特許第5871422号(P5871422)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5871422車両用ステアリングホイールのためのセンサシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5871422
(24)【登録日】2016年1月22日
(45)【発行日】2016年3月1日
(54)【発明の名称】車両用ステアリングホイールのためのセンサシステム
(51)【国際特許分類】
   B62D 1/06 20060101AFI20160216BHJP
【FI】
   B62D1/06
【請求項の数】35
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-517173(P2014-517173)
(86)(22)【出願日】2012年6月21日
(65)【公表番号】特表2014-516873(P2014-516873A)
(43)【公表日】2014年7月17日
(86)【国際出願番号】US2012043578
(87)【国際公開番号】WO2012177902
(87)【国際公開日】20121227
【審査請求日】2015年6月19日
(31)【優先権主張番号】61/500,056
(32)【優先日】2011年6月22日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】509307495
【氏名又は名称】ティーケー ホールディングス インク.
【氏名又は名称原語表記】TK HOLDINGS INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100118267
【弁理士】
【氏名又は名称】越前 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】ベネット, ジェフ
(72)【発明者】
【氏名】チェック, レオナルド スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】クラウス, ジョセフ ケイ
【審査官】 柳元 八大
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−298285(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0121961(US,A1)
【文献】 特開2008−059459(JP,A)
【文献】 特開2009−208559(JP,A)
【文献】 特開2008−265528(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステアリングホイールの左側の部分内に配置され前記ステアリングホイールの前面左側との接触を検知するように構成される第1のセンサと、
前記左側の部分とは別の前記ステアリングホイールの右側の部分内に配置され前記ステアリングホイールの前面右側との接触を検知するように構成される第2のセンサと、
前記ステアリングホイールの裏面との接触を検知するために前記ステアリングホイール内に配置される第3のセンサ、とを備え、
前記第1,第2及び第3のセンサは、前記ステアリングホイールに対する前記車両の運転者の手による握持を検出するために、前記前面左側、前面右側及び裏面と前記運転者との同時接触を検知するように構成され、
さらに、前記第1,第2及び第3のセンサは、前記運転者の手による握持以外の身体部分による接触を検出するために、前記前面左側、前面右側及び裏面と前記運転者との少なくとも一つの接触を検知するように構成されている、
ことを特徴とする車両用ステアリングホイールのためのセンサシステム。
【請求項2】
前記第1,第2及び第3のセンサは、複素インピーダンスセンサである、請求項1に記載のセンサシステム。
【請求項3】
前記第1のセンサは、前記車両の運転者が前記車両の乗員区画内の車両運転席に着座する時に位置する方向に対して前記ステアリングホイールの左側領域内に配置され、
前記第2のセンサは、前記車両の運転者が位置する方向に対して前記ステアリングホイールの右側領域内に配置され、
前記第3のセンサは、前記運転席に対して前記ステアリングホイールの前記左側及び右側領域内であって前記第1及び第2のセンサの背後に配置される、請求項1に記載のセンサシステム。
【請求項4】
前記第1,第2及び第3のセンサは、それぞれ前記運転者と接触している時に第1の信号強度の信号を出力し、前記第1,第2及び第3のセンサは、それぞれ前記運転者と接触していない時に前記第1の信号強度未満の第2の信号強度の信号を出力する、請求項1に記載のセンサシステム。
【請求項5】
前記第1,第2及び第3のセンサにより出力される信号の分布に基づいて、前記ステアリングホイールに加えられる力を測定するように構成されている、請求項1に記載のセンサシステム。
【請求項6】
前記車両の運転者は、前記第1,第2及び第3のセンサがそれぞれ同時に遅れずに前記第1,第2及び第3のセンサが接触されていることを示す第1,第2及び第3の信号を出力する時に、前記運転者の手による握持によって前記ステアリングホイールに接触していると判定される、請求項1に記載のセンサシステム。
【請求項7】
前記車両の運転者は、前記第1,第2及び第3のセンサがそれぞれ同時に遅れずに前記第1,第2及び第3のセンサのうち一つ又は二つのみが接触されていることを示す第1,第2及び第3の信号を出力する時に、手による握持とは異なる前記運転者の身体部分によって前記ステアリングホイールに接触していると判定される、請求項1に記載のセンサシステム。
【請求項8】
前記車両の運転者は、前記第1の信号が前記第2の信号よりも大きい時、又は、前記第2の信号が前記第1の信号より大きい時に、手による握持とは異なる前記運転者の身体部分によって前記ステアリングホイールに接触していると判定される、請求項7に記載のセンサシステム。
【請求項9】
前記車両の運転者は、前記第1及び第2のセンサがそれぞれ同時に遅れずに前記第1及び第2のセンサのうち一つのみが接触されていることを示す第1及び第2の信号を出力する時に、前記車両の制御状態を変化させるために、手による握持とは異なる前記運転者の身体部分によって前記ステアリングホイールに接触していると判定される、請求項1に記載のセンサシステム。
【請求項10】
前記車両の運転者は、前記第1及び第2の信号が同時に遅れずに互いにほぼ等しく、前記第3の信号が前記同時に遅れずに前記第1及び第2の信号に等しくない時に、手による握持と異なる前記運転者の身体部分によって前記ステアリングホイールに接触していると判定される、請求項9に記載のセンサシステム。
【請求項11】
前記第1のセンサは、前記ステアリングホイールの前記左側の部分の異なる位置に配置される複数の第1のサブセンサを備え、
前記第2のセンサは、前記ステアリングホイールの前記右側の部分の異なる位置に配置される複数の第2のサブセンサを備える、請求項1に記載のセンサシステム。
【請求項12】
前記第1,第2及び第3のセンサは、それぞれ前記第1,第2及び第3のセンサに加えられる熱のレベルを判定するように構成される熱測定要素を含む、請求項1に記載のセンサシステム。
【請求項13】
前記ステアリングホイール内に第1及び第2の電気シールドをさらに備え、
前記第1及び第2のセンサは、前記第1と第2のセンサとの間に設けられる前記第1の電気シールドによって互いに電気的に絶縁され、
前記第3のセンサは、前記第1及び第2のセンサと前記第3のセンサとの間に設けられる前記第2の電気シールドによって前記第1及び第2のセンサから電気的に絶縁される、請求項1に記載のセンサシステム。
【請求項14】
前記第1,第2及び第3のセンサは、ステアリングホイールカバーと前記ステアリングホイールとの間に配置される、請求項1に記載のセンサシステム。
【請求項15】
前記第1,第2及び第3のセンサは、前記ステアリングホイールの内部領域内に配置される、請求項1に記載のセンサシステム。
【請求項16】
前記第1,第2及び第3のセンサは、前記第1,第2及び第3のセンサに電圧接地接続を提供するために前記車両内の座席区画に接続されている、請求項2に記載のセンサシステム。
【請求項17】
スワイプ接触又は定常接触が前記ステアリングホイールに対して行われているか判定するために、一定の時間にわたって前記第1及び第2のセンサに対して行われる接触の変化率を判定するように構成されるプロセッサ装置をさらに備える、請求項1に記載のセンサシステム。
【請求項18】
ステアリングホイールの前面左側との接触を検知するために前記ステアリングホイールの第1の部分内に配置される第1のセンサのインピーダンスを測定することと、
前記ステアリングホイールの前面左側との接触を検知するために前記第1の部分とは別の前記ステアリングホイールの第2の部分内に配置される第2のセンサのインピーダンスを測定することと、
前記ステアリングホイールの裏面との接触を検知するために前記第1及び第2の部分とは別の前記ステアリングホイールの第3の部分内に配置される第3のセンサのインピーダンスを測定することと、
前記第1,第2及び第3のセンサの各インピーダンスが閾値インピーダンスレベル以上である場合、前記ステアリングホイールは車両運転者の二本の手に接触されていると判定することと、
前記第1のセンサ及び前記第3のセンサの各インピーダンスが閾値インピーダンスレベル以上であって前記第2のセンサのインピーダンスが閾値インピーダンスレベル未満である場合、又は、前記第2のセンサ及び前記第3のセンサの各インピーダンスが閾値インピーダンスレベル以上であって前記第1のインピーダンスが閾値インピーダンスレベル未満である場合、前記ステアリングホイールが前記車両運転者の一本の手だけに接触されていると判定することと、
前記第1又は第2のセンサのインピーダンスが前記閾値インピーダンスレベルより小さいゼロでないレベルであって前記第3のセンサのインピーダンスは0又はほぼ0レベルである場合、前記ステアリングホイールが前記車両運転者の手ではない部分に接触されていると判定することと、
前記第1,第2及び第3のセンサのインピーダンスが0又はほぼ0レベルである場合、前記ステアリングホイールが前記車両運転者に接触されていないと判定することと、
を備える車両のステアリングホイール上の接触を検知する方法。
【請求項19】
前記第3のセンサは、前記車両の乗員区画内の車両運転席に対して、前記第1及び第2のセンサの背後の前記ステアリングホイール内に配置される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記第1,第2及び第3のセンサは、前記第1,第2及び第3のセンサが前記運転者の手による握持により接触される時に、第1の信号強度の信号を出力し、
前記第1,第2及び第3のセンサのうち少なくとも一つが前記運転者の手による握持以外の方法で接触されている時に、前記第1,第2及び第3のセンサのうちの少なくとも一つは前記第1の信号強度とは異なる第2の信号強度の信号を出力する、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記第1,第2及び第3のセンサは、前記運転者により接触される時に、前記第1,第2及び第3のセンサにより出力される第1,第2及び第3の信号強度に基づいて、前記車両の運転者によって前記ステアリングホイールに加えられる力を測定するように構成される、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記車両の運転者は、前記第1,第2及び第3のセンサがそれぞれ同時に遅れずに前記第1,2及び第3のセンサが接触されていることを示す第1,第2及び第3の信号を出力する時に、前記運転者の手による握持によって前記ステアリングホイールに接触していると判定することをさらに備える、請求項18に記載の方法。
【請求項23】
前記車両の運転者は、前記第1,第2及び第3のセンサがそれぞれ同時に遅れずに前記第1,第2及び第3のセンサのうち全てより少ないセンサが接触されていることを示す第1,第2及び第3の信号を出力する時に、手による握持以外の方法で前記ステアリングホイールに接触していると判定することをさらに備える、請求項18に記載の方法。
【請求項24】
前記車両の運転者は、同時に遅れずに、前記第1の信号が前記第2の信号と異なる時、又は、前記第2の信号が前記第1の信号と異なる時に、手による握持以外の方法で前記ステアリングホイールに接触していると判定することをさらに備える、請求項18に記載の方法。
【請求項25】
前記車両の運転者は、前記第1及び第2のセンサがそれぞれ同時に遅れずに前記第1及び第2のセンサのうち一つのみが接触されていることを示す第1及び第2の信号を出力する時に、前記車両の制御状態を変化させるために、手による握持以外の方法で前記ステアリングホイールに接触していると判定することをさらに備える、請求項18に記載の方法。
【請求項26】
前記車両の運転者は、前記第1及び第2の信号が同時に遅れずに互いにほぼ等しく前記第3の信号が前記同時に遅れずに前記第1及び第2の信号に等しくない時に、手による握持以外の方法で前記ステアリングホイールに接触していると判定することをさらに備える、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記第1のセンサは、前記ステアリングホイールの前記第1の部分の異なる位置に配置される複数の第1のサブセンサを備え、
前記第2のセンサは、前記ステアリングホイールの前記第2の部分の異なる位置に配置される複数の第2のサブセンサを備え、
前記第3のセンサは、前記車両の乗員区画内の車両運転席に対して、前記第1及び第2のサブセンサの背後の前記ステアリングホイールの一部の異なる位置に配置される複数の第3のサブセンサを備え、
前記第1,第2及び第3のサブセンサは、グリップ検出及びスワイプ率を提供するように構成される、請求項18に記載の方法。
【請求項28】
前記第1,第2及び第3のセンサは、前記第1,第2及び第3のセンサに加えられる熱のレベルを判定するように構成される熱測定要素を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項29】
前記熱測定要素は、前記熱のレベルが所定の熱のレベルのより大きい時に、前記第1,第2及び第3のセンサに人間が接触していることを示す信号を出力するように構成される、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記熱の所定レベルは、人間の通常の体温に対応する、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記第1及び第2のセンサは、前記ステアリングホイール内の前記第1のセンサと前記第2のセンサとの間に配置される第1の電気シールドによって互いに電気的に絶縁され、
前記第3のセンサは、前記ステアリングホイール内の前記第1及び第2のセンサと前記第3のセンサとの間に配置される第2の電気シールドによって前記第1及び第2のセンサから電気的に絶縁される、請求項18に記載の方法。
【請求項32】
前記第1,第2及び第3のセンサは、ステアリングホイールカバー及び前記ステアリングホイールとの間に配置される、請求項18に記載の方法。
【請求項33】
前記第1,第2及び第3のセンサは、前記ステアリングホイールの内部領域内に配置される、請求項18に記載の方法。
【請求項34】
前記第1,第2及び第3のセンサは、前記第1及び第2のセンサに電圧接地接続を提供するために、前記車両内の座席区画に接続されている、請求項18に記載の方法。
【請求項35】
スワイプ接触又は定常接触が前記ステアリングホイールに対して行われているか判定するために、一定の時間にわたって前記第1,第2及び第3のセンサに対して行われる接触の変化率を判定することをさらに備える、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本出願は、2011年6月22日に提出された米国仮出願第61/500,056号「車両用ステアリングホイールのためのセンサシステム」の優先権を主張し、参照することにより本明細書に組み込む。
【背景技術】
【0002】
本開示は、一般に、車両の分野に関する。より詳細には、本開示は、車両のステアリングホイールのセンサシステムに関する。
【0003】
ステアリングホイール上の手の配置を検知する現在のステアリングホイールセンサシステムは、ステアリングホイールがどのように(例えば、保持されて、握られて、触られて、等)制御されているか判定する方法を含んでいない。かかるシステムは、多くの場合電気再配分センサを利用し、正確な電圧、電流及び周波数プロファイルによって、センサ電極に電界が誘起される。近傍内の物体(例えば、人間の手又は身体部分)は電界強度及び位相を再配分する傾向があり、結果として、電界の回路内で測定される複素インピーダンスを変化させる。複素インピーダンスは、静電容量、インダクタンス、抵抗又はそれらの組み合わせである場合がある(例えば、静電容量成分及びインダクタンス成分をそれぞれI成分及びQ成分として測定するセンサ)。必要とされるのは、ステアリングホイールが握られて制御されている(例えば、手のひらの皮膚表面がステアリングホイールのリム又はスポークの外縁部の大部分(又は全て)と係合している)時に判定するためのシステム及び方法である。
【図面の簡単な説明】
【0004】
本発明の特徴、態様及び効果は、以下の説明及び図面に示された以下の例示的実施形態から明らかになろう。次に、図面について簡単に説明する。
【0005】
図1A】一つ以上の実施形態によるステアリングホイール上への指の接触、タップ又は手による握持を検知するセンサシステムを図示する、ステアリングホイールの断面図を示す。
図1B図1Aのセンサシステムのステアリングホイールの別の断面図を示す。
図2】一つ以上の実施形態によるステアリングホイール上への手による握持を検知するセンサシステムを図示する。
図3A】一つ以上の実施形態によるステアリングホイール上への指の接触又は手による握持を検知するために小さいサブセンサを使用するセンサシステムを図示する、ステアリングホイールの断面図を示す。
図3B図3Aのセンサシステムのステアリングホイールの別の断面図を示す。
図4】一つ以上の実施形態によるステアリングホイールとの異なるタイプの接触を検知する方法のフロー図である。
【発明の概要】
【0006】
一実施形態において、車両のステアリングホイールのためのセンサシステムが提供される。センサシステムは、ステアリングホイールの前面左側との接触を検知するために、ステアリングホイールの第1の部分内に配置される第1のセンサと、ステアリングホイールの前面右側との接触を検知するために、第1の部分とは別のステアリングホイールの第2の部分内に配置される第2のセンサと、ステアリングホイールの裏面(例えば、車両の運転者の座席区画から最も遠いステアリングホイールの面)との接触を検知するために、ステアリングホイール内に配置される第3のセンサと、を含む。第1,第2及び第3のセンサは、それぞれ車両の運転者の手のひら又は指(又は他の手のひらではない領域)によるステアリングホイールとの接触を検知するように構成される。
【0007】
別の実施形態において、車両のステアリングホイール上への接触を感知する方法が提供される。本方法は、ステアリングホイールの前面左側との接触を検知するために、ステアリングホイールの第1の部分内に配置される第1のセンサのインピーダンスを測定することを含む。また、本方法は、ステアリングホイールの前面右側との接触を検知するために、第1の部分とは別のステアリングホイールの第2の部分内に配置される第2のセンサのインピーダンスを測定することも含む。また、本方法は、ステアリングホイールの裏面との接触を検知するために、ステアリングホイール内に配置される第3のセンサのインピーダンスを測定することも含む。さらに、本方法は、第1,第2及び第3のセンサの各インピーダンスが閾値インピーダンスレベル以上である時、ステアリングホイールが適切に握持されていることを示すために、車両運転者の二本の手に接触されていると判定することを含む。さらに、本方法は、第1のセンサのインピーダンスが閾値インピーダンスレベル以上であって第2のセンサのインピーダンスが閾値インピーダンスレベル未満である時、又は、第2のセンサのインピーダンスが閾値インピーダンスレベル以上であって第1のセンサのインピーダンスが閾値インピーダンスレベル未満である時、ステアリングホイールが車両運転者の一本の手又は指だけに接触されていると判定することを含む。また、本方法は、第1,第2及び第3のセンサの各インピーダンスが閾値インピーダンスレベル未満である時、ステアリングホイールが車両運転者に接触されていないと判定することも含む。
【詳細な説明】
【0008】
複素インピーダンス(例えば、静電容量及びインダクタンス、又は、静電容量及び抵抗、又は、インダクタンス及び抵抗)センサが、車両のユーザ(例えば、運転者)がステアリングホイールに接触しているかどうか、どこに接触しているかを判定するために車両環境で(例えば、車両のステアリングホイールにおいて)用いられてもよい。一つ以上の実施形態は、運転者がステアリングホイールを制御している方法の特徴を確実に繰り返し判定する複素インピーダンスセンサを含むセンサシステムの能力を改良する方法を記載している。センサシステムは、ステアリングホイール上の運転者の身体部分によって、加えられる反力によって、かかる特徴を判定する。一つ以上の実施形態のセンサシステムは、運転者がステアリングホイールを他の身体部分によって、制御する、運転者が偶然にステアリングホイールに接触する、運転者がステアリングホイールを保持する又は握る代わりにタップする、などの状況から「ステアリングホイール上の手」の状態(例えば、ステアリングホイールを握る運転者の手)を識別する。また、センサシステムは、手の位置又は手の配置、ステアリングホイールにおいて、作用される検知要素の数、及び手(又は他の身体部分)の表面積に基づいて、ステアリングホイールに加えられた運転者の手のステアリング操舵力(例えば、運転者によって、ステアリングホイールに加えられる力)を推定するために用いられてもよい。センサシステムは、車両操舵状態スイッチを制御するための「タップ」機能が利用されているインピーダンスセンサの信号特性を用いてもよい。
【0009】
センサシステムは、様々な可能性がある制御状況と他の状況(例えば、制御状態)とを識別してもよい。センサシステムが識別しうる制御状態の一つは、運転者がステアリングホイールスポークを手で保持している(例えば、握っている)かどうかである。スポークが実際にどの程度握られて制御されているかが測定されてもよい(例えば、手の制御点の数及び各センサ位置に接触している手の割合を判定することによって)。
【0010】
センサシステムが識別しうる別の制御状態は、運転者がステアリングホイールリムを手で保持している(例えば、握っている)かどうかである。ホイールが実際にどの程度握られて制御されているかが測定されてもよい(例えば、手の制御点の数及び各センサ位置に接触している手の割合を判定することによって)。
【0011】
センサシステムが識別しうる別の制御状態は、運転者が手以外の身体部分(例えば、指、膝、腹部、前腕、又は別の身体部分)を用いてステアリングホイールを制御しているかどうかである。センサシステムは、身体部分によって、ステアリングホイールが握られていないことを識別してもよい。
【0012】
センサシステムが識別しうる別の制御状態は、運転者がステアリングホイールを「タップしている」かどうかである。この「タップ」は、制御状態を変化させるための要求を示している。センサシステムは、上述のタップ、ステアリングホイールとの偶然の接触、保持又は握持を識別してもよい。
【0013】
一つ以上の実施形態によるセンサシステムは、ステアリングホイールリム及び/又はスポーク上又は内に設けられる複素インピーダンスの検知要素を含む。検知要素は、ステアリングホイールに配置され、ステアリングホイールの状態(例えば、「ステアリングホイール上の手」、別の身体部分により操舵されているステアリングホイール、タップされるステアリングホイール、など)を判定するために、検知要素信号又は信号の導関数の原信号及び/又は信号状態は直接使用される及び/又はアルゴリズムで比較される。制御状態を識別するような方法で、検知要素の位置、サイズ及び感度は構成されうる。
【0014】
複素インピーダンスセンサは、検知されている物体(例えば、人間の手の指又は人間の手のひら)の検知された静電容量及び検知されたインダクタンスに基づいて電流の同相成分及び直行成分を出力してもよい。この種の複素インピーダンスセンサは、本出願と同じ譲受人に譲渡されている米国特許公報第2007/0192007号に記載されており、参照することにより本明細書に組み込む。
【0015】
図1A,1B及び2に、ステアリングホイールホイール120を有する一部の実施形態によるステアリングホイールセンサシステムの断面図を示しており、検知要素の考えうる位置がより詳細に示される。図1A及び1Bに、三つの検知要素S1,S2及びS3を示す。図1Bの断面図は、図1Aの断面図よりステアリングホイールの背部に近い(すなわち、乗員区画内の運転席から離れている)。検知要素S1,S2及びS3は、ステアリングホイールリム表面に位置しており、一つ以上の個別のセンサ又はシールド(図示せず)を用いて、電気的に分離されている。ステアリングホイール内の検知要素、発熱素子及び他の構成要素を分離する必要がある場合に、シールドを任意で用いてもよい。図1Aにおいて、検知要素S1及びS2は、それぞれステアリングホイールの前面左側と前面右側との接触を検知するために、ステアリングホイールカバー(例えば、革又はプラスチック材、など)とステアリングホイールの内部(例えば、発泡体、芯金、など)との間に取り付けられている。図1Bにおいて、検知要素S3は、ステアリングホイール120の裏面との接触を検知するために、第1及び第2の検知要素S1,S2の背後に配置されている。図1A及び1Bの実施形態において、運転席から見てステアリングホイール120の前面左側をタップしている又は接触している運転者100は、運転者の身体及びシートアセンブリ110は回路に接続されるので、第1の検知要素S1からインピーダンス信号の変化を引き起こす。タップにより、運転席から見てステアリングホイールの右側に配置されている第2の検知要素S2において、信号はほとんど引き起こされず、第1及び第2の検知要素S1,S2の背後に配置されている第3の検知要素S3において、ステアリングホイール120の裏面との接触を検知するための信号をほとんど引き起こさない。センサシステムは、運転者100が(例えば、ステアリングホイール120を握る代わりに)ステアリングホイール120をタップしていることと、運転者がステアリングホイールのどの部分(例えば、前面左、前面右、又は背部)をタップしているのかを判定するために、検知要素S1,S2及びS3のインピーダンス値C1(t),C2(t)及びC3(t)を比較してもよい。
【0016】
運転者100が第1のセンサS1と接触している時、第1のセンサS1のインピーダンス値C1(t)はその非接触状態のインピーダンス値から増加する。このように、インピーダンス値C1(t)が第2のセンサS2のインピーダンス値C2(t)より非常に高い時、運転者100がステアリングホイール120の前面右側ではなく、ステアリングホイール120の前面左側のみに接触していることを示している。この状態において、第2のセンサS2は両端が接地されており、第1のセンサS1は一端が接地されており他端が運転者100に(人間の指又は手のひらに関連付けられた特定のインピーダンス値で)接続されている。このように、第1のセンサS1は運転者100の人体の一部分による接触を示すかなり高いインピーダンス値C1(t)を出力し、第2のセンサS2は運転者100の人体の一部分による接触が無いことを示すかなり低いインピーダンス値C2(t)を出力する。これは、運転者100がステアリングホイール120の片側(例えば、左側又は右側)に片手の1本の指又は手のひらのみと接触していて、ステアリングホイール120上で両手を使用していないこと(そして、車両の左右両側と接触していないこと)を表す。第3のセンサS3のインピーダンス値C3(t)に基づいて、接触が運転者の指又は他の手のひらではない部分によるものか(インピーダンス値C3(t)が低い時)、又は、接触が手による握持によるものか(インピーダンス値C3(t)が高い時)、判定されてもよい。握持によらないいかなる接触も安全ではない車両運転状態であるとみなされ、安全ではない車両運転状態では、音声による警報(例えば、「両手をステアリングホイールに置いてください」)、又は視覚的な警報(車両のダッシュボード上のディスプレイが「両手をステアリングホイールに置いてください」というメッセージを出力する)、又はその両方、というように車両安全システムによって、警報が出力されてもよい。
【0017】
ここで、図2において、運転者100は左右両手でステアリングホイール120を握っており、検知要素S1,S2及びS3はそれぞれ車両の本体及びシート部品110に接続されている(センサS3については図1Bを参照)。したがって、検知要素S1,S2及びS3は、ステアリングホイール120が接触、タップ又は握持されていない状況と比較して、類似のインピーダンス値C1(t),C2(t)及びC3(t)を経験する。すなわち、第1,第2及び第3の検知要素S1,S2及びS3は、第1,第2及び第3の検知要素S1,S2及びS3が人体の一部分により接触されていることを示す(この場合、ステアリングホイール上への手による握持を示す)それぞれのインピーダンス値C1(t),C2(t)及びC3(t)を有する。センサシステムは、第1,第2及び第3の検知要素S1,S2及びS3が、所定のインピーダンス値より高い(例えば、10ピコファラドより高い)インピーダンス値C1(t),C2(t)及びC3(t)を有する時、運転者100が(例えば、ステアリングホイール120を単にタップする代わりに)ステアリングホイール120を握っていることを判定するために検知要素S1,S2及びS3のインピーダンス値を比較してもよい。
【0018】
人体は、数十ピコファラドから数百ピコファラドまでの範囲の典型的なインピーダンスを有しており、これは、第1,第2及び第3の検知要素S1,S2及びS3から検知されうる、人体の一部分(例えば、車両運転者の指又は手のひら)との接触を示すインピーダンス値である。第1,第2及び第3の検知要素S1,S2及びS3への人間の接触が無い時、これらの検知要素S1,S2及びS3により出力されるインピーダンス値C1(t),C2(t)及びC3(t)は、約0ファラドである。第1,第2及び第3のセンサS1,S2及びS3が所定値より高く、互いにほぼ等しい各インピーダンス値C1(t),C2(t)及びC3(t)を有する時、これは車両運転者が両手でステアリングホイールを握っていることを示しており、安全な運転状態を示す。
【0019】
更なる実施において、運転者100の指によるセンサS1又はS2への接触により、センサS1又はS2のインピーダンス値は、ほぼ0ではない第1のインピーダンス値となり、センサS3のインピーダンス値はほぼ0となる(指による接触はステアリングホイールの表面のみとの接触となるため)。運転者100の手のひらによるセンサS1又はS2への接触により、センサS1又はS2のインピーダンス値は、第1のインピーダンス値より高い第2のインピーダンス値となり、センサS3のインピーダンス値はほぼ第2のインピーダンス値となる(通常の手による握持では、ステアリングホイールの表面及び裏面の両方との接触となるため)。これによって、第1及び第2のセンサS1,S2及びS3に対する接触方法は、これに応じて判定されてもよい。例えば、静電容量を測定するセンサの例を挙げると、第1のセンサS1は、第1のセンサS1に人間の手の指が接触していることを示す15ピコファラドのインピーダンス値C1(t)であって、第2のセンサS2及び第3のセンサS3は、それぞれ第2のセンサS2及び第3のセンサS3に人間の手のひらが接触していることを示す110ピコファラドのそれぞれインピーダンス値C2(t)である場合、これは、運転者100に警告又は警報をするべきであるかを判定するために車両安全制御装置(図示せず)により出力されてもよい。
【0020】
指の接触、手のひらの接触又は他のタイプの接触を判定するための、第1,第2及び第3のセンサS1,S2,S3のインピーダンスの適切な値は、既知のタイプのセンサへの人間の接触と既知のタイプの人間の接触から測定されるインピーダンスを用いて行われる実験から得られる履歴データのデータベースに蓄積されるデータに基づいて決定されてもよい。限定する目的ではなく、例として、静電容量を測定するセンサの例を挙げると、5ピコファラド〜50ピコファラドの間のインピーダンスはセンサに対する指の接触を示し、100ピコファラド〜300ピコファラドの間のインピーダンスはセンサに対する手のひら又は手の接触を示す。したがって、50〜100ピコファラドの間のインピーダンスは、2つのタイプの接触のうちの1つを示す可能性のある「不確定の」範囲である。
【0021】
図1A,1B及び2の実施形態では三つの検知要素S1,S2及びS3を示しているが、他の実施形態では(例えば、プロセッサ(図示せず)により受信、分析された隣接するセンサからの信号及び信号速度を比較することによって)握持領域とステアリングホイールの保持又は握持の変化の割合をさらに識別するために付加的な検知要素をステアリングホイールリムに含めてもよい。さらに、図1A,1B及び2の実施形態では、ステアリングホイール120のリムに(例えば、内部に埋め込まれて)取り付けられる検知要素を示しているが、運転者がステアリングホイールとどのように相互作用しているかについての付加的情報を検知するために、検知要素は、ステアリングホイール120のハブ、スポーク、又はステアリングホイールのリム、ハブ及びスポークの任意の組み合わせに(例えば、内部に埋め込まれて)取り付けられてもよい。
【0022】
センサシステムの検知要素の実装は、ステアリングホイール設計(例えば、スポークの数、寸法、材料のタイプ、など)、検知要件(例えば、センサシステムが「ホイール上の手」の状態を検知可能である必要がある場合)、検知要素の数、位置、材料、サイズ及び形状と受信した検知要素の信号に関する工学及び製造要件に基づいてもよい。
【0023】
図3Aは、ステアリングホイールの断面図の別の実施形態によるステアリングホイールセンサシステムを示す。ここで、第1のセンサS1は、第1〜第NのサブセンサS1,...,S1として示され、第2のセンサS2は、第1〜第NのサブセンサS2,...,S2として示される。図3Bは、図3Aの断面図の背部のステアリングホイールの断面を示す。ここで、第3のセンサS3は、第1〜第NのサブセンサS3,...,S3として示される。各々がステアリングホイールの小さい部分(例えば、ステアリングホイール120の外面上の1インチ×1インチの領域)との接触を検知するサブセンサを有することによって、運転者100が手のひらでステアリングホイール120に接触しているかについて判定されてもよい。この場合、二つ以上の第1,第2又は第3のサブセンサは、人間の接触、又は運転者100が手の1本の指のみでステアリングホイール120に接触しているかどうかを示すインピーダンス値を有する。この場合、第1,第2又は第3のサブセンサのうち一つのみが、人間の接触を示すインピーダンス値を有する。本情報によって、運転者100によるステアリングホイール120への接触のタイプ(例えば、手の指による接触又は手のひらによる接触)を判定するために、いつでも遅れずに測定されたインピーダンス値をさらに補強できる。
【0024】
図4は、一つの実施形態による車両のステアリングホイールとの接触を検知する方法のフロー図である。ブロック410において、ステアリングホイールの第1の部分の中に配置された第1のセンサのインピーダンスは、ステアリングホイールの前面左側との接触を検知するために測定される。ブロック420において、第1の部分から離れたステアリングホイールの第2の部分の中に配置された第2のセンサのインピーダンスは、ステアリングホイールの前面右側との接触を検知するために測定される。ブロック425において、第1及び第2のセンサの背部のステアリングホイールの中に配置された第3のセンサのインピーダンスは、ステアリングホイールの裏面(車両運転者から最も離れている面)との接触を検知するために測定される。ブロック430において、第1,第2及び第3のセンサの各インピーダンスが閾値インピーダンスレベル以上の場合、ステアリングホイールに対する運転者の手による握持を示すために、ステアリングホイールが車両運転者の二本の手に接触されていると判定され、その場合、この判定は、ブロック435の車両安全システムに提供される。そうでない場合、ブロック440において、第1のセンサのインピーダンスが閾値インピーダンスレベル以上であって第2のセンサのインピーダンスが閾値インピーダンスレベル未満であって第3のセンサのインピーダンスが閾値インピーダンスレベルより高い(ステアリングホイールの左側の握持)である場合、又は、第2のセンサのインピーダンスが閾値インピーダンスレベル以上であって第1のセンサのインピーダンスが閾値インピーダンスレベル未満であって第3のセンサのインピーダンスが閾値インピーダンスレベルより高い(ステアリングホイールの右側の握持)である場合、ステアリングホイールが、車両運転者の一本の手だけに接触されていると判定され、その場合、この判定は、ブロック435の車両安全システムに提供される。そうでない場合、ブロック445において、第1のセンサのインピーダンスが閾値インピーダンスレベル以下である0以外のインピーダンスレベル(例えば、第2の閾値インピーダンスレベル)であって第2のセンサのインピーダンス及び第3のセンサのインピーダンスがほぼ0(車両運転者の手ではない部分による左側の接触)である場合、又は、第2のセンサのインピーダンスが閾値インピーダンスレベル以下である0以外のインピーダンスレベル(例えば、第2の閾値インピーダンスレベル)であって第1のセンサのインピーダンス及び第3のセンサのインピーダンスがほぼ0(車両運転者の手ではない部分による右側の接触)である場合、ステアリングホイールが指又は車両運転者の他の手のひらではない部分に接触していると判定される。また、ブロック445の出力が「はい」である場合、車両運転状態を変化させるために車両運転者によって、タップ又はスワイプ操作が行われているかどうかを判定するために、変化率機能を使用可能にしてもよい(以下の記述を参照)。そうでない場合、ブロック450において、第1,第2及び第3のセンサの各インピーダンスがほぼ0である場合、ステアリングホイールが車両運転者に接触されていないと判定され、その場合、この判定はブロック435の車両安全システムに提供される。
【0025】
一部の実施形態に関して上述したような方法で、ステアリングホイールに設けられる第1,第2及び第3のセンサS1,S2及びS3を有することによって、ステアリングホイールに対して車両運転者の手により握持されているかどうか、又は運転者による手による握持以外の接触が現在行われているかどうか、また、ステアリングホイールのどの部分が接触されているか、を判定してもよい。また、ステアリングホイールの前面左側との接触を検知するためにステアリングホイールの一方側(例えば、左側)に設けられる第1のセンサS1を有することによって、ステアリングホイールの前面右側との接触を検知するためにステアリングホイールの他方側(例えば、右側)に設けられる第2のセンサS2を有することによって、及びステアリングホイールの裏面との接触を検知するためにステアリングホイール内に設けられる第3のセンサS3を有することによって、運転者が現在接触しているのはステアリングホイールのどの部分であるのかに関して検知されてもよい。このように、例えば、運転者がステアリングホイールを現在握っているのが左の手のひらだけ、又は、右の手のひらだけ、又は、左の指及び右の手のひらだけ、又は、左の手のひら及び右の指だけ、又は、左の指及び右の指だけ、又は、左の指(又は、他の手のひらではない身体部分)だけ、又は、右の指(又は、他の手のひらではない身体部分)だけなのかが判定されてもよい。
【0026】
図示しないが、ステアリングホイールの様々な制御状態(例えば、接触、タップ、保持又は握持状況又は状態)を判定するために検知要素からの信号を使用するためにセンサシステムは制御回路又はモジュールを含んでいてもよい。例えば、センサシステムは、制御状態を判定するために用いる検知アルゴリズムを含む制御回路を含んでいてもよい。センサシステムは、信号を処理するために、様々な信号処理モジュールをさらに含んでいてもよい。例えば、車両運転者の身体部分(例えば、指、肘、など)によるステアリングホイールの左側面のタップ又はスワイプは、第1,第2及び第3のセンサのインピーダンスを測定することによって、(例えば、第1のセンサは接触を示すインピーダンス値であって、第2及び第3のセンサは接触を示していない0インピーダンス値である)、及び、第1,第2及び第3のセンサのインピーダンスの変化率を検知することによって、(例えば、車両運転状態を変えるための車両運転者によるステアリングホイールの前面左側へのタップを検知するため)検知されてもよい。同様に、車両運転者の身体部分(例えば、指、肘、など)によるステアリングホイールの右側面のタップ又はスワイプは、第1,第2及び第3のセンサのインピーダンスを測定することによって、(例えば、第2のセンサは接触を示すインピーダンス値であって、第1及び第3のセンサは接触を示していない0インピーダンス値である)、及び第1,第2及び第3のセンサのインピーダンスの変化率を検知することによって、(例えば、車両運転状態を変えるための車両運転者によるステアリングホイールの前面右側へのタップを検知するため)検知されてもよい。
【0027】
本開示は、例示的実施形態に関して説明してきたが、開示された主題の趣旨及び範囲から逸脱することのない形式及び詳細における変更を、当業者なら認識するだろう。例えば、異なる例示の実施形態が一つ以上の利点を提供する一つ以上の機構を含むものとして記載されているが、記載された例示において、又は他の変形実施形態において、記載された機構が互いに置き換えられる、又は代わりとして互いに組み合わされることが予想される。本開示の技術が比較的複雑であるので、技術の全ての変更を予見できるとは限らない。例示的実施形態に関して記載される本開示は、できるだけ広範であることを明白に意図されている。例えば、特に断りのない限り、単一の特定要素を説明している例示的実施形態も、複数のそのような特定要素を含んでいる。
【0028】
好ましい例示的実施形態及び他の例示的実施形態に示すシステムの構成要素の構造及び構成は、例示的なものに過ぎない点に留意することも重要である。本開示においては、一定数の実施形態のみを詳細に説明してきたが、記載されている主題の新規な教示及び効果から著しく逸脱することなく多くの変更態様が可能である(例えば、サイズ、寸法、構造、様々な要素の形状及び比率、パラメータの値、取り付け構成、使用される材料、色、方向等におけるバリエーション)ことを、この開示を検討する当業者なら容易に理解するであろう。例えば、一体的に形成されるように示される構成要素は、複数の部品又は構成要素で構成してもよいし、複数の部品として示される構成要素は、一体的に形成されてもよいし、組立ての工程は逆にする又は変更してもよいし、システムの構造物及び/又は部材又はコネクタ又は他の構成要素は変更してもよいし、構成要素間に設けられた調整又は取付位置の性質又は数は変更してもよい。システムの構成要素及び/又はアセンブリは、十分な強度又は耐久性を与える任意の多種多様な材料から構成されてもよいことを留意されたい。したがって、このような全ての変更態様は、本出願の範囲内に含まれることを意図されたものである。好ましい例示的実施形態及び他の例示的実施形態の設計、動作条件及び構成において、本主題の趣旨及び範囲から逸脱することなく、その他の置換、改変、変更及び省略を行うことが可能である。例えば、別の考えうる実装において、インピーダンスセンサは誘導センサと交換されてもよい。ステアリングホイールへの接触のタイプを判定するために、誘導信号レベルが測定されてもよい。さらに別の実装において、インピーダンスセンサは容量センサと交換されてもよく、さらに別の実装で、インピーダンスセンサは抵抗センサと交換されてもよい。さらに別の実装において、インピーダンスセンサは、容量及び抵抗センサ、又は、誘導及び抵抗センサ、又は、容量及び誘導及び抵抗センサと交換されてもよい。
図1A
図1B
図2
図3A
図3B
図4