(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5871350
(24)【登録日】2016年1月22日
(45)【発行日】2016年3月1日
(54)【発明の名称】扉用施錠装置および電子機器
(51)【国際特許分類】
E05B 63/14 20060101AFI20160216BHJP
E05B 65/02 20060101ALI20160216BHJP
E05B 65/06 20060101ALI20160216BHJP
E05C 7/04 20060101ALI20160216BHJP
【FI】
E05B63/14 C
E05B63/14 E
E05B65/02 D
E05B65/06 A
E05C7/04
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-105727(P2015-105727)
(22)【出願日】2015年5月25日
(62)【分割の表示】特願2013-139379(P2013-139379)の分割
【原出願日】2013年7月3日
(65)【公開番号】特開2015-166551(P2015-166551A)
(43)【公開日】2015年9月24日
【審査請求日】2015年5月25日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077838
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 憲保
(74)【代理人】
【識別番号】100082924
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100129023
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100147809
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 順一
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 淳一
(72)【発明者】
【氏名】大澤 滋
【審査官】
川島 陵司
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭62−38371(JP,U)
【文献】
実公昭31−7700(JP,Y1)
【文献】
実公平2−2853(JP,Y2)
【文献】
実開昭51−102494(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 63/14
E05B 65/02
E05B 65/06
E05C 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体の開口部に開き扉式の扉を備えた電子機器に適用され、該扉を施錠する扉用施錠装置であって、
前記扉の回動端辺から該扉の内側方向に延在し、第1貫通孔が形成された回動端壁部と、
前記扉の閉扉時に前記回動端壁部に対向し、前記第1貫通孔に対応して第2貫通孔が形成された対向壁部と、
前記扉に固定され、該扉の外側からの開錠/施錠操作に基づいて開錠位置と施錠位置とに回動的に変位する可動子を該扉の内側に備えたキーシリンダと、
フック形状を呈し、前記扉の内側にて前記キーシリンダの前記可動子に連動するように取り付けられた回動フックとを有し、
前記第1貫通孔は第1狭小部を有し、前記第2貫通孔は第2狭小部を有し、
前記回動フックは、
前記可動子が前記開錠位置のときは前記回動端壁部の前記第1貫通孔よりも前記扉の内側に退避する一方、前記可動子が前記施錠位置のときは前記回動端壁部の前記第1貫通孔を介して前記対向壁部の前記第2貫通孔に入り込み、前記扉の閉扉状態を保持するものであり、かつ、
前記第1貫通孔を介して前記対向壁部の前記第2貫通孔に入り込んだときに前記第1狭小部と前記第2狭小部に入り込む狭小対応部と、前記狭小対応部の先端の両側に延在した鍔状を呈し、前記第1貫通孔を介して前記対向壁部の前記第2貫通孔に入り込んだ前記回動フックが前記対向壁部から抜けることを防止する抜け防止鍔部とを備え、
前記抜け防止鍔部は、前記狭小対応部の先端の両側に、前記回動フックが前記第1貫通孔を介して前記対向壁部の前記第2貫通孔に入り込んだときに、前記対向壁部の前記回動端壁部と反対側の平坦な壁面に対して、全面が僅かな間隔のみを置いて平行に対向する平坦面を備えていることを特徴とする扉用施錠装置。
【請求項2】
前記第1貫通孔および前記第2貫通孔はそれぞれ、角孔形状を呈し、
前記第1狭小部および前記第2狭小部は、前記回動フックの回動円弧の接線方向に直交する、前記角孔の一端辺から下方に延びるように設けられており、
前記抜け防止鍔部は、角型を呈し、前記回動フックの回動円弧の接線方向に平行な長さが、前記第1狭小部および前記第2狭小部の長さ程度であり、さらに、前記回動フックの回動円弧の接線方向に直交する方向に平行な幅が、前記第1貫通孔および前記第2貫通孔の幅よりも僅かに小さい請求項1に記載の扉用施錠装置。
【請求項3】
前記第1貫通孔は、前記回動端辺に沿って並列するように複数形成されており、
前記第2貫通孔は、複数の前記第1貫通孔に対応して複数形成されており、
前記回動フックは、それぞれ複数の前記第1貫通孔および前記第2貫通孔に対応して、複数備えられており、当該複数の回動フックは、連結バーを介して相互に連動するように結合されている請求項1または2に記載の扉用施錠装置。
【請求項4】
前記扉の外側面に沿って前記回動端辺から突出するように設けられ、該扉の閉扉時に前記回動端壁部と前記対向壁部との隙間を覆蓋するフランジ部をさらに有する請求項1乃至3のいずれか一項に記載の扉用施錠装置。
【請求項5】
前記対向壁部は、前記筐体の前記開口部に形成されている請求項1乃至4のいずれか一項に記載の扉用施錠装置。
【請求項6】
前記電子機器は、前記扉と共に両開き扉を構成する第2の扉をさらに有し、
前記対向壁部は、前記第2の扉の回動端辺から該第2の扉の内側方向に延在するように形成されている請求項1乃至4のいずれか一項に記載の扉用施錠装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の扉用施錠装置と、前記筐体と、前記扉とを有することを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筐体の開口部に開き扉式の扉を備えた電子機器に適用され、扉を施錠する扉用施錠装置に関する。
【背景技術】
【0002】
筐体の開口部に開き扉式の扉を備え、その扉に施錠を必要とする電子機器としては、例えば、セルフ給油所用システムを構成する装置である外設機と呼ばれる装置がある。外設機は、給油条件や給油料金の支払い方法の指定を行うこと、給油料金の決済を行うこと等に用いられる。
【0003】
一般に、外設機は、その筐体を、セルフ給油所に設置される専用のラックに収容した状態で使用される。外設機の筐体の上下面、左右側面および背面は、ラックの壁面に囲まれる一方、前面(正面)は、ラックから露出している。通常、この筐体の前面には、扉用施錠手段によって施錠可能な片開きまたは両開き(観音開き)の開き扉が備えられている。この扉には、タッチパネル付きディスプレイ、紙幣などの現金投入口、レシートの排出口等が設けられている。扉にはまた、扉用施錠手段が設けられており、セルフ給油所の店員等の開扉を許された者が扉用施錠手段を開錠することによって開扉され、外設機内部にアクセスし、レシート用紙の補給や、筐体内に貯留された現金の回収や、外設機の整備や修理等を行えるように構成されている。
【0004】
尚、外設機の扉用施錠手段としては、扉の回動端側、即ち、両開き扉であれば閉扉時に左右の扉同士が突き合わさる箇所に、また、片開き扉であれば閉扉時に扉の回動端辺と筐体の開口辺とが突き合わさる箇所に、突き合わさる両者に貫通する孔を形成しておくか、もしくは、突き合わさる両者に孔付きの突起部を形成しておき、両者の孔に南京錠のボルト(シャックル、フック等とも呼ばれる)を挿通して施錠する等が行われている。
【0005】
ところで、決済を行う外設機の筐体内には紙幣などの現金が貯留されているため、扉をバール等でこじ開けて内部に貯留された現金を奪うという犯罪が発生する可能性がある。前述したように外設機の筐体は専用のラックに収容されているが、このラックは、通常、バール等でこじ開ける等の行為に対して耐え得る十分な強度を備えている。このため、外設機の筐体のうち、ラックの壁面に囲まれた上下面、左右側面および背面については、バール等でこじ開ける等の行為に対して配慮する必要はない。
【0006】
しかし、筐体の前面の扉は、ラックから露出しているため、バール等でこじ開ける等の行為に対して配慮する必要がある。尚、外設機では、筐体内に貯留された現金は、仮に扉の一部が破損したとしても、扉が開かれなければ取り出すことが困難な構造となっているため、防犯性を確保するためには、扉が開かれないように配慮すればよい。
【0007】
電子機器の開き扉を施錠する扉用施錠装置の類は、例えば、特許文献1に開示されている。ただし、特許文献1に開示された施錠装置は、店員の目が行き届く店内に設置されるパチンコ遊戯台などの遊技機への適用を想定したものであるため、バール等による扉のこじ開けに対しては、配慮されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平11−347225号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述したバール等によるこじ開け対策としては、扉の回動支点としてのヒンジ部側は、ヒンジ部を頑丈なものに設計および製造することにより、バール等でこじ開ける行為に対して耐え得る構造とすることができる。
【0010】
一方、両開き扉であれば閉扉時に左右の扉同士が突き合わさる箇所、片開き扉であれば閉扉時に扉の回動端辺と筐体の開口辺とが突き合わさる箇所、また、閉扉時に扉の上下辺が筐体の開口辺と突き合わさる箇所については、バール等でこじ開ける程度の行為に対して耐え得る構造とすることが難しい。
【0011】
また、扉用施錠手段として南京錠を用いている場合には、扉の回動端辺や上下辺がバールによるこじ開けに弱いことに加え、南京錠のボルトが比較的容易に切断されてしまう可能性がある。
【0012】
それ故、本発明の目的は、防犯性に優れた扉用施錠装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明によれば、筐体の開口部に開き扉式の扉を備えた電子機器に適用され、該扉を施錠する扉用施錠装置であって、前記扉の回動端辺から該扉の内側方向に延在し、第1貫通孔が形成された回動端壁部と、前記扉の閉扉時に前記回動端壁部に対向し、前記第1貫通孔に対応して第2貫通孔が形成された対向壁部と、前記扉に固定され、該扉の外側からの開錠/施錠操作に基づいて開錠位置と施錠位置とに回動的に変位する可動子を該扉の内側に備えたキーシリンダと、フック形状を呈し、前記扉の内側にて前記キーシリンダの前記可動子に連動するように取り付けられた回動フックとを有し、前記回動フックは、前記可動子が前記開錠位置のときは前記回動端壁部の前記第1貫通孔よりも前記扉の内側に退避する一方、前記可動子が前記施錠位置のときは前記回動端壁部の前記第1貫通孔を介して前記対向壁部の前記第2貫通孔に入り込み、前記扉の閉扉状態を保持することを特徴とする扉用施錠装置が得られる。
【0014】
前記第1貫通孔は、前記回動端辺に沿って並列するように複数形成されており、前記第2貫通孔は、複数の前記第1貫通孔に対応して複数形成されており、前記回動フックは、それぞれ複数の前記第1貫通孔および前記第2貫通孔に対応して、複数備えられており、当該複数の回動フックは、連結バーを介して相互に連動するように結合されていてもよい。
【0015】
前記回動フックは、前記第1貫通孔を介して前記対向壁部の前記第2貫通孔に入り込んだときに該対向壁部の前記回動端壁部と反対側の壁面に対して平行に位置する抜け防止用の平面を有する抜け防止部を備えていてもよい。
【0016】
前記扉の外側面に沿って前記回動端辺から突出するように設けられ、該扉の閉扉時に前記回動端壁部と前記対向壁部との隙間を覆蓋するフランジ部をさらに有していてもよい。
【0017】
前記対向壁部は、前記筐体の前記開口部に形成されるものであってもよい。
【0018】
あるいは、前記電子機器は、前記扉と共に両開き扉を構成する第2の扉をさらに有し、前記対向壁部は、前記第2の扉の回動端辺から該第2の扉の内側方向に延在するように形成されるものであってもよい。
【0019】
また、本発明によれば、前記扉用施錠装置と、前記筐体と、前記扉とを有することを特徴とする電子機器が得られる。
【発明の効果】
【0020】
本発明による扉用施錠装置は、防犯性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の実施例による扉用施錠装置を有する外設機を示す斜視図である。
【
図2】(a)、(b)、(c)、(d)、(e)および(f)は、
図1に示された外設機の上面図、正面図、左側面図、右側面図、背面図および底面図である。
【
図3】
図1に示された外設機の斜視図であり、(a)は閉扉状態を示し、(b)は開扉状態を示す。
【
図4】
図1に示された外設機における扉(第1の扉)を示す斜視図である。
【
図5】
図1に示された外設機における第2の扉を示す斜視図である。
【
図6】本発明の実施例による扉用施錠装置の要部を示す分解斜視図である。
【
図7】本発明の実施例による扉用施錠装置の要部を示す図であり、(a)は開錠時を示し、(b)は施錠時を示す。
【
図8】本発明の実施例による扉用施錠装置の動作を説明するための図であり、(a)および(b)は施錠前を示し、(c)および(d)は施錠時を示す。
【
図9】本発明の実施例による扉用施錠装置の動作を説明するための扉の裏側から見た図であり、(a)および(b)は開錠時を示し、(c)および(d)は施錠時を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明による扉用施錠装置は、筐体の開口部に開き扉式の扉を備えた電子機器に適用され、扉を施錠する装置である。
【0023】
本扉用施錠装置は、回動端壁部と、対向壁部と、キーシリンダと、回動フックとを有している。回動端壁部は、扉の回動端辺から扉の内側方向に延在し、第1貫通孔が形成されている。対向壁部は、扉の閉扉時に回動端壁部に対向し、第1貫通孔に対応して第2貫通孔が形成されている。キーシリンダは、扉に固定され、扉の外側からの開錠/施錠操作に基づいて開錠位置と施錠位置とに回動的に変位する可動子(クランク部材)を扉の内側に備えている。
【0024】
回動フックは、フック形状を呈し、扉の内側にてキーシリンダの可動子に連動するように取り付けられている。回動フックは、可動子が開錠位置のときは回動端壁部の第1貫通孔よりも扉の内側に退避する一方、可動子が施錠位置のときは回動端壁部の第1貫通孔を介して対向壁部の第2貫通孔に入り込み、扉の閉扉状態を保持する。
【0025】
上記構成により、本発明による扉用施錠装置は、閉扉した扉の回動端壁部と対向壁部とが重なった状態が回動フックによって強固に保持されているため、仮に扉の回動端辺脇の隙間にバールが挿入されたとしても、バールの梃子作用によって扉をめくり上げるようなこじ開けは困難であり、防犯性に優れている。
【実施例1】
【0026】
図1〜
図3を参照すると、本発明の実施例1による扉用施錠装置は、筐体の開口部に開き扉式の扉を備え、その扉に施錠を必要とする電子機器として、セルフ給油所用システムを構成する装置である外設機100に適用された例である。外設機は、給油条件や給油料金の支払い方法の指定を行うこと、給油料金の決済を行うこと等に用いられる。
【0027】
外設機100は、その筐体110を、セルフ給油所に設置される専用のラック(図示せず)に収容した状態で使用される。このため、外設機100の筐体110の上面110t、底面110b、左側面110sl、右側面110srおよび背面110rは、ラックの強固な壁面に囲まれる。一方、前面(正面)110fは、ラックから露出する。
【0028】
ラックから露出する筐体110の前面110fには、開き扉式の扉131が備えられている。本例では特に、第1の扉としての扉131と共に両開き扉(観音扉)を構成する第2の扉としての扉132をさらに有している。尚、扉131および扉132は、粘性の高い金属、例えば、ステンレスやメッキ鋼板をプレス加工して製造される。
【0029】
図1等に示されているように、扉131には、タッチパネル付きディスプレイ121、レシートの排出口123、カード類の挿入口125、人感センサ127が設けられている。扉132には、紙幣投入口122、レシート等に印刷された2次元バーコードの読取口124、挿入口125とは別のカード類の挿入口126、インターホン128が設けられている。
【0030】
図1〜
図3ならびに
図4〜
図9を参照すると、本扉用施錠装置は、回動端壁部10と、対向壁部20と、キーシリンダ30と、回動フック40A、40Bとを有している。尚、
図8では、説明のため、回動フック40A、40Bを覆う部品を省略して図示している。また、
図9は、扉の裏側から見た図である。
【0031】
図4等に示されているように、回動端壁部10は、扉131の回動端辺131D(
図4)から扉131の内側方向に延在し、第1貫通孔13A、13Bが形成されている。第1貫通孔13A、13Bは、回動端辺131Dに沿って並列するように複数形成されている。尚、
図4中の符号131Pは、扉131の回動基辺を示している。回動基辺131Pは、筐体110の前面110fの開口部に軸支されてヒンジ機構を構成しており、これにより、扉131は、開き扉として開閉可能となっている。
【0032】
図5等に示されているように、対向壁部20は、扉131の閉扉時に回動端壁部10に対向し、第1貫通孔13A、13Bに対応して第2貫通孔23A、23Bが形成されている。本例においては特に、対向壁部20は、扉132の回動端辺132Dから扉132の内側方向に延在するように形成されている。第2貫通孔23A、23Bは、複数の第1貫通孔13A、13Bに対応して回動端辺132Dに沿って並列するように複数形成されている。尚、
図5中の符号132Pは、扉132の回動基辺を示している。回動基辺132Pは、筐体110の前面110fの開口部に軸支されてヒンジ機構を構成しており、これにより、扉132は、開き扉として開閉可能となっている。
【0033】
図6〜
図9を参照すると、キーシリンダ30は、プレート部材を介して扉131に固定され、鍵80による扉131の外側からの開錠/施錠操作に基づいて開錠位置と施錠位置とに回動的に変位する可動子(クランク部材)33を扉131の内側に備えている。
【0034】
回動フック40A、40Bは、フック形状を呈し、扉131の内側にてキーシリンダ30の可動子33に、リンク部材51、52を介して、連動するように取り付けられている。尚、
図8中、矢印R80、R33、S51、S52、R40A、R40Bは、施錠前の開錠状態から施錠状態に移行する際の、鍵80、可動子33、リンク部材51、52、回動フック40A、40Bの動作方向をそれぞれ示している。
【0035】
尚、キーシリンダ30を支持するプレート部材、リンク部材51、52、回動フック40A、40Bなどは、粘性の高い金属、例えば、ステンレスを鋳物成形して製造される。
【0036】
また、本発明において、回動フックの数は、2個に限定されるものではなく、必要に応じて、1個もしくは3個以上を設けるようにしてもよい。
【0037】
可動子33が開錠位置のときに(
図7(a)、
図8(a)および(b)、
図9(a)および(b))、回動フック40A、40Bは、回動端壁部10の第1貫通孔13A、13Bよりも扉131の内側に退避する。
【0038】
一方、可動子33が施錠位置のときに(
図7(b)、
図8(c)および(d)、
図9(c)および(d))、回動フック40A、40Bは、回動端壁部10の第1貫通孔13A、13Bを介して対向壁部20の第2貫通孔23A、23Bの狭小部に入り込み、扉131ならびに扉132の閉扉状態を保持する。このとき、閉扉した扉131と扉132とにおける、回動端壁部10と対向壁部20とは、互いに重なった状態が回動フック40A、40Bによって強固に保持されている。特に、本例において、回動フック40A、40Bはそれぞれ、第1貫通孔13A、13Bを介して対向壁部20の第2貫通孔23A、23Bに入り込んだときに対向壁部20の回動端壁部10と反対側の壁面に対して平行に位置する抜け防止用の平面43Aa、43Abを有する抜け防止部43Aと、抜け防止用の平面43Ba、43Bbを有する抜け防止部43Bを備えており、対向壁部20から回動フック40A、40Bが抜けてしまうことを防止することができるため、回動端壁部10および対向壁部20の保持を崩そうとする力に対して一層強固なものとなっている。尚、抜け防止用の平面43Aa、43Ab、43Ba、43Bbは、施錠された状態で、対向壁20の裏側の面と、僅かな間隔をもって対向する。また、抜け防止部43Aの抜け防止用の平面43Aa、43Abはいずれか一方でもよく、抜け防止部43Bの抜け防止用の平面43Ba、43Bbもいずれか一方でもよい。
【0039】
尚、扉131と扉132との閉扉時であっても、両扉間(回動端壁部10と対向壁部20との間)には、僅かな隙間がある(例えば、3mm程度)。この隙間は、各部材の寸法公差に対するマージンならびに扉の回動時に回動端辺同士が衝突すること回避する目的のために、必要なものである。ところが、この隙間にバール等を挿入される虞がある。したがって、本扉用施錠装置は、扉131の外側面に沿って回動端辺131Dから突出するように設けられ、閉扉時に生じる両扉間(回動端壁部10と対向壁部20との間)の隙間を覆蓋するフランジ部70をさらに有している。尚、フランジ部70は、粘性の高い金属、例えば、ステンレスを鋳物成形して製造される。
【実施例2】
【0040】
本発明の実施例2による扉用施錠装置は、片開き式の扉を有する電子機器に適用され、対向壁部が筐体の開口部に具備されている点が、実施例1と異なっている。このため、実施例1と同一または同様の部分については、実施例1における説明および図面を援用することとし、詳細な説明は省略する。
【0041】
図示はしないが、本発明の実施例2による扉用施錠装置は、実施例1と同様に、扉に施錠を必要とする電子機器として、セルフ給油所用システムを構成する装置である外設機に適用された例である。ただし、本例において、外設機は、その筐体の開口部に片開き式の扉を備えている。
【0042】
セルフ給油所において専用ラックから露出する筐体の前面には、片開き扉式の扉が備えられている。尚、扉は、粘性の高い金属、例えば、ステンレスやメッキ鋼板をプレス加工して製造される。
【0043】
本発明の実施例2による扉用施錠装置は、実施例1と同様に、回動端壁部と、対向壁部と、キーシリンダと、回動フックとを有している。
【0044】
回動端壁部は、扉の回動端辺から扉の内側方向に延在し、第1貫通孔が形成されている。第1貫通孔は、回動端辺に沿って並列するように複数形成されている。
【0045】
対向壁部は、扉の閉扉時に回動端壁部に対向し、第1貫通孔に対応して第2貫通孔が形成されている。
【0046】
本例においては特に、対向壁部は、筐体の前面の開口部の開口辺から筐体の内部に向かって延在するように形成されている。第2貫通孔は、複数の第1貫通孔に対応して開口辺に沿って並列するように複数形成されている。
【0047】
キーシリンダは、プレート部材を介して扉に固定され、鍵による扉の外側からの開錠/施錠操作に基づいて開錠位置と施錠位置とに回動的に変位する可動子を扉の内側に備えている。
【0048】
回動フックは、フック形状を呈し、扉の内側にてキーシリンダの可動子に、リンク部材を介して、連動するように取り付けられている。
【0049】
尚、キーシリンダを支持するプレート部材、リンク部材、回動フックなどは、粘性の高い金属、例えば、ステンレスを鋳物成形して製造される。
【0050】
そして、可動子が開錠位置のときに、回動フックは、回動端壁部の第1貫通孔よりも扉の内側に退避する。
【0051】
一方、可動子が施錠位置のときに、回動フックは、回動端壁部の第1貫通孔を介して筐体に形成された対向壁部の第2貫通孔の狭小部に入り込み、扉の閉扉状態を保持する。このとき、回動端壁部と対向壁部とは、互いに重なった状態が回動フックによって強固に保持されている。
【0052】
本例においても、回動フックは、第1貫通孔を介して対向壁部の第2貫通孔に入り込んだときに対向壁部の回動端壁部と反対側の壁面に対して平行に位置する抜け防止用の平面を有する抜け防止部を備えていてもよい。その場合、回動端壁部および対向壁部の保持を崩そうとする力に対して一層強固なものとなる。尚、抜け防止用の平面は、施錠された状態で、対向壁の裏側の面と、わずかな間隔をもって対向する。
【0053】
また、扉の閉扉時であっても、扉と筐体の開口部との間(回動端壁部と対向壁部との間)には、僅かな隙間がある(例えば、1.5mm程度)。この隙間は、各部材の寸法公差に対するマージンならびに扉の回動時に回動端辺同士が衝突すること回避する目的のために、必要なものである。ところが、この隙間にバール等を挿入される虞がある。したがって、本扉用施錠装置は、扉の外側面に沿って回動端辺から突出するように設けられ、閉扉時に生じる回動端壁部と対向壁部との間の隙間を覆蓋するフランジ部を有していてもよい。尚、フランジ部は、粘性の高い金属、例えば、ステンレスを鋳物成形して製造される。
【産業上の利用可能性】
【0054】
以上説明した実施例に限定されることなく、本発明は、特許請求の範囲に記載された技術範囲内であれば、種々の変形が可能であることは云うまでもない。例えば、本明細書においては、電子機器としてセルフ給油システムにおける外設機に適用した扉用施錠装置の実施例を説明したが、本発明は、筐体の開口部に開き扉式の扉を備え、その扉に施錠を必要とする電子機器全般に対して適用可能である。
【符号の説明】
【0055】
10 回動端壁部
13A、13B 第1貫通孔
20 対向壁部
23A、23B 第2貫通孔
30 キーシリンダ
33 可動子
40A、40B 回動フック
43A、43B 抜け防止部
43Aa、43Ab、43Ba、43Bb 抜け防止用の平面
51、52 リンク部材
70 フランジ部
80 鍵
100 外設機
110 筐体
110f 前面(正面)
131、132 扉