(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5871430
(24)【登録日】2016年1月22日
(45)【発行日】2016年3月1日
(54)【発明の名称】アルミ接合部の接合装置及びその接合工法
(51)【国際特許分類】
B23K 20/08 20060101AFI20160216BHJP
H02G 1/12 20060101ALI20160216BHJP
【FI】
B23K20/08 Z
H02G1/12 075
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2012-89625(P2012-89625)
(22)【出願日】2012年4月10日
(65)【公開番号】特開2013-215784(P2013-215784A)
(43)【公開日】2013年10月24日
【審査請求日】2014年8月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000117010
【氏名又は名称】古河電工パワーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086368
【弁理士】
【氏名又は名称】萩原 誠
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 祐一
【審査官】
豊島 唯
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−032901(JP,A)
【文献】
特開平06−269961(JP,A)
【文献】
特開昭56−149780(JP,A)
【文献】
特公昭42−007137(JP,B1)
【文献】
特開2002−010419(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 20/08
H02G 1/00 − 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
送電線を鉄塔に引き留める引留クランプに備えられた板状の接続部が、ジャンパ線が嵌合されるジャンパソケットに備えられたコ字状の接続部により両側を挟みこまれて接合された際に、前記板状の接続部の表面と前記コ字状の接続部の表面とが互いに当接する部分であるアルミ接合部を接合するアルミ接合部の接合装置であって、
円柱形の側面が切り取られたかまぼこ型の容器に火薬が封じ込められた、導火線を有するイグナイタと、
前記イグナイタが挿入されるイグナイタ固定治具と、
前記イグナイタ固定治具を、前記板状の接続部と前記コ字状の接続部とが組み合わせられて形成される横断面矩形の部位の、前記板状の接続部が露出する側面に固定する固定バンドと、
前記導火線に接続されて、前記イグナイタに着火する発破器とを有し、
前記イグナイタは、前記板状の接続部が露出する側面に、該側面側にのみ開口を有する前記イグナイタ固定治具により周囲を覆われた状態で、該側面に露出する前記アルミ接合部を跨ぐようにして設置され、
前記固定バンドは、前記イグナイタ固定治具とともに、前記横断面矩形の部位の周囲を囲み、
前記発破器は、前記イグナイタが、前記固定バンドにより固定された前記イグナイタ固定治具により、固定された状態で、前記イグナイタに着火することを特徴とするアルミ接合部の接合装置。
【請求項2】
送電線を鉄塔に引き留める引留クランプに備えられた板状の接続部が、ジャンパ線が嵌合されるジャンパソケットに備えられたコ字状の接続部により両側を挟みこまれて接合された際に、前記板状の接続部の表面と前記コ字状の接続部の表面とが互いに当接する部分であるアルミ接合部を接合するアルミ接合部の接合工法であって、
前記板状の接続部と前記コ字状の接続部とが組み合わせられて形成される横断面矩形の部位の、前記板状の接続部が露出する側面に露出する前記アルミ接合部の酸化皮膜を除去するステップと、
円柱形の側面が切り取られたかまぼこ型の容器に火薬が封じ込められた、導火線を有するイグナイタをイグナイタ固定治具に入れるステップと、
前記イグナイタを入れたイグナイタ固定治具を、固定バンドにより、前記板状の接続部が露出する側面に露出する前記アルミ接合部の前記酸化皮膜が除去された部所に固定するステップと、
前記イグナイタの導火線を発破器に接続するステップと、
前記発破器により前記イグナイタが着火され、爆発により前記アルミ接合部が溶融接合されるステップとを含み、
前記イグナイタは、前記板状の接続部が露出する側面に、該側面側にのみ開口を有する前記イグナイタ固定治具により周囲を覆われた状態で、該側面に露出する前記アルミ接合部を跨ぐようにして設置され、
前記固定バンドは、前記イグナイタ固定治具とともに、前記横断面矩形の部位の周囲を囲み、
前記発破器は、前記イグナイタが、前記固定バンドにより固定された前記イグナイタ固定治具により、固定された状態で、前記イグナイタに着火することを特徴とするアルミ接合部の接合工法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルミ部材による送電線の接続部に係り、詳しくは、送電線のジャンパ部並びに開閉箇所の電線接続におけるアルミ接合部の接合装置及びその接合工法に関する。
【背景技術】
【0002】
送電線のジャンパ部並びに開閉箇所の電線接続におけるアルミ接合部は、塩害や雨水の浸入による酸化により絶縁状態となり、電力の送電効率が著しく低下する場合がある。この絶縁状態を取り除き電力の送電効率を回復させるため、特に鉄塔上での作業において、安全、且つ簡易な方法が求められていた。
【0003】
特許文献1には、複数枚の薄金属シート1のラップ部2を抵抗シーム溶接あるいはインダイレクトシーム溶接により密封し、外周端部3の裏面を金属基材5の表面に所定の間隔dwp隔てて重ね、火薬Bの爆発により外周端部3を金属基材5の表面に爆着接合させて密封シールする、旨の記載がある。
【0004】
特許文献2には、P元素の含有量が5wt%以上且つ11wt%以下のNiメッキ12に被覆され、Cu元素を基として組成されるCu母材11において、Ni合金が低溶接温度にて溶解する、旨の記載がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−155961号公報
【特許文献2】特開2009−129803号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、その目的は、送電線のジャンパ部並びに開閉箇所の電線接続におけるアルミ接合部を、安全、且つ簡易に接合できる接合装置及びその接合工法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のアルミ接合部の接合装置は、送電線
を鉄塔に引き留める引留クランプに備えられた板状の接続部が、ジャンパ線が嵌合されるジャンパソケットに備えられたコ字状の接続部により両側を挟みこまれて接合された際に、前記板状の接続部の表面と前記コ字状の接続部の表面とが互いに当接する部分であるアルミ接合部を接合するアルミ接合部の接合装置であって、円柱形の側面が切り取られたかまぼこ型の容器に火薬が封じ込められた、導火線を有するイグナイタと、イグナイタ
が挿入されるイグナイタ固定治具と、
前記イグナイタ固定治具を、前記板状の接続部と前記コ字状の接続部とが組み合わせられて形成される横断面矩形の部位の、前記板状の接続部が露出する側面に固定す
る固定バンド
と、導火線に接続されて、イグナイタに着火する発破器とを有
し、前記イグナイタは、前記板状の接続部が露出する側面に、該側面側にのみ開口を有する前記イグナイタ固定治具により周囲を覆われた状態で、該側面に露出する前記アルミ接合部を跨ぐようにして設置され、前記固定バンドは、前記イグナイタ固定治具とともに、前記横断面矩形の部位の周囲を囲み、前記発破器は、前記イグナイタが、前記固定バンドにより固定された前記イグナイタ固定治具により、固定された状態で、前記イグナイタに着火する。
【0008】
本発明のアルミ接合部の接合工法は、送電線
を鉄塔に引き留める引留クランプに備えられた板状の接続部が、ジャンパ線が嵌合されるジャンパソケットに備えられたコ字状の接続部により両側を挟みこまれて接合された際に、前記板状の接続部の表面と前記コ字状の接続部の表面とが互いに当接する部分であるアルミ接合部を接合するアルミ接合部の接合工法であって、
前記板状の接続部と前記コ字状の接続部とが組み合わせられて形成される横断面矩形の部位の、前記板状の接続部が露出する側面に露出するアルミ接合部の酸化皮膜を除去するステップと、円柱形の側面が切り取られたかまぼこ型の容器に火薬が封じ込められた、導火線を有するイグナイタをイグナイタ固定治具に入れるステップと、イグナイタを入れたイグナイタ固定治具を、固定バンドにより、
前記板状の接続部が露出する側面に露出するアルミ接合部の酸化皮膜が除去された部所に固定するステップと、イグナイタの導火線を発破器に接続するステップと、発破器によりイグナイタが着火され、爆発によりアルミ接合部が溶融接合されるステップとを含
み、前記イグナイタは、前記板状の接続部が露出する側面に、該側面側にのみ開口を有する前記イグナイタ固定治具により周囲を覆われた状態で、該側面に露出する前記アルミ接合部を跨ぐようにして設置され、前記固定バンドは、前記イグナイタ固定治具とともに、前記横断面矩形の部位の周囲を囲み、前記発破器は、前記イグナイタが、前記固定バンドにより固定された前記イグナイタ固定治具により、固定された状態で、前記イグナイタに着火する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、送電線のジャンパ部並びに開閉箇所の電線接続におけるアルミ接合部を、安全、且つ容易に接合できる接合装置及びその接合工法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明による接合装置の取付け構成を示す取付け構成図。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0011】
本発明の実施の形態について、送電線のジャンパ部のアルミ接合部に取付けられた接合装置の構成を、図を用いて説明する。
図1は、本発明による接合装置が送電線のジャンパ部のアルミ接合部に取付けられた取付け構成図である。
図1において、本発明の接合装置は、円柱形の側面が切り取られたかまぼこ型の容器に火薬が封じ込められ、且つ導火線15を有するイグナイタ10と、イグナイタ10を保持し、且つ次に詳述するアルミ接合部40に固定するための固定バンド30を有するイグナイタ固定治具20と、導火線15に接続されて、イグナイタ10に着火する発破器90により構成されている。
【0012】
送電線70を鉄塔(図示せず)に引き留めるアルミ製の引留クランプ50の一端には、送電線70が嵌合されて鉄塔に引き留められている。引留クランプ50の他端は、ジャンパ線80に接続するため、接続ボルトの貫通孔を具備する接続部55を有している。また、アルミ製のジャンパソケット60の一端には、ジャンパ線80が嵌合されている。他端はクランプ50の接続部55に接続されるため、同様の接続ボルトの貫通孔を具備するコ型の接続部65を有している。
【0013】
ジャンパソケット60のコ型の接続部65と、引留クランプ50の接続部55との貫通孔には、接続ボルトが貫通し、互いの接続部はナットにより接合され、アルミ接合部40を形成している。ジャンパ線80の他端は、同様のジャンパソケット60に嵌合され、該ジャンパソケット60のコ型の接続部65は、同様に、鉄塔に対称に送電線70を引き留めている引留クランプ50の接続部55に接続されている。
【0014】
このアルミ接合部40は、塩害や雨水の浸入による酸化により絶縁状態となり、電力の送電効率が著しく低下する。このため、イグナイタ10がアルミ接合部40に取付けられ、導火線15が発破器90に接続され、イグナイタ10が着火、爆発することにより、アルミ接合部40が溶融接合され、電力の送電効率が回復する。
【0015】
つぎに、本発明による接合工法について説明する。
図2〜4は、本発明の接合工法を示す接合工程図である。
図2において、電気伝導を阻害する酸化皮膜が形成されたアルミ接合部40にイグナイタ10を取付けるため、破線の矩形で示される取付け部分の酸化皮膜を、金属ブラシ等により除去する(ステップ1)。
【0016】
図3において、酸化皮膜が除去された取付け部分にイグナイタ10をそれぞれ取付ける。この取付けは、イグナイタ10の取付け平面部分が両面接着テープを具備し、
図3の位置に仮止めした後、
図4aのイグナイタ固定治具20で覆い、固定バンド30により固定する。また、両面接着テープを用いることなく、イグナイタ固定治具20にイグナイタ10をそれぞれ挿入した後、
図4aに示すように、それぞれの取付け位置に位置決めし、固定バンド30により固定してもよい(ステップ2)。またイグナイタ固定治具20は、爆発の衝撃に耐え、且つ溶融の熱効率を高めるため、セラミック製であることが望ましく、固定バンド30は、爆発の衝撃に耐える強化繊維か又は金属であることが望ましい。
【0017】
図4bにおいて、
図1における発破器90にイグナイタ10の導火線15が接続され(ステップ3)、スイッチが投入されると、イグナイタ10は着火、爆発し、アルミ接合部40のイグナイタ10が取付けられた部分が溶融接合される。そのとき
図4cにおいて、イグナイタ10は爆発して消滅すると共に、アルミ接合部40の溶融接合部17が形成される(ステップ4)。
【0018】
図4dにおいて、固定バンド30が開放され、イグナイタ固定治具20が取り除かれて、作業が終了する(ステップ5)。
図5は、本発明による溶融接合部の接合形成図である。
図5において、形成された2箇所の溶融接合部17が示されているが、この溶融接合部17の溶融接合領域は、アルミ接合部40の表面全体を覆うようにイグナイタ10が構成されても良い。また、裏面のアルミ接合部40も同時に覆うように、イグナイタ10が構成されても良い。これにより、必要で十分な電力の送電効率を得ることができる。
【0019】
以上説明したように本発明によれば、鉄塔上の作業に適した小型で取付が簡便なイグナイタにより、送電線のジャンパ部並びに開閉箇所の電線接続におけるアルミ接合部を、安全、且つ容易に接合できる接合装置及びその接合工法を提供することができる。
【符号の説明】
【0020】
10 イグナイタ
15 導火線
17 溶融接合部
20 イグナイタ固定治具
30 固定バンド
40 アルミ接合部
50 引留クランプ
55 接続ボルトの貫通孔を具備する接続部
60 ジャンパソケット
65 接続ボルトの貫通孔を具備するコ型の接続部
70 送電線
80 ジャンパ線
90 発破器