(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5871465
(24)【登録日】2016年1月22日
(45)【発行日】2016年3月1日
(54)【発明の名称】ブリージングプロテクター
(51)【国際特許分類】
A61M 16/04 20060101AFI20160216BHJP
【FI】
A61M16/04 Z
【請求項の数】18
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2010-504738(P2010-504738)
(86)(22)【出願日】2008年4月30日
(65)【公表番号】特表2010-524614(P2010-524614A)
(43)【公表日】2010年7月22日
(86)【国際出願番号】EP2008055295
(87)【国際公開番号】WO2008132222
(87)【国際公開日】20081106
【審査請求日】2011年2月16日
【審判番号】不服2013-21497(P2013-21497/J1)
【審判請求日】2013年11月5日
(31)【優先権主張番号】0701039-0
(32)【優先日】2007年4月30日
(33)【優先権主張国】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】500180662
【氏名又は名称】アトス メディカル アクティエボラーグ
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】パーソン ジャン−オーブ
【合議体】
【審判長】
内藤 真徳
【審判官】
山口 直
【審判官】
関谷 一夫
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2005/058403(WO,A1)
【文献】
特表2007−513722(JP,A)
【文献】
特開平9−506801(JP,A)
【文献】
特表2002−516144(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2003/0029456(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 16/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
咽頭を摘出された、または気管を切開された人の瘻孔において用いられるブリージングプロテクターであって、
前記ブリージングプロテクターは、
使用時に、空気の流れが流入口を介して、前記人の周囲から流出口へ、そして前記人の気管へと流れるように設けられる、少なくとも1つの流入口および少なくとも1つの流出口と、
使用時に、前記空気が前記流入口から前記流出口へと通過する場合に、前記空気が熱−湿気交換器および細菌フィルタを通過するように設けられる、熱−湿気交換器(3)および第1及び第2の細菌フィルタ(4)と、
前記少なくとも1つの流入口と前記少なくとも1つの流出口との間における連絡を閉鎖するように作動する閉鎖部材(6、51、63、65)と、を備え、
前記熱−湿気交換器は、第1の開口部および前記少なくとも1つの流出口を備えるハウジング(1)内に配置され、
前記ハウジングには、閉鎖リブが設けられ、前記閉鎖リブは、前記第1の開口部を囲み、
前記ブリージングプロテクターは、前記第1の開口部よりも大きい外周を有する縁部(5)を更に備え、
前記少なくとも1つの流入口のうちの1つの流入口(8)は、前記閉鎖リブと前記縁部との間に提供され、
前記第1の細菌フィルタは、前記第1の細菌フィルタが前記閉鎖リブから前記縁部へ延在するように、前記縁部に取り付けられ、
前記第2の細菌フィルタは、前記縁部の内側において、前記第2の細菌フィルタと前記第1の細菌フィルタとの間が離れた空間を形成するように、前記縁部に取り付けられ、
このように取り付けられることで、前記第1及び第2の細菌フィルタは、3次元的に配置されるブリージングプロテクター。
【請求項2】
前記第1及び第2の細菌フィルタが3次元的に配置されて、抗菌効果が複数の面において得られる、請求項1に記載のブリージングプロテクター。
【請求項3】
前記第1及び第2の細菌フィルタは、ひだが付けられているか、折り畳まれているか、湾曲しているか、または弓なりに曲がっており、その結果、複数面構造が提供される、請求項2に記載のブリージングプロテクター。
【請求項4】
前記ハウジングは、前記閉鎖部材が作動している間、前記閉鎖部材と協動し、前記少なくとも1つの流入口と前記少なくとも1つの流出口との間の連絡を閉鎖する、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のブリージングプロテクター。
【請求項5】
前記第1の細菌フィルタは前記閉鎖リブに取り付けられる、請求項4に記載のブリージングプロテクター。
【請求項6】
前記第2の細菌フィルタは、前記連絡が閉鎖される場合、前記閉鎖部材と前記閉鎖リブとの間の相互作用領域において圧迫されるように配置される、請求項4に記載のブリージングプロテクター。
【請求項7】
前記第2の細菌フィルタは、前記第2の細菌フィルタの残りの領域よりも、より薄い厚さを有する領域(10)を備え、この領域は、前記閉鎖リブと前記閉鎖部材との間の前記相互作用領域に対応する、請求項6に記載のブリージングプロテクター。
【請求項8】
前記閉鎖部材は可撓性カバーである、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のブリージングプロテクター。
【請求項9】
前記可撓性カバーは、前記第2の細菌フィルタの外側に提供され、前記縁部に取り付けられる、請求項8に記載のブリージングプロテクター。
【請求項10】
前記少なくとも1つの流入口のうちの別の1つの流入口(7)は、前記可撓性カバーと前記縁部との間に提供される、請求項9に記載のブリージングプロテクター。
【請求項11】
前記可撓性カバーは、前記閉鎖リブに対して適合するように形作られた隣接部(9)を備え、前記ブリージングプロテクターの閉鎖を容易にする、請求項10に記載のブリージングプロテクター。
【請求項12】
前記閉鎖部材(51)は、閉鎖盤(52)および安定化バー(53)を備え、前記安定化バーは、前記ブリージングプロテクターに亘るチューブ(54)の内腔に亘っている、請求項1に記載のブリージングプロテクター。
【請求項13】
前記チューブは、前記流出口におけるウェブに接続されている、請求項12に記載のブリージングプロテクター。
【請求項14】
前記閉鎖部材(51)は、前記閉鎖盤(52)に接続されたバネユニット(55)を備える、請求項12または請求項13に記載のブリージングプロテクター。
【請求項15】
前記バネユニット(55)は、弓なりに曲がっているか、または湾曲した可撓性のバーであり、前記閉鎖盤の外周に沿って第1の位置から第2の位置へ延在し、
前記第1の位置および前記第2の位置は、前記外周に沿って互いに対して実質的に対角線上に位置され、
前記バネユニット(55)は、前記閉鎖盤の外周と向かい合うように延在し、閉鎖機構が静止位置にある場合、前記閉鎖盤(52)から少し離れて、前記チューブ(54)に取り付けられるかまたは一体化される、請求項14に記載のブリージングプロテクター。
【請求項16】
前記ブリージングプロテクターの内側に沿って配置された停止部材(56)を備え、前記閉鎖盤(52)は、前記停止部材(56)上に静止している場合、密封作用を提供することができるようになっている、請求項12から請求項15のいずれか一項に記載のブリージングプロテクター。
【請求項17】
前記バネユニットは、複数の弓なりに曲がっているか、または湾曲した可撓性のバーを備える、請求項15に記載のブリージングプロテクター。
【請求項18】
咽頭を摘出された、または気管を切開された人の瘻孔において用いられるブリージングプロテクターであって、
前記ブリージングプロテクターは、
使用時に、空気の流れが流入口を介して、前記人の周囲から流出口へ、そして前記人の気管へと流れるように設けられる、少なくとも1つの流入口および少なくとも1つの流出口と、
使用時に、前記空気が前記流入口から前記流出口へと通過する場合に、前記空気が熱−湿気交換器および細菌フィルタを通過するように設けられる、熱−湿気交換器および細菌フィルタと、
前記少なくとも1つの流入口と前記少なくとも1つの流出口との間における連絡を閉鎖するように作動する閉鎖部材と、
自動会話バルブと、
を備える、ブリージングプロテクター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、咽頭摘出された、または気管を切開された(tracheotomised)人の瘻孔(小孔)(stoma)において用いられるブリージングプロテクターの分野に関し、このブリージングプロテクターは、使用時に、空気の流れが流入口を介して、その人の周囲から流出口へ、そしてその人の気管へと流れるように、少なくとも1つの流入口および少なくとも1つの流出口と、使用時に、上記空気が上記流入口から上記流出口へと通過する場合に、上記空気が熱−湿気交換器および細菌フィルタを通過するように、熱−湿気交換器および細菌フィルタとを備える。
【背景技術】
【0002】
気管開口術は外科的処置であり、開口部は、首の前部の表面から気管へと形成される。この開口部は気管瘻孔とよばれる。気管開口術の管は、気管瘻孔と気管との間に延在するように提供可能である。気管開口術は、例えば、神経系または呼吸経路に関連した損傷または疾患が原因となる機能不全(この機能不全により、十分な空気を得ることができない)が存在する場合に行われる。低肺活量または呼吸器の処置の必要性もまた、気管開口術が必要となる場合がある。
【0003】
喉頭摘出は、例えば、癌腫を処置するために用いられる外科的処置であり、これは喉頭(larynx)または喉頭(voice box)を除去して、気管瘻孔を生成することを含む。この処置の結果、気管は咽頭にはもはや繋がっておらず、その代わりに気管瘻孔に回される。この処置の後、通常の鼻の機能は不可能となる。呼吸が通常に機能している被検体において、鼻および鼻腔を裏打ちする粘膜は、吸い込んだ空気を調節するという点で重要な機能を実行する。回旋状の通路および十分な血液供給により、吸い込んだ空気の温度および湿気の両方を上昇させて、肺の表面の温度および湿気のこれらのパラメータにおける差を最小にする。通常、一部の熱および湿気はまた、それが大気中へと放たれる前に、吐き出した空気から捕捉される。鼻道を裏打ちする粘膜はまた、吸い込んだ空気から、細かい埃の粒子、汚染物質、および微生物を取り除く役目を果たし、ならびに、繊毛の働きが粘膜および粒子を肺に移動させない。
【0004】
患者が喉頭摘出を受けた場合、実際には、吸い込んだ空気の全ては気管瘻孔を介して肺に入り、鼻は事実上、吸い込み行為には含まれない。吐き出した空気は気管瘻孔を通過してもよいが、ヴォイスプロテーゼが適合されている場合、瘻孔は塞がれ、その結果、吐き出した空気はヴォイスプロテーゼから咽頭へ、そして口へと回されて、患者が会話をすることが可能となる。吐き出した空気の流れが、気管瘻孔のバルブによって制御されることが所望される。これらの状況において、バルブは、呼吸する間は開いたままにできるが、吐き出した空気の流れが少量分増加すると、空気の流れをそらすために閉じられる。
【0005】
この点において、フィルタ装置およびブリージングプロテクターが、吸い込んだ空気を湿らせ、その吸い込んだ空気中の微粒子および細菌性の物質を取り除くことができるように開発されている。これは、鼻の機能に類似するものである。しかしながら、このような装置の製造に関するいくつかの問題が存在する。第1に、そのような装置のユーザは、サイズ(例えば、できるだけ小さい、その装置の表面積など)をそのままに保ちつつ、質の良い保湿および除去効果を必要とする。第2に、保湿効果および除去効果は、装置に対する大きな抵抗(resistance)を生成せずに、大きな表面積を必要とする。これらの基準は相反するものであり、読者も既に認めていることである。また、喉頭摘出を受けた人は、会話をしたいときには、指や親指をこれらの装置の上に押さえる必要があり、それによって、気管壁を介したこの装置および瘻孔を介する空気の流れを妨げ、このことが、ユーザの指からフィルタへ不純物が移動するため、不必要な汚染でフィルタに負担をかける。
【0006】
特許文献1は、気管瘻孔を介して呼吸された空気をフィルタリングする装置を記載する。この装置は、静電的に帯電された繊維のプレフィルタ、活性炭から形成された第1の層、および親水性材料の第2の層を備える。活性炭の使用は、この装置を介する空気の流れに対する抵抗における限定された増加と共に、微粒子のろ過およびガスの吸収を提供する。しかしながら、ユーザの指または親指は、細菌フィルタの抗菌効果に悪い影響を与える。なぜならば、その指または親指の完全に細菌のない状態を要求するには不合理であり、このことは、時が経つにつれて汚染されてゆくことを意味する。さらに、特許文献1による装置は、約50%の抗菌効果を達成するのみである。なぜならば、細菌フィルタの表面領域は、周囲と通じている開口部の表面領域に限定されており、この装置に対する十分な抵抗を提供するからである。
【0007】
特許文献2は、ハウジングおよび親水性フィルタリング盤を有する人工鼻であって、ハウジング中の窓を開く/閉じるように上下に移動可能であるキャップを備える人工鼻を記載する。特許文献2による人工鼻は、開位置から閉位置へと盛んに動かされる必要があり、非常に限られた抗菌効果しか有さない。
【0008】
それゆえ、改良されたブリージングプロテクターは有利であり、特に、向上された抗菌効果および申し分のない保湿効果、ならびに、会話の間ずっと、開口部上に指または親指を押さえることでフィルタを不必要に汚染しせずに、会話中などに患者が呼吸をし続けることができることを提供することを可能にするブリージングプロテクターは有利である。向上された抗菌効果および、開口部上に指または親指を押さえることでフィルタを不必要に汚染しせずに、会話の間、患者がブリージングプロテクターを閉じたままにしておくことができるブリージングプロテクターを取得することは有利であり、このブリージングプロテクターは、開位置から閉位置(逆もまた然り)へ盛んに動かされなければならないことによって達成されない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第5,666,950号明細書
【特許文献2】米国特許第5,487,382号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
向上された抗菌効果および申し分のない保湿効果を可能とし、その一方で、ブリージングプロテクターに対する満足できる抵抗を有する小さなブリージングプロテクターを提供することを可能にするブリージングプロテクターを提供することは有利である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
従って、本発明は、上述の弱点の1つ以上を緩和し、多少なりとも解決し、または解消し、参照された種類の改良されたブリージングプロテクターを提供することを模索する。この目的のために、ブリージングプロテクターは、少なくとも1つの流入口と少なくとも1つの流出口との間の連絡を閉鎖するように作動してもよい閉鎖部材によって特徴付けられる。
【0012】
本発明の有利な特徴は、従属の請求項において規定される。本発明が可能であるこれらおよび他の態様、特徴、ならびに利点は、本発明の実施形態の以下の記載から明らかであり、解明され、添付の図面へ参照がなされる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係るブリージングプロテクターの断面図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態に係るブリージングプロテクターの斜視断面図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施形態に係るブリージングプロテクターの周囲に面する側の斜視図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施形態に係るブリージングプロテクターの患者に面する側の斜視図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施形態に係るブリージングプロテクターの斜視断面図である。
【
図6】
図6は、本発明の一実施形態に係る会話バルブを備えるブリージングプロテクターの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下の記載は、ブリージングプロテクター、特に、咽頭摘出された、または気管を切開された人の瘻孔(小孔)(この瘻孔はその人の気管と通じている)において用いられるブリージングプロテクターに適用可能な本発明の実施形態に焦点を当てる。しかしながら、本発明はこの用途に限定されず、人が、空気の流れから細菌物質を取り除きつつ、空気の湿気を保湿したり、この空気の流れを閉鎖することができることを提供する他の技術分野にも応用してもよい。
【0015】
図1および
図2に係る本発明の実施形態においてブリージングプロテクターが提供される。このブリージングプロテクターは、収容部(accommodation)を有するハウジング1を備え、このハウジング1は、第1および第2の開口部を有する。ハウジング1の第1の開口部は、閉鎖表面2を備え、第1の開口部を取り囲んでいる。この収容部は、熱−湿気交換器3を収容しているので、空気が第1の開口部から第2の開口部へと通過するときに、この熱−湿気交換器を通過する。細菌フィルタ4は、第1の開口部に亘って、ブリージングプロテクター上に適用される。従って、空気は、周囲から瘻孔へ通過するときに、細菌フィルタ4を通過し、次いで、熱−湿気交換器3を通過する。そこに、または、その上に亘って、ブリージングプロテクターが、ハウジングの第2の開口部を介して、患者の気管へと配置される。
【0016】
一実施形態において、閉鎖表面2は、閉鎖リブとして配置されてもよく、密閉作用が、閉鎖リブの接続領域によって実行される。この閉鎖リブは、より大きい幅を有する表面よりも小さい接続領域を有してもよく、その閉鎖する力は、より高い密閉圧力を与える、より小さい領域に作用するのみである。
【0017】
熱−湿気交換器の材料は、その中に複数の流路を含むべきであり、その複数の流路がランダムに方向付けられる、開口構造を有するべきである。材料は、紙、発泡プラスチック、異なる繊維からなる詰め物、または、その組み合わせを含んでもよい。また、湿気吸収物質が含まれていてもよい。さらに、その材料中の孔または隙間が任意の特定の方向を有さない場合、それは有利であり、空気を容易に通すことで、意図された偏向を達成するために、多数の方向に材料を通過し得る。
【0018】
本発明の一実施形態において、細菌フィルタ4は静電フィルタである。
【0019】
図1に開示された実施形態によれば、細菌フィルタ4は、第1の開口部に関しては、複数面にて配置される。従って、その細菌フィルタ4によって提供される細菌学的効果は、2つ以上の平面において得られる。このように、細菌学的効果は、大きな表面領域において取得され得ると同時に、ブリージングプロテクターのサイズを小さく保つことができる。従って、このブリージングプロテクターは、それを着用する人に対して、かさばった(bulky)感じを与え得ず、同時に最大の細菌学的効果を提供する。用語「複数面(multi−planar)」は、いくつかのシートまたは層に限定されることを意図しておらず、むしろ、平面のシートまたは平面層など、2次元構造と異なり、3次元構造を示すことを意図する。従って、そのような平面のシートまたは平面層の厚さは、この点において、3次元構造を与えることを意図していない。
【0020】
図1および
図2に開示された実施形態によれば、細菌学的フィルタ4は、この細菌フィルタ4を縁部5に取り付けることによって、第1の開口部に関して複数面にて配置され、この縁部5は、第1の開口部の外周よりも大きな外周を有する。この縁部5は、実質的に円形または環状の形であってもよい。従って、細菌フィルタ4は、閉鎖表面、例えば閉鎖リブ2から、縁部5へと延在し、次いで、縁部5の断面領域を覆う。細菌フィルタ4は、従って、ハウジング1の第1の開口部を取り囲むように配置されてもよく、従って、細菌フィルタ4は、ハウジング1の第1の開口部の領域よりも大きい表面領域を有するであろう。この点において、用語、表面領域は、細菌フィルタ4の気孔を含むのではなく、細菌フィルタ4の外周領域、すなわち、細菌フィルタ4の円周の領域を単に含むことが意図される。有効領域(effective area)は、その代わり、細菌フィルタ4の気孔を含む表面領域を規定するために用いられる。このように、細菌フィルタ4のこの有効領域は、細菌フィルタ4に亘る圧力低下を増大させることなく、複数面によって増加されてもよく、同時に、他方で、ブリージングプロテクターの大きさの点において、縁部5の断面領域によって制限されるのみである。有効領域におけるこの増加は、縁部5の断面領域によってのみに限られるが、99パーセントより高い抗菌効果を提供する。
【0021】
本発明の別の実施形態において、細菌フィルタは、より小さな大きさのブリージングプロテクターで、最大の抗菌効果を提供するために、ひだがあるか、折り畳まれているか、湾曲しているか、弓なりに曲がっているか、または、複数面構造を備える他の態様である。
【0022】
図1に係る実施形態において、可撓性カバー6は縁部5に取り付けられるか、または一体化される細菌フィルタ4に対して外側に提供されている。このように、縁部5は、可撓性カバー6の外周であってもよい。この可撓性カバー6は、第1の流入口7が可撓性カバー6と縁部5との間に提供されるように配置される。このように、この第1の流入口7が提供され、これを介して、空気は流れ、その後に、細菌フィルタと接触するようになる。この実施形態のみでの可撓性カバー6は、細菌フィルタの外側に提供(
図3に示す)されているので、縁部5に亘り、第2の流入口8は、ブリージングプロテクターを着用する人の首に対向して提供される。第2の流入口8は
図4から容易に解明されるものであり、
図4は、本発明の一実施形態に係る、患者に対向する側の斜視図である。このように、抗菌効果を提供する大きな表面領域が取得され得る。また、第2の流入口8は、空気を、縁部5の周囲において曲げて、その空気を患者の肌に接触させ、その空気の乱れが増加されて、その空気が吸い込まれる前に患者の肌からの熱が、空気へ移される。このように、熱−湿気交換器3の加熱および保湿効果が多少向上され得る。また、ブリージングプロテクターを着用した人の首に対向する第2の流入口8は、さらに、ブリージングプロテクターの流入口を塞ぐ衣類の危険を制限する。なぜならば、その流入口は、第1の流入口7の形で、着用者の肌と並行に向けられているだけでなく、第2の流入口8の形で、着用者の肌の方向に向いているからである。
【0023】
可撓性カバー6の弾力性により、その可撓性カバー6は、内側に押し下げられることが可能となり、閉鎖リブ2などの閉鎖表面2と閉鎖するように(closingly)取り付けられる。可撓性カバー6が閉鎖リブ2に対して押されると、閉鎖による効果が得られる。この点において、可撓性カバー6は、ブリージングプロテクターの閉鎖を容易にするために、隣接部(abutment)9を備えてもよい。フィルタ装置のフィルタ上を指で押さえることによって、空気の流れをブロックする代わりに、可撓性カバー6を押し下げることから閉鎖の働きを達成することによって、細菌フィルタは、指からの過度の汚染から解放され得る。ブリージングプロテクターの閉鎖は、患者に発話の能力を提供することに影響を与える。可撓性カバー6の弾力性により、ブリージングプロテクター上への圧力が止まったときに、この可撓性カバー6は、ブリージングプロテクターの開口状態へと戻ることをさらに、可能にする。このように、ユーザは、会話をしたいときに、可撓性カバー6を押して、ブリージングプロテクターを会話モード/状態へと回転させてもよく、またユーザが会話を終えて、ブリージングプロテクターを呼吸モード/状態に戻したいときには、可撓性カバー6上の圧力を単に解放してもよい。
【0024】
本発明の一実施形態において、細菌フィルタは、閉鎖リブ2などの閉鎖表面2と、可撓性カバー6との間に配置されてもよく、その結果、細菌フィルタは、ブリージングプロテクターが閉鎖している間、閉鎖リブ2と可撓性カバー6との間において圧迫される。これは、
図1および
図2に係る実施形態において開示される。ブリージングプロテクターの閉鎖を容易にするために、細菌フィルタは、閉鎖リブ2および可撓性カバー6の相互作用領域に対応する、細菌フィルタの残りの部分よりも、より
薄い厚さを有する領域10が備わっていてもよい。
【0025】
本発明の別の実施形態において、細菌フィルタは、閉鎖リブ2などの閉鎖表面2に取り付けられ、その結果、細菌フィルタは、閉鎖リブ2の内側および外側に提供される。この実施形態において、閉鎖リブ2および可撓性カバー6は、その間にある細菌フィルタを圧迫することなく、直接に相互作用し得、ブリージングプロテクターを閉鎖する。さらに別の実施形態において、
図5によれば、ブリージングプロテクターは、ハウジング周囲の細菌フィルタに、第1および第2の開口部を有する収容部を取り付けることによって組み立てられてもよく、かかるハウジングは
図1に示されたものと類似している。この収容部は、熱−湿気交換器を収容し、その結果、空気がその第1の開口部から第2の開口部へと流れるとき、その空気はこの熱−湿気交換器を通過する。細菌フィルタのリングの穴は、ハウジングの外周に対応しており、その結果、細菌フィルタのリングは、ハウジング周囲において閉鎖するように取り付けられ得る。取付けは、接着剤によって、リングをハウジングに取り付けることによって改善され得る。別の実施形態において、リングをハウジングに取付けることは、超音波溶接によって実行されてもよい。その後、リングの外周に対応する形状を有する細菌フィルタの一部(patch)は、リングの外縁およびその一部に沿って、リングの上部に適合され、かつ密閉して取り付けられてもよく、その結果、空気は、細菌フィルタ、すなわち、使用時に、空気がブリージングプロテクターを通過するとき、リングまたはその一部のいずれかを通過しなければならない。その一部の上部において、閉鎖蓋もまた、リングの外縁およびその一部に沿って取り付けられてよい。閉鎖蓋は、外縁に沿って、流入口が備わっていてもよく、その結果、空気は、使用時に、ブリージングプロテクターを通過するとき、これらの流入口を通過し得、次いで、細菌フィルタのその一部を通過し得る。蓋により、細菌フィルタの汚染を最小限することが保証され、ブリージングプロテクターの抗菌効果を長くする。なぜならば、ユーザの指が細菌フィルタと接触しないようにするからである。
【0026】
熱−湿気交換器を備えるハウジングは、第1の開口部において、閉鎖機構が備わっていてもよく、この閉鎖機構がハウジングに対して押されたときに、ブリージングプロテクターを介した空気の流れが回避されるという効果を与える。このように、ブリージングプロテクターのユーザが閉鎖蓋上をハウジングに対して押すとき、ユーザは、ハウジング上に取り付けられた閉鎖機構を作動させ、ブリージングプロテクターを介する空気の流れを回避する。この作動は、上述のように、ユーザが会話をしたいときに実行されてもよい。この閉鎖機構51は
図5において開示され、閉鎖盤52および安定化バー53を備えてもよく、この安定化バーは、ハウジングおよび熱−湿気交換器の中心におけるチューブ54の内腔を通っている。このチューブは、ハウジングの第2の開口部におけるウェブと接続され、これにより、ハウジングに対して、チューブの位置を安定化させる。閉鎖機構はまた、閉鎖盤52に接続されたバネユニット55を備えてもよく、ユーザが空気の流れをブリージングプロテクターに通すことを回避したいときに、例えばユーザによって加えられる力などの、ブリージングプロテクター上へ加えられる力がないとき、開口動作を生じさせる。このバネユニット55は、弓なりに曲がっているかまたは湾曲した可撓性のバーであってもよく、このバーは、閉鎖盤の外周に沿って第1の位置から第2の位置へと延在し、この第1および第2の位置は、その外周に沿って互いに対して実質的に対角線上に位置される。弓なりに曲がっているかまたは湾曲したバーはまた、閉鎖機構が静止位置にあるとき、すなわち、上述に従って、力がブリージングプロテクター上に加えられていないときに、閉鎖盤52から少し離れて、チューブ54と接触する(例えば、チューブ54に取り付けられるか、または一体化される)。力が加えられたとき、その弓なりに曲がっているかまたは湾曲した可撓性バーにより、閉鎖盤52は、外周が停止部材56に支えられるまで、ハウジングの中心軸に沿って移動することができる。この停止部材56は、ハウジングの内側に沿って配置された突起部または複数の突起部であってもよい。停止部材56上の閉鎖盤52が静止すると、密閉することとなり、その結果、ブリージングプロテクターを介した空気の流れが回避される。力が開放されると、バネユニット55は、ハウジングの中心軸に沿って閉鎖盤52を反対方向にに移動させ、このようにして閉鎖動作を開放し、ブリージングプロテクターを介した空気の流れが再び得られる。閉鎖ユニット51はまた、複数の弓なりにまがっているかまたは湾曲した可撓性バーを備えてもよく、その閉鎖機構の弾力性が調節されてもよい。
【0027】
さらに別の実施形態において、
図6によれば、ブリージングプロテクターは、自動会話バルブ上において、細菌フィルタ61を取り付けることによって組み立てられてもよい。熱−湿気交換器62は、この実施形態において、会話バルブの流路内に配置されており、その結果、吸い込まれた空気はその熱−湿気交換器62を通過しなければならない。細菌フィルタのリングの穴は会話バルブの外周に対応しており、その結果、細菌フィルタのリングは、会話バルブのハウジング周囲に、閉鎖するように取り付けられてもよい。取付けは、接着剤により、リングを会話バルブに取り付けることによって改善されてもよい。別の実施形態において、リングを会話バルブに取り付けることは、超音波溶接によって実行されてもよい。その後、リングの外周に対応する形状を有する細菌フィルタの一部は、そのリングの外縁およびその一部に沿ってリングの上部に適合され、密閉するように取り付けられてもよく、その結果、空気は、細菌フィルタ、すなわち、使用時に、空気が、会話バルブの形におけるブリージングプロテクターを通過するとき、リングまたはその一部のいずれかを通過しなければならない。その一部の上部において、閉鎖蓋63もまた、リングの外縁およびその一部に沿って取り付けられてよい。閉鎖蓋63は、外縁に沿って、流入口64が備わっていてもよく、その結果、空気は、使用時に、一体化された会話バルブを有するブリージングプロテクターを通過するとき、これらの流入口を通過し得、次いで、細菌フィルタのその一部を通過し得る。自動会話バルブは、この関連においては、フラップ65が備わっており、強い吐き出しの間、会話バルブを介する空気の流れを閉鎖し、それゆえ、ブリージングプロテクターを介した空気の流れも閉鎖する。この種の自動会話バルブの機能は当業者に公知である。
【0028】
上述の実施形態においては、咽頭摘出された、または気管を切開された人の瘻孔(小孔)において用いられるブリージングプロテクターが記載されている。このブリージングプロテクターは、少なくとも1つの流入口および少なくとも1つの流出口で構成されており、使用時に、空気の流れは、この人の周囲から、その流入口を介して流出口へ、そしてその人の気管へと流れる。当業者に明らかであるように、特定的に開示されていなくとも、流入口および流出口は、既に開示された特定の流入口および流出口を単に分割することによって、流入口および流出口は増加された量に分割され得る。さらに、このブリージングプロテクターは、熱−湿気交換器3および細菌フィルタ4を備えており、その結果、この空気の流れが、使用時に、その流入口および流出口を通過するときに、その空気の流れは、その熱−湿気交換器3および細菌フィルタを通る。また、上述の開示によれば、ブリージングプロテクターは、上記の少なくとも1つの流入口と少なくとも1つの流出口との間の流通を閉鎖するように動作してもよい閉鎖部材6を備える。上述の実施形態において開示された閉鎖部材が、可撓性カバー6の1つの部材として、または可撓性カバー6に取り付けられる部材として示されているとしても、本発明者はまた、閉鎖部材は、細菌フィルタの下に位置してもよく、すなわち、吸い込みの間、空気の流路において、細菌フィルタの後に配置されてもよいことも想定している。このような閉鎖部材は、押され、またはスライドされることができ、ブリージングプロテクターの開口部または流入口と相互作用し、それにより、上記の少なくとも1つの流入口と少なくとも1つの流出口との間の流通を閉鎖する。作動中に、細菌フィルタが手による接触により汚染されたとしても、この実施形態はまた本発明に組み込まれる。
【0029】
本発明の実施形態の要素および構成要素は、任意の適切な方法において物理的に、機能的に、および論理的に実施されてよい。実際には、その機能性は、単一のユニットで、複数のユニットで、または他の機能ユニットの一部として実施されてよい。従って、本発明は、単一のユニットにおいて実施されてよく、または、異なるユニット間において、物理的および機能的に分配されてよい。
【0030】
本発明は特定の実施形態を参照して上述されているが、本明細書において説明される特定の形態に限定されることを意図されてはいない。むしろ、本発明は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定され、上述で特定されたもの以外の実施形態もまた、これらの添付された特許請求の範囲内で等しく可能である。
【0031】
特許請求の範囲内における用語「備える(含む)/備えている(含んでいる)(comprise/comprising)」は、他の要素または工程の存在を排除しない。さらに、個々に挙げられてはいるが、複数の手段、要素、または方法工程は、例えば、単一のユニットまたはプロセッサによって実施されてよい。さらに、個々の特徴が異なる請求項において含まれてよいが、これらは、有利に組み合わせることも可能であってよく、異なる請求項において含まれることは、特徴の組み合わせが実行可能ではない、および/または有利ではないということを含意しない。さらに、単数の言及は複数を排除しない。用語「1つの(a)」、「1つの(an)、」「第1の(first)」、および「第2の(second)」などは複数を除外しない。特許請求の範囲における参照符号は、明瞭な例として単に提供されており、如何なる意味においても特許請求の範囲の範囲を限定すると解釈されてはならない。