(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
運搬物を積載する荷台が設けられた車体と、該車体の下部側に左,右方向に延びて設けられた筒状のアクスルハウジングと、該アクスルハウジングの軸方向の両端側にそれぞれ設けられた筒状の車輪取付筒と、該各車輪取付筒に設けられ該車輪取付筒と一体に回転する左,右の車輪とを備え、
前記左,右の車輪は、弾性材料により形成され前記車輪取付筒と一体に回転するタイヤと、該タイヤを前記車輪取付筒に着脱可能に取付けるために該タイヤの内周側に設けられ前記車輪取付筒の外周側に嵌合されるリムベースとを有し、
前記車輪取付筒の外周側には、前記車輪を車輪取付筒の軸方向外側から内側に向けて挿通するときに前記リムベースの軸方向の内側端部が当接して前記車輪の位置決めを行うストッパ部を設け、
前記車輪取付筒の外周側には、前記車輪のリムベースを前記ストッパ部との間で軸方向から挟むことにより前記車輪を抜止め、回止め状態で前記車輪取付筒に固定するクランプ装置を設けてなる運搬車両において、
前記車輪取付筒の外周面と前記車輪のリムベースとの間には、前記リムベースの軸方向の内側端部まで軸方向に延びた円環状の環状空間を有し、
前記クランプ装置は、
前記車輪取付筒と前記リムベースとの間の前記環状空間内に挿入される円筒体からなり、前記ストッパ部との間に前記リムベースを挟むリング部材と、
前記車輪取付筒の軸方向の外側に位置して前記環状空間の周方向に間隔をもって複数個設けられ前記リング部材を前記環状空間内で前記ストッパ部に向け軸方向に押圧するための押圧部材と、
前記各押圧部材を前記車輪取付筒に固定する複数個の固定部材とにより構成し、
前記各押圧部材は、前記車輪取付筒の軸方向の外側から前記環状空間内にそれぞれ挿入され前記環状空間内を軸方向に延びた爪部と、該爪部の基端部から前記車輪取付筒の中心側に向けL字状に屈曲し前記固定部材により前記車輪取付筒に固定される屈曲部とにより構成し、
前記各押圧部材の爪部が前記環状空間内で軸方向に延びたことにより、前記リング部材は、重量を軽減できる軸方向寸法に形成された構成としたことを特徴とする運搬車両。
前記車輪のタイヤは、それぞれ前記リムベースを介して前記車輪取付筒の外周側に取付けられ互いに軸方向に離間したインナタイヤとアウタタイヤとからなる複輪式タイヤにより構成し、
前記ストッパ部は、前記車輪取付筒の軸方向内側に位置して前記車輪取付筒の外周側に設けられ前記インナタイヤ側の前記リムベースであるインナリムを前記車輪取付筒の外周側に抜止め状態で保持する拡径テーパ部と、前記アウタタイヤ側のリムベースであるアウタリムと前記インナリムとの間に位置して前記車輪取付筒の外周側に設けられ前記インナタイヤと前記アウタタイヤとの間に軸方向の隙間を確保するリムスペーサとによって構成し、
前記クランプ装置は、前記アウタリムを前記リムスペーサとの間で軸方向から挟む構成としてなる請求項1または2に記載の運搬車両。
前記インナリムの軸方向の内側には、前記インナタイヤの軸方向の内側に配置されたサイドリングを抜止めするバックフランジを設け、前記インナリムの軸方向の外側には、前記車輪取付筒の拡径テーパ部に抜止め状態で保持されるガターバンドと、該ガターバンドの外周側に位置し前記インナタイヤの軸方向の外側に配置されたサイドリングおよび該サイドリングの内径側を支持するビードシートバンドを抜止めするロックリングとを設ける構成とし、
前記アウタリムの軸方向の外側には、前記アウタタイヤの軸方向の外側に配置されたサイドリングを抜止めするバックフランジを設け、前記アウタリムの軸方向の内側には、前記クランプ装置のリング部材に抜止め状態で保持されるガターバンドと、該ガターバンドの外周側に位置し前記アウタタイヤの軸方向の内側に配置されたサイドリングおよび該サイドリングの内径側を支持するビードシートバンドを抜止めするロックリングとを設ける構成としてなる請求項3に記載の運搬車両。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1によるものでは、各車輪を車輪取付筒に取付けるために、車輪取付筒とリムベースとの隙間にクランプ部材を差し込む構成としている。この場合、クランプ部材は、楔として機能させるために、車輪取付筒とリムベースとの隙間に強く押込まれる。この結果、円筒状のリムベースは、クランプ部材が押込まれた部位だけに負荷が集中するから、当該リムベースの寿命が短くなってしまう。しかも、クランプ部材が押込まれた部位だけが径方向の外側に変形すると、タイヤ内の圧縮エアを保持するためのシール部材との当たりが不均等になるため、シール性が弱まってタイヤ内の圧縮エアが漏れる虞があり、信頼性が低下するという問題がある。
【0007】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明の目的は、車輪取付筒に車輪を取付けるときにリムベースの形状を適正な円筒形状に維持することにより、リムベースの寿命の向上、信頼性の向上等を図ることができるようにした運搬車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による運搬車両は、運搬物を積載する荷台が設けられた車体と、該車体の下部側に左,右方向に延びて設けられた筒状のアクスルハウジングと、該アクスルハウジングの軸方向の両端側にそれぞれ設けられた筒状の車輪取付筒と、該各車輪取付筒に設けられ該車輪取付筒と一体に回転する左,右の車輪とを備え、前記左,右の車輪は、弾性材料により形成され前記車輪取付筒と一体に回転するタイヤと、該タイヤを前記車輪取付筒に着脱可能に取付けるために該タイヤの内周側に設けられ前記車輪取付筒の外周側に嵌合されるリムベースとを有し、前記車輪取付筒の外周側には、前記車輪を車輪取付筒の軸方向外側から内側に向けて挿通するときに前記リムベースの軸方向の内側端部が当接して前記車輪の位置決めを行うストッパ部を設け、前記車輪取付筒の外周側には、前記車輪のリムベースを前記ストッパ部との間で軸方向から挟むことにより前記車輪を抜止め、回止め状態で前記車輪取付筒に固定するクランプ装置を設けてなる。
【0009】
そして、上述した課題を解決するために、請求項1の発明が採用する構成の特徴は、
前記車輪取付筒の外周面と前記車輪のリムベースとの間には、前記リムベースの軸方向の内側端部まで軸方向に延びた円環状の環状空間を有し、前記クランプ装置は、前記車輪取付筒と前記車輪のリムベースとの間
の前記環状空間内に挿入される円筒体からなり、前記ストッパ部との間に前記リムベースを挟むリング部材と、前記車輪取付筒の軸方向の外側に位置して
前記環状空間の周方向に間隔をもって複数個設けられ前記リング部材を
前記環状空間内で前記ストッパ部に向け軸方向に押圧するための押圧部材と、前記各押圧部材を前記車輪取付筒に固定する複数個の固定部材とにより構成し
、前記各押圧部材は、前記車輪取付筒の軸方向の外側から前記環状空間内にそれぞれ挿入され前記環状空間内を軸方向に延びた爪部と、該爪部の基端部から前記車輪取付筒の中心側に向けL字状に屈曲し前記固定部材により前記車輪取付筒に固定される屈曲部とにより構成し、前記各押圧部材の爪部が前記環状空間内で軸方向に延びたことにより、前記リング部材は、重量を軽減できる軸方向寸法に形成された構成
としたことにある。
【0010】
請求項2の発明は、前記リムベースの軸方向の内側端部には、軸方向の内側に向けて縮径する内向きテーパ面を当該リムベースの全周に亘って設け、前記クランプ装置のリング部材には、挿入方向の先端側の全周に位置して前記リムベースの内向きテーパ面に当接する外向きテーパ面を設ける構成としたことにある。
【0011】
請求項3の発明は、前記車輪のタイヤは、それぞれ前記リムベースを介して前記車輪取付筒の外周側に取付けられ互いに軸方向に離間したインナタイヤとアウタタイヤとからなる複輪式タイヤにより構成し、前記ストッパ部は、前記車輪取付筒の軸方向内側に位置して前記車輪取付筒の外周側に設けられ前記インナタイヤ側の前記リムベースであるインナリムを前記車輪取付筒の外周側に抜止め状態で保持する拡径テーパ部と、前記アウタタイヤ側のリムベースであるアウタリムと前記インナリムとの間に位置して前記車輪取付筒の外周側に設けられ前記インナタイヤと前記アウタタイヤとの間に軸方向の隙間を確保するリムスペーサとによって構成し、前記クランプ装置は、前記アウタリムを前記リムスペーサとの間で軸方向から挟む構成としたことにある。
【0012】
請求項4の発明は、前記インナリムの軸方向の内側には、前記インナタイヤの軸方向の内側に配置されたサイドリングを抜止めするバックフランジを設け、前記インナリムの軸方向の外側には、前記車輪取付筒の拡径テーパ部に抜止め状態で保持されるガターバンドと、該ガターバンドの外周側に位置し前記インナタイヤの軸方向の外側に配置されたサイドリングおよび該サイドリングの内周側を支持するビードシートバンドを抜止めするロックリングとを設ける構成とし、前記アウタリムの軸方向の外側には、前記アウタタイヤの軸方向の外側に配置されたサイドリングを抜止めするバックフランジを設け、前記アウタリムの軸方向の内側には、前記クランプ装置のリング部材に抜止め状態で保持されるガターバンドと、該ガターバンドの外周側に位置し前記アウタタイヤの軸方向の内側に配置されたサイドリングおよび該サイドリングの内周側を支持するビードシートバンドを抜止めするロックリングとを設ける構成としたことにある。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明によれば、車輪を車輪取付筒に固定するクランプ装置は、車輪取付筒と車輪のリムベースとの間
の円環状の環状空間内に挿入される円筒体からなり、ストッパ部との間に前記リムベースを挟むリング部材と、前記車輪取付筒の軸方向の外側に位置して
前記環状空間の周方向に間隔をもって複数個設けられ前記リング部材を
前記環状空間内で前記ストッパ部に向け軸方向に押圧するための押圧部材と、該各押圧部材を前記車輪取付筒に固定する複数個の固定部材とにより構成し、
前記各押圧部材は、前記車輪取付筒の軸方向の外側から前記環状空間内にそれぞれ挿入され前記環状空間内を軸方向に延びた爪部と、該爪部の基端部から前記車輪取付筒の中心側に向けL字状に屈曲し前記固定部材により前記車輪取付筒に固定される屈曲部とにより構成し、前記各押圧部材の爪部が前記環状空間内で軸方向に延びることにより、前記リング部材は、重量を軽減できる軸方向寸法に形成されている。
【0014】
従って、クランプ装置によって車輪を車輪取付筒に固定する場合には、車輪取付筒と車輪のリムベースとの間の
円環状の環状空間にリング部材を挿入する。この状態で、複数個の押圧部材により前記リング部材を軸方向の内側、即ち、ストッパ部に向けて押圧する。これにより、円筒体からなるリング部材を
前記環状空間内でリムベースの全周に亘って均等に押付けることができ、複数個の固定部材によって各押圧部材を車輪取付筒に固定することにより、車輪を車輪取付筒に抜止め、回止め状態で固定することができる。
【0015】
この結果、クランプ装置のリング部材は、押付けたときの負荷をリムベースの全周に均等に作用させることができるから、該リムベースの部分的な変形を抑えることができ、適正な円筒形状を維持させることができる。これにより、応力集中を防止してリムベースの耐久性や寿命を向上することができる。
前記リング部材は、各押圧部材の爪部が前記環状空間内で軸方向に延びることにより、重量を軽減できる軸方向寸法に形成することができる。しかも、リムベースが部分的に変形することにより形成される隙間もなくなるから、タイヤ内に圧縮エアを維持するためのシール部材との当たりを全周に亘って均等化できるから、タイヤ内に長期に亘って圧縮エアを維持することができ、信頼性を向上することができる。
【0016】
請求項2の発明によれば、リムベースの軸方向の内側端部には、軸方向の内側に向けて縮径する内向きテーパ面を当該リムベースの全周に亘って設け、クランプ装置のリング部材には、挿入方向の先端側の全周に位置して前記リムベースの内向きテーパ面に当接する外向きテーパ面を設ける構成としている。
【0017】
従って、車輪取付筒と車輪のリムベースとの間にリング部材を挿入する場合には、該リング部材を外向きテーパ面が形成された先端側から挿入し、この外向きテーパ面をリムベースの内向きテーパ面に押付ける。これにより、各テーパ面の当接によって車輪を車輪取付筒と同一軸線上に配置した状態で、該車輪を車輪取付筒に抜止め、回止め状態で固定することができる。
【0018】
請求項3の発明によれば、車輪のタイヤをインナタイヤとアウタタイヤとからなる複輪式タイヤにより構成することができ、車輪取付筒に対する複輪式タイヤの取付け、取外し作業を容易に行うことができる。
【0019】
請求項4の発明によれば、インナリムの外周側にロックリング等を用いてインナタイヤを抜止め状態で設けることができ、アウタリムの外周側にロックリング等を用いてアウタタイヤを抜止め状態で設けることができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態による運搬車両の代表例として、例えば後輪駆動式のダンプトラックに適用した場合を例に挙げ、
図1ないし
図6に従って詳細に説明する。
【0022】
図1において、1は本実施の形態で採用した運搬車両としてのダンプトラックを示している。このダンプトラック1は、頑丈なフレーム構造をなす車体2と、該車体2上に搭載され油圧シリンダ3Aによって起伏可能な荷台としてのベッセル3とを含んで構成されている。ベッセル3は、例えば砕石物のように重い荷物を多量に積載するため全長が10〜13m(メートル)にもおよぶ大型の容器として形成されている。ベッセル3の後側底部は、車体2の後端側にピン結合部4を介して起伏(傾転)可能に連結されている。
【0023】
5は車体2の前部に設けられたキャビンで、該キャビン5は、ダンプトラック1の運転者が乗降する運転室を形成し、その内部には運転席、起動スイッチ、アクセルペダル、ブレーキペダル、操舵用のハンドル、複数の操作レバー(いずれも図示せず)等が設けられている。
【0024】
6は車体2の前部側に回転可能に設けられた左,右の前輪(
図1中に左側のみ図示)で、この左,右の前輪6は、キャビン5に搭乗した運転者によって操舵(ステアリング操作)される操舵輪を構成している。前輪6は、例えば2〜4mにおよぶタイヤ径(外径寸法)をもって形成されている。
【0025】
次に、車体2の後部側に設けられた後述する左,右の後輪10を駆動するための構成、後輪10を取付け、取外し可能に取付けるための構成について説明する。
【0026】
即ち、7は車体2の後部側に設けられた走行駆動装置である。この走行駆動装置7は、後述のアクスルハウジング8、車輪取付筒9、電動モータ、減速歯車機構(いずれも図示せず)等により構成されている。そして、走行駆動装置7は、前記電動モータの回転を減速歯車機構によって減速し、駆動輪となる後述の後輪10を車輪取付筒9と一緒に大なる回転トルクで回転駆動するものである。
【0027】
8は車体2の後部下側に設けられた後輪10用のアクスルハウジングで、該アクスルハウジング8は、車体2の左,右方向に延びる筒状体として形成されている。このアクスルハウジング8は、緩衝器等の懸架装置(図示せず)を介して車体2の後部下側に取付けられている。ここで、アクスルハウジング8内には、例えば、左,右の後輪10を個別に回転駆動するため一対の駆動源、例えば、大なる回転力を出力する電動モータ等が収容して設けられ、その出力軸(図示せず)は、軸方向に延びて車輪取付筒9に接続されている。
【0028】
9はアクスルハウジング8の両端側に設けられた車輪取付筒で、該車輪取付筒9は、後輪10と一体に回転するものである。即ち、車輪取付筒9は、アクスルハウジング8の軸方向の両端側に軸受(図示せず)等を介して回転可能に取付けられている。車輪取付筒9は、所謂ホイールハブを構成し、その外周側には、後述する後輪10のインナリム13、アウタリム14等がクランプ装置21を用いて着脱可能に取付けられる。
【0029】
ここで、車輪取付筒9内には、駆動源(電動モータ)の出力軸の回転を減速する減速歯車機構(図示せず)が設けられている。この減速歯車機構は、前記駆動源の回転を減速することにより、大なる回転力を発生し、この回転力は車輪取付筒9、車両の駆動輪となる後輪10(インナタイヤ11、アウタタイヤ12)に伝達される。
【0030】
車輪取付筒9の外周面9Aは、後述のインナリム13とアウタリム14とが嵌合して取付けられる筒状の取付面として形成されている。外周面9Aのうち、軸方向(左,右方向)の内側となる部位には、インナリム13を抜止め状態に保持するための環状の拡径テーパ部9Bが設けられている。この拡径テーパ部9Bは、後述のリムスペーサ19と共にストッパ部を構成するものである。
【0031】
一方、車輪取付筒9の軸方向(左,右方向)の外側には、外周側に位置して周方向に延びる円環状の環状段部9Cと、該環状段部9Cの内径側に位置して軸方向の外側に突出した筒状凸部9Dとが設けられている。
図3に示すように、この筒状凸部9Dは、円形状の蓋体として形成され、環状段部9Cと共に減速歯車機構の蓋体を構成している。さらに、環状段部9Cには、後述するクランプ装置21を構成する複数本のスタッドボルト24が取付けられている。
【0032】
10は車輪取付筒9の外周側に設けられた左,右の後輪(
図1、
図2中に左側のみ図示)を示している。この後輪10は、車輪取付筒9と一体に回転することによりダンプトラック1の駆動輪を構成するもので、前輪6と同様に、例えば2〜4mにおよぶタイヤ径(外径寸法)をもって形成されている。
図2に示す如く、後輪10は、後述する複輪式(例えば2本)のタイヤ11,12と、インナリム13、アウタリム14等により構成されている。
【0033】
次に、後輪10の主要部を構成する複輪式のタイヤ11,12について説明する。11は車輪取付筒9の軸方向となる左,右方向の内側に配置されたタイヤ(以下、インナタイヤ11という)である。12は該インナタイヤ11よりも左,右方向の外側に配置されたタイヤ(以下、アウタタイヤ12という)である。インナタイヤ11とアウタタイヤ12は、弾性材料を用いて内周(内径)側が開口する断面U字状のリング体として形成され、後述のインナリム13とアウタリム14が取付けられた状態で内部に圧縮エアが充填される。
【0034】
ここで、
図2、
図4に示すように、インナタイヤ11の内周側には、軸方向(左,右方向)の外側,内側に位置するサイドリング11A,11Bと、該各サイドリング11A,11Bのうち軸方向の外側に位置する一方のサイドリング11Aの内周側を支持するために嵌合、圧入または溶接のような固定手段を用いて固着されたビードシートバンド11Cとが予備組付け(サブアッシー)された状態で設けられている。インナタイヤ11の場合は、ビードシートバンド11Cが後述するインナリム13の左,右方向の外側位置に摺動可能に挿嵌される。
【0035】
一方、アウタタイヤ12の内周側には、前述したインナタイヤ11とほぼ同様に、軸方向の外側,内側に位置するサイドリング12A,12Bと、該サイドリング12A,12Bのうち軸方向の内側に位置する一方のサイドリング12Bの内周側を支持するために嵌合、圧入または溶接のような固定手段を用いて固着されたビードシートバンド12Cとが予備組付けされた状態で設けられている。アウタタイヤ12の場合は、ビードシートバンド12Cが後述するアウタリム14の左,右方向の内側位置に摺動可能に挿嵌される。
【0036】
13はインナタイヤ11を車輪取付筒9の外周面9A側に位置決めする円筒状のリムベースとしてのインナリムである。このインナリム13は、所謂テーパタイプのタイヤ取付用リムとして構成されている。ここで、
図2、
図4に示す如く、インナリム13は、インナタイヤ11の内周側を閉塞するように軸方向に延びて形成され、車輪取付筒9の外周面9Aの外径寸法よりも大きな内径寸法をもったベース筒部13Aと、該ベース筒部13Aの軸方向の内側、外側に形成されたバックフランジ13B、ガターバンド13Cとを含んで構成されている。
【0037】
バックフランジ13Bは、ベース筒部13Aの軸方向内側に配置され、外径側に延びた鍔状の抜止め部として形成されている。これにより、バックフランジ13Bは、インナタイヤ11のサイドリング11Bを抜止め状態に保持することができる。
【0038】
一方、ガターバンド13Cは、ベース筒部13Aの軸方向外側に配置され、内周側に縮径した内鍔状に形成されている。このガターバンド13Cには、車輪取付筒9の拡径テーパ部9Bに対面して当接する内向きテーパ面13C1が形成されている。このガターバンド13Cは、車輪取付筒9の外周面9Aに摺動可能に嵌合することができる。
【0039】
インナリム13は、そのガターバンド13Cの内向きテーパ面13C1が車輪取付筒9の拡径テーパ部9Bに当接することにより、テーパ同士の当接によって該インナリム13と車輪取付筒9とを同一軸線上に配置することができる。この状態では、インナリム13は、全体が車輪取付筒9に対して片持ち支持されると共に、該車輪取付筒9に抜止め状態に保持されるものである。
【0040】
ここで、インナリム13の外周面側には、インナタイヤ11のサイドリング11Bとビードシートバンド11Cとが摺動可能に挿嵌され、これにより、インナタイヤ11は、車輪取付筒9の外周面9A側に取付けられる。さらに、インナリム13を構成するガターバンド13Cの外周側には、左,右方向の外側に位置して環状のリング溝13Dが形成され、該リング溝13Dよりも左,右方向の内側には、ガターバンド13Cの内向きテーパ面13C1の外周側に位置してシール溝13Eが形成されている。前記リング溝13Dには、後述のロックリング15が着脱可能に装着され、シール溝13Eには、後述のOリング17が装着される。
【0041】
14はアウタタイヤ12を車輪取付筒9の外周面9A側に位置決めする円筒状のリムベースとしてのアウタリムである。このアウタリム14は、前述したインナリム13と同様に、テーパタイプのタイヤ取付用リムとして構成されている。ここで、アウタリム14は、例えば、インナリム13を左,右方向(軸方向)で反転させた形状となっている。
【0042】
即ち、アウタリム14は、インナリム13と同様に、アウタタイヤ12の内周側を閉塞するように軸方向に延びて形成され、車輪取付筒9の外周面9Aの外径寸法よりも後述の環状空間20の分だけ大きな内径寸法をもったベース筒部14Aと、該ベース筒部14Aの軸方向の外側、内側に形成されたバックフランジ14B、ガターバンド14Cとを含んで構成されている。
【0043】
バックフランジ14Bは、ベース筒部14Aの軸方向外側に配置され、外径側に延びた鍔状の抜止め部として形成されている。これにより、バックフランジ14Bは、アウタタイヤ12のサイドリング11Aを抜止め状態に保持することができる。
【0044】
一方、ガターバンド14Cは、ベース筒部14Aの軸方向内側に配置され、内周側に縮径した内鍔状に形成されている。このガターバンド14Cには、後述するリング部材22の外向きテーパ面22Bに対面して当接する内向きテーパ面14C1が形成されている。このガターバンド14Cは、車輪取付筒9の外周面9Aに摺動可能に嵌合することができる。
【0045】
アウタリム14は、そのガターバンド14Cの内向きテーパ面14C1がリング部材22の外向きテーパ面22Bに当接することにより、テーパ同士の当接によって該アウタリム14と車輪取付筒9とを同一軸線上に配置することができる。この状態では、アウタリム14は、全体が車輪取付筒9に対して片持ち支持されると共に、後述のクランプ装置21を取付けたときには該車輪取付筒9に抜止め状態に保持されるものである。
【0046】
ここで、アウタリム14の外周面側には、インナリム13と同様に、アウタタイヤ12のサイドリング12Aとビードシートバンド12Cとが摺動可能に挿嵌され、これにより、アウタタイヤ12は、車輪取付筒9の外周面9A側に取付けられる。さらに、アウタリム14を構成するガターバンド14Cの外周面側には、ロックリング16が着脱可能に装着される環状のリング溝14Dが形成され、該リング溝14Dよりも左,右方向の外側には、内向きテーパ面13C1の外周側に位置してOリング18が装着されるシール溝14Eが形成されている。
【0047】
15はインナリム13のガターバンド13Cの外周側に設けられたロックリングで、該ロックリング15は、インナリム13に対してインナタイヤ11を抜止めするものである。このロックリング15は、例えば周方向で2分割された半割リングを用いて構成されている。ロックリング15は、半割リングをインナリム13のリング溝13Dに径方向外側から着脱可能に取付け、この状態で対向する半割リングの端部を連結具(図示せず)を用いて固定する構成となっている。これにより、ロックリング15は、ビードシートバンド11Cの端部に締代をもって当接し、このビードシートバンド11C、サイドリング11Aを抜止めすることができる。
【0048】
一方、16はアウタリム14のガターバンド14Cの外周側に設けられたロックリングで、該ロックリング16は、アウタリム14に対してアウタタイヤ12を抜止めするものである。このロックリング16は、インナリム13側のロックリング15と同様に、例えば周方向で2分割された半割リングを用いて構成されている。ロックリング16は、アウタリム14のリング溝14Dに着脱可能に取付けられている。これにより、ロックリング16は、ビードシートバンド12C、サイドリング12Bを抜止めすることができる。
【0049】
17はインナリム13のシール溝13Eに装着されたシール部材としてのOリングである。このOリング17は、インナタイヤ11のビードシートバンド11Cの内周面に当接することにより、インナタイヤ11内に充填した圧縮エアがビードシートバンド11Cとインナリム13との間から漏れないように気密にシールするものである。同様に、18はアウタリム14のシール溝14Eに装着されたOリングで、アウタタイヤ12内に充填した圧縮エアがビードシートバンド12Cとアウタリム14との間から漏れないように気密にシールしている。
【0050】
19はインナリム13、アウタリム14との間に設けられたリムスペーサである。このリムスペーサ19は、車輪取付筒9の外周面9A側でインナリム13とアウタリム14との間に配置されることにより、インナタイヤ11とアウタタイヤ12との間に左,右方向(軸方向)の隙間を確保するものである。ここで、リムスペーサ19は、車輪取付筒9の外周面9Aに挿嵌される円筒体として形成され、インナリム13とアウタリム14とにより軸方向の両側から挟持されている。
【0051】
リムスペーサ19は、車輪取付筒9の拡径テーパ部9Bと共にストッパ部を構成するものである。インナタイヤ11側のインナリム13、リムスペーサ19、アウタタイヤ12側のアウタリム14を車輪取付筒9の軸方向外側から内側に向けて順次挿着する。このときに、インナリム13は、ガターバンド13Cの内向きテーパ面13C1を、車輪取付筒9の拡径テーパ部9Bに当接させることにより、車輪取付筒9の軸方向の内側位置に位置決めされる。一方、アウタリム14は、軸方向の内側に位置するガターバンド14Cをリムスペーサ19に当接させることにより、車輪取付筒9の軸方向の外側位置に位置決めすることができる。
【0052】
ここで、
図5に示すように、アウタリム14を車輪取付筒9の軸方向の外側位置に位置決めした状態では、車輪取付筒9の外周面9Aとアウタリム14のベース筒部14Aとの間に円環状の環状空間20が形成されている。この環状空間20には、後述するクランプ装置21のリング部材22と各押圧部材23の一部が挿入される。クランプ装置21によってアウタリム14のガターバンド14Cをリムスペーサ19に押付けることにより、アウタリム14を車輪取付筒9に対し軸方向および回転方向に固定することができる。
【0053】
次に、本発明の特徴部分である車輪取付筒9の外周側に後輪10を固定するためのクランプ装置21について述べる。
【0054】
21は車輪取付筒9の外周側に設けられたクランプ装置を示している。このクランプ装置21は、アウタリム14をリムスペーサ19との間で軸方向から挟むことにより、アウタリム14を抜止め、回止め状態で車輪取付筒9に固定するものである。クランプ装置21は、後述のリング部材22、押圧部材23、スタッドボルト24、ナット25により構成されている。
【0055】
22はクランプ装置21を構成するリング部材である。このリング部材22は、車輪取付筒9の外周面9Aに摺動可能に挿嵌することができる内径寸法をもった円筒体として形成されている。一方、リング部材22の外径寸法は、アウタリム14のベース筒部14Aの内径寸法よりも小さな寸法に設定されている。さらに、リング部材22の軸方向寸法は、円筒形状を維持しつつ、重量を軽減できる寸法、例えば50〜200mm程度に設定されている。これにより、リング部材22は、車輪取付筒9とアウタリム14との間の環状空間20に挿入することができ、取外すこともできる。
【0056】
円筒体からなるリング部材22のうち、環状空間20に挿入するときの先端側は楔部22Aとなり、該楔部22Aには、先端に向けて縮径することにより外向きテーパ面22Bが形成されている。この外向きテーパ面22Bは、環状空間20に挿入されて奥部まで移動されたときに、アウタリム14のガターバンド14Cに形成された内向きテーパ面14C1に全周に亘って当接するものである。一方、リング部材22の基端側は、全周に亘って平坦な平坦面22Cとなっている。この平坦面22Cには、周方向のいずれの位置にでも後述する押圧部材23の爪部23A先端を確実に当接させることができる。
【0057】
23は車輪取付筒9の軸方向の外側に位置して周方向に間隔をもって複数個、例えば12個設けられた押圧部材である。この複数個の押圧部材23は、リング部材22をストッパ部を構成するリムスペーサ19に向け軸方向に押圧するための押圧爪を構成している。各押圧部材23は、環状空間20に挿入するために車輪取付筒9の外周面9Aに沿って湾曲した状態で軸方向に延びた爪部23Aと、該爪部23Aの基端部から車輪取付筒9の中心側に向けL字状に屈曲した屈曲部23Bとにより構成されている。屈曲部23Bには、後述のスタッドボルト24を挿通するためのボルト挿通孔23Cが1個または複数個、例えば2個形成されている。
【0058】
24は車輪取付筒9に設けられた複数本のスタッドボルトで、該各スタッドボルト24は、例えば押圧部材23の個数に対応して24本設けられている。この複数本のスタッドボルト24は、後述のナット25と共にクランプ装置21の固定部材を構成している。スタッドボルト24は、軸方向の一端側(軸方向内側の端部)が車輪取付筒9の環状段部9Cに植設して固定され、軸方向の他端側が環状段部9Cから軸方向の外側に向けて突出している。
図3に示すように、各スタッドボルト24は、例えば2本を1組とし、各組毎に周方向に間隔をもって配置されている。なお、
図2、
図4、
図5中では、複数本のスタッドボルト24のうち、一部のスタッドボルト24のみを図示し、これ以外のスタッドボルト24は省略して示している。
【0059】
25は各スタッドボルト24に螺着される複数個、例えば24個のナットで、該各ナット25は、スタッドボルト24と共にクランプ装置21の固定部材を構成している。ナット25は、押圧部材23のボルト挿通孔23Cをスタッドボルト24に挿通し、この状態でスタッドボルト24に螺着することにより、該スタッドボルト24と協働して押圧部材23をリング部材22に向けて軸方向に移動させると共に、所定の位置で押圧部材23を車輪取付筒9に固定するものである。
【0060】
本実施の形態によるダンプトラック1は、上述の如き構成を有するもので、次に、その作動について説明する。
【0061】
ダンプトラック1のキャビン5に乗り込んだ運転者は、原動機であるエンジンを起動することにより、油圧ポンプとオルタネータ(いずれも図示せず)を回転駆動する。これにより、油圧ポンプからの圧油を油圧シリンダ3Aに供給することによりベッセル3を起伏させることができる。一方、オルタネータからの電気は、バッテリ等に充電されつつ、後輪10用の左,右の電動モータに供給され、この左,右の後輪10を回転駆動することにより、ダンプトラック1を走行駆動することができる。
【0062】
次に、複輪式のタイヤ(インナタイヤ11、アウタタイヤ12)を、車輪取付筒9に取付けたり、車輪取付筒9から抜取ったりする場合の作業について説明する。ここで、各タイヤ11,12の外径寸法は、例えば2〜4メートルにも達し、その重量も1〜3トンと大重量になっている。このため、各タイヤ11,12の着脱作業には、該各タイヤ11,12を搬送するための搬送機(図示せず)が用いられる。
【0063】
インナタイヤ11とアウタタイヤ12を車輪取付筒9に取付ける場合について述べる。まず、各タイヤ11,12と各リム13,14を組立てる。この場合、シール溝13EにOリング17が装着されたインナリム13をインナタイヤ11の内周側に挿入し、リング溝13Dにロックリング15を装着することによってインナリム13にインナタイヤ11を抜止め状態に固定し、内部に圧縮エアを充填する。同様に、シール溝14EにOリング18が装着されたアウタリム14をアウタタイヤ12の内周側に挿入し、リング溝14Dにロックリング16を装着することによってアウタリム14にアウタタイヤ12を抜止め状態に固定し、内部に圧縮エアを充填する。
【0064】
各タイヤ11,12と各リム13,14を組立てたら、インナタイヤ11が取付けられたインナリム13を持ち上げて、バックフランジ13B側から車輪取付筒9の外周側に嵌合させ、ガターバンド13Cの内向きテーパ面13C1を車輪取付筒9の拡径テーパ部9Bに当接させる。続いて、車輪取付筒9の外周側にリムスペーサ19を取付ける。
【0065】
車輪取付筒9の外周側にリムスペーサ19を取付けたら、アウタタイヤ12が取付けられたアウタリム14を持ち上げて、ガターバンド14C側から車輪取付筒9の外周側に嵌合させ、ガターバンド14Cをリムスペーサ19に当接させる。
【0066】
このように、車輪取付筒9の外周側にインナリム13、リムスペーサ19、アウタリム14を嵌合させたら、クランプ装置21を用いてインナリム13とアウタリム14を車輪取付筒9に抜止め、回止め状態に固定する作業に移る。
【0067】
この固定作業では、リング部材22を持ち上げ、楔部22Aとなった先端側から環状空間20に挿入する。続いて、各押圧部材23の爪部23Aを環状空間20に挿入し、その先端部をリング部材22の基端側の平坦面22Cに当接させる。このときに、各押圧部材23の各ボルト挿通孔23Cにスタッドボルト24をそれぞれ挿通させ、その後に各スタッドボルト24にナット25を螺着する。
【0068】
このように、車輪取付筒9の外周側にクランプ装置21を配置したら、各ナット25を均等に締付けることにより、各押圧部材23によってリング部材22を軸方向の内側に移動させる。各ナット25を締付けるときの締付けトルクが設定した値に達するまで該ナット25を締付けることにより、リング部材22を環状空間20の奥部まで移動させ、外向きテーパ面22Bをアウタリム14のガターバンド14Cに形成された内向きテーパ面14C1に当接させることができる。これにより、リング部材22は、アウタリム14のガターバンド14Cをリムスペーサ19との間に挟むことができる。同時に、車輪取付筒9の拡径テーパ部9Bは、リムスペーサ19との間にインナリム13のガターバンド13Cを挟むことができる。
【0069】
各ナット25を設定した締付けトルクまで締付けたときには、リング部材22の楔部22Aを車輪取付筒9の外周面9Aとガターバンド14Cの内向きテーパ面14C1との間に押込むことができ、このときの楔効果によってインナリム13とアウタリム14(インナタイヤ11とアウタタイヤ12)を車輪取付筒9に対し抜止め、回止め状態で固定することができる。一方で、各ナット25は、各押圧部材23を車輪取付筒9に固定することができる。
【0070】
この場合、円筒状のリング部材22は、その楔部22Aをアウタリム14のガターバンド14Cに対し内側からを全周に亘って均等に押付けることができ、リング部材22を押付けたときの負荷(応力)をアウタリム14の全周に均等に作用させることができる。これにより、アウタリム14の部分的な変形が抑えられるから、該アウタリム14の形状を適正な円筒形状とすることができる。しかも、アウタリム14のシール溝14Eとアウタタイヤ12のビードシートバンド12Cとの隙間が全周に亘って均等になるから、Oリング18の変形量も全周で均等にすることができ、Oリング18によるシール性を良好にすることができる。
【0071】
さらに、車輪取付筒9の外周面9Aに摺動可能に嵌合したリング部材22の外向きテーパ面22Bをアウタリム14のガターバンド14Cに形成された内向きテーパ面14C1に当接させた構成では、アウタリム14を車輪取付筒9と同一軸線上に配置することができる。同様に、車輪取付筒9の拡径テーパ部9Bをインナリム13のガターバンド13Cに形成された内向きテーパ面13C1に当接させることにより、インナリム13を車輪取付筒9と同一軸線上に配置することができる。
【0072】
次に、インナタイヤ11とアウタタイヤ12を車輪取付筒9から抜取る場合について述べる。この場合には、各ナット25を弛めて各スタッドボルト24から各押圧部材23を取外すことにより、リング部材22による締付けを解除する。この状態で、搬送機を用いてアウタタイヤ12、アウタリム14を車輪取付筒9から引き抜く、このときには、アウタリム14と一緒にリング部材22を抜き取ることができる。この後には、リムスペーサ19、インナタイヤ11、インナリム13を順次抜き取ることができる。
【0073】
かくして、本実施の形態によれば、後輪10を形成するインナリム13、アウタリム14を車輪取付筒9に固定するクランプ装置21は、車輪取付筒9の外周面9Aとアウタリム14のベース筒部14Aとの間(環状空間20)に挿入される円筒体からなり、ストッパ部をなすリムスペーサ19との間に前記アウタリム14を挟むリング部材22と、前記車輪取付筒9の軸方向の外側に位置して周方向に間隔をもって複数個設けられ前記リング部材22を前記リムスペーサ19に向け軸方向に押圧するための押圧部材23と、該各押圧部材23を前記車輪取付筒9に固定するために該車輪取付筒9に設けられた複数本のスタッドボルト24およびナット25からなる固定部材とにより構成している。
【0074】
従って、クランプ装置21は、後輪10を形成するインナリム13、アウタリム14を車輪取付筒9に固定する場合、複数個の押圧部材23により円筒体からなるリング部材22をアウタリム14の全周に亘って均等に押付けることができる。この上で、各スタッドボルト24、ナット25によって各押圧部材23を車輪取付筒9に固定することにより、インナリム13、アウタリム14を車輪取付筒9に抜止め、回止め状態で固定することができる。
【0075】
この結果、クランプ装置21は、そのリング部材22を押付けたときの負荷をアウタリム14の全周に均等に作用させることができるから、該アウタリム14の部分的な変形を抑えることができ、適正な円筒形状を維持させることができる。これにより、応力集中を防止してアウタリム14の耐久性や寿命を向上することができる。
【0076】
ここで、アウタリム14のガターバンド14C側が部分的に変形した場合、アウタタイヤ12のビードシートバンド12Cとの間で不規則な隙間を形成するから、この隙間が大きい位置では、Oリング18の当たりが弱くなってシール性が低下する虞がある。これに対し、本実施の形態では、アウタリム14のシール溝14E、アウタタイヤ12のビードシートバンド12Cに対するOリング18との当たりを全周に亘って均等化できるから、シール性を長期に亘って維持することができ、信頼性を向上することができる。
【0077】
しかも、アウタリム14の軸方向の内側端部には、軸方向の内側に向けて縮径する内向きテーパ面14C1を当該アウタリム14の全周に亘って設け、クランプ装置21のリング部材22には、楔部22Aの周囲に位置して前記内向きテーパ面14C1に当接する外向きテーパ面22Bを設ける構成としている。従って、外向きテーパ面22Bを内向きテーパ面14C1に押付けることにより、各テーパ面22B,14C1の当接によってアウタリム14を車輪取付筒9と同一軸線上に配置することができる。
【0078】
なお、実施の形態では、車輪取付筒9の軸方向の外側に位置する環状段部9Cに複数本のスタッドボルト24を植設し、該各スタッドボルト24にナット25を螺着することにより固定部材を構成した場合を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、例えば、車輪取付筒9の環状段部9Cに複数の雌ねじ穴を設け、該各雌ねじ穴にボルトを螺着することにより固定部材を構成してもよい。また、スタッドボルト24とナット25は、24個に限るものではなく、適宜に設定できるものである。
【0079】
実施の形態では、クランプ装置21によるアウタリム14の固定作業で、車輪取付筒9にアウタリム14を取付けた後に、リング部材22を環状空間20に挿入する手順とした場合を例示している。しかし、この手順に限らず、例えば、アウタリム14内に予めリング部材22を装着し、この状態でアウタリム14とング部材22を一緒に車輪取付筒9に取付けるようにしてもよい。
【0080】
実施の形態では、後輪側の走行駆動装置7に駆動源として電動モータを用いる場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば油圧モータ等を走行駆動装置の駆動源として用いてもよいものである。また、前輪側に複輪式のタイヤを用いた型式の運搬車両にも適用することができる。
【0081】
さらに、実施の形態では、後輪駆動式のダンプトラック1を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば前輪駆動式または前,後輪を共に駆動する4輪駆動式のダンプトラック等、各種の運搬車両に適用してもよいものである。