッシュ2−100b、および平坦なブッシュ2−100c、2−100dは、すべてが、例えば、鋼などの、剛性があり、硬質で、かつ耐久性のある材料で製造されることで、保守シャーシ1−80およびプラテン1−70に対する印刷ヘッドシャーシ1−10の正確な位置決めが、一貫して、かつ再現性をもって行われるのを保証する。
【0170】
特に、印刷ヘッドカートリッジ1−20a〜1−20eとプラテン1−70との間の間隔は、プラテン1−70との間を行き来する印刷ヘッドシャーシ1−10の反復移動にもかかわらず一貫している。同様に、保守用受け台3−20a〜3−20eに対する印刷ヘッドカートリッジ1−20a〜1−20eの位置関係も、保守シャーシ1−80との間を行き来する印刷ヘッドシャーシ1−20の反復移動、およびプリンタ主フレーム1−50内の格納位置に出入りする保守シャーシ1−80の移動にもかかわらず一貫している。
【0171】
さらに、印刷ヘッドカートリッジ1−20a〜1−20eは互いに対して移動しないので、印刷ヘッドカートリッジ1−20a〜1−20e間の相対間隔は一定に保たれる。正しくは、印刷ヘッドカートリッジ1−20a〜1−20eは、印刷ヘッドシャーシ1−10を移動させることで、一体セットとして移動する。個々の受け台3−20a〜3−20eではなくて保守シャーシ1−80を移動させることで、一体セットとして移動する点で、同じことが保守用受け台3−20a〜3−20eにも当てはまる。
【0172】
印刷ヘッドシャーシ1−10、保守シャーシ1−80、およびプラテン1−70の互いに対する位置合わせの精度および一貫性の任意の低下は、主に、位置決めピン1−100a、1−100b、1−100c、1−100d、3−50a、3−50b、3−50c、3−50dおよびブッシュ2−100a、2−100b、2−100c、2−100dの摩耗によって引き起こされる。しかし、そのような構成要素は、鋼などの硬質で耐久性があり、かつ剛性のある材料で製造され、印刷ヘッドシャーシ1−10および保守シャーシ1−80の互いに対するおよびプラテン1−70に対する移動が、比較的簡潔かつ穏やかな態様で行われることを考慮すると、そのような構成要素の摩耗が、印刷システム1−1000の寿命の間に問題になるとは考えられない。
【0173】
印刷ヘッドシャーシ1−10がプラテン1−70に支持されるのではなくて、支持アーム21−10a、21−10b、21−10c、21−10dが印刷ヘッドシャーシ1−10をガントリ21−30a、21−30b上に支持する第3の実施形態による印刷システム1−1000の機械動作は、第1の実施形態に対して上記したものと同様である。
【0174】
第3の実施形態では、印刷ヘッドシャーシ1−10は、各支持アーム21−10a、21−10b、21−10c、21−10dの位置決めピン1−100a、1−100b、1−100c、1−100dが、取付フレーム21−40a、21−40b上のピンブッシュ2−100a、2−100b、2−100c、2−100dによって受け入れられるまで下げられる。位置決めピン1−100a、1−100b、1−100c、1−100dのピンブッシュ2−100a、2−100b、2−100c、2−100dとの相互作用は、第1の実施形態の機械動作について上記に説明したものと同一である。さらに、必要に応じて、ピン高さ調整器21−20a、21−20b、21−20c、21−20dを操作して、各隅部で印刷ヘッドシャーシ1−10のプラテン1−70からの高さを調整することができる。
【0175】
システム位置合わせ
複数の離間した印刷ヘッドを利用する印刷システム、特に、複数の離間した印刷ヘッドが、別の印刷ヘッドから噴射されたドットにきわめて近接して(および、好ましくは直接重なるように)インク滴を噴射しなければならない印刷システムでは、プラテン、印刷ヘッドカートリッジなどの様々なハードウェア要素間、および印刷ヘッドカートリッジ自体の間の位置決めの一貫性が、高い印刷品質を得るために必要である。
【0176】
上記の印刷システム1−1000は、印刷ヘッドカートリッジ間、ならびに印刷ヘッドカートリッジと、プラテンおよび印刷媒体などの印刷システムの他の構成要素との間の位置決めの一貫性を維持しながら、必要に応じて、保守、封止、および印刷ヘッドカートリッジの動作を行うために印刷ヘッドカートリッジを移動させる。もっとも、上記の印刷システム1−1000は、様々な構成要素の反復移動にもかかわらず、様々な構成要素間の必要な位置関係を維持できるが、様々な構成要素は、最初に正確に位置を合わせる必要がある。
【0177】
しかし、それぞれが単一色を印刷する複数の離間した印刷ヘッドを使用することで、単一印刷ヘッドシステムおよび走査型印刷ヘッドを利用するシステムでは直面しない、正確な位置合わせを行うという課題が生じる。位置合わせに関する課題が、以下にさらに詳細に説明される。
【0178】
本開示の印刷システム1−1000は、それぞれが単一色を印刷する複数の印刷ヘッドカートリッジ1−20a〜1−20eを利用する。各印刷ヘッドカートリッジ1−20a〜1−20eは、印刷媒体の進行(すなわち、図1AのX軸)方向に、ノズルピッチまたはドットピッチの幅よりも遙かに長い距離だけ、隣接する印刷ヘッドカートリッジから隔てられる。この距離は、センチメートルを単位とすることができ、一実施形態では、印刷ヘッドカートリッジ1−20a〜1−20eは、約8cmの分離ピッチを有する。
【0179】
図12に示し、前述した1つの印刷ヘッドカートリッジ1−20は、印刷媒体の幅にわたって、端部と端部を合わせて配置された複数の印刷ヘッドタイルで構成されている。図12では、印刷ヘッドカートリッジ1−20は、11個の印刷ヘッドタイル12−10が端部と端部を合わせて配置されて例示的に示されている。各印刷ヘッドタイルは、複数のノズル論理列12−20を有する。図12では、各印刷ヘッドタイル12−10が、5つのノズル論理列で例示的に示されている。単一の印刷ヘッドカートリッジ(SPHC)システムとは対照的に、5つのノズル論理列のすべては、同じ色のインクを噴射する。各ノズル論理列は、1対の副列12−30、12−40に分けられ、一方の副列は偶数ドットを印刷するためにあり、他方の副列は奇数ドットを印刷するためにある。図12は、2つの隣接する副列12−30、12−40で構成されるとして1つの論理列12−20を示しているが、論理列は、実際上、必ずしも互いに隣接しない任意の偶数ドット印刷副列12−30および任意の奇数ドット印刷副列12−40で構成されてもよい。
【0180】
印刷システム1−1000では、ある印刷ヘッドタイルの1つの論理列のノズルは、約32cm離れていることもある別の印刷ヘッドカートリッジの対応する印刷ヘッドタイルの対応する列の対応するノズルにきわめて近接して(好ましくは重なるように)インク滴を噴射しなければならない。
【0181】
単一のページ幅印刷ヘッドカートリッジ(SPHC)を使用するシステムと同様に、多段印刷ヘッドカートリッジ式(MPHC)システムは、各印刷ヘッドカートリッジを構成する印刷ヘッドタイルが互いに一列に整列することを保証しなければならない。しかし、ある印刷ヘッドカートリッジの各印刷ヘッドタイルの位置合わせをする必要に加えて、各印刷ヘッドカートリッジを他の印刷ヘッドカートリッジと位置合わせし、それでもなお、さらに、ある印刷ヘッドカートリッジの各印刷ヘッドタイルを、印刷媒体の進行方向に沿って同じラインの上流/下流にある他の印刷ヘッドカートリッジの他の印刷ヘッドタイルと位置合わせする必要がある。
【0182】
さらに、用紙上を進行しつつある印刷媒体はずれ、かつ振れることが分かった。SPHCシステムでは、印刷媒体が第1のノズル列の下を通過した時点から最後のノズル列の下を通過する時点までに起こり得る印刷媒体の異常な動きの量は、ごくわずかではないとしても小さいので、印刷媒体のこのずれおよび振れは認識されないか、または無視された。同様に、走査型システムでは、各反復走査で印刷される帯状印刷(swathe)は比較的狭く、印刷媒体が第1の帯状印刷から次に移動する距離における、起こり得る印刷媒体の異常な動きの量は、ごくわずかではないとしても小さい。したがって、ノズルの観点からすれば、SPHCシステムおよび走査型システムでの印刷ヘッドカートリッジに対する印刷媒体の位置決めは、比較的一貫性があるとみなすことができる。
【0183】
しかし、本開示の印刷システム1−1000では、最初の印刷ヘッドカートリッジは、最後の印刷ヘッドカートリッジから約32cmだけ隔てられることがあるので、印刷媒体のずれおよび振れが大きくなり、簡単でない補償を必要とする。印刷媒体が32cmの距離を進むときに起こり得る印刷媒体の異常な動きの量はきわめて大きい。
【0184】
シアン印刷ヘッドカートリッジのシアンを印刷するノズルから見た印刷媒体の見え方は、約32cm離れ得るイエロー印刷ヘッドカートリッジのイエローを印刷するノズルから見た印刷媒体の見え方と大きく異なることがある。印刷媒体がプラテンに沿って送られるときの印刷媒体のずれ/振れは、異なる色のノズルが近いか(SPHCシステムの場合)、または帯状印刷を印刷する合間に用紙が移動する距離が短いか(走査型システムの場合)のいずれかのために従来では無視できたが、もはや無視することができない。
【0185】
第1に、ある印刷ヘッドカートリッジの1つの印刷ヘッドタイルと、印刷媒体の進行方向に沿って同じラインの上流/下流にある他の印刷ヘッドカートリッジの他の印刷ヘッドタイルとの間の位置合わせ問題に対処するために、2次元バーニヤ校正法を行う。
【0186】
図13は、本開示の実施形態による2次元バーニヤ校正マップ13−100を示している。2次元バーニヤ校正マップ13−100は、マップ上に印刷された水平方向印刷バーニヤパターン13−10の列13−50、13−60、13−70、13−80を含む。2次元バーニヤ校正マップ13−100は、マップの底部に沿って印刷された垂直方向印刷バーニヤパターン13−20の列13−90をさらに含む。べたのカラーバー13−30は、印刷ヘッドカートリッジ1−20a〜1−20eの適切な初期注入を保証する助けとするために、マップの上部に印刷することができる。
【0187】
各水平方向印刷バーニヤパターン13−10は、2つのオーバーラップパターンを含み、一方は、基準印刷ヘッドカートリッジの印刷ヘッドタイルで印刷され、他方は、別の(比較)印刷ヘッドカートリッジの印刷ヘッドタイルで印刷される。以下の説明において、ブラックの印刷ヘッドカートリッジが基準印刷ヘッドカートリッジとして使用される。当然のことながら、これに代えて、印刷ヘッドカートリッジ1−20a〜1−20eの任意の1つが、基準印刷ヘッドカートリッジとして使用されてもよい。
【0188】
バーニヤ校正マップ13−100の第1の列13−50は、シアン印刷ヘッドカートリッジで印刷された11パターンと重ねられた、ブラック印刷ヘッドカートリッジで印刷された11パターンで構成されたバーニヤパターン13−10を示している。各列13−50、13−60、13−70、13−80に印刷されるバーニヤパターン13−10の数は11に限定されるのではなくて、好ましくは、少なくとも1つのバーニヤパターンが、印刷ヘッドカートリッジ1−20を構成する各印刷ヘッドタイル12−10に対して印刷される。
【0189】
各水平方向印刷バーニヤパターン13−10の高濃度領域13−110の位置は、所与のスケールの印刷に関与した印刷ヘッドタイル間の相対垂直方向ずれを示す。例えば、シアン印刷ヘッドカートリッジが、理想的な精度で基準ブラック印刷ヘッドカートリッジから8cmにある場合に、この理想的なものを測定するように設定された2次元バーニヤ校正マップ13−100は、シアン印刷ヘッドカートリッジのシアン印刷ヘッドタイルが、基準ブラック印刷ヘッドカートリッジのブラック印刷ヘッドタイルから実際上完全に8cm離れているならば、第1の列13−50の各水平方向印刷バーニヤパターン13−10の中央付近に高濃度領域13−110を示す。
【0190】
バーニヤ校正マップ13−100の第1の列13−50が、スケールの底部付近で高濃度領域13−110を有する第1の水平方向バーニヤパターンを示す場合、これは、一番左のシアン印刷ヘッドタイルが、対応するブラック印刷ヘッドタイルから8cmよりも離れていることを示す。この高濃度領域13−110が、第1の列13−50の各次のバーニヤ水平方向印刷スケールごとにスケールの高い方に漸進的に上がる場合、シアン印刷ヘッドカートリッジが全体として、ブラック印刷ヘッドカートリッジに対して斜めに曲がっていることを示す。バーニヤ校正マップ13−100の他の高濃度領域13−110に対する高濃度領域13−110の位置から他の同様な結論を引き出すことができる。そのような結論には、ただ1つの印刷ヘッドタイルがずれており、それに対して、印刷ヘッドカートリッジのその他の印刷ヘッドタイルの方は、それとは異なって十分に整列している場合に認識するもの、印刷ヘッドカートリッジ全体が、全体としてずれている場合に認識するもの、印刷ヘッドカートリッジが構造上/機械的に曲がっている場合に認識するものなどがある。
【0191】
基準印刷ヘッドカートリッジに対する他の印刷ヘッドカートリッジの位置関係の解析は、同じ態様で、バーニヤ校正マップ13−100のその他の列13−60、13−70、13−80を参照することで行われる。
【0192】
図14は、各水平方向印刷バーニヤパターン13−10の構成要素を詳細に図式で示している。図14の図(a)に示すように、各水平方向印刷バーニヤパターン13−10は、(濃い/ブラックラインのパターンとして示す)基準印刷ヘッドカートリッジで印刷された基準パターン14−10と、(薄い/グレーラインのパターンとして示す)比較印刷ヘッドカートリッジで印刷された比較パターン14−20とで構成されている。
【0193】
図4の図(b)、図(c)、図(d)は、2つのパターンの重なりを示している。見やすくするために、かつ説明を容易にするために、図(b)、図(c)、図(d)は、水平方向に比較パターンと一部分だけが重なっている基準パターンを図式で示している。実際には、基準パターンおよび比較パターンは共に、両方のパターンの左右の縁部が、図13に示すように、互いに一列に整列するように完全に重なっている。バーニヤ法によれば、基準パターンは、比較パターンと異なる垂直方向ピッチで印刷される。これは、図(b)、図(c)、図(d)に示す干渉パターンを生じさせ、この干渉パターンを使用して、パターンの印刷に関与した印刷ヘッドタイルのずれを示すことができる。
【0194】
図(b)は、比較印刷ヘッドタイルが、基準印刷ヘッドタイルに対して正確に配置されたパターンを示している。印刷ヘッドカートリッジが理想的に基準印刷ヘッドカートリッジから8cmの倍数の位置にあるシステムにバーニヤ校正マップ13−100が設定された場合、干渉パターンの中央に高濃度部分13−110を示す図(b)は、グレーパターンを印刷した比較印刷ヘッドタイルが理想的に配置されていることを示す。
【0195】
図(c)は、比較印刷ヘッドタイルが、基準印刷ヘッドタイルからの理想的な距離よりも若干下がった、または遠いパターンを示している。図(c)では、高濃度部分13−110は、干渉パターンの底部に近い方にある。
【0196】
図(d)は、一見して、比較印刷ヘッドタイルが、基準印刷ヘッドタイルからの理想的な距離よりも上がっている、または近いことを示唆するパターンを示している。しかし、パターンの上部に印刷された位置粗調整用正方形14−30は、実際には、比較印刷ヘッドタイルが、基準印刷ヘッドタイルからの理想的な距離よりも遙かに下がっている、または遠いことを示す。そのような極端な距離により、干渉パターンが「回り込んで」、パターンの上部に出現している。
【0197】
バーニヤ校正マップ13−100の各列13−50、13−60、13−70、13−80に対して形成された干渉パターンを参照することで、基準印刷ヘッドに対する各印刷ヘッドカートリッジの各印刷ヘッドタイルの印刷媒体の進行方向(すなわち、図1AのX軸)に沿った位置関係を求めることができる。こうして求めた任意のずれは、必要ならば、印刷ヘッドカートリッジの位置決めを物理的に調整することで、および/または印刷ヘッドカートリッジに送られる印刷データを加工することで対処される。特に、バーニヤ水平方向印刷スケール13−10によって示される干渉パターンを使用して、印刷ヘッドカートリッジが全体として基準印刷ヘッドカートリッジに対してずれているかどうか、または他のすべてに対してずれているのは、基準印刷ヘッドカートリッジまたは比較印刷ヘッドカートリッジのどちらか1つの印刷ヘッドタイルだけであるかどうかを判断することができる。
【0198】
このように、対応する基準印刷ヘッドタイルに対する、印刷媒体の進行方向(すなわち、図1AのX軸)に沿った各印刷ヘッドタイルの相対位置を必要に応じて調整することができる。
【0199】
垂直方向印刷バーニヤパターン13−20は、水平方向印刷バーニヤパターン13−10と同じ目的に使用される。垂直方向印刷バーニヤパターン13−20は、基準印刷ヘッドカートリッジの対応する印刷ヘッドタイルに対する1つの印刷ヘッドタイルの水平方向(すなわち、図1AのZ方向)のずれを示す。
【0200】
理想的には、基準印刷ヘッドカートリッジの印刷ヘッドタイルの直線的上流または下流にある比較印刷ヘッドカートリッジの印刷ヘッドタイルは、基準印刷ヘッドカートリッジの対応する印刷ヘッドタイルと正確に一列に並ぶ。すなわち、比較印刷ヘッドカートリッジの第1の印刷ヘッドタイルの第1のノズルは、理想的には、印刷媒体の進行方向(すなわち、図1AのX軸)に沿って、基準印刷ヘッドタイルの第1の印刷ヘッドタイルの第1のノズルと同一直線上にある。
【0201】
しかし、印刷ヘッドカートリッジの印刷ヘッドタイルは、常にそのように完全に一列に整列するとは限らず、その代わりに、理想的なラインから外れて離間するのは不可避である。X軸が、すべての印刷ヘッドカートリッジの第1の印刷ヘッドタイルの第1のノズルが理想的な形で正確に配置される架空のラインを示し、かつこの架空のラインが、このページの上部から底部まで引かれた場合、印刷ヘッドカートリッジのノズルは、多くの場合、この架空のラインの若干左または右にある。
【0202】
垂直方向印刷バーニヤパターン13−20は、この方向のずれを示すために使用される。比較印刷ヘッドタイルが、基準印刷ヘッドタイルと完全に一列に整列している場合、すなわち、比較印刷ヘッドタイルのすべてのノズルが、X軸に沿って、基準印刷ヘッドタイルの対応するノズルと完全に同一線上にある場合、高濃度領域13−120が、垂直方向印刷バーニヤパターン13−20の干渉パターンの中央に形成される。比較印刷ヘッドタイルの基準印刷ヘッドタイルに対する左または右(すなわち、図1AのマイナスまたはプラスZ軸方向)のばらつきは、垂直方向印刷バーニヤパターン13−20の干渉パターンの高濃度領域の位置の移動として現れる。垂直方向印刷バーニヤパターン13−20はまた、水平方向印刷バーニヤパターンの位置粗調整用正方形14−30と同様な目的を果たすが、水平方向である位置粗調整用正方形14−40を含む。
【0203】
印刷ヘッドカートリッジを物理的に再度位置調整すること以外に、印刷ヘッドカートリッジに送られるドットデータを垂直方向および水平方向にずらすことでも、印刷ヘッドタイルと、対応する基準印刷ヘッドタイルとのずれが補償される。ある印刷ヘッドタイルと基準印刷ヘッドタイルとのずれは、同じ印刷ヘッドカートリッジが使用される限り、通常、経時的に変化しないので、このずれに対する補償は、1回だけの、またはまれなイベントとして行うことができる。したがって、各印刷ヘッドカートリッジに必要な補償量は、それぞれの印刷ヘッドコントローラモジュールのメモリに静的に格納することができる。印刷ヘッドタイルのずれを補償するためにドットデータをずらす方法は、後で下記に詳細に説明される。
【0204】
印刷ヘッドカートリッジの再校正は、1つまたは複数の印刷ヘッドカートリッジが交換されるたびに行われるのが好ましい。印刷ヘッドカートリッジは、摩損、一定の印刷品質の維持、インクの「色」の変更などのために交換されることがある。
【0205】
上記のように、複数の印刷ヘッドカートリッジを含み、その印刷ヘッドカートリッジが、印刷媒体の進行方向に沿って、比較的長い距離(例えば、ノズル幅またはドットピッチよりも遙かに長い距離、しかも単位がセンチメートルの1つまたは複数の整数で表せる距離)だけ互いから離間している印刷システムでは、所与の任意の瞬間に各印刷ヘッドカートリッジから見た印刷媒体の見え方は、印刷媒体がプラテン上を進むときの印刷媒体のずれおよび振れのために、印刷ヘッドカートリッジごとに全く異なることがある。
【0206】
印刷媒体が印刷ヘッドカートリッジ1−20a〜1−20eを通り過ぎるときの印刷媒体のずれ/振れによって引き起こされる位置ずれの問題に対処するために、印刷システム1−1000は、印刷媒体のずれ/振れを追跡する画像システム15−1000(図15を参照のこと)を使用する。
【0207】
一実施形態では、図15に示すように、第1の印刷ヘッドカートリッジ1−20aは、印刷媒体の縁部に沿って、印刷媒体の進行方向に平行な基準ドットライン15−10を印刷する。センサ15−20は、この基準ドットライン15−10を検出するために、各下流の印刷ヘッドカートリッジ1−20b、1−20c、1−20d、1−20eの近くに設けられる。センサは、第1の印刷ヘッドカートリッジ1−20aで印刷された基準ドットラインに対して垂直に配置された一連の検出器Det_1、Det_2、Det_3、Det_4、Det_5を含む。印刷媒体のずれ/振れは、一連の検出器Det_1、Det_2、Det_3、Det_4、Det_5のうちのどの検出器が基準ドットライン15−10を検出したかを特定することで判明する。
【0208】
例えば、第1の印刷ヘッドカートリッジで印刷された基準ドットライン15−10に対して垂直な単一列に配置された5つの検出器Det_1、Det_2、Det_3、Det_4、Det_5を設けられたセンサ15−20が、検出器Det_3で基準ドットライン15−10を検出したと仮定する。これは、印刷媒体が第1の印刷ヘッドカートリッジの下を通り過ぎた時点からセンサの下の現在のその位置まで、印刷媒体にずれ/振れがないことを意味する。あるいは、それは、印刷媒体がずれて/振れて、印刷媒体が第1の印刷ヘッドカートリッジの下を通過したときにとったのと同じ位置に戻ったことを意味する。このセンサが第2の印刷ヘッドカートリッジ1−20bに取り付けられたセンサである場合、第2の印刷ヘッドカートリッジの印刷データおよび作動シーケンスに対して補償は全く必要ない。
【0209】
次に、第3の印刷ヘッドカートリッジに取り付けられたセンサ15−20が、第1の印刷ヘッドカートリッジで印刷された基準ドットライン15−10を検出器Det_1で検出したと仮定する。これは、印刷媒体が、図1Aで定義した座標軸のZ方向にずれた/振れたことを示す。したがって、第3の印刷ヘッドカートリッジに供給される印刷データは、印刷媒体のこのずれ/振れを補償するためにZ方向にずらす必要がある。
【0210】
上記の態様で、各単色画像の適切な位置関係を得るために、複数の離間した印刷ヘッドカートリッジ1−20a〜1−20eが、前に噴射されたドットに重なる(またはきわめて近接する)ドットを正確に噴射することを可能にする動的補償が行われる。
【0211】
第1の印刷ヘッド1−20aで印刷された基準ドットライン15−10は、人間による検出に対して不可視であるのが好ましい。例えば、基準ドットライン15−10は、赤外インクを使用して印刷されるのが好ましく、センサ15−20は、赤外線検出器で構成される。
【0212】
別の実施形態では、印刷媒体の縁部が基準ラインとして検出および使用される。印刷媒体の縁部は、上記の実施形態の基準ラインと同様の態様で使用されて、下流にある次の印刷ヘッドカートリッジが、印刷媒体のずれ/振れを補償するのを可能にする。この実施形態では、各印刷ヘッドカートリッジ1−20a〜1−20eは、印刷媒体の縁部を検出するセンサを設けられる。第1の印刷ヘッドカートリッジ1−20aは、印刷媒体の縁部の位置を検出し、この位置を下流にある後の印刷ヘッドカートリッジに伝える。下流にある後の印刷ヘッドカートリッジ1−20b、1−20c、1−20d、1−20eはそれぞれ、印刷媒体がそれぞれ各印刷ヘッドカートリッジの下を通過するときに印刷媒体の縁部の位置を検出し、検出した位置を印刷媒体のその部分が第1の印刷ヘッドカートリッジの下を通過したときに、第1の印刷ヘッドカートリッジによって検出された位置と比較する。
【0213】
後に続く印刷ヘッドカートリッジは、第1の印刷ヘッドカートリッジによって検出された縁部と比較した、検出した印刷媒体の縁部の任意の相違を補償するために、必要に応じて印刷データをずらす。
【0214】
基準線を印刷することと比較した印刷媒体の縁部を検出することの利点は、各印刷ヘッドカートリッジが、印刷媒体の縁部を検出した際に、印刷媒体の任意のずれ/振れに対処するのに、印刷媒体の絶対的縁部と比較してそれ自体の印刷データに対する補償を行うことができることである。それに対して、第1の印刷ヘッドカートリッジで印刷された基準ラインを使用する補償方法は、第1の印刷ヘッドカートリッジが印刷媒体に対して常に位置が合っていると仮定する。この仮定が誤っている場合に、印刷ヘッドカートリッジ1−20a〜1−20eで印刷された画像は、それでも互いに対して位置が合うが、必ずしも印刷媒体自体に対して位置が合うとは限らない。例えば、明瞭な高精細度の画像が印刷されるが、その画像は、印刷媒体に対して振れる、または曲がることがある。一方、印刷媒体の縁部が検出されるシステムは、一貫した縁部を有する高品質の印刷媒体を使用する必要がある。
【0215】
あるいは、印刷媒体の縁部の検出と基準線の印刷とを組み合わせて使用する複合動的補償システムを採用することもできる。複合動的補償システムは、基準ラインを印刷する印刷ヘッドカートリッジに対して印刷媒体縁部検出画像システムを利用し、その他の印刷ヘッドカートリッジに対して上記の基準ライン画像検出システムを利用する。
【0216】
印刷データ作成および位置ずれ補償
図16A〜16Dを参照して、コンピュータシステムによる印刷のためにカラー画像を処理するプロセスが説明される。
【0217】
図16Aに示すステップ16−10で、最初に、カラー画像をコンピュータシステムに供給する。カラー画像は、例えば、マイクロソフト(商標)アプリケーションで作業する場合に一般的である、XPSまたはGDIページ記述言語で表すことができる。
【0218】
図16Bに示すステップ16−20で、カラーピクセルのビットマップを得るために、コンピュータシステムによってカラー画像をラスタ化する。ビットマップは、例えば、RGB、sRGBなどの画像色空間で各ピクセルの色を示す。各ピクセルの色は、例えば、レッド25%、グリーン32%、ブルー76%など、特定の割合の基色セットの組み合わせとして表される。ステップ16−20で具体的に示したビットマップは、ソース画像をR、G、B、およびスポットカラーで示す。説明において、スポットカラーは、例示的にカーキを使用する。
【0219】
ステップ16−30で、画像色空間を印刷用の印刷色空間に変換する。このステップの出力は、各ピクセルがいくつかの数値で示されるビットマップを形成する。各数値は、印刷システム1−1000が印刷するインクの「色」またはタイプに対応する。例えば、5つの印刷ヘッドカートリッジがそれぞれシアン、マゼンタ、イエロー、ブラック、およびスポットカーキを印刷するように印刷システム1−1000が設定されている場合、16−30で作成されるビットマップは、22−M−Y−K−SpKH色空間にあり、スポット−カーキを除いて、各ピクセルをこれらの各色の明度として表す。インクを組み合わせることなく特定の色を印刷するために使用されるスポットカラーは、表現が二値的であり、所与の位置に印刷されるか、または印刷されないかのいずれかである。
【0220】
別の例として、印刷システム1−1000は、スポット−カーキ、スポット−ブルー、およびスポット−ピンクを印刷するように設定することができ、他の2つの印刷ヘッドカートリッジは使用されない。この場合、ステップ16−30は、ステップ16−20で作成されたカラービットマップをSpKH−SpBL−SpPK色空間に変換する。したがって、印刷色空間の実際の色空間は、その時々で印刷システム1−1000の設定によって変わる。印刷システム1−1000は、上記の色および印刷色空間に限定されるのではなくて、必要に応じて、色の任意の組み合わせを印刷するように設定することができると容易に理解できる。
【0221】
説明を簡単にするために、下記では、印刷システム1−1000は、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック、およびスポットカーキを印刷するように設定されていると仮定する。したがって、ステップ16−20で作成された画像色空間は、印刷色空間として、22−M−Y−K−SpKH色空間に変換される。
【0222】
図16Cに示すステップ16−40で、22−M−Y−K−SpKH色空間の各色を単独の色平面に分解する。各色平面は、元のカラー画像をその平面の色だけを含む単色画像として表す。
【0223】
ステップ16−50で、各単色画像をディザリングする。これは、各ピクセルが明度(または色合い)によって表される単色画像を、各ピクセルが有効または無効のいずれかである二値画像に変換する。小領域で有効/無効ピクセルを組み合わせることで、元の単色画像の明度(色合い)に近くなる。さらに、1つの単色画像における所与の任意のピクセルのディザリングは、他の単色画像の対応するピクセルの影響を受けることがある。
【0224】
図16Dに示すステップ16−60で、各単色ディザリング画像のドットを、ドットデータとして、対応する印刷ヘッドコントローラモジュールの印刷エンジンに送る。ドットデータは、印刷エンジンに送る前に圧縮することができる。例えば、シアンディザリング画像のドットは、第1の印刷ヘッドコントローラモジュール1−25aに送ることができ、マゼンタディザリング画像のドットは、第2の印刷ヘッドコントローラモジュール1−25bに送ることができ、以下同様である。図16Dはまた、印刷ヘッドが、印刷媒体の長さに沿って離間し、したがって、異なる時点で印刷を開始しなければならないことに対処するために、一部のディザリング画像に加えられた遅延を図式で示している。
【0225】
図17Aおよび図17Bは、ステップ16−60でコンピュータシステムから各印刷ヘッドコントローラモジュール1−25a〜1−25eに送られたドットデータの処理を示している。各印刷ヘッドコントローラモジュール1−25a〜1−25eは、ドットデータをさらに処理する印刷エンジンを含む。
【0226】
ステップ17−10で、単色ディザリング画像用にステップ16−60で作成されたドットデータは、対応する印刷ヘッドコントローラモジュール1−25a〜1−25eの印刷エンジンの入力データバッファに受け入れられる。ドットデータは、受け入れられ、必要ならば解凍され、次いで、入力データバッファに置かれる。次いで、入力バッファからのデータは、偶数番目のノズルから噴射されるドットに対応する偶数ドットと、奇数番目のノズルから噴射されるドットに対応する奇数ドットとに分けられる(ステップ17−20)。偶数ドットは、偶数ビットバッファに受け入れられ、奇数ドットは、奇数ビットバッファに受け入れられる。したがって、各バッファは、データの半ライン(すなわち、ラインの偶数ビットのすべて、またはラインの奇数ビットのすべて)を保持する。
【0227】
ステップ17−30で、偶数ビットバッファおよび奇数ビットバッファのデータに対して垂直方向の校正を行う。各バッファのデータは、垂直校正領域に論理的にグループ分けされる。各垂直校正領域は、ドットデータの任意の必要な垂直補償を行うために、上下に移動させることができる。図17Aでは、偶数ビットバッファおよび奇数ビットバッファの両方の垂直校正領域1が、下方に1ライン移動されて示されている。垂直校正領域1のドットデータを下方に1ライン移動させる必要があるのは、例えば、特定の印刷ヘッドタイルの垂直方向のずれを補償するためであり得る。
【0228】
図17Bに示すステップ17−40で、偶数ビットバッファおよび奇数ビットバッファの両方からのドットデータは、出力バッファで統合される。偶数ビットバッファおよび奇数ビットバッファからのドットデータは、ずれの補償と、印刷ヘッドカートリッジのすべてのノズルが同時に作動されるとは限らない(特に、熱および電気負荷のため)ことと、他のタイミングおよび作動シーケンス問題とを考慮したドットの整列を行うために順序付けて統合される。
【0229】
出力バッファのドットの順番は、印刷ヘッドカートリッジの最初のノズル列が、最後のノズル列から複数のドットピッチだけ隔てられ得ることをさらに考慮に入れる。印刷システム1−1000では、最初のノズル列は、最後のノズル列から44ドットピッチだけ隔てられている。したがって、最初の列は、最後の列より44ライン前にデータを印刷することができる。したがって、ステップ17−40で出力バッファ内に示したドットデータの見た目の整列は、人間には容易に理解できない。
【0230】
さらに、ステップ17−40で、用紙の振れ、および印刷ヘッドカートリッジ間のずれに対処するために、ドットデータの水平方向の補償も行われる。図17Bに示すように、いくつかの列は、センサ15−1000などによって検出された用紙の振れを補償するために、水平方向に1ドットピッチだけ例示的に移動されている。
【0231】
ステップ17−50で、ドロップトライアングル構成などの印刷ヘッドカートリッジの特有の物理構成に対処するために、さらなる補償が出力バッファのドットデータに適用され、次いで、データは、解釈され、読み出され、適切に実行されるように、最終的に、印刷ヘッドコントローラモジュールおよび印刷ヘッドに特有のフォーマットに書式設定される。このフォーマットの中には、印刷ヘッドタイルのノズルを特定の温度に維持するための非噴射作動パルス、「濡れを保つ」作動パターン、故障ノズル補償、8b10bエンコーディング、散在する印刷コマンド、および印刷データなどを含むことができる。
【0232】
印刷データの上記の処理は、単色ページ幅印刷ヘッドカートリッジと共に機能するように設計された印刷エンジンを使用する印刷システムに適する。しかし、前述したように、カラー印刷システムで使用される従来のページ幅印刷ヘッドカートリッジは単色ではない。その代わりとして、単一のページ幅印刷ヘッドカートリッジが1つだけではなくすべての色を印刷する。
【0233】
以下は、多色ページ幅印刷ヘッドカートリッジおよび対応する多色印刷エンジンが、印刷システム1−1000などの多段印刷ヘッドカートリッジ式カラー印刷システムにおいて単色で動作するのを可能にする、印刷データの上記の処理の修正について説明する。この方法では、既存の多色ページ幅印刷ヘッドカートリッジおよび対応する多色印刷エンジンを印刷システム1−1000で使用することができ、それにより、新たな単色ページ幅印刷ヘッドカートリッジおよび印刷エンジンを購入する必要性を改善し、その結果、コストを節約する。
【0234】
本来は、多色印刷ヘッドカートリッジを駆動するように設計された印刷エンジンは、複数の色平面のピクセルデータを受け取り、各色平面に対するドットデータを作成する。各色平面に対するドットデータは、1つの印刷ヘッドカートリッジの特定のノズル列に送られ、特定のノズル列は、特定のノズル列によって噴射されたインクが、上流のノズル列によって噴射されたドットに重なるように時間制御されて作動する。
【0235】
多色印刷エンジンおよび印刷ヘッドカートリッジをその代わりに単色で動作させ、さらに、各ノズル列が、前に印刷されたラインの上ではなくて、印刷媒体上の新たなラインにインクを噴射するように、多色印刷エンジンおよび印刷ヘッドカートリッジにインクを噴射させるために、印刷エンジンに送られる単色ピクセルデータは、いくつかの「色」平面で構成されるかのように偽装しなければならず、また、印刷媒体は、高速で印刷ヘッドカートリッジを通り過ぎるようにされなければならない。
【0236】
上記のプロセスが、図18A図18B、および図19を参照して説明される。図18Aに示すステップ18−10で、フルカラーソース画像を表す画像データが、コンピュータシステムによって受け取られる。説明を簡単にするために、ステップ18−10で示す画像データは、印刷色平面(例えば、CMYK)にすでに変換されている。画像データが、まだCMYK色平面に変換されていない場合、図16A〜16Dに関連して前述したステップが実行されて、画像データをCMYK色平面に変換する。
【0237】
ステップ18−20で、画像データは、元のソース画像の単色画像を得るために、コンピュータシステムによって個々の色平面に分解される。ステップは、ここまで16−10〜16−40のものと同様である。
【0238】
ステップ18−30で、各個々の色平面は、多色画像を表す場合と同様に処理される。説明を簡単にするために、プロセスは、イエロー色平面に関連して下記に説明されるが、当然ながら、同様なプロセスが、各他の色平面M、Y、Kに対して行われる。イエロー色平面は、いくつかの垂直ラインのグループ18−100に分割される。図18Bで示す実施形態では、イエロー色平面は、それぞれ3つの垂直ラインのグループ18−100に分割される。グループの各ラインは、あえて異なる色を表すようにされる。例えば、各グループの列1は「ピンク」データ、列2は「ライム」データ、列3は「オレンジ」データを表すとみなすことができる。
【0239】
グループの垂直ラインの数は、各印刷ヘッドカートリッジが使用する(または、必要とする)ノズル列の数を決める(または、ノズル列の数によって決まる)。この場合、各グループは、3つの垂直ラインを含み、したがって、3つのノズル列が使用される/必要とされる。システム1−1000では、各印刷ヘッドカートリッジは、5つのノズル列を有する。したがって、2つのノズル列は使用されず、かつ/または冗長化に使用されて、例えば、他の3つの列の故障ノズルを補償するか、または印刷密度を高める。
【0240】
ステップ18−40で、各グループ18−1000の「ピンク」ライン(すなわち、列1)は組み合わされて、「ピンク」偽造色平面を形成する。同様に、各グループの「ライム」ラインおよび「オレンジ」ラインが組み合わされて、それぞれ「ライム」偽造色平面および「オレンジ」偽造色平面を形成する。ここで、イエロー色平面のデータが3つの偽造色平面に分解されると、各3つの偽装色平面からのデータは3つの色平面を有する画像データに見えるように組み合わされ、書式設定される(ステップ18−50)。この画像データは、P*L*O*色空間、すなわち、偽造ピンク、偽造ライム、偽造オレンジ色空間にあると言える。P*L*O*色空間の画像データは、まだ実際上、元のソース画像のイエロー色平面だけを表すデータであるとこの際に指摘しておく。次いで、P*L*O*色空間の画像データは、多色印刷エンジンに送られる。データは、多色カラー印刷エンジンに送られる前に、何らかの態様で圧縮することができる。
【0241】
図19は、単色データではなくて多色データを予想している多色印刷エンジンによる、P*L*O*色空間の画像データの処理を示している。ステップ19−10、19−20で、多色印刷エンジンは、必要ならば、印刷データを解凍し、次いで、受け取ったP*L*O*色空間画像を多色処理する。すなわち、P*L*O*色空間画像は、単独のP*色平面、L*色平面、およびO*色平面に分解される。次いで、P*色平面のデータは、ディザリングされて、例えば、多色印刷ヘッドカートリッジの列1に送られ、一方、L*色平面のデータは、ディザリングされて、例えば、列3に送られ、O*色平面のデータは、ディザリングされ、例えば、列5に送られる(ステップ19−30)。
【0242】
上記のプロセスは、多色印刷エンジンおよび印刷ヘッドカートリッジに、単色画像を多色画像として処理させるように、元のソース画像の単一色平面を複数の偽造色平面に分解する。こうして、単色画像は、ステップ19−40に示すように、1つではなくて数個のノズル列によって印刷される。しかし、多色印刷エンジンおよび印刷ヘッドカートリッジは、各ノズル列によって噴射されたドットが、上流のノズル列によって噴射されたドットに重なるように各ノズル列を作動させる設計とされているという点でまだ問題が存在する。これを変更しないままにした場合、偽造「ピンク」、偽造「ライム」、および偽造「オレンジ」色平面データによって表される単色イエロー画像は、印刷媒体上に正確に再現されないことになる。
【0243】
多色印刷エンジンおよび印刷ヘッドカートリッジに異なる列から印刷媒体の異なるラインにドットを噴射させるために、印刷ヘッドカートリッジを通り過ぎる印刷媒体の進行速度が増速される。印刷媒体の進行速度の実際の増速は、多色印刷エンジンによって使用されるノズル作動タイミングに依存するが、基本的に、増速により、各ノズル列は、例えば、シミュレーション/計算を通して求めたある程度の量だけそのドット着地位置を「外す」。シミュレーション/計算により、各ノズル列が、それらの予測される新たな着地位置から0.5ドットピッチ以内にドットを噴射することが保証される。図19の例では、印刷媒体は、ある印刷ヘッド(PH1)の列1が、ライン1からスタートして3ラインごとに印刷し、一方、同じ印刷ヘッド(PH1)の列3が、ライン2からスタートして3ラインごとに印刷し、同じ印刷ヘッド(PH1)の列5が、ライン3からスタートして3ラインごとに印刷するように、20インチ/秒(IPS)で印刷ヘッドカートリッジを通り過ぎる。使用しない列2、4は、列1、3、5の任意の故障ノズルを補償するために、または印刷密度を上げるために用いることができる。
【0244】
ステップ19−40は、ピンク、ライム、およびオレンジのラインを交互配置した、1つの印刷ヘッドで印刷された最終的な画像を示している。もっとも、ピンク、ライム、およびオレンジのラインは偽造色であり、実際上、すべて元のソース画像の元のイエロー色平面のラインであるという認識において、最終的な画像は、実際に元のソース画像の完全なイエロー単色画像である。しかし、この方法でのイエロー単色画像の印刷は、上記のプロセスが行われない場合と比較して、約3倍速く実行された。イエロー単色画像を印刷するのに、上記のプロセスが行われない場合と比較して、1つではなくて3つのノズル列が使用された。さらに、印刷媒体の進行速度が増速された。
【0245】
上記のプロセスは、元のシアン、マゼンタ、イエロー、およびブラックの各色平面(および、ある場合はスポット色平面)に対して行われ、各元の色平面に対して作成されたそれぞれの偽造カラー画像は、個々の印刷ヘッドコントローラモジュール1−25a〜1−25eおよび対応する印刷ヘッドカートリッジ1−20a〜1−20eに送られる。このように、印刷媒体の進行速度の増速を除いて、ハードウェアの実質的な修正を全くすることなく、既存の多色印刷エンジンおよび印刷ヘッドカートリッジをシステム1−1000で使用することができる。
【0246】
図18A図18B、および図19を参照して上記に具体的に説明していないが、図17Aおよび図17Bを参照して上記に説明したように、印刷ヘッドカートリッジおよび印刷ヘッドタイルのずれを補償するためにデータをさらに処理する同じステップも、垂直方向および水平方向のずれ、さらには用紙の振れに対処するために同様の態様で行われる。
【0247】
本発明が、いくつかの特定の実施形態に関連して本明細書で説明されたが、本発明は、開示した実施形態のみに限定されないこと、およびこれらの実施形態は、最良の態様の/好ましい実施形態について説明されたが、本発明は、本発明の範囲内に包含される他の形態で具現化できることが当業者には分かるであろう。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16A
図16B
図16C
図16D
図17A
図17B
図18A
図18B
図19
図20
図21
図21A
図22
図23
図24
図25
図26