特許第5871385号(P5871385)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5871385
(24)【登録日】2016年1月22日
(45)【発行日】2016年3月1日
(54)【発明の名称】発振器およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01M 7/02 20060101AFI20160216BHJP
【FI】
   G01M7/00 B
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-91519(P2012-91519)
(22)【出願日】2012年4月13日
(65)【公開番号】特開2013-221762(P2013-221762A)
(43)【公開日】2013年10月28日
【審査請求日】2014年12月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】304039065
【氏名又は名称】カヤバ システム マシナリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067367
【弁理士】
【氏名又は名称】天野 泉
(74)【代理人】
【識別番号】100122323
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 憲
(72)【発明者】
【氏名】関根 隆博
【審査官】 田中 秀直
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−231981(JP,A)
【文献】 特開2011−033467(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のチャンネル毎に波形を設定する波形設定手段と、
上記波形設定手段に設定された上記各チャンネルの波形からデジタル制御信号を生成して出力する信号生成手段と、
上記チャンネルに一対一の関係で対応する複数の出力ポートを有して上記デジタル制御信号を対応するチャンネルのアナログ制御信号に変換して上記各出力ポートから出力するD/Aボードと、
上記各チャンネルのうち一つを選択して当該選択されたチャンネルの波形の出力回数を含む波形出力条件を設定する条件設定手段とを備え、
上記信号生成手段は、上記選択チャンネルの波形については上記条件設定手段で設定された出力回数分のデジタル制御信号を出力するとともに、各非選択チャンネルの波形については上記選択チャンネルの波形を上記出力回数出力するために要する総出力時間を上記非選択チャンネルの波形の一回当たりの出力時間で割って得た回数分だけデジタル制御信号を出力する
ことを特徴とする発振器。
【請求項2】
複数のチャンネル毎に波形を設定する波形設定手段と、
上記波形設定手段に設定された上記各チャンネルの波形からデジタル制御信号を生成して出力する信号生成手段と、
上記チャンネルに一対一の関係で対応する複数の出力ポートを有して上記デジタル制御信号を対応するチャンネルのアナログ制御信号に変換して上記各出力ポートから出力するD/Aボードと、
上記波形設定手段で設定した上記各チャンネルの各波形を波形セットとして複数の波形セットを記憶する記憶手段と、
上記波形セットの出力順と出力回数でなる波形セット出力条件を設定する波形セット出力条件設定手段とを備え、
上記信号生成手段は、上記波形セット出力条件に則って上記デジタル信号を生成出力する
ことを特徴とする発振器。
【請求項3】
ディスプレイ装置を備え、
上記波形セット出力条件設定手段は、上記ディスプレイ装置の画面に上記波形セット出力条件を入力可能な入力欄を表示する
ことを特徴とする請求項2に記載の発振器。
【請求項4】
複数のチャンネル毎に波形を設定する波形設定手段と、
上記各チャンネルのうち一つを選択して上記選択されたチャンネルの波形の出力回数を含む波形出力条件を設定する条件設定手段と、
上記波形設定手段に入力された上記各チャンネルの波形からデジタル制御信号を生成し、上記選択チャンネルの波形については上記条件設定手段で設定された出力回数分のデジタル制御信号を出力するとともに、各非選択チャンネルの波形については上記選択チャンネルの波形を上記出力回数出力するために要する総出力時間を上記非選択チャンネルの波形の一回当たりの出力時間で割って得た回数分だけデジタル制御信号を出力する信号生成手段
としてコンピュータを機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項5】
複数のチャンネル毎に波形を設定する波形設定手段と、
上記波形設定手段で設定した上記各チャンネルの各波形を波形セットとして複数の波形セットを記憶する記憶手段と、
上記波形セットの出力順と出力回数でなる波形セット出力条件を設定する波形セット出力条件設定手段と、
上記波形設定手段に入力された各チャンネルの波形および上記波形セット出力条件に則ってデジタル信号を生成して出力する信号生成手段
としてコンピュータを機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項6】
ディスプレイ装置の画面上に上記波形セット出力条件を入力可能な入力欄を表示させる上記波形セット出力条件設定手段
としてコンピュータを機能させることを特徴とする請求項5に記載のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発振器および発振器に適するプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に試験片を加振する振動試験機等のアクチュエータへ与える制御指令を生成するために発振器が用いられる。
【0003】
この種の発振器は、発振信号として振動電圧を一つしか出力することができず、発振信号を二つの可変ボリュームへ入力し、可変ボリュームから出力された信号をアンプで増幅してアクチュエータへ与える制御信号を得るようになっている(たとえば、特許文献1参照)。
【0004】
このように、発振信号を複数の可変ボリュームへ入力することで、信号電圧の振幅を調節することができ、複数のアクチュエータを制御することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−133356号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の発振器は、一つの発振信号しか出力しないので、可変ボリュームで振幅を調節することができると言っても、複数のアクチュエータで位相の異なる振動を試験片に与えることができないので、このような場合には、発振器をアクチュエータの数だけ用意しなければならないから、コストが嵩むとともにスペースも余計に必要となるし、全ての発振器に振動波形や出力回数を入力する必要があるので、試験設定が非常に面倒である。
【0007】
そこで、本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、低コスト且つ省スペースであって設定が簡単な発振器および発振器に向くプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した目的を達成するため、本発明の課題解決手段における発振器は、複数のチャンネル毎に波形を設定する波形設定手段と、上記波形設定手段に設定された上記各チャンネルの波形からデジタル制御信号を生成して出力する信号生成手段と、上記チャンネルに一対一の関係で対応する複数の出力ポートを有して上記デジタル制御信号を対応するチャンネルのアナログ制御信号に変換して上記各出力ポートから出力するD/Aボードと、上記各チャンネルのうち一つを選択して当該選択されたチャンネルの波形の出力回数を含む波形出力条件を設定する条件設定手段とを備え、上記信号生成手段は、上記選択チャンネルの波形については上記条件設定手段で設定された出力回数分のデジタル制御信号を出力するとともに、各非選択チャンネルの波形については上記選択チャンネルの波形を上記出力回数出力するために要する総出力時間を上記非選択チャンネルの波形の一回当たりの出力時間で割って得た回数分だけデジタル制御信号を出力することを特徴とする。また、本発明の課題解決手段における他の発振器は、複数のチャンネル毎に波形を設定する波形設定手段と、上記波形設定手段に設定された上記各チャンネルの波形からデジタル制御信号を生成して出力する信号生成手段と、上記チャンネルに一対一の関係で対応する複数の出力ポートを有して上記デジタル制御信号を対応するチャンネルのアナログ制御信号に変換して上記各出力ポートから出力するD/Aボードと、上記波形設定手段で設定した上記各チャンネルの各波形を波形セットとして複数の波形セットを記憶する記憶手段と、上記波形セットの出力順と出力回数でなる波形セット出力条件を設定する波形セット出力条件設定手段とを備え、上記信号生成手段は、上記波形セット出力条件に則って上記デジタル信号を生成出力することを特徴とする。
【0009】
また、本発明の課題解決手段におけるプログラムは、複数のチャンネル毎に波形を設定する波形設定手段と、上記各チャンネルのうち一つを選択して上記選択されたチャンネルの波形の出力回数を含む波形出力条件を設定する条件設定手段と、上記波形設定手段に入力された上記各チャンネルの波形からデジタル制御信号を生成し、上記選択チャンネルの波形については上記条件設定手段で設定された出力回数分のデジタル制御信号を出力するとともに、各非選択チャンネルの波形については上記選択チャンネルの波形を上記出力回数出力するために要する総出力時間を上記非選択チャンネルの波形の一回当たりの出力時間で割って得た回数分だけデジタル制御信号を出力する信号生成手段としてコンピュータを機能させることを特徴とする。さらに、本発明の課題解決手段における他のプログラムは、複数のチャンネル毎に波形を設定する波形設定手段と、
上記波形設定手段で設定した上記各チャンネルの各波形を波形セットとして複数の波形セットを記憶する記憶手段と、上記波形セットの出力順と出力回数でなる波形セット出力条件を設定する波形セット出力条件設定手段と、上記波形設定手段に入力された各チャンネルの波形および上記波形セット出力条件に則ってデジタル信号を生成して出力する信号生成手段としてコンピュータを機能させることを特徴とする。
【0010】
したがって、この発振器にあっては、オペレータは、アクチュエータへ入力したい振動を一つの発振器で一元的に設定することができ、波形設定が非常に容易となるとともに、一つの発振器で足りるのでコストを低減できるだけでなくスペースもその分取らずに済む。また、コンピュータにプログラムを実行させることで、コンピュータを波形設定手段および信号生成手段として機能させることができることから、汎用性に富むコンピュータを発振器の一構成とすることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の発振器によれば、低コスト且つ省スペースであって波形の設定が簡単となる。また、本発明のプログラムによれば、汎用性に富むコンピュータを発振器の一構成とすることができので、発振器のコストをより一層低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施の形態における発振器の構成を示す図である。
図2】本発明の一実施の形態における発振器を構成するコンピュータのハードウェア構成例を示す図である。
図3】波形を入力するための設定画面を説明する図である。
図4】波形セット出力条件を設定するための設定画面を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図に示した実施の形態に基づき、本発明を説明する。一実施の形態における発振器1は、図1に示すように、基本的には、六個のチャンネル毎に波形を設定する波形設定手段2と、波形設定手段2に設定された各チャンネルの波形からD/Aボード4へ入力するデジタル制御信号を生成して出力する信号生成手段3と、上記チャンネルに一対一の関係で対応する複数の出力ポート41,42,43,44,45,46を有して上記デジタル制御信号を対応するチャンネルのアナログ制御信号に変換して各出力ポート41,42,43,44,45,46から出力するD/Aボード4とを備えて構成され、出力ポート41,42,43,44,45,46にそれぞれ接続された図示しないアクチュエータへアナログ制御信号を与えるようになっている。
【0014】
つまり、この発振器1にあっては、六個のチャンネル毎に発振器1のオペレータが希望する波形を設定すると、設定された波形がチャンネルに対応する出力ポート41,42,43,44,45,46から出力され、図外の六個のアクチュエータを設定波形通りに伸縮作動させることができるようになっている。また、この実施の形態の発振器1にあっては、上記以外にも、波形出力条件を設定する条件設定手段5、波形設定手段2で設定した各チャンネルの各波形を波形セットとして複数の波形セットを記憶する記憶手段6と、波形セットの出力順と出力回数でなる波形セット出力条件を設定する波形セット出力条件設定手段7とを備えている。
【0015】
以下、各部について詳しく説明する。波形設定手段2と信号生成手段3は、図2に示すように、この実施の形態の場合、コンピュータCがインストールされている所定のプログラムを実行することで実現される。コンピュータCは、具体的にはたとえば、CPU10と、CPU10が演算を行う際に記憶領域を提供するRAM11と、ハードディスク等の記憶装置12と、ディスプレイ装置13と、マウスやキーボードなどといった入力装置14と、DVD等といった記憶媒体からデータを読み出すことが可能なDVDディスクドライブ等といったデータ読出装置15と、これらを接続するバスライン16とを備えて構成される。
【0016】
波形設定手段2は、ディスプレイ装置13の画面上に六チャンネル分の波形入力エリアを表示させ、オペレータにチャンネル毎に波形を設定できる環境を提供する。具体的には、図3に示すように、ディスプレイ装置13に表示される各チャンネルの波形入力エリアA1,A2,A3,A4,A5,A6にオペレータが波形を入力することで各チャンネルの波形が設定されるようになっている。また、この発振器1にあっては、予めいくつかのサンプル波形が記憶装置7に記憶されており、このサンプル波形を呼び出して波形表示エリアA1,A2,A3,A4,A5,A6に表示させるとともに、波形表示エリアA1,A2,A3,A4,A5,A6内でマウスなどのポインティングデバイスで指示することで振幅を変更することができるようになっている。サンプル波形は、たとえば、ランプ波、三角波、矩形波、正弦波等とされる。波形は、一周期分に限られず、数周期分で一つの波形として設定することができる。したがって、数周期に亘って徐々に振幅が小さくなるような波形を一波形としてチャンネルに設定することができる。なお、波形設定手段2にあっては、オペレータが設計した波形を自ら入力することができるようになっていてもよく、また、予めDVD等の記録媒体に記録された波形データをデータ読出装置15で読み取り、この読み取った波形をチャンネルに設定するようにしてもよい。
【0017】
また、条件設定手段5は、ディスプレイ装置13の画面上に波形出力条件を入力可能な入力欄を表示して、オペレータに波形出力条件を設定できる環境を提供する。オペレータは、この画面上で各チャンネルの波形を出力させる上で必要となる波形出力条件を入力することができるようになっており、この実施の形態では、六個のチャンネルのうち出力時間の基準となるチャンネルをいずれにするかを選択し、各チャンネルの波形の周波数と選択されたチャンネルの波形の出力回数でなる波形出力条件を設定する。
【0018】
そして、このように、各チャンネルの波形が全て設定され、波形出力条件が設定されると、オペレータが希望すれば、発振器1は、これら各チャンネルの波形群で一つの波形セットとして記憶装置12に記憶させ、これで記憶手段6を構成している。波形セットは、いくつ作成してもよく、記憶装置12に記憶させておくことができる。
【0019】
波形セット出力条件設定手段7は、ディスプレイ装置13の画面上に波形セット出力条件を入力可能な入力欄を表示して、オペレータに波形セット出力条件を設定できる環境を提供する。オペレータは、この画面上で波形セットを出力させる順番と出力回数でなる波形セット出力条件を入力することができるようになっており、この実施の形態では、図4に示すように、ディスプレイ装置13の画面上に、出力する波形セットを登録する登録欄Tと出力回数を入力する入力欄Nとを含む行が上下方向に多数列を形成しており、この行の登録欄Tに出力したい波形セットを登録すると、登録順に各波形セットがその行の入力欄Nに入力した回数出力される。よって、ある波形セットAとある波形セットBを交互に2回出力させるとともに波形セットAについては一回ごとに2回出力させたい場合、図4に示すように、一列目の行の登録欄Tに波形セットAを登録し、その行の入力欄Nに2を入力し、二列目の行の登録欄Tに波形セットBを登録し、その行の入力欄Nに1を入力し、三列目の行の登録欄Tに波形セットAを登録し、その行の入力欄Nに2を入力し、四列目の行の登録欄Tに波形セットBを登録し、その行の入力欄Nに1を入力すればよい。このように、波形セットは何度の選択することができ、組み合わせもオペレータの希望によって自由に決定することができる。
【0020】
全ての入力作業が終了し、オペレータが制御信号の出力を希望すると、信号生成手段3は、波形出力条件と波形セット出力条件に則って六チャンネル分のデジタル制御信号を出力する。
【0021】
具体的には、信号生成手段3は、図4に示した波形セット出力条件に沿ってデジタル制御信号を出力する場合、まず、一列目の行の登録欄Tに登録した波形セットAを記憶装置12から読み込み、さらに、波形セットA内の選択チャンネルの波形については条件設定手段5で設定された出力回数分のデジタル制御信号を出力するとともに、各非選択チャンネルの波形については選択チャンネルの波形を上記出力回数分出力するために要する総出力時間を非選択チャンネルの波形の一回当たりの出力時間で割って得た回数分だけデジタル制御信号を出力する。
【0022】
このようなデジタル制御信号の出力について詳しく説明する。まず、波形セットAにおける各波形h1,h2,h3,h4,h5,h6を考える。
【0023】
選択チャンネルにおける波形を波形h1とし、波形h1は、2周期分の波形であって、波形出力条件における周波数は1Hzで、出力回数が1000回とする。波形h2は、1周期分の波形であって、波形出力条件における周波数は0.5Hzとする。波形h3は、5周期分の波形であって、波形出力条件における周波数は2Hzとする。波形h4は、10周期分の波形であって、波形出力条件における周波数は20Hzとする。波形h5は、2周期分の波形であって、波形出力条件における周波数は4Hzとする。波形h6は、2周期分の波形であって、波形出力条件における周波数は0.1Hzとする。
【0024】
すると、波形セットAを一回分出力するには、基準となる選択チャンネルの波形h1が2周期分の波形であって、波形出力条件における周波数は1Hzで、出力回数が1000回であるので、波形h1を総出力時間にして2000秒出力すればよい。すると、波形h2については、波形h2が、1周期分の波形であって、波形出力条件における周波数が0.5Hzであるので、波形h2一回当たりの出力時間は2秒であるから、波形h2を2000秒÷2秒=1000回出力すればよい。波形h3については、波形h3が、5周期分の波形であって、波形出力条件における周波数が2Hzであるので、波形h3一回当たりの出力時間は2.5秒であるから、波形h3を2000秒÷2.5秒=800回出力すればよい。波形h4については、波形h4が、10周期分の波形であって、波形出力条件における周波数が20Hzであるので、波形h4一回当たりの出力時間は0.5秒であるから、波形h4を2000秒÷0.5秒=4000回出力すればよい。波形h5については、波形h5が、2周期分の波形であって、波形出力条件における周波数が4Hzであるので、波形h5一回当たりの出力時間は0.5秒であるから、波形h5を2000秒÷0.5秒=4000回出力すればよい。波形h6については、波形h6が、2周期分の波形であって、波形出力条件における周波数が0.1Hzであるので、波形h6一回当たりの出力時間は20秒であるから、波形h6を2000秒÷20秒=100回出力すればよい。
【0025】
このように波形セットA内でチャンネルが選択され、選択されたチャンネルの波形の出力回数、全てのチャンネルにおける波形の周波数が決まっていれば、波形セットAを一回出力する際における各チャンネルの各波形h1,h2,h3,h4,h5,h6のそれぞれの出力回数を決めることができるから、信号生成手段3は、上記の如くの演算を行って得た出力回数にしたがって各波形h1,h2,h3,h4,h5,h6を出力する。
【0026】
この例では、波形セットAの出力回数は2回と設定されているので、信号生成手段3は、波形セットAの第一回目の出力が終了すると、引き続き、シームレスに第二回目の波形セットAの各チャンネルの各波形h1,h2,h3,h4,h5,h6を上記と同様の回数分だけ出力する。波形セットAの第二回名の出力が終了すると、信号生成手段3は、引き続き、シームレスに次に出力すべき波形セットBの各チャンネルの各波形を上記と同様の手順で各波形の出力回数を求めて当該出力回数分だけ出力する。このように、信号生成手段3は、波形セット出力条件と波形出力条件に則ってデジタル制御信号をD/Aボード4へ出力する。
【0027】
D/Aボード4は、信号生成手段3で生成したデジタル信号の入力を受ける入力ポート47と、各チャンネルに一対一の関係で対応する六個の出力ポート41,42,43,44,45,46と、デジタル信号をアナログ信号へ変換する変換処理部48とを備えている。変換処理部48は、入力ポート47を介して受け取った信号生成手段3が生成する六個の波形を実現するためデジタル制御信号を各出力ポート41,42,43,44,45,46のアナログの電圧信号或いは電流信号へ変換する処理を行う。
【0028】
したがって、この発振器1にあっては、オペレータは、図外の六個のアクチュエータへ入力したい振動を一つの発振器1で一元的に設定することができ、波形設定が非常に容易となるとともに、一つの発振器1で足りるのでコストを低減できるだけでなくスペースもその分取らずに済む。よって、この発振器1によれば、低コスト且つ省スペースであって波形の設定が簡単となる。また、コンピュータにプログラムを実行させることで、コンピュータを波形設定手段2、信号生成手段3、条件設定手段5、記憶手段6、波形セット出力条件設定手段7として機能させることができることから、汎用性に富むコンピュータを発振器1の一構成とすることができ、より発振器1のコストをより一層低減することができる。
【0029】
また、複数の発振器を用いる場合、各波形を同時に出力開始するのが難しいが、この発振器1では、各波形を同時に出力開始することができるので、面倒な設定や出力管理が不要となる。
【0030】
なお、条件設定手段5、記憶手段6および波形セット出力条件設定手段7を設けずとも、各チャンネルの波形を設定して、各波形で図外のアクチュエータを駆動するための制御信号を生成することができるので、波形設定手段2、信号生成手段3とD/Aボード4を備えていれば足りる。
【0031】
しかしながら、条件設定手段5を備えることで、各チャンネルの波形の全てに対して出力回数を設定する手間が無く、選択されたチャンネルの波形の出力が終了時間に合わせて各チャンネルの波形の出力も停止するので、出力回数の設定の手間が省けるとともに煩わしい出力回数の割り出しも自動で行える。
【0032】
さらに、記憶手段6を備えているので、オペレータが予め複数の波形セットを発振器1に記憶させておくことができ、必要な時に波形セットを呼び出して使用することができ、波形の設定が非常に簡単となる。
【0033】
また、波形セット出力条件設定手段7を設けているので、いくつかの波形セットの波形を連続して出力することができるようになり、いちいち、一回のテストが終了する毎に波形を設定する必要もなく、試験片に異なる条件での加振を連続的に行うことができる。
【0034】
なお、上記したディスプレイ装置13の画面上の表示は、一例であって上記に限定されるものではない。また、チャンネル数は、六個でなくともよく、複数であればよい。
【0035】
以上で、本発明の実施の形態についての説明を終えるが、本発明の範囲は図示されまたは説明された詳細そのものには限定されないことは勿論である。
【符号の説明】
【0036】
1 発振器
2 波形設定手段
3 信号生成手段
4 D/Aボード
41,42,43,44,45,46 出力ポート
5 条件設定手段
6 記憶手段
7 波形セット出力条件設定手段
C コンピュータ
図1
図2
図3
図4