【実施例】
【0080】
(実施例1)
この実施例に示す試験の目的は、プラセボ対照と比較して、機能不全のHDカテーテルに対する機能の回復におけるテネクテプラーゼの有効性と安全性を調べることである。
【0081】
【化1】
試験の目的
・1時間の留置期間後、機能不全の血液透析(HD)カテーテル内の血流速度(BFR)の改善におけるテネクテプラーゼの有効性をプラセボと比較して評価すること。
【0082】
・機能不全のHDカテーテルを有する対象の処置においてテネクテプラーゼの安全性を評価すること。
【0083】
試験設計
これは、米国内のおよそ40の施設で行なわれたフェーズIIIの無作為二重盲検プラセボ対照試験である。HDを必要とし、<300mL/分のBFRかつHDの最初の30分間、−250mmHgの動脈圧で(または250mmHgを超えない負の最大動脈圧の施設内ガイドラインで)所定のBFRより少なくとも25mL/分低いことで規定される機能不全のHDカテーテルを有するおよそ150例の対象を本試験に登録させる。対象をベースラインBFRによって3つの層:0〜199mL/分、200〜274mL/分、および275〜299mL/分に分類する。0〜199mL/分層および275〜299mL/分層への登録は、各々で対象の最大10%に制限する。
【0084】
本試験は、各対象の定期HDスケジュールに基づいた連続HDセッション回数に一致する3〜4回の通院、ならびに1回の追跡通院で構成される。対象は、2回までの試験薬物処置を受ける。書面でのインフォームドコンセント(および当てはまる場合は、小児のインフォームドアセント)を得た後、対象を、スクリーニング通院時に、対象基準および除外基準に基づいて適格性に関してスクリーニングする。スクリーニング通院と通院1度目は、治験担当医の自由裁量で併合され得る。通院1度目の際、BFRが<300mL/分であり、HDの開始時(最初の30分以内)、−250mmHgの動脈圧で(または250mmHgを超えない負の最大動脈圧の施設内ガイドラインで)所定のBFRより少なくとも25mL/分低い適格対象を、1:1比でテネクテプラーゼまたはプラセボのいずれかを受けるように無作為に割り当てる。試験適格性を判定するために通院1度目の際に得たBFR測定値をベースラインBFRとみなす。対象は、HDカテーテルの2つの管腔内の各々に滴注される2mLの試験薬物(すなわち、2mgのテネクテプラーゼ、またはプラセボ同等物)を受ける。1時間の留置期間後、試験薬物を撤退させ、対象はすべて、処方どおりまたは可能な程度までHDを受ける。BFRをHDの開始時、その後30分毎、HD終了30分前、およびHDの終了時に測定し、カテーテル機能を評価し、通院1度目の処置成績を判定する。
【0085】
通院2度目の始めにBFRが<300mL/分である対象を、2mL(2mg)の非盲検テネクテプラーゼで処置する(通院1度目の処置成績にかかわらず)。1時間の留置期間後、試験薬物を撤退させ、対象は、処方どおりまたは可能な程度までHDを受ける。BFRをHDの開始時、その後30分毎、HD終了30分前、およびHDの終了時に測定し、カテーテル機能を評価し、通院2度目の処置成績を判定する。
【0086】
HDカテーテル機能の追跡評価は、最後の試験薬物曝露後の2回の各通院時(すなわち、1回の試験薬物処置を受けた対象では、通院2度目および3度目、2回の試験薬物処置を受けた対象では、通院3度目および4度目)に、HDの開始時(最初の30分以内)のBFRを測定することにより行なう。この評価のため、試験要員は、最初の30分以内に所定のBFRが達成されるようにBFRを上昇させる。
【0087】
いずれかの時点で、HDカテーテルがなんらかの理由で外れた場合、それ以上処置は施さず、さらなる有効性評価(すなわち、BFR測定値または血中尿素窒素[BUN]解析)は行なわない。しかしながら、対象は、継続して安全性評価(すなわち、有害事象および併用薬物投与の記録ならびに抗体試験)を受ける。症候性低血圧を有する対象には試験薬物を与えない場合がある。
【0088】
有害事象を対象全員について、処置開始から最後の試験薬物曝露後の2回目の通院(すなわち、1回の試験薬物処置を受けた対象では通院3度目、2回の試験薬物処置を受けた対象では通院4度目)の終了まで記録する。対象はすべて、通院1度目の30〜36日後または本試験の早期終了時に抗体試験を受ける。
【0089】
有効性の転帰の尺度
この試験の処置成功を以下のとおりに規定する:
HDの終了時およびHDの終了30(±10)分前に、0〜−250mmHgの範囲の動脈圧でBFRが≧300mL/分であり、ベースラインBFRからの上昇が≧25mL/分である(ラインの逆転なく)。BFRは≧300mL/分だがベースラインBFRからの上昇が<25mL/分である対象、BFRが<300mL/分である対象、およびカテーテルラインが逆転している対象を、処置不成功であったとみなす。
【0090】
治験担当医が、対象が血流力学的に不安定となり(血圧の低下または心拍数の変化)、その結果、そのBFRを低下させることが必要であると決定した場合、BFRを低下させる前にBFR測定値を記録しなければならない。血流力学的不安定性が発現される前の30分間にわたるBFRを用いて、処置成績を判定する。
【0091】
通院1度目および2度目の際に処置成功であった対象では、その後の通院時でのカテーテル機能の維持を、BFRが≧300mL/分、かつそのHDセッションの始めに(最初の30分以内)、0〜−250mmHgの範囲の動脈圧で、ベースラインBFRからの上昇が≧25mL/分(ラインの逆転なし)と規定する。この評価のため、試験要員は、最初の30分以内に所定のBFRが達成されるようにBFRを上昇させる。
【0092】
有効性の主要転帰の尺度は、以下のとおりである:
・通院1度目の際にBFRに関して処置成功であった対象のパーセンテージ(上記に規定のとおり)。
【0093】
有効性の副次的転帰の尺度は、以下のとおりである:
・通院1度目の際に処置成功であった対象について、通院2度目および3度目の際にカテーテル機能が維持されている対象のパーセンテージ(上記に規定のとおり)
・通院1度目に処置前およびHD後のBUN測定値で評価したとき、≧65%の尿素除去率(URR)を有する対象のパーセンテージ
・通院2度目の際に非盲検テネクテプラーゼを受けない対象について、通院2度目にHD前およびHD後のBUN測定値で評価したとき、≧65%のURRを有する対象のパーセンテージ
・通院1度目のときのベースラインからHDの終了までのBFRの変化
・通院1度目のときのベースラインからHDの終了までのBFRの変化で規定される以下の各カテゴリー:<0mL/分、0〜24mL/分、25〜49mL/分、50〜99mL/分、100〜149mL/分、および≧150mL/分に該当する対象のパーセンテージ。
【0094】
通院2度目において非盲検テネクテプラーゼで処置される対象では、有効性の副次的転帰の尺度にはまた、以下:
・通院2度目の際にBFRに関して処置成功であった対象のパーセンテージ(上記に規定のとおり)
・通院2度目の際に処置成功であった対象について、通院3度目および4度目の際にカテーテル機能が維持されている対象のパーセンテージ(上記に規定のとおり)
・通院2度目のときのベースラインからHDの終了までのBFRの変化
・通院2度目にHD前およびHD後のBUN測定値で評価したとき、≧65%のURRを有する対象のパーセンテージ
・通院3度目にHD前およびHD後のBUN測定値で評価したとき、≧65%のURRを有する対象のパーセンテージ
通院2度目のときのベースラインからHDの終了までのBFRの変化で規定される以下の各カテゴリー:<0mL/分、0〜24mL/分、25〜49mL/分、50〜99mL/分、100〜149mL/分、および≧150mL/分に該当する対象のパーセンテージ
も含まれる。
【0095】
安全性の転帰の尺度
安全性の主要転帰の尺度は、以下のとおりである:
・初回の試験薬物投与から通院2度目の最初まででの、標的有害事象(頭蓋内出血、大量出血、塞栓性事象、血栓症、カテーテル関連血流感染症、およびカテーテル関連合併症)の発生。
【0096】
安全性の副次的転帰の尺度は、以下のとおりである:
・通院2度目の際にテネクテプラーゼを受けない対象について、通院2度目の最初から通院3度目の終了まででの標的有害事象(上記に列挙したとおり)の発生
・通院2度目の際にテネクテプラーゼを受ける対象について、通院2度目の最初から通院4度目の終了まででの標的有害事象(上記に列挙したとおり)の発生
・初回の試験薬物投与から通院2度目の最初まででの重篤有害事象の発生およびすべての有害事象の発生
・通院2度目の際にテネクテプラーゼを受けない対象について、通院2度目の最初から通院3度目の終了まででの重篤有害事象の発生およびすべての有害事象の発生
・通院2度目の際にテネクテプラーゼを受ける対象について、通院2度目の最初から通院4度目の終了まででの重篤有害事象の発生およびすべての有害事象の発生
・ベースラインで陰性であった試験対象における抗テネクテプラーゼ抗体試験での陽性の発生。
【0097】
安全性計画
テネクテプラーゼは、急性心筋梗塞(AMI)と関連する死亡率の低下における使用が承認されている。AMI処置用の30〜50mgの用量でのテネクテプラーゼの全身性使用と関連する有害事象は、充分報告されており、主に、出血性合併症、例えば、大量出血事象および頭蓋内出血からなる。機能不全のカテーテル血栓溶解処置のための血栓溶解薬の使用と関連したものであり得る別の有害事象は、カテーテル関連血栓の塞栓形成である。AMIの処置のためのテネクテプラーゼ、および機能不全のCVAカテーテルの処置のためのCATHFLO(登録商標)ACTIVASE(登録商標)(アルテプラーゼ)を用いた臨床経験に基づくと、テネクテプラーゼに起因する任意の潜在的な出血性または塞栓性事象は、処置の24時間以内に最も生じやすいと予想される。試験処置の初回から最後の試験薬物曝露後2回目の通院の終了まで、すべての有害事象を記録する。
【0098】
試験処置
対象は、上記のとおりに、HDカテーテルの機能の回復に応じて2回までの試験薬物処置を受ける(「試験設計」参照)。最初の処置は、テネクテプラーゼまたはプラセボのいずれかが、通院1度目に対象全員に施され、2回目の処置は、非盲検テネクテプラーゼが、通院2度目に適格対象に施される。各投与時、対象は、そのHDカテーテルの各管腔内に滴注される2mLの試験薬物(すなわち、2mgのテネクテプラーゼ、またはプラセボ同等物)を受ける。
【0099】
併用療法および臨床診療
フィブリン溶解剤(試験薬物以外)、ワルファリン(予防のために使用される低用量ワルファリンを除く)、および未分画または低分子量ヘパリン(HD中のみまたは予防のために使用されるヘパリンを除く)の使用を、通院1度目から最後の試験薬物曝露後2回目の通院の終了まで禁止する。Plavix(登録商標)(重硫酸クロピドグレル)を摂取している対象では、その用量を、通院1度目から最後の試験薬物曝露後2回目の通院の終了まで増加させないことがあり得る。対象は、処置医の自由裁量で、その病状のために投与される他の適用薬物および標準的処置薬を受けることが継続され得る。
【0100】
フィブリン溶解剤(試験薬物以外)の使用は、本試験過程の間(最後の試験薬物曝露後2回目の通院の終了まで)禁止されるが、対象は、処置医の自由裁量で、その病状のために投与される適用薬物および標準的処置薬を受けることは継続され得る。
【0101】
統計的方法
一次有効性解析
処置成功が得られた対象のパーセンテージをコンピュータで計算し、厳密法に基づいて95%信頼区間を得る。このパーセンテージを、コクラン−マンテル−ヘンツェル検定を用いて処置群間で比較する(ベースラインBFR:0〜199mL/分、200〜274mL/分、および275〜299mL/分に層別化)。
【0102】
欠測データ
解析目的のため、処置成功(上記に規定のとおり)が得られることなくなんらかの理由で試験を中止した対象を、処置不成功であったとみなす。
【0103】
標本サイズの決定
150例の対象の標本サイズにより、χ
2両側検定を用いると、0.05有意性レベルで、プラセボ応答率5%に対してテネクテプラーゼ応答率25%の>90%検出力が得られる。
【0104】
中間解析
データモニタリング委員会(DMC)は、本試験中の安全性の累積データの定期的検討を実施する。
【0105】
試験設計の詳細
これは、多施設で行なうフェーズIIIの無作為二重盲検プラセボ対照試験である。HDが必要とされ、機能不全のHDカテーテルを有する≧16歳のおよそ150例の対象を本試験に登録させる。対象をベースラインBFRによって3つの層:0〜199mL/分、200〜274mL/分、および275〜299mL/分に分類する。0〜199mL/分層および275〜299mL/分層への登録は、各々で対象の最大10%に制限する。
【0106】
本試験は、各対象について、各対象の定期HDスケジュールに基づいた連続HDセッション回数に一致する3〜4回の通院、ならびに1回の追跡通院で構成される。対象は、2回までの試験薬物処置を受ける。最初の処置は、テネクテプラーゼまたはプラセボのいずれかが、通院1度目に対象全員に施され、2回目の処置は、非盲検テネクテプラーゼが、通院2度目に適格対象に施される。
【0107】
書面でのインフォームドコンセント(および当てはまる場合は、小児のインフォームドアセント)を得た後、対象を、スクリーニング通院時に、対象基準および除外基準に基づいて適格性に関してスクリーニングする。スクリーニング通院と通院1度目は、治験担当医の自由裁量で併合され得る。通院1度目の際、BFRが<300mL/分であり、HDの開始時(最初の30分以内)、−250mmHgの動脈圧で(または250mmHgを超えない負の最大動脈圧の施設内ガイドラインで)所定のBFRより少なくとも25mL/分低い適格対象を、1:1比でテネクテプラーゼまたはプラセボのいずれかを受けるように無作為に割り当てる。試験適格性を判定するために通院1度目の際に得たBFR測定値をベースラインBFRとみなす。対象は、HDカテーテルの2つの管腔内の各々に滴注される2mLの試験薬物(すなわち、2mgのテネクテプラーゼ、またはプラセボ同等物)を受ける。1時間の留置期間後、試験薬物を撤退させ、対象はすべて、処方どおりまたは可能な程度までHDを受ける。BFRをHDの開始時、その後30分毎、HD終了30分前、およびHDの終了時に測定し、カテーテル機能を評価し、通院1度目の処置成績を判定する(上記に規定のとおり)。
【0108】
通院2度目の始めにBFRが<300mL/分である対象を2mL(2mg)の非盲検テネクテプラーゼで処置する(通院1度目の処置成績にかかわらず)。1時間の留置期間後、試験薬物を撤退させ、対象は、処方どおりまたは可能な程度までHDを受ける。BFRをHDの開始時、その後30分毎、HD終了30分前、およびHDの終了時に測定し、カテーテル機能を評価し、通院2度目の処置成績を判定する。
【0109】
HDカテーテル機能の追跡評価は、最後の試験薬物曝露後の2回の各通院時(すなわち、1回の試験薬物処置を受けた対象では、通院2度目および3度目、2回の試験薬物処置を受けた対象では、通院3度目および4度目)に、HDの開始時(最初の30分以内)のBFRを測定することにより行なう。この評価のため、試験要員は、最初の30分以内に所定のBFRが達成されるようにBFRを上昇させる。
【0110】
いずれかの時点で、HDカテーテルがなんらかの理由で外れた場合、それ以上処置は施さず、さらなる有効性評価(すなわち、BFR測定値または血中尿素窒素[BUN]解析)は行なわない。しかしながら、対象は、継続して安全性評価(すなわち、有害事象および併用薬物投与の記録ならびに抗体試験)を受ける。症候性低血圧を有する対象には試験薬物を与えない場合がある。
【0111】
有害事象を対象全員について、処置開始から最後の試験薬物曝露後の2回目の通院(すなわち、1回の試験薬物処置を受けた対象では通院3度目、2回の試験薬物処置を受けた対象では通院4度目)の終了まで記録する。対象はすべて、通院1度目の30〜36日後または本試験の早期終了時に抗体試験を受ける。
【0112】
この二重盲検プラセボ対照臨床試験は、機能不全のHDカテーテルに対する機能の回復に関して、プラセボと対比してテネクテプラーゼの有効性と安全性を評価するために設計されたものであり、少なくとも一部、CATHFLO(登録商標)ACTIVASE(登録商標)(アルテプラーゼ)の承認された用量、ならびにCVAおよびHDカテーテルにおいてアルテプラーゼを用いた経験を基準にしている。
【0113】
CATHFLO(登録商標)ACTIVASE(登録商標)(アルテプラーゼ)は、現在、機能不全のCVAデバイスの処置に承認されている。臨床試験では、2mg用量2回までのアルテプラーゼ(体重<30kgの対象ではより少ない用量)(各々、120分間の留置期間を続ける)が、機能不全のCVAデバイスに対する機能の回復に有効で安全であった。
【0114】
ヒト血漿を用いてRefinoら、Thromb Haemost 69(6):841(1993))によって行われた最初の試験では、テネクテプラーゼがtPA(アルテプラーゼ)と同等の相対効力を有することが示された。また、Keytら,Proc Natl Acad Sci.USA 91 3670−4(1994))では、インビトロ系における血漿血餅溶解に関して、テネクテプラーゼが野生型tPAの82%活性であることが示された。これらの結果は、テネクテプラーゼが血餅溶解能において、アルテプラーゼの82%〜100%活性であり得ることを示し、したがって、本試験におけるテネクテプラーゼの用量を各管腔で2mg(2mL)とし、1時間の留置期間後に撤退させる。注目すべきことに、2mg用量は、AMIの処置に承認されているテネクテプラーゼの全身用量より15〜25倍少ない。
【0115】
この試験では、全身性投与は行なわない。しかしながら、カテーテルの管腔の大きさが未知であるか、またはこの試験におけるテネクテプラーゼの指定用量(2mL)より小さい場合は、投与される用量の一部(すなわち、2mLとカテーテルの管腔容積の差分)が全身循環に入る可能性がある。この投与レジメンは、体重<30kgの小児対象にカテーテルの管腔容積の110%に相当する用量を投与したCathflo Activaseの臨床試験(A2055g、A2065g、およびA2404g)の投与レジメンと有意に違わない。2mg用量全体を不注意で静脈内ボーラスとして与えたシナリオでは、これにより、予測最大血漿濃度0.25μg/mLがもたらされ得る。これを考慮すると、2mgのアルテプラーゼの最大予測濃度は0.58μg/mLである。相対的に、AMIに一般に使用されている30mg用量のテネクテプラーゼでは、5.9〜7.5μg/mLの範囲の最大血漿濃度がもたらされ得る(TIMI 10Aおよび10B治験の平均データ)(Cannonら,1997、1998)。同様に、加速注入レジメンによって100mgのアルテプラーゼを与えた患者では、Tanswellら(1992)により、およそ4μg/mLの最大濃度が得られると予測された。相対的に、内因的に生成される組織プラスミノゲン活性化因子のレベルは、0.002〜0.021μg/mLの範囲であると報告された。
【0116】
登録をBFRが−250mmHgの動脈圧で<300mL/分である対象に限定する論理的根拠は、HD期間がひどく長期化することなく充分な透析を達成するためには≧300mL/分のBFRが必要である、と示されたHDのための血管アクセスに関するKDOQIガイドラインでの推奨に基づく。BFRは負の動脈圧に直接関連するため、BFR測定値に対して一貫した条件を維持するために、この試験では0〜−250mmHgの範囲の動脈圧を設定した。また、KDOQIガイドラインには、−250mmHgの動脈圧でBFRを測定してカテーテル機能不全を測定することが提案されている。
【0117】
有効性の転帰の尺度
有効性の主要転帰の尺度は、以下のとおりである:
・通院1度目の際にBFRに関して処置成功であった対象のパーセンテージ(上記に規定のとおり)。
【0118】
有効性の副次的転帰の尺度は、以下のとおりである:
・通院1度目の際に処置成功であった対象について、通院2度目および3度目の際にカテーテル機能が維持されている対象のパーセンテージ(上記に規定のとおり)
・通院1度目に処置前およびHD後のBUN測定値で評価したとき、≧65%の尿素除去率(URR)を有する対象のパーセンテージ
・通院2度目の際に非盲検テネクテプラーゼを受けない対象について、通院2度目にHD前およびHD後のBUN測定値で評価したとき、≧65%のURRを有する対象のパーセンテージ
・通院1度目のときのベースラインからHDの終了までのBFRの変化
・通院1度目のときのベースラインからHDの終了までのBFRの変化で規定される以下の各カテゴリー:<0mL/分、0〜24mL/分、25〜49mL/分、50〜99mL/分、100〜149mL/分、および≧150mL/分に該当する対象のパーセンテージ 。
【0119】
通院2度目において非盲検テネクテプラーゼで処置される対象では、有効性の副次的転帰の尺度にはまた、以下:
・通院2度目の際にBFRに関して処置成功であった対象のパーセンテージ(上記に規定のとおり)
・通院2度目の際に処置成功であった対象について、通院3度目および4度目の際にカテーテル機能が維持されている対象のパーセンテージ(上記に規定のとおり)
・通院2度目のときのベースラインからHDの終了までのBFRの変化
・通院2度目にHD前およびHD後のBUN測定値で評価したとき、≧65%のURRを有する対象のパーセンテージ
・通院3度目にHD前およびHD後のBUN測定値で評価したとき、≧65%のURRを有する対象のパーセンテージ
・通院2度目のときのベースラインからHDの終了までのBFRの変化で規定される以下の各カテゴリー:<0mL/分、0〜24mL/分、25〜49mL/分、50〜99mL/分、100〜149mL/分、および≧150mL/分に該当する対象のパーセンテージ
も含まれる。
【0120】
安全性の転帰の尺度
安全性の主要転帰の尺度は、以下のとおりである:
・初回の試験薬物投与から通院2度目の最初まででの、標的有害事象(ICH、大量出血、塞栓性事象、血栓症、カテーテル関連血流感染症[CRBSI]、およびカテーテル関連合併症)の発生。
【0121】
安全性の副次的転帰の尺度は、以下のとおりである:
・通院2度目の際にテネクテプラーゼを受けない対象について、通院2度目の最初から通院3度目の終了まででの標的有害事象(上記に列挙したとおり)の発生
・通院2度目の際にテネクテプラーゼを受ける対象について、通院2度目の最初から通院4度目の終了まででの標的有害事象(上記に列挙したとおり)の発生
・初回の試験薬物投与から通院2度目の最初まででの重篤有害事象の発生およびすべての有害事象の発生
・通院2度目の際にテネクテプラーゼを受けない対象について、通院2度目の最初から通院3度目の終了まででの重篤有害事象の発生およびすべての有害事象の発生
・通院2度目の際にテネクテプラーゼを受ける対象について、通院2度目の最初から通院4度目の終了まででの重篤有害事象の発生およびすべての有害事象の発生
・ベースラインで陰性であった試験対象における抗テネクテプラーゼ抗体試験での陽性の発生。
【0122】
安全性計画
テネクテプラーゼは、AMIと関連する死亡率の低下における使用が承認されている。AMI処置用の30〜50mgの用量でのテネクテプラーゼの全身性使用と関連する有害事象は、充分報告されており、主に、出血性合併症、例えば、大量出血事象およびICHからなる。血漿からのテネクテプラーゼの排出は二相性であり、平均初期半減期は20〜24分間および平均末期半減期は90〜130分間である(Modiら,Journal of Clinical Pharmacology、40:508−515(2000))。テネクテプラーゼで処置されたAMIを有する対象における出血性合併症の発生は定量されたが、この試験で使用する低用量のテネクテプラーゼと関連する出血性合併症の発生に関するデータは限られている。テネクテプラーゼに起因するICHおよび大量出血の発生は、提案用量が低いこと、テネクテプラーゼへの全身曝露が最小限であること、およびこれまでのCATHFLO(登録商標)ACTIVASE(登録商標)(アルテプラーゼ)での臨床試験経験(ICHは報告されておらず、大量出血を起こした対象は1432例中3例のみであったことが示されている)から、この試験では比較的少ないと予想される。
【0123】
機能不全カテーテルの処置のための血栓溶解薬の使用と関連したものであり得る別の有害事象は、カテーテル関連血栓の塞栓形成である。かかる事象により肺動脈塞栓がもたらされ得、肺動脈塞栓の大きさによっては命にかかわることがあり得る。カテーテル清浄化のためのテネクテプラーゼの使用と関連する臨床的に有意な塞栓性事象の発生は、CVAカテーテルにおけるウロキナーゼおよびCATHFLO(登録商標)ACTIVASE(登録商標)(アルテプラーゼ)両方での多くの経験に基づくと、低いと予測される。
【0124】
AMIの処置のためのテネクテプラーゼ、および機能不全のCVAカテーテルの処置のためのCathflo Activaseを用いた臨床経験に基づくと、テネクテプラーゼに起因する任意の潜在的な出血性または塞栓性事象は、処置の24時間以内に最も生じやすいと予想される。
【0125】
試験処置の初回から最後の試験薬物曝露後2回目の通院の終了まで、すべての有害事象を記録する。重篤有害事象はすべて、因果律または処置経路にかかわらず、Genentechに48時間以内に報告する。
【0126】
DMCでは、累積安全性データをテネクテプラーゼカテーテル−クリアランスプログラムについて、所定の期間間隔で検討し、このデータ検討過程の結果に基づき、スポンサーに対する継続的な試験の安全性に関する推奨案の作成を担う。
【0127】
機能不全のHDカテーテルを有する対象は、この試験に適格であり、本明細書に示す基準を用いてスクリーニングされる。無作為にプラセボを受けた対象を、機能不全のHDカテーテルに対する機能の回復におけるテネクテプラーゼの単回管腔内滴注の有効性および安全性の評価における比較群とする。本試験は、偏り(生じる場合)を最小限にするために、無作為二重盲検プラセボ対照臨床試験として行なう。
【0128】
この試験は、米食品医薬品局、ハーモナイゼーション国際会議E6の優良臨床規範ガイドライン(GCP)、および(米)国内要件(あれば)に従って行なう。
【0129】
材料および方法
対象の選択
HDの最初の30分間のBFR(上記に規定のとおり)に基づく機能不全のHDカテーテルを有する対象は、この試験に適格である。多数の試験地のおよそ150例の対象を登録させる。対象を、以下に示す対象基準および除外基準を用いてスクリーニングする。
【0130】
対象基準
対象は、本試験の対象に適格であるためには、以下の基準をすべて満たしていなければならない。
【0131】
・書面でのインフォームドコンセントを得、本試験の全持続期間、本試験評価に応じることができる
・年齢≧16歳
・治験担当医の見解によって、臨床的に安定
・負の最大動脈圧250mmHgで<300mL/分のBFRでカフ型トンネル型HDカテーテルを使用しているが、BFRは、通院1度目の前の7日間の少なくとも1回のHDセッションで、≧300mL/分を示す
・≧300mL/分のBFRでHD処方されている
・−250mmHgの動脈圧で(または250mmHgを超えない負の最大動脈圧の施設内ガイドラインで)、ベースラインBFR(HDの最初の30分間)が<300mL/分(ラインの逆転(あれば)の前は、カテーテルラインは通常の方向で使用;セクション3.1.2.a参照)
・ベースラインBFR(HDの最初の30分間)が、所定のBFRより少なくとも25mL/分低い
例えば、300mL/分のBFRでHD処方されている対象は、本試験に参加するためには、≦275mL/分のBFRを有していなければならない。
【0132】
・通院1度目の前の7日間の少なくとも1回のHDセッションで、0〜−250mmHgの範囲の動脈圧で、BFRが≧300mL/分を示す(カテーテルラインは通常の方向で使用)
・型とモデルが同じHD装置で、少なくとも4回のHDセッション連続して同じカテーテルの使用が予測される。
【0133】
・試験薬物がHDカテーテル内に滴注されるのに必要な容量で液が注入され得る(以下の投薬量、投与および保存のセクションを参照のこと)。
【0134】
除外基準
以下のいずれかの基準を満たす対象は、本試験から除外する。
【0135】
・対象にリポジショニング後、HDカテーテルが≧300mL/分の持続的なBFRを有する
・スクリーニング前に<2日間、HDカテーテルを挿入されている
・HDカテーテル機能不全の機械的非血栓性の原因のエビデンス(例えば、カテーテルの屈曲もしくはカテーテルを圧迫する縫合部)、または既知のフィブリン鞘によって引き起こされる機能不全
・埋入可能なポートの使用
・HDカテーテルが鎖骨下静脈内に埋入
・本試験過程の間、任意の他の型の診断または治療処置(すなわち、HD以外)のためのカテーテルの使用が予測される
・この試験または任意のテネクテプラーゼカテーテル清浄化治験で以前に処置されている
・スクリーニング前の28日以内に、いずれかの治験対象薬物または治療剤を使用
・通院1度目の前の7日以内に、フィブリン溶解剤(例えば、アルテプラーゼ、テネクテプラーゼ、レテプラーゼ、またはウロキナーゼ)を使用
・スクリーニング時に妊娠中または授乳中であることがわかっている
・HDカテーテルの感染がわかっているか、感染が疑われる
・頭蓋内出血、動脈瘤、または動静脈奇形のいずれかの病歴
・通院1度目の前の24時間以内にいずれかのヘパリン(未分画または低分子量)を使用(HD中のみまたは予防のために使用されるヘパリン(例えば、ヘパリンロック)を除く)
・通院1度目の前の7日以内にワルファリンを使用(予防のために使用される低用量ワルファリンを除く)
・通院1度目の前の7日以内に、Plavix(登録商標)(重硫酸クロピドグレル)の投与開始または用量増加
・エリトロポイエチン使用中の場合、ヘモグロビン≧13.5g/dL
ヘモグロビンレベルを確認するための検査試験は、スクリーニング前の30日以内に行なわれるべきである。
【0136】
・血小板計数<75,000/μL
血小板計数を確認するための検査試験は、スクリーニング前の30日以内に行なわれるべきである。
【0137】
・治験担当医の見解によって、出血性事象もしくは塞栓性合併症(すなわち、最近の肺動脈塞栓、深部静脈血栓症、動脈内膜切除、もしくは臨床的に有意な右左シャント)のリスクが高い、または出血が有意な危険性を構成する病状を有することがわかっている
・症候性低血圧のためBFRが<300mL/分
・治験担当医の見解によって、高血圧が制御不能(例えば、収縮期血圧>185mmHgおよび拡張期血圧>110mmHg)
・テネクテプラーゼまたはその製剤の任意の成分に対する過敏性がわかっている。
【0138】
処置の割当ておよび盲検の方法
これは、二重盲検プラセボ対照試験である。対象をベースラインBFRによって3つの層:0〜199mL/分、200〜274mL/分、および275〜299mL/分に分類する。0〜199mL/分層および275〜299mL/分層への登録は、各々で対象の最大10%に制限する。各層内で、音声自動応答装置システム(IVRS)により実施される階層的ダイナミックアルゴリズムを使用し、対象をテネクテプラーゼ群またはプラセボ群に1:1の比で無作為化する。
【0139】
製剤
テネクテプラーゼおよびプラセボはともに、DAIKYO
TMストッパーおよびフリップオフ式アルミニウムキャップを有する単回使用の6cc容のガラスバイアルにて供給される。テネクテプラーゼは、タンパク質2mgを、以下の明細の賦形剤:104.4mgのL−アルギニン、32mgのリン酸、および0.8mgのポリソルベート20とともに含有する滅菌凍結乾燥製剤として提供される。
【0140】
プラセボは、テネクテプラーゼの場合と同じ賦形剤を有するが活性成分を有しない滅菌凍結乾燥製剤として提供される。希釈剤は、滅菌注射用水、USP/EP(SWFI)である。
【0141】
投薬量、投与および保存
対象は、セクション3.1に記載のように、HDカテーテルの機能の回復に応じて2回までの試験薬物処置を受ける。各処置では、対象は、そのHDカテーテルの各管腔内に滴注される2mLの試験薬物(すなわち、2mgのテネクテプラーゼ、またはプラセボ同等物)を受ける。いずれかの時点で、HDカテーテルがなんらかの理由で外れた場合、それ以上処置は施さない。症候性低血圧を有する対象には試験薬物を与えない場合がある。
【0142】
凍結乾燥テネクテプラーゼまたはプラセボの各バイアルを使用直前に、2.2mLのSWFIで再構成する。無菌的手法を用いて試験薬物の凍結乾燥ケーク中にSWFI流を直接指向し、内容物が溶解するまでバイアルを穏やかに旋回させる。振ってはならない。得られる溶液中のテネクテプラーゼ濃度は1mg/mLである。再構成時のわずかな起泡は異常ではない。大きな気泡(あれば)は、バイアルを数分間静かに放置すると消失する。再構成した試験薬物をすぐに使用しない場合、溶液は、2℃〜8℃(36°F〜46°F)で保存し、再構成から8時間以内に使用しなければならない。使用しなかった溶液はいずれも廃棄する。
【0143】
試験薬物の投与直前、HDカテーテルの管腔内の液はいずれも撤退させ、生理食塩水での流入を試みる。該用量を投与するためには、2mLの再構成試験薬物を、無菌的手法を用いて1本の10mL容シリンジ内に抜き出さなければならない。次いで、この溶液を1つのHDカテーテルの管腔内に、施設内ガイドラインに従って滴注させる。カテーテルの残余容積には、通常生理食塩水を充填するのがよい。第2の管腔についても繰り返す。
【0144】
試験薬物のバイアルを2℃〜8℃(36°F〜46°F)での冷蔵下に保存する。将来的な使用のためにバイアルの未使用分は保存しない。Genentechに示されたバイアルの使用期限または書面での使用延長期限を過ぎた試験薬物は使用しない。一部使用済みバイアル、空のバイアル、および再構成していないバイアルは、Genentechに戻す。
【0145】
用量変更
用量変更は許容されない。
【0146】
併用療法および除外される療法
対象は、試験薬物がHDカテーテル中に存在する間、いずれかの静脈内療法を受けること、または血液試料を、上記カテーテルを介して供給することは許容されない。血液試料の静脈内療法または調達は、別個の経路の使用によってのみ許容され得る。フィブリン溶解剤(試験薬物以外)、ワルファリン(予防のために使用される低用量ワルファリンを除く)、および未分画または低分子量ヘパリン(HD中のみまたは予防のために使用されるヘパリンを除く)の使用は、通院1度目から最後の試験薬物曝露後の2回目の通院(すなわち、1回の試験薬物処置を受けた対象では通院3度目、2回の試験薬物処置を受けた対象では通院4度目)の終了まで禁止する。重硫酸クロピドグレルを摂取している対象では、その用量を、通院1度目から最後の試験薬物曝露後2回目の通院の終了まで増加させないことがあり得る。対象は、処置医の自由裁量で、その病状のために投与される他の適用薬物および標準的処置薬を受けることが継続され得る。
【0147】
試験の評価
本試験は、各対象の連続HDセッション回数に一致する通院、ならびに1回の追跡通院で構成される。スクリーニング通院と通院1度目は、治験担当医の自由裁量で併合され得る。対象は、2回までの試験薬物処置を受ける。最初の処置は、テネクテプラーゼまたはプラセボのいずれかが、通院1度目に対象全員に施され、2回目の処置は、非盲検テネクテプラーゼが、通院2度目に適格対象に施される。試験薬物処置を1回受けた対象は、通院2度目および3度目でHDカテーテル機能の追跡評価を受ける。試験薬物処置を2回受けた対象は、通院3度目および4度目でHDカテーテル機能の追跡評価を受ける。対象はすべて、通院1度目の後30日目に(36日目まで)または本試験の早期終了時に、追跡通院に戻される。
【0148】
いずれかの時点で、HDカテーテルがなんらかの理由で外れた場合、それ以上処置は施さず、さらなる有効性評価(すなわち、BFR測定値またはBUN解析)は行なわない。しかしながら、対象は、継続して安全性評価(すなわち、有害事象および併用薬物投与の記録ならびに抗体試験)を受ける。
【0149】
BUNおよび抗テネクテプラーゼ抗体試料の収集のための検査用キットおよび使用説明書は、中央研究所であるクインタイルズ研究所(QLab)から提供される。試料はすべて各施設で処理され、QLabに発送される。QLabでBUN解析を行ない、URRを計算し、抗体試料を試験のためGenentechに発送する。
【0150】
スクリーニング通院
治験担当医の自由裁量で、通院1度目(無作為化の前)に、スクリーニング評価のいずれかまたは全部が行なわれ得る。いずれかの試験規定の評価または手順を行なう前に、書面でのインフォームドコンセント/アセントを得なければならない。
【0151】
以下のスクリーニング評価/手順を行なう:
・書面でのインフォームドコンセント/アセント
・対象基準および除外基準の検討
・人口統計学的データ、例えば、対象の生年月日、性別、および人種/民族
・身体検査および病歴、例えば、最も最近の2つのURR値(病歴ベースライン)
スクリーニング通院時、身体検査で医学的表示がない場合、病歴身体検査が、スクリーニング前の7日以内に行なわた場合に限って使用され得る。
【0152】
・生命徴候、例えば、血圧、呼吸数、体温、および脈拍(HD前がHD後かを明確にする)
・体重(HD前がHD後かを明確にする)
・ヘモグロビンレベル(対象がエリトロポイエチン使用中の場合)および血小板計数を測定するための血液試料(適格性を確認する検査試験がスクリーニング前の30日以内に行なわれなかった場合)
・併用薬物投与
・HDカテーテル病歴および情報
HDカテーテル挿入の日付およびHDカテーテルが機能を有した(BFRが≧300mL/分)一番最近の日付に関する情報を記録する。HDカテーテルの管腔の大きさ、型、容積、ブランド(わかっている場合)、および配設位置もまた記録する。
【0153】
HD処方
通院1度目
通院1度目は、スクリーニング後7日以内になされなければならない(上記のように、スクリーニング通院と通院1度目は、治験担当医の自由裁量で併合され得る)。通院1度目の最初に、以下のことを行なって適格性を検証するのがよい。
【0154】
・対象基準および除外基準の検討
・併用薬物投与と病歴の検討(スクリーニング以降、変化がないことを確実にするため)、例えば、通院1度目の前の7日以内でのフィブリン溶解薬、ワルファリン、および重硫酸クロピドグレルの使用、ならびに通院1度目の前の24時間以内でのヘパリンの使用(セクション4.1.3参照)
・HD処方
・HD、処方どおりに開始
・ベースラインBFR、HDカテーテル機能不全を確認するため、HDの開始時(最初の30分以内)に測定
BFRが<300mL/分であり、−250mmHgの動脈圧で(または250mmHgを超えない負の最大動脈圧の施設内ガイドラインで)所定のBFRより少なくとも25mL/分低い(カテーテルラインは通常の方向で使用)対象が、本試験に適格である。他の対象はすべて、不適格である。対象が本試験に適格であると最初に決定された時点で(すなわち、動脈圧が−250mmHgに達したとき)ベースラインBFRを記録する。
【0155】
逆転ラインで透析する試みがなされた場合(すなわち、試験薬物処置に選択(opt)される前)、BFRは、ライン逆転前に記録しなければならず、ベースライン値として使用する。
【0156】
完全閉塞(すなわち、採血が機能しない)のためBFRが測定できなかった対象は、0mL/分のベースラインBFRを有するとみなすとよい。
【0157】
適格対象は、そのHDを中止する。不適格対象は、その処方HDセッションを終了させてもよいが、スクリーニング不合格と記録すべきである。
【0158】
適格性を検証したら、IVRSを用いて対象を無作為化し、盲検試験薬物キットに割り当てる。また、通院1度目の際に、以下の評価/手順を行なう。
【0159】
・血清抗テネクテプラーゼ抗体試験用の血液試料、試験薬物での処置前に採取
・BUN解析用の血液試料、試験薬物での処置前に採取
・盲検試験薬物投与、HDの再開前
試験薬物は、セクション4.3.2に記載のようにして投与し、対象のHDカテーテル(両方の管腔)内に1時間、静かに留置したままにする。1時間の留置後、試験薬物を撤退させる。
【0160】
症候性低血圧を有する対象には試験薬物を与えない場合がある。
【0161】
・HD、処方どおりまたは可能な程度まで再開および実施する
・BFRをHDの開始時、その後30分毎、HD終了30分前、およびHDの終了時に測定し、処置成績を判定する(セクション3.1.2.bに規定のとおり)
逆転させたカテーテルラインで透析することが必要となった場合、逆転前にBFR測定値を記録し、このHDセッション中、さらなるBFR測定値は記録しない。
【0162】
治験担当医が、血流力学的不安定性のため対象のBFRを低下させることが必要であると決定した場合、BFRを低下させる前にBFR測定値を記録する。その後のBFRは、スケジュールどおりに継続して記録する。
【0163】
・BUN解析用の血液試料をHDの終了時に採取
カテーテルラインを逆転させた場合、血液試料は採取しない。
【0164】
・この通院時での有害事象および併用薬物投与の変更
有害事象のモニタリングは、試験処置の初回に開始する。
【0165】
通院2度目
通院2度目では、以下の評価/手順を行なう。
【0166】
・最後の通院以降の有害事象および併用薬物投与の変更
・HD処方
・BUN解析用の血液試料、HD前に採取
・HD、処方どおりに開始
・BFRをHDの開始時(最初の30分以内)に測定し、HDカテーテル機能を評価する
この評価のため、試験要員は、最初の30分以内に所定のBFRが達成されるようにBFRを上昇させる。
【0167】
HDの開始時にBFRが≧300mL/分である対象は、その処方HDセッションを終了させる。BFRが<300mL/分である対象は、そのHDを中止し、以下の評価/手順が行なわれる。
【0168】
・非盲検テネクテプラーゼ投与
テネクテプラーゼをセクション4.3.2に記載のようにして投与し、対象のHDカテーテル(両方の管腔)内に1時間、静かに留置したままにする。1時間の留置後、テネクテプラーゼを撤退させる。
【0169】
症候性低血圧を有する対象には試験薬物を与えない場合がある。
【0170】
・HD、処方どおりまたは可能な程度まで再開および実施する
・BFRをHDの開始時、その後30分毎、HD終了30分前、およびHDの終了時に測定し、処置成績を判定する(セクション3.1.2.bに規定のとおり)
逆転させたカテーテルラインで透析することが必要となった場合、逆転前にBFR測定値を記録し、このHDセッション中、さらなるBFR測定値は記録しない。
【0171】
治験担当医が、血流力学的不安定性のため対象のBFRを低下させることが必要であると決定した場合、BFRを低下させる前にBFR測定値を記録する。その後のBFRは、スケジュールどおりに継続して記録する。
【0172】
対象にはすべて(非盲検テネクテプラーゼを受けたか否かにかかわらず)、HDの終了時に以下の評価/手順が行なわれる。
【0173】
・BUN解析用の血液試料
カテーテルラインを逆転させた場合、血液試料は採取しない。
【0174】
・この通院時での有害事象および併用薬物投与の変更。
【0175】
通院3度目
通院3度目では、以下の評価/手順を行なう。
【0176】
・最後の通院以降の有害事象および併用薬物投与の変更
・HD処方
・通院2度目のみで非盲検テネクテプラーゼを受けた対象:BUN解析用の血液試料をHD前に採取
・HDを処方どおりまたは可能な程度まで行なう
・BFRをHDの開始時(最初の30分以内)に測定し、HDカテーテル機能を評価する
この評価のため、試験要員は、最初の30分以内に所定のBFRが達成されるようにBFRを上昇させる。
【0177】
・通院2度目のみで非盲検テネクテプラーゼを受けた対象:BUN解析用の血液試料をHDの終了時に採取
カテーテルラインを逆転させた場合、血液試料は採取しない。
【0178】
・この通院時での有害事象および併用薬物投与の変更。
【0179】
通院4度目
通院4度目は、通院2度目の際に非盲検テネクテプラーゼを受けた対象のみに必要である。該対象には、以下の試験評価/手順が行なわれる。
【0180】
・最後の通院以降の有害事象および併用薬物投与の変更
・通院2度目のみで処置成功であった対象:BFRをHDの開始時(最初の30分以内)に測定し、HDカテーテル機能を評価する
・HD処方
・HDを処方どおりまたは可能な程度まで行なう
・BFRをHDの開始時(最初の30分以内)に測定し、HDカテーテル機能を評価する。この評価のため、試験要員は、最初の30分以内に処方CFR変化が達成されるようにBFRを上昇させる。
【0181】
・この通院時での有害事象および併用薬物投与の変更。
【0182】
30日目の追跡/早期終了
対象はすべて、通院1度目の後30日目に(36日目まで)、または本試験の早期終了時に、抗テネクテプラーゼ抗体試験のために採血される。また、この通院時では、カテーテルの状態に関する情報も収集する。有害事象は、試験処置の最後の投与後2回目の通院前に生じた場合、早期終了時に記録する。
【0183】
対象休止
対象は、任意の時点で試験から脱退する権利を有する。
【0184】
治験担当医は、対象にとって最も利益となる任意の理由(例えば、併発病、有害事象、または病状の悪化)で、対象を脱退させる権利を有する。Genentechは、プロトコル違反、管理上の理由、なんらかの理由による試験の制限もしくは終了の決定、または任意の他の妥当な倫理上の理由のため、対象の脱退請求を行なう権利を保有する。
【0185】
試験中止
Genentechは、任意の時点でこの試験を終了させる権利を有する。試験終了の理由としては、限定されないが、以下のものが挙げられ得る。
【0186】
・この試験または他の試験での有害事象の発生または重症度が、対象への健康被害の可能性を示す。
【0187】
・対象登録が不充分である。
【0188】
・データの記録が不正確または不完全である。
【0189】
統計学的方法
無作為化して試験薬物で処置した対象はすべて、有効性および安全性解析に含める。有効性解析は、対象の割り当てられた処置に基づくものであるが、安全性解析は、対象が実際に受けた処置に基づくものである。仮説検証はすべて0.05の有意性レベルで行ない、多数のエンドポイントに対する調整は行なわない。統計学的解析方法の充分な詳細は、Statistical Analysis Planに含まれる。
【0190】
試験の実施の解析
登録、テネクテプラーゼの投与回数、主なプロトコル違反、試験の中止、および中止の理由を治療選択肢毎にまとめる。対象の素因を、各試験の通院時の処置群毎に表にする。
【0191】
処置群の比較可能性の解析
人口統計学およびベースラインの特性、例えば、年齢、性別、人種、体重、カテーテルの型、およびベースラインBFRを、平均と標準偏差またはメジアンと連続変数の範囲、およびカテゴリー変数の比率を用いて、治療選択肢毎にまとめる。処置群間の有意差の統計学的検定は行なわない。
【0192】
有効性解析
a.有効性の主要転帰の尺度
有効性の主要転帰の尺度は、通院1度目の際にBFRに関して処置成功であった対象のパーセンテージである(先に規定のとおり)。HD終了前に試験を中止した対象、あるいは主要転帰の尺度が評価可能でなかった対象は、主要転帰の尺度に関して処置不成功であったとみなす。処置成功が得られた対象のパーセンテージをコンピュータで計算し、厳密法に基づいて95%信頼区間を得る。このパーセンテージを、コクラン−マンテル−ヘンツェル検定を用いて処置群間で比較する(ベースラインBFR:0〜199mL/分、200〜274mL/分、および275〜299mL/分に層別化)。感度解析を行ない、交互(alternative)欠測データ法、例えば、全ての測定がなされた対象者の解析、および欠測時系列データへの最直前のデータの補完(LOCF)インピュテーションに対する主要転帰のロバストネスを評価する。
【0193】
b.有効性の副次的転帰の尺度
通院1度目の際に処置成功であった対象について、有効性の主要転帰の尺度に対するものと類似した解析を、通院2度目および3度目の際にカテーテル機能が維持されている対象のパーセンテージについて行なう(先に規定のとおり)。各通院時にカテーテル機能が維持されている対象のパーセンテージをコンピュータで計算し、直接法に基づいて95%信頼区間を得る。通院1度目は処置成功であったが通院2度目および3度目の終了前に試験を中止した対象、またはこれらの通院にBFRが評価可能でなかった対象は、副次的転帰の尺度に関して処置不成功であったとみなす。
【0194】
通院1度目の際、URRは、以下のようにして計算する。
【0195】
(処置前BUN)−(HD後BUN)
(処置前BUN)
他のすべての通院時では、URRは、以下のようにして計算する。
【0196】
(HD前BUN)−(HD後BUN)
(HD前BUN)。
【0197】
通院1度目、2度目および3度目のそれぞれで、≧65%のURRを有する対象のパーセンテージをコンピュータで計算し、正確な95%信頼区間を得る。通院1度目の際、≧65%のURRを有する対象のパーセンテージを、透析時点および透析持続期間によって層別化したコクラン−マンテル−ヘンツェル検定を用いて処置群間で比較する。早期に試験を中止した対象、またはURRが評価可能でなかった対象は、この転帰で<65%のURRを有するとみなす。
【0198】
通院1度目のときのベースラインからHDの終了までのBFRの変化の平均を、処置群毎にまとめ、正確な95%信頼区間を得る。ベースラインBFRによって層別化したコクラン−マンテル−ヘンツェル検定を用いて処置の比較を行なう。また、通院1度目のときのベースラインからHDの終了までのBFRの変化を、以下の変化カテゴリー:<0mL/分、0〜24mL/分、25〜49mL/分、50〜99mL/分、100〜149mL/分、および≧150mL/分を用いて解析する。これらの転帰に対し、欠測BFRデータを有する対象には、LOCFアプローチを用いて値をインピュート(impute)する。交互インピュテーション法(Statistical Analysis Planに記載)を用いて結果のロバストネスを評価する。
【0199】
上記の主要および副次的転帰の尺度に対するものと類似した解析を、通院2度目での非盲検テネクテプラーゼの投与に関する転帰の尺度に対して行なう(セクション3.3.2参照)。この解析では、処置対象はすべて非盲検テネクテプラーゼを受けるため、処置群比較は利用可能でない。
【0200】
c.亜群の解析
有効性の主要および副次的転帰の尺度の推定値および信頼区間ならびに重要な安全性転帰の概要を、以下の亜群について示す。
【0201】
・年齢:<18歳、18〜65歳、>65歳
・性別:男性、女性
・ベースラインBFR:0〜199mL/分、200〜274mL/分、275〜299mL/分。
【0202】
安全性解析
処置のため生じた有害事象の逐語的記載を、MedDRA辞書を用いて、好ましい用語および身体系の用語にマッピングする。
【0203】
通院2度目の最初までに初回の試験薬物投与によって生じた標的有害事象を、処置群および標的有害事象の類型毎にまとめる。身体系の高レベル用語、および好ましい用語によるすべての有害事象および重篤有害事象の同様の概要を、この同じ期間において作成する。このような概要により、テネクテプラーゼ処置対象とプラセボ処置対象間の安全性の対照比較が得られる。
【0204】
通院2度目の際にテネクテプラーゼを受ける予定の対象では、通院2度目の最初から通院4度目の終了までに生じた標的有害事象を、標的有害事象の類型毎にまとめる。身体系の高レベル用語、および好ましい用語によるすべての有害事象および重篤有害事象の同様の概要を、これらの対象について、この同じ期間において作成する。
【0205】
通院2度目の際にテネクテプラーゼで処置しない対象では、通院2度目の最初から通院3度目の終了までに生じた標的有害事象を、標的有害事象の類型毎にまとめる。身体系の高レベル用語、および好ましい用語によるすべての有害事象および重篤有害事象の同様の概要を、これらの対象について、この同じ期間において作成する。
【0206】
追跡中の抗テネクテプラーゼ抗体試験の結果を、ベースライン抗体の状態およびテネクテプラーゼ曝露の状態毎に表にする。
【0207】
欠測データ
解析目的のため、処置成功(上記に規定のとおり)およびベースラインBFRからの上昇≧25mL/分が得られることなくなんらかの理由で試験を中止した対象を、処置不成功であったとみなす。
【0208】
標本サイズの決定
有効性の主要転帰の尺度は、処置成功であった対象のパーセンテージである(上記に規定のとおり)。およそ150例の対象を登録させ、1:1の比でテネクテプラーゼ群またはプラセボ群に無作為化する。この標本サイズにより、χ
2両側検定を用いると、0.05有意性レベルで、プラセボ成功率5%に対してテネクテプラーゼ処置成功率25%の>90%検出力が得られる。
【0209】
中間解析
DMCを作り、本試験中の安全性の累積データの定期的な検討の実施を担当させる。DMCは、スポンサーおよびクインタイルズとは独立して機能し、関連する治療専門技術を有する医師および生物統計学者で構成する。DMCでは、テネクテプラーゼカテーテル清浄化プログラム(機能不全のCVAおよびHDカテーテルの試験(試験N3698g、N3699g、N3700g、およびN3701g)を含む)に関する累積安全性データを所定の期間間隔で検討し、このデータ検討過程の結果に基づき、スポンサーに対する継続的な試験の安全性に関する推奨案の作成を担う。DMCの具体的なガイドラインおよび操作手順は、DMC Charterに概略が示されている。
【0210】
安全性の評価
安全性の評価は、有害事象(AE)および重篤有害事象(SAE)(標的AEを含む)のモニタリングと記録からなる。
【0211】
有害事象
AEは、起因にかかわらず、治験対象(医薬)製品の使用または他のプロトコルで課される介入に一時的に随伴する都合の悪い望まない任意の徴候、症状または疾患である。
【0212】
これには、以下のものが包含される。
【0213】
・対象において以前は観察されず、プロトコル指定のAE報告期間中に現れたAE
・プロトコル指示による介入(例えば、生検などの侵襲的処置)の結果生じた合併症
・プロトコル指定のAE報告期間中、治験担当医によって重症度もしくは頻度が悪化したと判断された、または特質が変化した既存の病状(試験対象の病状以外)。
【0214】
重篤有害事象
AEは、以下の基準を満たす場合、SAEとして分類する。
【0215】
・結果的に死亡する(すなわち、実際にAEが死亡の原因であるか、もしくはAEによって死に至る)。
【0216】
・命にかかわる(すなわち、治験担当医の印象で、対象にAEによる即時的死亡リスクがある。より重症な形態で生じたら死に至るかもしれないAEは含まない)。
【0217】
・入院が必要となるか、または入院患者の入院が延長される。
【0218】
・永続性または有意な身体障害/無能力がもたらされる(すなわち、AEにより、対象が通常の生活機能を行なう能力の相当な破壊がもたらされる)。
【0219】
・試験薬物に曝露された母親から生まれた乳幼児/乳児に先天性異常/出生時欠損がもたらされる。
【0220】
・医学的判断に基づき、治験担当医により有意な医学的事象とみなされる。(例えば、対象が危険にさらされ得るか、または上記の転帰のうちの1つを予防するために医学的/外科的介入が必要とされ得る)。
【0221】
重篤のいずれの基準もみたさないAEはすべて、重篤でないAEとみなすべきである。
【0222】
AE
用語「重症な」および「重篤な」は、同義的ではない。重症度(または強度)は、特定のAEの等級、例えば、軽度(等級1)、中等度(等級2)、または重度(等級3)心筋梗塞をいう。「重篤な」は、一定規則による定義であり(先の定義を参照されたい)、対象の生命または機能発揮を脅威にさらす事象とたいてい関連する対象または事象の転帰または作用基準に基づく。重篤性(重症度ではない)は、適用され得る一定規則の権威へのスポンサーからの一定規則による報告義務を規定する手引きとなる。
【0223】
重症度および重篤性は、CRFに関してAEおよびSAEを記録する際、独立して評価するのがよい。
【0224】
標的有害事象
特に重要な事象(標的AE)は特異的に誘発され、以下のものが挙げられる。
【0225】
・コンピュータ連動断層撮影または磁気共鳴画像法によって記録されるICH
・大量出血(重症な失血(>5mL/kg)、輸血が必要な失血、または低血圧を引き起こす失血と定義する)
・塞栓症(任意の「重篤な」塞栓性事象、例えば、肺系の事象、動脈系の事象(例えば、脳卒中、末梢の塞栓症、もしくは主要臓器の塞栓症)、またはコレステロールプラークと定義する)
・血栓症、例えば、カテーテル関連静脈血栓症(放射線画像法(例えば、超音波、超血管造影もしくは磁気共鳴)によって確認され、四肢の痛み、腫脹および/または虚血をもたらす上肢もしくは下肢の動脈もしくは静脈内の血栓と定義する)
・CRBSI、これは、さらに、以下のように分類される。
【0226】
確定的:他に明白な感染源のない症候性の対象において、カテーテル先端の半定量的培養物(>15コロニー形成単位/カテーテルセグメント)のものと、末梢血液試料もしくはカテーテル血液試料のものとで生物が同じ
推定的:他に明白な感染源のない症候性の対象において、血液培養物で感染が確認されるがカテーテル先端では確認されない(またはカテーテル先端で確認されるが、血液培養物では確認されない)状況で、抗生物質での処置(カテーテルの除去ありまたはなしで)後に解熱の症状
可能性あり:他に明白な感染源のない症候性の対象において、抗生物質での処置後、または検査で血流感染症の確認の非存在下においてカテーテルの除去後に解熱の症状
・カテーテル関連合併症(薬物の流入もしくは滴注中のカテーテルの破断、留置静脈の穿孔、または外科的介入(例えば、縫合もしくはガーゼによる填塞)が必要であり得るカテーテル挿入部位での出血と定義する)。
【0227】
標的AEは、重篤有害事象(effect)の上記の基準を満たす場合、SAEに分類するべきであり、報告すべきである。
【0228】
有害事象の報告期間
すべてのAEおよびSAEを記録しなければならない試験期間は、試験処置の初回から始まり、試験処置の最後の投与後、2回目の通院(すなわち、1回の試験薬物処置を受けた対象では通院3度目、2回の試験薬物処置を受けた対象では通院4度目)の終了時、または対象が試験を中止した時のいずれか早い方に終了する。
【0229】
有害事象の評価
AEおよびSAEの発生は、治験担当医が、30日目の追跡通院以外の試験中の各対象評価時点で評定する。AEおよびSAEはすべて、対象により自己申告されたもの、問診中での試験要員により見出されたもの、または身体検査、検査試験もしくは他の手段で検出されたものいずれも、対象の医療記録および適切なAEまたはSAE CRFの頁に記録する。
【0230】
記録される各AEまたはSAEは、その持続期間(すなわち、開始日および終了日)、重症度(表1参照)、一定規則による重篤性基準(適用可能な場合)、試験薬物との関連の疑い(以下の手引き参照)、ならびに採用された措置が記載される。
【0231】
【表1】
AEとSAEの因果律評価の整合性を確実にするため、治験担当医は、以下の一般ガイドラインを適用するとよい。
【0232】
・はい
AEの発生と試験薬物投与間に妥当と思われる一時的な関係が存在するが、AEは、対象の臨床状態、併発病、もしくは併用療法では容易に説明され得ない;および/またはAEが、試験薬物に対する既知パターンの応答に従う;および/または試験薬物を中止もしくは用量低減するとAEが排除または消散されるが、適用可能な場合、再刺激すると再度現れる。
【0233】
・いいえ
AEが、試験薬物以外の病因(例えば、以前から存在する病状、基礎疾患、併発病、もしくは併用薬物投与)を有するというエビデンスが存在する;および/またはAEに、試験薬物の投与との妥当と思われる一時的な関係がない(例えば、試験薬物の最初の投与の2日後に癌と診断される)。
【0234】
注:個々のAE報告に対する因果律の治験担当医の評価は、試験記録過程の一部である。個々のAE報告に対する因果律評価が「はい」または「いいえ」にかかわらず、スポンサーは、製品の累積的実績(product experience)に対して報告されたすべてのSAEを速やかに評価し、考えられ得る新たな安全性所見を確認し、治験担当医および適用され得る一定規則の権威に迅速に報告する。
【0235】
有害事象の誘発
AEの誘発に関する非指示的問診は、すべての対象評価時点で一貫した方法論を採用するのがよい。非指示的な質問の例としては、以下のものが挙げられる。
【0236】
「あなたが最後に病院に行ってから以降、体調は如何ですか?」
「あなたが最後にここに来てから以降、何か新たな、または変化した健康上の問題はありますか?」。
【0237】
CRFにおける有害事象の記録に関する具体的な指示
治験担当医は、AEまたはSAEをCRFに記録する際、正確な医学用語/概念を使用すべきである。口語体および略号は回避する。
【0238】
AEはすべて、AE CRFの頁に記録すべきである。この頁には、その事象が重篤か否か(はい/いいえ)を示すための指定の余白がある。また、SAEについては、SAE CRFの頁を完成させなければならない。
【0239】
AEおよびSAEのCRFの頁の事象欄には、1つの医学的概念のみを記録するのがよい。
【0240】
a.徴候および症状に対する診断
報告時点でわかっている場合、CRFには、個々の徴候および症状ではなく診断を記録するのがよい(例えば、黄疸、アステリクシス、およびトランスアミナーゼの上昇ではなく、肝不全または肝炎のみを記録)。しかしながら、報告時点で、一群の徴候および/または症状が、単一の診断または症候群として医学的に特徴付けされ得ない場合、個々の各事象は、AE CRFの頁として記録するのがよい。その後、診断が確定されたら、追跡情報として報告すべきである。
【0241】
b.他の事象に続発的な有害事象の発生
一般に、他の事象(例えば、カスケード事象または臨床的後遺症)に続発的なAEの発生は、その根本原因によって確認すべきである。例えば、重症な下痢によって脱水症状になったことがわかっている場合、下痢をAE CRFの頁として記録するだけで充分である。しかしながら、医学的に有意な続発性AEが、やがて初期事象から分かれた場合、両方を独立した事象として記録すべきである。例えば、重症な胃腸管出血によって腎不全に至った場合、両方の事象を別々のAE CRFの頁に記録すべきである。
【0242】
c.持続性または再発性の有害事象
持続性AEは、対象評価時点間で、消散することなく連続的に継続するものである。かかる事象は、その重症度が大きくならない限り、CRFに1回記録するだけでよい。持続性AEがより重症となった場合は、再度、AE CRFの頁に記録すべきである。
【0243】
再発性AEは、発生して消散した後、再発するものである。再発性AEはすべて、AE CRFの頁に記録する。
【0244】
d.臨床検査所見の異常
個々の検査所見の異常は、一般的には、AEとしてCRFに記録しない。臨床的に有意な検査所見の異常のみ(結果として試験を中止したもの、重篤性基準を満たすもの、それ自体が臨床的徴候もしくは症状と関連しているもの、または医学的介入が必要とされるもの(例えば、輸血が必要とされる低ヘモグロビン)、AE CRFの頁に記録する。
【0245】
臨床的に有意な検査所見の異常が、疾患または症候群の徴候である場合(例えば、アルカリホスファターゼおよびビリルビンが、胆嚢炎に関する正常値の上限の5倍)、診断のみ(例えば、胆嚢炎)をAE CRFの頁に記録する必要がある。
【0246】
臨床的に有意な検査所見の異常が疾患または症候群の徴候でない場合、異常それ自体をAE CRFの頁に記録するのがよい。検査所見の異常が臨床診断として伝達され得る場合、該診断をAEまたはSAEとして記録すべきである。例えば、高値の血清カリウムレベル7.0mEq/Lは、「高カリウム血症」として記録するのがよい。
【0247】
前回から次の通院までで同じ観察結果の臨床的に有意な検査所見の異常は、その重症度、重篤性または病因が変化していない限り、AE CRFの頁に繰返して記録しないのがよい。
【0248】
e.以前から存在する病状
以前から存在する病状は、試験の開始時に存在しているものである。かかる病状は、病歴および手術歴CRFの頁に記録するのがよい。
【0249】
以前から存在する病状は、治験全体を通して再評価し、試験中に病状の頻度、重症度または性質が悪化した場合のみ、AEまたはSAEとして記録するのがよい。かかる事象をAE CRFの頁に記録する場合、以前から存在する病状が変化したという概念を、適用可能な記述子(例えば、「より高頻度の頭痛」)を含めることによって伝達することが重要である。
【0250】
f.死亡例
プロトコル指定のAE報告期間中に発生した死亡例はすべて、原因にかかわらずAE CRFの頁に記録し、スポンサーに迅速に報告する。
【0251】
死亡例を記録する場合、致死的転帰の原因または一因となった事象または病状を、単一の医学的概念としてAE CRFの頁に記録するのがよい。死亡原因がわからず、報告時点で確認できなかった場合は、「原因不明の死亡例」とAE CRFの頁に記録する。次いで、施設では、死亡原因を早急に特定するためのあらゆる試みを行ない(例えば、プライマリーケア医師、剖検報告、入院記録によって)、死亡原因をスポンサーに迅速に報告するのがよい。
【0252】
g.医療処置または外科処置のための入院
結果として入院または長期入院することなったAEはいずれも、SAEとして記録および報告するべきである。
【0253】
対象が、AEの結果として医療処置または外科処置を受けるために入院した場合、該処置の原因事象(処置自体ではなく)をSAEとして記録するのがよい。例えば、対象が冠動脈バイパス形成手術を受けるために入院した場合、バイパスが必要となった心臓の病状をSAEとして記録する。
【0254】
以下の理由での入院は、SAEとしてCRFに記録しない:
・強度または頻度が悪化しておらず、病歴および手術歴CRFに記録している以前から存在する病状の診断的または選択的外科処置のための入院または長期入院
・試験に対する有効性の測定を許容するために必要とされる入院または長期入院
・試験の標的疾患の予定された治療のための入院または長期入院。
【0255】
(実施例2)
この実施例に示す試験の目的は、プラセボ対照なしで、機能不全のHDカテーテルに対する機能の回復におけるテネクテプラーゼの有効性と安全性を調べることである。
【0256】
目的
この試験の目的は、以下のとおりである:
・機能不全のHDカテーテルでの対象の処置においてテネクテプラーゼの安全性を評価すること。
【0257】
・機能不全のHDカテーテルのBFRの改善におけるテネクテプラーゼの有効性を評価すること。
【0258】
試験設計
これは、米国およびカナダのおよそ60の施設で行なうフェーズIIIの非盲検試験である。HDを必要とし、機能不全のHDカテーテルを有する(BFRが<300mL/分であり、HDの最初の30分間−250mmHgの動脈圧で(または250mmHgを超えない負の最大動脈圧の施設内ガイドラインで)所定のBFRより少なくとも25mL/分低いと定義する)≧16歳のおよそ225例の対象を本試験に登録させる。
【0259】
本試験は、各対象のHDセッション回数に一致する通院、ならびに1回の追跡通院で構成される。対象は、3回までの非盲検テネクテプラーゼ処置:最初の処置過程の一部として1回または2回の処置、および再処置過程の一部として(指示された場合)1回のさらなる処置を受ける。通院1度目の際、対象はすべて、HDカテーテルの各管腔内に滴注されるテネクテプラーゼの初回処置を受ける。1時間の留置期間後、対象は、処方どおりまたは可能な程度までHDを受ける。BFRをHDの開始時、その後30分毎、HD終了30分前、およびHDの終了時に測定し、カテーテル機能を評価し、処置成績を判定する。通院1度目でのHDの終了時にBFRが<300mL/分である対象は、より長い留置期間滴注される2回目の処置を、通院2度目の最初まで(72時間まで)受ける。この長期間留置テネクテプラーゼは、通院2度目の始めにカテーテルから撤退させ、対象は、処方どおりまたは可能な程度までHDを受ける。BFRをHDの開始時、その後30分毎、HD終了30分前、およびHDの終了時に測定する。通院1度目または通院2度目の際に処置成功であり(BFRが≧300mL/分、かつHDの終了時およびHDの終了の30[±10]分前において、0〜−250mmHgの範囲の動脈圧で、ベースラインBFRからの上昇が□≧25mL/分と規定)、通院1度目の21日間内に再発カテーテル機能不全を有する(BFRがHDの最初の30分間<300mL/分であり、−250mmHgの動脈圧で[または250mmHgを超えない負の最大動脈圧の施設内ガイドラインで]所定のBFRより少なくとも25mL/分低い)対象は、初期処置過程を終了し、再処置過程に参加させ、この間、適格対象は、さらなるテネクテプラーゼ処置を受ける(再処置[RT]通院1度目)。1時間の留置期間後、対象は、処方どおりまたは可能な程度までHDを受ける。BFRをHDの開始時、その後30分毎、HD終了30分前、およびHDの終了時に測定する。対象はすべて、最後の試験薬物曝露後の2回の各通院時にHDカテーテル機能の追跡評価を受ける。有害事象を対象全員について、処置開始から最後の試験薬物曝露後2回目の通院の終了まで記録する。対象はすべて、通院1度目の30〜36日後または本試験の早期終了時に抗体試験を受ける。
【0260】
転帰の尺度
安全性の転帰の尺度
安全性の主要転帰の尺度は、以下のとおりである:
・通院1度目の際に長期間留置テネクテプラーゼを受けない対象について、初回の試験薬物投与から通院2度目の最初まででの、標的有害事象(頭蓋内出血、大量出血、塞栓性事象、血栓症、カテーテル関連血流感染症、およびカテーテル関連合併症)の発生。
【0261】
安全性の副次的転帰の尺度は、以下のとおりである:
・通院1度目の際に長期間留置テネクテプラーゼを受けない対象について、通院2度目の最初から通院3度目の終了まででの標的有害事象(上記に列挙したとおり)の発生
・通院1度目の際に長期間留置テネクテプラーゼを受ける対象について、長期間留置テネクテプラーゼの滴注から通院4度目の終了まででの標的有害事象(上記に列挙したとおり)の発生
・再処置過程に参加する対象について、RTテネクテプラーゼの滴注からRT通院3度目の終了まででの標的有害事象(上記に列挙したとおり)の発生
・通院1度目の際に長期間留置テネクテプラーゼを受けない対象について、初回の試験薬物投与から通院2度目の最初まででの重篤有害事象の発生およびすべての有害事象の発生
・通院1度目の際に長期間留置テネクテプラーゼを受けない対象について、通院2度目の最初から通院3度目の終了まででの重篤有害事象の発生およびすべての有害事象の発生
・通院1度目の際に長期間留置テネクテプラーゼを受ける対象について、長期間留置テネクテプラーゼの滴注から通院4度目の終了まででの重篤有害事象の発生およびすべての有害事象の発生
・再処置過程に参加する対象について、RTテネクテプラーゼの滴注からRT通院3度目の終了まででの重篤有害事象の発生およびすべての有害事象の発生
・ベースラインで陰性であった試験対象における抗テネクテプラーゼ抗体試験での陽性の発生。
【0262】
有効性の転帰の尺度
有効性の主要転帰の尺度は、以下のとおりである:
・通院1度目の際にBFRに関して処置成功であった対象のパーセンテージ(上記に規定のとおり;「試験設計」参照)。
【0263】
有効性の副次的転帰の尺度は、以下のとおりである:
・通院1度目の際に処置成功であった対象(上記に規定のとおり)について、通院2度目および3度目の際にカテーテル機能が維持されている(BFRが≧300mL/分、かつそのHDセッションの始めに(最初の30分以内)、0〜−250mmHgの範囲の動脈圧で、ベースラインBFRからの上昇が≧25mL/分と定義する)対象のパーセンテージ
・通院1度目に処置前およびHD後の血中尿素窒素(BUN)測定値で評価したとき、≧65%の尿素除去率(URR)を有する対象のパーセンテージ
・通院1度目の際に長期間留置テネクテプラーゼを受けない対象について、通院2度目にHD前およびHD後のBUN測定値で評価したとき、≧65%のURRを有する対象のパーセンテージ
・通院1度目のときのベースラインからHDの終了までのBFRの変化
・通院1度目のときのベースラインからHDの終了までのBFRの変化で規定される以下の各カテゴリー:<0mL/分、0〜24mL/分、25〜49mL/分、50〜99mL/分、100〜149mL/分、および≧150mL/分に該当する対象のパーセンテージ。
【0264】
通院1度目において長期間留置テネクテプラーゼで処置される対象では、有効性の副次的転帰の尺度にはまた、以下:
・通院2度目の際にBFRに関して処置成功であった対象のパーセンテージ(上記に規定のとおり)
・通院2度目にHD前およびHD後のBUN測定値で評価したとき、≧65%のURRを有する対象のパーセンテージ
・通院3度目にHD前およびHD後のBUN測定値で評価したとき、≧65%のURRを有する対象のパーセンテージ
・通院2度目の際に処置成功であった対象について、通院3度目および4度目の際にカテーテル機能が維持されている対象のパーセンテージ(上記に規定のとおり)
・通院2度目のときのベースラインからHDの終了までのBFRの変化
・通院2度目のときのベースラインからHDの終了までのBFRの変化で規定される以下の各カテゴリー:<0mL/分、0〜24mL/分、25〜49mL/分、50〜99mL/分、100〜149mL/分、および≧150mL/分に該当する対象のパーセンテージ
も含まれる。
【0265】
再処置過程に参加する対象では、有効性の副次的転帰の尺度にはまた、以下:
・RT通院1度目の際にBFRに関して処置成功であった対象のパーセンテージ(上記に規定のとおり)
・RT通院1度目に処置前およびHD後のBUN測定値で評価したとき、≧65%のURRを有する対象のパーセンテージ
・RT通院2度目にHD前およびHD後のBUN測定値で評価したとき、≧65%のURRを有する対象のパーセンテージ
・RT通院1度目の際に処置成功であった対象では、RT通院2度目および3度目の際にカテーテル機能が維持されている対象のパーセンテージ(上記に規定のとおり)
・RT通院1度目のときのベースラインからHDの終了までのBFRの変化
・RT通院1度目のときのベースラインからHDの終了までのBFRの変化で規定される以下の各カテゴリー:<0mL/分、0〜24mL/分、25〜49mL/分、50〜99mL/分、100〜149mL/分、および≧150mL/分に該当する対象のパーセンテージ
も含まれる。
【0266】
安全性計画
テネクテプラーゼは、急性心筋梗塞(AMI)と関連する死亡率の低下における使用が承認されている。AMI処置用の30〜50mgの用量でのテネクテプラーゼの全身性使用と関連する有害事象は、充分報告されており、主に、出血性合併症、例えば、大量出血事象および頭蓋内出血からなる。機能不全のカテーテルの処置のための血栓溶解薬の使用と関連したものであり得る別の有害事象は、カテーテル関連血栓の塞栓形成である。AMIの処置のためのテネクテプラーゼ、および機能不全の中心静脈アクセスカテーテルの処置のためのCATHFLO(登録商標)ACTIVASE(登録商標)(アルテプラーゼ)を用いた臨床経験に基づくと、テネクテプラーゼに起因する任意の潜在的な出血性または塞栓性事象は、処置の24時間以内に最も生じやすいと予想される。試験処置の初回から最後の試験薬物曝露後2回目の通院の終了まで、すべての有害事象を記録する。
【0267】
試験処置
対象は、上記のとおりに、HDカテーテルの機能の回復に応じて3回までの非盲検テネクテプラーゼ投与を受ける。(「試験設計」参照)。各投与時、対象は、そのHDカテーテルの各管腔内に滴注される2mL(2mg)のテネクテプラーゼを受ける。
【0268】
併用療法および臨床診療
フィブリン溶解剤(試験薬物以外)、ワルファリン(予防のために使用される低用量ワルファリンを除く)、および未分画または低分子量ヘパリン(HD中のみまたは予防のために使用されるヘパリンを除く)の使用を、通院1度目から最後の試験薬物曝露後2回目の通院の終了まで禁止する。Plavix(登録商標)(重硫酸クロピドグレル)を摂取している対象では、その用量を、通院1度目から最後の試験薬物曝露後2回目の通院の終了まで増加させないことがあり得る。対象は、処置医の自由裁量で、その病状のために投与される他の適用薬物および標準的処置薬を受けることが継続され得る。
【0269】
統計的方法
一次有効性解析
長期間留置投与のテネクテプラーゼを受けない対象において、初回の試験薬物投与時から通院2度目の最初まででの標的有害事象の発生を、身体系の高レベル用語、および好ましい用語によってまとめる。
【0270】
欠測データ
解析目的のため、≧300mL/分のBFRおよびベースラインBFRからの上昇≧25mL/分が達成されることなく、なんらかの理由で試験を中止した対象を、処置不成功であったとみなす。
【0271】
標本サイズの決定
225例の対象の標本サイズは、比較的よく見られる有害事象の発生率を充分な精度で推定するのに充分大きいとみなす。
【0272】
中間解析
DMCで、本試験中の安全性の累積データの定期的な検討を行なう。
【0273】
この試験で用いる略号は、実施例1で上記のものと同じである。
【0274】
試験設計の詳細
これは、米国およびカナダのおよそ60の施設で行なうフェーズIIIの非盲検試験である。HDを必要とし、機能不全のHDカテーテルを有する≧16歳のおよそ225例の対象を本試験に登録させる。対象をベースラインBFRによって3つの層:0〜199mL/分、200〜274mL/分、および275〜299mL/分に分類する。0〜199mL/分層および275〜299mL/分層への登録は、各々で対象の最大10%に制限する。
【0275】
本試験は、各対象のHDセッション回数に一致する通院、ならびに1回の追跡通院で構成される。対象は、試験中、3回までの非盲検テネクテプラーゼ処置を受ける。対象は、最初の処置過程において1回または2回の処置、および初回の通院の21日以内にカテーテルが再度機能不全となった適格対象は、再処置過程の一部としてさらなる処置を受ける。
【0276】
書面でのインフォームドコンセント(および当てはまる場合は、小児のインフォームドアセント)を得た後、対象を、スクリーニング通院時に、試験対象基準および除外基準(セクション4.1.2および4.1.3参照)に基づいて適格性に関してスクリーニングする。スクリーニング通院と通院1度目は、治験担当医の自由裁量で併合され得る。通院1度目の際、BFRが<300mL/分であり、HDの開始時(最初の30分以内)、−250mmHgの動脈圧で(または250mmHgを超えない負の最大動脈圧の施設内ガイドラインで)所定のBFRより少なくとも25mL/分低い適格対象を、テネクテプラーゼで処置する。試験適格性を判定するために通院1度目の際に得たBFR測定値をベースラインBFRとみなす。対象は、HDカテーテルの2つの管腔内の各々に滴注される2mL(2mg)のテネクテプラーゼを受ける。1時間の留置期間後、試験薬物を撤退させ、対象はすべて、処方どおりまたは可能な程度までHDを受ける。BFRをHDの開始時、その後30分毎、HD終了30分前、およびHDの終了時に測定し、カテーテル機能を評価し、通院1度目の処置成績を判定する(上記参照)。
【0277】
通院1度目でのHDの終了時にBFRが<300mL/分である対象は、初期処置過程の一部として、そのカテーテルの各管腔内に滴注される2mL(2mg)のテネクテプラーゼを受ける。この処置は、通院2度目の第2HDセッションまで(72時間後まで)長期間留置したままにする。
【0278】
長期間留置テネクテプラーゼを受ける対象は、通院2度目の始めに、カテーテルから撤退させる処置を受ける。対象は、処方どおりまたは可能な程度までHDを受ける。BFRをHDの開始時、その後30分毎、HD終了30分前、およびHDの終了時に測定し、カテーテル機能を評価し、通院2度目の処置成績を判定する。
【0279】
通院1度目または通院2度目の際に処置成功であり、通院1度目の21日間内に再発カテーテル機能不全を有する(以下のセクション3.1.2.b参照)対象は、初期処置過程を終了し、再処置過程に参加させ、この間、再処置対象基準および除外基準に基づいて適格性に関してスクリーニングされ(セクション4.1.4および4.1.5)、各管腔内に滴注される2mL(2mg)のテネクテプラーゼを受け、1時間の留置期間を続ける(再処置[RT]通院1度目)。再処置の適格性を判定するために用いたBFR測定値を、RTベースラインBFRとみなす。BFRをHDの開始時、その後30分毎、HD終了30分前、およびHDの終了時に測定し、カテーテル機能を評価し、RT通院1度目の処置成績を判定する。
【0280】
HDカテーテル機能の追跡評価は、最後の試験薬物曝露後の2回の各通院時に、HDの開始時(最初の30分以内)のBFRを測定することにより行なう。この評価のため、試験要員は、最初の30分以内に所定のBFRが達成されるようにBFRを上昇させる。
【0281】
いずれかの時点で、HDカテーテルがなんらかの理由で外れた場合、それ以上処置は施さず、さらなる有効性評価(すなわち、BFR測定値または血中尿素窒素[BUN]解析)は行なわない。しかしながら、対象は、継続して安全性評価(すなわち、有害事象および併用薬物投与の記録ならびに抗体試験)を受ける。症候性低血圧を有する対象には試験薬物を与えない場合がある。
【0282】
有害事象を対象全員について、処置開始から最後の試験薬物曝露後2回目の通院の終了まで記録する。対象はすべて、通院1度目の30〜36日後または本試験の早期終了時に抗体試験を受ける。
【0283】
BFR評価
この試験でのBFRの測定はすべて、0〜−250mmHgの範囲の動脈圧で行なう。各HDセッション中、BFRは、所定のBFRが達成されるまで上昇させる。しかしながら、BFRは、対応する動脈圧が−250mmHgを超える点(例えば、−260mmHg)までは上昇させない。
【0284】
各対象は、HD中に収集させるデータの一貫性を維持するため、通院1度目〜4度目で、型とモデルが同じHD装置で透析しなければならない。再処置過程に参加する対象では、RT通院1度目〜3度目で、型とモデルが同じHD装置を使用しなければならない。しかしながら、該装置は、初期処置過程中に対象が使用したものと異なっていてもよい。
【0285】
試験に適格であるためには、対象は、ベースラインBFRが<300mL/分であり、HDの最初の30分間、−250mmHgの動脈圧で(または250mmHgを超えない負の最大動脈圧の施設内ガイドラインで)所定のBFRより少なくとも25mL/分低くなければならない。完全閉塞(すなわち、採血が機能しない)のためBFRが測定できなかった対象は、0mL/分のBFRを有するとみなすとよい。
【0286】
HDカテーテルライン逆転
・この試験中、BFRデータはすべて、カテーテルラインを通常の方向で用いて、すなわち、HDカテーテルの動脈(赤、排出口)ラインを血液の取り出しに使用し、静脈(青、注入口)ラインを血液を戻すのに使用して収集しなければならない。治験担当医が液の除去または電解質の制御を得るためにライン逆転が必要であると決定した場合、BFR測定値は、逆転前に記録しなければならない。
【0287】
処置の転帰の測定、カテーテル機能の維持、および再発カテーテル機能不全
この試験の処置成功は、以下:BFRが≧300mL/分であり、HDの終了時およびHDの終了30(±10)分前、0〜−250mmHgの範囲の動脈圧で、ベースラインBFRからの上昇が≧25mL/分(ラインの逆転なし)と規定し、BFRが≧300mL/分であるがベースラインBFRからの上昇が<25mL/分である対象、BFRが<300mL/分である対象、およびカテーテルラインが逆転している対象を、処置不成功であったとみなす。
【0288】
治験担当医が、対象が血流力学的に不安定となり(血圧の低下または心拍数の変化)、その結果、そのBFRを低下させることが必要であると決定した場合、BFRを低下させる前にBFR測定値を記録しなければならない。血流力学的不安定性が発現される前の30分間にわたるBFRを用いて、処置成績を判定する。
【0289】
通院1度目および2度目の際に処置成功であった対象では、その後の通院時でのカテーテル機能の維持を、BFRが≧300mL/分、かつそのHDセッションの始めに(最初の30分以内)、0〜−250mmHgの範囲の動脈圧で、ベースラインBFRからの上昇が≧25mL/分(ラインの逆転なし)と規定する。この評価のため、試験要員は、最初の30分以内に所定のBFRが達成されるようにBFRを上昇させる。
【0290】
再発カテーテル機能不全は、HDの最初の30分間のBFRが<300mL/分であり、−250mmHgの動脈圧で(または250mmHgを超えない負の最大動脈圧の施設内ガイドラインで)所定のBFRより少なくとも25mL/分低い(カテーテルラインを通常の方向で使用)と規定する。
【0291】
この非盲検臨床試験は、機能不全のHDカテーテルに対する機能の回復に関して、テネクテプラーゼの安全性と有効性を評価するために設計されたものである。選択したテネクテプラーゼ用量の論理的根拠は、Cathflo Activaseの承認された用量ならびに文献に報告されたCVAおよびHDカテーテルにおけるアルテプラーゼでの経験に基づく。
【0292】
Cathflo Activaseは、現在、機能不全のCVAデバイスの処置に承認されている。臨床試験では、2mg用量2回までのアルテプラーゼ(体重<30kgの対象ではより少ない用量)、(各々、120分間までの留置期間が続く)が、機能不全のCVAデバイスに対する機能の回復に有効で安全であった。
【0293】
この試験では、全身性投与は行なわない。しかしながら、カテーテルの管腔の大きさが未知であるか、またはこの試験におけるテネクテプラーゼの指定用量(2mL)より小さい場合は、投与される用量の一部(すなわち、2mLとカテーテルの管腔容積の差分)が全身循環に入る可能性がある。この投与レジメンは、体重<30kgの小児対象にカテーテルの管腔容積の110%に相当する用量を投与したCathflo Activaseの臨床試験(A2055g、A2065g、およびA2404g)の投与レジメンと有意に違わない。2mg用量全体を不注意で静脈内ボーラスとして与えたシナリオでは、これにより、予測最大血漿濃度0.25μg/mLがもたらされ得る。これを考慮すると、2mgのアルテプラーゼの最大予測濃度は0.58μg/mLである。相対的に、AMIに一般に使用されている30mg用量のテネクテプラーゼでは、5.9〜7.5μg/mLの範囲の最大血漿濃度がもたらされ得る(TIMI 10Aおよび10B治験の平均データ)(Cannonら,Circulation 1998;98:2805−141 Cannonら、Circulation 1997;95:351−356)。同様に、加速注入レジメンによって100mgのアルテプラーゼを与えた患者では、Tanswellら,(J Am Coll Cardiol.1992 Apr;19(5):1071−5)により、およそ4μg/mLの最大濃度が得られると予測された。相対的に、内因的に生成される組織プラスミノゲン活性化因子のレベルは、0.002〜0.021μg/mLの範囲であると報告された。
【0294】
登録をBFRが−250mmHgの動脈圧で<300mL/分である対象に限定する論理的根拠は、HD期間がひどく長期化することなく充分な透析を達成するためには≧300mL/分のBFRが必要である、と示されたHDのための血管アクセスに関するKDOQIガイドラインでの推奨に基づく。BFRは負の動脈圧に直接関連するため、BFR測定値に対して一貫した条件を維持するために、この試験では0〜−250mmHgの範囲の動脈圧を設定した。また、KDOQIガイドラインには、−250mmHgの動脈圧でBFRを測定してカテーテル機能不全を測定することが提案されている。
【0295】
安全性の転帰の尺度
安全性の主要転帰の尺度は、以下のとおりである:
・通院1度目の際に長期間留置テネクテプラーゼを受けない対象について、初回の試験薬物投与から通院2度目の最初まででの、標的有害事象(ICH、大量出血、塞栓性事象、血栓症、カテーテル関連血流感染症[CRBSI]、およびカテーテル関連合併症)の発生。
【0296】
安全性の副次的転帰の尺度は、以下のとおりである:
・通院1度目の際に長期間留置テネクテプラーゼを受けない対象について、通院2度目の最初から通院3度目の終了まででの標的有害事象(上記に列挙したとおり)の発生
・通院1度目の際に長期間留置テネクテプラーゼを受ける対象について、長期間留置テネクテプラーゼの滴注から通院4度目の終了まででの標的有害事象(上記に列挙したとおり)の発生
・再処置過程に参加する対象について、RTテネクテプラーゼの滴注からRT通院3度目の終了まででの標的有害事象(上記に列挙したとおり)の発生
・通院1度目の際に長期間留置テネクテプラーゼを受けない対象について、初回の試験薬物投与から通院2度目の最初まででの重篤有害事象の発生およびすべての有害事象の発生
・通院1度目の際に長期間留置テネクテプラーゼを受けない対象について、通院2度目の最初から通院3度目の終了まででの重篤有害事象の発生およびすべての有害事象の発生
・通院1度目の際に長期間留置テネクテプラーゼを受ける対象について、長期間留置テネクテプラーゼの滴注から通院4度目の終了まででの重篤有害事象の発生およびすべての有害事象の発生
・再処置過程に参加する対象について、RTテネクテプラーゼの滴注からRT通院3度目の終了まででの重篤有害事象の発生およびすべての有害事象の発生
・ベースラインで陰性であった試験対象における抗テネクテプラーゼ抗体試験での陽性の発生。
【0297】
有効性の転帰の尺度
有効性の主要転帰の尺度は、以下のとおりである:
・通院1度目の際にBFRに関して処置成功であった対象のパーセンテージ(上記に規定のとおり)。
【0298】
有効性の副次的転帰の尺度は、以下のとおりである:
・通院1度目の際に処置成功であった対象について、通院2度目および3度目の際にカテーテル機能が維持されている対象のパーセンテージ(上記に規定のとおり)
・通院1度目に処置前およびHD後のBUN測定値で評価したとき、≧65%の尿素除去率(URR)を有する対象のパーセンテージ
・通院1度目の際に長期間留置テネクテプラーゼを受けない対象について、通院2度目にHD前およびHD後のBUN測定値で評価したとき、≧65%のURRを有する対象のパーセンテージ
・通院1度目のときのベースラインからHDの終了までのBFRの変化
・通院1度目のときのベースラインからHDの終了までのBFRの変化で規定される以下の各カテゴリー:<0mL/分、0〜24mL/分、25〜49mL/分、50〜99mL/分、100〜149mL/分、および≧150mL/分に該当する対象のパーセンテージ。
【0299】
通院1度目において長期間留置テネクテプラーゼで処置される対象では、有効性の副次的転帰の尺度にはまた、以下:
・通院2度目の際にBFRに関して処置成功であった対象のパーセンテージ(上記に規定のとおり)
・通院2度目にHD前およびHD後のBUN測定値で評価したとき、≧65%のURRを有する対象のパーセンテージ
・通院3度目にHD前およびHD後のBUN測定値で評価したとき、≧65%のURRを有する対象のパーセンテージ
・通院2度目の際に処置成功であった対象について、通院3度目および4度目の際にカテーテル機能が維持されている対象のパーセンテージ(上記に規定のとおり)
・通院2度目のときのベースラインからHDの終了までのBFRの変化
・通院2度目のときのベースラインからHDの終了までのBFRの変化で規定される以下の各カテゴリー:<0mL/分、0〜24mL/分、25〜49mL/分、50〜99mL/分、100〜149mL/分、および≧150mL/分に該当する対象のパーセンテージ
も含まれる。
【0300】
再処置過程に参加する対象では、有効性の副次的転帰の尺度にはまた、以下:
・RT通院1度目の際にBFRに関して処置成功であった対象のパーセンテージ(上記に規定のとおり)
・RT通院1度目に処置前およびHD後のBUN測定値で評価したとき、≧65%のURRを有する対象のパーセンテージ
・RT通院2度目にHD前およびHD後のBUN測定値で評価したとき、≧65%のURRを有する対象のパーセンテージ
・RT通院1度目で処置成功であった対象について、RT通院2度目および3度目の際にカテーテル機能が維持されている対象のパーセンテージ(上記に規定のとおり)
・RT通院1度目のときのベースラインからHDの終了までのBFRの変化
・RT通院1度目のときのベースラインからHDの終了までのBFRの変化で規定される以下の各カテゴリー:<0mL/分、0〜24mL/分、25〜49mL/分、50〜99mL/分、100〜149mL/分、および≧150mL/分に含まれる対象のパーセンテージ
も含まれる。
【0301】
安全性計画
テネクテプラーゼは、AMIと関連する死亡率の低下における使用が承認されている。AMI処置用の30〜50mgの用量でのテネクテプラーゼの全身性使用と関連する有害事象は、充分報告されており、主に、出血性合併症、例えば、大量出血事象およびICHからなる。血漿からのテネクテプラーゼの排出は二相性であり、平均初期半減期は20〜24分間および平均末期半減期は90〜130分間である(Modiら,上掲)。テネクテプラーゼで処置されたAMIを有する対象における出血性合併症の発生は定量されたが、この試験で使用する低用量のテネクテプラーゼと関連する出血性合併症の発生に関するデータは限られている。テネクテプラーゼに起因するICHおよび大量出血の発生は、提案用量が低いこと、テネクテプラーゼへの全身曝露が最小限であること、およびこれまでのCATHFLO(登録商標)ACTIVASE(登録商標)(アルテプラーゼ)での臨床試験経験(ICHは報告されておらず、大量出血を起こした対象は1432例中3例のみであったことが示されている)から、この試験では比較的少ないと予想される。
【0302】
機能不全のカテーテルの処置のための血栓溶解薬の使用と関連したものであり得る別の有害事象は、カテーテル関連血栓の塞栓形成である。かかる事象により肺動脈塞栓がもたらされ得、肺動脈塞栓の大きさによっては命にかかわることがあり得る。カテーテル清浄化のためのテネクテプラーゼの使用と関連する臨床的に有意な塞栓性事象の発生は、CVAカテーテルにおけるウロキナーゼおよびCathflo Activase両方での多くの経験に基づくと、低いと予測される。
【0303】
AMIの処置のためのテネクテプラーゼ、および機能不全のCVAカテーテルの処置のためのCathflo Activaseを用いた臨床経験に基づくと、テネクテプラーゼに起因する任意の潜在的な出血性または塞栓性事象は、処置の24時間以内に最も生じやすいと予想される。
【0304】
試験処置の初回から最後の試験薬物曝露後2回目の通院の終了まで、すべての有害事象を記録する。重篤有害事象はすべて、因果律または処置経路にかかわらず、Genentechに48時間以内に報告する。この試験の安全性評価の全詳細については、セクション5を参照のこと。
【0305】
データモニタリング委員会(DMC)では、テネクテプラーゼカテーテル清浄化プログラム(機能不全のCVAおよびHDカテーテルの試験(試験N3698g、N3699g、N3700g、およびN3701g)を含む)に関する累積安全性データを所定の期間間隔で検討し、このデータ検討過程の結果に基づき、スポンサーに対する継続的な試験の安全性に関する推奨案の作成を担う。
【0306】
試験対象および解析群
機能不全のHDカテーテルを有する対象は、この試験に適格であり、本明細書に示す基準を用いてスクリーニングされる。この試験には、対照群はない。
【0307】
法律および規則への準拠
この試験は、米食品医薬品局、ハーモナイゼーション国際会議E6の優良臨床規範ガイドライン(GCP)、および(米)国内要件(あれば)に従って行なう。
【0308】
材料および方法
試験の対象の選択
HDの最初の30分間のBFR(上記に規定のとおり)に基づく機能不全のHDカテーテルを有する対象は、この試験に適格である。米国およびカナダのおよそ60の施設のおよそ225例の対象を登録させる。対象をベースラインBFRによって3つの層:0〜199mL/分、200〜274mL/分、および275〜299mL/分に分類する。0〜199mL/分および275〜299mL/分層への登録は、各々で対象の最大10%に制限する。対象を、以下に示す対象基準および除外基準を用いてスクリーニングする。
【0309】
対象基準
対象は、本試験の対象に適格であるためには、以下の基準をすべて満たしていなければならない。
【0310】
・書面でのインフォームドコンセントを得、本試験の全持続期間、本試験評価に応じることができる
・年齢≧16歳
・治験担当医の見解によって、臨床的に安定
・負の最大動脈圧250mmHgで<300mL/分のBFRでカフ型トンネル型HDカテーテルを使用しているが、BFRは、通院1度目の前の7日間の少なくとも1回のHDセッションで、≧300mL/分を示す
・≧300mL/分のBFRでHD処方されている
・−250mmHgの動脈圧で(または250mmHgを超えない負の最大動脈圧の施設内ガイドラインで)、ベースラインBFR(HDの最初の30分間)が<300mL/分(カテーテルラインは通常の方向で使用、なんらかのラインの逆転前;セクション3.1.2.a参照)
・ベースラインBFR(HDの最初の30分間)が、所定のBFRより少なくとも25mL/分低い
例えば、300mL/分のBFRでHD処方されている対象は、本試験に参加するためには、<275mL/分のBFRを有していなければならない。
【0311】
・通院1度目の前の7日間の少なくとも1回のHDセッションで、0〜−250mmHgの範囲の動脈圧で、BFRが≧300mL/分を示す(カテーテルラインは通常の方向で使用)
・少なくとも次の30日間、型とモデルが同じHD装置で、同じカテーテルの使用が予測される
・試験薬物がHDカテーテル内に滴注されるのに必要な容量で液が注入され得る。
【0312】
試験の除外基準
以下のいずれかの基準を満たす対象は、本試験から除外する。
【0313】
・対象にリポジショニング後、HDカテーテルが≧300mL/分の持続的なBFRを有する
・スクリーニング前に<2日間、HDカテーテルを挿入されている
・HDカテーテル機能不全の機械的非血栓性の原因のエビデンス(例えば、カテーテルの屈曲もしくはカテーテルを圧迫する縫合部)、または既知のフィブリン鞘によって引き起こされる機能不全
・埋入可能なポートの使用
・HDカテーテルが鎖骨下静脈内に埋入されていない
・本試験過程の間、任意の他の型の診断または治療処置(すなわち、HD以外)のためのカテーテルの使用が予測される
・この試験または任意のテネクテプラーゼカテーテル清浄化治験で以前に処置されている
・スクリーニング前の28日以内に、いずれかの治験対象薬物または治療剤を使用
・通院1度目の前の7日以内に、フィブリン溶解剤(例えば、アルテプラーゼ、テネクテプラーゼ、レテプラーゼ、またはウロキナーゼ)を使用
・スクリーニング時に妊娠中または授乳中であることがわかっている
・HDカテーテルの感染がわかっているか、感染が疑われる
・頭蓋内出血、動脈瘤、または動静脈奇形のいずれかの病歴
・通院1度目の前の24時間以内にいずれかのヘパリン(未分画または低分子量)を使用(HD中のみまたは予防のために使用されるヘパリン(例えば、ヘパリンロック)を除く)
・通院1度目の前の7日以内にワルファリンを使用(予防のために使用される低用量ワルファリンを除く)
・通院1度目の前の7日以内に、Plavix(登録商標)(重硫酸クロピドグレル)の投与開始または用量増加
・エリトロポイエチン使用中の場合、ヘモグロビン≧13.5g/dL
ヘモグロビンレベルを確認するための検査試験は、スクリーニング前の30日以内に行なわれるべきである。
【0314】
・血小板計数<75,000/μL
血小板計数を確認するための検査試験は、スクリーニング前の30日以内に行なわれるべきである。
【0315】
・治験担当医の見解によって、出血性事象もしくは塞栓性合併症(すなわち、最近の肺動脈塞栓、深部静脈血栓症、動脈内膜切除、もしくは臨床的に有意な右左シャント)のリスクが高い、または出血が有意な危険性を構成する病状を有することがわかっている
・症候性低血圧のためBFRが<300mL/分
・治験担当医の見解によって、高血圧が制御不能(例えば、収縮期血圧>185mmHgおよび拡張期血圧>110mmHg)
・テネクテプラーゼまたはその製剤の任意の成分に対する過敏性がわかっている。
【0316】
再処置過程の対象基準
対象は、試験の再処置過程の対象に適格であるためには、以下の基準をすべて満たさなければならない。
【0317】
・通院1度目または通院2度目の際に処置成功(上記に規定のとおり)
・治験担当医の見解によって、臨床的に安定
・同じカフ型のトンネル型HDカテーテル(すなわち、初期処置過程中、対象内の定位置にあるカテーテル)の継続使用
・≧300mL/分のBFRでHD処方
・−250mmHgの動脈圧で(または250mmHgを超えない負の最大動脈圧の施設内ガイドラインで)、RTベースラインBFRが<300mL/分(カテーテルラインは通常の方向で使用、なんらかのラインの逆転前;セクション3.1.2.a参照)
・所定のBFRより少なくとも25mL/分低いRTベースラインBFR
例えば、300mL/分のBFRでHD処方されている対象は、再処置過程に参加するためには、≦275mL/分のBFRを有していなければならない。
【0318】
・型とモデルが同じHD装置で、少なくとも3回のHDセッション連続して同じカテーテルの使用が予測される
試験薬物がHDカテーテル内に滴注されるのに必要な容量で液が注入され得る。
【0319】
再処置過程の除外基準
以下の基準のいずれかを満たす対象は、試験の再処置過程から除外される。
【0320】
・対象にリポジショニング後、HDカテーテルが≧300mL/分の持続的なBFRを有する
・HDカテーテル機能不全の機械的非血栓性の原因のエビデンス(例えば、カテーテルの屈曲もしくはカテーテルを圧迫する縫合部)、または既知のフィブリン鞘によって引き起こされる機能不全
・試験の再処置過程中、任意の他の型の診断または治療処置(すなわち、HD以外)のためのカテーテルの使用が予測される
・RT通院1度目の前の21日以内にテネクテプラーゼ以外のいずれかの治験対象薬物または治療剤を使用
・RT通院1度目の前の7日以内に、この試験のテネクテプラーゼ以外のフィブリン溶解剤(例えば、アルテプラーゼ、レテプラーゼ、またはウロキナーゼ)を使用
・RT通院1度目の際に、妊娠中または授乳中であることがわかっている
・HDカテーテルの感染がわかっているか、感染が疑われる
・頭蓋内出血、動脈瘤、または動静脈奇形のいずれかの病歴
・RT通院1度目の前の24時間以内に、いずれかのヘパリン(未分画または低分子量)を使用(HD中のみまたは予防のために使用されるヘパリン(例えば、ヘパリンロック)を除く)
・RT通院1度目の前の7日以内にワルファリンを使用(予防のために使用される低用量ワルファリンを除く)
・RT通院1度目の前の7日以内に、重硫酸クロピドグレルの投与開始または用量増加
・エリトロポイエチン使用中の場合、最初の処置過程とRT通院1度目の間で、既知ヘモグロビン≧13.5g/dL
・最初の処置過程とRT通院1度目の間で既知血小板計数<75,000/μL
・治験担当医の見解によって、出血性事象もしくは塞栓性合併症(すなわち、最近の肺動脈塞栓、深部静脈血栓症、動脈内膜切除、もしくは臨床的に有意な右左シャント)のリスクが高い、または出血が有意な危険性を構成する病状を有することがわかっている
・症候性低血圧のためBFRが<300mL/分
・治験担当医の見解によって、高血圧が制御不能(例えば、収縮期血圧>185mmHgおよび拡張期血圧>110mmHg)
テネクテプラーゼまたはその製剤の任意の成分に対する過敏性がわかっている。
【0321】
製剤
テネクテプラーゼは、DAIKYO
TMストッパーおよびフリップオフ式アルミニウムキャップを有する単回使用の6cc容のガラスバイアルにて供給される。テネクテプラーゼは、タンパク質2mgを、以下の明細の賦形剤:104.4mgのL−アルギニン、32mgのリン酸、および0.8mgのポリソルベート20とともに含有する滅菌凍結乾燥製剤として提供される。使用される希釈剤は、滅菌注射用水、USP/EP(SWFI)である。
【0322】
投薬量、投与および保存
対象は、HDカテーテルの機能の回復に応じて3回までのテネクテプラーゼ処置を受ける。各処置では、対象は、そのHDカテーテルの各管腔内に滴注される2mL(2mg)のテネクテプラーゼを受ける。いずれかの時点で、HDカテーテルがなんらかの理由で外れた場合、それ以上処置は施さない。症候性低血圧を有する対象には試験薬物を与えない場合がある。
【0323】
凍結乾燥テネクテプラーゼの各バイアルを使用直前に、2.2mLのBWFIで再構成する。無菌的手法を用いて試験薬物の凍結乾燥ケーク中にBWFI流を直接指向し、内容物が溶解するまでバイアルを穏やかに旋回させる。振ってはならない。得られる溶液中のテネクテプラーゼ濃度は1mg/mLである。再構成時のわずかな起泡は異常ではない。大きな気泡(あれば)は、バイアルを数分間静かに放置すると消失する。再構成した試験薬物をすぐに使用しない場合、溶液は、2℃〜8℃(36°F46°F)で保存し、再構成から8時間以内に使用しなければならない。使用しなかった溶液はいずれも廃棄する。
【0324】
試験薬物の投与直前、HDカテーテルの管腔内の液はいずれも撤退させ、生理食塩水での流入を試みる。用量を投与するためには、2mLの再構成試験薬物を、無菌的手法を用いて1本の10mL容シリンジ内に抜き出さなければならない。次いで、この溶液を1つのHDカテーテルの管腔内に、施設内ガイドラインに従って滴注させる。カテーテルの残余容積には、通常生理食塩水を充填するのがよい。第2の管腔についても繰り返す。
【0325】
試験薬物のバイアルを2℃〜8℃(36°F〜46°F)での冷蔵下に保存する。将来的な使用のためにバイアルの未使用分は保存しない。Genentechに示されたバイアルの使用期限または書面での使用延長期限を過ぎた試験薬物は使用しない。一部使用済みバイアル、空のバイアル、および再構成していないバイアルは、Genentechに戻す。
【0326】
用量変更
用量変更は許容されない。
【0327】
併用療法および除外される療法
対象は、試験薬物がHDカテーテル中に存在する間、いずれかの静脈内療法を受けること、または血液試料をカテーテルを介して供給することは許容されない。血液試料の静脈内療法または調達は、別個の経路の使用によってのみ許容され得る。フィブリン溶解剤(試験薬物以外)、ワルファリン(予防のために使用される低用量ワルファリンを除く)、および未分画または低分子量ヘパリン(HD中のみまたは予防のために使用されるヘパリンを除く)の使用は、通院1度目から最後の試験薬物曝露後2回目の通院の終了まで禁止する。重硫酸クロピドグレルを摂取している対象では、その用量を、通院1度目から最後の試験薬物曝露後2回目の通院の終了まで増加させないことがあり得る。対象は、処置医の自由裁量で、その病状のために投与される他の適用薬物および標準的処置薬を受けることが継続され得る。
【0328】
試験の評価
本試験は、各対象の定期HDスケジュールに基づいた連続HDセッション回数に一致する通院、ならびに1回の追跡通院で構成される。スクリーニング通院と通院1度目は、治験担当医の自由裁量で併合され得る。対象は、3回までのテネクテプラーゼ処置:初期処置過程の一部として最初の2回の処置、および再処置過程の一部として1回のさらなる処置を受ける。最初の処置、その後の1時間の留置期間は、通院1度目の際にすべての対象に施される。通院1度目のHDの終了時、適格対象は、通院2度目の最初まで(72時間まで)、より長い留置期間滴注される2回目の処置を受ける。通院1度目または通院2度目の際に処置成功であり、通院1度目の21日間内に再発カテーテル機能不全を有する(本明細書において上記に規定のとおり)対象は、初期処置過程を終了し、再処置過程に参加させ、この間、適格対象は、さらなるテネクテプラーゼ投与を受け、1時間の留置期間を続ける(再処置通院1度目の際)。対象はすべて、最後の試験薬物曝露後の2回の各通院時にHDカテーテル機能の追跡評価を受ける。各通院時に行なわれる評価は、各試験薬物処置に対する個々の応答に応じて、対象毎に異なる。対象はすべて、通院1度目の後30日目(36日目まで)、または本試験の早期終了時に、追跡通院に戻される。
【0329】
いずれかの時点で、HDカテーテルがなんらかの理由で外れた場合、それ以上処置は施さず、さらなる有効性評価(すなわち、BFR測定値またはBUN解析)は行なわない。しかしながら、対象は、継続して安全性評価(すなわち、有害事象および併用薬物投与の記録ならびに抗体試験)を受ける。
【0330】
BUNおよび抗テネクテプラーゼ抗体試料の収集のための検査用キットおよび使用説明書は、中央研究所であるクインタイルズ研究所(QLab)から提供される。試料はすべて各施設で処理され、QLabに発送される。QLabでBUN解析を行ない、URRを計算し、抗体試料を試験のためGenentechに発送する。
【0331】
スクリーニング通院
治験担当医の自由裁量で、通院1度目(登録前)に、スクリーニング評価のいずれかまたは全部が行なわれ得る。いずれかの試験規定の評価または手順を行なう前に、書面でのインフォームドコンセント/アセントを得なければならない。
【0332】
以下のスクリーニング評価/手順を行なう:
・書面でのインフォームドコンセント/アセント
・試験対象基準および除外基準の検討(セクション4.1.2および4.1.3参照)
・人口統計学的データ、例えば、対象の生年月日、性別、および人種/民族
・身体検査および病歴、例えば、最も最近の2つのURR値(病歴ベースライン)
スクリーニング通院時、身体検査で医学的表示がない場合、病歴身体検査が、スクリーニング前の7日以内に行なわた場合に限って使用され得る。
【0333】
・生命徴候、例えば、血圧、呼吸数、体温、および脈拍(HD前がHD後かを明確にする)
・体重(HD前がHD後かを明確にする)
・ヘモグロビンレベル(対象がエリトロポイエチン使用中の場合)および血小板計数を測定するための血液試料(適格性を確認する検査試験がスクリーニング前の30日以内に行なわれなかった場合)
・併用薬物投与
・HDカテーテル病歴および情報
HDカテーテル挿入の日付およびHDカテーテルが機能を有した(BFRが≧300mL/分)一番最近の日付に関する情報を記録する。HDカテーテルの管腔の大きさ、型、容積、ブランド(わかっている場合)、および配設位置もまた記録する。
【0334】
HD処方。
【0335】
通院1度目
通院1度目は、スクリーニング後7日以内になされなければならない(上記のように、スクリーニング通院と通院1度目は、治験担当医の自由裁量で併合され得る)。通院1度目の最初に、以下のことを行なって適格性を検証するのがよい。
【0336】
・試験対象基準および除外基準の検討(セクション4.1.2および4.1.3参照)
・併用薬物投与と病歴の検討(スクリーニング以降、変化がないことを確実にするため)、例えば、通院1度目の前の7日以内でのフィブリン溶解薬、ワルファリン、および重硫酸クロピドグレルの使用、ならびに通院1度目の前の24時間以内でのヘパリンの使用(セクション4.1.3参照)
・HD処方
・HD、処方どおりに開始
・ベースラインBFR、HDカテーテル機能不全を確認するため、HDの開始時(最初の30分以内)に測定
BFRが<300mL/分であり、−250mmHgの動脈圧で(または250mmHgを超えない負の最大動脈圧の施設内ガイドラインで)所定のBFRより少なくとも25mL/分低い(カテーテルラインは通常の方向で使用)対象は、本試験に適格である。他の対象はすべて、不適格である。対象が本試験に適格であると最初に決定された時点で(すなわち、動脈圧が−250mmHgに達したとき)ベースラインBFRを記録する。
【0337】
逆転ラインで透析する試みがなされた場合(すなわち、試験薬物処置に選択される前)、BFRは、ライン逆転前に記録しなければならず、ベースライン値として使用する。
【0338】
完全閉塞(すなわち、採血が機能しない)のためBFRが測定できなかった対象は、0mL/分のベースラインBFRを有するとみなすとよい。
【0339】
適格対象は、そのHDを中止する。不適格対象は、その処方HDセッションを終了させてもよいが、スクリーニング不合格と記録すべきである。
【0340】
適格性を検証したら、音声自動応答装置システム(IVRS)を用いて対象を登録させる。また、通院1度目の際に、以下の評価/手順を行なう。
【0341】
・血清抗テネクテプラーゼ抗体試験用の血液試料、テネクテプラーゼでの処置前に採取
・BUN解析用の血液試料、テネクテプラーゼでの処置前に採取
・テネクテプラーゼ投与、HDの再開前
テネクテプラーゼをセクション4.3.2に記載のようにして投与し、対象のHDカテーテル(両方の管腔)内に1時間、静かに留置したままにする。1時間の留置後、テネクテプラーゼを撤退させる。
【0342】
症候性低血圧を有する対象には試験薬物を与えない場合がある。
【0343】
・HDを処方どおりまたは可能な程度まで再開および実施する
・BFRをHDの開始時、その後30分毎、HD終了30分前、およびHDの終了時に測定し、処置成績を判定する(セクション3.1.2.bに規定のとおり)
逆転させたカテーテルラインで透析することが必要となった場合、逆転前にBFR測定値を記録し、このHDセッション中、さらなるBFR測定値は記録しない。
【0344】
治験担当医が、血流力学的不安定性のため対象のBFRを低下させることが必要であると決定した場合、BFRを低下させる前にBFR測定値を記録する。その後のBFRは、スケジュールどおりに継続して記録する。
【0345】
・BUN解析用の血液試料をHDの終了時に採取
カテーテルラインを逆転させた場合、血液試料は採取しない。
【0346】
・この通院時での有害事象および併用薬物投与の変更
有害事象のモニタリングは、試験処置の初回に開始する。
【0347】
HDの終了時にBFRが<300mL/分である対象は、セクション4.3.2に記載のようにして、2回目のテネクテプラーゼ処置で処置する。試験薬物は、対象のHDカテーテル(両方の管腔)内に通院2度目の第2HDセッションまで(72時間まで)、静かに留置したままにする。症候性低血圧を有する対象には試験薬物を与えない場合がある。
【0348】
通院2度目
通院2度目では、以下の評価/手順を行なう。
【0349】
・最後の通院以降の有害事象および併用薬物投与の変更
・通院1度目の際だけ長期間留置テネクテプラーゼを受けた対象について:HDの前に、長期間留置テネクテプラーゼをHDカテーテルから除去(滴注後72時間以内)
・HD処方
・BUN解析用の血液試料、HD前に採取
この血液試料は、対象が初期BFRに基づいて再処置に適格となった場合(下記参照)、廃棄する。
【0350】
・HD、処方どおりに開始
・BFRをHDの開始時(最初の30分以内)に測定し、HDカテーテル機能を評価する
この評価のため、試験要員は、最初の30分以内に所定のBFRが達成されるようにBFRを上昇させる。
【0351】
通院1度目の際に処置成功であったが、再発カテーテル機能不全を有し(セクション3.1.2.bに規定のとおり)、通院2度目の始めにおいて再処置に適格である対象は、そのHDを中止し、初期処置過程を終了し、再処置過程に参加させる(セクション4.5.6参照)。他の対象はすべて、その処方HDセッションを可能な程度まで継続し、以下の評価/手順を行なう。
【0352】
・通院1度目の際だけ長期間留置テネクテプラーゼを受けた対象について:BFRをHDの開始時、その後30分毎、HD終了30分前、およびHDの終了時に測定し、処置成績を判定する(セクション3.1.2.bに規定のとおり)
逆転させたカテーテルラインで透析することが必要となった場合、逆転前にBFR測定値を記録し、このHDセッション中、さらなるBFR測定値は記録しない。
【0353】
治験担当医が、血流力学的不安定性のため対象のBFRを低下させることが必要であると決定した場合、BFRを低下させる前にBFR測定値を記録する。その後のBFRは、スケジュールどおりに継続して記録する。
【0354】
・BUN解析用の血液試料をHDの終了時に採取
カテーテルラインを逆転させた場合、血液試料は採取しない。
【0355】
この通院時での有害事象および併用薬物投与の変更。
【0356】
通院3度目
通院3度目では、以下の評価/手順を行なう。
【0357】
・最後の通院以降の有害事象および併用薬物投与の変更
・HD処方
・通院1度目の際だけ長期間留置テネクテプラーゼを受けた対象について:BUN解析用の血液試料をHD前に採取
この血液試料は、対象が初期BFRに基づいて再処置に適格となった場合(下記参照)、廃棄する。
【0358】
・HDを処方どおりまたは可能な程度まで行なう
・BFRをHDの開始時(最初の30分以内)に測定し、HDカテーテル機能を評価する
この評価のため、試験要員は、最初の30分以内に所定のBFRが達成されるようにBFRを上昇させる。
【0359】
通院1度目または通院2度目の際に処置成功であったが、再発カテーテル機能不全を有し(セクション3.1.2.bに規定のとおり)、通院3度目の始めにおいて再処置に適格である対象は、そのHDを中止し、初期処置過程を終了し、再処置過程に参加させる(セクション4.5.6参照)。他の対象はすべて、その処方HDセッションを継続し、以下の評価/手順を行なう。
【0360】
・通院1度目の際だけ長期間留置テネクテプラーゼを受けた対象について:BUN解析用の血液試料をHDの終了時に採取
カテーテルラインを逆転させた場合、血液試料は採取しない。
【0361】
この通院時での有害事象および併用薬物投与の変更。
【0362】
通院4度目
通院4度目は、通院1度目の際に長期間留置テネクテプラーゼを受けた対象にのみ必要である。該対象には、以下の試験評価/手順が行なわれる。
【0363】
・最後の通院以降の有害事象および併用薬物投与の変更
・HD処方
・HDを処方どおりまたは可能な程度まで行なう
・BFRをHDの開始時(最初の30分以内)に測定し、HDカテーテル機能を評価する
この評価のため、試験要員は、最初の30分以内に所定のBFRが達成されるようにBFRを上昇させる。
【0364】
通院1度目または通院2度目の際に処置成功であったが、再発カテーテル機能不全を有し(セクション3.1.2.bに規定のとおり)、通院4度目の始めにおいて再処置に適格である対象は、そのHDを中止し、初期処置過程を終了し、再処置過程に参加させる(セクション4.5.6参照)。他の対象はすべて、その処方HDセッションを継続し、以下の評価/手順を行なう。
【0365】
この通院時での有害事象および併用薬物投与の変更。
【0366】
再処置過程
通院1度目または通院2度目の際に処置成功であり、通院1度目の21日間内に再発カテーテル機能不全を有する(本明細書において上記に規定のとおり)対象は、初期処置過程を終了し、再処置過程に参加させ、この間、再処置対象基準および除外基準に基づいて適格性に関してスクリーニングされ(前記参照)さらなるテネクテプラーゼ処置を受け、1時間の留置期間を続ける。3回すべての再処置通院時のHDで、型とモデルが同じHD装置を使用するのがよい。再処置過程は、本明細書に記載のように3回の通院で構成される。
【0367】
通院2度目、3度目または4度目(当てはまる場合)のいずれかまたは全部を終了する前に再処置過程に参加させた対象は、初期処置過程と関連するその後のすべての通院を飛ばし、代わりに3回の再処置(RT)通院のみを終了させる。例えば、通院1度目の際に処置成功であり、通院2度目の始めに再発性のカテーテル機能不全を有することがわかった対象は、次いで、通院2度目ではなくRT通院1度目の評価/手順を受ける。したがって、この試験過程中、対象は、通院1度目、RT通院1度目〜3度目、および通院1度目の30日後の追跡通院で概略を示した評価/手順を受ける。
【0368】
a.RT通院1度目
再処置に適格な対象を、IVRSを用いて登録させる。対象は、RT通院1度目の際に行なわれる以下の評価/手順を受ける。
【0369】
・対象を再処置に適格としたBFR(RTベースラインBFR)
・再処置対象基準および除外基準の検討(セクション4.1.4および4.1.5参照)
これらの基準を満たさない対象は、引き続き、初期処置過程について概略を示したスケジュールに従う。
【0370】
・併用薬物投与および病歴の更新
・HD処方
・BUN解析用の血液試料、テネクテプラーゼでの処置前に採取
・テネクテプラーゼ投与、HDの再開前
テネクテプラーゼをセクション4.3.2に記載のようにして投与し、対象のHDカテーテル(両方の管腔)内に1時間、静かに留置したままにする。1時間の留置後、テネクテプラーゼを撤退させる。
【0371】
症候性低血圧を有する対象には試験薬物を与えない場合がある。
【0372】
・HDを処方どおりまたは可能な程度まで再開および実施する
・BFRをHDの開始時、その後30分毎、HD終了30分前、およびHDの終了時に測定し、処置成績を判定する(セクション3.1.2.bに規定のとおり)
逆転させたカテーテルラインで透析することが必要となった場合、逆転前にBFR測定値を記録し、このHDセッション中、さらなるBFR測定値は記録しない。
【0373】
治験担当医が、血流力学的不安定性のため対象のBFRを低下させることが必要であると決定した場合、BFRを低下させる前にBFR測定値を記録する。その後のBFRは、スケジュールどおりに継続して記録する。
【0374】
・BUN解析用の血液試料、HDの終了時に採取
カテーテルラインを逆転させた場合、血液試料は採取しない。
【0375】
この通院時での有害事象および併用薬物投与の変更。
【0376】
b.RT通院2度目および3度目
RT通院2度目および3度目では、以下の評価/手順を行なう。
【0377】
・最後の通院以降の有害事象および併用薬物投与の変更
・HD処方
・RT通院2度目のみ:BUN解析用の血液試料、HD前に採取
・HDを処方どおりまたは可能な程度まで行なう
・BFRをHDの開始時(最初の30分以内)に測定し、HDカテーテル機能を評価する
この評価のため、試験要員は、最初の30分以内に所定のBFRが達成されるようにBFRを上昇させる。
【0378】
・RT通院2度目のみ:BUN解析用の血液試料、HDの終了時に採取
カテーテルラインを逆転させた場合、血液試料は採取しない。
【0379】
この通院時での有害事象および併用薬物投与の変更。
【0380】
30日目または早期終了時の追跡
対象はすべて、通院1度目の後30日目(36日間まで)または本試験の早期終了時、抗テネクテプラーゼ抗体試験のために採血される。また、この通院時では、カテーテルの状態に関する情報も収集する。有害事象は、試験処置の最後の投与後2回目の通院前に生じた場合、早期終了に記録する。
【0381】
対象休止
対象は、任意の時点で試験から脱退する権利を有する。
【0382】
治験担当医は、対象にとって最も利益となる任意の理由(例えば、併発病、有害事象、または病状の悪化)で、対象を脱退させる権利を有する。Genentechは、プロトコル違反、管理上の理由、なんらかの理由による試験の制限もしくは終了の決定、または任意の他の妥当な倫理上の理由のため、対象の脱退請求を行なう権利を保有する。
【0383】
試験中止
Genentechは、任意の時点でこの試験を終了させる権利を有する。試験終了の理由としては、限定されないが、以下のものが挙げられ得る。
【0384】
・この試験または他の試験での有害事象の発生または重症度が、対象への健康被害の可能性を示す。
【0385】
・対象登録が不充分である。
【0386】
・データの記録が不正確または不完全である。
【0387】
統計学的方法
これは、非盲検、単群(single−arm)試験である。登録され、テネクテプラーゼで処置される対象はすべて、安全性と有効性の解析に含める。
【0388】
試験の実施の解析
登録、テネクテプラーゼの投与回数、主なプロトコル違反、試験の中止、および中止の理由をまとめる。
【0389】
安全性解析
処置のため生じた有害事象の逐語的記載を、MedDRA辞書を用いて、好ましい用語および身体系の用語にマッピングする。
【0390】
安全性の主要転帰の尺度は、長期間留置投与のテネクテプラーゼを受けない対象において、初回の試験薬物投与時から通院2度目の最初まででの標的有害事象の発生である。標的有害事象を、標的有害事象の類型毎にまとめる。身体系の高レベル用語、および好ましい用語によるすべての有害事象および重篤有害事象の同様の概要を、この同じ期間において作成する。同様の概要を、通院2度目の最初から通院3度目の終了までに生じた標的有害事象、すべての有害事象、および重篤有害事象について作成する。
【0391】
長期間留置投与のテネクテプラーゼを受ける対象では、長期間留置用量の投与から通院4度目の終了までに生じた標的有害事象を、標的有害事象の類型毎にまとめる。身体系の高レベル用語、および好ましい用語によるすべての有害事象および重篤有害事象の同様の概要を、これらの対象について、この同じ期間において作成する。長期間留置テネクテプラーゼを受ける対象では、最初のテネクテプラーゼ投与から長期間留置テネクテプラーゼ開始までに生じた標的有害事象、重篤有害事象、およびすべての有害事象の概要を作成する。
【0392】
再発カテーテル機能不全のためのテネクテプラーゼで再処置された対象では、RTテネクテプラーゼの投与からRT通院3度目の終了までに生じた標的有害事象を、標的有害事象の類型毎にまとめる。身体系の高レベル用語、および好ましい用語によるすべての有害事象および重篤有害事象の同様の概要を、これらの対象について、この同じ期間において作成する。
【0393】
有効性解析
a.有効性の主要転帰の尺度
有効性の主要転帰の尺度は、通院1度目の際にBFRに関して処置成功であった対象のパーセンテージである(本明細書において上記に規定のとおり)。HD終了前に試験を中止した対象、あるいは主要転帰の尺度が評価可能でなかった対象は、主要転帰の尺度に関して処置不成功であったとみなす。処置成功が得られた対象のパーセンテージをコンピュータで計算し、厳密法に基づいて95%信頼区間を得る。感度解析を行ない、交互欠測データ方法、例えば、全ての測定がなされた対象者の解析、および欠測時系列データへの最直前のデータの補完(LOCF)インピュテーションに対する主要転帰のロバストネスを評価する。
【0394】
b.有効性の副次的転帰の尺度
通院1度目の際に処置成功であった対象について、有効性の主要転帰の尺度に対するものと類似した解析を、通院2度目および3度目の際にカテーテル機能が維持されている対象のパーセンテージについて行なう(本明細書において上記に規定のとおり)。各通院時にカテーテル機能が維持されている対象のパーセンテージをコンピュータで計算し、厳密法に基づいて95%信頼区間を得る。通院1度目は処置成功であったが通院2度目および3度目の終了前に試験を中止した対象、またはこれらの通院にBFRが評価可能でなかった対象は、この副次的転帰の尺度に関して処置不成功であったとみなす。
【0395】
通院1度目およびRT通院1度目の際、URRは、以下のようにして計算する。
【0396】
(処置前BUN)−(HD後BUN)
(処置前BUN)
他のすべての通院時では、URRは、以下のようにして計算する。
【0397】
(HD前BUN)−(HD後BUN)
(HD前BUN)。
【0398】
通院1度目〜3度目ならびにRT通院1度目および2度目で、≧65%のURRを有する対象のパーセンテージをコンピュータで計算し、正確な95%信頼区間を得る。早期に試験を中止した対象、またはURRが評価可能でなかった対象は、この転帰で<65%のURRを有するとみなす。
【0399】
通院1度目のときのベースラインからHDの終了までのBFRの変化の平均をまとめ、正確な95%信頼区間を得る。通院1度目のときのベースラインからHDの終了までのBFRの変化を、以下の変化カテゴリー:<0mL/分、0〜24mL/分、25〜49mL/分、50〜99mL/分、100〜149mL/分、および≧150mL/分を用いて解析する。これらの転帰に対し、欠測BFRデータを有する対象には、LOCFアプローチを用いて値をインピュートする。交互インピュテーション法を用いて結果のロバストネスを評価する。
【0400】
上記の主要および副次的転帰の尺度に対するものと類似した解析を、長期間留置テネクテプラーゼの投与およびテネクテプラーゼ再処置に関する転帰の尺度に対して行なう。
【0401】
c.亜群の解析
有効性の主要および副次的転帰の尺度の推定値および信頼区間ならびに重要な安全性転帰の概要を、以下の亜群について示す。
【0402】
・年齢:<18歳、18〜65歳、>65歳
・性別:男性、女性
・ベースラインBFR:0〜199mL/分、200〜274mL/分、275〜299mL/分。
【0403】
欠測データ
解析目的のため、処置成功(本明細書において規定のとおり)が得られることなくなんらかの理由で試験を中止した対象を、処置不成功であったとみなす。
【0404】
標本サイズの決定
およそ225例の対象を登録させる。この標本サイズは、比較的よく見られる有害事象の発生率を充分な精度で推定するのに充分大きいとみなす。
【0405】
中間解析
DMCを作り、本試験中の安全性の累積データの定期的な検討の実施を担当させる。DMCは、スポンサーおよびクインタイルズとは独立して機能し、関連する治療専門技術を有する医師および生物統計学者で構成する。DMCでは、テネクテプラーゼカテーテル清浄化プログラム(機能不全のCVAおよびHDカテーテルの試験(試験N3698g、N3699g、N3700g、およびN3701g)を含む)に関する累積安全性データを所定の期間間隔で検討し、このデータ検討過程の結果に基づき、スポンサーに対する継続的な試験の安全性に関する推奨案の作成を担う。DMCの具体的なガイドラインおよび操作手順は、DMC Charterに概略が示されている。
【0406】
データ品質保証
クインタイルズは、この試験の症例報告書(CRF)を供給する。クインタイルズは、この治験のデータ管理(例えば、データのダブルエントリーおよびデータの品質チェック)の責任を負う。データが矛盾する場合、クインタイルズは、データの釈明要求を解明担当部門に送る。クインタイルズは、CRFデータに対して行なわれるべき品質確認を示したデータ品質計画書(Data Quality Plan)を作成する。CRFおよび修正記録には索引を付け、画像化する。クインタイルズに保存されるデータのシステムバックアップおよび試験データの記録保存は、クインタイルズの標準手順に一致させる。検査データは、電子転送されるこのようなデータの処理(handle/process)のためのクインタイルズの標準手順を用いて、クインタイルズに直接送信される。
【0407】
Genentechは、この治験のデータ管理の監督(例えば、Quintiles’s Data Management and Data Quality Plansの承認)を行なう。データは、定期的にQuintilesからGenentechに電子転送され、電子転送されたこのデータがGenentechの標準手順を用いて処理される。
【0408】
安全性の評価
安全性の評価は、有害事象(AE)および重篤有害事象(SAE)(標的AEを含む)モニタリングと記録からなる。
【0409】
有害事象
AEは、起因にかかわらず、治験対象(医薬)製品の使用または他のプロトコルで課される介入に一時的に随伴する都合の悪い望まない任意の徴候、症状または疾患である。これには、以下のものが包含される。
【0410】
・対象において以前は観察されず、プロトコル指定のAE報告期間中に現れたAE
・プロトコル指示による介入(例えば、生検などの侵襲的処置)の結果生じた合併症
・プロトコル指定のAE報告期間中、治験担当医によって重症度もしくは頻度が悪化したと判断された、または特質が変化した既存の病状(試験対象の病状以外)。
【0411】
重篤有害事象
AEは、以下の基準を満たす場合、SAEとして分類する。
【0412】
・結果的に死亡する(すなわち、実際にAEが死亡の原因であるか、もしくはAEによって死に至る)。
【0413】
・命にかかわる(すなわち、治験担当医の印象で、対象にAEによる即時的死亡リスクがある。より重症な形態で生じたら死に至るかもしれないAEは含まない)。
【0414】
・入院が必要となるか、または入院患者の入院が延長される。
【0415】
・永続性または有意な身体障害/無能力がもたらされる(すなわち、AEにより、対象が通常の生活機能を行なう能力の相当な破壊がもたらされる)。
【0416】
・試験薬物に曝露された母親から生まれた乳幼児/乳児に先天性異常/出生時欠損がもたらされる。
【0417】
・医学的判断に基づき、治験担当医により有意な医学的事象とみなされる(例えば、対象が危険にさらされ得るか、または上記の転帰のうちの1つを予防するために医学的/外科的介入が必要とされ得る)。
【0418】
重篤のいずれの基準もみたさないAEはすべて、重篤でないAEとみなすべきである。
【0419】
AE
用語「重症な」および「重篤な」は、同義的ではない。重症度(または強度)は、特定のAEの等級、例えば、軽度(等級1)、中等度(等級2)、または重度(等級3)心筋梗塞をいう。「重篤な」は、一定規則による定義であり(先の定義を参照されたい)、対象の生命または機能発揮を脅威にさらす事象とたいてい関連する対象または事象の転帰または作用基準に基づく。重篤性(重症度ではない)は、適用され得る一定規則の権威へのスポンサーからの一定規則による報告義務を規定する手引きとなる。
【0420】
重症度および重篤性は、CRFに関してAEおよびSAEを記録する際、独立して評価するのがよい。
【0421】
標的有害事象
特に重要な事象(標的AE)は特異的に誘発され、以下のものが挙げられる。
【0422】
・コンピュータ連動断層撮影または磁気共鳴画像法によって記録されるICH
・大量出血(重症な失血(>5mL/kg)、輸血が必要な失血、または低血圧を引き起こす失血と定義する)
・塞栓症(任意の「重篤な」塞栓性事象、例えば、肺系の事象、動脈系の事象(例えば、脳卒中、末梢の塞栓症、もしくは主要臓器の塞栓症)、またはコレステロールプラークと定義する)
・血栓症、例えば、カテーテル関連静脈血栓症(放射線画像法(例えば、超音波、超血管造影もしくは磁気共鳴)によって確認され、四肢の痛み、腫脹および/または虚血をもたらす上肢もしくは下肢の動脈もしくは静脈内の血栓と定義する)
・CRBSI、これは、さらに、以下のように分類される。
【0423】
確定的:他に明白な感染源のない症候性の対象において、カテーテル先端の半定量的培養物(>15コロニー形成単位/カテーテルセグメント)のものと、末梢血液試料もしくはカテーテル血液試料のものとで生物が同じ
推定的:他に明白な感染源のない症候性の対象において、血液培養物で感染が確認されるがカテーテル先端では確認されない(またはカテーテル先端で確認されるが、血液培養物では確認されない)状況で、抗生物質での処置(カテーテルの除去ありまたはなしで)後に解熱の症状
可能性あり:他に明白な感染源のない症候性の対象において、抗生物質での処置後、または検査で血流感染症の確認の非存在下においてカテーテルの除去後に解熱の症状
・カテーテル関連合併症(薬物の流入もしくは滴注中のカテーテルの破断、留置静脈の穿孔、または外科的介入(例えば、縫合もしくはガーゼによる填塞)が必要であり得るカテーテル挿入部位での出血と定義する)。
【0424】
標的AEは、セクション5.1.2に概略を示した基準を満たす場合、SAEに分類するべきであり、セクション5.4に記載のとおりに報告すべきである。
【0425】
安全性の可変因子の評価と記録の方法およびタイミング
治験担当医は、観察されるすべてのAEおよびSAEが、本試験中に報告されることを確実にする責任を負う。
【0426】
有害事象の報告期間
すべてのAEおよびSAEを記録しなければならない試験期間は、試験処置の初回から始まり、試験処置の最後の投与後、2回目の通院の終了時、または対象が試験を中止した時のいずれか早い方に終了する。
【0427】
有害事象の評価
AEおよびSAEの発生は、治験担当医が、30日目の追跡通院以外の試験中の各対象評価時点で評定する。AEおよびSAEはすべて、対象により自己申告されたもの、問診中での試験要員により見出されたもの、または身体検査、検査試験もしくは他の手段で検出されたものいずれも、対象の医療記録および適切なAEまたはSAE CRFの頁に記録する。
【0428】
記録される各AEまたはSAEは、その持続期間(すなわち、開始日および終了日)、重症度(表1参照)、一定規則による重篤性基準(適用可能な場合)、試験薬物との関連の疑い(以下の手引き参照)、ならびに採用された措置が記載される。
【0429】
【表2】
AEとSAEの因果律評価の整合性を確実にするため、治験担当医は、以下の一般ガイドラインを適用するとよい。
【0430】
・はい
AEの発生と試験薬物投与間に妥当と思われる一時的な関係が存在するが、AEは、対象の臨床状態、併発病、もしくは併用療法では容易に説明され得ない;および/またはAEが、試験薬物に対する既知パターンの応答に従う;および/または試験薬物を中止もしくは用量低減するとAEが排除または消散されるが、適用可能な場合、再刺激すると再度現れる。
【0431】
・いいえ
AEが、試験薬物以外の病因(例えば、以前から存在する病状、基礎疾患、併発病、もしくは併用薬物投与)を有するというエビデンスが存在する;および/またはAEに、試験薬物の投与との妥当と思われる一時的な関係がない(例えば、試験薬物の最初の投与の2日後に癌と診断される)。
【0432】
注:個々のAE報告に対する因果律の治験担当医の評価は、試験記録過程の一部である。個々のAE報告に対する因果律評価が「はい」または「いいえ」にかかわらず、スポンサーは、製品の累積的実績に対して報告されたすべてのSAEを速やかに評価し、考えられ得る新たな安全性所見を確認し、治験担当医および適用され得る一定規則の権威に迅速に報告する。
【0433】
有害事象の誘発
AEの誘発に関する非指示的問診は、すべての対象評価時点で一貫した方法論を採用するのがよい。非指示的な質問の例としては、以下のものが挙げられる。
【0434】
「あなたが最後に病院に行ってから以降、体調は如何ですか?」
「あなたが最後にここに来てから以降、何か新たな、または変化した健康上の問題はありますか?」。
【0435】
CRFにおける有害事象の記録に関する具体的な指示
治験担当医は、AEまたはSAEをCRFに記録する際、正確な医学用語/概念を使用すべきである。口語体および略号は回避する。
【0436】
AEはすべて、AE CRFの頁に記録すべきである。この頁には、その事象が重篤か否か(はい/いいえ)を示すための指定の余白がある。また、SAEについては、SAE CRFの頁を完成させなければならない。
【0437】
AEおよびSAEのCRFの頁の事象欄には、1つの医学的概念のみを記録するのがよい。
【0438】
a.徴候および症状に対する診断
報告時点でわかっている場合、CRFには、個々の徴候および症状ではなく診断を記録するのがよい(例えば、黄疸、アステリクシス、およびトランスアミナーゼの上昇ではなく、肝不全または肝炎のみを記録)。しかしながら、報告時点で、一群の徴候および/または症状が、単一の診断または症候群として医学的に特徴付けされ得ない場合、個々の各事象は、AE CRFの頁として記録するのがよい。その後、診断が確定されたら、追跡情報として報告すべきである。
【0439】
b.他の事象に続発的な有害事象の発生
一般に、他の事象(例えば、カスケード事象または臨床的後遺症)に続発的なAEの発生は、その根本原因によって確認すべきである。例えば、重症な下痢によって脱水症状になったことがわかっている場合、下痢をAE CRFの頁として記録するだけで充分である。しかしながら、医学的に有意な続発性AEが、やがて初期事象から分かれた場合、両方を独立した事象として記録すべきである。例えば、重症な胃腸管出血によって腎不全に至った場合、両方の事象を別々のAE CRFの頁に記録すべきである。
【0440】
c.持続性または再発性の有害事象
持続性AEは、対象評価時点間で、消散することなく連続的に継続するものである。かかる事象は、その重症度が大きくならない限り、CRFに1回記録するだけでよい。持続性AEがより重症となった場合は、再度、AE CRFの頁に記録すべきである。
【0441】
再発性AEは、発生して消散した後、再発するものである。再発性AEはすべて、AE CRFの頁に記録する。
【0442】
d.臨床検査所見の異常
個々の検査所見の異常は、一般的には、AEとしてCRFに記録しない。臨床的に有意な検査所見の異常のみ(結果として試験を中止したもの、重篤性基準を満たすもの、それ自体が臨床的徴候もしくは症状と関連しているもの、または医学的介入が必要とされるもの(例えば、輸血が必要とされる低ヘモグロビン)、AE CRFの頁に記録する。
【0443】
臨床的に有意な検査所見の異常が、疾患または症候群の徴候である場合(例えば、アルカリホスファターゼおよびビリルビンが、胆嚢炎に関する正常値の上限の5倍)、診断のみ(例えば、胆嚢炎)をAE CRFの頁に記録する必要がある。
【0444】
臨床的に有意な検査所見の異常が疾患または症候群の徴候でない場合、異常それ自体をAE CRFの頁に記録するのがよい。検査所見の異常が臨床診断として伝達され得る場合、該診断をAEまたはSAEとして記録すべきである。例えば、高値の血清カリウムレベル7.0mEq/Lは、「高カリウム血症」として記録するのがよい。
【0445】
前回から次の通院までで同じ観察結果の臨床的に有意な検査所見の異常は、その重症度、重篤性または病因が変化していない限り、AE CRFの頁に繰返して記録しないのがよい。
【0446】
e.以前から存在する病状
以前から存在する病状は、試験の開始時に存在しているものである。かかる病状は、病歴および手術歴CRFの頁に記録するのがよい。
【0447】
以前から存在する病状は、治験全体を通して再評価し、試験中に病状の頻度、重症度または性質が悪化した場合のみ、AEまたはSAEとして記録するのがよい。かかる事象をAE CRFの頁に記録する場合、以前から存在する病状が変化したという概念を、適用可能な記述子(例えば、「より高頻度の頭痛」)を含めることによって伝達することが重要である。
【0448】
f.死亡例
プロトコル指定のAE報告期間中に発生した死亡例はすべて、原因にかかわらずAE CRFの頁に記録し、スポンサーに迅速に報告する。
【0449】
死亡例を記録する場合、致死的転帰の原因または一因となった事象または病状を、単一の医学的概念としてAE CRFの頁に記録するのがよい。死亡原因がわからず、報告時点で確認できなかった場合は、「原因不明の死亡例」とAE CRFの頁に記録する。次いで、この施設では、死亡原因を早急に特定するためのあらゆる試みを行ない(例えば、プライマリーケア医師、剖検報告、入院記録によって)、死亡原因をスポンサーに迅速に報告するのがよい。
【0450】
g.医療処置または外科処置のための入院
結果として入院または長期入院することとなったAEはいずれも、SAEとして記録および報告するべきである。
【0451】
対象が、AEの結果として医療処置または外科処置を受けるために入院した場合、該処置の原因事象(処置自体ではなく)をSAEとして記録するのがよい。例えば、対象が冠動脈バイパス形成手術を受けるために入院した場合、バイパスが必要となった心臓の病状をSAEとして記録する。
【0452】
以下の理由での入院は、SAEとしてCRFに記録しない。
【0453】
・病歴および手術歴CRFに記録している以前から存在する病状の診断的または選択的外科処置のための入院または長期入院
・試験に対する有効性の測定を許容するために必要とされる入院または長期入院
・試験の標的疾患の予定された治療のための入院または長期入院。
【0454】
h.妊娠
試験薬物を受けている期間中、または最後の試験薬物投与後90日以内に女性対象が妊娠した場合、妊娠報告CRFを完成させ、転帰の追跡を容易にするためにスポンサーに迅速に提出しなければならない。
【0455】
中絶は、偶発性、治療的または自然なものいずれであっても、常に重篤に分類し、SAEとして記録し、スポンサーに迅速に報告すべきである。同様に、試験薬物に曝露された女性対象から生まれた子供の先天性異常/出生時欠損はいずれも、SAEとして記録および報告するのがよい。
【0456】
i.試験後有害事象
治験担当医は、対象が試験参加を終了または中止した後に生じたSAEが先の試験薬物曝露に起因する場合はいずれも、医療モニター部門(Medical Monitor)に電話で迅速に通知すべきである。
【0457】
また、治験担当医は、試験に参加した女性対象がその後妊娠した子供に癌または先天性異常の発生があることを知った場合、医療モニター部門に通知しなければならない。