(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記コントローラは、前記デジタル入力信号に従って、前記第1の複数のNr個の電気的接続部(Rワイヤ)に、それぞれ、印加するためのNr個組の電位、前記第2の複数のNc個の電気的接続部(Aワイヤ)に、それぞれ、印加するための第1のNc個組の電位、および前記第3の複数のNc個の電気的接続部(Bワイヤ)に、それぞれ、印加するための第2のNc個組の電位を決定するように動作する、請求項1に記載の装置。
各移動要素は、前記コントローラによって印加される電位に応答して、前記第2の電極よりも前記第1の電極に近い第1の端位置から、前記第1の電極よりも前記第2の電極に近い第2の端位置まで移動し、そして戻るように動作する、請求項1に記載の装置。
前記コントローラは、前記所定の有限集合の電位の1つを、それぞれ、前記第1、第2、および第3の複数の電気的接続部の各メンバーに周期的に適用するように動作する、請求項1に記載の装置。
前記コントローラは、前記デジタル入力信号に従って、前記第1の複数の電気的接続部(Rワイヤ)の前記Nr個のメンバーのそれぞれへの周期的な印加のためのNr個組の電位、前記第2の複数の電気的接続部(Aワイヤ)の前記Nc個のメンバーのそれぞれへの周期的な印加のための第1のNc個組の電位、および前記第3の複数の電気的接続部(Bワイヤ)の前記Nc個のメンバーのそれぞれへの周期的な印加のための第2のNc個組の電位を周期的に決定するように動作する、請求項7に記載の装置。
前記Nr個組、第1のNc個組、および第2のNc個組の電位の印加は、アクチュエーションクロックと同期しており、よって、前記アクチュエーションクロックのサイクルの持続期間にわたって、アクチュエーションクロックの1サイクルにつき1度、周期的かつ同時に、Nr個組の電位が、前記第1の複数のNr個の電気的接続部(Rワイヤ)に印加され、第1のNc個組の電位が、前記第2の複数のNc個の電気的接続部(Rワイヤ)に印加され、第2のNc個組の電位が、前記第3の複数のNc個の電気的接続部(Bワイヤ)に印加される、請求項8に記載の装置。
各移動要素は、前記コントローラによって印加される電位に応答して、前記第2の電極よりも前記第1の電極に近い第1の端位置から、前記第1の電極よりも前記第2の電極に近い第2の端位置まで移動し、そして戻るように動作し、
アクチュエーションクロックの1サイクルあたり1度、前記コントローラは、その個々のクロックサイクル中に、m1個の移動要素が前記第1の端位置から解放され、m2個の移動要素が前記第2の端位置から解放され、m2−m1=net_movesである場合に、前記個々のクロックサイクル中に前記音が生成されることを特徴とする、net_moves数を計算するように動作する、請求項9に記載の装置。
前記コントローラは、加えて、前記第1の複数のNr個の電気的接続部(Rワイヤ)、前記第2の複数のNc個の電気的接続部(Aワイヤ)、および前記第3の複数のNc個の電気的接続部(Bワイヤ)に、それぞれ、印加されたときに、
●前記第1の端位置からのk1個の移動要素の解放、
●前記第2の端位置からのk2個の移動要素の解放、
を生じさせるように動作する、印加−有効電位を、クロックの1サイクルあたり1度決定するように動作し、よって、k1−k2がnet_movesに十分に近くなり、所与の印加の目的に十分に近い前記標的の音に類似している音を生成する、請求項11に記載の装置。
前記コントローラは、計数器、量子化器、ディザー、レベルシフタ、低域通過フィルタおよびサンプルレートコンバータの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の装置。
例えば、前記装置の電源が切られたとき等の、前記第1の複数のNr個の電気的接続部、前記第2の複数のNc個の電気的接続部、および前記第3の複数のNc個の電気的接続部に印加される任意の電位の非存在下で、前記移動要素は、前記第1および第2の端位置の間に位置する静止位置に戻り、
前記コントローラは、加えて、前記移動要素の1つ以上を、それらの静止位置から前記第1および第2の端位置まで移動させる手段を備える、請求項3に記載の装置。
前記コントローラは、1つ以上のアクチュエーションクロックサイクル中にk1−k2とnet_movesとの間の非ゼロの差(アドレス指定エラー)に起因する、アドレス指定ノイズの周波数スペクトルを形成するアドレス指定ノイズシェーピングループを含み、よって、アドレス指定ノイズエネルギーは、関心の周波数帯域の範囲内で低減され、かつ前記関心の帯域の範囲外で増大される、請求項12に記載の装置。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本明細書では、本発明の特定の実施形態に従って、例えば
図2を参照して本明細書で図示および説明されるように、その少なくとも1つの属性が、周期的にサンプリングされるデジタル入力信号の少なくとも1つの特性に対応する、標的の物理的作用を発生させるための装置が提供され、該装置は、
第1および第2の電極の間を移動する移動要素をそれぞれが備え、アクチュエータ要素のNr個の第1のサブセット(Rサブセット)と、アクチュエータ要素のNc個の第2のサブセット(Cサブセット)とを含む、多数の静電アクチュエータ要素であって、多数のアクチュエータ要素の第1のパーティショニングでNr個の第1のサブセット(Rサブセット)が得られ、多数のアクチュエータ要素の第2のパーティショニングでNc個の第2のサブセット(Cサブセット)が得られる、多数の静電アクチュエータ要素と、
各Rサブセットの中のアクチュエータ要素の移動要素を相互接続し、よって、各個々のRサブセットの中の任意のアクチュエータ要素の移動要素が、個々のRサブセットの中の全ての他のアクチュエータ要素の移動要素に電気的に接続され、また、個々のRサブセットの中にない全てのアクチュエータ要素の移動要素から電気的に絶縁される、第1の複数のNr個の電気的接続部(Rワイヤ)と、
各Cサブセットの中のアクチュエータ要素の第1の電極を相互接続し、よって、各個々のCサブセットの中の任意のアクチュエータ要素の第1の電極が、個々のCサブセットの中の全ての他のアクチュエータ要素の第1の電極に電気的に接続され、また、個々のCサブセットの中にない全てのアクチュエータ要素から電気的に絶縁される、第2の複数のNc個の電気的接続部(Aワイヤ)と、
各Cサブセットの中のアクチュエータ要素の第2の電極を相互接続し、よって、各個々のCサブセットの中の任意のアクチュエータ要素の第2の電極が、個々のCサブセットの中の全ての他のアクチュエータ要素の第2の電極に電気的に接続され、また、個々のCサブセットの中にない全てのアクチュエータ要素から電気的に絶縁される、第3の複数のNc個の電気的接続部(Bワイヤ)と、
第1、第2、および第3の複数の電気的接続部に接続され、デジタル入力信号を受信し、所定の有限集合の電位の1つを、それぞれ、電気的接続部のそれぞれに印加するように動作し、よって、結果として生じる移動要素の動きが、ともに所望の物理的作用を生成する、コントローラと、を備える。
【0027】
Rサブセットは、同じ数の要素を有し得るが、全てのRサブセットがそうである必要はないことを認識されたい。同じことがCサブセットに当てはまる。Rサブセットは、全てのCサブセットと交差する場合もあり、またはそうでない場合もある。
【0028】
特定の実施形態によれば、例えば
図2を参照して本明細書で図示および説明されるように、コントローラは、デジタル入力信号に従って、第1の複数のNr個の電気的接続部(Rワイヤ)に、それぞれ、印加するためのNr個組の電位、第2の複数のNc個の電気的接続部(Aワイヤ)に、それぞれ、印加するための第1のNc個組の電位、および第3の複数のNc個の電気的接続部(Bワイヤ)に、それぞれ、印加するための第2のNc個組の電位を決定するように動作する。
【0029】
特定の実施形態によれば、例えば
図2および
図14を参照して本明細書で図示および説明されるように、Nr個組、第1のNc個組、および第2のNc個組は、第1、第2、および第3の複数の電気的接続部に、それぞれ、該個組を印加することが、多数のアクチュエータ要素の移動要素に、デジタル入力信号の少なくとも1つの特性に対応する物理的作用を生成させるように、コントローラによって決定される。
【0030】
特定の実施形態によれば、例えば、
図1b〜1cを参照して本明細書で図示および説明されるように、各移動要素は、コントローラによって印加される電位に応答して、第2の電極よりも第1の電極に近い第1の端位置から、第1の電極よりも第2の電極に近い第2の端位置まで移動し、そして戻るように動作する。
【0031】
特定の実施形態によれば、例えば
図2〜
図3を参照して本明細書で図示および説明されるように、アクチュエータ要素の第1のサブセットの任意の個々の1つと、アクチュエータ要素の第2のサブセットの任意の個々の1つとの交差点は、全てが一様な番号のアクチュエータ要素(1つ以上)を含む。
【0032】
特定の実施形態によれば、例えば
図4〜
図8および
図10〜
図12を参照して本明細書で図示および説明されるように、所定の有限集合の電位は、第1および第2の有限集合の電位値を含み、Nr個組の電位が、第1の有限集合の電位値から選択され、第1および第2のNc個組の電位が、第2の有限集合の電位値から選択される。第1および第2の有限集合の電位値の少なくとも1つのメンバーは、ゼロ(接地)であり得る。第1および第2の有限集合の電位値のそれぞれは、ゼロ(接地)であるメンバーを含み得る。第1および第2の有限集合の電位値の少なくとも1つは、厳密に2つの値を有し得る。第1および第2の有限集合の電位値のどちらも、厳密に2つの値を有し得る。第1および第2の有限集合の電位値の少なくとも1つは、厳密に3つの値を有し得る。第1の有限集合の電位値の少なくとも1つのメンバーは、第2の有限集合の電位値の少なくとも1つのメンバーに等しくなり得る。第1の有限集合の電位値の少なくとも1つのメンバーは、第2の有限集合の電位値の少なくとも1つのメンバーの値の2倍であり得る。第1の有限集合の電位値の少なくとも1つのメンバーは、第2の有限集合の電位値の少なくとも1つのメンバーと比較して、大きさが等しく、極性が逆であり得る。
【0033】
特定の実施形態によれば、例えば
図2および
図14を参照して本明細書で図示および説明されるように、コントローラは、所定の有限集合の電位の1つを、それぞれ、第1、第2、および第3の複数の電気的接続部の各メンバーに周期的に印加するように動作する。コントローラは、デジタル入力信号に従って、第1の複数の電気的接続部(Rワイヤ)のNr個のメンバーに、それぞれ、周期的に印加するためのNr個組の電位、第2の複数の電気的接続部(Aワイヤ)のNc個のメンバーに、それぞれ、周期的に印加するための第1のNc個組の電位、および第3の複数の電気的接続部(Bワイヤ)のNc個のメンバーに、それぞれ、周期的に印加するための第2のNc個組の電位を周期的に決定するように動作する。Nr個組、第1のNc個組、および第2のNc個組の電位の印加は、アクチュエーションクロックと同期し得、よって、アクチュエーションクロックのサイクルの持続期間にわたって、アクチュエーションクロックの1サイクルにつき1度、周期的かつ同時に、Nr個組の電位が、第1の複数のNr個の電気的接続部(Rワイヤ)に印加され、第1のNc個組の電位が、第2の複数のNc個の電気的接続部(Rワイヤ)に印加され、第2のNc個組の電位が、第3の複数のNc個の電気的接続部(Bワイヤ)に印加される。
【0034】
特定の実施形態によれば、例えば
図1b〜1cを参照して本明細書で図示および説明されるように、各移動要素は、コントローラによって印加される電位に応答して、第2の電極よりも第1の電極に近い第1の端位置から、第1の電極よりも第2の電極に近い第2の端位置まで移動し、そして戻るように動作し、そのような動きは、単一のアクチュエーションクロックサイクル以内に完了する。各移動要素は、例えば
図9を参照して本明細書で説明されるように、コントローラによって印加される電位に応答して、第2の電極よりも第1の電極に近い第1の端位置から、第2の電極よりも第2の電極に近い第2の端位置まで移動し、そして戻るように動作し、そのような動きは、kが正の整数、例えば2(例えば、
図9、
図10)以上である、k回のアクチュエーションクロック以内に完了する。
【0035】
特定の実施形態によれば、例えば、
図2を参照して本明細書で図示および説明されるように、その少なくとも1つの属性が、周期的にサンプリングされるデジタル入力信号の少なくとも1つの特性に対応する、物理的作用を発生させるための装置を製造するための製造方法が提供され、該方法は、
第1および第2の電極の間を移動する移動要素をそれぞれが備える、多数の静電アクチュエータ要素を提供することであって、
Nr個の第1のサブセット(Rサブセット)への多数のアクチュエータ要素の第1のパーティショニングと、
Nc個の第2のサブセット(Cサブセット)への多数のアクチュエータ要素の第2のパーティショニングと、を画定することを含む、多数の静電アクチュエータ要素を提供することと、
第1の複数のNr個の電気的接続部(Rワイヤ)を介して、各Rサブセットの中のアクチュエータ要素の移動要素を相互接続することであって、よって、各個々のRサブセットの中の任意のアクチュエータ要素の移動要素が、個々のRサブセットの中の他の全てのアクチュエータ要素の移動要素に電気的に接続され、また、個々のRサブセットの中にない全てのアクチュエータ要素の移動要素から電気的に絶縁される、相互接続することと、
第2の複数のNc個の電気的接続部(Aワイヤ)を介して、各Cサブセットの中のアクチュエータ要素の第1の電極を相互接続することであって、よって、各個々のCサブセットの中の任意のアクチュエータ要素の第1の電極が、個々のCサブセットの中の他の全てのアクチュエータ要素の第1の電極に電気的に接続され、また、個々のCサブセットの中にない全てのアクチュエータ要素から電気的に絶縁される、相互接続することと、
第3の複数のNc個の電気的接続部(Bワイヤ)を介して、各Cサブセットの中のアクチュエータ要素の第2の電極を相互接続することであって、各個々のCサブセットの中の任意のアクチュエータ要素の第2の電極が、個々のCサブセットの中の他の全てのアクチュエータ要素の第2の電極に電気的に接続され、また、個々のCサブセットの中にない全てのアクチュエータ要素から電気的に絶縁されるように、相互接続することと、
第1、第2、および第3の複数の電気的接続部に電気的に接続され、デジタル入力信号を受信し、所定の有限集合の電位の1つを、それぞれ、電気的接続部のそれぞれに印加するように動作し、よって、結果として生じる移動要素の動きが、ともに所望の物理的作用を生成する、コントローラを提供することと、を含む。
【0036】
各移動要素は、例えば
図10、
図24を参照して本明細書で説明されるように、コントローラによって印加される電位に応答して、第2の電極よりも第1の電極に近い第1の端位置から、第1の電極よりも第2の電極に近い第2の端位置まで移動し、そして戻り、
単一のアクチュエーションクロックサイクル中に、多数の移動要素の一部は、それらの端位置の一方を出発するが、まだそれらの端位置のもう一方に到達しておらず、多数の移動要素の他のものは、単一のアクチュエーションクロックサイクルの前のアクチュエーションクロックサイクル中に、それらの端位置のもう一方を出発して、それらの端位置の一方に到達する。
【0037】
特定の実施形態によれば、例えば
図14を参照して本明細書で図示および説明されるように、その少なくとも1つの属性が、周期的にサンプリングされるデジタル入力信号の少なくとも1つの特性に対応する、物理的作用を発生させるための方法が提供され、該方法は、
第1および第2の電極の間を移動する移動要素をそれぞれが備え、アクチュエータ要素のNr個の第1のサブセット(Rサブセット)と、アクチュエータ要素のNc個の第2のサブセット(Cサブセット)とを含む、多数の静電アクチュエータ要素であって、多数のアクチュエータ要素の第1のパーティショニングでNr個の第1のサブセット(Rサブセット)が得られ、多数のアクチュエータ要素の第2のパーティショニングでNc個の第2のサブセット(Cサブセット)が得られる、多数の静電アクチュエータ要素を提供することと、
各Rサブセットの中のアクチュエータ要素の移動要素を相互接続し、よって、各個々のRサブセットの中の任意のアクチュエータ要素の移動要素が、個々のRサブセットの中の他の全てのアクチュエータ要素の移動要素に電気的に接続され、また、個々のRサブセットの中にない全てのアクチュエータ要素の移動要素から電気的に絶縁される、第1の複数のNr個の電気的接続部(Rワイヤ)を提供することと、
各Cサブセットの中のアクチュエータ要素の第1の電極を相互接続し、よって、各個々のCサブセットの中の任意のアクチュエータ要素の第1の電極が、個々のCサブセットの中の他の全てのアクチュエータ要素の第1の電極に電気的に接続され、また、個々のCサブセットの中にない全てのアクチュエータ要素から電気的に絶縁される、第2の複数のNc個の電気的接続部(Aワイヤ)を提供することと、
各Cサブセットの中のアクチュエータ要素の第2の電極を相互接続し、よって、各個々のCサブセットの中の任意のアクチュエータ要素の第2の電極が、個々のCサブセットの中の他の全てのアクチュエータ要素の第2の電極に電気的に接続され、また、個々のCサブセットの中にない全てのアクチュエータ要素から電気的に絶縁される、第3の複数のNc個の電気的接続部(Bワイヤ)を提供することと、
第1、第2、および第3の複数の電気的接続部に電気的に接続され、デジタル入力信号を受信し、所定の有限集合の電位の1つを、それぞれ、電気的接続部のそれぞれに印加するために、コントローラを使用することであって、よって、結果として生じる移動要素の動きが、ともに所望の物理的作用を生成する、コントローラを使用することと、を含む。
【0038】
物理的作用は、以下の属性、すなわち、音量および音の高さを画定する、音であり、デジタル入力信号は、以下の特性、すなわち、振幅および周波数を有し、デジタル入力信号の振幅は、音量に対応し、デジタル入力信号の周波数は、音の高さに対応する。
【0039】
特定の実施形態によれば、例えば
図16を参照して本明細書で図示および説明されるように、移動要素は、コントローラによって印加される電位に応答して、第2の電極よりも第1の電極に近い第1の端位置から、第1の電極よりも第2の電極に近い第2の端位置まで移動し、そして戻るように動作し、
アクチュエーションクロックの1サイクルあたり1度、コントローラは、その個々のクロックサイクル中に、m1個の移動要素が第1の端位置から解放され、m2個の移動要素が第2の端位置から解放され、m2−m1=net_movesである場合に、個々のクロックサイクル中に物理的作用が生成されることを特徴とする、net_moves数を計算するように動作する。
【0040】
特定の実施形態によれば、例えば
図15〜
図23を参照して本明細書で図示および説明されるように、コントローラは、加えて、第1の複数のNr個の電気的接続部(Rワイヤ)、第2の複数のNc個の電気的接続部(Aワイヤ)、および第3の複数のNc個の電気的接続部(Bワイヤ)に、それぞれ、印加されたときに、
● 第1の端位置からのk1個の移動要素の解放、
● 第2の端位置からのk2個の移動要素の解放、
を生じさせるように動作する、印加−有効電位を、クロックの1サイクルあたり1度決定するように動作し、よって、k1−k2がnet_movesに十分に近くなり、所与の印加の目的に十分に近い標的の物理的作用に類似している物理的作用を生成する。
【0041】
各アクチュエーションクロックサイクルで双方の端位置から解放される移動要素の総数は、端位置の少なくとも1つからゼロ個の要素を解放することによって最小化され得る。
【0042】
特定の実施形態によれば、例えば
図24を参照して本明細書で図示および説明されるように、各アクチュエーションクロックサイクルで、双方の端位置から解放される移動要素の総数は、k1−k2がnet_movesにより近くなる、より大きい総数が存在しない限り、最小化される。典型的に、各アクチュエーションクロックサイクルで、net_movesが正またはゼロである場合、k1=2×net_movesおよびk2=net_movesである。典型的に、net_movesが負である場合、k1=net_movesおよびk2=2×net_movesである。
【0043】
特定の実施形態によれば、例えば
図15〜
図23を参照して本明細書で図示および説明されるように、単一のアクチュエーションクロックサイクル中に、多数の移動要素の一部は、それらの端位置の一方を出発するが、まだそれらの端位置のもう一方に到達しておらず、多数の移動要素の他のものは、単一のアクチュエーションクロックサイクルの前のアクチュエーションクロックサイクル中に、それらの端位置のもう一方を出発して、それらの端位置の一方に到達し、印加−有効電位は、単一のアクチュエーションクロックサイクルの前に、それらの端位置の一方から解放された任意の移動要素が、適切なクロックサイクル中に反対側の端位置に到達することを確実にするために、コントローラによって選択される。
【0044】
各移動要素は、コントローラによって印加される電位に応答して、第2の電極よりも第1の電極に近い第1の端位置から、第1の電極よりも第2の電極に近い第2の端位置まで移動し、そして戻るように動作し得、そのような動きは、kが正の整数である、k回のアクチュエーションクロックサイクル以内に完了する。
【0045】
特定の実施形態によれば、
図4〜
図7、
図10、および
図24を参照して本明細書で図示および説明されるように、
● 各Rサブセットは、Nc個の移動要素を含む。
● 各Cサブセットは、Nr個の移動要素を含む。
● Rワイヤは、任意に、連続的に、または別様に、0からNr−1の番号が付けられ、それによってRワイヤの順序を定義する。本明細書で使用される番号付けは、番号が付けられる任意の要素のいかなる物理的なマーキングも含まないことを認識されたい。
● AワイヤおよびBワイヤは、任意に、連続的に、または別様に、0からNc−1の番号が付けられ、それによってAワイヤおよびBワイヤの順序を定義する。
● 移動要素には、各移動要素がNr×Cサブセット数+Rサブセット数である番号を有するように、番号が付けられる。
【0046】
コントローラは、各アクチュエーションクロックサイクルで、現在A位置にある全ての移動要素の番号が、連続循環シーケンスを形成し、また、現在B位置にある全ての移動要素の番号も、連続循環シーケンスを形成するように、印加−有効電位を選択し得る。
【0047】
特定の実施形態によれば、例えば
図24を参照して本明細書で図示および説明されるように、コントローラは、k1−k2がnet_movesにより近くなる他の印加−有効電位が存在する場合を除き、各アクチュエーションクロックサイクルで、現在A位置にある全ての移動要素の番号が、単一の連続循環シーケンスを形成し、また、現在B位置にある全ての移動要素の番号も、単一の連続循環シーケンスを形成するように、印加−有効電位を選択する。任意のアクチュエーションクロックサイクルで、現在A位置にある全ての移動要素の番号および現在B位置にある全ての移動要素の番号が、それぞれ、単一の連続循環シーケンスを形成しないときに、コントローラは、以降のアクチュエーションクロックサイクルで、現在A位置にある全ての移動要素の番号が、再度単一の連続循環シーケンスを形成し、また、現在B位置にある全ての移動要素の番号も、再度単一の連続循環シーケンスを形成するように、印加−有効電位を選択し得る。任意のアクチュエーションクロックサイクルで、現在A位置にある全ての移動要素の番号および現在B位置にある全ての移動要素の番号が、それぞれ、単一の連続循環シーケンスを形成しないときに、コントローラは、k1−k2がnet_movesにより近くなる他の印加−有効電位が存在する場合を除き、以降のアクチュエーションクロックサイクルで、現在A位置にある全ての移動要素の番号が、再度単一の連続循環シーケンスを形成し、また、現在B位置にある全ての移動要素の番号も、再度単一の連続循環シーケンスを形成するように、印加−有効電位を選択し得る。
【0048】
特定の実施形態によれば、例えば
図24を参照して本明細書で図示および説明されるように、コントローラは、各アクチュエーションクロックサイクルで、現在A位置にある全ての移動要素の番号が、Sが正の整数である、S個の連続循環シーケンスを形成し、また、現在B位置にある全ての移動要素の番号も、S個の連続循環シーケンスを形成するように、印加−有効電位を選択し得る。コントローラは、k1−k2がnet_movesにより近くなる他の印加−有効電位が存在する場合を除き、各アクチュエーションクロックサイクルで、現在A位置にある全ての移動要素の番号が、Sが正の整数である、S個の連続循環シーケンスを形成し、また、現在B位置にある全ての移動要素の番号も、S個の連続循環シーケンスを形成するように、印加−有効電位を選択し得る。任意のアクチュエーションクロックサイクルで、現在A位置にある全ての移動要素の番号および現在B位置にある全ての移動要素の番号が、それぞれ、S個を超える連続循環シーケンスを形成するときに、コントローラは、以降のアクチュエーションクロックサイクルで、現在A位置にある全ての移動要素の番号が、再度S個だけの連続循環シーケンスを形成し、また、現在B位置にある全ての移動要素の番号も、再度S個だけの連続循環シーケンスを形成するように、印加−有効電位を選択し得る。任意のアクチュエーションクロックサイクルで、現在A位置にある全ての移動要素の番号および現在B位置にある全ての移動要素の番号が、それぞれ、S個を超える連続循環シーケンスを形成するときに、コントローラは、k1−k2がnet_movesにより近くなる他の印加−有効電位が存在する場合を除き、以降のアクチュエーションクロックサイクルで、現在A位置にある全ての移動要素の番号が、再度S個だけの連続循環シーケンスを形成し、また、現在B位置にある全ての移動要素の番号も、再度S個だけの連続循環シーケンスを形成するように、印加−有効電位を選択し得る。
【0049】
特定の実施形態によれば、例えば
図15〜
図23を参照して本明細書で図示および説明されるように、コントローラは、任意のアクチュエーションクロックサイクル中に第1の端位置から解放される任意の移動要素の番号が、第1の端位置から直前に解放された移動要素の番号の直後に続き、Nr×Nc−1に到達した後に0に戻るように、印加−有効電位を選択する。コントローラは、k1−k2がnet_movesにより近くなる他の印加−有効電位が存在する場合を除き、任意のアクチュエーションクロックサイクル中に第1の端位置から解放される任意の移動要素の番号が、第1の端位置から直前に解放された移動要素の番号の直後に続き、Nr×Nc−1に到達した後に0に戻るように、印加−有効電位を選択し得る。コントローラは、加えて、任意のアクチュエーションクロックサイクル中に第2の端位置から解放される任意の移動要素の番号も、第2の端位置から直前に解放された移動要素の番号の直後に続き、Nr×Nc−1に到達した後に0に戻るように、印加−有効電位を選択し得る。コントローラは、加えて、k1−k2がnet_movesにより近くなる他の印加−有効電位が存在する場合を除き、任意のアクチュエーションクロックサイクル中に第2の端位置から解放される任意の移動要素の番号も、第2の端位置から直前に解放された移動要素の番号の直後に続き、Nr×Nc−1に到達した後に0に戻るように、印加−有効電位を選択し得る。コントローラは、k1−k2がnet_movesにより近くなる他の印加−有効電位が存在する場合を除き、同じアクチュエーションクロックサイクル中に第1の端位置から解放される全ての移動要素が、全て単一の第1のCサブセットの中にあるように、印加−有効電位を選択し得る。コントローラは、加えて、k1−k2がnet_movesにより近くなる他の印加−有効電位が存在する場合を除き、同じアクチュエーションクロックサイクル中に第2の端位置から解放される全ての移動要素が、全て単一の第2のCサブセットの中にあるように、印加−有効電位を選択し得る。
【0050】
特定の実施形態によれば、例えば
図14を参照して本明細書で図示および説明されるように、コントローラは、要素選択機能とは別に、計数器、ディザーを使用する場合もあり、使用しない場合もある量子化器、少なくとも1つのレベルシフタ、低域通過フィルタ、およびサンプリングレートコンバータのうちのいくつかまたは全てを含む。
【0051】
特定の実施形態によれば、例えば
図13を参照して本明細書で図示および説明されるように、装置の電源が切られたとき等の、第1の複数のNr個の電気的接続部、第2の複数のNc個の電気的接続部、および第3の複数のNc個の電気的接続部に印加される任意の電位の非存在下で、移動要素は、第1および第2の端位置の間に位置する静止位置に戻り得、コントローラは、加えて、移動要素の1つ以上を、それらの静止位置から第1および第2の端位置まで移動させる手段を備える。コントローラは、アクチュエータアレイ内の移動要素の全てを同時に、それらの静止位置から第1および第2の端位置の1つまで移動させるように動作し得る。
【0052】
コントローラは、移動要素のいくつかを、それらの静止位置から第1の端位置まで移動させる一方で、同時に、移動要素の他のものを、それらの静止位置から第2の端位置まで移動させるように動作し得る。
【0053】
コントローラは、単一の所定の有限集合の電位を使用して、移動要素の静止位置から第1および第2の端位置の1つまでの動き、および移動要素の第1および第2の端位置の間の動きを生じさせ得る。電位間の差は、移動要素をそれらの静止位置での平衡状態から端位置の1つまで直接移動させるのに不十分な大きさであり得る。コントローラは、所定のシーケンスの電位を、第1の複数のNr個の電気的接続部、第2の複数のNc個の電気的接続部、および第3の複数のNc個の電気的接続部の1個以上のメンバーに印加することによって、移動要素の静止位置から第1および第2の端位置までの動きを生じさせ得る。
【0054】
特定の実施形態によれば、例えば
図13を参照して本明細書で図示および説明されるように、所定のシーケンスは、コントローラが、第1の複数のNr個の電気的接続部、第2の複数のNc個の電気的接続部、および第3の複数のNc個の電気的接続部のメンバーに印加される電位の1つ以上を繰り返して変化させ、よって、こうした1つ以上の電位の変化が、移動要素を、それらの機械的共振周波数でそれらの静止位置の周囲で振動させる、第1の部分と、コントローラが、第1の複数のNr個の電気的接続部、第2の複数のNc個の電気的接続部、および第3の複数のNc個の電気的接続部のメンバーに、移動させるべき端位置に向かって各移動要素を引き寄せる静電力を最大化する一組の電位を印加する、第2の部分と、を備え得る。コントローラは、移動要素のそれぞれが、反対側の端位置よりも、該移動要素を移動させるべき端位置に近い時点で、前記第1の部分から前記第2の部分への移行が起こるように動作し得る。第1の部分の間の1つ以上の電位の変化は、移動要素の機械的共振周波数の2倍である周波数で周期的に起こり得る。
【0055】
特定の実施形態によれば、例えば
図27を参照して本明細書で図示および説明されるように、アドレス指定ノイズは、1つ以上のアクチュエーションクロックサイクル中にk1−k2とnet_movesとの間の非ゼロの差(アドレス指定エラー)に起因し、該アドレス指定ノイズは、周波数スペクトルを有し、コントローラは、アドレス指定ノイズの周波数スペクトルをシェーピングするように動作する、アドレス指定ノイズシェーピングループを含み、よって、アドレス指定ノイズエネルギーは、関心の周波数帯域の範囲内で低減され、かつ関心の帯域の範囲外で増大される。ノイズシェーピングループは、インパルス応答を有し、アドレス指定ノイズを受容する、ループフィルタを有し、よって、アドレス指定ノイズの周波数スペクトルが、インパルス応答によって決定されるアドレス指定ノイズ伝達関数に従ってシェーピングされ得る。
【0056】
特定の実施形態によれば、例えば
図29を参照して本明細書で図示および説明されるように、量子化ノイズは、デジタル入力信号が取り得る可能な値の数よりも少ないアクチュエータアレイの中のアクチュエータ要素の数に起因し、量子化ノイズは、周波数スペクトルを有し、コントローラは、量子化ノイズの周波数スペクトルをシェーピングするように動作する、量子化ノイズシェーピングループを含み、よって、量子化ノイズエネルギーが関心の周波数帯域の範囲内で低減され、かつ関心の帯域の範囲外で増大される。ノイズシェーピングループは、インパルス応答を有し、量子化ノイズを受容するループフィルタを有し、よって、量子化ノイズの周波数スペクトルが、周波数応答によって決定される量子化ノイズ伝達関数に従ってシェーピングされ得る。
【0057】
特定の実施形態によれば、例えば
図28を参照して本明細書で図示および説明されるように、コントローラは、アドレス指定ノイズおよび量子化ノイズの双方の周波数スペクトルをシェーピングするように動作する、ノイズシェーピングループを含み、よって、アドレス指定ノイズエネルギーおよび量子化ノイズエネルギーがどちらも、関心の周波数帯域の範囲内で低減され、関心の帯域の範囲外で増大される。ノイズシェーピングループは、単一のインパルス応答を有し、アドレス指定ノイズおよび量子化ノイズの合計を受容する、単一のループフィルタを有し得、よって、アドレス指定ノイズおよび量子化ノイズの双方の周波数スペクトルが、単一のインパルス応答によって決定される単一のノイズ伝達関数に従ってシェーピングされる。
【0058】
特定の実施形態によって、例えば
図29を参照して本明細書で図示および説明されるように、アドレス指定ノイズは、1つ以上のアクチュエーションクロックサイクル中にk1−k2とnet_movesとの間の非ゼロの差(アドレス指定エラー)に起因し、アドレス指定ノイズは、アドレス指定ノイズスペクトルを有し、本装置はまた、デジタル入力信号が取り得る可能な値の数よりも少ないアクチュエータアレイの中のアクチュエータ要素の数に起因する、量子化ノイズも受け、量子化ノイズは、量子化ノイズスペクトルを有し、コントローラは、アドレス指定ノイズの周波数スペクトルをシェーピングするように動作する、アドレス指定ノイズシェーピングループと、量子化ノイズの周波数スペクトルをシェーピングするように動作する、量子化ノイズシェーピングループとを含み、よって、アドレス指定ノイズエネルギーおよび量子化ノイズエネルギーがどちらも、それぞれの関心の周波数帯域の範囲内で低減され、関心の帯域の範囲外で増大される。アドレス指定ノイズシェーピングループは、第1のインパルス応答を有し、アドレス指定ノイズを受容する、第1のループフィルタを有し得、量子化ノイズシェーピングループは、第2のインパルス応答を有し、量子化ノイズを受容する、第2のループフィルタを有し得、よって、アドレス指定ノイズの周波数スペクトルが、第1のインパルス応答によって決定される第1のノイズ伝達関数に従ってシェーピングされ、量子化ノイズの周波数スペクトルが、第2のインパルス応答によって決定される第2のノイズ伝達関数に従ってシェーピングされる。
【0059】
特定の実施形態によれば、例えば
図13を参照して本明細書で図示および説明されるように、第2の部分の持続期間は、移動要素の機械的共振周期(Tres)の少なくとも半分である。一組の電位は、所定の有限集合の電位から選択され得、第2の部分の間、変化しない。
【0060】
特定の実施形態によれば、例えば
図24を参照して本明細書で図示および説明されるように、コントローラは、各アクチュエーションクロックサイクルで、
RワイヤR0〜R(Nr−1)のそれぞれに印加される電位を制御する、Nr個のR信号r0〜r(Nr−1)、
AワイヤA0〜A(Nc−1)のそれぞれに印加される電位を制御する、Nc個のA信号a0〜a(Nc−1)、および
BワイヤB0〜B(Nc−1)のそれぞれに印加される電位を制御する、Nc個のB信号b0〜b(Nc−1)、を生成する。
【0061】
Rワイヤに対するR信号の割り当て、Aワイヤに対するA信号の割り当て、およびBワイヤに対するB信号の割り当ては固定され得、よって、例えば、
R信号r0〜r(Nr−1)のそれぞれが、常時同じRワイヤを制御し、
A信号a0〜a(Nc−1)のそれぞれが、常時同じAワイヤを制御し、
B信号b0〜b(Nc−1)のそれぞれが、常時同じBワイヤを制御する。
【0062】
随意に、コントローラは、装置の動作中に、Rワイヤに対するR信号の割り当て、ならびに/またはAワイヤに対するA信号の割り当て、およびBワイヤに対するB信号の割り当てを変化させる。
【0063】
Rワイヤに対するR信号の割り当て、ならびに/またはAワイヤに対するA信号の割り当て、およびBワイヤに対するB信号の割り当てにおける変化は、周期的に起こり得る。
【0064】
Rワイヤに対するR信号の割り当て、ならびに/またはAワイヤに対するA信号の割り当て、およびBワイヤに対するB信号の割り当てにおける変化は、アクチュエーションクロックと同期的に起こり得る。
【0065】
Rワイヤに対するR信号の割り当て、ならびに/またはAワイヤに対するA信号の割り当て、およびBワイヤに対するB信号の割り当てにおける変化は、その後に移動要素が端位置の1つから解放される順序を変更し得る。
【0066】
Rワイヤに対するR信号の割り当て、ならびに/またはAワイヤに対するA信号の割り当て、およびBワイヤに対するB信号の割り当てにおける変化は、各アクチュエータ要素によって生成される物理的作用の大きさの差に起因する不整合ノイズの周波数スペクトルをシェーピングし得、よって、装置によって生成される物理的作用が、全体として、標的の物理的作用に密に類似する。不整合ノイズの周波数スペクトルをシェーピングすることは、例えば、不整合ノイズの周波数スペクトルのピークの大きさを低減することを含み得る。
【0067】
典型的に、Rワイヤに対するR信号の割り当て、ならびに/またはAワイヤに対するA信号の割り当て、およびBワイヤに対するB信号の割り当てにおける変化は、Rワイヤ、Aワイヤ、およびBワイヤに印加されるいかなる電位のいかなる即時の変化ももたらさない。
【0068】
典型的に、Rワイヤに対するR信号の割り当て、ならびに/またはAワイヤに対するA信号の割り当て、およびBワイヤに対するB信号の割り当てにおける変化は、アクチュエータアレイ内の任意の移動要素の位置のいかなる即時の変化ももたらさない。
【0069】
「即時の」という用語は、Rワイヤに対するR信号の割り当て、ならびに/またはAワイヤに対するA信号の割り当て、およびBワイヤに対するB信号の割り当てにおける変化が実質的に同時に起こることを指す。
【0070】
Rワイヤに対するR信号の割り当てにおける変化は、2つのR信号を交換することを含み得る、よって、第1のR信号によって以前に制御された第1のRワイヤが、第2のR信号によって制御されるようになり、第2のR信号によって以前に制御された第2のRワイヤが、第1のR信号によって制御されるようになる。
【0071】
コントローラは、複数組の交換可能なR信号を識別し、複数組の交換可能なR信号の少なくとも1つが2つ以上のメンバーを有する場合に、Rワイヤに対するR信号の新しい割り当てを決定するように動作し得る。
【0072】
コントローラは、複数組の交換可能なR信号を識別するように動作し、よって、1組の交換可能なR信号の中の任意の特定のR信号について、そのRワイヤが特定のR信号によって現在制御されている、Rサブセットの中の移動要素、およびそのRワイヤが同じ組の交換可能なR信号の中の別のR信号によって現在制御されている全てのRサブセット中の移動要素が、全て同じ位置にあり、かつ(運動中であれば)同じ方向に移動している。
【0073】
コントローラは、複数組の交換可能なR信号を識別するように動作し、よって、1組の交換可能なR信号の中の任意の特定のR信号について、および0からNc−1まで(Nc−1を含む)の任意の番号iについて、Cサブセットiと、そのRワイヤが特定のR信号によって現在制御されているRサブセットとの交差点にある移動要素は、Cサブセットiと、そのRワイヤが同じ組の交換可能なR信号の中の任意の他のR信号によって現在制御されている任意の他のRサブセットとの交差点にある移動要素と同じ位置にあり、かつ(運動中であれば)同じ方向に移動している。
【0074】
コントローラは、Rワイヤに対するR信号の新しい割り当てを決定するために、疑似乱数発生器を用い得る。
【0075】
Aワイヤに対するA信号の割り当ておよびBワイヤに対するB信号の割り当てにおける変化は、2つのA信号およびそれぞれのB信号を交換することを含み得、よって、例えば、第1のA信号および第1のB信号によって、それぞれ、以前に制御された第1のAワイヤおよび第1のBワイヤが、第2のA信号および第2のB信号によって、それぞれ、制御されるようになり、第2のA信号および第2のB信号によって、それぞれ、以前に制御された第2のAワイヤおよび第2のBワイヤが、第1のA信号および第1のB信号によって、それぞれ、制御されるようになる。
【0076】
コントローラは、複数組の交換可能なA信号およびそれぞれのB信号を識別するように動作し得、複数組の交換可能なA信号の少なくとも1つおよびそれぞれのB信号は、Aワイヤに対するA信号の新しい割り当て、およびBワイヤに対するそれぞれのB信号の新しい割り当てを決定するために、2つ以上のメンバーを有する。
【0077】
コントローラは、複数組の交換可能なA信号およびそれぞれのB信号を識別するように動作し、よって、1組の交換可能なA信号およびそれぞれのB信号の中の任意の特定のA信号および特定のB信号について、そのAワイヤおよびBワイヤが、それぞれ、特定のA信号および特定のB信号によって現在制御されている、Cサブセットの中の移動要素、およびそのAワイヤおよびBワイヤが同じ組の交換可能なA信号およびそれぞれのB信号の中の別のA信号およびそのそれぞれのBワイヤによって現在制御されている、全てのCサブセットの中の移動要素が、全て同じ位置にあり、かつ(運動中であれば)同じ方向に移動している。
【0078】
コントローラは、複数組の交換可能なA信号およびそれぞれのB信号を識別するように動作し、よって、1組の交換可能なA信号およびそれぞれのB信号の中の任意の特定のA信号および特定のB信号について、および0からNr−1まで(Nr−1を含む)の任意の番号iについて、Rサブセットiと、そのAワイヤおよびBワイヤが特定のA信号および特定のB信号によって、それぞれ、現在制御されている、Cサブセットとの交差点にある移動要素は、Rサブセットiと、そのAワイヤおよびBワイヤが同じ組の交換可能なA信号およびそれぞれのB信号の中のA信号およびそのそれぞれのB信号の1つによって現在制御されている、任意の他のCサブセットとの交差点にある移動要素と同じ位置にあり、かつ(運動中であれば)同じ方向に移動している。
【0079】
コントローラは、Aワイヤに対するA信号の新しい割り当て、およびBワイヤに対するそれぞれのB信号の新しい割り当てを決定するために、疑似乱数発生器を用いる。
【0080】
コントローラは、複数組の交換可能なR信号を識別するように動作し得、よって、1組の交換可能なR信号の中の各特定のR信号について、該特定のR信号によって制御されるRワイヤに現在印加されている電位は、同じ組の交換可能なR信号の中の任意の他のR信号によって制御される任意のRワイヤに現在印加されている電位と同じである。
【0081】
コントローラは、複数組の交換可能なA信号およびそれぞれのB信号を識別するように動作し得、よって、一組の交換可能なA信号およびそれぞれのB信号の中の特定のA信号およびそれぞれのB信号について、該特定のA信号およびそれぞれのB信号によって制御されるAワイヤおよびそれぞれのBワイヤに現在印加されている電位は、同じ組の交換可能なA信号およびそれぞれのB信号の中の任意の他のA信号およびそれぞれのB信号によって制御される任意のAワイヤおよびそれぞれのBワイヤに現在印加されている電位と同じである。
【0082】
「現在」という用語は、以下の時点での発生を含むことを意図する:
● コントローラが、交換可能な組の「識別」を行った、または
● コントローラが、交換可能な組の「識別」を行った、アクチュエーションクロックサイクル中、または
● 現在のアクチュエーションクロックサイクル中
【0083】
ここで、本発明を適用することができる両面静電アクチュエータ要素の1つのタイプの断面図である、
図1A〜1Cを参照する。アクチュエータ要素は、フレキシャまたはばね等の好適なベアリング150によってアクチュエータ要素の固定部に機械的に接続される、移動要素120を含む。ベアリング150は、移動要素120がそれに沿って進行することができる軸125を画定し、移動要素120が別の方向に進行することを防止し、また、移動要素120の静止位置を画定する。アクチュエータ要素はさらに、移動要素120の両側に配置される、2つの電極130および140を備え、以下、それぞれ、「A電極」および「B電極」と称する。移動要素120は、スペーサ180および190によって、電極130および140から分離される。ディンプル210および220は、それぞれ、電極130および140の表面に形成され、移動要素120に対面する。
【0084】
図1Aは、移動要素120と電極130および140のどちらとの間にも、いかなる電圧も印加されていない状態で、その静止位置にある移動要素120を示す。
【0085】
移動要素とどちらかの電極との間に電圧を印加すると、移動要素をその電極に向かって引き寄せる静電力が生成され、この静電力の大きさは、印加される電圧の大きさに比例し、かつ移動要素120とそれぞれの電極との対向面間の分離距離の2乗に反比例する。同時に、その静止位置から離れる移動要素120の任意の動きは、ベアリング150に、移動要素120をその静止位置に向かって引き戻すばね力を該移動要素に働かせる。移動要素120はまた、長期間にわたる信頼性を改善するため等の実用的な理由から、自然に起こり得るか、または意図的に導入され得る、減衰力または摩擦力等の、他の力による影響も受け得る。しかしながら、そのようなさらなる力は、本発明の目的には必要とされない。移動要素120は、それに作用する全ての力の合計がゼロである平衡位置に到達し得るか、または
図1Bおよび1Cを参照して説明されるようにラッチされ得る。
【0086】
図1Bは、A電極130にできるだけ近く、かつB電極140からできるだけ離れた、以下「A位置」とも称される、第1の端位置にラッチされた移動要素120を示す。典型的に、移動要素120は、電圧V
AがA電極130と移動要素120との間に印加され、移動要素120をA電極130に向かって引き寄せる、以下「A力」とも称される静電力を発生させた結果として、この位置に到達する。移動要素120がA電極130に接近するにつれて、A力は、移動要素120と電極130との対向面間の分離距離の2乗に反比例して増大するが、移動要素120をその静止位置に向かって引き戻すばね力は、その静止位置からの該移動要素の偏差に比例して増大する。ベアリング150のばね定数、およびV
Aの範囲に応じて、A力およびばね力が等しい軸125に沿って臨界点が存在し得、移動要素120のA電極130に向かう任意のさらなる進行は、ばね力よりも迅速にA力を増大させる。移動要素120がこの臨界点を僅かでも超えて移動し、V
Aが一定のままであると仮定した場合、移動要素120がディンプル210と接触するまで、力の平衡が、該移動要素をA電極130に向かって加速させる。このプロセスは、以下「ラッチング」と称される。ラッチングの後、移動要素120をこの位置に保持するのに十分なV
Aの大きさ(以下、「保持電圧」と称される)は、移動要素120のA位置へのラッチングを達成するのに十分なV
Aの大きさ(以下、「ラッチング電圧」と称される)よりも小さい。
【0087】
移動要素120がA位置でラッチされ、第2の電圧V
BがB電極140と移動要素120との間に印加されたとき、V
Bに起因する静電力は、等しい大きさのV
Aに起因するA力よりも大きさがはるかに小さい。したがって、非ゼロV
Bの存在は、移動要素120をA位置にラッチし続けるのに十分な保持電圧の大きさを僅かだけしか増大させない。
【0088】
その後、V
Aが保持電圧よりも低くなると、A力の大きさがばね力よりも小さくなり、移動要素120を、A位置からその静止位置に向かって移動させる。このプロセスは、以下「解放」と称される。V
AおよびV
Bがどちらもゼロに等しくなると、移動要素120は、その振動の周波数で、その静止位置の周辺で振動する。該周波数は、以下該移動要素の「機械的共振周波数」とも称され、主に、移動要素120の質量およびベアリング150(減衰を無視する)のばね定数によって決定され、振動の振幅は、摩擦、空気減衰、または他のエネルギー損失のため、徐々に減少する。代替として、十分な大きさの非ゼロV
Bの存在下で、移動要素120は、B電極140にできるだけ近く、A電極130からできるだけ離れた、以下「B位置」とも称される、第2の端位置にラッチされる。
【0089】
本発明の一実施形態によれば、コントローラは、移動要素120が常時A位置もしくはB位置のいずれかにあるように、またはこれらの2つの位置の間を移行するようにV
AおよびV
Bを調整し得る。すなわち、通常動作中に、移動要素120は、2つの端位置を除いて、その静止位置または任意の他の位置に決して定着しない。
【0090】
2つの端位置間での移行中に、移動要素120がその静止位置に到達したときに、該移動要素は、電極130および140に対する非ゼロ運動エネルギーおよび直線速度を有し、したがって、その運動エネルギーがベアリング150によって吸収されるまで、その新しい端位置に向かって進行し続ける。その新しい端位置により近い位置から移動要素120をラッチするには、移動要素120をその静止位置の平衡状態からその同じ端位置にラッチするよりも小さい静電力を必要とするので、端位置間の移行のためのラッチ電圧は、静止位置からラッチするためのラッチ電圧よりも低い。
【0091】
ディンプル210の目的は、空隙240を維持することであり、それによって、空隙を伴わない場合よりも容易に、空気が電極130の中の穴270を通って、移動要素120と第1の電極130との間の空間の中に流れることを可能にし、それによって、A位置からの移動要素120のより速い解放を容易にする。ディンプル210が電気的絶縁材料を含む場合、それらは、電極130から移動要素120を絶縁する役割も果たす。ディンプル210が導電性材料を含む場合、移動要素120および電極130の少なくとも1つを電気的絶縁材料で被覆する等の、電気的絶縁のいくつかの他の手段が用いられ得る。
【0092】
図1Cは、電極140にできるだけ近く、電極130からできるだけ離れてB位置でラッチされた、移動要素120を示す。移動要素120のB位置へのラッチングおよびB位置からの解放は、
図1Bを参照して上で説明したものと類似した様式で達成され、A電極130およびB電極140の役割、V
AおよびV
Bの役割、およびA力およびB力の役割が逆になる。ディンプル220および空隙250の機能は、上で説明したディンプル210および空隙240の機能に類似している。特定の実施形態において、アクチュエータ要素の幾何学形状は、移動要素120の平面に関して実質的に対称的であり、A位置に対するものと実質的に等しい、B位置に対する保持電圧およびラッチング電圧をもたらす。代替として、アクチュエータ要素の幾何学形状は、非対称的であってもよい。例えば、スペーサ180および190は、厚さが異なってもよく、その結果、A位置およびB位置について、それぞれ、2つの異なるラッチング電圧がもたらされ、および/またはディンプル210および220は、高さが異なってもよく、その結果、2つの異なる保持電圧がもたらされる。
【0093】
図1A〜1Cで示されるようなアクチュエータ要素を製作するための好適な材料および製造技術、ならびに密接に関連したタイプのアクチュエータ要素は、2011年9月15日に公開された共同所有の国際公開第WO2011/111042号(「Electrostatic Parallel Plate Actuators Whose Moving Elements Are Driven Only By Electrostatic Force and Methods Useful in Conjunction Therewith」)で論じられている。
【0094】
本発明は、いかなる特定の材料または製造技術にも依存しない。
【0095】
電圧V
AおよびV
Bの極性は、これらの電圧の極性に関わらず、どちらの静電力も同じであるので、アクチュエータ要素の動作に影響を及ぼすことなく、逆にすることができることを認識されたい。
【0096】
本明細書で図示および説明されるデバイスの水平に対する配向は、示されるようなものである必要はない。例えば、
図1A〜1Cの装置は、示されるように層が水平であるように配置されてもよく、または例えば、層が垂直であるように配置されてもよい。また、装置は、横倒しにセットしてもよく、または、所望であれば、逆さにするのではなく、移動要素120が電極層140の最上部にあるように、反転させてもよい。特定の実施形態によれば、ベアリング150によって移動要素に及ぼされる力、および電極(単数または複数)によって発生する静電力は、重力より何桁も大きいので、重力は、無視することができる。
【0097】
本発明の装置は、通常、空気中で動作するが、そうとは限らず、代替として、例えば、該装置は、任意の他の好適な媒体中で動作し得るので、「空隙」という用語は、単に一例として使用される。
【0098】
図1A〜1Cで示されるディンプルは本発明の目的には必要とされないことも認識されたい。さらに、ディンプルは、電極210および220の代わりに移動要素120の表面に形成することができ、または例えば2011年9月15日に公開された共同所有の国際公開第WO2011/111042号(「Electrostatic Parallel Plate Actuators Whose Moving Elements Are Driven Only By Electrostatic Force and Methods Useful in Conjunction Therewith」)の
図2で表されるような機械的リミッタがディンプルの代わりに使用され得る。
【0099】
図2は、例えば、複数の静電アクチュエータ要素110を備える、本発明の特定の実施形態に従うアクチュエータアレイの模式図であり、例えば、
図1A〜1Cを参照して本明細書で図示および説明されるタイプであり得る。
【0100】
アクチュエータ要素110は、以下「Rサブセット」と称され、その移動要素が電気的に相互接続される、Nr個の第1のサブセットにパーティショニングされ、その結果、以下「Rワイヤ」と称される、1組のNr個の相互接続部400をもたらす。加えて、アクチュエータ要素110はまた、以下「Cサブセット」と称され、そのA電極およびB電極が、それぞれ、電気的に相互接続される、Nc個の第2のサブセットにもパーティショニングされ、その結果、以下「Aワイヤ」と称される、A電極のための第1の1組のNc個の相互接続部410、および以下「Bワイヤ」と称される、A電極のための第2の1組のNc個の相互接続部420をもたらす。
【0101】
図ではNrもNcも3個であるが、サブセットは、任意の数のアクチュエータ要素を含み得る。特定の実施形態において、全てのRサブセットは、Nc個のアクチュエータ要素を含み、全てのCサブセットは、Nr個のアクチュエータ要素を含み、そしてアレイ移動要素の総数は、Nr×Nc個である。
図2において、Rサブセットは、横列で配設され、Cサブセットは、縦列で配設されているが、アクチュエータ要素の任意の他のレイアウトも使用され得る。
【0102】
各Rワイヤ、Aワイヤ、およびBワイヤは、コントローラ50にも接続される。したがって、アレイとコントローラ50との間の電気的相互接続部の総数はNr+2Ncであるが、各アクチュエータ要素のための専用の相互接続部による実装は、より多くのそのような相互接続部を用い得る。例えば、各移動要素について別々の相互接続部を提供すると、各A電極および各B電極は、3×Nr×Nc個の相互接続部を用い得る。代替として、例えば2011年9月15日に公開された共同所有の国際公開第WO2011/111042号(「Electrostatic Parallel Plate Actuators Whose Moving Elements Are Driven Only By Electrostatic Force and Methods Useful in Conjunction Therewith」)で説明されているように、各移動要素のための別々の相互接続部に、全てのA電極および全てのB電極のそれぞれについて1つの共有接続部を加えて提供することで、(Nr×Nc)+2個の相互接続部を用い得る。
【0103】
説明されているタイプのアクチュエータアレイは、例えば2011年9月15日に公開された共同所有の国際公開第WO2011/111042号(「Electrostatic Parallel Plate Actuators Whose Moving Elements Are Driven Only By Electrostatic Force and Methods Useful in Conjunction Therewith」)で説明されているようなMEMS製作技術を使用して、例えば、シリコンもしくは他の半導体の単一のモノリシックダイ上に、または特定の金属上に製造され得る。
【0104】
図3は、本発明の特定の実施形態に従うアクチュエータアレイの模式図であり、
図2に示されるアレイに類似しているが、Rサブセットは、横列と一致しておらず、また、Cサブセットは、縦列と一致していない。アレイは、64個のアクチュエータ要素110を備え、8つのRサブセットおよび4つのCサブセットにパーティショニングされている。各Rサブセットは、それぞれ、R0からR7にラベル付けされた、1個のRワイヤを有し、各Cサブセットは、それぞれ、A0からA3およびB0からB3にラベル付けされた、1個のAワイヤおよび1個のBワイヤ有する。1個のRサブセットおよび1個のCサブセットの交差点毎に、2個のアクチュエータ要素を含む。Rサブセット毎に、1つの横列からの4つのアクチュエータ要素、および別の横列からの4個のアクチュエータ要素を含む。例えば、RワイヤR1と関連付けられるRサブセット1は、先頭の横列の左側半分、および先頭からの2番目の横列の右側半分を含む。Cサブセット毎に、2個の隣接する縦列の全てのアクチュエータ要素を含む。例えば、AワイヤA1およびBワイヤB1と関連付けられるCサブセット1は、左から3番目および4番目の縦列を含む。
【0105】
本発明に従って構成されるアクチュエータアレイは、任意のパターンでレイアウトされるそれらのアクチュエータ要素を有し得、また、1個のRサブセットおよび1個のCサブセットの各交差点で、任意の数のアクチュエータ要素を有し得る。特定の実施形態は、各当該交差点で同じ数のアクチュエータ要素を有する。
【0106】
単一の、特定のアクチュエータ要素の「ラッチング電圧」および「保持電圧」という用語は、上で
図1Bを参照して定義した。以下、これらの用語は、そのアクチュエータ要素の全てが全く同一でなくてもよい、アクチュエータアレイについて定義される。加えて、「解放電圧」という用語も、下で使用するために定義される。
● 「ラッチング電圧」V
Lとは、移動要素が対向する端位置から解放された後に、
図1Bを参照して説明したそのA位置またはB位置のどちらかに、アレイ内の移動要素のいずれも確実にラッチするのにちょうど十分な大きさの電圧を意味する。このアクチュエータアレイのためのラッチング電圧は、典型的に、
図1Bを参照して上で定義した個々のアクチュエータ要素のためのラッチング電圧よりも僅かに高いが、その理由は、例えば以下の通りである。(1)個々のアクチュエータ要素の幾何学形状が製造許容差により変動し得るので、各個々のアクチュエータ要素が、僅かに異なるラッチング電圧を有し得る。ここで定義されるV
Lは、典型的に、定義上はそれらの全てを超える。(2)同様に、アクチュエータ要素の幾何学形状における非対称性が、そのA位置およびB位置について、それぞれ、2つの異なるラッチング電圧を生成し得る。この場合には、典型的に、ここで定義されるV
Lは、2つのうちの高い方を超える。(3)アクチュエータアレイの意図された使用に依存して、アクチュエータ要素110が、それらの移動要素120に対するさらなる力を生成し得る環境条件、例えば、機械的な衝撃(例えば、携帯/手持ち型用途の場合)、磁界、または気流にさらされる。ラッチングを信頼できるものとするために、ここで定義されるV
Lは、典型的に、アレイが設計された環境条件下で、そのようなさらなる力に打ち勝つのに十分である。
● 「保持電圧」V
Hとは、2つの端位置のどちらかに、アレイ内の移動要素のいずれも保持するのにちょうど十分な大きさの電圧を意味する。この保持電圧は、典型的に、「ラッチング電圧」に関して上で説明したものと同じ理由で、
図1Bを参照して定義した個々のアクチュエータ要素のための保持電圧よりも僅かに高くなる。
● 「解放電圧」V
Rとは、その大きさが、アレイ内のアクチュエータ要素のいずれも、その2つの端位置のどちらかから解放するのにちょうど十分に低い電圧を意味する。理想的なアクチュエータ要素に関して、V
RとV
Hとの間の差は、極小である。しかしながら、実際のアレイでは、「ラッチング電圧」に関して上で説明した製造許容差、非対称性、および環境条件のため、V
RとV
Hとの間に有限の差がある。
【0107】
本発明は、特定の実施形態によれば、いかなる個々のアクチュエータ要素もどちらかの端位置にラッチさせないために、十分に低い大きさのアクチュエータアレイの保持電圧V
Hを用いる。
【0108】
図4は、
図2で示されるアクチュエータアレイに類似して、4個のRサブセットおよび4個のCサブセットにパーティショニングされた、16個のアクチュエータ要素を備える、本発明の特定の実施形態に従うアクチュエータアレイの簡略表現図である。Rワイヤは、R0からR3にラベル付けされ、Aワイヤは、A0からA3にラベル付けされ、Bワイヤは、B0からB3にラベル付けされている。各四角は、1つのアクチュエータ要素110を表す。以下「選択された要素」とも称され、111にラベル付けされた、Rサブセット1とCサブセット2との交差点に位置するアクチュエータ要素は、現在、A位置にラッチされており、B位置に移動することになっている。したがって、この実施例でのコントローラ50のタスクは、適切な電位をアレイのRワイヤ、Aワイヤ、およびBワイヤに印加することであり、よって、選択された要素が、A位置から解放され、B位置にラッチされる一方で、以下「選択されていない要素」とも称される、アレイ内の他の全てのアクチュエータ要素を、現在該要素がある2つの端位置のうちのどちらかにラッチし続ける。
図4の各四角の中で、最上部の線は、これを達成するのに十分な大きさのV
Aを指し、最下部の線は、これを達成するのに十分な大きさのV
Bを指す。選択された要素について、V
Aの大きさは、解放電圧V
R以下であり、V
Bの大きさは、ラッチング電圧V
L以上である。一方で、全ての選択されていない要素について、V
AおよびV
Bの大きさは、保持電圧V
H以上である。
これは、以下によって達成することができる。
● 以下「選択されたRワイヤ」とも称され、この場合にはR1である、選択された要素に接続されたRワイヤに第1の電圧V
RS(「選択されたR電圧」)を印加し、一方で、他の全てのRワイヤに第2の電圧V
RU(「選択されていないR電圧」)を印加し(このプロセスは、以下、RワイヤまたはRワイヤと関連付けられたRサブセットを「選択すること」と称される)、そして、
● 以下「解放ワイヤ」とも称され、この場合にはA2である、選択された要素がそこから解放される電極に接続されたAワイヤまたはBワイヤに第3の電圧V
CR(「解放C電圧」)を印加し、一方で、以下「ラッチングワイヤ」とも称され、この場合にはB2である、選択された要素がそこにラッチされる電極に接続されたAワイヤまたはBワイヤに第4の電圧V
CL(「ラッチングC電圧」)を印加し、また、以下集合的に「選択されていない」AワイヤおよびBワイヤとも称される、他の全てのAワイヤおよび他の全てのBワイヤに第5の電圧V
CU(「選択されていないC電圧」を印加する(このプロセスは、以下Cサブセットを「選択すること」と称され、解放ワイヤと、ラッチングワイヤとを含むCサブセットは、「選択されたCサブセット」と称される)。
【0109】
図5〜8を参照して下で説明される「駆動スキーム」は、Rワイヤ、Aワイヤ、及びBワイヤに適切な電圧を印加するように動作し、よって、以下の6つの条件が満たされる。
1.|V
RS−V
CR|≦V
R
この条件を満たすことは、その現在のラッチされた位置から、選択された要素を成功裏に解放することを確実にする。特定の実施形態では、以下「解放電極」とも称される、現在移動要素がラッチされている電極から離れる、該移動要素の加速を最大化することが必要であり得る。この場合には、この静電力を低減することだけとは対照的に、移動要素を解放電極に引き寄せる静電力を完全に排除するように、|V
RS−V
CR|=0Vとなることが好ましくなり得る。
2.|V
RS−V
CL|≧V
L
この条件を満たすことは、選択された要素をその新しい端位置に成功裏にラッチすることを確実にする。
3.|V
RS−V
CU|≧V
H
この条件を満たすことは、選択されたRサブセットに位置する、いかなる選択されていないアクチュエータ要素の解放も防止する。
4.|V
RU−V
CR|≧V
H
この条件を満たすことは、選択されたCサブセットの中に位置し、選択された要素と同じ位置で現在ラッチされている、いかなる選択されていないアクチュエータ要素の解放も防止する。
5.|V
RU−V
CL|≧V
H
この条件を満たすことは、選択されたCサブセットの中に位置し、選択された要素の現在の位置の反対側の端位置でラッチされている、いかなる選択されていないアクチュエータ要素の解放も防止する。
6.|V
RU−V
CU|≧V
H
この条件を満たすことは、任意の選択されていないRサブセットと任意の選択されていないCサブセットとの交差点に位置し、2つの端位置のどちらかでラッチされている、選択されていないアクチュエータ要素の解放を防止する。
【0110】
本明細書で説明される方法はまた、B位置からA位置までアクチュエータ要素を移動させるためにも使用され得、その場合には、解放ワイヤがBワイヤであり、ラッチングワイヤがAワイヤである。例えば、選択された要素111がB位置にある場合、該要素は、R1にV
RSを、A2にV
CLを、そして、B2にV
CRを印加することによって、A位置に移動させられ得る。2つ以上のRサブセットおよび/または2つ以上のCサブセットを同時に選択することは、任意の選択されたRサブセットと任意の選択されたCサブセットとの交差点に位置する全てのアクチュエータ要素を選択するので、本方法はまた、2つ以上の移動要素を一方の端位置からもう一方に移動させるためにも使用され得る。例えば、移動要素が最初にA位置にあると仮定すると、R2およびR3にV
RSを、B0およびB1にV
CLを、またA0およびA1にV
CRを印加することで、
図4の左下四半部にある全ての移動要素が、A位置からB位置に移動する。その移動要素が既にB位置にある任意の選択されたアクチュエータ要素は、B位置でラッチされたままである。
【0111】
特定の実施形態において、その間に移動要素が一方の端位置からもう一方に移動する時間(移動要素の第1の端位置からの解放および第2の端位置へのラッチングを含む)は、選択された要素の共振周期T
resの約半分である。ここで、T
resは、
図1Bを参照して上で説明した機械的共振周波数の逆数である。そのような動きに費やされる時間は、例えば顕著な摩擦または減衰がある場合に、T
res/2よりも若干長くなり得、または、例えばV
RS−V
CLの大きさが該動きを有意に加速するのに十分に高い場合、該時間は、T
res/2よりも若干早くなる。しかしながら、特定の実施形態において、それは、T
res/2に近い。
【0112】
移動要素の成功裏のラッチングを確実にするために、選択されたRワイヤへのV
RSの印加、解放ワイヤへのV
CRの印加、およびラッチングワイヤへのV
CLの印加は、アレイ内の最も遅い移動要素が動きを完了するのに十分長く(製造許容差に起因する変動を許容する)、すなわち、典型的にT
res/2よりも僅かに長く持続するようにタイミングが計られる。この時間が経過した後、選択された要素は、その新しい位置でラッチされ、選択されたRワイヤ、Aワイヤ、およびBワイヤは、典型的に、選択されていない状態になり、すなわち、コントローラは、以前に選択されたRワイヤにV
RUを印加し、以前のラッチングワイヤおよび解放ワイヤにV
CUを印加する。コントローラは、次いで、他のRサブセットおよび/またはCサブセットを選択することによってそれらの端位置の間で他の移動要素を移動させ得る。特定の実施形態において、Rワイヤ、Aワイヤ、およびBワイヤに印加される電圧は全て、その周波数が、典型的に、移動要素の機械的共振周波数の2倍よりも僅かに低い、以下「アクチュエーションクロック」と称されるクロックに従ってサンプリングされる。
【0113】
図5は、以下「駆動スキーム1」と称されるものに従って動作する、
図4のアクチュエータアレイを例示する。駆動スキーム1は、以下を特徴とする。
● V
RS=V
CR≧V
H
● V
RU=0
● V
CL≧V
L+V
RS
● V
CU≧2×V
RS
【0114】
図5の各四角の範囲内で、最上部の線は、V
Aの大きさを指し、最下部の線は、V
Bの大きさを指す。この駆動スキームは、
図4を参照して上で説明した6つの条件を満たし、また、以下の数多くのさらなる有用な特性を有することが分かる。例えば、
● 任意の数のRサブセットおよび任意の数のCサブセットが選択され得、任意の選択されたRサブセットと任意の選択されたCサブセットとの交差点に位置する全てのアクチュエータ要素が選択され、他の全てのアクチュエータは、選択されない。
● 所望の新しい位置(例えば、この例では、B位置)で既にラッチされている、任意の移動要素は、その位置に残る。したがって、駆動スキーム1は、全てがそれら移動要素を必ずしも同じ位置でラッチしていない可能性があるか、またはその現在ラッチされている位置が未知であり得る、アクチュエータ要素のサブセットを制御するために使用することができる。
● それは、上の6つのうちの第1の条件よりも厳しいバージョンを満たし(|V
RS−V
CR|=0V)、それによって、選択された要素がそれらの現在ラッチされている位置から解放される時間を最小化する。
【0115】
任意の所望のRサブセット(単数または複数)の選択を可能にするために、駆動スキーム1を実装しているコントローラは、各Rワイヤ400に2つの電圧(V
RSまたはV
RU)のどちらかを印加するように動作する。同様に、任意の所望のCサブセット(単数または複数)の選択を可能にするために、および各Aワイヤおよび各Bワイヤを、解放ワイヤ、ラッチングワイヤ、または所与の時点で選択されていないワイヤのいずれかとすることができるので、そのようなコントローラは、各Aワイヤ410および各Bワイヤ420に、3つの電圧(V
CR、V
CL、またはV
CU)のいずれかを印加するように動作する。
図6は、以下「駆動スキーム2」と称されるものに従って動作する、
図4および
図5のアクチュエータアレイを例示する。この駆動スキームは、以下を特徴とする。
● V
RS=V
CR≧V
H
● V
RU=0
● V
CL=V
CU≧V
L+V
RS
【0116】
2つの駆動スキーム間の差異は、V
CUの最小の大きさが2×V
HからV
L+V
Hまで増大されたことである。定義上は(
図4を参照して上で説明したように)V
LがV
Hよりも大きいので、駆動スキーム2は6つの条件を満たす。駆動スキーム2を実装しているコントローラは、各Aワイヤ410および各Bワイヤ420に、2つだけの電圧(V
CRまたはV
CL/V
CU)のどちらかを印加することが可能であるという利点を有し、各AワイヤおよびBワイヤが3つの異なる電圧を取る可能性がある駆動スキーム1と比較して、複雑さおよびコストの低減をもたらす。
【0117】
駆動スキーム2の下で、選択されていないCサブセットの中の選択されていないアクチュエータ要素のV
AおよびV
Bの大きさは、駆動スキーム1によるものよりも高く、また、選択されていない要素をそれらの現在の端位置でラッチし続けるために必要とされるものよりも高いが、駆動スキーム1の下で既に起こっている最高のV
AおよびV
Bほど高くない(V
CLとV
RUとの差に等しく、選択されていないRサブセットと選択されたCサブセットとの交差点に位置するアクチュエータ要素で起こる)。これは、一般的に欠点ではない。
【0118】
図7は、以下「駆動スキーム3」と称されるものに従って動作する、
図4〜
図6のアクチュエータアレイを例示する。駆動スキーム3は、以下を特徴とする。
● V
RS=V
CR=0
● V
RU=≦−V
H
● V
CL=V
CU≧V
L
【0119】
これは、全てのアクチュエータ要素において、駆動スキーム2と同じV
AおよびV
Bを生成する。しかしながら、駆動スキーム2と比較して、全てのRワイヤ、Aワイヤ、およびBワイヤに印加される電圧から、V
Hが減じられている。
【0120】
全てのRワイヤ、Aワイヤ、およびBワイヤの電圧に対して任意の他の所与の電圧を加えるまたは減じることでも、駆動スキーム2に等しい駆動スキームをもたらすことを認識されたい。さらに、任意の駆動スキームにおける駆動電圧の極性は、V
AおよびV
Bが駆動スキーム2の下での場合と同じ大きさを保持する限り、アクチュエータアレイの動作に影響を及ぼすことなく、逆にされ得る。例えば、以下「駆動スキーム4」と称される以下の駆動スキームは、駆動スキーム2および3に等しい。
● V
RS=V
CR≦−V
H
● V
RU=0
● V
CL=V
CU≦−(V
L+V
RS)
同様に、以下「駆動スキーム5」と称される以下の駆動スキームは、駆動スキーム2〜4に等しい。
● V
RS=V
CR=0
● V
RU≧V
H
● V
CL=V
CU≦−V
L
【0121】
図8は、駆動スキーム1〜5の表形式での概要である。
【0122】
図9は、軸125に沿ったその偏差の関数としての、およびA電極130に向かって、
図1A〜1Cを参照して説明されるように構成される移動要素120に作用する、静電力およびばね力のグラフである。
図9の実施例において、スペーサ180および190の厚みは、3μmである。水平軸は、その静止位置からA電極に向かう移動要素の偏差を表し、負の値は、A電極から離れてB電極に向かう偏差を示す。A力、B力、ばね力(それぞれ、
図1B、1Cおよび、1Aを参照して上で説明したもの)および合計力は、垂直軸上にプロットされる。
【0123】
図9の実施例において、V
BおよびしたがってB力もゼロであるが、V
Aは、非ゼロであり、非ゼロのA力を生成する。したがって、移動要素120に及ぼされる合計力は、A力とばね力との合計である。移動要素120に作用する合計力がゼロである、2つの平衡点があることが分かる。第1の平衡点は、静止位置の近く、すなわち
図9のグラフの原点の僅かに右側にあり、安定した平衡である。すなわち、移動要素120が、平衡点のいずれの側に対して短い距離離れている場合、該移動要素に作用する力のバランスが、それを第1の平衡点に向かって移動させる。第2の平衡点は、A電極により近く、約2μmの偏差がある、不安定な平衡である。移動要素120が、この第2の平衡点からよりもA電極130からさらに短い距離離れると、該移動要素に作用する力のバランスは、それを第1の平衡点に向かって移動させる。移動要素120が、第2の平衡点までよりもA電極130まで短い距離近づくと、該移動要素に作用する力のバランスは、それをA電極に向かって移動させ、A位置でラッチさせる。
【0124】
下で説明される駆動スキームは、アクチュエータ要素のその2つの端位置間での選択された要素の運動が、適時に異なる地点で、異なる影響によって支配され得る実施形態に好適である。
【0125】
選択された要素がその現在ラッチされている位置から解放された直後に、ベアリング150によってその移動要素に及ぼされるばね力は、その運動を支配し、その新しい場所に向かって該移動要素を推進する。上で説明した駆動スキームのいずれかの下で、移動要素120をその以前のラッチされていた位置に向かって引き戻す静電力は、ゼロである。上で論じた駆動スキームは、ラッチング電極に向かって移動要素120を引き寄せる静電力を提供するが、所望の運動は、ばね力単独で達成することができるので、この静電力は、実際には、この時点では必要とされない。いずれの場合でも、移動要素120がラッチング電極から比較的遠くにあるので、静電力は、存在したとしても、この時点では比較的弱い。したがって、静電力を生成するラッチング電極と移動要素120との間の電圧(V
CL−V
RS)は、この時点では重要でなく、アクチュエータアレイの動作に実質的に影響を及ぼすことなく変更され得る。
【0126】
選択された要素の移動要素120がラッチング電極に接近するにつれて、ベアリング150によって該移動要素に及ぼされるばね力は、現在の進行方向に抵抗し、大きさが増大する。この時点で、ラッチング電極に向かって移動要素120を引き寄せる静電力が、ラッチングを達成するために用いられる。したがって、成功裏のラッチングは、ラッチング電極と移動要素120との間の電圧(V
CL−V
RS)が、ばね力ならびに摩擦力または減衰力等の任意の他の抵抗力に打ち勝つのに十分に高い大きさであることに依存する。一方では、移動要素120が解放電極から比較的遠くにあるので、この時点で、解放電極と移動要素120との間に印加される任意の電圧(V
CR−V
RS)は、移動要素120を解放電極に向かって引き戻す、比較的小さい静電力だけしか生成しない。したがって、電圧V
CR−V
RSは、この時点では重要でなく、アクチュエータアレイの動作に実質的に影響を及ぼすことなく変更され得る。
【0127】
軸125の中間部分、移動要素120の静止位置周辺では、ばね力および2つの静電力の大きさは、比較的小さい。選択された要素の移動要素120がこの領域にあるときには、その以前のラッチされていた位置から解放されて以降に獲得される運動量のため、該移動要素は、主に運動状態にある。
【0128】
上で説明した実施形態において、
図4を参照して上で説明した「6つの条件」の最初の2つの一方または双方を、以下のように緩和することができる。
1.|V
RS−V
CR−|≦V
R(典型的に、|V
RS−V
CR|=0V)
動きの初期の間だけ、すなわち解放中、およびその直後。
2.|V
RS−V
CL|≧V
L
動きの後期の間だけ、すなわちラッチング中、およびその直前。
【0129】
元の6つの条件の変更されていない条件3〜6とともに、これらの2つの条件は、以下、「緩和された条件」と称される。これらの緩和された条件に基づいて、一方の端位置からもう一方への移動要素の動き(移動要素の第1の端位置からの解放および第2の端位置へのラッチングを含む)は、2つ以上のフェーズに分割することができ、よって、選択されたR電圧および選択されたC電圧の少なくとも1つが、フェーズ間で変動する。
【0130】
例えば、以下「駆動スキーム6」とも称される、下で説明される駆動スキームは、2つのフェーズを使用し、以下を保持する。
● V
RSは、以下のようにフェーズ間で変動する。
○ フェーズ1:V
RS=V
CR
○ フェーズ2:V
RS=0
● 双方のフェーズにおいてV
RU=0
● 双方のフェーズにおいてV
CR≧V
H
● 双方のフェーズにおいてV
CL=V
CU≧最大(V
L、2×V
H)
【0131】
これは、駆動スキーム2上の変形物とみなすことができ、その違いは次の通りである。(a)選択されたRサブセットは、駆動スキーム2にあるように全体を通してではなく、フェーズ1の間にだけ選択される。(b)ラッチングC電圧V
CLおよび選択されていないC電圧V
CUは、駆動スキーム2の場合よりも低い。この最後の点は、駆動スキーム2と比較して、よりコスト効率的にコントロール回路を実装することを可能にするので、駆動スキーム6の利点である。
【0132】
駆動スキーム6のアクチュエーションクロック周波数(
図4を参照して上で説明したもの)は、典型的に、同じアクチュエータアレイで使用される、上で説明した駆動スキーム1〜5等の、単一フェーズの駆動スキームのアクチュエーションクロック周波数の2倍である。
【0133】
駆動スキーム6において、全てのRワイヤ、Aワイヤ、およびBワイヤの電圧からV
Hを減じることで、以下「駆動スキーム7」と称される、電気的に等価なスキームが得られる。
● V
RSは、以下のようにフェーズ間で変動する。
○ フェーズ1:V
RS=0
○ フェーズ2:V
RS=V
RU
● 双方のフェーズにおいてV
RU≦−V
H
● 双方のフェーズにおいてV
CR=0
● 双方のフェーズにおいてV
CL=V
CU≧最大(V
L、−2×V
RU)+V
RU
【0134】
駆動スキーム7は、これまで説明した他の全ての駆動スキームよりも、最大駆動電圧(この場合には、V
CL/V
CU)が低いという利点を有する。しかしながら、正および負の双方の駆動電圧を用いるという、不利な点もある。
【0135】
図10は、
図4〜
図7で示されるアクチュエータアレイに類似して、4個のRサブセットおよび2個のCサブセットにパーティショニングされた、8個のアクチュエータ要素を備える、本発明の特定の実施形態に従うアクチュエータアレイの簡略表現図である。Rワイヤは、R0からR3にラベル付けし、Aワイヤは、A0からA1にラベル付けされ、Bワイヤは、B0からB1にラベル付けされている。各四角は、1つのアクチュエータ要素110を表す。以下「選択された要素」とも称される、111にラベル付けした、Rサブセット1とCサブセット1との交差点に位置するアクチュエータ要素は、現在、A位置にラッチされており、B位置に移動することになっている。
【0136】
アクチュエータアレイは、以下「駆動スキーム8」と称される駆動スキームに従って動作し、逆の極性の2つの駆動電圧、すなわち、正の駆動電圧+V
Dおよび負の駆動電圧−V
Dを使用する。双方の駆動電圧の大きさは、保持電圧V
Hよりも大きく、かつラッチング電圧V
Lの半分である(すなわちV
D=最大(V
L/2、V
H)。駆動スキーム8は、さらに以下を特徴とする。
● V
RSは、以下のようにフェーズ間で変動する。
○ フェーズ1:V
RS=0V
○ フェーズ2:V
RS=−V
D
● 双方のフェーズにおいてV
RU=−V
D
● 双方のフェーズにおいてV
CR=0V
● 双方のフェーズにおいてV
CL=V
CU=+V
D
【0137】
図10の各四角内で、最上部の線は、V
Aの大きさを指し、最下部の線は、V
Bの大きさを指す。この駆動スキームは、
図9を参照して上で説明した「緩和された条件」を満たし、さらに、これまで説明した駆動スキームに勝る以下の利点のうちのいくつかまたは全てを提供することが分かる。
● +V
Dおよび−V
Dは、同じ大きさを有するので、反転チャージポンプ等の比較的単純で低コストの回路を使用して、一方をもう一方から発生させることができるが、これまで論じた他の駆動スキームでは、概して、駆動電圧の大きさが異なり、したがって、これらの駆動スキームの駆動電圧を発生させることは、通常、スイッチモードDC−DC変換器等の、より複雑で高価な回路を用いることになる。
● V
H<V
L/2の場合、用いられる最大駆動電圧(この場合には、V
CL/V
CU)は、これまで説明した他の全ての駆動スキームよりも低い。
駆動スキーム8は、駆動スキーム6および7に等しくない。例えば、
● 選択されたCワイヤと選択されていないRワイヤとの交差点に位置し、解放側でラッチされている、選択されていない要素の場合、それらの移動要素をそれらの現在の位置で保持するために使用されるV
AおよびV
Bは、どちらのフェーズの間でも、駆動スキーム6/7と駆動スキーム8との間で異なる。
● 選択されていないCワイヤと選択されていないRワイヤとの交差点に位置する、選択されていない要素の場合、それらの移動要素をそれらの現在の位置で保持するために使用されるV
AおよびV
Bは、フェーズ1の間だけ、駆動スキーム6/7と駆動スキーム8との間で異なる。
● 選択された要素について、ラッチングワイヤとそれらの移動要素との間の電圧は、フェーズ1の間だけ、駆動スキーム6/7と駆動スキーム8との間で異なる。
● 選択された要素について、解放ワイヤとそれらの移動要素との間の電圧は、フェーズ2の間だけ、駆動スキーム6/7と駆動スキーム8との間で異なる。
【0138】
上記の駆動スキームは、通常動作中の任意の所与の時点で、コントローラが、A位置からB位置まで1つ以上のアクチュエータ要素を移動させるか、もしくはB位置からA位置まで1つ以上のアクチュエータ要素を移動させるか、またはいかなるアクチュエータ要素も移動させないことが想定され得る。しかしながら、駆動スキーム8に関しては、以下の条件下で、A位置からB位置まで1つ以上のアクチュエータ要素を移動させる一方で、同時にB位置からA位置まで1つ以上のアクチュエータ要素も移動させることも可能である。
● 移動要素は、それぞれのRサブセットが選択された場合にだけ解放することができるので、移動させるべき全てのアクチュエータ要素が、選択されたRサブセットの中に位置する。
● それらのA位置からそれらのB位置まで移動させるべきアクチュエータ要素は、それらのB位置からそれらのA位置まで移動させるべきアクチュエータ要素と同じCサブセットの中に位置させることができない。これは、駆動スキーム8の下では、ラッチングC電圧(V
CL=+V
D)が解放C電圧(V
CR=0V)と異なり、単一のAワイヤまたはBワイヤの双方を、同時にラッチングワイヤおよび解放ワイヤにすることができなくなるからである。
【0139】
要約すると、駆動スキーム8の下で、アクチュエータ要素が全て同じRサブセットの中にあるが、異なるCサブセットの中にある場合、該アクチュエータ要素を同時に反対方向に移動させることが可能である。
【0140】
駆動スキーム3および6に関して上で説明したように、全てのRワイヤ、Aワイヤ、およびBワイヤの電圧に対して所与の電圧を加えるまたは減じることで、駆動スキーム8に等しい駆動スキームをもたらす。例えば、全てのRワイヤ、Aワイヤ、およびBワイヤの電圧にV
Dを加えることで、以下を特徴とする、以下「駆動スキーム9」と称される変形物が得られる。
● V
RSは、以下のようにフェーズ間で変動する。
○ フェーズ1:V
RS=V
D
○ フェーズ2:V
RS=0V
● 双方のフェーズにおいてV
RU=0V
● 双方のフェーズにおいてV
CR=V
D
● 双方のフェーズにおいてV
CL=V
CU=2×V
D
【0141】
駆動スキーム9は、コントローラから負電圧を排除し、これは、コントローラを実装するために使用される技術に依存して、そのコストを低減し得る。より高い駆動電圧2×V
Dは、より低い駆動電圧V
Dの大きさの厳密に2倍であるので、電圧倍加チャージポンプ等の比較的単純で低コストの回路を使用して、より低い駆動電圧からより高い駆動電圧を発生させることが可能になるが、これまで論じた他の駆動スキームは、概して、駆動電圧の間に2:1の比率を有さず、したがって、これらの駆動スキームの駆動電圧を発生させることは、通常、スイッチモードDC−DC変換器等の、より複雑で高価な回路を用いることになる。コントローラ回路を実装するために使用される技術に応じて、倍加チャージポンプの使用は、スキーム8と同様に反転チャージポンプを使用することと比較して、コントローラのコストを増大または低減させ得る。
【0142】
駆動スキーム8は、本明細書で論じられる他の全ての駆動スキームのように、任意のサイズのアクチュエータアレイ(すなわち、任意の数のRサブセットおよびCサブセット、ならびにRサブセットとCサブセットとの各交差点の、任意の数のアクチュエータ要素)とともに使用できることを認識されたい。単に簡潔にするために、
図2〜
図7および
図10では、少数のRサブセットおよびCサブセットを選択している。実際には、
図10に示されるような4×2マトリクスのアクチュエータ要素は、それぞれ、各移動要素のための専用の接続部、ならびに全てのA電極および全てのB電極のための2つの共通接続部を伴う実装と比較して、アクチュエータアレイとコントローラ50との間の電気的接続の数を低減せず、したがって、そのようなマトリクスの構築においていかなる利点もない。しかしながら、より大きいアレイ寸法の場合は、接続部の数が、(NrNc+2個からNr+2×Nc個まで)飛躍的に低減される。また、駆動スキーム6〜9における駆動電圧の極性は、駆動スキーム4および5を参照して上で説明したように、アクチュエータアレイの動作に影響を及ぼすことなく、逆にされ得ることも認識されたい。さらに、2つを超えるフェーズを伴う駆動スキームは、
図9を参照して上で説明した「緩和された条件」も満たすことになると考察することができることを認識されたい。
【0143】
駆動スキーム1〜9において、以下「アクチュエーション時間T
a」とも称される、一方の端位置から移動要素を解放し、反対側の端位置で該移動要素をラッチする時間は、主に、移動要素120の質量およびベアリング150によって該移動要素に及ぼされるばね力によって決定され、また、移動要素120の共振周期T
resの半分にほぼ等しく、ここで、T
resは、
図1Bを参照して上で説明した機械的共振周波数の逆数である。これは、特定の目的に対する装置の適合性を制限し得る。例えば、装置が音波または超音波を生成するために使用される場合、アクチュエーション時間T
aは、典型的に、(ナイキストサンプリング定理に従って)発生させる最も高い音波または超音波周波数の期間の半分よりも短い。さらに、(例えば、
図27〜
図29を参照して下で説明されるような、ノイズシェーピングループで)オーバーサンプリングが使用される場合、オーバーサンプリング率を増大させるために、アクチュエーション時間を最小にすることが望ましい。アクチュエーション時間を低減する1つの方法は、移動要素120の質量を低減することである。しかしながら、機械的安定性および信頼性に対する応用特有の要件は、この重量を低減することができる程度を制限し得る。別の選択肢はベアリング150のばね係数を増大させることであるが、これは、用いられる駆動電圧の大きさが増大するという不利な点を有する。
【0144】
駆動スキーム6〜9等のマルチフェーズ駆動スキームを使用して制御されるアクチュエータアレイの場合、この問題に対する代替的手法は、フェーズを重ねることである。例えば、駆動スキーム8は、2組のアクチュエータ要素の同時の動きを可能にし、よって、第1組のアクチュエータ要素が、上で説明したようにフェーズ1にある一方で、第2の組のアクチュエータ要素は、フェーズ2にある。このプロセスは、以下、「倍速アドレス指定」とも称される。倍速アドレス指定は、各動きを完了する総時間には影響を及ぼさないが、倍速アドレス指定は、移動要素を解放する単位時間あたりの機会の数を2倍にする。その結果、アクチュエータアレイによって生成される物理的作用を、適時により正確に制御することができる。例えば、アクチュエータアレイが音波または超音波を生成する場合、生成することができる最大周波数が2倍になり、オーバーサンプリングが使用される場合、オーバーサンプリング率は、事実上2倍になる。この効果は、アクチュエーション時間T
aをT
res/2からT
res/4に低減することと同様であるが、アクチュエータ要素の機械的特性におけるいかなる変化も伴わない。しかしながら、一方がフェーズ1にあり、もう一方がフェーズ2にあるように、2つの要素が同時に運動しているときはいつでも、以下「倍速規則」と称される、以下の2つの条件を保持する。
1.駆動スキーム8は、各フェーズにおいて異なる電圧(フェーズ1での0Vに対して、フェーズ2での、および選択されていないRワイヤの−V
D)を選択されたRワイヤに印加するので、2つの要素は、同じRサブセットの中にあることができない。
2.2つの要素が反対方向に移動している場合、該要素は、異なるCサブセットにある。これは、駆動スキーム8で、解放ワイヤおよびラッチングワイヤに異なる電圧(双方のフェーズにおいて、解放ワイヤの0Vに対して、ラッチングワイヤの+V
D)を印加するからである。
【0145】
第2の倍速規則は、以下を特徴とする、以下「駆動スキーム10」とも称される、修正した駆動スキームを使用して取り除くことができる。
● V
RSは、以下のようにフェーズ間で変動する。
○ フェーズ1:V
RS=0V
○ フェーズ2:V
RS=−V
D
● 双方のフェーズにおいてV
RU=−V
D
● V
CRは、以下のようにフェーズ間で変動する。
○ フェーズ1:V
CR=0V
○ フェーズ2:V
CR=+V
D
● 双方のフェーズにおいてV
CL=V
CU=+V
D
【0146】
駆動スキーム10は、フェーズ2における解放C電圧が0Vではなく+V
Dであり、これが、フェーズ2におけるラッチングC電圧と同じであるという点で、駆動スキーム8と異なる。その結果、AワイヤおよびBワイヤを、フェーズ1にある移動要素の解放ワイヤとする一方で、同時に、フェーズ2にある別の移動要素のラッチングワイヤとして作用させることが可能になる。しかしながら、この駆動スキームは、成功裏のラッチングを確実にするために、僅かに高い駆動電圧を用い得、および/またはそれ以外の同じ条件下でラッチングする時間を僅かに増大させ得る。
【0147】
図11は、駆動スキーム6〜10の表形式での概要である。
【0148】
図12は、いくつかのさらなる可能な2フェーズの駆動スキームの概要である。これらは、フェーズ2におけるV
CRに対する3つの異なる選択肢(0、+V
D、および「無関係」すなわち、0または+V
Dのどちらか)を、フェーズ1におけるV
CLに対する同じ3つの選択肢と組み合わせることによって求めることができ、合計で9つの組み合わせが得られ、そのうちの7つを
図12に示す(残りの2つの組み合わせは、
図11で示される駆動スキーム8および10である)。各駆動スキームは、異なる1組の「倍速規則」をもたらす(駆動スキーム8および10について上で説明したもの)。示される駆動スキームのいくつかは、成功裏の解放およびラッチングを確実にするために、V
Dのわずかな調整を用い得る。
【0149】
V
CRおよびV
CLの一方または双方が同じフェーズにおいて0または+V
Dであり得る、駆動スキーム11、14、15、16、および17等の、「無関係」条件を含む駆動スキームは、所望の物理的作用を生成するために、Rワイヤ、Aワイヤ、およびBワイヤの電圧を選択する際に、より多くの自由度を提供する。その結果、そのような駆動スキームは、所望の物理的作用のより正確な生成を可能にし得、および/またはRワイヤ、Aワイヤ、及びBワイヤの電圧を決定するプロセスを単純化し得る。しかしながら、そのような駆動スキームの下でアクチュエータ要素によって生成される物理的作用は、それぞれの電圧が0であるか、+V
Dであるかに依存して僅かに変動し得る。用途に応じて、この変動は、より高い正確さという利点を上回る不利な点を表す場合もあり、表さない場合もある。
【0150】
「倍速アドレス指定」は、
図10を参照して上で説明した。いくつかの実施形態において、本方法は、例えば倍速アドレス指定よりも高い速度を達成するために外挿され得、3倍速、4倍速、またはk倍速のアドレス指定に一般化され得る。本発明の特定の実施形態に従うk倍速アドレス指定は、k個のフェーズ(kは、正の整数)を伴う駆動スキーム、および同じアクチュエータアレイによる単一フェーズの駆動スキームが、その端位置の一方から反対側の端位置までの移動要素の運動を達成するよりもk倍速いアクチュエーションクロックを使用する。駆動スキーム8から導き出される潜在的に有用な駆動スキームは、以下の特徴のうちのいくつかまたは全部を共有する。
● 最初のフェーズにおいてV
RS=0、最後フェーズにおいて−V
D。
● 全てのフェーズにおいてV
RU=−V
D。
● 最初のフェーズにおいてV
CR=0。
● 最初のフェーズにおいてV
CL=+V
D。
● 全てのフェーズにおいてV
CU=+V
D。
これらの駆動スキーム間の差異としては、以下のうちの1つ以上が挙げられる。
● 中間フェーズ(すなわち、最初でも最後でもない任意のフェーズ)におけるV
RSの値。可能な値としては、0、−V
D、および「無関係」(すなわち、0または−V
Dのいずれか)を含む。
● 最初のフェーズ以外のフェーズにおけるV
CRの値。可能な値としては、0、+V
D、および「無関係」(すなわち、0または+V
D)を含む。
● 最後のフェーズ以外のフェーズにおけるV
CLの値。可能な値としては、0、+V
D、「無関係」(すなわち、0または+V
D)を含む。
【0151】
一例として、以下「駆動スキーム18」と称される、1つの可能な4倍速駆動スキームは、以下を特徴とする。
● V
RSは、以下のようにフェーズ間で変動する。
○ フェーズ1および2:V
RS=0V
○ フェーズ3および4:V
RS=−V
D
● 全てのフェーズにおいてV
RU=−V
D
● V
CRは、以下のようにフェーズ間で変動する。
○ フェーズ1〜3:V
CR=0V
○ フェーズ4:V
CR=0Vまたは+V
D(「無関係」)
● V
CRは、以下のようにフェーズ間で変動する。
○ フェーズ1:V
CR=0Vまたは+V
D(「無関係」)
○ フェーズ4:V
CR=+VD
● 全てのフェーズにおいてV
CU=+V
D
【0152】
図10を参照して上で説明したように、より高速なアドレス指定の主要な利点は、アクチュエータアレイによって生成される物理的作用を、適時に、より正確に制御できることである。一方で、より高速なアドレス指定はまた、所望の物理的作用を生成するためにRワイヤ、Aワイヤ、およびBワイヤの電圧を決定するプロセス(以下、「アドレス指定方法」と称する)を難しくもする。倍速またはより高速なアドレス指定方法によれば、各アクチュエーションクロックサイクルに対するRワイヤ、Aワイヤ、およびBワイヤの電圧が、典型的に、以前のアクチュエーションクロックサイクルで解放されたが、まだそれらの新しい位置に到達していない任意の移動要素が正しくラッチされるように選択されるのに対して、単速アドレス指定方法によれば、全ての動きが単一のアクチュエーションクロックサイクル以内に完了するので、Rワイヤ、Aワイヤ、およびBワイヤの電圧の選択に対するいかなるそのような制約もない。その結果、倍速またはより高速なアドレス指定方法は、典型的に、所望の物理的作用を生成するために各アクチュエーションクロックサイクルで利用可能な自由度がより少なくなる。用途によっては、この潜在的に不利な点は、より高速なアドレス指定の利点を上回る場合もあり、またはそうでない場合もある。
【0153】
任意のより高速な駆動スキームにおいて、全ての駆動電圧に対して任意の所与の電圧を加えるもしくは減じること、または全ての駆動電圧の極性を逆にすることは、元の駆動スキームに電気的に等しい駆動スキームをもたらすことを認識されたい。さらに、より高速な駆動スキームはまた、(例えば、上で示した駆動スキーム6または7のより高速バージョンとして)非対称駆動電圧を使用しても、または(例えば、上で示した駆動スキーム1のより高速バージョンとして)2つを超える非ゼロの駆動電圧を使用しても考案され得ることを認識されたい。
【0154】
図13は、上で説明した駆動スキーム8を使用したアクチュエータアレイの中の1つ以上のアクチュエータ要素の初期化に対する電圧波形、および結果として生じる移動要素120のその静止位置からの偏差のグラフである。
【0155】
本明細書の「初期化」とは、
図2〜
図4を参照して上で説明したもの等の、静電アクチュエータのアレイ内のいくつかまたは全てのアクチュエータ要素を、例えば電源投入の直後に、それらの端位置の1つにラッチするプロセスを指す。装置の電源が切られたときに、移動要素は、それらの静止位置において平衡であるので、初期化プロセスは、典型的に、静止位置からのラッチングを達成するが、通常動作中に、移動要素は、常時、以前に反対側の端位置にラッチされ、次いでそこから解放された後に、新しい端位置にラッチされる。
図3を参照して上で定義したラッチング電圧V
Lは、後者の場合にラッチングを達成するために十分なだけであり、静止位置からのラッチングには十分でない。その結果、典型的に移動要素とラッチング電極との間でV
Lに等しい電圧を発生する、上記の駆動スキームは、必ずしも移動要素をそれらの静止位置から直接的にラッチングすることが可能であるというわけではない。これは、典型的に、これらの駆動スキームを使用できるようになる前に、別個の初期化手順で最初に達成される。
【0156】
1つの可能な解決策は、結果として生じるラッチング電極と移動要素との間の電圧の大きさが、移動要素をそれらの静止位置から直接的にラッチするのに十分大きくなるように、選択されたR電圧および/またはラッチングC電圧の大きさを増大させることである。しかしながら、より高い駆動電圧は、コントローラ回路の実装をより高コストにし得、および/または通常動作中の装置の電力消費を増大させ得る。別の可能な解決策は、初期化だけに対してより高い電圧を使用し、通常動作に対してはより低い駆動電圧に戻すことである。しかしながら、さらなる電圧は、コントローラに複雑さを加え得る。例えば、駆動スキーム8に従って動作するコントローラは、典型的に、2つの駆動電圧(0または−V
D)のうちの1つを各Rワイヤに印加し、2つの駆動電圧(0または+V
D)のうちの1つを各AワイヤおよびBワイヤに印加することだけが可能であるのに対して、さらなるより高い駆動電圧を伴う修正バージョンは、3つの異なる電圧の間で、Rワイヤ、ならびに/またはAワイヤおよびBワイヤを切り替えなければならない。
【0157】
図13で例示される初期化手順は、移動要素の機械的共振の長所を利用し、その結果として、より高い、またはさらなる駆動電圧を用いない。
図13において、T
Resは、移動要素120の共振周期、すなわち、
図1Bを参照して上で説明した、該移動要素の機械的共振周波数の逆数を指す。V
CSAは、選択されたAワイヤ、すなわち、初期化されるアクチュエータ要素を含むCサブセットのAワイヤに印加される電圧を指す。同様に、V
CSBは、選択されたBワイヤに印加される電圧を指す。また、V
RSは、選択されたRワイヤ、すなわち、初期化されるアクチュエータ要素を含むRサブセットのRワイヤに印加される電圧を指す。グラフの下部分では、典型的な移動要素120がその静止位置から離れてA位置に向かう偏差を、時間とともにプロットしている。
【0158】
図13で例示される初期化手順は、典型的に、第1および第2のフェーズを備える。第1のフェーズにおいて、コントローラは、選択されたRワイヤに0Vの電圧を印加し、以下「選択されていないRワイヤ」とも称される、任意の他のRワイヤに負の駆動電圧−V
Dを印加する(すなわち、V
RS=0、V
RU=−V
D)。同時に、コントローラは、V
CSAおよびV
CSBを、それぞれ、正の駆動電圧+V
Dおよび0Vに交互に設定し、これらの電圧の間で周期的に切り替え、よって、+V
Dが選択されたAワイヤに印加され、0VがそれぞれのBワイヤに印加されたとき、およびその逆のときにはいつでも、2つの方形波を作成し、その周波数は、移動要素120の、
図1Bを参照して説明した、機械的共振周波数に実質的に等しく、また180度位相が異なり、その一方で、正の駆動電圧+V
Dも任意の他のAワイヤおよびBワイヤに常に印加する。これは、移動要素120を、その静止位置周辺で振動させ、その振動の振幅が時間とともに段階的に増大する。特定の実施形態において、この第1のフェーズの持続期間は、移動要素120の共振周期T
resの半分の整数倍に、共振周期の4分の1を加えたものに実質的に等しく(すなわち、T
phase1≒(0.5×Ni+0.25)×T
res(Niは整数))、最大振動振幅に到達することを可能にするのにちょうど十分な長さである。したがって、第1フェーズの終了時に、移動要素120は、その静止位置の近くにあり、2つの電極のうちの1つに向かって(
図13の場合、A電極に向かって)進行している。
図13に示される模擬の実施例において、第1のフェーズの持続期間は、6+4分の1の共振期間(すなわちNi=12)である。しかしながら、最適なNiは、アクチュエータ要素の機械的特性および減衰に依存することを認識されたい。初期化手順の第2のフェーズにおいて、コントローラは、選択されたRワイヤを含む全てのRワイヤに負の駆動電圧−V
Dを印加する一方で、全てのAワイヤおよびBワイヤを、第1のフェーズの終了時にそれらに印加されている電圧と常に同じ電圧に保つ。
【0159】
第1のフェーズから第2のフェーズへのV
RSの変化は、移動要素120とラッチング電極(すなわち、該移動要素がそれに向かって進行している電極)との間の電圧を増大させ、よって、移動要素の運動量と組み合わせた、結果として生じる静電力は、ベアリング150によって及ぼされるばね力に打ち勝つのに十分であり、移動要素120が、ラッチング電極に十分近い位置に到達して、
図1Bを参照して説明したように、2つの端位置のうちの1つ(
図13の場合、A位置)へのラッチングを達成することを可能にする。この第2のフェーズの持続期間は、典型的に、ラッチングを達成するのに十分であり、典型的に、半共振周期と全共振周期との間である。移動要素をA位置ではなくB位置にラッチするための初期化手順について、その手順は、上で説明した通りであり、V
CSAおよびV
CSBの波形が逆になる。また、異なる波長異なる波長をそれぞれのAワイヤおよびBワイヤに印加することによって、単一の初期化で、一部のCサブセットの移動要素をA位置にラッチし、同時に、他のCサブセットの移動要素をB位置にラッチすることも可能である。
【0160】
類似の初期化手順を、上で説明した他の駆動スキームのために考案することができる。例えば、全てのRワイヤ、Aワイヤ、およびBワイヤの電圧にV
Dを加えることで、駆動スキーム9で既に示されている駆動電圧だけを使用する、初期化手順が得られる。
【0161】
初期化中には、いかなる選択されていないRサブセットまたはCサブセットもある必要はなく、アクチュエータアレイの中の全ての移動要素が実質的に同じ機械的共振周波数を有する場合、アレイ全体を同時に初期化することができることを認識されたい。一方で、機械的共振周波数が実質的に変動するアクチュエータアレイの場合、初期化手順は、異なる機械的共振周波数に調整された信号タイミングで、複数回繰り返され得る。初期化手順はまた、例えば非常に強い機械的衝撃の結果として、例えば以前にラッチングに失敗した可能性のある任意の移動要素を明確な位置に戻すために、電源投入後以外の時点でも使用できることも認識されたい。
【0162】
図14は、コントローラ50と、アクチュエータアレイ100とを備える、本発明の一実施形態の簡略ブロック図である。この特定の実施形態は、アクチュエータアレイ100内の移動要素によって生成される物理的作用が、任意の時点で、各端位置にある移動要素の数によって主に決定される、および特定の移動要素が各端位置にあることに応じた物理的作用の変動が、無視できるものであるか、もしくは装置が使用される用途に無関係である、または代替として、物理的作用が、どの特定の移動要素が動きを実行するかどうかに関わらず、任意の時点で、一方の端位置からもう一方の端位置まで移動する移動要素の数によって主に決定される、という仮定に依存する。後者は、個々のアクチュエータ要素によって生成される物理的作用が圧力パルスである場合に当てはまり、装置全体によって生成される全体的な物理的作用は、可聴音であり、アクチュエータアレイの物理的寸法は、再生されている最も高い音声周波数の波長よりも大幅に小さい(より大きい、またはより広い間隔のアクチュエータアレイについては、国際公開第WO2007/135678号(「Direct digital speaker apparatus having a desired directivity pattern」)で説明されるように、結果として生じる可聴音は、指向性であり得る)。その場合、装置全体は、本質的に、そのアナログ出力が(大部分のDACのように、電圧または電流ではなく)音圧である、デジタル−アナログ変換器(DAC)である。
【0163】
コントローラ50は、周期的にサンプリングされるデジタルオーディオ信号600を受信し、Rワイヤ400、Aワイヤ410、およびBワイヤ420に印加される電圧を調整し、アクチュエータアレイ100内のアクチュエータ要素に、それらの2つの端位置間を移動させ、それによって、オーディオ信号70によって表される可聴音を再生させる。この特定の実施形態において、コントローラ50は、例えば下で説明するように、低域通過フィルタ510と、サンプリングレートコンバータ520と、計数器530と、量子化器540と、要素セレクタ550と、高電圧ドライバ560とを備える。
【0164】
低域通過フィルタ(LPF)510は、デジタルオーディオ信号600を受信し、低域通過フィルタ処理した信号610を生成する。LPFの目的は、音量制御である。LPFは、当技術分野でよく知られているが、概して、従来のラウドスピーカーに基づく音声再生システムの音量制御には使用されない。しかしながら、アクチュエータアレイに基づく音声再生システムでは、小音量での改善された低音応答をもたらし得るので、従来の方法ではなくLPFを音量制御に使用することが有利であり得る。これは、国際公開第WO2007/135679号(「Systems and Methods for Volume Control in Direct Digital Speakers」)で詳細に説明されている。
【0165】
LPFは随意であり、いかなる音量制御も必要なければ、または小音量での低音応答が不十分であるという不利な点にも関わらず、音量制御が従来の方法によって達成されるのであれば、省略してもよい。代替として、LPFは、装置全体がその中に埋め込まれる、より大きいシステムの別の部分に実装されてもよく、例えば、LPFは、消費者電子デバイスのマルチメディアプロセッサIC(集積回路)における信号処理アルゴリズムとして動作させてもよい。PCT出願公開第WO2007/135679号(「Systems and Methods for Volume Control in Direct Digital Speakers」)で説明されているように、LPFは、典型的に、そのコーナー周波数より上で、6dB/オクターブの傾斜を有する。上で参照した出願で説明されるLPFの他の特性は、本発明には重要でない。
【0166】
サンプリングレートコンバータ(SRC)520は、低域通過フィルタ処理した信号610のサンプリングレートを、要素セレクタ550が動作するアクチュエーションクロック周波数に整合させ、再サンプリングした信号620を生成する。デジタルオーディオ信号600の、したがって、低域通過フィルタ処理された信号610のサンプリングレートは、用途に依存する。例えば、デジタル電話は、典型的に、8kHzまたは16kHzのサンプリングレートを使用するが、消費者オーディオデバイスでのデジタル音楽再生に一般的に使用されるサンプリングレートとしては、44.1kHzおよび48kHzが挙げられる。一方で、アクチュエーションクロック周波数は、
図4、
図9、および
図12を参照して上で説明したように、アクチュエータ要素の機械的特性および駆動スキームで使用されるフェーズの数(k)によって決定付けられ、典型的に、デジタルオーディオコンテンツのための典型的なサンプリングレートに等しくなく(典型的に、それよりも高く)、したがって、サンプリングレート変換が用いられる。サンプリングレート変換は、当技術分野でよく知られており、装置の実装の詳細は、装置の音声の忠実性全体に影響を及ぼし得るが、重要ではない。SRCは、随意であり、オーディオ信号600が、アクチュエーションクロック速度に等しいサンプリングレートでコントローラ50に送達されるのであれば、省略してもよい。SRCはまた、装置全体がその中に埋め込まれる、より大きいシステムの別の部分に実装され得る。
【0167】
計数器530は、再サンプリングされた信号620の範囲を、アクチュエータアレイ100の解像度に整合させ、所望の音を生成するために、任意の所与の時点で、A位置にあるべきアクチュエータ要素の数、または代替として、B位置にあるべき要素の数を直接的に表す、スケーリングされた信号630を生成する。例えば、デジタルオーディオ信号は、16ビット解像度を伴う2の補数形式であり得、よって、その値は、−32768から+32767の間で変動させることができる。一方で、アクチュエータアレイ100の範囲は、それが含むアクチュエータ要素の数に1を足したものに等しい。例えば、32個のRサブセットおよび32個のCサブセットを伴う、すなわち1024個のアクチュエータ要素を含むアクチュエータアレイにおいて、A位置にある移動要素の数は、1025個の異なる値(0〜1024、B位置についても同じ)を取ることができる。アクチュエータアレイの範囲は、典型的に、再サンプリングされた信号の範囲よりも小さく、したがって、スケーリングが用いられる。スケーリングは、典型的に、再サンプリングされた信号を第1の定数で乗算し、第2の定数を加えることによって達成される。上述の例において、第1の定数は、1/64であり得、第2の定数は、512であり得る。計数器は随意であり、再サンプリングされた信号620およびアクチュエータアレイ100の範囲が整合するのであれば、省略してもよい。
【0168】
量子化器540は、スケーリングされた信号630を量子化し、A状態(またはB状態)にある移動要素の数が常時整数であるという事実を考慮する。その出力は、量子化された信号640であり、整数値だけを取る。量子化は、当技術分野でよく知られている。量子化された信号は、例えば、少数部分を切り捨てた、スケーリングされた信号630の切り捨てバージョンであり得る。代替として、量子化器は、装置の性能を高めるために、ディザリングを使用し得る。ディザリングは、当技術分野でよく知られており、とりわけ、アナログ−デジタルおよびデジタル−アナログ変換器で一般的に使用される。ディザリングは、例えば、切り捨ての前に、四角形または三角形確率分布関数(PDF)による疑似ランダム信号を、スケーリングされた信号630に加えることによって達成され得る。量子化器は随意であり、例えば、再サンプリングされた信号620の解像度がアクチュエータアレイ100の解像度未満であれば、省略してもよい。
【0169】
要素セレクタ550は、A位置にあるアクチュエータ要素の数(または代替として、B位置にある要素の数)を、量子化された信号640によって表される数に等しくするか、またはできる限り近づけるために、任意の時点で、量子化された信号640を受信し、該信号から、どの駆動電圧を各Rワイヤ、Aワイヤ、およびBワイヤに印加すべきかを示す、アレイ駆動信号650を決定する。1つ以上の特定のアクチュエータ要素を、それらの2つの端位置の間で移動させるための方法、すなわち、駆動スキームを、
図4〜12を参照して上で説明した。任意の所与の時点での各アクチュエータ要素の状態および量子化された信号に応じて、A位置(またはB位置)における所望の移動要素の数を得る、2つ以上の方法があり得る。したがって、任意の所与の時点でどの特定のアクチュエータ要素を選択するかを決定するために、種々の異なる要素選択方法が用いられ得る。要素選択方法は、
図15〜
図24を参照して下で説明される。
【0170】
高電圧ドライバ560は、いずれの駆動スキームの使用下であっても、駆動信号650の電圧レベルを、アクチュエータアレイ100によって用いられる駆動電圧に変換し、これらの駆動電圧を、Rワイヤ400、Aワイヤ410、およびBワイヤ420に印加する。高電圧ドライバは、例えば、複数の従来のレベルシフト回路として実装され得る。アクチュエータ要素の機械的寸法に応じて、駆動電圧は、数十または数百ボルトの大きさを有し得るが、デジタル電子回路は、典型的に、10ボルトをはるかに下回る供給電圧を使用する。さらに、
図5〜
図12を参照して上で説明した全ての駆動スキームは、少なくとも3つの異なる駆動電圧(例えば、
図10を参照して説明した駆動スキーム8は、AワイヤおよびBワイヤについて+V
Dおよび0、Rワイヤについて−V
Dおよび0)を用いるが、デジタル回路は、概して、2つの異なるレベル(論理的に高い/低い)だけしか使用しない。例えば、駆動スキーム8が使用される場合、要素セレクタ550からの「高」出力および「低」出力は、Rワイヤについて、それぞれ、−V
Dおよび0に変換され、AワイヤおよびBワイヤについて、それぞれ、+V
Dおよび0に変換され得る。したがって、レベルシフトが用いられる。レベルシフト回路は、当技術分野で知られている。
【0171】
低域通過フィルタリング、サンプリングレート変換、およびスケーリングといった機能は、
図14で示される順序で行われる必要はなく、装置の機能に影響を及ぼすことなく、任意の順序で行われ得ることを理解されたい。さらに、
図14の構成要素は、異なる方法で物理的にパーティショニングされ得る。例えば、これらに限定されないが、LPF、SRC、量子化器、および要素セレクタのそれぞれは、汎用マイクロプロセッサもしくはマイクロコントローラ上で、またはデジタル信号プロセッサ(DSP)上で動作するアルゴリズムとして、またはハードワイヤード電子回路として実装され得る。コントローラ50の任意の電子回路形成部分は、1つ以上の集積回路(IC)に集積される場合もあり、または集積されない場合もあり、また、アクチュエータアレイ100とともに、もしくは他のシステム構成要素とともに共通パッケージ化され得、または独立型の構成要素として実装され得る。
【0172】
図15〜
図23は、
図14のもの等の装置の中の要素セレクタで使用され得る、要素選択方法をともに形成するプロセスを示す、簡略フローチャートである。
図15〜
図23の要素選択方法は、上で説明した駆動スキーム8に基づいており、すなわち、移動要素の一方の端位置からもう一方への動きが、2回のアクチュエーションクロックサイクル以内に完了すると仮定している。必要な変更を加えて、他の駆動スキームが基礎として代替的に使用され得ることを認識されたい。
【0173】
図15の方法は、典型的に、例えば下で示されるように好適に順序付けられる、以下のステップのうちのいくつかまたは全てを含む。
ステップ1510:
図13を参照して説明される初期化手順を行い、全てのそれらの異動要素を伴う全てのCサブセットの一部(典型的に、半分)をA位置(「満杯」)に残し、全てのそれらの移動要素を伴う他のCサブセットをB位置(「空」)に残す。初期化手順は、全てのR信号、A信号、およびB信号を「オフ」にした状態で終了する。
ステップ1520:番号dが付けられたRサブセットが存在するように、番号d(例えば、任意の数)を選択する。
ステップ1530:番号eが付けられたCサブセットが空であるように、番号e(例えば、任意の数)を選択する。
ステップ1540:番号fが付けられたRサブセットが存在するように、番号f(例えば、任意の数)を選択する。
ステップ1550:番号gが付けられたCサブセットが満杯であるように、番号g(例えば、任意の数)を選択する。
ステップ1560:現在A位置にある移動要素の数に内部変数Naを初期化する。
ステップ1570:アクチュエーションクロックの1サイクルにつき1度、(例えば、
図16の通りに)メインループを実行する。
【0174】
図16の方法は、典型的に、例えば下で示されるように好適に順序付けられる、以下のステップのうちのいくつかまたは全てを含む。
ステップ1610:要素セレクタの入力信号(所望の物理的作用を生成するためにA位置にあるべき移動要素の数を表す)と、A位置にある要素の実際の数(内部変数Na)との差net_movesを計算する。
ステップ1620:net_movesがゼロの場合は、
図23の方法を行う。
ステップ1630:net_movesが正の場合は、
図17の方法を行う。
ステップ1640:net_movesが負の場合は、
図18の方法を行う。
ステップ1650:次のアクチュエーションクロックサイクルで、ステップ1610に戻る。
【0175】
図17の方法は、典型的に、例えば下で示されるように好適に順序付けられる、以下のステップのうちのいくつかまたは全てを含む。
ステップ1710:最後のアクチュエーションクロックサイクル中に、任意のA信号またはb(e)以外の任意のB信号が「オン」であった場合:
図23を参照されたい。
ステップ1720:最後のアクチュエーションクロックサイクル中に、いかなるA信号も、b(e)以外のいかなるB信号も「オン」でなかった場合、以下の動作のうちのいくつかまたは全てを行う:
A:b(e)を「オン」にし、他の全てのA信号およびB信号を「オフ」にする。
B:以前のアクチュエーションクロックサイクル中にdからd+net_moves−1の間の番号が付けられた任意のR信号が「オン」であった場合:
図18の方法を行う。
C:以前のアクチュエーションクロックサイクル中に、dからd+net_moves−1の間の番号が付けられたいかなるR信号も「オン」でなかった場合:
図19の方法を行う。
ステップ1730:現在「オン」であるR信号の数だけNaをインクリメントする。
ステップ1740:(例えば、
図16の通りに)メインループのステップ1650へジャンプする。
【0176】
図18の方法は、典型的に、例えば下で示されるように好適に順序付けられる、以下のステップのうちのいくつかまたは全てを含む。
ステップ1810:以前のアクチュエーションクロックサイクル中に「オフ」であった、dから最小番号が付けられたR信号まで(最小番号が付けられたR信号を含む)の番号が付けられた全てのR信号を「オン」にする(該当する場合)。
ステップ1820:他の全てのR信号を「オフ」にする。
ステップ1830:現在「オン」であるR信号の数だけdをインクリメントする。
ステップ1840:
図17のステップ1730へジャンプする。
【0177】
図19の方法は、典型的に、例えば下で示されるように好適に順序付けられる、以下のステップのうちのいくつかまたは全てを含む。
ステップ1910:d+net_moves>Nrである場合、以下の動作のうちのいくつかまたは全てを行う:
A:dからNr−1まで(Nr−1を含む)の番号が付けられた全てのR信号を「オン」にする。
B:他の全てのR信号を「オフ」にする。
C:d=0に設定する。
D:e=Nc−1である場合、e=0に設定し、そうでなければeを1だけインクリメントする。
ステップ1920:d+net_moves−1<Nrである場合、以下の動作のうちのいくつかまたは全てを行う:
A:dからd+net_moves−1まで(d+net_moves−1を含む)の番号が付けられた全てのR信号を「オン」にする。
B:他の全てのR信号を「オフ」にする。
C:net_movesだけdをインクリメントする。
ステップ1930:
図17のステップ1730へジャンプする。
【0178】
図20の方法は、典型的に、例えば下で示されるように好適に順序付けられる、以下のステップのうちのいくつかまたは全てを含む。
ステップ2010:最後のアクチュエーションクロックサイクル中に、任意のB信号またはa(g)以外のA信号が「オン」であった場合:
図23の方法を行う。
ステップ2020:最後のアクチュエーションクロックサイクル中に、いかなるB信号も、a(g)以外のいかなるA信号も「オン」でなかった場合、以下の動作のうちのいくつかまたは全てを行う:
A:a(g)を「オン」にし、他の全てのA信号およびB信号を「オフ」にする。
B:以前のアクチュエーションクロックサイクル中に、fからf−net_moves−1の間の番号が付けられたR信号が「オン」であった場合:
図21の方法を行う。
C:以前のアクチュエーションクロックサイクル中に、fからf−net_moves−1の間の番号が付けられたいかなるR信号も「オン」でなかった場合:
図22の方法を行う。
ステップ2030:現在「オン」であるR信号の数だけNaをデクリメントする。
メインループのステップ1650(
図16)へジャンプする。
【0179】
図21の方法は、典型的に、例えば下で示されるように好適に順序付けられる、以下のステップのうちのいくつかまたは全てを含む。
ステップ2110:以前のアクチュエーションクロックサイクル中に「オフ」であった、fから最小番号が付けられたR信号まで(最小番号が付けられたR信号を含む)の番号が付けられた全てのR信号を「オン」にする(該当する場合)。
ステップ2120:他の全てのR信号を「オフ」にする。
ステップ2130:現在「オン」であるR信号の数だけfをインクリメントする。
ステップ2140:
図20のステップ2030へジャンプする。
【0180】
図22の方法は、典型的に、例えば下で示されるように好適に順序付けられる、以下のステップのうちのいくつかまたは全てを含む。
ステップ2210:f−net_moves>Nrである場合:
A:fからNr−1まで(Nr−1を含む)の番号が付けられた全てのR信号を「オン」にする。
B:他の全てのR信号を「オフ」にする。
C:f=0に設定する。
D:g=Nc−1である場合、g=0に設定し、そうでなければgを1だけインクリメントする。
ステップ2220:f−net_moves≦Nrである場合、以下の動作のうちのいくつかまたは全てを行う:
A:fからf−net_moves−1まで(f−net_moves−1を含む)の番号が付けられた全てのR信号を「オン」にする。
B:他の全てのR信号を「オフ」にする。
C:net_movesだけfをインクリメントする。
ステップ2230:
図20のステップ2030へジャンプする。
【0181】
図23の方法は、典型的に、例えば下で示されるように好適に順序付けられる、以下のステップのうちのいくつかまたは全てを含む。
ステップ2310:全てのR信号を「オフ」にする。
ステップ2320:以前のアクチュエーションクロックサイクル中に、Naが変化した場合、以下の動作のうちのいくつかまたは全てを行う:
A:以前のアクチュエーションクロックサイクル中に「オン」であった全てのA信号またはB信号を「オン」のままにする。
B:他の全てのA信号およびB信号を「オフ」にする。
ステップ2330:以前のアクチュエーションクロックサイクル中に、Naが変化しなかった場合、全てのA信号および全てのB信号を「オフ」にする。
ステップ2340:戻る
【0182】
概して、
図15〜
図23の要素選択方法は、アクチュエーションクロックに従ってサンプリングした単一の入力信号を受信し、該入力信号は、例えば
図14の信号640等の量子化器の出力であり得る。Nr個のRサブセットおよびNc個のCサブセットを伴うアクチュエータアレイについて、
図15〜
図23の要素選択方法は、各Rサブセットが、Nc個の移動要素を含み、各CサブセットがNr個の移動要素を含むと仮定している。本方法は、アクチュエータアレイの各Rワイヤに印加されるべき電圧を示す、r0〜r(Nr−1)の番号が付けられたNr個のR信号と、各Aワイヤに印加されるべき電圧を示す、a0〜a(Nc−1)の番号が付けられたNc個のA信号と、各Aワイヤに印加されるべき電圧を示す、b0〜b(Nc−1)の番号が付けられたNc個のB信号とから成る、Nr+2×Nc個の単一ビットアレイ駆動信号を生成する。これらは、例えば、
図14で示されるように高電圧ドライバに送給され得る。これらの信号のそれぞれが、同じ番号のそれぞれのRワイヤ、Aワイヤ、およびBワイヤを制御すると仮定している。信号が「オン」であるときに、それぞれのワイヤに印加される電圧は0Vであり、信号が「オフ」であるときに、その電圧は、−V
D(Rワイヤについて)または+V
D(AワイヤおよびBワイヤについて)である。
【0183】
図15〜
図23の要素選択方法によって制御されるアクチュエータアレイの各アクチュエーションサイクルでA位置にある要素の数は、以下の場合に、本方法の入力信号に密に近似する。
1.eが、決してgに等しくならない(eおよびgは
図15で定義されている)。
2.本方法の入力信号のスルーレートが、アクチュエーションクロックの1サイクルあたりNr/2未満である。
【0184】
eとgとが等しくなった場合、コントローラは、単一のCサブセットのAワイヤおよびBワイヤに0Vを印加し得るが、これは、そのCサブセットの中の移動要素を、もう一方の端位置でラッチさせることなく、一方の端位置から解放させることになるので、駆動スキーム8の下では許容されない。eとgとが等しくなることは、例えば、少なくとも1つのCサブセットが「満杯」である(すなわち、全てのその移動要素がA位置にある)こと、および少なくとも1つのCサブセットが「空」である(全ての移動要素がB位置にある)ことを確実にすることによって防止することができる。
図14で示される装置において、これは、例えば、量子化器出力信号640(すなわち、
図15〜
図23の要素選択方法への入力)の値が常時Nrを超え、かつNr×(Nc−1)未満であるように、計数器530を設計することによって達成され得る。代替として、入力信号を、他の場所で、例えば、
図15〜
図23の要素選択方法の改良バージョン内で制限してもよい。
【0185】
図15〜
図23の要素選択方法のスルーレート制限は、
図15〜
図23の要素選択方法が、同じアクチュエーションクロックサイクルで2つ以上のCサブセット内の移動要素を決して解放しないことから生じる。入力信号が、アクチュエーションクロックの1サイクルあたりNr/2を超えて増大または減少しない限り、A位置にある要素の数は、必ずしもアクチュエーションクロックサイクル毎に入力信号に全く等しいとは限らないが、それでも密に近似する。入力信号がより急速に変化する場合、入力信号とA位置にある要素の数との間の差(以下、「アドレス指定エラー」と称される)が、2回を超えるアクチュエーションクロックサイクルを通じて蓄積される。そのような場合、
図15〜
図23の要素選択方法は、反復2サイクルパターンに入り、1サイクルおきに、移動要素のCサブセット全体が、端位置から解放され、その後に、いかなる移動要素も解放されず、かつ以前に解放された移動要素がラッチされるサイクルが続く。この2サイクルパターンの短いバーストはまた、スルーレートがNr/2未満であるが、それに近い場合にも起こり得る。
【0186】
図15〜
図23の要素選択方法は、各アクチュエーションクロックサイクル中に、少数のステップだけを実行し、少量のメモリだけを用いる。その記憶データは、変数d、e、f、g、Naと、それ自体の出力の以前の値、すなわち、アレイ駆動信号の値r0〜r(Nr−1)、a0〜a(Nc−1)、およびb0〜b(Nc−1)とを含む。
図15〜
図23の要素選択方法は、その情報が内部変数d、e、f、およびgによって暗示されるので、各移動要素の位置を個々に記録しない。
【0187】
上で説明した駆動スキーム1〜7および9〜18等の他の駆動スキームについて、
図15〜
図23の要素選択方法に類似する要素選択方法も考案することができる(駆動スキーム8の論理スーパーセット、例えば駆動スキーム11、15、および17は、そのまま
図15〜
図23の要素選択方法に対応する)ことを認識されたい。そのような類似方法の複雑さは、異なる電圧の数、および駆動スキームで使用されるフェーズの数(k)の関数である。上で説明した駆動スキーム1〜5等の単一フェーズの駆動スキームとともに使用するための類似方法は、1回のアクチュエーションクロックサイクル中に解放される全ての移動要素が、次のアクチュエーションクロックサイクルが始まる前に既にラッチされているので、典型的に、アクチュエーションクロックの1サイクルあたり、
図15〜
図23の要素選択方法よりも少ないステップを実行する。その反対に、例えば4フェーズの駆動スキーム18等のより高速な駆動スキームとともに使用するための類似方法は、典型的に、アクチュエーションクロックの1サイクルあたり、
図15〜
図23の要素選択方法よりも多くのステップを実行する。その理由は、より高速な駆動スキームの下では、1回のアクチュエーションクロックサイクル中の任意の移動要素の解放が、3回のアクチュエーションクロックサイクルの後に、解放された移動要素を反対側の端位置にラッチするための要件を生じさせ、特定のRワイヤ、Aワイヤ、およびBワイヤに対する特定の電圧が必要とされ、それによって、コントローラが利用可能な自由度を低減させるからである。
【0188】
さらに、任意の所与の駆動スキームについて、
図15〜
図23の要素選択方法といかなる類似点も持たない要素選択方法を考案することも可能であることを認識されたい。例えば、「ブルートフォース」方法は、駆動スキームによって許容されるアレイ駆動信号値の可能な組み合わせ毎に、次のクロックサイクルで各移動要素の位置を計算し、生成されたアドレス指定エラー等の基準、および/または所与の用途で関連し得る他の基準に従って、アレイ駆動信号値の最適な組み合わせを選択し得る。
【0189】
図24は、
図2および
図4で示されるアクチュエータアレイに類似して、8個のRサブセットおよび8個のCサブセットにパーティショニングされた、64個アクチュエータ要素を備える、本発明の特定の実施形態に従うアクチュエータアレイの簡略表現図である。Rワイヤは、R0からR7にラベル付けされ、Aワイヤは、A0からA7にラベル付けされ、Bワイヤは、B0からB7にラベル付けされている。各四角は、1つのアクチュエータ要素を表す。
【0190】
図24において、アクチュエータ要素は、下の式に従って番号が付けられ、
要素番号=Rサブセットの数×Cサブセット番号+Rサブセット番号
図24では、16進表記でラベル付けされている。
図24で陰影を付け、16から2Bまでの番号を付けた22個の移動要素は、A位置にあり、
図24で陰影を付けていない残りの移動要素は、B位置にある。
【0191】
これは、
図15〜
図23の要素選択方法によって制御されるアクチュエータアレイの典型的な状況である。この実施例において、
図15〜
図23の要素選択方法の内部変数の値は、下の通りである:
● Na=22
● d=4
● e=5
● f=6
● g=2
図24から、A位置にある一組の移動要素(以下、「A組」と称される)の番号が、(
図24に従って16進表記で)16から2Bまでの連続シーケンスを形成することが分かる。同様に、B位置にある一組の移動要素(以下、「B組」と称される)の番号も、2Cから15までの連続シーケンスを形成し、3F(最も高い番号が付けられた移動要素)から循環して00に戻る。
図15〜
図23の要素選択方法は、A組およびB組がどちらも、最も高い番号が付けられた移動要素から最も低い番号が付けられた番号まで循環する(以下、「連続循環シーケンス」と称される)場合もあり、またはそうでない場合もある、そのような連続シーケンスを常時形成するという、特性を有する。
図15〜
図23の要素選択方法は、この特性に依存して、Nr×Ncマトリクスデータ構造を用いることなく、移動要素の位置を記録する。
【0192】
図24の状況において、
図15〜
図23の要素選択方法への入力値が増大した場合、B位置から解放されるべき次の移動要素は、それらの番号付けに従って昇順で、2C、2D、2E等である。同様に、
図15〜
図23の要素選択方法への入力値が減少した場合、A位置から解放されるべき次の移動要素は、それらの番号付けに従って昇順で、16、17、18等である。特定の応用例では、
図15〜
図23の要素選択方法の場合のように、要素選択方法が常時同じ順序で移動要素を解放することが望ましくない場合がある。その理由の1つは、不整合エラーに起因する不整合ノイズ、すなわち、各移動要素によって生成される物理的作用の大きさの差であり、これは、例えば、製造許容差に起因し得、またはそれらの製造後のある時点で、移動要素が機械的に損傷を受けることに起因し得る。移動要素が常時同じ順序で解放される場合、(入力信号に応じた)そのような不整合ノイズのスペクトルは、不整合ノイズエネルギーが、入力信号に含まれない特定の周波数に集中するようなものであり得る。この現象は、シグマ−デルタデジタル−アナログ変換器でよく知られており、そのようなデジタル−アナログ変換器によって再生される可聴音に、入力信号には存在しない可聴音を含ませ得る。例えば、音声用途において不整合ノイズを聞き取り難くするか、さらには聞こえなくするように、不整合ノイズの周波数スペクトルをシェーピングするための種々の方法が当技術分野で知られている。一般的に「データ加重平均化」(DWA)と称される1つのそのような方法は、周波数スペクトル全体にわたってほぼ均等に不整合ノイズエネルギーを分配、すなわち、それを「白色化」する。本発明の特定の実施形態に従う要素選択方法は、アクチュエーションクロックサイクルで、A位置から2×net_moves個の移動要素を解放し、B位置からnet_moves個の移動要素を解放し(net_movesは、正である)、そして、アクチュエーションクロックサイクルで、B位置から2×net_moves個の移動要素を解放し、A位置からnet_moves個の移動要素を解放することによって(net_movesは、正である)、DWAを実装し得る。しかしながら、典型的に従来のデジタル−アナログ変換器の場合のように、各電気的接続部を1つの特定の要素専用とするのではなく、典型的に電気的接続部をアクチュエータアレイの中のアクチュエータ要素の間で共有するという事実から、DWAを実装した当該の要素選択方法は、複雑であり得(すなわち、各アクチュエーションクロックサイクルで多数のステップを実行し得)、および/または当該の要素選択方法によって制御されるアクチュエータアレイにおいて、各アクチュエーションサイクルでA位置にある要素の数は、DWAを実装していない要素選択方法によるものほど本方法の入力信号に密に近似し得ない。
【0193】
ここで、
図15〜
図23の要素選択方法および
図15〜
図23の要素選択方法に基づく方法とともに直接的に使用することができる、不整合ノイズの周波数スペクトルを「白色化」するための方法を説明する。
図15〜
図23の方法は、R信号r0〜r(Nr−1)、A信号a0〜a(Nc−1)、およびB信号b0〜b(Nc−1)のそれぞれが、アクチュエータアレイのそれぞれのRワイヤ、Aワイヤ、またはBワイヤを制御すると仮定している。しかしながら、例えば、R信号r4がR4以外のRワイヤを制御するように、またはA信号a0およびB信号b0が、それぞれ、A0以外のAワイヤおよびB0以外のBワイヤを制御するように、これらの割り当てが変更された場合、
図15〜
図23の要素選択方法が移動要素を解放する順序が変わる。繰り返して(例えば、アクチュエーションクロックの1サイクルあたり1度)Rワイヤ、Aワイヤ、およびBワイヤに対するアレイ駆動信号のそのような割り当てを変えさせることによって、移動要素が解放される順序が擬似ランダムになり、したがって、周波数スペクトル全体にわたってより均一に不整合ノイズエネルギーを分配する。
【0194】
以下の例において、R’(i)は、R信号r(i)によって現在制御されているRワイヤを示し、A’(i)は、A信号a(i)によって現在制御されているAワイヤを示し、B’(i)は、B信号b(i)によって現在制御されているBワイヤを示す。
図24で表される状況において、R信号r4およびr5は、アクチュエータアレイの中のいかなる移動要素の位置にも影響を及ぼすことなく、r4がR’5(この場合には、R5)を制御し、r5がR’4(この場合には、R4)を制御するように交換され得る。r4およびr5を交換した後に、B位置から解放される次の移動要素は2Dであるが、交換する前は、2Cであった。同様に、r6およびr7は、r6がR’7を制御し、r7がR’6を制御するように交換され得、その結果、移動要素16ではなく17が、A位置から解放されるべき次の移動要素になる。R信号r0〜r3のいずれか2つも、アクチュエータアレイの中のいかなる移動要素の位置にも影響を及ぼすことなく、交換され得る。全体として、
図24で表される状況では、任意のメンバーを任意の他のメンバーと交換することができる、3組のR信号、すなわち、{r0,r1,r2,r3}、{r4,r5}、および{r6,r7}がある。しかしながら、これらの組の1つからの任意のR信号を、別の組からの任意のR信号と交換することは、
図15〜
図23の要素選択方法の動作を阻害し得、その結果、もはや所望の物理的作用を生成しない装置をもたらす。A信号およびB信号は、類似して交換され得る。例えば、
図24で表される状況において、A信号a6およびa1は、a6がA’1(この場合には、A1)を制御し、a1がA’6(この場合には、A6)を制御するように、出力割り当て変えることによって交換され得る。2つのA信号が交換されるときには常に、それぞれのB信号も交換され、例えば上で説明した場合では、b6がB’1(この場合には、B1)を制御し、b1がB’6(この場合には、B6)を制御するように、出力割り当てが変えられる。この交換の後、Cサブセット5が満杯になった後に、将来のアクチュエーションクロックサイクルでB位置から解放されるべき次の要素は、Cサブセット6の中の移動要素30ではなく、Cサブセット1の中の移動要素08である。A信号は、B信号と交換されない、すなわち、A信号は、常時Aワイヤを制御し、B信号は、常時Bワイヤを制御する。
図24で表される状況において、そのメンバーが、
図15〜
図23の要素選択方法の動作を阻害することなく、互いに交換され得る、2組のA信号、すなわち、{a0,a1,a6,a7}および{a3,a4}があり、B信号についても同様である。a2、a5、b2、またはb5のいずれも、
図15〜
図23の要素選択方法の動作を阻害することなく、任意の他のCサブセットと交換することはできない。
【0195】
上の例における{r0,r1,r2,r3}の組等の、交換され得る2つを超えるR信号の組について、本発明の特定の実施形態に従うコントローラは、例えば擬似ランダム数発生器を使用して、交換すべき1対のR信号を選択し得る。代替として、R’0、R’1、R’2、およびR’3に対するr0、r1、r2、およびr3の割り当ては、r0、r1、r2、およびr3のそれぞれが、RワイヤR’0、R’1、R’2、およびR’3のうちの厳密に1つを制御するように、任意の他の方法によってスクランブルしてもよい。同様に、上の例において、コントローラは、{a0,a1,a6,a7}の組の中の任意の一対のA信号、および交換するためそれぞれの対のB信号を選択し得、またはa0、a1、a6、およびa7のそれぞれがAワイヤA0、A’1、A’6、およびA’7のうちの厳密に1つを制御し、かつそれぞれのB出力がそれぞれのBワイヤを制御するように、出力割り当てを変え得る。
【0196】
典型的に、任意の2つのR信号r(i)およびr(j)は、全てのm(0≦m<Nc)について、RワイヤR’(i)のRサブセットとCサブセットmとの交差点にある移動要素が、R’(j)のサブセットとCサブセットmとの交差点にある移動要素と同じ位置にあり、かつ(運動中であれば)同じ方向に移動している場合に、交換され得る。
【0197】
典型的に、任意の2つのA信号a(i)およびa(j)ならびにそれぞれのB信号b(i)およびb(j)は、全てのm(0≦m<Nc)について、RサブセットmとAワイヤA’(i)およびBワイヤB’(i)のCサブセットとの交差点にある移動要素が、RサブセットmとA’(j)およびB’(j)のCサブセットとの交差点にある移動要素と同じ位置にあり、かつ(運動中であれば)同じ方向に移動している場合に、交換され得る。
【0198】
図15〜
図23の要素選択方法によれば、大部分のCサブセットは、任意の所与のクロックサイクル中に、満杯であるか、または空である。その結果、
図15〜
図23の要素選択方法を使用した場合、任意の2つのA信号a(i)およびa(j)ならびにそれぞれのB信号b(i)およびb(j)は、(括弧を使用して、論理演算子の優先順位を示したときに)(e<i<gかつe<j<g)または((i>eもしくはi<g)かつ(j>eもしくはj<g))のいずれかである場合に、交換され得る。
【0199】
ここで、アドレス指定エラーを低減し、かつ過渡応答を改善する(例えば、コントローラが、各アクチュエーションクロックサイクルで、より多数の移動要素を解放することを可能にする)ための、
図15〜
図23の要素選択方法に対する改良点を説明する。
図24において、
図15〜
図23の要素選択方法が、現在のアクチュエーションクロックサイクル中にA位置から解放することができる、移動要素の最大数は、2個(
図24で、16および17の番号が付けられた要素)である。したがって、net_movesが2を超えた場合、現在のアクチュエーションクロックサイクル中のアドレス指定エラーは、非ゼロとなる。同様に、
図15〜
図23の要素選択方法が、
図24の状況で単一のアクチュエーションクロックサイクル中に、B位置から解放することができる、移動要素の最大数は、4個(
図24で、2C〜2Fの番号が付けられた要素)であり、したがって、−4未満のnet_moves値も、(net_moves>2の場合と比較して、逆の極性である)非ゼロのアドレス指定エラーを生成することになる。これらの場合、アドレス指定エラーは、
図15〜
図23の要素選択方法が、同じアクチュエーションクロックサイクルで、2つ以上のCサブセット内のいかなる移動要素も解放しない、という事実の直接的な結果である。そのような場合には、単一のアクチュエーションサイクル中に、2つ以上のCサブセット内の移動要素を解放することを可能にするように、
図15〜
図23の要素選択方法の改良バージョンを使用することによって、アドレス指定エラーが排除され得る。例えば、net_moves=6である場合、厳密に6個の移動要素は、次のCサブセットにスキップし、B6および任意の6個のRワイヤに0Vを印加することによって、またはR2〜R5、B5、およびB6に0Vを印加することによって(8個の移動要素を選択するが、移動要素2Aおよび2Bが既にA位置にあるという事実を利用する)、B位置から解放され得る。代替として、R4〜R7、A2、B5、およびB6に0Vを印加し、それによって、B位置から8個の移動要素(2C〜2F、および34〜37)を解放し、同時にA位置から2個の移動要素(16および17)を解放することによって、同じ物理的作用を達成してもよい。しかしながら、R0、R1、R4〜R7、B5、およびB6に0Vを印加すると、6個ではなく10個の移動要素(2C〜31、および34〜37)が解放されるので、異なる物理的作用を生成し得ることに留意されたい。上で説明した可能な解決策のそれぞれは、もはや連続循環シーケンス形成しないように、A組の連続性を壊す。その結果、これらの状況におけるアドレス指定エラーを排除する要素選択方法は、典型的に、
図15〜
図23の要素選択方法よりも複雑である。そのような方法は、例えば、A組およびB組をS個の連続循環シーケンスに分割し、
図15〜
図23の要素選択方法のd、e、f、およびgに類似した4×S個の内部変数を用いて、各連続循環シーケンスを記録し得る。代替として、連続循環シーケンスの数を、アドレス指定エラーを最小化するという必要に応じて経時的に変動させてもよく、または、いかなる連続循環シーケンスにも関係なく、各アクチュエータ要素の位置を記録する、要素選択方法を考案してもよい。
【0200】
アドレス指定エラーが、特定の要素選択方法の限度に起因せず、むしろ、使用される要素選択方法に関係なく不可避である状況も起こり得ることを認識されたい。例えば、
図24のアクチュエータアレイにおいて、全ての移動要素がA位置にある場合、単一のアクチュエーションクロックサイクル中に、厳密に11個の移動要素を解放することができない。概して、アクチュエータアレイがNr個のRサブセットおよびNc個のCサブセットを有する場合、PをNrおよびNcの双方よりも大きい素数とすれば、厳密にP個の移動要素を解放することができない。
【0201】
図25は、例えば
図24を参照して説明したように、以下のアレイ駆動信号が交換された後の、
図24のアクチュエータアレイを示す。
● R信号r4およびr5
● R信号r6およびr7
● A信号a1およびa6
● B信号b1およびb6
【0202】
全ての移動要素は、
図24と同じ位置にある。しかしながら、
図25において、B位置から解放されるべき次の6個の移動要素は、2D、2C、2F、2E、08、および09(の順序で)あるが、
図24において、B位置から解放されるべき次の6個の移動要素は、2C、2D、2E、2F、30、および31である。
【0203】
図24では、0≦i<Nrである全てのiについて、R’(i)がR(i)であり、0≦j<Ncである全てのjについて、A’(j)がA(j)であり、B’(j)がB(j)であるが、これはもはや
図25の事例ではない。アレイ駆動信号が、アクチュエーションクロックサイクル毎に周期的に交換されるときに、Rワイヤ、Aワイヤ、およびBワイヤに対するアレイ駆動信号の割り当ては、疑似ランダムになる。
【0204】
図26は、
図24と比較して異なる位置にある多数の移動要素を伴う、
図24のアクチュエータアレイを示す。
【0205】
図24と異なり、
図26の各四角の中の番号は、現在それを制御しているアレイ駆動信号に関して定義される、各移動要素の仮想要素番号である。
仮想要素番号=Nr×A信号番号+R信号番号
【0206】
図26から、A組の要素番号は、
図24を参照して説明したように、連続循環シーケンスを形成しないが、A組の仮想要素番号は、連続循環シーケンスを形成することが分かる。さらに、
図26のA組の仮想要素番号は、
図24と同じである。その結果、
図15〜
図23の要素選択方法の全ての内部変数(
図15〜
図23を参照して上で説明した、d、e、f、およびg)は、
図26の状況、および
図24の状況において同じ値を有する。実際には、
図15〜
図23の要素選択方法の動作に関する限り、2つの状況は同一である。
【0207】
図27は、コントローラ50と、アクチュエータアレイ100とを備える、本発明の特定の実施形態に従う装置の簡略ブロック図である。コントローラ50は、要素セレクタ550と、高電圧ドライバ560とを含み、その機能は、
図14を参照して上で説明している。アドレス指定エラーの非存在下で、A位置にあるアクチュエータアレイ100内の移動要素の番号は、要素セレクタ550の入力信号601によって表される番号に等しい。ノイズシェーピングループ60は、内部に要素セレクタ550が配置され、また、ループフィルタ553、2つの加算器541および552、ならびにインバータ(すなわち、−1によるデジタル乗算)551も備える。要素セレクタ550は、実際にA位置にある移動要素の番号を表すさらなる信号651を発生させる(信号601と対照的に、所望の物理的作用を生成するためにA位置にあるべき移動要素の番号を表す)。加算器552およびインバータ551は、要素セレクタ550の入力信号601からこの信号を減じ、要素セレクタ550によって導入されるアドレス指定エラーを表す、エラー信号653を発生させる。ループフィルタ553は、エラー信号652をフィルタ処理し、結果として生じるフィルタ処理したエラー信号653は、ループ入力信号600に加えられて、要素セレクタ550のための入力信号601を発生させる。
【0208】
アドレス指定エラーが入力信号600と相関していないと仮定すれば、ループの信号伝達関数(STF)は、1つであり、一方で、そのノイズ伝達関数(NTF)は、以下によって与えられる:
NTF =1−H
e[z]
ここで、H
e[z]は、zドメインの中のループフィルタ61のインパルス応答である。好適なH
e[z]を伴うループフィルタを設計することで、関心の周波数帯域内で高利得(「帯域内利得」)を有し、この周波数帯域外で低利得(「帯域外利得」)を有する、NTFを得ることができる。その結果、(アドレス指定エラーに起因する)アドレス指定ノイズの周波数スペクトルは、アクチュエータアレイ100によって生成される物理的作用が、ノイズシェーピングループ60を伴わないものによる結果よりも少ない、関心の周波数帯域内のアドレス指定ノイズを含むように成形される。
【0209】
例えばデジタル−アナログ変換器(DAC)およびアナログ−デジタル変換器(ADC)で、量子化ノイズの周波数スペクトルをシェーピングするための類似したノイズシェーピングループは、当技術分野で知られており、一般的に、「シグマ−デルタ変調器」および「デルタ−シグマ変調器」と称される。従来のシグマ−デルタ変調器のためのループフィルタを設計するための方法は、当技術分野で知られている。
【0210】
従来のシグマ−デルタ変調器および本発明の特定の実施形態に従うアドレス指定ノイズシェーピングループの双方におけるループフィルタの設計目標は、典型的に、所望のNTFを得ることと、ノイズシェーピングループが、無条件で安定である(すなわち、一般に望ましくない、入力信号の中に存在しない振動を生成しない)こと、または特定の条件下で安定であることを確実にすることとを含む。ループフィルタのインパルス応答の関数としてNTFを予測するための、または、所望のNTFに近似するループフィルタ応答を見つけ出すための従来の方法も、本発明の特定の実施形態に従うアドレス指定ノイズシェーピングループに使用され得る。
【0211】
しかしながら、従来のシグマ−デルタ変調器が安定かどうかを予測するための、または安定性を確実にするループフィルタのインパルス応答を選択するための従来の方法は、必ずしも本発明の特定の実施形態に従うアドレス指定ノイズシェーピングループに好適であるとは限らない。本発明の特定の実施形態に従うアドレス指定ノイズシェーピングループの安定性は、使用される要素選択方法に依存する。例えば、
図15〜
図23を参照して上で説明した
図15〜
図23の要素選択方法は、入力信号が高いスルーレートを有する場合に、反復2サイクルパターンに入り、アクチュエーションクロック周波数の半分の振動を生成する。アドレス指定ノイズシェーピングループを加えることは、ノイズシェーピングループを伴わない類似した装置よりも長く、当該の振動を持続させる。その結果、要素セレクタが
図15〜
図23の要素選択方法を使用するアドレス指定ノイズシェーピングループは、比較的容易に不安定になる。
図24を参照して説明した
図15〜
図23の要素選択方法に関する変形例等の、他の要素選択方法によれば、ループは、より広い範囲の入力信号に対して安定した状態を維持する。
【0212】
さらに、本発明に従うアドレス指定ノイズシェーピングループの安定性はまた、アドレス指定エラーと入力信号との間の相関の程度にも依存し得る。上で述べたように、本発明の特定の実施形態に従うアドレス指定ノイズシェーピングループは、いかなるそのような相関もないと仮定している。同様に、従来のシグマ−デルタ変調器は、量子化エラーが入力信号と相関していないという仮定に依存する。実際には、どちらのタイプのエラーも、典型的に、入力信号とのある程度の相関を呈する。従来のシグマ−デルタ変調器および本発明の特定の実施形態に従うアドレス指定ノイズシェーピングループはどちらも、それぞれの相関が、無視できる程度に低いと仮定している。しかしながら、使用される要素選択方法に応じて、本発明の特定の実施形態に従うアドレス指定ノイズシェーピングループにおけるアドレス指定エラーと入力信号との間の相関の程度は、従来のシグマ−デルタ変調器における量子化ノイズと入力信号との間の相関よりも高くなり得る。
【0213】
概して、本発明の特定の実施形態に従うアドレス指定ノイズシェーピングループの安定性は、使用されるループフィルタのインパルス応答および要素選択方法の双方に依存する。特定の入力信号について、ループの安定性は、例えばMATLAB等のソフトウェアパッケージで、ノイズシェーピングループ全体をシミュレーションすることによって検査され得る。所与の要素選択方法について、ループは、ループフィルタ553が短い滑らかなインパルス応答を有する場合に、安定する可能性がより高い。例えば、ループフィルタ553が、zドメインにおいて、b0+b1z^−1+b2z^−2+b3z^−3+...+b(n)z^−nとして与えられる伝達関数を伴う有限インパルス応答(FIR)フィルタである場合、ループは、nが低く、かつ0≦i<nについて|b(i)−b(i+1)|が低ければ、安定する可能性がより高い。一例として、本発明の特定の実施形態に従うアドレス指定ノイズシェーピングループは、0.5z^−1+0.5z^−2のインパルス応答を伴うループフィルタを使用したときに、特定の入力信号について安定であり得、また、z^−1+0z^−2のインパルス応答を伴うループフィルタを使用したときに、同じ入力信号について不安定であり得る。
【0214】
ノイズシェーピングループの種々の異なるトポロジは、当技術分野で知られている。
図27の実施例は、「エラーフィードバック」として知られているトポロジを示しているが、これは単なる一例に過ぎず、任意の他のループトポロジが使用され得る。当技術分野で知られているノイズシェーピングループトポロジとしては、フィードバック、カスケード、およびマルチステージトポロジの代わりに、またはそれに加えてフィードフォワードを使用する、「単一フィードバック」トポロジが挙げられるが、これに限定されない。
【0215】
図27は、ノイズシェーピングループ60が、少なくとも1つのアクチュエーションクロックサイクルの遅延を含むと仮定している。例えば、エラー信号653がまだ遅延を含んでおらず、かつループフィルタ553が、zドメインにおいて、b0+b1z^−1+b2z^−2+b3z^−3+...+b(n)z^−nとして与えられる伝達関数を伴う有限インパルス応答(FIR)フィルタである場合、b0は、典型的にゼロである。代替として、遅延は、要素セレクタ550、インバータ551、および/または加算器552のうちのいくつかまたは全てから派生した当然の副産物、またはこれらに対する意図的な付加物であり得る。
【0216】
ループフィルタ、およびしたがってNTFは、任意の順序であり得、低域通過、帯域通過、または高域通過等の任意の特性を有し得る。
【0217】
信号伝達関数(STF)は、1つであり得る。代替として、用途に応じて、非平坦な周波数応答を伴うSTFが望ましくなり得、および/またはその作用は、非平坦な周波数応答を伴う他のシステム構成要素によって相殺され得る。非平坦なSTFを伴うノイズシェーピングループのアーキテクチャは、当技術分野でよく知られている。
【0218】
図27以降に記載の全ての本文において、「A位置」という語句は、装置の動作を根本的に変化させることなく、「B位置」と置き換えられ得る。
【0219】
本発明の特定の実施形態に従うコントローラは、例えば
図14を参照して説明される低域通過フィルタ、サンプリングレートコンバータ、計数器、および量子化器のうちの1つ以上と併せて、
図27以降の図で示される、ノイズシェーピングループを含み得る。
【0220】
図28は、
図27の実施形態に類似しているが、量子化ノイズならびにアドレス指定ノイズに印加されるノイズシェーピングを伴う、本発明の別の実施形態の簡略ブロック図である。本発明の範囲内の量子化器の使用は、
図14を参照して上で説明した。量子化ノイズまたは量子化エラーは、量子化器の入力とその出力との間の差を指す。
図28において、(
図27のエラー信号653がアドレス指定エラーだけしか表さないのに対して)エラー信号658は、量子化エラーおよびアドレス指定エラーの合計を表し、したがって、ノイズシェーピングループ60のノイズ伝達関数(NTF)が、(
図27にあるようなアドレス指定ノイズだけのものとは対照的に)量子化ノイズおよびアドレス指定ノイズに適用される。その結果、入力信号70は、より正確に再生することができ、および/またはアクチュエータ要素の数を、量子化ノイズシェーピングを行うことなく可能となる数よりも少なくすることができる。
【0221】
図29は、本発明のさらなる実施形態の簡略ブロック図である。
図27および
図28のように、装置は、コントローラ50とアクチュエータアレイ100とを含み、コントローラ50は、ノイズシェーピングループ60を特徴とする。ノイズシェーピングは、量子化ノイズおよびアドレス指定ノイズに適用される。しかしながら、単一のループフィルタが双方のタイプのノイズに使用される
図28とは対照的に、
図29では、2つのタイプのノイズが別々に処理される。加算器542およびインバータ541はともに、量子化器の入力信号603からの量子化された信号640を減じ、それによって、量子化エラーを表す信号642を生成する。この信号は、第1のループフィルタ543によってフィルタ処理されて、フィルタ処理された量子化ノイズ信号643を生成し、加算器535によって入力信号600に加えられる。同様に、加算器552およびインバータ551はともに、量子化された信号640によって表される、A位置にある所望の移動要素の数から、信号651によって表される、A位置にある実際の移動要素の数を減じ、アドレス指定エラーを表す信号652を生成する。この信号は、第2のループフィルタ553によってフィルタ処理されて、フィルタ処理されたアドレス指定ノイズ信号653を生成し、フィルタ処理された量子化ノイズ信号643とともに、入力信号600に加えられる。
【0222】
アドレス指定ノイズの特性は、以下の状況のいずれかまたは全てにおいて、量子化ノイズの特性と異なり得る。
● アドレス指定ノイズは、量子化ノイズよりも高いピーク振幅を有し得、狭い範囲の値(典型的に、ディザーによるものよりも広くなり得るが、量子化器がディザリングを使用しない場合、±0.5の最下位ビット)に制限される。
● これらのタイプのノイズのスペクトルは、異なり得る。例えば、量子化ノイズは、
図14を参照して説明されるように、三角形確率関数によるディザーを使用することによって、量子化器においてシェーピングされ得る。これは、ノイズシェーピングループに入る前に、信号の中の主に高周波に既に集中させた、量子化ノイズエネルギーをもたらす。この手法は、当技術分野、例えばデルタ−シグマデータ変換器の分野でよく知られている。同じ手法をアドレス指定ノイズに適用すると、
図27を参照して説明したように、アドレス指定ノイズシェーピングループを不安定にし得、したがって、望ましくない場合がある。
●
図27を参照して説明されるように、アドレス指定ノイズは、量子化ノイズよりも高い程度で入力信号70との相関を呈し得、したがって、より長くあまり滑らかでないインパルス応答が提供され得る量子化ノイズとは対照的に、短く滑らかなインパルス応答を伴うループフィルタが、ループの安定性を維持するために提供され得る。
【0223】
量子化ノイズおよびアドレス指定ノイズについて、それぞれ、2つの別個のループフィルタ543および553の使用は、例えば、ループフィルタ543について比較的長いインパルス応答を伴う有限インパルス応答(FIR)フィルタを使用して、量子化ノイズの積極的なシェーピングを組み合わせることを可能にし、また、例えば、ループフィルタ553についてより短いインパルス応答を伴うFIRを使用して、アドレス指定ノイズのより保守的なシェーピングを組み合わせることを可能にする。より一般的には、各ノイズのタイプが用途の要求を満たすように、異なるNTFを実装することができる。
【0224】
本明細書で図示および説明される個々のアドレス指定方法および装置は、特に両面静電アクチュエータのアレイに有用である。本明細書で図示および説明されるノイズ低減方法および装置は、本明細書で図示および説明されるアレイ等が挙げられるが、これに限定されない、多種多様なアレイで有用である。
【0225】
別々の実施形態に照らして説明される本発明の特徴はまた、単一の実施形態において組み合わせて提供され得る。その反対に、簡潔さのために単一の実施形態に照らしてまたは特定の順序で説明される方法ステップを含む本発明の特徴は、別々に、または任意の好適な部分的組み合わせ、もしくは異なる順序で提供され得る。
【0226】
コンピュータ制御のセンサ、出力デバイスもしくはディスプレイ、プロセッサ、データストレージ、およびネットワークのいずれかまたは全ては、必要に応じて、本明細書で図示および説明される方法および装置のいずれかを実装するために使用され得る。
【0227】
「必須の」、「所要の」、「必要である」、および「しなければならい」等の用語は、明確にするために、本明細書で説明される特定の実装または用途の文脈の範囲内で行われる実装の選択を指すが、代替の実装において、同じ要素は、必須ではない、および不要である場合があり、または完全に排除される場合さえあり得るので、限定することを意図したものではないことを認識されたい。
【0228】
プログラムおよびデータを含む、本発明のソフトウェア構成要素は、所望であれば、CD−ROM、EPROM、およびEEPROMを含む、ROM(読み出し専用メモリ)の形態で実装され得、または種々の種類のディスク、種々の種類のカード、およびRAM等が挙げられるが、これらに限定されない、任意の他の好適な、典型的に、非一時的なコンピュータが読み出し可能な媒体に記憶され得ることを認識されたい。ソフトウェアとして本明細書で説明される構成要素は、代替として、所望であれば従来の手法を使用して、ハードウェアに全体的または部分的に実装され得る。その反対に、ハードウェアとして本明細書で説明される構成要素は、代替として、所望であれば従来の手法を使用して、ソフトウェアに全体的または部分的に実装され得る。
【0229】
本発明の範囲には、とりわけ、任意の好適な順序で、本明細書で図示および説明される方法のいずれかのステップのいずれかまたは全てを行うための、コンピュータが読み出し可能な命令を担持する電磁信号と、任意の好適な順序で、本明細書で図示および説明される方法のいずれかのステップのいずれかまたは全てを行うための、機械が読み出し可能な命令と、任意の好適な順序で、本明細書で図示および説明される方法のいずれかのステップのいずれかまたは全てを行うために、機械が実行可能な命令のプログラムを実体的に具現化する、機械が読み出し可能なプログラム記憶デバイスと、任意の好適な順序で、本明細書で図示および説明される方法のいずれかのステップのいずれかまたは全てを行うための、その中に組み込まれる、実行可能コード等のコンピュータが読み出し可能なプログラムコードを有する、および/またはコンピュータが読み出し可能なプログラムコードを含む、コンピュータが使用可能な媒体を備える、コンピュータプログラム製品と、任意の好適な順序で行った時に、本明細書で図示および説明される方法のいずれかのステップのいずれかまたは全てによってもたらされる、任意の技術的効果と、任意の好適な順序で、本明細書で図示および説明される方法のいずれかのステップのいずれかまたは全てを単独で、または組み合わせて行うようにプログラムされる、任意の適切な装置もしくはデバイス、またはそれらの組み合わせと、それぞれが、プロセッサ、および協働する入力デバイス、ならびに/または出力デバイスを含み、本明細書で図示および説明される任意のステップをソフトウェアで行うように動作する、電子デバイスと、任意の好適な順序で、本明細書で図示および説明される方法のいずれかのステップのいずれかまたは全てを実行するように、コンピュータまたは他のデバイスを構成させる、ディスクまたはハードドライブ等の情報記憶デバイスまたは物理レコードと、ダウンロードされる前またはされた後に、例えばメモリ内、またはインターネット等の情報ネットワーク上に予め記憶されるプログラムであって、任意の好適な順序で、本明細書で図示および説明される方法のいずれかのステップのいずれかまたは全て、そのようにアップロードまたはダウンロードする方法、ならびにそのように使用するためのサーバ(単数または複数)および/またはクライアント(単数または複数)を含むシステムを具現化する、プログラムと、単独で、またはソフトウェアと連動して、任意の好適な順序で、本明細書で図示および説明される方法のいずれかのステップのいずれかまたは全てを行う、ハードウェアと、を含む。本明細書で説明される任意のコンピュータが読み出し可能な、または機械が読み出し可能な媒体は、非一時的なコンピュータが読み出し可能な、または機械が読み出し可能な媒体を含むことを意図している。
【0230】
本明細書で説明される任意の計算または他の形態の分析は、好適なコンピュータ化された方法によって行われ得る。本明細書で説明される任意のステップは、コンピュータに実装され得る。本明細書で図示および説明される本発明は、(a)本明細書で説明される課題のいずれか、またはその目的のいずれかに対する解答を特定するために、コンピュータ化された方法を使用することであって、該解答は、随意に、本明細書で説明される課題または目的に肯定的な様式で影響を与える、本明細書で説明される決定、動作、製品、サービス、または任意の他の情報のうちの少なくとも1つを含む、コンピュータ化された方法を使用することと、(b)解答を出力することと、を含み得る。
【0231】
本発明の範囲は、本明細書で具体的に説明される構造および機能に限定されず、また、本明細書で説明される構造を得るための、または機能を行うための能力を有するデバイスも含むことを意図しており、よって、デバイスのユーザが該能力を使用し得ない場合であっても、そのように所望する場合には、デバイスを修正して該構造または機能を得ることができる。
【0232】
別々の実施形態に照らして説明される本発明の特徴はまた、単一の実施形態において組み合わせて提供され得る。
【0233】
その反対に、簡潔にするために、単一の実施形態に照らしてまたは特定の順序で説明される方法ステップを含む本発明の特徴は、別々に、もしくは任意の好適な部分的組み合わせで、または異なる順序で提供され得、「例えば(e.g.)」は、本明細書で、限定することを意図しない特定の実施例の意味で使用される。図面のいずれかにおいて連結されて示されるデバイス、装置、またはシステムは、実際には、特定の実施形態において単一のプラットフォームに統合され得、または光ファイバー、イーサネット、無線LAN、HomePNA、電力線通信、携帯電話、PDA、ブラックベリーGPRS、GPSを含む衛星、または他の移動体配信等が挙げられるが、これらに限定されない、任意の適切な有線または無線連結を介して連結され得る。本明細書で図示および説明される説明および図面において、システムおよびそのサブユニットとして説明または例示される機能は、その中の方法およびステップとして提供することもでき、また、その中の方法およびステップとして説明または例示される機能は、システムおよびそのサブユニットとして提供することもできることを認識されたい。図中の種々の要素を例示するために使用される尺度は、提示を明確にするために単に例示的および/または適切なものに過ぎず、限定することを意図するものではない。