(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
試験体に振動を入力する複数の加振部と、上記加振部毎に設けられてそれぞれ対応する加振部を駆動する複数のアクチュエータと、各加振部の各アクチュエータの駆動方向に沿う変位、速度および加速度の少なくとも一つを検出する複数のセンサとを備えた振動試験機において、上記各加振部を同一方向へ駆動可能なアクチュエータを群とし、各アクチュエータ群へ与えられ上記各加振部を同一方向へ同期させて駆動するノイズ信号と、当該ノイズ信号を上記各アクチュエータへ与えた際の上記各センサの出力とに基づいて、伝達関数マトリクスを求めることを特徴とする振動試験機。
一の加振部を駆動するアクチュエータの駆動によっては、他の加振部のセンサ出力に影響を与えないと看做して、上記伝達関数マトリクスを求めることを特徴とする請求項1に記載の振動試験機。
上記アクチュエータは、各加振部を鉛直なZ軸方向へ駆動するZ軸アクチュエータと、各加振部を水平なX軸方向へ駆動するX軸アクチュエータとでなり、上記Z軸アクチュエータ群へ与えられ上記各加振部をZ軸方向へ同期させて駆動するZ軸のノイズ信号と、当該Z軸のノイズ信号を上記各Z軸アクチュエータ群へ与えた際の上記各センサの出力と、上記X軸アクチュエータ群へ与えられ上記各加振部をX軸方向へ同期させて駆動するX軸のノイズ信号と、当該X軸のノイズ信号を上記各X軸アクチュエータ群へ与えた際の上記各センサの出力とに基づいて、伝達関数マトリクスを求めることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の振動試験機。
上記アクチュエータは、各加振部を鉛直なZ軸方向へ駆動するZ軸アクチュエータと、各加振部を水平なX軸方向へ駆動するX軸アクチュエータと、各加振部を水平であってX軸とは異なるY軸方向へ駆動するY軸アクチュエータとでなり、上記Z軸アクチュエータ群へ与えられ上記各加振部をZ軸方向へ同期させて駆動するZ軸のノイズ信号と、当該Z軸のノイズ信号を上記各Z軸アクチュエータ群へ与えた際の上記各センサの出力と、上記X軸アクチュエータ群へ与えられ上記各加振部をX軸方向へ同期させて駆動するX軸のノイズ信号と、当該X軸のノイズ信号を上記各X軸アクチュエータ群へ与えた際の上記各センサの出力と、上記Y軸アクチュエータ群へ与えられ上記各加振部をY軸方向へ同期させて駆動するY軸のノイズ信号と、当該Y軸のノイズ信号を上記各Y軸アクチュエータ群へ与えた際の上記各センサの出力とに基づいて、伝達関数マトリクスを求めることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の振動試験機。
上記アクチュエータは、各加振部を水平なX軸方向へ駆動するX軸アクチュエータと、各加振部を水平であってX軸とは異なるY軸方向へ駆動するY軸アクチュエータとでなり、上記X軸アクチュエータ群へ与えられ上記各加振部をX軸方向へ同期させて駆動するX軸のノイズ信号と、当該X軸のノイズ信号を上記各X軸アクチュエータ群へ与えた際の上記各センサの出力と、上記Y軸アクチュエータ群へ与えられ上記各加振部をY軸方向へ同期させて駆動するY軸のノイズ信号と、当該Y軸のノイズ信号を上記各Y軸アクチュエータ群へ与えた際の上記各センサの出力とに基づいて、伝達関数マトリクスを求めることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の振動試験機。
試験体に振動を入力する複数の加振部と、上記加振部毎に設けられてそれぞれ対応する加振部を駆動する複数のアクチュエータと、各加振部の各アクチュエータの駆動方向に沿う変位、速度および加速度の少なくとも一つを検出する複数のセンサとを備えた振動試験機における伝達関数マトリクス取得方法において、上記各加振部を同一方向へ駆動可能なアクチュエータを群とし、各アクチュエータ群へ与えられ上記各加振部を同一方向へ同期させて駆動するノイズ信号を与え、当該ノイズ信号と、上記ノイズ信号を上記各アクチュエータへ与えた際の上記各センサの出力とに基づいて、伝達関数マトリクスを求めることを特徴とする伝達関数マトリクス取得方法。
一の加振部を駆動するアクチュエータの駆動によっては、他の加振部のセンサ出力に影響を与えないと看做して、上記伝達関数マトリクスを求めることを特徴とする請求項7に記載の伝達関数マトリクス取得方法。
上記アクチュエータは、各加振部を鉛直なZ軸方向へ駆動するZ軸アクチュエータと、各加振部を水平なX軸方向へ駆動するX軸アクチュエータとでなり、上記Z軸アクチュエータ群へ与えられ上記各加振部をZ軸方向へ同期させて駆動するZ軸のノイズ信号と、当該Z軸のノイズ信号を上記各Z軸アクチュエータ群へ与えた際の上記各センサの出力と、上記X軸アクチュエータ群へ与えられ上記各加振部をX軸方向へ同期させて駆動するX軸のノイズ信号と、当該X軸のノイズ信号を上記各X軸アクチュエータ群へ与えた際の上記各センサの出力とに基づいて、伝達関数マトリクスを求めることを特徴とする請求項7または8に記載の伝達関数マトリクス取得方法。
上記アクチュエータは、各加振部を鉛直なZ軸方向へ駆動するZ軸アクチュエータと、各加振部を水平なX軸方向へ駆動するX軸アクチュエータと、各加振部を水平であってX軸とは異なるY軸方向へ駆動するY軸アクチュエータとでなり、上記Z軸アクチュエータ群へ与えられ上記各加振部をZ軸方向へ同期させて駆動するZ軸のノイズ信号と、当該Z軸のノイズ信号を上記各Z軸アクチュエータ群へ与えた際の上記各センサの出力と、上記X軸アクチュエータ群へ与えられ上記各加振部をX軸方向へ同期させて駆動するX軸のノイズ信号と、当該X軸のノイズ信号を上記各X軸アクチュエータ群へ与えた際の上記各センサの出力と、上記Y軸アクチュエータ群へ与えられ上記各加振部をY軸方向へ同期させて駆動するY軸のノイズ信号と、当該Y軸のノイズ信号を上記各Y軸アクチュエータ群へ与えた際の上記各センサの出力とに基づいて、伝達関数マトリクスを求めることを特徴とする請求項7または8に記載の伝達関数マトリクス取得方法。
上記アクチュエータは、各加振部を水平なX軸方向へ駆動するX軸アクチュエータと、各加振部を水平であってX軸とは異なるY軸方向へ駆動するY軸アクチュエータとでなり、上記X軸アクチュエータ群へ与えられ上記各加振部をX軸方向へ同期させて駆動するX軸のノイズ信号と、当該X軸のノイズ信号を上記各X軸アクチュエータ群へ与えた際の上記各センサの出力と、上記Y軸アクチュエータ群へ与えられ上記各加振部をY軸方向へ同期させて駆動するY軸のノイズ信号と、当該Y軸のノイズ信号を上記各Y軸アクチュエータ群へ与えた際の上記各センサの出力とに基づいて、伝達関数マトリクスを求めることを特徴とする請求項7または8に記載の伝達関数マトリクス取得方法。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図に示した実施の形態に基づき、本発明を説明する。一実施の形態における振動試験機Tは、
図1に示すように、ベース1と、試験体TPに振動を入力する二つの加振部S1,S2と、加振部毎に設けられてそれぞれ対応する加振部S1,S2を
図1中上下方向である鉛直なZ軸方向へ駆動するZ軸アクチュエータAc1,Ac3と、各加振部S1,S2を
図1中左右方向である水平なX軸方向へ駆動するX軸アクチュエータAc2,Ac4と、各加振部S1,S2のZ軸方向の加速度を検出する加速度センサXd1,Xd3および各加振部S1,S2のX軸方向の加速度を検出する加速度センサXd2,Xd4とを備えて構成されている。
【0014】
また、この振動試験機Tの加振部S1,S2には、試験体TPが固定されていて、振動試験機Tは、Z軸アクチュエータAc1,Ac3で各加振部S1,S2を
図1中で上下方向(Z軸方向)へ駆動することができ、X軸アクチュエータAc2,Ac4で各加振部S1,S2を
図1中で水平横方向(X軸方向)へ駆動することができるようになっていて、各アクチュエータAc1,Ac2,Ac3,Ac4を駆動することで試験体TPに振動を与えることができるようになっている。
【0015】
以下、一実施の形態の振動試験機Tの各部について詳細に説明する。各加振部S1,S2は、この場合、
図1に示すように、
図1中左右方向に一致する水平横方向、つまりX軸方向であって同一線上に二つの加振部S1,S2が配置されている。そして、加振部S1,S2は、
図1に示すように、二つとも同様の構成を備えており、試験体TPが連結或いは載置される入力部2と、当該入力部2のX軸アクチュエータAc2,Ac4の駆動方向に一致する方向への移動を可能としつつ当該入力部2を保持するテーブル3とを備えている。
【0016】
入力部2は、この実施の形態の場合、台状とされていて、試験体や試験体を連結するための部品を固定できるように、上端に開口するボルト孔(符示せず)が多数設けられている。したがって、たとえば、この入力部2に試験体を固定したい場合、ボルト止め可能であれば直接に試験体を固定してもよいし、たとえば、試験体が車両であればブラケットに連結可能な部品を介し入力部2と車両とを連結するようにしてもよい。なお、入力部3の形状や構造は、試験体に応じて適するように適宜設計変更することが可能である。
【0017】
入力部2とテーブル3との間には、テーブル3に対する入力部2のX軸方向への移動を許容するスライド機構4が介装されている。
【0018】
Z軸アクチュエータAc1,Ac3は、加振部毎に一つずつ設けられていて、この例では、テレスコピック型のサーボシリンダとされており電動であっても流体圧で駆動されるものであってもよく、一端が上記した加振部S1,S2のテーブル3に連結され他端がベース1に固定される。
【0019】
また、Z軸アクチュエータAc1,Ac3は、ベース1に対して鉛直方向に起立されていて、このZ軸アクチュエータAc1,Ac3を伸縮作動することで、対応する加振部S1,S2を上下方向へ駆動させることができる。
【0020】
各X軸アクチュエータAc2,Ac4は、ベース1に立てた支柱5と入力部2との間に介装されており、往復運動することで加振部S1,S2をX軸方向へ駆動することができる。
【0021】
そして、これらアクチュエータAc1,Ac2,Ac3,Ac4は、コントローラCからの加振信号によって駆動され、加速度センサXd1,Xd2,Xd3、Xd4で検出した加速度Y1,Y2,Y3,Y4は、コントローラCに入力されるようになっていて、コントローラCで加速度Y1,Y2,Y3,Y4をモニタすることができるようになっている。この実施の形態では、加振部S1,S2のZ軸方向およびX軸方向の加速度を加速度センサXd1,Xd2,Xd3、Xd4で検出するようにしているが、加速度の代わりに、加振部S1,S2の変位或いは速度を検出するようにしてもよい。
【0022】
なお、振動試験機Tの構成は、上記に限定されるものではなく、たとえば、Z軸アクチュエータAc1,Ac3がそれぞれベース1上にスライド自在に設けた架台上に設置され、X軸アクチュエータAc2,Ac4が架台を駆動することで、加振部S1,S2をX軸方向へ駆動するような構成を採用することもできる。つまり、Z軸アクチュエータAc1,Ac3とX軸アクチュエータAc2,Ac4とで、加振部S1,S2を独立してZ軸方向およびX軸方向へ駆動することができるようになっていればよい。
【0023】
つづいて、この振動試験機Tにおける伝達関数マトリクス〔G〕の求め方について説明する。まず、上記各加振部S1,S2を同一方向へ駆動可能なアクチュエータを群とする。つまり、上記各加振部S1,S2を同一方向であるZ軸方向へ駆動可能なZ軸アクチュエータAc1,Ac3を一つのアクチュエータ群と看做し、また、上記各加振部S1,S2を同一方向であるX軸方向へ駆動可能なX軸アクチュエータAc2,Ac4で一つのアクチュエータ群と看做す。
【0024】
そして、Z軸アクチュエータAc1,Ac3で形成したアクチュエータ群に、上記各加振部S1,S2を同一方向に同期させて駆動させるZ軸のノイズ信号X1,X3を入力する。このノイズ信号X1,X3は、加振部S1,S2を同期して同じ方向へ駆動するように各Z軸アクチュエータAc1,Ac3をランダムに伸縮させる信号であり、これによって加振部S1,S2は上下方向へ並進振動するため試験体TPには曲げ応力等が作用しない。
【0025】
このようにコントローラCは、ノイズ信号X1,X3をZ軸アクチュエータAc1,Ac3へ入力して加振部S1,S2を加振し、加速度センサXd1,Xd2,Xd3、Xd4の応答、つまりセンサ出力である加速度Y1,Y2,Y3,Y4を収集する。
【0026】
ノイズ信号X1,X3の入力に対してセンサ出力である加速度Y1,Y2,Y3,Y4が応答であるから、両者は、入力と出力の関係にあるので、両者から伝達関数を求めることができる。具体的には、ノイズ信号X1,X3と得られた加速度Y1,Y2,Y3,Y4とから両者のフーリエ変換の比である伝達関数G
mnを求める。伝達関数G
mn中の添え字mは、アクチュエータの番号であり、アクチュエータAc1であればm=1となる。伝達関数G
mn中の添え字nは、加速度センサの番号であり、加速度センサXd1であればn=1となる。つまり、伝達関数G11は、入力であるアクチュエータAc1を駆動するノイズ信号X1と出力である加速度Y1との伝達関数となる。ここで、この伝達関数G
mnを求めるに際して、加振部S1を駆動するZ軸アクチュエータAc1或いはX軸アクチュエータAc2で加振部S1を駆動しても、他の加振部S2のZ軸方向およびX軸方向の加速度を検出する加速度センサXd3,Xd4のセンサ出力である加速度Y3,Y4に影響を与えないと看做し、加振部S2を駆動するZ軸アクチュエータAc3或いはX軸アクチュエータAc4で加振部S2を駆動しても、他の加振部S1のZ軸方向およびX軸方向の加速度を検出する加速度センサXd1,Xd2の加速度Y1,Y3に影響を与えないと看做して伝達関数G
mnを求める。
【0027】
すなわち、加振部S1,S2の一方を加振しても加振部S1,S2の他方への振動が伝達されない、要するに、加振部S1,S2間で振動伝達が無いとして伝達関数G
mnを求める。
【0028】
そして、加振部S1をZ軸アクチュエータAc1で加振しても加振部S2に設置される加速度センサXd3,Xd4の加速度Y3,Y4に影響を与えず、加振部S2をZ軸アクチュエータAc3で加振しても加振部S1に設置される加速度センサXd1,Xd2の加速度Y1,Y2に影響を与えないと看做すと、
図2に示した伝達関数マトリクス〔G〕のうち、G
11,G
12,G
33,G
34が求まり、G
13,G
14,G
31,G
32に相当する伝達関数は全て0となる。よって、以上までの手順で、伝達関数G
11,G
12,G
13,G
14,G
31,G
32,G
33,G
34が求まる。
【0029】
つづいて、Z軸アクチュエータAc1,Ac3へ入力するZ軸のノイズ信号X1,X3と出力である加速度Y1,Y2,Y3,Y4との関係である伝達関数が得られたので、今度は、X軸アクチュエータAc2,Ac4へ入力するノイズ信号X2,X4とその出力である加速度Y1,Y2,Y3,Y4との関係である伝達関数を以下の手順によって求める。
【0030】
X軸アクチュエータAc2,Ac4で形成したアクチュエータ群に、上記各加振部S1,S2を同一方向に同期させて駆動させるX軸のノイズ信号X2,X4を入力する。このノイズ信号X2,X4は、加振部S1,S2を同期して同じ方向へ駆動するように各X軸アクチュエータAc2,Ac4をランダムに伸縮させる信号であり、これによって加振部S1,S2は
図1中左右方向となるX軸方向へ並進振動するため試験体TPには曲げ応力等が作用しない。なお、この実施の形態の振動試験装置Tにあっては、X軸アクチュエータAc2,Ac4が加振部S1,S2に対して同じ側に配置されていない、つまり、X軸アクチュエータAc2は加振部S1に対して
図1中左側に、X軸アクチュエータAc4は加振部S2に対して
図1中右側に配置されているため、これら二つのX軸アクチュエータAc2,Ac4で加振部S1,S2を併進させる場合、X軸アクチュエータAc2とX軸アクチュエータAc4で伸縮方向が異なるため、ノイズ信号X2の符号を反転した信号、つまり、ノイズ信号X2に−1を乗じた信号をノイズ信号X4とすればよい。X軸アクチュエータAc2,Ac4が加振部S1,S2間に設置される場合も各X軸アクチュエータAc2,Ac4が加振部S1,S2に対して同じ側に配置されていないので同様に扱えばよく、X軸アクチュエータAc2,Ac4が加振部S1,S2に対して同じ側である
図1中右側或いは左側に配置されるレイアウトであれば、ノイズ信号X2に対してノイズ信号X4の符号を反転させる必要はない。
【0031】
このようにコントローラCは、ノイズ信号X2,X4をX軸アクチュエータAc2,Ac4へ入力して加振部S1,S2加振し、加速度センサXd1,Xd2,Xd3、Xd4の応答、つまりセンサ出力である加速度Y1,Y2,Y3,Y4を収集する。
【0032】
ノイズ信号X2,X4の入力に対してセンサ出力である加速度Y1,Y2,Y3,Y4が応答であるから、両者は、入力と出力の関係にあるので、両者から伝達関数を求めることができる。具体的には、ノイズ信号X1,X3と加速度Y1,Y2,Y3,Y4との伝達関数を求めた際と同様に、ノイズ信号X2,X4と得られた加速度Y1,Y2,Y3,Y4とから両者のフーリエ変換の比である伝達関数G
21,G
22,G
23,G
24,G
41,G
42,G
43,G
44を求める。
【0033】
この伝達関数G
21,G
22,G
23,G
24,G
41,G
42,G
43,G
44を求めるに際しても、上記したところと同様に、加振部S1,S2の一方を加振しても加振部S1,S2の他方への振動が伝達されない、要するに、加振部S1,S2間で振動伝達が無いと看做している。
【0034】
そして、加振部S1をX軸アクチュエータAc2で加振しても加振部S2に設置される加速度センサXd3,Xd4の加速度Y3,Y4に影響を与えず、加振部S2をX軸アクチュエータAc4で加振しても加振部S1に設置される加速度センサXd1,Xd2の加速度Y1,Y2に影響を与えないと看做すと、
図2に示した伝達関数マトリクス〔G〕のうち、G
21,G
22,G
43,G
44が求まり、G
23,G
24,G
41,G
42に相当する伝達関数は全て0となる。このように、伝達関数G
21,G
22,G
23,G
24,G
41,G
42,G
43,G
44が求まるので、以上までの手順で、
図2に示した伝達関数マトリクス〔G〕の全ての伝達関数G
mnが求められたことになる。なお、上記したところでは、伝達関数G
11,G
12,G
13,G
14,G
31,G
32,G
33,G
34を求めてから、伝達関数G
21,G
22,G
23,G
24,G
41,G
42,G
43,G
44を求めているが、求める順番を逆にしてもよい。
【0035】
次に、上記手順で得た伝達関数マトリクス〔G〕の逆マトリクス〔G〕
−1を求める。そして、試験体TPへ与えたい振動を加振部S1,S2のZ軸方向およびX軸方向の加速度で表現した目標振動A
1(t
),A
2(t
),A
3(t
),A
4(t
)をフーリエ変換する。フーリエ変換された目標振動A1,A2,A3,A4に逆マトリクス〔G〕
−1を乗じて加振信号B1,B2,B3,B4を得て、この加振信号B1,B2,B3,B4を逆フーリエ変換すると、Z軸アクチュエータAc1,Ac3およびX軸アクチュエータAc2,Ac4へ入力すべき加振信号B
1(t
),B
2(t
),B
3(t
),B
4(t
)が得られる。
【0036】
この加振信号B
1(t
),B
2(t
),B
3(t
),B
4(t
)をZ軸アクチュエータAc1,Ac3およびX軸アクチュエータAc2,Ac4へ入力すると、目標振動A
1(t
),A
2(t
),A
3(t
),A
4(t
)が出力され、試験体TPへ与えたい振動を再現することができる。なお、加振信号B
1(t
),B
2(t
),B
3(t
),B
4(t
)を入力しても目標振動A
1(t
),A
2(t
),A
3(t
),A
4(t
)と誤差が生じ、当該誤差が認容することができない場合には、加振信号B1,B2,B3,B4を誤差に応じて修正して加振し、誤差が認容できるまでこれを繰り返して、試験用の加振信号B
1(t
),B
2(t
),B
3(t
),B
4(t
)を得るようにすればよい。
【0037】
上記したところから、本発明の振動試験機Tによれば、加振部S1,S2を同一方向へ駆動するアクチュエータを群として、同一のアクチュエータ群に属するZ軸アクチュエータAc1,Ac3とX軸アクチュエータAc2,Ac4とで加振部S1,S2を同一方向へ同期して駆動しつつ、伝達関数G
mnを求めることができるから、試験体TPに曲げ応力等を作用させずに良好な伝達関数マトリクス〔G〕を得ることができる。
【0038】
また、加振部S1側のZ軸アクチュエータAc1或いはX軸アクチュエータAc3を駆動しても、他の加振部S2のZ軸方向およびX軸方向の加速度を検出する加速度センサXd2,Xd4のセンサ出力である加速度Y2,Y4に影響を与えないと看做すことで、伝達関数G
13,G
14,G
23,G
24,G
31,G
32,G
41,G
42に相当する伝達関数は全て0となるが、加速度センサXdmで検出する加速度の内訳は、アクチュエータAcmの加振によるものが支配的であるから、試験用の加振信号を得る際に、加振信号を反復修正することで収斂するので、実質的に問題がない。
【0039】
なお、上記したところでは、二つの加振部S1,S2をもち、各加振部S1,S2につき、二つのアクチュエータAc1,Ac3で駆動する二軸の振動試験機Tとされているが、たとえば、
図3に示すように、加振部を四つにし、さらに各加振部を三軸方向へ駆動可能な振動試験機T1としてもよい。
【0040】
具体的には、
図3に示すように、四つの加振部U1,U2,U3,U4と、加振部U1,U2,U3,U4をそれぞれ
図3中紙面を貫く方向である鉛直なZ軸方向へ駆動するZ軸アクチュエータAc11,Ac14,Ac17,Ac20と、加振部U1,U2,U3,U4を
図3中左右方向である水平なX軸方向へ駆動するX軸アクチュエータAc12,Ac15,Ac18,Ac21と、加振部U1,U2,U3,U4を
図3中上下方向である水平なY軸方向へ駆動するY軸アクチュエータAc13,Ac16,Ac19,Ac22と、加振部U1,U2,U3,U4のZ軸方向の加速度を検出する加速度センサXd11,Xd14,Xd17,Xd20と、加振部U1,U2,U3,U4を
図3中左右方向である水平なX軸方向の加速度を検出する加速度センサXd12,Xd15,Xd18,Xd21と、加振部U1,U2,U3,U4を
図3中上下方向である水平なY軸方向の加速度を検出する加速度センサXd13,Xd16,Xd19,Xd22と、図示しないコントローラとを備えて構成されている。
【0041】
そして、この
図3の振動試験機T1にあっては、伝達関数マトリクス〔G〕を求める際に、加振部U1,U2,U3,U4をZ軸方向へ駆動するZ軸アクチュエータAc11,Ac14,Ac17,Ac20で一つのアクチュエータ群を、加振部U1,U2,U3,U4をX軸方向へ駆動するX軸アクチュエータAc12,Ac15,Ac18,Ac21で他のアクチュエータ群を、加振部U1,U2,U3,U4をY軸方向へ駆動するY軸アクチュエータAc13,Ac16,Ac19,Ac22で別のアクチュエータ群を形成し、群ごと順番に、アクチュエータへノイズ信号を入力して加振部U1,U2,U3,U4を同一方向へ同期して駆動し、その応答として、各加速度センサのセンサ出力である加速度を収集する。このようにして収集した加速度とノイズ信号とから伝達関数を求めて伝達関数マトリクスを求める。
【0042】
具体的には、Z軸アクチュエータAc11,Ac14,Ac17,Ac20にノイズ信号を入力して加振部U1,U2,U3,U4を同一方向へ同期して駆動し各加速度センサXd11,Xd12・・・Xd22が出力する加速度とから48個の伝達関数が求まり、X軸アクチュエータAc12,Ac15,Ac18,Ac21にノイズ信号を入力して加振部U1,U2,U3,U4を同一方向へ同期して駆動し各加速度センサXd11,Xd12・・・Xd22が出力する加速度とから48個の伝達関数が求まり、Y軸アクチュエータAc13,Ac16,Ac19,Ac22にノイズ信号を入力して加振部U1,U2,U3,U4を同一方向へ同期して駆動し各加速度センサXd11,Xd12・・・Xd22が出力する加速度とから48個の伝達関数が求まり、最終的に、144個の伝達関数が全て
求まって、12行12列の伝達関数マトリクスを求めることができる。なお、任意の一つ加振部、たとえば、加振部U1を加振しても、他の加振部U2,U3,U4に設置される加速度センサXd12,Xd13,Xd15,Xd16,Xd18,Xd19,Xd21,Xd22のセンサ出力に影響を与えないと看做して伝達関数を求めるので、この場合、伝達関数マトリクスは、
図4に示すように、1行目から3行目までで且つ1列目から3列目までの伝達関数G
mn、4行目から6行目までで且つ4列目から6列目までの伝達関数G
mn、7行目から9行目までで且つ7列目から9列目までの伝達関数G
mn、10行目から12行目までで且つ10列目から12列目までの伝達関数G
mnを除くすべての伝達関数は0となる。
【0043】
このように、加振部U1,U2,U3,U4の設置数と、加振部一つ当たりのアクチュエータ数を増減しても、上記した手順を踏めば、試験体TPに曲げ応力等を作用させずに良好な伝達関数マトリクスを得ることができる。
【0044】
なお、上記したところでは、加振部S1,S2加振を駆動するZ軸アクチュエータAc1,Ac3とX軸アクチュエータAc2,Ac4との駆動方向が直交し、また、加振部U1,U2,U3,U4を駆動するZ軸アクチュエータAc11,Ac14,Ac17,Ac20とX軸アクチュエータAc12,Ac15,Ac18,Ac21とY軸アクチュエータAc13,Ac16,Ac19,Ac22の駆動方向が互いに直行する関係となっているが、これに限定されるものではなく、同じ群に属するアクチュエータ同士の駆動方向が同一方向で、一の群が他の群の駆動方向と異なる方向となっていればよい。
【0045】
また、振動試験機T1からZ軸アクチュエータAc1,Ac3と加速度センサXd1,Xd3を廃止したり、X軸アクチュエータAc2,Ac4と加速度センサXd2,Xd4を廃止することもでき、振動試験機T1からZ軸アクチュエータAc11,Ac14,Ac17,Ac20と加速度センサXd11,Xd14,Xd17,Xd20を廃止することもでき、この場合であっても、加振部を同期して同一方向へ加振して伝達関数マトリクスを求めればよいから、試験体TPに曲げ応力を作用させずに伝達関数マトリクスを得ることができる。
【0046】
なお、便宜上、加速度センサXd1,Xd2,Xd3,Xd4、Xd11・・・Xd22は、一方向の加速度のみを検出するセンサとして説明しているが、振動試験機Tにあっては加振部S1,S2が二軸方向へ駆動されるので二軸方向の加速度を検出するセンサとされてもよく、振動試験機T1にあっては加振部U1,U2,U3,U4が三軸方向へ駆動されるので三軸方向の加速度を検出するセンサとされてもよいことは当然である。
【0047】
以上で、本発明の実施の形態についての説明を終えるが、本発明の範囲は図示されまたは説明された詳細そのものには限定されないことは勿論である。