(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
建設機械のフレーム上に設けられ左,右の側面のうち一方の側面にオペレータが出入りするための乗降口を有するキャブボックスと、該キャブボックスの前記一方の側面に回動可能に設けられ前記乗降口を開閉するドアとを備え、
前記ドアは、外面側に位置して4辺が枠部によって囲まれた外面パネルと、該外面パネルの内面側に対面して接合され4辺が枠部によって囲まれた内面パネルとにより構成してなる建設機械用キャブにおいて、
前記外面パネルと内面パネルの枠部には、前,後方向または上,下方向で2つのパネル片に切断すべき位置に嵌合用段部がそれぞれ設けられ、
前記外面パネルと前記内面パネルは、前記嵌合用段部の位置と該嵌合用段部から前記枠部の長さ方向に離間した前記嵌合用段部以外の他の位置との2箇所で切断されることにより、ドアとして使用される第1のパネル片および第2のパネル片と、これら2つのパネル片の間に位置する不要パネル片とに3分割され、
前記第1のパネル片の切断位置と前記第2のパネル片の切断位置とは、凹凸嵌合により接続された構成としてなる建設機械用キャブ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、油圧ショベルには、作業現場の環境に対応するように様々な機種があり、上部旋回体の大きさも異なっている。例えば、周囲の障害物に干渉する虞がない広い作業現場では、上部旋回体が前,後方向に長尺に形成された掘削能力の高い標準機と呼ばれる油圧ショベルが用いられている。一方、周囲の障害物に干渉する虞がある狭い作業現場では、上部旋回体が前,後方向に短尺でほぼ円形に形成された小旋回機と呼ばれる油圧ショベルが用いられている。
【0007】
このように、上部旋回体の大きさが異なると、この上部旋回体上の設置スペースも異なることになる。従って、上部旋回体に搭載されるキャブは、油圧ショベルに応じて大きさが異なる複数種類を用意しなくてはならない。この場合、キャブに設けられたドアについても大きさが異なる複数種類を用意する必要がある。
【0008】
しかし、キャブのドアは、プレス成形した外面パネルと内面パネルとを対面させて接合することにより製造している。このために、大きさの異なるドアを複数種類製造するためには、高価な金型を複数種類用意しなくてはならず、製造コストが嵩んでしまうという問題がある。
【0009】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明の目的は、1枚の外面パネル、内面パネルから大きさの異なる外面パネル、内面パネルを簡単な作業で形成でき、製造コストを低減できるようにした建設機械用キャブ及び建設機械用キャブに用いるドアの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明による建設機械用キャブは、建設機械のフレーム上に設けられ左,右の側面のうち一方の側面にオペレータが出入りするための乗降口を有するキャブボックスと、該キャブボックスの前記一方の側面に回動可能に設けられ前記乗降口を開閉するドアとを備え、前記ドアは、外面側に位置して4辺が枠部によって囲まれた外面パネルと、該外面パネルの内面側に対面して接合され4辺が枠部によって囲まれた内面パネルとにより構成している。
【0011】
そして、上述した課題を解決するために、請求項1の発明が採用する構成の特徴は、前記外面パネルと内面パネルの枠部には、前,後方向または上,下方向で2つのパネル片に切断すべき位置に嵌合用段部
がそれぞれ設け
られ、前記外面パネルと前記内面パネルは、前記嵌合用段部の位置と該嵌合用段部から前記枠部の長さ方向に離間した前記嵌合用段部以外の他の位置との2箇所で切断されることにより、ドアとして使用される第1のパネル片および第2のパネル片と、これら2つのパネル片の間に位置する不要パネル片とに3分割され、前記第1のパネル片の切断位置と前記第2のパネル片の切断位置とは、凹凸嵌合により接続された構成としたことにある。
また、請求項2の発明が採用する構成の特徴は、前記外面パネルと内面パネルの枠部には、前,後方向または上,下方向で2つのパネル片に切断すべき位置に嵌合用段部がそれぞれ設けられ、前記外面パネルと前記内面パネルは、前記嵌合用段部の位置で切断されることにより、ドアとして使用される第1のパネル片および第2のパネル片に2分割され、前記第1のパネル片の切断位置と前記第2のパネル片の切断位置には、前記第1のパネル片および前記第2のパネル片と別個に形成された延長用の追加パネル片の端部が凹凸嵌合により接続された構成としたことにある。
【0012】
請求項
3の発明は、前記嵌合用段部は、前記外面パネルと内面パネルの板厚寸法と同等の深さ寸法をもって凹陥した凹陥溝部として形成
されたことにある。この場合、外面パネルでは、前記凹陥溝部を外面から内面に向けて凹陥させるのが望ましい。一方、内面パネルでは、前記凹陥溝部を内面から外面に向けて凹陥させるのが望ましい。
【0013】
請求項
4の発明は、前記外面パネルの枠部に設け
られた嵌合用段部と前記内面パネルの枠部に設け
られた嵌合用段部とは、
前記外面パネル
と前記内面パネルとを組合せて前記ドア
が形成
されるときに互いに重ならないように、前,後方向または上,下方向で異なる位置に設け
られた構成としたことにある。
【0016】
請求項
5の発明による建設機械用キャブに用いるドアの製造方法は、4辺が枠部によって囲まれ、該枠部を前,後方向または上,下方向に2分割に切断すべき位置に嵌合用段部が設けられた外面パネルを加工する外面パネル加工工程と、4辺が枠部によって囲まれ、該枠部を前,後方向または上,下方向に2分割に切断すべき位置に嵌合用段部が設けられた内面パネルを加工する内面パネル加工工程と、前記外面パネルの枠
部を前記
外面パネルの嵌合用段部の位置
で切断し、前記内面パネルの枠部を前記内面パネルの嵌合用段部の位置で切断する段部位置切断工程と、前記外面パネルの枠
部を前記
外面パネルの嵌合用段部から前記枠部の長さ方向に離間した前記嵌合用段部以外の位置
で切断し、前記内面パネルの枠部を前記内面パネルの嵌合用段部から前記枠部の長さ方向に離間した前記嵌合用段部以外の位置で切断する非段部位置切断工程と、前記外面パネルについて前記段部位置切断工程と非段部位置切断工程とによって3分割に切断された
3つのパネル片のうち、中間に位置する不要パネル片を除去して残った2つのパネル片を凹凸嵌合により接続し、溶接する外面短縮パネル形成工程と、前記内面パネルについて前記段部位置切断工程と非段部位置切断工程とによって3分割に切断された
3つのパネル片のうち、中間に位置する不要パネル片を除去して残った2つのパネル片を凹凸嵌合により接続し、溶接する内面短縮パネル形成工程と、前記
外面短縮パネル形成工程で形成され
た外面短縮パネルと
、前記内面短縮パネル形成工程で形成された内面短縮パネルとを対面させて一体的に溶接し
、ドアとして組立てるドア組立工程とからなる。
【0017】
請求項
6の発明による建設機械用キャブに用いるドアの製造方法は、4辺が枠部によって囲まれ、該枠部を前,後方向または上,下方向に2分割に切断すべき位置に嵌合用段部が設けられた外面パネルを加工する外面パネル加工工程と、4辺が枠部によって囲まれ、該枠部を前,後方向または上,下方向に2分割に切断すべき位置に嵌合用段部が設けられた内面パネルを加工する内面パネル加工工程と、前記外面パネルの枠
部を前記
外面パネルの嵌合用段部の位置
で切断し、前記内面パネルの枠部を前記内面パネルの嵌合用段部の位置で切断する段部位置切断工程と、前記外面パネルについて前記段部位置切断工程によって2分割に切断された
2つのパネル片の間に該各パネル片と別個に形成された延長用の追加パネル片を凹凸嵌合により接続し、溶接する外面延長パネル形成工程と、前記内面パネルについて前記段部位置切断工程によって2分割に切断された
2つのパネル片の間に該各パネル片と別個に形成された延長用の追加パネル片を凹凸嵌合により接続し、溶接する内面延長パネル形成工程と、前記
外面延長パネル形成工程で形成され
た外面延長パネルと
、前記内面延長パネル形成工程で形成された内面延長パネルとを対面させて一体的に溶接し
、ドアとして組立てるドア組立工程とからなる。
請求項7の発明では、標準ドアを製造するときには、前記外面パネル加工工程によって形成された前記外面パネルと、前記内面パネル加工工程によって形成された前記内面パネルとを対面させて一体的に溶接し、前記標準ドアとして組立てる。
【発明の効果】
【0018】
請求項1の発明によれば、ドアを構成する外面パネルの枠部と内面パネルの枠部には、前,後方向または上,下方向で2つのパネル片に切断すべき位置に嵌合用段部をそれぞれ設けている。この場合、例えば金型を用いたプレス成形によって外面パネルと内面パネルとを形成し、これらのパネルを嵌合用段部で枠部を切断しない状態で用い、該各パネルを、互いに対面して一体的に接合することにより金型通りの大きさ、形状を有した標準的なドアを製造することができる。
【0019】
また、外面パネルと内面パネルは、嵌合用段部の位置と該嵌合用段部から枠部の長さ方向に離間した前記嵌合用段部以外の他の位置との2箇所で切断することにより、ドアとして使用される第1のパネル片および第2のパネル片と、これら2つのパネル片の間に位置する不要パネル片とに3分割することができる。これにより、第1のパネル片の切断位置と第2のパネル片の切断位置とを凹凸嵌合により接続することにより、前,後方向または上,下方向に短縮した外面短縮パネルと内面短縮パネルを製造することができる。
従って、外面パネルの枠部と内面パネルの枠部を、それぞれ嵌合用段部の位置で切断したときに、2つのパネル片の間から不要なパネル片を除去することにより、外面パネルと内面パネルの大きさを前,後方向または上,下方向に短縮することができる。
【0021】
このように、2つのパネル片の枠部を長さ方向で詰めて接続し
た場合、パネル片の枠部には、嵌合用段部を設けているから、この嵌合用段部の一部を用いた凹凸嵌合によって簡単、かつ正確な接続を行うことができる。これにより、基本となる大きさのドアから短縮したド
アを容易に製造することができる。
【0022】
この結果、1枚のパネル
を短縮して短縮パネ
ルを形成でき、パネルの大きさを容易に変更することができる。これにより、パネルをプレス成形するときに用いる金型を複数種類用意する必要がなくなるから、ドアの製造コストを低減することができる。
請求項2の発明によれば、外面パネルと内面パネルは、嵌合用段部の位置で切断することにより、ドアとして使用される第1のパネル片と第2のパネル片とに2分割することができる。この状態で、第1のパネル片の切断位置と第2のパネル片の切断位置には、各パネル片と別個に形成された延長用の追加パネル片の端部を凹凸嵌合により接続することができる。これにより、前,後方向または上,下方向に延長した外面延長パネルと内面延長パネルを製造することができる。
従って、外面パネルの枠部と内面パネルの枠部を、それぞれ嵌合用段部の位置で切断したときに、2つのパネル片間に別個に用意したパネル片を追加することにより、外面パネルと内面パネルの大きさを前,後方向または上,下方向に延長することができる。
このように、2つのパネル片の枠部間に追加のパネル片を接続した場合、パネル片の枠部には、嵌合用段部を設けているから、この嵌合用段部の一部を用いた凹凸嵌合によって簡単、かつ正確な接続を行うことができる。これにより、基本となる大きさのドアから延長したドアを容易に製造することができる。
この結果、1枚のパネルを延長して延長パネルを形成でき、パネルの大きさを容易に変更することができる。これにより、パネルをプレス成形するときに用いる金型を複数種類用意する必要がなくなるから、ドアの製造コストを低減することができる。
【0023】
請求項
3の発明によれば、嵌合用段部は、外面パネルと内面パネルの板厚寸法と同等の深さ寸法をもって凹陥した凹陥溝部として形成している。従って、枠部の嵌合用段部の切断位置に対して該枠部と対をなす枠部の切断位置を段差なく嵌合させることができ、見栄えを良好にすることができる。ここで、外面パネルでは、凹陥溝部を外面から内面に向けて凹陥させ、内面パネルでは、凹陥溝部を内面から外面に向けて凹陥させることが望ましく、この場合にはより一層良好な見栄えを得ることができる。
【0024】
請求項
4の発明によれば、外面パネルの枠部に設けた嵌合用段部と内面パネルの枠部に設けた嵌合用段部とは、
外面パネル
と内面パネルとを組合せてドア
が形成
されるときに互いに重ならないように、前,後方向または上,下方向で異なる位置に設ける構成としている。従って、パネルの繋ぎ目に応力が集中するのを防止でき、パネルの耐久性を向上することができる。
【0027】
請求項
5の発明によれば、外面パネル加工工程では、4辺が枠部によって囲まれ、該枠部を前,後方向または上,下方向に2分割に切断すべき位置に嵌合用段部が設けられた外面パネルを加工する。一方、内面パネル加工工程では、4辺が枠部によって囲まれ、該枠部を前,後方向または上,下方向に2分割に切断すべき位置に嵌合用段部が設けられた内面パネルを加工する。次に、段部位置切断工程では、前記外面パネルの枠
部を前記
外面パネルの嵌合用段部の位置
で切断し、前記内面パネルの枠部を前記内面パネルの嵌合用段部の位置で切断し、非段部位置切断工程では、前記外面パネルの枠
部を前記
外面パネルの嵌合用段部から前記枠部の長さ方向に離間した前記嵌合用段部以外の位置
で切断し、前記内面パネルの枠部を前記内面パネルの嵌合用段部から前記枠部の長さ方向に離間した前記嵌合用段部以外の位置で切断する。外面短縮パネル形成工程では、前記外面パネルについて前記段部位置切断工程と非段部位置切断工程とによって3分割に切断された
3つのパネル片のうち、中間に位置する不要パネル片を除去して残った2つのパネル片を凹凸嵌合により接続し、溶接する。内面短縮パネル形成工程では、前記内面パネルについて前記段部位置切断工程と非段部位置切断工程とによって3分割に切断された
3つのパネル片のうち、中間に位置する不要パネル片を除去して残った2つのパネル片を凹凸嵌合により接続し、溶接する。さらに、ドア組立工程では、前記
外面短縮パネル形成工程で形成され
た外面短縮パネルと
、前記内面短縮パネル形成工程で形成された内面短縮パネルとを対面させて一体的に溶接することにより、前,後方向または上,下方向に短縮したドアとして組立てることができる。
【0028】
請求項
6の発明によれば、外面パネル加工工程では、4辺が枠部によって囲まれ、該枠部を前,後方向または上,下方向に2分割に切断すべき位置に嵌合用段部が設けられた外面パネルを加工する。一方、内面パネル加工工程では、4辺が枠部によって囲まれ、該枠部を前,後方向または上,下方向に2分割に切断すべき位置に嵌合用段部が設けられた内面パネルを加工する。次に、段部位置切断工程では、前記外面パネルの枠
部を前記
外面パネルの嵌合用段部の位置
で切断し、前記内面パネルの枠部を前記内面パネルの嵌合用段部の位置で切断する。外面延長パネル形成工程では、前記外面パネルについて前記段部位置切断工程によって2分割に切断された
2つのパネル片の間に該各パネル片と別個に形成された延長用の追加パネル片を凹凸嵌合により接続し、溶接する。内面延長パネル形成工程では、前記内面パネルについて前記段部位置切断工程によって2分割に切断された
2つのパネル片の間に該各パネル片と別個に形成された延長用の追加パネル片を凹凸嵌合により接続し、溶接する。さらに、ドア組立工程では、前記
外面延長パネル形成工程で形成され
た外面延長パネルと
、前記内面延長パネル形成工程で形成された内面延長パネルとを対面させて一体的に溶接することにより、前,後方向または上,下方向に延長したドアとして組立てることができる。
請求項7の発明によれば、標準ドアを製造するときには、前記外面パネル加工工程によって形成された前記外面パネルと、前記内面パネル加工工程によって形成された前記内面パネルとを対面させて一体的に溶接することにより、標準ドアとして組立てることができる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施の形態による建設機械用キャブを、建設機械としての油圧ショベルに適用した場合を例に挙げ、添付図面に従って詳細に説明する。
【0031】
図1ないし
図32は本発明の第1の実施の形態を示している。この第1の実施の形態では、標準仕様のキャブに用いられるドアと、小旋回仕様のキャブに用いられるドアと、大型仕様のキャブに用いられるドアとの3種類を例示し、標準仕様のキャブのドアを形成する外面パネル、内面パネルをベースにし、小旋回ドアの外面パネル、内面パネルと、大型ドアの外面パネル、内面パネルとを製造した場合について述べている。
【0032】
図1において、1は建設機械としての標準仕様の油圧ショベルを示している。この油圧ショベル1は、自走可能なクローラ式の下部走行体2と、該下部走行体2上に旋回可能に搭載された上部旋回体3と、該上部旋回体3の前側に俯仰動可能に設けられた作業装置4とにより構成されている。
【0033】
上部旋回体3は、支持構造体をなす旋回フレーム5と、該旋回フレーム5上に設けられた後述のカウンタウエイト6、キャブ11等により構成されている。ここで、標準仕様の油圧ショベル1の上部旋回体3は、作業装置4による掘削能力を高めるために、カウンタウエイト6を旋回中心から離れた後方位置に配置している。
【0034】
6は旋回フレーム5の後部に設けられたカウンタウエイトで、該カウンタウエイト6は、作業装置4との重量バランスをとるものである。カウンタウエイト6は、エンジン(図示せず)を後側から覆うように形成されている。
【0035】
次に、11は第1の実施の形態に適用される建設機械用キャブの1つである標準仕様の油圧ショベル用キャブ(以下、標準キャブ11という)を示している。この標準キャブ11は、旋回フレーム5の左前部に搭載され、オペレータが搭乗する運転室を画成するものである。標準キャブ11は、
図2に示す如く、後述するキャブボックス12、ドア13、フロア部材、運転席等(いずれも図示せず)により構成されている。標準キャブ11は、後述する小旋回キャブ31よりも前,後方向の長さ寸法が長く形成され、後述する大型キャブ(図示せず)よりも前,後方向の長さ寸法が短く形成されている。
【0036】
12はフロア部材上に設けられたキャブボックスを示している。このキャブボックス12は、前面12A、後面12B、左側面12C、右側面(図示せず)、天面12Dから形成されている。前面12Aは、上,下方向の中間部から上側が後側に湾曲され、これに対応して左側面12Cと右側面の前側部分も後側に湾曲して形成されている。左側面12Cには、オペレータがキャブ11内の運転室に乗り降りするときの通路となる乗降口12Eが設けられている。この乗降口12Eは、後述の標準ドア13によって開閉されるもので、上,下方向に長尺な長方形状の開口として形成されている。
【0037】
13はキャブボックス12の乗降口12Eを開閉するために左側面12Cに回動可能に取付けられた標準ドアを示している。この標準ドア13は、乗降口12Eに対応するように上,下方向に長尺な長方形状に形成され、その後端が左側面12Cに対して前,後方向に回動可能に取付けられている。標準ドア13は、
図3、
図4に示すように、後述の外面標準パネル14と内面標準パネル18とを対面させて一体的に溶接することにより、厚みをもった立体的なドアとして形成されている。この標準ドア13は、標準キャブ11とほぼ同様に、後述する小旋回ドア33よりも前,後方向の長さ寸法が長く形成され、後述する大型ドアよりも前,後方向の長さ寸法が短く形成されている。
【0038】
14は標準ドア13の外面側に位置して設けられた外面標準パネルを示している。この外面標準パネル14は、
図5に示すように、前,後方向の前側に位置して上,下方向に延びた前枠部14Aと、該前枠部14Aから後側に離間した位置で上,下方向に延びた後枠部14Bと、前,後方向に延びて前記前枠部14Aの上部と後枠部14Bの上部とを接続した上枠部14Cと、前,後方向に延びて前記前枠部14Aの下部と後枠部14Bの下部とを接続した下枠部14Dとにより4辺が囲まれている。さらに、外面標準パネル14には、前,後方向に延びて前記前枠部14Aの中間部と後枠部14Bの中間部とを接続した中間枠部14Eが設けられている。
【0039】
外面標準パネル14は、ドア13の外側に位置する外面14Fと、内側に位置する内面14Gとを有している。各枠部14A〜14Eは、
図6、
図21、
図28、
図29等に示すように、剛性を高めるために外面14F側に突出した樋状に形成されている。各枠部14A〜14Eのうち、代表して上枠部14Cについて述べると、この上枠部14Cは、例えば奥板部14C1と、該奥板部14C1の周囲から手前側に立上った立上り板部14C2と、該立上り板部14C2の先端から屈曲して延びた傾斜板部14C3とにより形成されている。
【0040】
外面標準パネル14は、例えば1枚の金属板を金型(図示せず)に挟んでプレス成形することにより、板厚寸法t(
図7参照)をもった立体的な金属パネルとして形成されている。ここで、外面標準パネル14を構成する上枠部14C,下枠部14D,中間枠部14Eには、
図5に示すように、後述の嵌合用段部15,16,17が設けられている。
【0041】
15は外面標準パネル14の上枠部14Cの後側に設けられた上側の嵌合用段部を示している。この嵌合用段部15は、
図6に示すように、上枠部14Cの立上り板部14C2に沿って延びた横面部15Aと、傾斜板部14C3に沿って延びた縦面部15Bとにより形成されている。嵌合用段部15は、例えば5〜50mm、好ましくは10〜30mm程度の幅寸法をもって外面14Fから内面14G側に凹陥して上,下方向に延びる凹陥溝部として形成されている。ここで、嵌合用段部15の深さ寸法L(
図7参照)は、上枠部14Cの板厚寸法tと同等に設定されている(L=t)。
【0042】
ここで、嵌合用段部15は、標準ドア13を前,後方向に短縮する場合、即ち、後述の小旋回ドア33を製造するために、外面標準パネル14を前,後方向で3分割に切断するときに、
図21に示す段部切断位置線36に沿って切断される。このように、外面標準パネル14を前,後方向で3分割に切断した状態では、
図23、
図24に示すように、後述する第2のパネル片41に嵌合用段部15の一部として形成され、ジョックル部と呼ばれる雄嵌合部41Aを、第1のパネル片40の切断位置となる雌嵌合部40Aに凹凸嵌合させることができる。この場合、嵌合用段部15の深さ寸法Lと上枠部14Cの板厚寸法tとを同等に設定しているから、第1のパネル片40と第2のパネル片41とを段差なく円滑に接続することができる。
【0043】
さらに、嵌合用段部15は、標準ドア13を前,後方向に延長する場合、即ち、大型ドアを製造するために、外面標準パネル14を前,後方向で2分割に切断するときには、幅方向のほぼ中心位置で切断される。
【0044】
16は外面標準パネル14の下枠部14Dの後側に設けられた下側の嵌合用段部を示している(
図5参照)。この嵌合用段部16は、
図28に示す如く、上枠部14Cの嵌合用段部15とほぼ同様の幅寸法、深さ寸法をもって、外面14Fから内面14G側に凹陥して上,下方向に延びる凹陥溝部として形成されている。
【0045】
17は外面標準パネル14の中間枠部14Eの前側寄りに設けられた嵌合用段部を示している(
図5参照)。この嵌合用段部17は、
図29に示す如く、上枠部14Cの嵌合用段部15とほぼ同様の幅寸法、深さ寸法をもって、外面14Fから内面14G側に凹陥して上,下方向に延びる凹陥溝部として形成されている。
【0046】
18は外面標準パネル14の内面側に対面して接合される内面標準パネルで、該内面標準パネル18は、標準ドア13の内面側に位置するもので、外面標準パネル14とほぼ同様に、前枠部18A、後枠部18B、上枠部18C、下枠部18D、中間枠部18Eによって形成されている。内面標準パネル18は、例えば1枚の金属板を金型(図示せず)に挟んでプレス成形することにより、立体的な金属パネルとして形成されている。
【0047】
19は内面標準パネル18の上枠部18Cの前,後方向の中間位置に設けられた上側の嵌合用段部を示している(
図8参照)。20は内面標準パネル18の下枠部18Dの前,後方向の中間位置に設けられた下側の嵌合用段部を示している。さらに、21は内面標準パネル18の中間枠部18Eの後側寄りに設けられた中間の嵌合用段部を示している。
【0048】
これらの嵌合用段部19,20,21は、
図9ないし
図11に示す如く、外面標準パネル14に設けられた各嵌合用段部15,16,17とほぼ同様の幅寸法、深さ寸法をもって、内面18Fから外面18G側に凹陥して上,下方向に延びる凹陥溝部として形成されている。
【0049】
次に、標準仕様の油圧ショベル用キャブ11に用いられる標準ドア13の製造方法について、
図3、
図4を参照して説明する。
【0050】
外面パネル加工工程として、
図4に示すように、4辺が前枠部14A、後枠部14B、上枠部14C、下枠部14Dによって囲まれ、上,下方向の中間位置に中間枠部14Eを有し、前記上枠部14C、下枠部14D、中間枠部14Eを前,後方向に2分割に切断すべき位置に嵌合用段部15,16,17が設けられた外面標準パネル14を金型を用いたプレス成形によって加工する。
【0051】
一方、内面パネル加工工程として、4辺が前枠部18A、後枠部18B、上枠部18C、下枠部18Dによって囲まれ、上,下方向の中間位置に中間枠部18Eを有し、前記上枠部18C、下枠部18D、中間枠部18Eを前,後方向に2分割に切断すべき位置に嵌合用段部19,20,21が設けられた内面標準パネル18を金型を用いたプレス成形によって加工する。
【0052】
さらに、ドア組立工程では、
図3に示すように、外面標準パネル14と内面標準パネル18とを対面させて一体的に溶接することにより標準ドア13を組立てる。ここで、組立てられた標準ドア13には、その外面標準パネル14に各嵌合用段部15,16,17が存在し、内面標準パネル18に各嵌合用段部19,20,21が存在している。しかし、これらの嵌合用段部15,16,17,19,20,21は板厚分の僅かな凹みであるから、外観上の見栄えを損なうことはない。
【0053】
次に、狭い作業現場でも作業を行うことができるように上部旋回体が小型に形成された小旋回仕様の油圧ショベルのキャブについて、
図12ないし
図29を参照して述べる。
【0054】
図12において、22は建設機械としての小旋回仕様の油圧ショベルを示している。この油圧ショベル22は、自走可能なクローラ式の下部走行体23と、該下部走行体23上に旋回可能に搭載された上部旋回体24と、該上部旋回体24の前側に俯仰動可能に設けられた作業装置25とにより構成されている。
【0055】
上部旋回体24は、支持構造体をなす旋回フレーム26と、該旋回フレーム26上に設けられた後述のカウンタウエイト27、キャブ31等により構成されている。ここで、小旋回仕様の油圧ショベル22の上部旋回体24は、狭い作業現場でも旋回動作できるように、カウンタウエイト27を旋回中心に近い前側位置に配置し、全体を小型化している。
【0056】
27は旋回フレーム26の後部に設けられたカウンタウエイトで、該カウンタウエイト27は、作業装置25との重量バランスをとるものである。カウンタウエイト27は、旋回中心に近い位置でエンジン(図示せず)を後側から覆うことができるように、円弧状に湾曲して形成されている。
【0057】
次に、31は第1の実施の形態に適用される建設機械用キャブの1つである小旋回仕様の油圧ショベル用キャブ(以下、小旋回キャブ31という)を示している。この小旋回キャブ31は、標準キャブ11とほぼ同様に、旋回フレーム26の左前部に搭載され、オペレータが搭乗する運転室を画成するものである。小旋回キャブ31は、
図13に示す如く、後述するキャブボックス32、ドア33、フロア部材、運転席等(いずれも図示せず)により構成されている。小旋回キャブ31は、上部旋回体24の小型化に伴って、前述した標準キャブ11よりも前,後方向に短尺に形成されている。
【0058】
32は小旋回キャブ31のキャブボックスである。このキャブボックス32は、標準キャブ11のキャブボックス12とほぼ同様に、前面32A、後面32B、左側面32C、右側面(図示せず)、天面32Dから形成され、左側面32Cには、乗降口32Eが設けられている。しかし、キャブボックス32は、標準キャブ11のキャブボックス12よりも前,後方向に短縮されている点で相違している。
【0059】
33はキャブボックス32の乗降口32Eを開閉する小旋回ドアを示している。この小旋回ドア33は、
図14、
図15に示すように、標準ドア13とほぼ同様に、乗降口32Eに対応するように上,下方向に長尺な長方形状に形成され、その後端が左側面32Cに対して前,後方向に回動可能に取付けられている。小旋回ドア33は、
図16に示すように、後述の外面短縮パネル34と内面短縮パネル35とを対面させて一体的に溶接することにより、厚みをもった立体的なドアとして形成されている。この小旋回ドア33は、小旋回キャブ31とほぼ同様に、前述した標準ドア13よりも前,後方向に短尺に形成されている。
【0060】
34は小旋回ドア33の外面側に位置して設けられた外面短縮パネルを示している。この外面短縮パネル34は、
図17に示すように、前述した外面標準パネル14とほぼ同様に、前枠部34A、後枠部34B、上枠部34C、下枠部34D、中間枠部34Eからなり、内面34G側から外面34F側に突出するように立体的に形成されている。外面短縮パネル34は、前述した外面標準パネル14に複数の加工を施すことにより、この外面標準パネル14をベースとして所定の形状に形成されている。
【0061】
即ち、外面短縮パネル34は、
図18に示すように、外面標準パネル14の上枠部14C、下枠部14D、中間枠部14Eを切断することにより、後述する第1のパネル片40と第2のパネル片41とに分割し、対応する切断位置にそれぞれ溶接部34Hを施して固着することにより、前,後方向に短縮したパネルとして形成することができる。
【0062】
35は外面短縮パネル34の内面側に対面して接合される内面短縮パネルである。この内面短縮パネル35は、小旋回ドア33の内面側に位置するもので、
図19に示すように、外面短縮パネル34とほぼ同様に、前枠部35A、後枠部35B、上枠部35C、下枠部35D、中間枠部35Eからなり、外面35G側から内面35F側に突出するように立体的に形成されている。内面短縮パネル35は、前述した内面標準パネル18に複数の加工を施すことにより、この内面標準パネル18をベースとして所定の形状に形成されている。
【0063】
即ち、内面短縮パネル35は、
図20に示すように、内面標準パネル18の上枠部18C、下枠部18D、中間枠部18Eを切断することにより、後述する第1のパネル片43と第2のパネル片44とに分割し、対応する切断位置にそれぞれ溶接部35Hを施して固着することにより、前,後方向に短縮したパネルとして形成することができる。
【0064】
ここで、外面標準パネル14を、前,後方向に短い外面短縮パネル34に加工するときの切断位置となる各切断位置線について説明する。
【0065】
まず、外面標準パネル14は、各嵌合用段部15,16,17を通る段部切断位置線36に沿って切断される。この段部切断位置線36は、上枠部14Cの嵌合用段部15を切断する上切断位置線36Aと、下枠部14Dの嵌合用段部16を切断する下切断位置線36Bと、中間枠部14Eの嵌合用段部17を切断する中間切断位置線36Cとからなる。
【0066】
例えば、上切断位置線36Aは、
図18、
図22に示す如く、上枠部14Cを嵌合用段部15の位置で切断したときに、後述する第2のパネル片41側に嵌合用段部15の一部が雄嵌合部41Aとして残るように設定されている。具体的には、上切断位置線36Aは、第2のパネル片41の雄嵌合部41Aが後述する第1のパネル片40の雌嵌合部40Aと重なって凹凸嵌合するように、雄嵌合部41Aを突出させている。
【0067】
一方、段部切断位置線36の下切断位置線36Bは、上切断位置線36Aとほぼ同様に、第2のパネル片41側に嵌合用段部16の一部が雄嵌合部41Bとして残り、この雄嵌合部41Bが突出するように設定されている。
【0068】
中間切断位置線36Cについても、上切断位置線36Aとほぼ同様に、第1のパネル片40側に嵌合用段部17の一部が雄嵌合部40Cとして残り、この雄嵌合部40Cが突出するように設定されている。
【0069】
ここで、段部切断位置線36の上切断位置線36A、下切断位置線36B、中間切断位置線36Cは、上枠部14C、下枠部14D、中間枠部14Eを切断したときに、後述する第2のパネル片41の雄嵌合部41A,41B、第1のパネル片40の雄嵌合部40Cが大きく形成されるように、上側の嵌合用段部15、下側の嵌合用段部16、中間の嵌合用段部17の幅方向の中心位置からずらした位置に配置している。このように、第2のパネル片41の雄嵌合部41A,41B、第1のパネル片40の雄嵌合部40Cを大きく形成することにより、第1のパネル片40の雌嵌合部40A,40B、第2のパネル片41の雌嵌合部41Cに対して重ね代を大きくとることができ、繋ぎ部の強度を高めることができる。なお、段部切断位置線36は、後述する段部切断位置線46と同様に、各嵌合用段部15,16,17の幅方向の中心位置に配置する構成としてもよい。
【0070】
さらに、外面標準パネル14は、各嵌合用段部15,16,17を通らない非段部切断位置線37に沿った位置でも切断される。この非段部切断位置線37は、各嵌合用段部15,16,17から各枠部14C,14D,14Eの長さ方向となる前,後方向に離間した嵌合用段部15,16,17以外の他の位置で各枠部14C,14D,14Eを切断するためのものである。非段部切断位置線37は、上枠部14Cの上切断位置線37Aと、下枠部14Dを切断する下切断位置線37Bと、中間枠部14Eを切断する中間切断位置線37Cとからなる。各切断位置線37A,37B,37Cは、
図20に示す如く、上,下方向に真直ぐに延びている。
【0071】
これにより、各切断位置線37A,37B,37Cに沿って切断したときには、各パネル片40,41の雌嵌合部40A,40B,41Cを上,下方向に真直ぐに形成できるから、これら雌嵌合部40A,40B,41Cに対し、突出させた雄嵌合部41A,41B,40Cを効率よく嵌合させることができる。
【0072】
なお、段部切断位置線36の各切断位置線36A,36B,36Cと非段部切断位置線37の各切断位置線37A,37B,37Cとは、前,後方向で寸法Sだけ離間し、この離間寸法Sは、後述する不要パネル片42の長さ寸法(
図22参照)と同じ寸法となっている。
【0073】
一方、内面標準パネル18には、
図8ないし
図11に示すように、各嵌合用段部19,20,21を通る段部切断位置線38が形成されている。この段部切断位置線38は、前述した段部切断位置線36とほぼ同様に、上枠部18Cの嵌合用段部19を切断する上切断位置線38Aと、下枠部18Dの嵌合用段部20を切断する下切断位置線38Bと、中間枠部18Eの嵌合用段部21を切断する中間切断位置線38Cとからなる。
【0074】
内面標準パネル18には、各嵌合用段部19,20,21を通らない非段部切断位置線39に沿った位置でも切断される。この非段部切断位置線39は、各嵌合用段部19,20,21から各枠部18C,18D,18Eの長さ方向となる前,後方向に離間した嵌合用段部19,20,21以外の他の位置で各枠部18C,18D,18Eを切断するためのものである。非段部切断位置線39は、前述した非段部切断位置線37とほぼ同様に、上切断位置線39A、下切断位置線39B、中間切断位置線39Cを有している。
【0075】
次に、小旋回仕様の油圧ショベル用キャブ31に用いられる小旋回ドア33の製造方法について、
図4ないし
図29を参照して説明する。
【0076】
前述した標準ドア13の製造方法と同様に、外面パネル加工工程として、
図4に示すように、4辺が前枠部14A、後枠部14B、上枠部14C、下枠部14Dによって囲まれ、上,下方向の中間位置に中間枠部14Eを有し、前記上枠部14C、下枠部14D、中間枠部14Eを前,後方向に2分割に切断すべき位置に嵌合用段部15,16,17が設けられた外面標準パネル14を金型を用いたプレス成形によって加工する。
【0077】
一方、内面パネル加工工程として、4辺が前枠部18A、後枠部18B、上枠部18C、下枠部18Dによって囲まれ、上,下方向の中間位置に中間枠部18Eを有し、前記上枠部18C、下枠部18D、中間枠部18Eを前,後方向に2分割に切断すべき位置に嵌合用段部19,20,21が設けられた内面標準パネル18を金型を用いたプレス成形によって加工する。
【0078】
ここで、小旋回ドア33を製造するのに用いられるパネルには、標準ドア13に用いられている外面標準パネル14と内面標準パネル18とが共通の部品として使用されている。
【0079】
次に、段部位置切断工程では、
図5に示すように、外面標準パネル14の上枠部14Cの嵌合用段部15、下枠部14Dの嵌合用段部16、中間枠部14Eの嵌合用段部17を通る段部切断位置線36に沿って切断する。同様に、
図8に示すように、内面標準パネル18の上枠部18Cの嵌合用段部19、下枠部18Dの嵌合用段部20、中間枠部18Eの嵌合用段部21を通る段部切断位置線38に沿って切断する。
【0080】
非段部位置切断工程では、
図5に示すように、外面標準パネル14の上枠部14C、下枠部14D、中間枠部14Eを、嵌合用段部15,16,17から前,後方向に離間した前記嵌合用段部15,16,17以外の位置、即ち、非段部切断位置線37に沿って切断する。同様に、
図8に示すように、内面標準パネル18の各枠部18C,18D,18Eについても、嵌合用段部19,20,21から離間した位置で非段部切断位置線39に沿って切断する。
【0081】
これにより、外面標準パネル14は、
図22に示すように、第1のパネル片40と第2のパネル片41と不要パネル片42とに3分割することができる。この場合、不要パネル片42は、3本の枠部14C,14D,14Eにそれぞれ設けられているが、実施の形態では、上枠部14Cの一部として切離された不要パネル片42だけを図示している。この不要パネル片42は、外面標準パネル14を前,後方向に延長する場合に用いる追加パネル片49として利用することもできる。
【0082】
次に、外面短縮パネル形成工程では、
図23に示すように、段部位置切断工程と非段部位置切断工程とによって3分割に切断された各パネル片40,41,42のうち、中間に位置する不要パネル片42を除去して残った2つのパネル片40,41を凹凸嵌合により接続する。このときには、
図18に示すように、第1のパネル片40に形成される上,下の雌嵌合部40A,40Bと中間の雄嵌合部40Cと、第2のパネル片41に形成される上,下の雄嵌合部41A,41Bと中間の雌嵌合部41Cとを対向させ、それぞれ凹凸嵌合させる。即ち、外面標準パネル14の上枠部14Cに相当する部位を例に挙げて述べると、
図23等に示すように、第2のパネル片41に嵌合用段部15の一部として形成される雄嵌合部41Aを、第1のパネル片40の雌嵌合部40Aに凹凸嵌合(雄雌嵌合)することができる。
【0083】
この場合、嵌合用段部15は、
図7に示すように、その深さ寸法Lを外面標準パネル14の板厚寸法tと同等に設定しているから、
図24に示すように、各パネル片40,41の繋ぎ目を段差なく円滑に繋ぐことができる。さらに、
図25に示すように、窓枠等(図示せず)が取付けられる下側部分では、外面と内面の両方に段差ができないように付き合わせた状態とすることができる。このようにして第1のパネル片40と第2のパネル片41とを凹凸嵌合させたら、
図26、
図27に示すように、各パネル片40,41の繋ぎ目に溶接を施して溶接部34Hを設けることにより、
図17に示す外面短縮パネル34を形成することができる。
【0084】
一方、内面短縮パネル形成工程では、外面短縮パネル形成工程とほぼ同様に、内面標準パネル18について、
図20に示すように、段部位置切断工程と非段部位置切断工程で段部切断位置線38、非段部切断位置線39に沿って切断することによって3分割に切断する。この第1のパネル片43、第2のパネル片44、不要パネル片(図示せず)のうち、中間に位置する不要パネル片を除去して残った第1のパネル片43の雄嵌合部43A,43B、雌嵌合部43Cと、第2のパネル片44の雌嵌合部44A,44B、雄嵌合部44Cとを対向させ、それぞれ凹凸嵌合させる。この状態で、第1のパネル片43と第2のパネル片44との繋ぎ目に溶接部35Hを設けることにより、
図19に示す内面短縮パネル35を形成することができる。
【0085】
次に、ドア組立工程では、外面短縮パネル形成工程で形成された外面短縮パネル34と内面短縮パネル形成工程で形成された内面短縮パネル35とを対面させ、その周囲を一体的に溶接することにより、
図14、
図15に示すように、小旋回ドア33を組立てることができる。
【0086】
ここで、各短縮パネル34,35の各溶接部34H,35Hの位置は、外面標準パネル14の各枠部14C,14D,14Eに設けた嵌合用段部15,16,17と、内面標準パネル18の各枠部18C,18D,18Eに設けた嵌合用段部19,20,21とによって決定される。これを踏まえた上で、
図14に示すように、各短縮パネル34,35を組合せて小旋回ドア33を形成するときに、各溶接部34H,35Hが互いに重ならないように、前,後方向で異なる位置に設けている。
【0087】
次に、大型の油圧ショベル用キャブに用いられる大型ドア(いずれも図示せず)について、
図30ないし
図32を参照して説明する。なお、
図30ないし
図32では、大型ドアのうち外面パネルのみについて述べるものとする。
【0088】
図30において、45は大型ドアの外面パネルを構成する外面延長パネルを示している。この外面延長パネル45は、前述した外面標準パネル14とほぼ同様に、前枠部45A、後枠部45B、上枠部45C、下枠部45D、中間枠部45Eから立体的に形成されている。外面延長パネル45は、前述した外面標準パネル14に複数の加工を施すことにより、この外面標準パネル14をベースとして所定の形状に形成されている。
【0089】
即ち、外面延長パネル45は、
図31に示すように、外面標準パネル14の上枠部14C、下枠部14D、中間枠部14Eを嵌合用段部15,16,17を通る段部切断位置線46に沿って切断することにより、後述する第1のパネル片47と第2のパネル片48とに2分割し、このパネル片47,48間に延長用の追加パネル片49を凹凸嵌合して溶接部45Fを設けることにより、前,後方向に延長したパネルとして形成することができる。ここで、段部切断位置線46は、嵌合用段部15,16,17を幅方向のほぼ中心位置で2等分しつつ、各パネル片47,48の雄嵌合部47A,48Aが突出するように形成されている。
【0090】
なお、外面延長パネル45の内面側には、内面延長パネル(図示せず)が設けられるが、外面延長パネル45とほぼ同様に形成されているために、その説明を省略するものとする。ここで、追加パネル片49としては、前述した不要パネル片42を利用することができる。
【0091】
次に、大型ドアを製造する製造方法について、
図30ないし
図32を参照して説明する。ここで、大型ドアのベースとしては、標準ドア13の外面標準パネル14と内面標準パネル18とが共通の部品として使用されている。
【0092】
外面パネル加工工程では、前述した標準ドア13の製造方法と同様に、外面標準パネル14を加工して形成する。内面パネル加工工程では、内面標準パネル18を加工して形成する。
【0093】
次に、段部位置切断工程では、
図31に示すように、外面標準パネル14の各枠部14C,14D,14Eを、段部切断位置線46に沿って嵌合用段部15,16,17の幅方向のほぼ中心位置で切断する。この場合、段部切断位置線46は、前述した段部切断位置線36とは異なり、嵌合用段部15,16,17の幅方向のほぼ中心位置としているから、段部切断位置線36に沿って切断したときには、後述する第1のパネル片47と第2のパネル片48に雄嵌合部47Aと雄嵌合部48Aを設けることができる。
【0094】
外面延長パネル形成工程では、外面標準パネル14について、
図32に示すように、段部位置切断工程によって2分割に切断された第1のパネル片47と第2のパネル片48との間に、該各パネル片47,48と別個に形成された延長用の追加パネル片49を凹凸嵌合により接続する。この状態で、各パネル片47,48の雄嵌合部47A,48Aと追加パネル片49の雌嵌合部49Aとの繋ぎ目に溶接部45Fを施すことにより外面延長パネル45を形成することができる。
【0095】
次に、ドア組立工程では、外面延長パネル形成工程で形成された外面延長パネル45と内面短縮パネル形成工程で形成される内面延長パネルとを対面させ、その周囲を一体的に溶接することにより、大型ドアを組立てることができる。
【0096】
かくして、第1の実施の形態によれば、標準ドア13を構成する外面標準パネル14の上枠部14C、下枠部14D、中間枠部14Eには、前,後方向で2つのパネル片40,41またはパネル片47,48に切断すべき位置に嵌合用段部15,16,17を設ける構成としている。一方、内面標準パネル18の上枠部18C、下枠部18D、中間枠部18Eには、前,後方向で2つのパネル片43,44に切断すべき位置に嵌合用段部19,20,21を設ける構成としている。
【0097】
従って、例えば金型を用いたプレス成形によって外面標準パネル14と内面標準パネル18とを形成し、これらのパネル14,18を各嵌合用段部15,16,17,19,20,21で各枠部14C,14D,14E,18C,18D,18Eを切断しない状態で用い、該各パネル14,18を、互いに対面して一体的に接合する。これにより、外面標準パネル14と内面標準パネル18とから金型通りの大きさ、形状を有した標準的なドア13を製造することができる。
【0098】
一方、外面標準パネル14の上枠部14C、下枠部14D、中間枠部14Eを、嵌合用段部15,16,17(段部切断位置線36)の位置と、該嵌合用段部15,16,17から前記枠部14C,14D,14Eの長さ方向に離間した前記嵌合用段部15,16,17以外の他(非段部切断位置線37)の位置との2箇所で切断することにより、第1のパネル片40と、第2のパネル片41と、これら2つのパネル片40,41の間に位置する不要パネル片42とに3分割することができる。これにより、第1のパネル片40の切断位置と第2のパネル片41の切断位置とを凹凸嵌合により接続することができ、外面標準パネル14の大きさを前,後方向に短縮することができる。同様に、内面標準パネル18の大きさを前,後方向に短縮することができる。
【0099】
一方、外面標準パネル14の上枠部14C、下枠部14D、中間枠部14Eを、嵌合用段部15,16,17(段部切断位置線46)の位置で切断し、2つのパネル片47,48間に別個に用意した追加パネル片49を接続することにより、外面標準パネル14の大きさを前,後方向に延長することができる。同様に、内面標準パネル(図示せず)の大きさを前,後方向に短縮することができる。
【0100】
このように、外面標準パネル14からなる2つのパネル片40,41を長さ方向で詰めて接続したり、2つのパネル片47,48間に追加パネル片49を接続したりする場合、パネル片40,41,47,48等の端部には、嵌合用段部15,16,17の一部をなす雄嵌合部40C,41A,41B,47A,48Aを設けている。これにより、この雄嵌合部40C,41A,41B,47A,48Aを用いた凹凸嵌合によって簡単、かつ正確な接続を行うことができ、基本となる大きさの標準ドア13から短縮した小旋回ドア33、延長した大型ドアを容易に製造することができる。
【0101】
この結果、例えば1枚の外面標準パネル14から、外面短縮パネル34と外面延長パネル45とを形成でき、パネルの大きさを容易に変更することができる。これにより、パネルをプレス成形するときに用いる金型を複数種類用意する必要がなくなるから、標準ドア13、小旋回ドア33、大型ドアの製造コストを低減することができる。
【0102】
一方、嵌合用段部15,16,17,19,20,21は、外面標準パネル14と内面標準パネル18の板厚寸法tと同等の深さ寸法Lをもって外面14Fから内面14Gに向けて凹陥した凹陥溝部として形成している。従って、例えば、第2のパネル片41の雄嵌合部41Aを第1のパネル片40の雌嵌合部40Aに段差なく嵌合させることができ、見栄えを良好にすることができる。凹凸嵌合した他の部位についても、同様に見栄えを良好にすることができる。
【0103】
さらに、外面標準パネル14に設けた嵌合用段部15,16,17と内面標準パネル18に設けた嵌合用段部19,20,21とは、該各パネル14,18を組合せて小旋回ドア33を形成するときに、それぞれの繋ぎ目、即ち溶接部34H,35Hが互いに重ならないように、前,後方向で異なる位置に設ける構成としている。従って、各短縮パネル34,35の繋ぎ目に応力が集中するのを防止でき、各短縮パネル34,35の耐久性を向上することができる。
【0104】
次に、
図33ないし
図35は本発明の第2の実施の形態を示している。第2の実施の形態の特徴は、標準ドアの標準パネルをベースにして上,下方向に短尺な低頭ドアの短縮パネルを製造する構成としたことにある。即ち、パネルの前枠部と後枠部とを切断し、上,下方向の中間にある不要パネル片を除去し、残りの第1、第2のパネル片を凹凸嵌合により接続する構成としている。なお、第2の実施の形態では、外面パネルを上,下方向に短縮した場合を例示し、ほぼ同様の構成となる内面パネルについては説明を省略するものとする。
【0105】
図33において、51は標準ドア(図示せず)の外面側に位置して設けられた外面標準パネルを示している。この外面標準パネル51は、第1の実施の形態による外面標準パネル14とほぼ同様に、前枠部51A、後枠部51B、上枠部51C、下枠部51Dにより4辺が囲まれ、上,下方向の中間部に中間枠部51Eが設けられている。しかし、第2の実施の形態による外面標準パネル51は、前枠部51A,後枠部51Bに嵌合用段部52,53が設けられている点で、第1の実施の形態による外面標準パネル14と相違している。
【0106】
52は外面標準パネル51の前枠部51Aの中間位置に設けられた前側の嵌合用段部を示している。53は外面標準パネル51の後枠部51Bの中間位置に設けられた後側の嵌合用段部を示している。この2つの嵌合用段部52,53は、第1の実施の形態による嵌合用段部15とほぼ同様の幅寸法、深さ寸法をもった凹陥溝部として形成されている。
【0107】
次に、例えば、トンネル内で掘削作業等を行うためにキャブの高さが低く設定される低頭キャブのドア(いずれも図示せず)を構成する外面短縮パネル59の製造方法について、
図33ないし
図35を参照して説明する。
【0108】
外面パネル加工工程として、4辺が枠部51A〜51Dによって囲まれ、上,下方向の中間位置に中間枠部51Eを有し、前記前枠部51A、後枠部51Bを上,下方向に2分割に切断すべき位置に嵌合用段部52,53が設けられた外面標準パネル51を金型を用いたプレス成形によって加工する。
【0109】
次に、段部位置切断工程では、
図33に示すように、外面標準パネル51の前枠部51Aの嵌合用段部52、後枠部51Bの嵌合用段部53を通る段部切断位置線54に沿って該各枠部51A,51Bを切断する。
【0110】
非段部位置切断工程では、外面標準パネル51の前枠部51Aと後枠部51Bを非段部切断位置線55に沿って切断する。即ち、外面標準パネル51の前枠部51Aを、嵌合用段部52から該前枠部51Aの長さ方向の上側に離間した前記嵌合用段部52以外の位置で切断する。同様に、後枠部51Bを、嵌合用段部53から該後枠部51Bの長さ方向の上側に離間した前記嵌合用段部53以外の位置で切断する。これにより、外面標準パネル51は、
図34に示すように、雌嵌合部56A,56Bを有する第1のパネル片56と、雄嵌合部57A,57Bを有する第2のパネル片57と、不要パネル片58とに3分割することができる。
【0111】
次に、外面短縮パネル形成工程では、
図35に示すように、3分割に切断された各パネル片56,57,58のうち、不要パネル片58を除去して残った2つのパネル片56,57を凹凸嵌合により接続し、溶接部59Fを設けることにより、外面短縮パネル59を形成することができる。
【0112】
外面短縮パネル59は、前述した外面標準パネル51とほぼ同様に、前枠部59A、後枠部59B、上枠部59C、下枠部59D、中間枠部59Eにより構成されている。しかし、外面短縮パネル59は、不要パネル片58を除去した分だけ、外面標準パネル51よりも上,下方向に短縮されている。なお、2箇所の溶接部59Fは、上,下方向で異なる位置に配置されている。
【0113】
かくして、このように構成された第2の実施の形態においても、前述した第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。この第2の実施の形態によれば、外面標準パネル51には、前枠部51A,後枠部51Bに嵌合用段部52,53を設ける構成としているから、この嵌合用段部52,53の位置と該嵌合用段部52,53と上,下方向に異なる位置とで前枠部51A,後枠部51Bを切断することにより、上,下方向寸法が小さな外面短縮パネル59を形成することができる。同様の構成で内面短縮パネルを形成し、外面短縮パネル59と接合することにより低頭キャブのドアを製造することができる。
【0114】
次に、
図36ないし
図38は本発明の第3の実施の形態を示している。本実施の形態の特徴は、小旋回ドアを形成する外面短縮パネルをベースにし、この外面短縮パネルを前,後方向に延長させることで外面標準パネルを製造する構成としたことにある。なお、第3の実施の形態では、外面パネルについて説明し、ほぼ同様の構成となる内面パネルについては説明を省略するものとする。
【0115】
図36において、61は小旋回ドア(図示せず)の外面側に位置して設けられた外面短縮パネルを示している。この外面短縮パネル61は、第1の実施の形態による外面短縮パネル34とほぼ同様に、前枠部61A、後枠部61B、上枠部61C、下枠部61D、中間枠部61Eにより構成されている。しかし、第2の実施の形態による外面短縮パネル61は、1枚の金属板からなり、上枠部61C、下枠部61D、中間枠部61Eに嵌合用段部62,63,64が設けられている点で、第1の実施の形態による外面短縮パネル34と相違している。
【0116】
62は外面短縮パネル61の上枠部61Cに設けられた上側の嵌合用段部を示している。63は外面短縮パネル61の下枠部61Dに設けられた下側の嵌合用段部を示している。さらに、64は外面短縮パネル61の中間枠部61Eに設けられた中間の嵌合用段部を示している。この3つの嵌合用段部62,63,64は、第1の実施の形態による嵌合用段部15とほぼ同様の幅寸法、深さ寸法をもった凹陥溝部として形成されている。
【0117】
次に、外面短縮パネル61を用いて標準ドアを構成する外面標準パネル69の製造方法について、
図36ないし
図38を参照して説明する。
【0118】
外面パネル加工工程として、4辺が枠部61A〜61Dによって囲まれ、上,下方向の中間位置に中間枠部61Eを有し、前記上枠部61C、下枠部61D、中間枠部61Eを前,後方向に2分割に切断すべき位置に嵌合用段部62,63,64が設けられた外面短縮パネル61を金型を用いたプレス成形によって加工する。
【0119】
次に、段部位置切断工程では、
図36に示すように、外面短縮パネル61の上枠部61C、下枠部61D、中間枠部61Eを、嵌合用段部62,63,64の幅方向のほぼ中心位置を通る段部切断位置線65に沿って切断する。
【0120】
外面延長パネル形成工程では、外面短縮パネル61について、
図37に示すように、2分割に切断された第1のパネル片66と第2のパネル片67との間に、該各パネル片66,67と別個に形成された延長用の追加パネル片68を用意し、各パネル片66,67の雄嵌合部66A,67Aと追加パネル片68の雌嵌合部68Aとを凹凸嵌合により接続する。この状態で、各パネル片66,67の切断位置と追加パネル片68の切断位置との繋ぎ目に溶接部69Fを施すことにより、外面短縮パネル61よりも長尺な外面標準パネル69を形成することができる。
【0121】
外面標準パネル69は、前述した外面短縮パネル61とほぼ同様に、前枠部69A、後枠部69B、上枠部69C、下枠部69D、中間枠部69Eにより構成されている。しかし、外面標準パネル69は、追加パネル片68を追加した分だけ、外面短縮パネル61よりも前,後方向に延長されている。なお、3箇所の溶接部69Fは、前,後方向で異なる位置に配置されている。
【0122】
かくして、このように構成された第3の実施の形態においても、前述した第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。この第3の実施の形態によれば、外面短縮パネル61には、上枠部69C、下枠部69D、中間枠部69Eに嵌合用段部62,63,64を設ける構成としているから、この嵌合用段部62,63,64の位置で上枠部69C、下枠部69D、中間枠部69Eを切断し、第1のパネル片66と第2のパネル片67との間に、該各パネル片66,67と別個に形成された延長用の追加パネル片68を凹凸嵌合により接続する。この状態で、各パネル片66,67の切断位置と追加パネル片68の切断位置との繋ぎ目に溶接部69Fを施すことにより外面標準パネル69を形成することができる。同様の構成で内面短縮パネルを形成し、外面標準パネル69と接合することにより標準キャブのドアを製造することができる。
【0123】
なお、第1の実施の形態では、外面標準パネル14、内面標準パネル18には、上,下方向の中間に位置して1本の中間枠部14E,18Eを設けた場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば外面標準パネル、内面標準パネルから中間枠部を削除する構成としてもよい。また、中間枠部を2本以上設ける構成としてもよい。これらの構成は、他の実施の形態にも同様に適用することができるものである。
【0124】
第1の実施の形態では、第1のパネル片40の切断位置と第2のパネル片41の切断位置とを隅肉溶接、突合せ溶接によって溶接部34Hを形成した場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、第1のパネル片40の切断位置と第2のパネル片41の切断位置とをスポット溶接等の他の溶接手段で固着する構成としてもよい。この構成は、他の接合箇所、他の実施の形態にも同様に適用することができるものである。
【0125】
一方、第2の実施の形態では、外面標準パネル51を、第1のパネル片56、第2のパネル片57、不要パネル片58の3つに分割し、不要パネル片58を除去して残った2つのパネル片56,57を凹凸嵌合により接続して溶接することにより、外面短縮パネル59を形成した場合を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、外面標準パネルを、嵌合用段部の位置で2分割し、各パネル片間に追加パネル片を設けることにより、上,下方向に長尺な外面延長パネルを製造する構成としてもよい。
【0126】
さらに、第1の実施の形態では、建設機械用キャブとしてクローラ式の下部走行体2,23を備えた油圧ショベル1,22のキャブ11,31を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えばホイール式の下部走行体を備えた油圧ショベルのキャブ、クレーン、ホイールローダ等のキャブに適用してもよい。