特許第5871381号(P5871381)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5871381
(24)【登録日】2016年1月22日
(45)【発行日】2016年3月1日
(54)【発明の名称】蛍光体及び蛍光体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C09K 11/64 20060101AFI20160216BHJP
   C09K 11/08 20060101ALI20160216BHJP
【FI】
   C09K11/64CPH
   C09K11/08 B
【請求項の数】5
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2012-71612(P2012-71612)
(22)【出願日】2012年3月27日
(65)【公開番号】特開2013-203784(P2013-203784A)
(43)【公開日】2013年10月7日
【審査請求日】2015年3月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】899000057
【氏名又は名称】学校法人日本大学
(74)【代理人】
【識別番号】230100022
【弁護士】
【氏名又は名称】山田 勝重
(74)【代理人】
【識別番号】100084319
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 智重
(72)【発明者】
【氏名】小嶋 芳行
【審査官】 西澤 龍彦
(56)【参考文献】
【文献】 特表2004−528448(JP,A)
【文献】 特開2002−003837(JP,A)
【文献】 特開2000−212557(JP,A)
【文献】 特開2002−348570(JP,A)
【文献】 第29回希土類討論会要旨,2012年 5月 8日,144-145
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K 11/00− 11/89
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミン酸を固溶してなるケイ酸マグネシウムに対し、Eu3+を付活剤として添加し、蛍光体を合成する蛍光体の製造方法であって、
アルミン酸を固溶してなるケイ酸マグネシウムのSiに対し、Mgを(Eu+Mg)/(Al+Si)の原子比が0.5〜1.8となるように添加し、合成してなることを特徴とする蛍光体の製造方法。
【請求項2】
アルミン酸を固溶してなるケイ酸マグネシウムのMgに対してEu3+をEu/(Eu+Mg)の原子比が0.1〜0.4となるように添加し、蛍光体を合成する請求項1に記載の蛍光体の製造方法。
【請求項3】
アルミン酸を固溶してなるケイ酸マグネシウムのSiに対し、AlをAl/(Al+Si)の原子比0.05〜0.3となるように添加し、かつ付活剤としてEu/(Eu+Mg)の原子比が0.1〜0.3となるようにEu3+を調し、蛍光体を合成する請求項1に記載の蛍光体の製造方法。
【請求項4】
塩化ユウロピウムと塩化マグネシウムの混合溶液をEu/(Eu+Mg)原子比:0.1〜0.4になるよう所定時間攪拌し、
またメタケイ酸ナトリウムとアルミン酸ナトリウムの混合溶液をAl/(Al+Si)原子比:0.05〜0.3になるよう所定時間攪拌し、
これら塩化ユウロピウムと塩化マグネシウムの混合溶液とメタケイ酸ナトリウムとアルミン酸ナトリウムの混合溶液を(Eu+Mg)/(Al+Si)原子比:0.5〜1.8になるように混合し、所定時間攪拌した後、これをろ過してEu3+付活アルミン酸固溶ケイ酸マグネシウム水和物を生成し、
生成されたEu3+付活アルミン酸固溶ケイ酸マグネシウム水和物を大気圧下で所定の加熱温度、加熱時間での加熱処理を行い、焼結させてEu3+付活アルミン酸固溶ケイ酸マグネシウム蛍光体を合成し、
さらにこれを大気圧下の還元雰囲気下で所定の加熱温度、加熱時間での加熱処理を行い、焼成させてEu2+付活アルミン酸固溶ケイ酸マグネシウム蛍光体を合成することを特徴とする蛍光体の製造方法。
【請求項5】
大気圧下の還元雰囲気は、Ar−Hの雰囲気下であることを特徴とする請求項に記載の蛍光体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な蛍光体とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、主付活剤に対し、一種類または複数種類の共付活剤を添加し、目的の蛍光色で発光する蛍光体を製造する方法が知られ、本願発明者においても、ケイ酸マグネシウムやケイ酸カルシウムに対して様々な元素の共付活剤を添加し、目的色の発光が得られる蛍光体の製造を試みているが、例えば、下記特許文献1には、正ケイ酸アルカリ土類化合物に対してテルビウム及びユウロピウムを付活剤として添加し、目的の蛍光色で発光する蛍光体を製造する方法が開示されている。また、下記特許文献2には、ユウロピウムを主付活し、テルビウムと共付活してケイ酸塩蓄光性の蛍光体を製造する方法が開示されている。
【0003】
ただし、こうした従来の蛍光体の製造方法は、いずれも主剤に対する付活剤の添加により、目的の蛍光色で発光することを内容としているにとどまっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−256151号公報
【特許文献2】特開2008−24790号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、近紫外線で励起し、青色から緑色の範囲で任意の色彩に発光させることを可能とする蛍光体、及びその製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
また本発明の蛍光体の製造方法は、アルミン酸を固溶してなるケイ酸マグネシウムに対し、Eu3+を付活剤として添加し、蛍光体を合成する蛍光体の製造方法であって、アルミン酸を固溶してなるケイ酸マグネシウムのSiに対し、Mgを(Eu+Mg)/(Al+Si)の原子比が0.5〜1.8となるように添加し、合成してなることを特徴としている。
【0011】
本発明の蛍光体の製造方法において、アルミン酸を固溶してなるケイ酸マグネシウムのMgに対してEu3+をEu/(Eu+Mg)の原子比が0.1〜0.4となるように添加し、蛍光体を合成することが好ましい
【0012】
本発明の蛍光体の製造方法において、アルミン酸を固溶してなるケイ酸マグネシウムのSiに対し、AlをAl/Siの原子比0〜0.3となるように添加し、かつ付活剤としてEu/Mgの原子比が0〜0.3となるようにEu3+を調整し、蛍光体を合成することが好ましい
【0014】
本発明の蛍光体の製造方法は、塩化ユウロピウムと塩化マグネシウムの混合溶液をEu/(Eu+Mg)原子比:0.1〜0.4になるよう所定時間攪拌し、またメタケイ酸ナトリウムとアルミン酸ナトリウムの混合溶液をAl/(Al+Si)原子比:0.05〜0.3になるよう所定時間攪拌し、これら塩化ユウロピウムと塩化マグネシウムの混合溶液とメタケイ酸ナトリウムとアルミン酸ナトリウムの混合溶液を(Eu+Mg)/(Al+Si)原子比:0.5〜1.8になるように混合し、所定時間攪拌した後、これをろ過してEu3+付活アルミン酸固溶ケイ酸マグネシウム水和物を生成し、生成されたEu3+付活アルミン酸固溶ケイ酸マグネシウム水和物を大気圧下で所定の加熱温度、加熱時間での加熱処理を行い、焼結させてEu3+付活アルミン酸固溶ケイ酸マグネシウム蛍光体を合成し、さらにこれを大気圧下の還元雰囲気下で所定の加熱温度、加熱時間での加熱処理を行い、焼成させてEu2+付活アルミン酸固溶ケイ酸マグネシウム蛍光体を合成することを特徴としている。
【0015】
本発明の蛍光体の製造方法においては、大気圧下の還元雰囲気を、Ar−H2の雰囲気下とすることが好ましい

【発明の効果】
【0016】
本発明は、青色から緑色の範囲で任意の色彩に発光させることが可能な蛍光体及びその製造方法を実現する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本願発明に係る蛍光体の製造方法における実施例1のフロー図である。
図2】Eu2+付活アルミン酸固溶ケイ酸マグネシウム蛍光体において、Al/(Al+Si)原子比変化により得られた各蛍光体のX線回折図である。
図3】Eu付活ケイ酸マグネシウム蛍光体において、アルミン酸を無添加とし、Eu/(Eu+Mg)原子比0.3で得られた蛍光体の励起・発光スペクトルを示す図である。
図4】Al/(Al+Si)原子比変化により得られた図2に示す蛍光体の励起・発光スペクトルを示す図である。
図5】Eu2+付活アルミン酸固溶ケイ酸マグネシウム蛍光体において、Eu/(Eu+Mg)原子比変化により得られた蛍光体のX線回折図である。
図6】Eu/(Eu+Mg)原子比変化により得られた図5に示す蛍光体の励起・発光スペクトルを示す図である。
図7】Eu2+付活アルミン酸固溶ケイ酸マグネシウム蛍光体において、(Eu/(Eu+Mg)原子比0.2)とし、(Eu+Mg)/(Al+Si)原子比変化により得られた蛍光体のX線回折図である。
図8】(Eu+Mg)/(Al+Si)原子比変化により得られた図7に示す蛍光体の励起・発光スペクトルを示す図である。
図9】Eu2+付活アルミン酸固溶ケイ酸マグネシウム蛍光体において、(Eu/(Eu+Mg)原子比0.3)とし、(Eu+Mg)/(Al+Si)原子比変化により得られた蛍光体のX線回折図である。
図10】(Eu+Mg)/(Al+Si)原子比変化により得られた図9に示す蛍光体の励起・発光スペクトルを示す図である。
図11】(Eu+Mg)/(Al+Si)原子比変化により得られた図7および図9に示す蛍光体のCIE色度図を示す図である。
図12】各条件における発光ピーク波長の変化を示す図である。
図13】Eu2+付活アルミン酸固溶ケイ酸マグネシウム蛍光体において、Eu20%に対してマグネシウムの割合を変化させて製造される蛍光体のブラックライト照射による発光状態を示す図である。
図14】Eu2+付活アルミン酸固溶ケイ酸マグネシウム蛍光体において、Eu30%に対し、(Eu+Mg)/(Al+Si)原子比を変化させ、あるいはマグネシウムの割合を変化させて製造される蛍光体のブラックライト照射による発光状態を示す図である。
図15】製造されるEu2+付活アルミン酸固溶ケイ酸マグネシウム蛍光体において、還元温度をそれぞれ変化させて製造される蛍光体のブラックライト照射による発光状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
ユウロピウムを付活剤として添加し、製造する蛍光体において、Eu3+を付活剤として用いたものは結晶場による影響を受けにくく、安定した赤色発光を示すのに対し、Eu2+を付活剤として用いたものは結晶場による影響を受けやすく、母体結晶により発光色が変化するという特性を有することが確認された。本願の発明者においては、こうした特性に基づき、本願発明者自身がすでに提案している非晶質のケイ酸カルシウムに対し、Eu3+を付活剤として添加し、合成してなる蛍光体(特願2011−139231号)におけるケイ酸カルシウムの一部をアルミン酸に置換し、さらにカルシウムに変えてマグネシウムを用いる方法により、さまざまな実験を行った結果、下記実施形態に係る蛍光体を製造することに成功した。
【0019】
本願発明に係る蛍光体の第1の実施形態は、アルミン酸を固溶してなるケイ酸マグネシウムに対し、Eu3+を付活剤として添加し、蛍光体を合成するものである。
【0020】
本願発明に係る蛍光体の第2の実施形態は、アルミン酸を固溶してなるケイ酸マグネシウムのMgに対してEu3+を、Eu/(Eu+Mg)の原子比が0.1〜0.4となるように添加し、蛍光体を合成するものである。
【0021】
本願発明に係る蛍光体の第3の実施形態は、アルミン酸を固溶してなるケイ酸マグネシウムのSiに対し、AlをAl/(Al+Si)の原子比0.05〜0.3となるように添加し、かつ付活剤としてEu/(Eu+Mg)の原子比が0.1〜0.3となるようにEu3+を調し、蛍光体を合成するものである。
【0022】
本願発明に係る蛍光体の第4の実施形態は、アルミン酸を固溶してなるケイ酸マグネシウムのSiに対し、Mgを(Eu+Mg)/(Al+Si)の原子比が0.5〜2.0となるように添加し、蛍光体を合成するものである。
【0023】
さらに本願発明に係る蛍光体の第5の実施形態は、塩化ユウロピウムと塩化マグネシウムの混合溶液をEu/(Eu+Mg)原子比:0.1〜0.4程度になるよう所定時間攪拌し、またメタケイ酸ナトリウムとアルミン酸ナトリウムの混合溶液をAl/(Al+Si)原子比:0.05〜0.3程度になるよう所定時間攪拌し、これら塩化ユウロピウムと塩化マグネシウムの混合溶液とメタケイ酸ナトリウムとアルミン酸ナトリウムの混合溶液をさらに混合して(Eu+Mg)/(Al+Si)原子比:0.5〜2.0程度になるよう所定時間攪拌した後、これをろ過してEu3+付活アルミン酸固溶ケイ酸マグネシウム水和物を生成し、生成されたEu3+付活アルミン酸固溶ケイ酸マグネシウム水和物を大気圧下で所定の加熱温度、加熱時間での加熱処理を行い、焼結させてEu3+付活アルミン酸固溶ケイ酸マグネシウム蛍光体を合成し、さらにこれを大気圧下の還元雰囲気下で所定の加熱温度、加熱時間での加熱処理を行い、焼成させてEu2+付活アルミン酸固溶ケイ酸マグネシウム蛍光体を合成するものである。ここで大気圧下の還元雰囲気は、Ar−Hの雰囲気とした。
【実施例1】
【0024】
図1は、本願発明に係る上記各実施形態の実施例であり、各蛍光体の製造方法を示すフロー図である。すなわち、この製造方法は、それぞれユウロピウムを付活剤とし、アルミン酸を固溶してなるケイ酸マグネシウム蛍光体を得るものであり、以下その工程を詳述する。
(1)
まず、塩化ユウロピウム‐塩化マグネシウム混合溶液(Eu/(Eu+Mg)原子比:0.1〜0.4:攪拌時間30分)と、メタケイ酸ナトリウム-アルミン酸ナトリウム混合溶液(Al/(Al+Si)原子比:0.05〜0.3:攪拌時間30分)とを混合し、こうして混合された溶液をさらに合成温度を室温で、反応時間30分の間攪拌し、(Eu+Mg)/(Al+Si)原子比:0.5〜2.0の混合溶液を作製する。こうして混合された溶液をろ過し、Eu3+付活アルミン酸固溶ケイ酸マグネシウム水和物を合成する。すなわち、こうして合成された水和物が、上記第1の実施形態に係る、アルミン酸を固溶してなるケイ酸マグネシウムに対しEu3+を付活剤として添加し、合成される蛍光体である(請求項1と5に対応)。
(2)
続いて(1)に基づき、合成されたEu3+付活アルミン酸固溶ケイ酸マグネシウム水和物を加熱温度850℃、加熱時間30分で加熱する。この結果、Eu3+付活アルミン酸固溶非晶質ケイ酸マグネシウム蛍光体が合成されることになる。
(3)
続いて(2)に基づき、合成されたEu3+付活アルミン酸固溶非晶質ケイ酸マグネシウム蛍光体を、さらに1,000℃、保持時間2時間の間、大気圧下で加熱する。加熱の際に蛍光体は、Ar-H2(5%)の雰囲気下に置き、焼成した。この結果、Eu2+付活アルミン酸固溶ケイ酸マグネシウム蛍光体が合成されることとなる(請求項9,10に対応)。
【実施例2】
【0025】
上記図1に係るフロー図の各蛍光体の製造方法において、発明者は上記実施形態2に示すようにアルミン酸を固溶してなるケイ酸マグネシウムのMgに対してEu3+を、Eu/(Eu+Mg) の原子比が0.1〜0.4となるように添加し、蛍光体の合成を行った(請求項2と6に対応)。具体的には、図1に係るフロー図にしたがい、前記実施例1の(1)のプロセスにおける塩化ユウロピウム‐塩化マグネシウム混合溶液とメタケイ酸ナトリウム-アルミン酸ナトリウム混合溶液とを混合する過程において、メタケイ酸ナトリウム-アルミン酸ナトリウム混合溶液のAl/(Al+Si)原子比を例えば0.15等の一定状態にするのに対し、塩化ユウロピウム‐塩化マグネシウム混合溶液のEu/(Eu+Mg)原子比を0,0.1,0.2,0.3,0.4と順次変化させ、前記実施例1の(2)、(3)のプロセスにしたがって各蛍光体の合成を行った。図5は、こうして合成されたEu2+付活アルミン酸固溶ケイ酸マグネシウム蛍光体において、Al/(Al+Si)原子比を0.15とし、還元温度1,000℃、還元時間2時間、Ar-H2(5%)の加熱雰囲気で焼成したものにあって、Eu/(Eu+Mg)原子比を0.2,0.3,0.4と順次変化させて合成した蛍光体の原子比別X線回折図形である。また、図6はこうしてEu/(Eu+Mg)原子比を0.1,0.2,0.3,0.4と順次変化させ、合成して得られた蛍光体の励起・発光スペクトル図である。ここでEu/(Eu+Mg)原子比を増大させる場合において、発光ピーク波長は順次増大することが確認された。
【実施例3】
【0026】
同様に発明者は、上記実施形態3に示すようにアルミン酸を固溶してなるケイ酸マグネシウムのSiに対し、AlをAl/(Al+Si)の原子比0.05〜0.3となるように添加し、かつ付活剤としてEu/(Eu+Mg)の原子比が0.1〜0.3となるようにEu3+を調し、蛍光体の合成を行った(請求項3と7に対応)。具体的には、図1に係るフロー図にしたがい、前記実施例1の(1)のプロセスにおける塩化ユウロピウム‐塩化マグネシウム混合溶液とメタケイ酸ナトリウム-アルミン酸ナトリウム混合溶液とを混合する過程において、塩化ユウロピウム‐塩化マグネシウム混合溶液のEu/(Eu+Mg)原子比を0,0.1,0.2,0.3と順次変化させ、一方でメタケイ酸ナトリウム-アルミン酸ナトリウム混合溶液中のSiに対し、AlをAl/(Al+Si)原子比0,0.05,0.10,0.15,0.20,0.30と順次変化させ、前記実施例1の(2)、(3)のプロセスにしたがって各蛍光体の合成を行った。図2は、こうして合成されたEu2+付活アルミン酸固溶ケイ酸マグネシウム蛍光体において、Eu/(Eu+Mg)原子比を0.3とし、還元温度1,000℃、還元時間2時間、Ar-H2(5%)の加熱雰囲気で焼成したものにあって、Al/(Al+Si)原子比0,0.05,0.10,0.15,0.20,0.30と順次変化させて合成した蛍光体の原子比別X線回折図形である。また、図4はこうしてAl/(Al+Si)原子比を0.05,0.10,0.15,0.20,0.30と順次変化させ、合成して得られた蛍光体の励起・発光スペクトル図である。これに対し、図3はEu/(Eu+Mg)原子比を0.3とし、還元温度1,000℃、還元時間2時間、Ar-H2(5%)の加熱雰囲気で焼成したものにあって、Al/(Al+Si)原子比0として合成した蛍光体の励起・発光スペクトル図である。このような結果から、アルミン酸が無添加の状態においては、Eu2+が還元されていないことが確認できる。



【実施例4】
【0027】
さらに発明者は、上記実施形態4に示すように、アルミン酸を固溶してなるケイ酸マグネシウムのSiに対し、Mgを(Eu+Mg)/(Al+Si)の原子比が0.5〜2.0となるように添加し、蛍光体の合成を行った(請求項4と8に対応)。具体的には、図1に係るフロー図にしたがい、前記実施例1の(1)のプロセスにおける塩化ユウロピウム‐塩化マグネシウム混合溶液とメタケイ酸ナトリウム-アルミン酸ナトリウム混合溶液とを混合する過程において、塩化ユウロピウム‐塩化マグネシウム混合溶液のEu/(Eu+Mg)原子比を例えば0.2や0.3等とし、メタケイ酸ナトリウム-アルミン酸ナトリウム混合溶液Al/(Al+Si)原子比0.15とし、こうして混合された溶液をさらに合成温度を室温で、反応時間30分の間攪拌する過程において、(Eu+Mg)/(Al+Si)原子比を0.5,0.8,1.0,1.2,1.5,1.8,2.0と順次変化させて混合溶液を作製し、前記実施例1の(2)、(3)のプロセスにしたがって各蛍光体の合成を行った。図7は、こうして合成されたEu2+付活アルミン酸固溶ケイ酸マグネシウム蛍光体において、Eu/(Eu+Mg)原子比を0.2とし、Al/(Al+Si)原子比を0.15とし、還元温度1,000℃、還元時間2時間、Ar-H2(5%)の加熱雰囲気で焼成したものにあって、(Eu+Mg)/(Al+Si)原子比を0.5,0.8,1.0,1.2,1.5,1.8,2.0と順次変化させて合成した蛍光体の原子比別X線回折図形である。また、図8はこうして(Eu+Mg)/(Al+Si)原子比を0.5,0.8,1.2,2.0と順次変化させ、合成して得られた蛍光体の励起・発光スペクトル図である。この結果から、(Eu+Mg)/(Al+Si)原子比の増大にともない、発光強度は増大し、また発光ピークの波長も長波長側にシフトすることが確認できた。
【0028】
また図9は、こうして合成されたEu2+付活アルミン酸固溶ケイ酸マグネシウム蛍光体において、Eu/(Eu+Mg)原子比を0.3とし、Al/(Al+Si)原子比を0.15とし、還元温度1,000℃、還元時間2時間、Ar-H2(5%)の加熱雰囲気で焼成したものにあって、(Eu+Mg)/(Al+Si)原子比を0.5,0.8,1.0,1.2,1.5,1.8,2.0と順次変化させて合成した蛍光体の原子比別X線回折図形である。また、図10はこうして(Eu+Mg)/(Al+Si)原子比を0.5,1.0,1.5,1.8,2.0と順次変化させ、合成して得られた蛍光体の励起・発光スペクトル図である。この結果からも、(Eu+Mg)/(Al+Si)原子比の増大にともない、発光強度は増大し、また発光ピークの波長も長波長側にシフトすることが確認できた。
【0029】
ここで図11は、(Eu+Mg)/(Al+Si)原子比変化により得られた図7あるいは図9に示す蛍光体のCIE色度図(参考写真1参照)であり、また図12(参考写真2参照)は、各条件における発光ピーク波長の変化を示す図である。また図13は、Eu2+付活アルミン酸固溶ケイ酸マグネシウム蛍光体において、Eu/(Eu+Mg)原子比0.2に対してマグネシウムの割合を変化させて製造される蛍光体のブラックライト照射による発光状態を示す図であり、図13(a)はEu/(Eu+Mg)原子比0.2に対してAl/(Al+Si)原子比を0.15に、Mgを(Eu+Mg)/(Al+Si)原子比を0.5として合成される蛍光体(参考写真3a参照)、図13(b)はEu/(Eu+Mg)原子比0.2に対してAl/(Al+Si)原子比を0.15に、Mgを(Eu+Mg)/(Al+Si)原子比を1.0として合成される蛍光体(参考写真3b参照)、図13(c)はEu/(Eu+Mg)原子比0.2に対してAl/(Al+Si)原子比を0.15に、Mgを(Eu+Mg)/(Al+Si)原子比を2.0として合成される蛍光体(参考写真3c参照)である。また図14は、Eu2+付活アルミン酸固溶ケイ酸マグネシウム蛍光体において、Eu/(Eu+Mg)原子比0.3に対し、(Eu+Mg)/(Al+Si)原子比を変化させ、あるいはマグネシウムの割合を変化させて製造される蛍光体のブラックライト照射による発光状態を示す図であり、図14(a)は(Eu+Mg)/(Al+Si)原子比を0.5として合成される蛍光体(参考写真4a参照)、図14(b)は(Eu+Mg)/(Al+Si)原子比を2.0として合成される蛍光体(参考写真4b参照)、図14(c)はEu/(Eu+Mg)原子比0.3に対してMgを(Eu+Mg)/(Al+Si)原子比を1.5として合成される蛍光体(参考写真4c参照)、図14(d)はEu/(Eu+Mg)原子比0.3に対してMgを(Eu+Mg)/(Al+Si)原子比を1.8として合成される蛍光体(参考写真4d参照)である。また図15は、Eu/(Eu+Mg)原子比0.2として製造されるEu2+付活アルミン酸固溶ケイ酸マグネシウム蛍光体において、還元温度をそれぞれ変化させて製造される蛍光体のブラックライト照射による発光状態を示す図であり、図15(a)は還元温度を900℃の蛍光体(参考写真5a参照)、図15(b)は還元温度を950℃の蛍光体(参考写真5b参照)、図15(c)は還元温度を1,000℃の蛍光体(参考写真5c参照)、図15(d)は還元温度を1,200℃の蛍光体(参考写真5d参照)ある。
【0030】
こうした実施例1ないし4に示すEu2+付活アルミン酸固溶ケイ酸マグネシウム蛍光体の合成結果のうち、実施例2に示すEu/(Eu+Mg)原子比を0.1〜0.4と順次増大させて変化させるのにともない、発光強度が増大し、蛍光体の励起・発光ピーク波長のシフトに変化が見られないことが確認された(図6参照)。また実施例3に示すようにAl/(Al+Si)原子比を0.05〜0.30と順次増大させる場合において、Al/(Al+Si)原子比0.15のものが最も良好な励起・発光状態にあることが確認された(図4参照)。
【0031】
また、実施例4に示す(Eu+Mg)/(Al+Si)原子比を0.5〜2.0と順次増大させる場合において、図8に示すものでは(Eu+Mg)/(Al+Si)原子比2.0のものが、図10に示すものでは(Eu+Mg)/(Al+Si)原子比1.5のものが最も良好な励起・発光状態にあることがそれぞれ確認された。
【0032】
さらに図11図12に示す結果から、Eu/(Eu+Mg)原子比0.2の場合で(Eu+Mg)/(Al+Si)原子比を0.5〜2.0へと順次変化させる場合において、励起・発光のピークを480nm〜512nmの範囲で変化させ、またEu/(Eu+Mg)原子比0.3の場合で(Eu+Mg)/(Al+Si)原子比を0.5〜1.8へと順次変化させる場合において、励起・発光のピークを479nm〜520nmの範囲で変化できることが確認された。
【0033】
さらに加えて、図13(a)〜(c)で示すように、Eu2+付活アルミン酸固溶ケイ酸マグネシウム蛍光体において、Eu/(Eu+Mg)原子比を0.2に対してマグネシウムの割合を変化させて増大させることで製造される蛍光体の発光強度を増大できることが確認でき、発光色も青から緑に順次変化できることが確認された。また図14(a)〜(d)の結果から(Eu+Mg)/(Al+Si)原子比の増大に伴って発光強度が増加できるものの、(Eu+Mg)/(Al+Si)原子比2.0で濃度消光が生じることが確認された。また図15(a)〜図15(d)から還元温度を900℃〜1,200℃の範囲で変化させる場合において、還元温度が高くなるに伴って発光強度も増し、図11図12に示すように励起・発光のピークを高波長にシフトできることも確認された。
【0034】
このように上記各実施例に基づき、合成される各蛍光体おいて、Al/(Al+Si)原子比やEu/(Eu+Mg)原子比、さらには(Eu+Mg)/(Al+Si)原子比や蛍光体の還元温度を変化させることで、図11に示すように近紫外線の照射に基づき、青色から緑色の範囲において任意の色彩に発光させることが可能となり、またその発光ピークや発光強度も変化させることが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明に係る蛍光体及びその製造方法により、得られる蛍光体は、アルミン酸を固溶してなるケイ酸マグネシウムに対し、Eu3+を付活剤として添加し、合成してなる蛍光体にあって、ケイ酸マグネシウムに対するEu3+の添加量等により、近紫外線の照射に基づき、青色から緑色の範囲において任意の色彩に発光させることが可能となるため、極めて有用である。よって、EL素子用の蛍光体、バックライト用のパネル、面発光体、照明体、掲示板などの材料として任意の配色による蛍光体を得ることが可能となる。
図1
図2
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図4
図5
図6
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図15