(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
例えば自動車用冷却装置に用いられるロータリ式流量制御弁において、バルブハウジング内に概略円筒状を呈する弁体を、外部から回転操作可能に収容配置したものが従来から知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
これを簡単に説明すると、このロータリ式流量制御弁では、円筒状の弁体を用いるとともに、バルブハウジング内の弁室に接続させて設けられている通路の開口端に形成されている環状溝に環状のシールリングを介在させ、流体の漏れ等を防ぎ、また流体の通路を開閉するための弁体の動きにより通路を適宜開閉することにより所望の動作を得られるように構成されている。
【0004】
また、住宅設備に用いられるボール式バルブ構造において、バルブハウジング内に球体又は円筒体による弁体を配置し、該弁体の外周面に接するようにして、バルブハウジング内の環状溝内に環状のシール部材を嵌合させて設けるとともに、該シール部材の弁体側、バルブハウジング側の側面に突起部または溝部を設け、これらの凹凸によって弁体が外部から操作されたとしても、弁体とバブルハウジング間に介在し、所要のシール性を確保できるように構成している(例えば、特許文献2参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述したようにバルブハウジング内で回転、回動操作される球体又は円筒体による弁体には、その外周面に摺接して当該摺接部分をシールする環状のシール部材が設けられており、そのシール部材としても種々の形状をもつものが従来から提案されているが、いずれも一長一短であり、何らかの対策を講じることが望まれている。
【0007】
すなわち、シール部材として一般的なOリングを、弁体とバルブハウジングとの間に介在させた場合を考えると、弁体の外面に当接しているOリングには、該弁体の回転によって撚れやねじれが生じてしまうため、Oリングの内、外径部分のそれぞれに補強部材を設ける必要があり、部品点数や組立工数が増加し、組立作業も煩雑さを避けられず、また補強部材と弁体との間の隙間にOリングが噛み込まないように隙間を小さく設定しなければならない。しかも、補強部材が弁体に接触して摺動抵抗を生じるといった不具合は生じないように設定しなければならない。
【0008】
また、補強部材を採用せずに一般的なOリングでねじれや噛み込みを防止するためには、Oリングの太さを太くすることが考えられる。しかし、このように太さを太くすると、Oリングの圧縮方向の寸法(溝深さ)、さらにOリングの内、外径の充填寸法(溝幅)に至るまで、全てが大きくなり、大型化を招く要因となるばかりでなく、シール部材の相手側が摺動する場合にあっては、弁体の外面に当接する面積が大きくなることから、摺動抵抗が大きくなり、弁体の動きが阻害されたり、Oリングが摩耗したりする等といった問題を生じる虞れがある。
【0009】
したがって、Oリングの太さを太くしたりすることなく、またねじれや噛み込みを防止するために、別部品を必要とせず、しかも弁体の外面に当接することによるシール部材の圧縮率(つぶし代)を、該シール部材の全周にわたって均一に確保できるようにする何らかの対策を講じることが望まれる。
【0010】
また、上述したように太くしたOリングの代わりに、それと同等の圧縮率を得ることができる楕円形状、長円形状等を呈するOリングを用いることも考えられている。しかし、このような楕円形状等のOリングでは、弁体側の外面形状、例えば曲面形状によっては、所定の圧縮率を得ることができない個所が生じる。すなわち、楕円形状等による軸線が、弁体外面の曲面形状による中心を向くようにOリングを配設することはできないため、弁体外面による圧縮力が楕円形状等のOリングの軸線とはずれて働くことになり、適正な圧縮力が得られず、シール性が低下したり、該弁体外面によってねじれ等を生じやすく、この点でもシール性が害されるといった問題がある。
【0011】
このため、前述したように従来から種々の対策が講じられており、前述した従来技術では、シール部材の弁体側の側面、バルブハウジング側の側面に突起部や溝部等を形成し、シール部材が弁体の外表面に対して密着性を向上させ、当該部分のシール性を確保し得るように構成している。
【0012】
しかし、このような複雑な断面形状をもつシール部材は、成形性に欠けるとともに、使用頻度によっては突起部等に摩耗や損傷を生じ、シール性が害されるといった問題を招く虞れがあった。さらに、その成形用の金型も複雑になり金型の摩耗問題も避けられず、コスト面で問題でもあった。
【0013】
また、従来この種のロータリ式バルブにおいて、シール部材を板バネでバルブ側面に押し付け、通路部はハウジング内部にパイプ状の突起を出し、前記シール部材を貫通させストップリング等で固定するようにしたもの、芯金等で機械的な強度剛性を向上させたものも、従来既に提案されている。
【0014】
しかし、このような従来構造では、シール部材が弾性体のみで構成されているものの、シール部材単体やハウジングの溝の形状が複雑となるものであり、またシール部材においては角部が多いため成型時にバリが生じてしまい、そのバリ取り処理も工数増となる等の問題があった。
【0015】
さらに、従来のシール部材では、弁体との接点での緊迫力の作用方向が、該弁体の中心に向かう法線方向からずれており、偏った力が作用することから、長期にわたる使用による摺動摩擦で磨耗し易いため、長期間にわたって所要の緊拍力を維持できず、耐久性に問題がある。特に、従来のシール部材では、上述した通り、該シール部材の周方向における各部において圧縮率が異なり、これら周方向における各部での弁体の外面に対する緊迫力を均一にすることが難しいものであった。そして、このようにシール部材の周方向における各部での緊迫力のばらつきにより、当該シール部材によるシール部でのシール性を確実に得ることができなくなるといった問題があった。
【0016】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、回転、回動又は摺動操作される弁体の外面に接する周方向の各部における圧縮率を全周にわたって均一にすることにより、弁体の開閉動作の如何にかかわらず、確実なシール性を確保し得るロータリ式バルブを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
このような目的に応えるために本発明(請求項1記載の発明)に係るロータリ式バルブ用シール部材は、バルブハウジング内で回転、回動又は摺動操作される円筒体又は球体による弁体を備えたロータリ式バルブにおいて、前記バルブハウジング内で弁体の外面に沿うように湾曲して形成された内壁面の一部であって、該弁体によって開閉されるように開口する通路の開口縁に形成された環状溝内に嵌装されることにより、弁体の外面に摺接するように配設されるシール部材を備え、このシール部材は、前記弁体の外面に対し法線方向に沿って配置されその先端の膨出部を突出させて弁体の外面に圧接させることにより当該部分をシールするための長円形状部と、この長円形状部を前記弁体の外面に対する法線方向に沿って配置させた状態で埋設するとともに外側面が前記環状溝の溝壁面に接した状態で該環状溝内に保持される矩形状部とからなる断面形状をもつ環状体としての立体構造をもち、弾性材料により一体に形成されていることを特徴とする。
【0018】
本発明(請求項2記載の発明)に係るロータリ式バルブ用シール部材は、請求項1において、前記シール部材は、前記膨出部と反対側の端部において、前記法線方向に沿って反対側に突出することにより前記バルブハウジングの環状溝の溝底部に圧接されることにより、前記法線方向に向かう付勢力を与える第2の膨出部を有し、この第2の膨出部をも含めた断面形状による環状体としての立体構造で一体に形成されていることを特徴とする。
【0019】
本発明(請求項3記載の発明)に係るロータリ式バルブ用シール部材は、請求項1または請求項2記載のロータリ式バルブ用シール部材において、前記シール部材は、前記膨出部と前記第2の膨出部とをもつ長円断面形状を呈する長円形状部を有し、前記環状溝内に保持されて前記弁体の外周面に摺接しているときに受ける圧縮方向が、前記弁体の外面に対する法線方向に沿う方向であって、周方向のいずれの位置でも常に同一の圧縮率を確保できるような断面形状を有していることを特徴とする。
【0020】
本発明(請求項4記載の発明)に係るロータリ式バルブ用シール部材は、請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のロータリ式バルブ用シール部材において、前記シール部材における矩形状部は、前記環状溝の溝壁面に接して該環状溝内に保持され、前記弁体の外面に摺接する前記長円形状部を、常に該弁体の外面に対する法線方向に沿う方向に向いた状態で保持するように、周方向において連続的に変化する断面形状をもつように構成されていることを特徴とする。
【0021】
本発明(請求項5記載の発明)に係るロータリ式バルブ用シール部材は、請求項4記載のロータリ式バルブ用シール部材において、前記シール部材における矩形状部は、環状溝の内壁に保持される外周面と前記開口通路に侵食しない程度の内径をもつ内周面とを有する環状体(ドーナツ形状部材)を前記弁体の可動軸と同軸の中心を持ち弁体の外面よりも大きい前記弁体側から見た面(第1の側面)と環状溝の溝底面よりも小さい前記弁体と反対側から見た面(第2の側面)とを持つように構成されていることを特徴とする。
【0022】
本発明の(請求項6記載の発明)に係るロータリ式バルブ用シール部材を用いたロータリ式バルブは、請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載のロータリ式バルブ用シール部材を用いたロータリ式バルブであって、このロータリ式バルブにおけるバルブハウジング内の内壁面と前記弁体の外面との間には、はみ出し隙間以上のクリアランスが設けることが可能なことを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
以上説明したように本発明に係るロータリ式バルブ用シール部材によれば、バルブハウジング内で弁体外面に沿うように湾曲して形成された内壁面の一部であって、該弁体によって開閉されるように開口する通路の開口縁に形成された環状溝内に嵌装されることにより弁体の外面に摺接するように配設されるシール部材を、弁体の外面に対し法線方向に沿って配置されその先端の膨出部を突出させて前記弁体の外面に圧接させることにより当該部分をシールするための長円形状部と、この長円形状部を前記弁体の外面に対する法線方向に沿って配置させた状態で埋設するとともに外側面が前記環状溝の溝壁面に接した状態で該環状溝内に保持される矩形状部とからなる断面形状をもつ環状体としての立体構造をもつように弾性材料により一体に形成したので、簡単な構成であるにもかかわらず、以下に述べる種々優れた効果を奏する。
【0024】
(1)バルブハウジング内の環状溝はハウジング内通路開口縁に配置され弁体回転軸と同軸に中心を持つ溝底面と、開口通路と同軸の中心を持つ溝内壁によって構成されている。その円弧状に湾曲した溝底面は、シール部材の長円形状部における第2の膨出部の受圧面となる部分であり、溝内壁はシール部材の矩形状部を保持する目的で構成されている。また、シール部材は、第1、第2の膨出部(反弁体側の第2の膨出部は省略可能。)で構成される長円形状部と、環状溝の内壁に保持される外周面と開口通路に侵食しない程度の内径をもつ内周面とを有する環状体(ドーナツ形状部材)を前記弁体の可動軸と同軸の中心を持ち弁体の外面よりも大きい第1の側面(弁体側から見た面)と環状溝の溝底面よりも小さい第2の側面(弁体と反対側から見た面)とを持つ矩形状部とで構成されている。
【0025】
したがって、長円形状部は、主に、回転摺動する弁体の外面とバルブハウジング内の環状溝の溝底面との間でシールする機能を有しており、第1、第2の膨出部の中心を結んだ長軸に垂直に圧縮することが理想的であるが、円弧状の両圧縮壁面に対しどの部位においても常に法線方向となるような立体3次元構造を形成することで二つの円弧状の圧縮壁の間で全周にわたって同一の圧縮率で管理され、結果として本発明によるシール部材を用いることで、弁体の外面との間での確実なシール状態を維持することができる。
【0026】
(2)シール部材のつぶし代を得る部分としての長円形状部を、上述したような長円形状とすることで摺動面の接触面積を大きくすることなく、摺動抵抗は増加させずに、一般的に用いられている単純形状のOリングの線径を太くするのと同様につぶし代を大きく確保することが可能となる。
ここで、このように構成すると、圧縮壁の寸法制度の許容量が大きく取れるといった利点もある。
【0027】
(3)シール部材の矩形状部は、バルブハウジング内の環状溝に保持され、シール部材の弁体回転軸に対するラジアル方向およびスラスト方向の位置決め機能を有するとともに、前記長円形状部と一部の体積を共有し長円形状部が圧縮された際のねじれや倒れ、弁体外周面との摺動によるよじれや噛み込みを確実に防止する機能を有している。
【0028】
(4)シール部材における矩形状部の第1の側面(弁体側の側面)は弁体の外面に接触しない設定とすることで、弁体の摺動抵抗には関与しない設定としている。さらに、シール部材は、前述した通り予め弁体回転軸を中心とした円弧状に形成しているため、環状溝への挿入後に、弁体を組付ける時においても、噛み込みや脱落することはなく、また組付け後、および弁体の動作時においても局部的なストレスを受けることもないから、局部磨耗や部分的なヘタリの発生もなく耐久性にも優れている。
【0029】
(5)シール部材を組付ける環状溝を、バルブハウジング内部に設けたことにより、外部から組み付けを想定した場合のシール部材を保持する蓋体を必要としないため、蓋体とハウジング間のシール部材も必要とせず、部品点数の削減を図れることに加え、外部気密に対する信頼性を大幅に向上させることができる。
【0030】
(6)シールの信頼性、耐久性に優れ、噛み込み防止用のバックアップリング等も必要としないため、部品点数も最小点数に抑えることができ、高価な部品を使用しないため、コスト的にも安価に済ませることできる。
【0031】
また、本発明によれば、上述したような作用効果をもつロータリ式バルブ用シール部材を用いた場合に、そのバルブハウジングの内壁面と弁体の外面との間をOリング等といった従来のシール部材よりも大きいクリアランス、つまり、はみ出し隙間よりも大きくクリアランスを設定することが可能となるため、流体中に含まれる不純物(例えば、エンジンブロックを鋳造する時に鋳砂が残留してしまう)が、引っかからず、常に適切なバルブ動作を得ることができるといった利点がある。これは、従来は、摺動時に生じる前記クリアランスへの噛み込みを考慮すると、バックアップリング等を用いる等としてクリアランスを限りなくゼロ近くまでつめて、つまり、シール部材のはみ出し隙間よりも小さくし、シール部材の破損防止を狙っていたが、その結果、上記の不純物が詰まり易いといった問題につながり、また、クリアランスを大きく設定すると前記噛み込みを生じる等の問題にもつながり、実用面で問題であったが、本発明によれば、このような問題をも解消することが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
回転、回動又は摺動操作される弁体の外面に接して当該部分をシールする環状のシール部材を、弁体の外面に対し法線方向に沿って配置されその先端の膨出部を突出させて弁体外面に圧接させることにより当該部分をシールする長円形状部と、この長円形状部を弁体外面に対する法線方向に沿って配置させた状態で埋設するとともに外側面がバルブハウジング内の環状溝の溝壁面に接した状態で該環状溝内に保持される矩形状部とからなる断面形状をもつ環状体としての立体構造をもつように一体成型することにより形成している。
【0034】
図1ないし
図5は本発明に係るロータリ式バルブ用シール部材及びこれを用いたロータリ式バルブの一実施例を示すものであり、本実施例では、適宜の流体機器において流量制御弁装置として用いられるロータリ式バルブに適用した場合を説明する。
【0035】
これらの図において、本発明を特徴づけるロータリ式バルブ用シール部材を適用する流量制御弁装置を、
図8(a),(b)及び
図9を用いて以下に説明する。
【0036】
すなわち、図中符号10はロータリ式バルブとしての流量制御弁装置であり、バルブハウジング11は流体入口側パイプ部12と流体出口側パイプ部13とを備えている。そして、中央のバルブ室14には、
図5に示す円筒状の弁体15が回転自在に収容保持され、バルブハウジング11の外部に突出する外部操作軸15aが外部操作されることにより、弁体15が適宜回転操作され、これにより該弁体15に設けられた通路孔16が前記パイプ部12,13に適宜の開口量で連通し、流量を制御するようになっている。
【0037】
なお、
図8中、12a,13aは、流体入口、出口側パイプ部12,13の内部通路である。また、17は前記バルブハウジング11の下部開口を閉塞する蓋体、17aはこの蓋体17の内側に突出する回転軸部であり、この回転軸部17aと前記バルブハウジング11の外方に突出する外部操作軸15aとにより円筒状弁体15がハウジング11内に回動自在に保持されるようになっている。
【0038】
さらに、
図9中、16a,16bは弁体16の側面に開口し通路孔16を介して流体流量を制御するための通路開口である。
【0039】
本発明によれば、上述した構成によるロータリ式バルブとしての流量制御弁装置10によるバルブハウジング11内で回転、回動又は摺動操作される円筒体による弁体15の外面(実施例では外周面)に摺接するように配設されるシール部材20を備え、このシール部材20を、バルブハウジング11内でバルブ室14に開口する出口側パイプ部13の開口端に形成した環状溝18内に保持されることで、弁体15の外周部との間をシールし、通路や外部への液漏れを生じないように構成している。
【0040】
ここで、このシール部材20は、
図1ないし
図7において、弁体15によって開閉される通路の開口縁に形成された環状溝18内に組み込むことで保持される形状を有する矩形状部21と、前記弁体15の外周面に対し法線方向Dに突出して頂部が圧接される膨出部22a(第1の膨出部)を有する長円形状部22とからなる断面形状をもつ環状体としての立体構造をもち、弾性材料により一体に形成されている。
【0041】
換言すれば、本発明を特徴づけるシール部材20は、弁体15の外周面に対し法線方向に沿って配置される長円形状部22を備え、この長円形状部22を、その長軸方向が、該シール部材20の周方向におけるいずれの部位においても、弁体15の外周面に対する法線方向を沿う方向を向いた姿勢となるようにして前記矩形状部21内に埋設された状態で一体に形成されている。
【0042】
前記バルブハウジング11内の環状溝18はハウジング11内の通路開口縁に配置され前記弁体15の回転軸(17a)と同軸に中心を持つ溝底面18bと、開口通路と同軸の中心を持つ溝内壁によって構成されている。その円弧状に湾曲した溝底面18bは、シール部材20の長円形状部22における第2の膨出部22bの受圧面となる部分であり、溝内壁18aはシール部材20の矩形状部21を保持する目的で構成されている。
【0043】
すなわち、シール部材20は、第1、第2の膨出部22a,22bで構成される長円形状部22と、環状溝18の内壁に保持される外周面42bと開口通路に侵食しない程度の内径をもつ内周面42aとを有する環状体(ドーナツ形状部材;
図7中符号40で示す)を前記弁体15の回転軸(15a部分;可動軸)と同軸の中心を持ち弁体15の外周面よりも大きい前記弁体側から見た面40a(第1の側面)と環状溝18の溝底面18bよりも小さい前記弁体15と反対側から見た面40b(第2の側面)とを持つ矩形状部21とで構成されている。なお、前記環状体40の前記厚さは、シール材の硬度・材質、求められるシール力、摺動抵抗ならびに開口径等により適宜に設定されることは、言うまでもない。
【0044】
前記矩形状部21は、バルブハウジング11内に形成された環状溝18の溝壁部18aに接する面をもつほぼ平行四辺形断面形状を呈するように形成され、装着時において環状溝18内に安定して保持されるように構成されている。そして、この矩形状部21は、シール部材20の弁体回転軸(17a)に対するラジアル方向およびスラスト方向の位置決め機能を有するとともに、前記長円形状部22と一部の体積を共有し長円形状部22が圧縮された際のねじれや倒れ、弁体15の外周面との摺動によるよじれや噛み込みを確実に防止する機能を有している。
【0045】
また、このシール部材20における矩形状部22の第1の側面40a(弁体側の側面)は弁体15の外面に接触しない設定とすることで、弁体15の摺動抵抗には関与しない設定としている。さらに、前記シール部材20は、前述した通り予め弁体15の回転軸を中心とした円弧状に形成しているため、環状溝18への挿入後に、弁体15を組付ける時においても、噛み込みや脱落することはなく、また組付け後、および弁体15の動作時においても局部的なストレスを受けることもないから、局部磨耗や部分的なヘタリの発生もなく耐久性にも優れている。
【0046】
このシール部材20の矩形状部21の厚み方向の寸法は、非装着時において、長円形状部22の第1、第2の膨出部22a,22bの頂部を結んだ寸法よりも小さい。
また、シール部材20を装着した状態であって弁体15が非作動状態では、矩形状部21と環状溝18の溝底面18bとは接していても接していなくてもよい。
【0047】
これを詳述すると、シール部材20における矩形状部21は、環状溝18の溝壁面18bに接して該環状溝18内に保持され、前記弁体15の外周面に摺接する前記長円形状部22を、常に該弁体15の外面に対する法線方向に沿う方向に向いた状態で保持するように、周方向において連続的に変化する断面形状をもつようにして形成されている。
【0048】
また、このシール部材20は、前記膨出部22aと反対側の側面において、前記法線方向と反対側に突出することにより前記バルブハウジング11の環状溝18の溝底部18bに圧接されることにより、前記膨出部22に対し法線方向への付勢力を与える第2の膨出部22bを有し、この第2の膨出部22bをも含めた断面形状による環状体としての立体構造で一体に形成されている。
【0049】
そして、この実施例では、前記膨出部(第1の膨出部)22aと前記第2の膨出部22bとによって法線方向に延びたほぼ長円形状を呈する長円形状部22として機能する部分を、前記矩形状部21と一体に成型するようにしている。ここで、このシール部材20における第1の膨出部22a、第2の膨出部22bによる長円形状部22として機能するように構成され、円周方向のいずれの位置でも常に同一の圧縮率(緊迫力)を確保できるような断面形状を有している。
【0050】
また、前記シール部材20は、環状溝18内に保持されて前記弁体15の外周面に摺接しているときに受ける圧縮方向が、前記環状溝18の溝底部18bに対して垂直になっている。
【0051】
さらに、前記シール部材20は、
図2、
図3(a),(b),(c),(d)、さらには
図4、
図5の断面形状から明らかなように、全体が環状リング形状であって、しかも弁体15の外周面に接する側面側に湾曲することにより、弁体15の外周面形状に沿うような形状による立体形状をもつように構成され、これによりバルブハウジング11内部に形成される通路内での流体流路を遮断する際のシール性を確保できるようになっている。
【0052】
以上の構成によれば、シール部材20は、その矩形状部21によってバルブハウジング11内の環状溝18に安定して嵌装して配置される。これは、矩形状部21が環状溝18の溝壁部18aに接し、また長円形状部22の第2の膨出部22bが溝底部18bに接して所定の緊迫力を受けることにより、その動きを拘束されるからである。したがって、弁体が回転、回動操作されることによりシール部材と摺動した際にあっても、該シール部材が脱落したりすることはなくなる。さらに、このような矩形状部21と環状溝18の溝底部18bとにより、弁体15が回転摺動した際にあっても、該シール部材20がねじれ、よれなどを生じる虞れがなくなり、剛性を確保し得るものである。
【0053】
また、このようなシール部材20に接するようにして円筒状の弁体15を設けることにより、該シール部材20は、その弁体15側に突出するように設けた膨出部22aの頂部などが、弁体15の外周面に摺接し、これによりこの部分のシール性が確保されることになる。
【0054】
特に、本発明によれば、環状のシール部材20は、バルブ弁体15の外周面形状に合わせた立体形状をもち、全周にわたりいずれの断面においても、その長円形状部の頂点が弁体15の外周面に対して法線方向Dに向いており、その法線方向Dにおいて第1の膨出部22aの頂点が圧接されるように付勢する構造となっている。したがって、このシール部材20の弁体15に接する膨出部22aの頂部には、第2の膨出部22bを含む長円形状部22による法線方向に向かう所要の付勢力が作用することになり、これによりシール性を確実に確保し得るものである。しかも、このような付勢状態が得られることから、バルブの摺動使用に伴う劣化、損傷等が生じても、ある程度のシール性を確保し得るものである。
【0055】
換言すると、シール部材20の長円形状部22による膨出部22a及び第2の膨出部22bによる接点(シール部材が反発する)方向を、弁体15及び環状溝18の溝底部に対しどの断面においても常に法線方向とすることで、シール部材20による緊拍力(圧縮率)管理が確実にでき、確実なシールが可能となる。
また、シール部材20の長円形状部22の膨出部22aによって、弁体外周面、バルブハウジングの環状溝の溝底部に対してどの断面においても均等な圧縮が得られ、所要のシール部材20としての機能を発揮させ得るものである。
【0056】
ここで、シール部材20の全体形状の基本的な概要を説明すると、このシール部材20は、被シール部材であるバルブ弁体15の外周面に対し法線方向を向いて配置される長円形状部22を有し、この長円形状部22の内周側、外周側に形成されてバルブハウジング11の環状溝18の溝壁部18aに接して保持されるような状態で一体成形されている。したがって、このシール部材20では、長円形状部22の埋め込み位置が、
図3〜
図5に示されるように、前記バルブ弁体15に対してのシール部を形成するように法線方向を向くように、円周方向において徐々に変位して位置づけられるようになっており、その外側に矩形状部21を設けているものである。
【0057】
このようなシール部材20の環状溝18やバルブ弁体15とのシール部との関係は、
図6(a),(b)、
図7に示すようになっている。すなわち、シール部材20における矩形状部21は、同図(a)に示すような状態で形成されている環状溝18の溝壁部18aに安定して環状保持されるような形状をもち、法線方向を向く状態で長円形状部22が埋設されるような形状で形成されている。
【0058】
換言すれば、長円形状部22は、第1の膨出部22aが全周にわたって法線方向に向くように成形されており、その長円形状部22を溝18に挿入したとして、溝において長円形状部22が専有していない空間を埋めるように矩形状部21となっている。
【0059】
このような形状をもつシール部材20によれば、矩形状部21や長円形状部22の第2の膨出部22bによって環状溝18に所要の状態で保持される。そして、第1の膨出部22aによってバルブ弁体15に対し法線方向に緊迫力をもって圧接し、摺動自在に保持し、所要のシール状態を維持する。また、このようなシール部材20は、ねじりに対しても所要の強度をもち、バルブ弁体15の動きにかかわらず、安定した形状をもつ。
【0060】
また、上述したシール部材20を用いるロータリ式バルブとしての流体制御弁装置にあっては、そのバルブハウジング11内の内壁面と前記弁体15の外周面との間に、はみ出し隙間よりも大きいクリアランスを設けている。これは、本発明によれば、矩形状部21が円筒状弁体15の摺動面に接触せず、すなわち円筒状弁体15の摺動による噛み込みが発生しない様に構成されており、かつ円筒状弁体15が摺動した場合にも長円形状部の膨出部22aが前記クリアランスに噛み込むことがないよう長円形状部の膨出部22aを保持しているために、このクリアランスをある程度余裕をもって取ることができるからである。
【0061】
そして、上述したようなロータリ式バルブ用シール部材を用いた場合に、そのバルブハウジングの内壁面と弁体の外面との間をOリング等といった従来のシール部材よりも大きいクリアランス、つまり、はみ出し隙間よりも大きくクリアランスを設定することが可能となるため、流体中に含まれる不純物(例えば、エンジンブロックを鋳造する時に鋳砂が残留してしまう)が、引っかからず、常に適切なバルブ動作を得ることができるといった利点がある。これは、従来は、摺動時に生じる前記クリアランスへの噛み込みを考慮すると、クリアランスを限りなくゼロ近くまでつめて、つまり、シール部材のはみ出し隙間よりも小さくし、シール部材の破損防止を狙っていたが、その結果、上記の不純物が詰まり易いといった問題につながり、また、クリアランスを大きく設定すると前記噛み込みを生じる等の問題にもつながり、実用面で問題であったが、本発明によるシール部材20を用いると、このような問題をも解消することが可能である。
【0062】
なお、本発明は上述した実施の形態で説明した構造には限定されず、シール部材20やこれを適用するロータリ式バルブを構成する各部の形状、構造等を適宜変形、変更し得ることはいうまでもない。例えば、上述した実施例では、シール部材20を、バルブハウジング11内で出口側パイプ部13につながる開口縁部分に設けているが、本発明はこれに限定されず、入口側パイプ部12側の開口縁にも設けてもよいものであり、バルブ構造によって、弁体15との間でシールが必要なところに設けられるシール部材であれば適用して効果を発揮し得るものである。
【0063】
さらに、上述した実施例では、シール部材20をほぼ環状リング形状にて説明したが、本発明はこれに限定されず、通路開口径よりも大きい口径であれば、断面ほぼ四角形状などの多角形リングであってもよい。要は、環状溝18に嵌装する矩形状部21と弁体15の外周面の法線方向に向かう膨出部22aを備えた超円形状部22とを一体に成形した断面形状をもつものであればよい。
【0064】
また、本発明に係るシール部材20を用いるロータリバルブの用途としては、自動車用冷却装置や住宅設備に用いられた場合を前述したが、その用途に限定されないことは言うまでもない。
【0065】
さらに、本発明に係るシール部材20は、回動又は回転操作される弁体を有するロータリバルブ、ボール式バルブに適用した場合を説明したが、本発明はこれに限定されず、弁体15を、通路に対し鉛直方向(図中上下)に摺動動作させるようにした構造をもつバルブであってもよく、例えばシャッタ式バルブにも適用できる。
【0066】
また、本発明に係るシール部材20において、第2の膨出部22bは省略してもよいものであり、その場合には、矩形状部21が環状溝18の溝底部18bに接することになる。
【0067】
さらに、上述した実施例では、シール部材20における矩形状部21を、該シール部材20の全周にわたって連続させて設け、これに円形状部22を埋設した状態で一体に形成した場合を説明したが、本発明はこれに限定されない。たとえば、シール部材20の周方向において主要な部分のみに矩形状部21を部分的に設け、一部は長円形状部22のみで構成すること等の変形例も考えられる。要は、長円形状部22の長軸方向が、弁体の外面に対し法線方向を向くように構成されているものであればよい。