特許第5871386号(P5871386)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社オメガの特許一覧

<>
  • 特許5871386-電極の給電機構 図000002
  • 特許5871386-電極の給電機構 図000003
  • 特許5871386-電極の給電機構 図000004
  • 特許5871386-電極の給電機構 図000005
  • 特許5871386-電極の給電機構 図000006
  • 特許5871386-電極の給電機構 図000007
  • 特許5871386-電極の給電機構 図000008
  • 特許5871386-電極の給電機構 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5871386
(24)【登録日】2016年1月22日
(45)【発行日】2016年3月1日
(54)【発明の名称】電極の給電機構
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/46 20060101AFI20160216BHJP
   C25B 11/02 20060101ALI20160216BHJP
【FI】
   C02F1/46 Z
   C25B11/02 302
【請求項の数】1
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-92550(P2012-92550)
(22)【出願日】2012年4月16日
(65)【公開番号】特開2013-220373(P2013-220373A)
(43)【公開日】2013年10月28日
【審査請求日】2014年8月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】399049981
【氏名又は名称】株式会社オメガ
(72)【発明者】
【氏名】中村 信一
【審査官】 井上 能宏
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第04822473(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0119377(US,A1)
【文献】 特開平11−188364(JP,A)
【文献】 特開2007−309775(JP,A)
【文献】 特表2008−534264(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/00〜 1/78
C25B 9/00〜11/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体に電気を流す電極(1)と、外部電源装置に電気的に接続される電極端子シャフト(2)との間の空間に拡縮可能な導電性付勢手段(3)を介在させて、前記電極(1)と電極端子シャフト(2)とを導電性付勢手段(3)を介して電気的な導通状態とするようにし、前記拡縮可能な導電性付勢手段(3)として、捩じりの電線(6)の間に金属製のウィスカー(7)を巻き込んだ螺旋状の線状体を用いたことを特徴とする電極の給電機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、排水の電気分解による浄化などに利用できる電極の給電機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、殺菌力を有する電解水の製造や、廃水、養殖水槽水、風呂、プール水、冷却用水、合併処理水槽水等の浄化、浄水に使用される電解装置に関する提案があった(特許文献1)。
すなわち、従来、殺菌力を有する電解水の製造や、廃水、養殖水槽水、風呂、プール水、冷却用水、合併処理水槽水等の浄化、浄水に使用される電解装置としては、機能水(アルカリイオン水や強酸性水)の生成においては、処理電流が小さなことから、陽極として導電性接着剤により電極端子が形成されたフェライト電極が使用され、電極間に隔膜を配置して電気分解を行う隔膜電解が実施されるようになっている。
また、弱酸性又は中性の殺菌、洗浄用水の生成や廃水や各種用水の浄化、殺菌においては、処理電流が大きく、前記フェライト電極を用いると、前記導電性接着剤による接合部分の抵抗が大きく、発熱、冷却が繰り返されることになり、導電性接着剤と電極端子およびフェライト電極との接合が、その熱膨張係数の違いにより外れて、その間隙に用水が侵入することにより接続抵抗が増大するとともに、前記導電性接着剤自身が耐薬品性に劣っているため、電解した用水に溶出してしまい、すぐに使用不能となる。
そのため、電極端子を溶接又はねじ加工等により形成しやすく、電気分解における溶出のある程度少ないチタン表面に白金メッキを施した白金メッキチタン電極が使用され、前記隔膜を使用しない電気分解が実施されている。
これら陽極における耐溶出性の高い金属の順位は、白金>フェライト>鉛>チタンの順であり、高価な白金が最も強いことから、これをチタン表面にメッキして前記したように陽極として使用されているが、これら白金メッキチタン電極を、処理電流を大きくし、電極に印加される電圧を大きくして使用すると、前記白金メッキが剥離し、チタンが溶出して陽極電極が腐食してしまうという問題がある。
これを防止するためには、電解装置によって処理される用水に、食塩等の電解質を適宜添加し、用水の電気伝導度を向上させなければならないという問題があった。
この提案は上記した問題点に着目してなされたもので、電極端子と電極板との接続抵抗が低く、かつ電気伝導度の低い用水や、用水に添加される電解質を少なくした低電気伝導度の条件下においても、大きな処理電流を長期に渡って流して電解処理できる電解装置を提供することを目的としている。
上記した問題を解決するために、この提案の電解装置は、所定の間隔にて配置された電極板間に電圧を印加して、前記電極板間に存在する用水の電気分解を行う電解装置において、少なくとも陽極の前記電極板がフェライト電極であって、このフェライト電極には少なくとも1つの孔部が形成され、前記孔部と孔部に挿入された電極端子先端部との間隙が、前記電極端子の挿入により変形する導電性の金属結合部材により埋められて、前記フェライト電極と電極端子とが導通、一体化されていることを特徴としている。この特徴によれば、前記金属結合部材が電極端子の挿入により変形し、電極端子先端部と前記孔部との間隙が埋められるため、電極端子と電極板とを導通抵抗の著しく低い金属単体で接続でき、接続部の発熱が効果的に抑えられる。また、これら金属結合部材の熱膨張係数は、フェライト電極や電極端子の熱膨張係数とほぼ同等であり、例え発熱により膨張しても、両者間に間隙が発生せず、その接合部に用水が侵入して接続抵抗の上昇をまねくことがない。そのため、フェライト電極に長期に渡って大きな電流を流すことができるようになり、結果的に電解質等を用水に添加することなく、或いは可能な限り少ない量として電気分解処理を実施できるようになる。
この提案によれば、前記金属結合部材が電極端子の挿入により変形し、電極端子先端部と前記孔部との間隙が埋められるため、電極端子と電極板とを導通抵抗の著しく低い金属単体で接続でき、接続部の発熱が効果的に抑えられる。また、これら金属結合部材の熱膨張係数は、フェライト電極や電極端子の熱膨張係数とほぼ同等であり、例え発熱により膨張しても、両者間に間隙が発生せず、その接合部に用水が侵入して接続抵抗の上昇をまねくことがない。そのため、フェライト電極に長期に渡って大きな電流を流すことができるようになり、結果的に電解質等を用水に添加することなく、或いは可能な限り少ない量として電気分解処理を実施できるようになる、というものである。
しかし、どうも実用性に欠けるきらいがあるという問題があった。
【特許文献1】特許公開平11−188364号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
そこでこの発明は、従来よりも実用性に優れる電極の給電機構を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記課題を解決するためこの発明では次のような技術的手段を講じている。
(1)この発明の電極の給電機構は、液体に電気を流す電極と、外部電源装置に電気的に接続される電極端子シャフトとの間の空間に拡縮可能な導電性付勢手段を介在させて、前記電極と電極端子シャフトとを導電性付勢手段を介して電気的な導通状態とするようにしたことを特徴とする。
この電極の給電機構では、液体に電気を流す電極と、外部電源装置に電気的に接続される電極端子シャフトとの間の空間に拡縮可能な導電性付勢手段を介在させて、前記電極と電極端子シャフトとを導電性付勢手段を介して電気的な導通状態とするようにしたので、拡縮可能な導電性付勢手段の弾性復元力を利用することにより、電極端子シャフトと電極との間の空間で突っ張るような態様で接合・介在させ、電気的な導通を好適に確保することができ、ワンタッチで組み付けすることが出来る。
【0005】
ここで、前記電極として、セラミックス電極を用いることが出来る。この電極を用いて、排水を電気分解して浄化することが出来る。電極として、円筒状のものやフラットで板状のものを用いることが出来る。
この電極を円筒状の陽極として、この外方に同心円状の円筒状の陰極電極を配することも出来る。そして、陽極と陰極との間に電流を流して排水などの電気分解したり、海水中のイオンの分離をして淡水化したりすることが出来る。
【0006】
前記拡縮可能な導電性付勢手段として、スプリング、バネ、ぜんまいなどを用いることが出来る。また、二重巻きの電線の間に金属製のウィスカーを巻き込んだ螺旋状の線状体を用いることが出来る。スプリング等は、ピッチが細かいほど万遍無く接触する。導電性付勢手段の材質として、真鍮、ステンレスなどを例示することが出来る。
前記導電性付勢手段の両端は、Cリングなどのスナップリングで留めることが出来る。そして、スナップリングの開孔部に付勢手段の端部を挿入することにより電気的な導通を確実にすることが出来る。
【0007】
前記電極端子シャフトは筐体(アルミフレーム)に固定されて、ブスバーを介して外部電源装置へと電気的に接続される。
円筒状の電極の内径、軸心状の電極端子シャフトの外径、スプリングなどの導電性付勢手段の全体の内径と外形、及びその太さなどを適宜設定することが好ましい。
【0008】
(2) 前記電極への電極端子シャフトの挿入時に接合するテーパー状の縮径部を有するようにしてもよい。
このように構成すると、電極への電極端子シャフトの挿入時のセンター出し(センタリング)を円滑に行うことが出来る。したがって、この給電機構を有する電極は、手動のみならずロボットによって自動的に組み立てることが出来る。
ここで前記縮径部として、例えば断面菱形部材としたゴム製パッキンを用いることが出来る。これにより、電極内の空間への水の浸入を抑制乃至防止して、水密性を担保することが出来る。
【発明の効果】
【0009】
この発明は上述のような構成であり、次の効果を有する。
ワンタッチで組み付けすることが出来るので、従来よりも実用性に優れる電極の給電機構を提供することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、この発明の実施の形態を説明する。
図1乃至図6に示すように、この実施形態の電極の給電機構は、液体に電気を流す電極1(図4参照)と、外部電源装置(図示せず)に電気的に接続される電極端子シャフト2(図1参照)との間の空間に拡縮可能な導電性付勢手段3(図2及び図3参照)を介在させて、前記電極1と電極端子シャフト2とを導電性付勢手段3を介して電気的な導通状態とするようにした(図5及び図6参照)。前記電極端子シャフト2の両端部4は、ネジ加工している(図5参照、なお寸法の一例を例示した)。
ここで、前記電極1として、セラミックス電極を用いることが出来る。この電極1を用いて、排水を電気分解して浄化することが出来る。電極として、円筒状のものの他に、フラットで板状のものを用いることが出来る。
【0011】
この電極1を円筒状の陽極として、この外方に同心円状の円筒状の陰極電極(図示せず)を配することも出来る。そして、陽極と陰極との間に電流を流して排水などの電気分解したり、海水中のイオンの分離をして淡水化したりすることが出来る。
前記拡縮可能な導電性付勢手段3として、スプリング(例えば、内径8mm、外形11mm)、バネ、ぜんまいなどを用いることが出来る。スプリングなどは、ピッチが細かいほど万遍無く接触する。導電性付勢手段3の材質として、真鍮、ステンレスなどを例示することが出来る。
ここで、円筒状の電極1の内径、軸心状の電極端子シャフト2の外径、スプリングなどの導電性付勢手段3の全体の内径と外形、及びその太さなどを適宜設定することが好ましい。
【0012】
前記導電性付勢手段3の両端は、Cリングなどのスナップリング5で留めることが出来る。そして、スナップリング5の開孔部に導電性付勢手段3の端部を挿入することにより電気的な導通を確実にすることが出来る。
前記電極端子シャフト2は筐体のアルミフレーム(図示せず)に固定されて、ブスバー(図示せず)を介して外部電源装置へと電気的に接続される。
【0013】
前記電極1への電極端子シャフト2の挿入時に接合するテーパー状の縮径部(図示せず)を有するようにしている。前記縮径部として、例えば断面菱形部材としたゴム製パッキンを用いることが出来る。これにより、電極内の空間への水の浸入を抑制乃至防止して、水密性を担保することが出来る。
【0014】
次に、この実施形態の電極の給電機構の使用状態を説明する。
この電極の給電機構では、液体に電気を流す電極1と、外部電源装置に電気的に接続される電極端子シャフト2との間の空間に拡縮可能な導電性付勢手段3を介在させて、前記電極1と電極端子シャフト2とを導電性付勢手段3を介して電気的な導通状態とするようにしたので、拡縮可能な導電性付勢手段3の弾性復元力を利用することにより、電極端子シャフト2と電極1との間の空間で突っ張るような態様で接合・介在させ、電気的な導通を好適に確保することができ、ワンタッチで組み付けすることが出来る、従来よりも実用性に優れるという利点を有する。
【0015】
また、前記電極1への電極端子シャフト2の挿入時に接合するテーパー状の縮径部を有するようにしているので、電極1への電極端子シャフト2の挿入時のセンター出し(センタリング)を円滑に行うことが出来る。したがって、この給電機構を有する電極は、手動のみならずロボットによって自動的に組み立てることが出来る。
【0016】
(実施形態2)
図7及び図8に示すように、この実施形態では、拡縮可能な導電性付勢手段3として、3重巻き(捩じり)の電線6の間に金属製のウィスカー7を巻き込んだ螺旋状の線状体を用いた。
このようにすると、実施形態1のスプリング状の導電性付勢手段3よりも電極1と電極端子シャフト2の相互間の接点の数が多くなって、シャフトの電流を分散して電極1に伝えることが出来る。
【0017】
(まとめ)
排水を電気分解して浄化する際に、例えば電極1の断面積1dm当たり30Aという大電流を流す場合がある。
ところが従来、電極と電極端子シャフトの相互間の接点の数が少ないので、導通不良が起こり発熱を生じることがあった。
しかし、上記実施例のように構成すると、電極1と電極端子シャフト2の相互間の接点の数を導電性付勢手段3によって多く設定することが出来、電極端子シャフト2の電流を分散して電極1に伝えることが出来、大きな電流を流す際の発熱を好適に抑制することができる。
【産業上の利用可能性】
【0018】
従来よりも実用性に優れることによって、種々の電極の給電機構の用途に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】この発明の電極の給電機構の実施形態1の電極端子シャフトの構造を説明する図。
図2】この発明の電極の給電機構の実施形態1の導電性付勢手段の構造を説明する図。
図3】この発明の電極の給電機構の実施形態1の導電性付勢手段の構造を説明する部分拡大図。
図4】この発明の電極の給電機構の実施形態1の電極の構造を説明する図。
図5】この発明の電極の給電機構の実施形態1の電極端子シャフトと導電性付勢手段を電極に挿入した状態を説明する図。
図6】この発明の電極の給電機構の実施形態1の電極端子シャフトと導電性付勢手段を電極に挿入した状態と、電極端子シャフトに導電性付勢手段を挿入した状態と、導電性付勢手段と、電極端子シャフトとを対比できるように上から順に図示した図。
図7】この発明の電極の給電機構の実施形態2の電極端子シャフトと導電性付勢手段を電極に挿入した状態と、電極端子シャフトに導電性付勢手段を挿入した状態と、導電性付勢手段と、電極端子シャフトとを対比できるように上から順に図示した図。
図8】この発明の電極の給電機構の実施形態2の導電性付勢手段の構造を説明する部分拡大図。
【符号の説明】
【0020】
1 電極
2 電極端子シャフト
3 導電性付勢手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8