【実施例1】
【0027】
以下、実施例1の照明器具について、
図1〜
図7を参照して詳細に説明する。
【0028】
図1及び
図2中符号1は照明器具例えば屋外に設置される投光器を示している。この投光器1は、器具本体2と、少なくとも一個の光源3と、照明カバー4と、電源筐体6と、設置部材7を備えている。
【0029】
器具本体2は例えば横長で前面が開放された四角い箱状をなしている。器具本体2は、良熱伝導性金属例えばアルミニウム合金等で成形されている。この器具本体2の底壁は平らな光源配設部2a(
図5参照)として用いられている。器具本体2の周壁の外面に放熱フィン2bが一体に突設されている。
【0030】
図1に示すように光源3は実施例1では3個用いられている。各光源3は左右方向に並べられて光源配設部2aに接して器具本体2に内蔵されている。これら光源3の具体的構成は後で詳しく説明する。
【0031】
照明カバー4は、器具本体2の前面開口の大きさに見合った枠4aと、枠4aにその内側を閉じて取付けられたガラス板等の透光パネル4bとを有している。透光パネル4bは投光器1の光出射面をなしていて、この面は横方向に延びた長方形である。枠4aの四隅は器具本体2にボルト及び袋ナットで連結されている。これにより、照明カバー4は各光源3を覆って器具本体2にその前面開口を閉じて装着されている。尚、袋ナットのみを(
図2に符号5で示す。器具本体2と枠4aとの間に環形の防水パッキン(図示しない)が挟まれていて、それにより、防水が図られている。
【0032】
電源筐体6は、光源配設部2aに連結されて器具本体2の後方に配設されている。この電源筐体6は防水構造であり、その内部に各光源3を点灯させる図示しない電源回路が収容されている。電源回路は光源3に電気的に接続されている。
【0033】
設置部材7は金属例えばアルミニウム合金製である。この設置部材7は、設置ベース7aと、この設置ベース7aの長手方向両端から折り曲げられたアーム7bとからなる。アーム7bの先端部は器具本体2の下部でかつ長手方向両端部に連結ボルト8で連結されている。この連結により設置ベース7aは器具本体2の下方に配置されている。
【0034】
連結ボルト8を緩めた状態で器具本体2と設置部材7との相対位置は調節可能である。この調節により設置部材7に対して器具本体2が任意の傾き角度となった状態は、連結ボルトの締め付けによって保持される。尚、この保持を確実にするための弛み止め用部品(図示しない)が器具本体2と設置アーム7bとの連結部に組み込まれている。
【0035】
投光器1は、設置箇所に器具本体2を例えば
図2に示すように傾けた状態に設置される。この設置は、設置ベース7aに形成された複数の固定孔9に図示しない設置ボルトを通して設置箇所にねじ込むことにより行われる。こうして設置された投光器1の各光源3が点灯されると、この各光源3から発した光が、照明カバー4の透光パネル4bを透過して例えば斜め上向きに出射されて、照明対象に投光される。
【0036】
投光器1の点灯時に各光源3は発熱を伴う。この熱は、器具本体2の光源配設部2aに放出された上で、器具本体2の全体に伝導されて、放熱フィン2b等から器具本体2の外部に放出される。こうした大気中への放熱により光源3の温度過昇を抑制可能である。
【0037】
次に、光源3について
図3〜
図7を参照して説明する。各光源3は、
図5等に示すように光源基板11と、複数の半導体発光素子例えばLED18と、反射板21を具備している。各光源3は、投光器1の光出射面積が大きいことに伴い、それに見合って大形であり、例えば縦13cm、横10cmの大きさに作られている。
【0038】
光源基板11は例えば金属ベース基板である。具体的に光源基板11は、
図7に示すように鉄板製のベース板12と、絶縁材例えばポリカーボネート樹脂等からなる絶縁板13と、配線パターン14と、レジスト層15とからなる。
【0039】
ベース板12は光源基板11の裏面を形成している。絶縁板13はベース板12に積層されている。この絶縁板13の表面、つまり、ベース板12と反対側の側面は、素子実装面をなしている。配線パターン14は素子実装面に設けられた金属箔例えば銅箔等からなる。レジスト層15は、配線パターン14の一部、つまり、後述するLED18が実装される部位を除いて、この配線パターン14と素子実装面を覆って絶縁板13に積層されている。このレジスト層15は、電気絶縁性でかつ光を効率よく反射させるために、白色の樹脂層から形成することが好ましい。
【0040】
図7に示すように配線パターン14は、対をなす給電端子部14a,14bを有している。これとともに、
図7の例示に制約されることはないが、配線パターン14は、複数の配線対Pを、例えば
図7において縦方向に3対並べるとともに横方向に4対並べて形成されている。
【0041】
各配線対Pは,第1配線部を兼ねるヒートスプレッダ部14cと第2配線部14dを対とする。ヒートスプレッダ部14cは、第2配線部14dに比較して面積がはるかに大きく、その中央部に凹部14eを有して形成されている。凹部14eはヒートスプレッダ部14cの幅方向一端に開放されている。
【0042】
第2配線部14dの一端部は凹部14e内に配設されている。第2配線部14dの他端は、ヒートスプレッダ部14cに一体に連続されている。この場合、連続されるヒートスプレッダ部14cは、縦方向に隣接した他のヒートスプレッダ部14c、又は、横方向に隣接した他の縦列のヒートスプレッダ部14cのうちで、最も遠い位置のヒートスプレッダ部14cである。
【0043】
各配線対Pは、それらに後述するLED18が夫々実装されることにより、電気的に直列回路を形成して接続されている。この直列回路の一端に配置された配線対Pのヒートスプレッダ部14cは、線状パターン部14gを介して一方の給電端子部14aに一体に連続されている。直列回路の他端に配置された配線対Pの第2配線部14dは、他方の給電端子部14bに線状パターン部14hを介して一体に連続されている。
【0044】
図7で縦方向に並べられたヒートスプレッダ部14cは、互いの間に所定の絶縁用離間距離Cを隔てて隣接されている。これとともに、各ヒートスプレッダ部14cに逃げ部14fが夫々設けられている。具体的に、逃げ部14fは、ヒートスプレッダ部14cの長手方向両端に開放する例えば半円状の凹みによって形成されている。このため、
図7で縦方向に隣接された逃げ部14fは互に対向し相互間に略円形のスペースを形成している。このスペースの幅Bは、
図7で縦方向に並べられたヒートスプレッダ部14c間の絶縁用離間距離Cよりも大きい。
【0045】
尚、逃げ部14fは、凹みで形成することに代えて絶縁用離間距離Cを広げることによって、
図7で縦方向に並んだヒートスプレッダ部14cの並び方向両端近傍に夫々設けることも可能である。
【0046】
図7中符号16は光源基板11の周部複数個所例えば四隅に夫々設けられた固定孔を示している。
【0047】
各LED18には例えば白色発光をするSMD型LEDが用いられている。これらLED18は光源基板11の素子実装面に縦横に並べて実装されている。各LED18は、凹部14eの奥部に位置された第2配線部14dの一端部と、第1配線部をなしたヒートスプレッダ部14cの凹部14eの近傍部位とにわたって実装されている。実装されたLED18のカソードは、第1配線部をなしたヒートスプレッダ部14cに電気的に接続されている。実装されたLED18のアノードは、第2配線部14dに電気的に接続されている。
【0048】
LED18の発光は、半導体のp−n接合に順方向電流を流すことで実現されるので、LED18は電気エネルギーを直接光に変換する固体素子である。こうした発光原理で発光する半導体発光素子は、通電によりフィラメントを高温に白熱させて、その熱放射により可視光を放射させる白熱電球と比較して、省エネルギー効果を有するものである。
【0049】
図5に示すように反射板21は、電気絶縁性を有する合成樹脂の一体成形品からなる反射板本体22と、反射面29を有して形成されている。
【0050】
詳しくは、反射板本体22は、
図3及び
図4に示すように平面視形状が光源基板11の大きさに等しい表壁22aの四周に、スペーサとして機能する側壁24を設けて形成されている。このため、反射板本体22の裏側は開放されている。更に、反射板本体22の周部例えば四隅に、反射板本体22の表面及び側面にわたって開放された固定溝25が夫々形成されている。これとともに、各固定溝25の底に通孔25aが設けられている。尚、
図3及び
図6中符号24aは、給電端子14a,14bに接続される図示しない電線が通される通線溝を示している。
【0051】
表壁22aは、反射板21が光源基板11に組み合わされた状態で光源基板11の表面に対向する領域となる部位である。この表壁22aに複数具体的にはLED18と同数の開口部26が縦横に並んで形成されている。これら開口部26は、
図5に示すように反射板本体22の裏面から突設されている。各開口部26の突出高さH1は、側壁24の表壁22aに対する突出高さつまり側壁24の幅H2より短い。更に、各開口部26の内周面は傾斜されている。この傾斜によって、開口部26の突出端から表壁22aの表面に向かうに従い、開口部26の中心軸線と直交する方向の断面積が次第に大きくなるように開口部26は形成されている。各開口部26の突出端の開口面積は、LED18より大きい。
【0052】
図5及び
図6に示すように反射板本体22は、前記領域をなした表壁22aの裏面に一体に突設された複数の凸部27を有している。これら凸部27は例えば細い丸棒状の突起からなる。各凸部27の突出高さH3は、各開口部26の突出高さH1より高く、側壁24の突出高さ(幅)H2と略同じである。
【0053】
各凸部27はいずれも開口部26からずらして設けられている。具体的には、
図6で上下方向に並んだ開口部26の上下両側に夫々位置するように各凸部27が配設されている。したがって、各凸部27は、表壁22aの長手方向両端部間の中間領域全域にわたって点在しかつ等間隔に設けられている。これとともに、
図6で上下方向に隣接した開口部26間に設けられた凸部27は、上下方向に隣接した開口部26から等距離隔たっている。
【0054】
図5に示すように反射面29は、前記領域をなした表壁22aの表面及び開口部26の内面全体にわたって被着されている。そのため、反射面29は複数の前記開口部26を有している。反射面29は、例えばアルミニウム等の金属を蒸着することによって反射板本体22に設けられて、鏡面をなしている。尚、反射面29は各開口部26の内面だけに被着してもよい。しかし、各開口部26を除いた反射面29が表壁22aの表面に被着された反射層部位を有することは、この反射層部位に透光パネル4bで反射された光が入射した場合、この光を再び透光パネル4bに向けて反射できる点で好ましい。
【0055】
反射板21は、LED18が実装された光源基板11の表を覆って、光源基板11と組み合わされている。この組み合わせ状態をねじ止めにより保持することで光源3が組立てられる。このねじ止めは、各通孔25a及びこれらに連通された固定孔16に挿通されたねじ(
図5参照)30を、器具本体2の光源配設部2aにねじ込むことで行われる。このねじ止めに伴い、光源3が有した光源基板11の裏面をなす金属製のベース板12が光源配設部2aに面接触されて、光源3が光源配設部2aに固定される。
【0056】
図5に示すように光源3が組立てられた状態で、反射板21の表壁22aは、LED18が実装された光源基板11の表面を覆って配置される。これとともに、各開口部26の夫々はLED18に対向している。それにより、各開口部26の内面に設けられた反射面29もLED18毎に対向している。尚、光源3を正面から見たときの、光源基板11の配線パターン14に対する各開口部26の四角い形状をなした先端の配置を、
図7中二点鎖線で示す。
【0057】
光源3を組立てる前記ねじ30の締付けに伴い、反射板21の側壁24及び固定溝25の底面が、共に光源基板11の表面に密接される。このため、所定の絶縁距離が、光源基板11の表面(素子実装面)及びLED18と各開口部26の先端との間に夫々確保される。この絶縁距離は、側壁24の突出高さH2と開口部26の突出高さH1との差によって規定される。
【0058】
反射板21の裏面に突設された各凸部27の高さH3と側壁24の突出高さH2とは略同じである。これにより、前記ねじ30の締付けに伴い、各凸部27の先端が光源基板11の表面に略接する。つまり、各凸部27の先端が、光源基板11の表面に対して至近距離に配置され、又は軽微に接し、若しくは押し当るように密接される。
【0059】
この場合、各凸部27の先端は配線パターン14の逃げ部14fに配設される。即ち、各凸部27は、配線パターン14を避けて光源基板11の表面に略接する。尚、光源基板11を正面から見たときの、配線パターン14に対する各凸部27の配置を、
図7中二点鎖線で示す。
【0060】
実施例1の光源3は、既述のように金属の反射面29で覆われた開口部26が設けられた反射板21の領域と、LED18及び光源基板11の素子実装面とが、所定の絶縁距離で隔てられている。これにより、反射面29が各開口部26の先端に達する状態に設けられるにも拘らず、これら開口部内面の反射面29とLED18及び光源基板11の配線パターン14とを電気的に絶縁できる。
【0061】
これにより、各開口部26の先端を光源基板11に接触させた構成と比較して、金属の反射面29と光源基板11との電気的絶縁を確保するために、開口部26の先端部内面をマスキングして各開口部26の内面に反射面29を設ける必要がない。このため、各開口部26の内面全体に反射面29を被着することが可能である。
【0062】
したがって、反射板本体22に対して反射面29を例えば蒸着により被着する場合、各開口部26の先端部内面に金属を蒸着させないためのマスキング手段として、高精度のマスキング冶具の新たな開発を要しない。これとともに、こうした冶具を用いることに伴う蒸着作業性の低下も解消できる。このため、反射板21の製造コストを低減可能である。
【0063】
更に、既述のように光源基板11の表面に対向された反射板21の領域の裏面に設けられた複数の凸部27は、反射面29の各開口部26からずれている。これとともに、各凸部27の先端は光源基板11の略接触している。このため、各開口部26を光源基板11に接触させなくても、点灯中での光源基板11の熱変形を抑制可能である。
【0064】
即ち、投光器1の各光源3が点灯された状態では、発光した各LED18は発熱する。この熱は、配線パターン14のヒートスプレッダ部14cに主として拡散されてから、金属製のベース板12を経由して器具本体2の光源配設部2aに放出される。この場合、各LED18の発熱を原因として光源基板11が昇温するに伴い、形状が大きいほど光源基板11は、その中央部が頂きとなるように
図5において上方へ反ろうとする。言い換えれば、光源基板11はその中央部が反射板21の裏面に最も近付くように変形しようとする。
【0065】
このように光源基板11が変形しようとしても、光源配設部2aに動かないようにねじ30で固定されている反射板21に一体形成された各凸部27のストッパ作用によって、光源基板11の反りが抑制される。これにより、光源基板11に実装された各LED18が微妙に傾くおそれがなくなって、所定の光学性能を維持することが可能である。これとともに、光源基板11の配線パターン14及びこのパターンとLED18との接続部にストレスが加わるおそれもなくすことが可能である。
【0066】
以上のように光源3が点灯される度に、凸部27で光源基板11の熱変形を抑制できる。これに拘らず、各凸部27は配線パターン14を避けて光源基板11に接するので、各凸部27のストッパ作用に伴って光源基板11の配線パターン14にストレスが与えられることがない。このため、配線パターン14が断線するおそれがなく、光源3の寿命を長く保持することが可能である。
【0067】
更に、光源基板11の熱変形を抑制するのに、反射板本体22の裏面に凸部27を一体に設けるという簡単な構成で実現できる。これに伴い、光源基板11の熱変形を抑制する上で、光源基板11のベース板12等を厚くして光源基板11の強度を高める必要がない。そのため、光源基板11が重くなることがなく、かつ、光源基板11のコストが増えることもない。それだけではなく、光源基板11の厚みを増やした場合のように光源基板11の内部で熱抵抗が増えることもないので、LED18の熱を容易に器具本体2の光源配設部2aに放出することが可能である。
【0068】
以上説明したように実施例1によれば、光源3の構成が簡単で、LED18の放熱性能の低下を招くことなく光源基板11の反りを抑制することが可能である、という効果を期待できる。これとともに、実施例1によれば、光源3が備える反射板21の反射面29と光源基板11との間の電気的絶縁が可能である。
【0069】
更に、実施例1の光源3の配線パターン14はヒートスプレッダ部14cを有していて、このヒートスプレッダ部14cの縁部に凸部27を避ける逃げ部14fが設けられている。これにより、隣接するヒートスプレッダ部14cの相互間の絶縁用離間距離Cを最小に保つことができる。したがって、各ヒートスプレッダ部14cの面積を大きく確保できる。これに伴い、LED18の放熱性の低下を抑制しつつ、凸部27を原因とするストレスを光源基板11の配線パターン14に与えないようすることが可能である。
【0070】
実施例1は以上のように構成したが、この実施例1の投光器(照明器具)は、器具本体2の側壁に通気孔を設けることによって、屋内用の照明器具として実施することも可能である。この場合、通気孔を通って器具本体2の内外が通気されるので、光源3の空冷が可能である。即ち、既述のように光源3の各開口部26と光源基板11とは所定の絶縁距離で隔てられている。このため、照明器具の点灯状態では、各開口部26を通って反射板21の内外にわたる対流が形成されるに伴い、この気流に晒されるLED18の温度上昇を抑制することが可能である。