特許第5871527号(P5871527)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5871527ドアの挟み込みを検知する閾値の設定方法およびドアの挟み込みを検知する閾値の設定装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5871527
(24)【登録日】2016年1月22日
(45)【発行日】2016年3月1日
(54)【発明の名称】ドアの挟み込みを検知する閾値の設定方法およびドアの挟み込みを検知する閾値の設定装置
(51)【国際特許分類】
   E05F 15/41 20150101AFI20160216BHJP
   G01V 3/00 20060101ALI20160216BHJP
【FI】
   E05F15/41
   G01V3/00 Z
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2011-188308(P2011-188308)
(22)【出願日】2011年8月31日
(65)【公開番号】特開2013-49979(P2013-49979A)
(43)【公開日】2013年3月14日
【審査請求日】2014年6月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】592131560
【氏名又は名称】日本自動ドア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100108578
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 詔男
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100107836
【弁理士】
【氏名又は名称】西 和哉
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(72)【発明者】
【氏名】村田 良文
【審査官】 佐藤 美紗子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−042508(JP,A)
【文献】 特開2007−023729(JP,A)
【文献】 実開平04−032045(JP,U)
【文献】 特開平09−304214(JP,A)
【文献】 特開2005−351683(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0082998(US,A1)
【文献】 米国特許第04625291(US,A)
【文献】 米国特許第04563625(US,A)
【文献】 特開2011−132727(JP,A)
【文献】 特開2006−002531(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05F 15/00−15/79
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部をスライドして開閉するドアと、該ドアを開閉させる開閉用モータを有する開閉駆動部と、該開閉駆動部を制御する制御部とを備え、該制御部が、開放状態から閉鎖状態に向かう前記ドアが障害物と接触し前記開閉用モータの電流値が閾値を超えたことで前記ドアの挟み込みが生じたことを検知する検知部と、該検知部が前記ドアの挟み込みを検知したときに移動中の前記ドアを反転または停止させる判定を行う判定部と、前記ドアが反転または停止するときの開閉用モータの電流値を設定する設定部と、を有する自動ドア装置において、前記検知部が前記ドアの挟み込みが生じたことを検知する際の前記開閉用モータの閾値を設定するためのドアの挟み込みを検知する閾値の設定方法であって、
一方の端部が前記ドアと接続されるワイヤと、該ワイヤの他方の端部に接続されて該ワイヤが伸びきると該ワイヤを介して前記ドアに該ドアの閉鎖方向と反対方向の所定の負荷をかけることが可能な負荷部とを、開放状態から閉鎖状態に向かう前記ドアの閉鎖速度が一定となった後に前記ワイヤが伸びきるように設置し、
前記設定部で前記開閉用モータの電流値を変化させながら前記ドアに前記所定の負荷をかけ、前記ドアが反転または停止するときの前記開閉用モータの電流値を繰り返し測定し、
前記ドアが反転または停止するときの前記開閉用モータの電流値を前記ドアの挟み込みが生じたことを検知する際の閾値として設定することを特徴とするドアの挟み込みを検知する閾値の設定方法。
【請求項2】
前記負荷部は、前記所定の負荷と同等の重さの錘であることを特徴とする請求項1に記載のドアの挟み込みを検知する閾値の設定方法
【請求項3】
前記負荷部は、前記所定の負荷と同等の負荷を電気的にかけることが可能な負荷用モータであることを特徴とする請求項1に記載のドアの挟み込みを検知する閾値の設定方法
【請求項4】
前記負荷部は、前記所定の負荷と同等の負荷を機械的にかけることが可能な摩擦板であることを特徴とする請求項1に記載のドアの挟み込みを検知する閾値の設定方法
【請求項5】
開口部をスライドして開閉するドアと、該ドアを開閉させる開閉用モータを有する開閉駆動部と、該開閉駆動部を制御する制御部とを備え、該制御部が、開放状態から閉鎖状態に向かう前記ドアが障害物と接触し前記開閉用モータの電流値が閾値を超えたことで前記ドアの挟み込みが生じたことを検知する検知部と、該検知部が前記ドアの挟み込みを検知したときに移動中の前記ドアを反転または停止させる判定を行う判定部と、前記ドアが反転または停止するときの開閉用モータの電流値を設定する設定部と、を有する自動ドア装置において、前記検知部が前記ドアの挟み込みが生じたことを検知する際の前記開閉用モータの閾値を設定するためのドアの挟み込みを検知する閾値の設定装置であって、
一方の端部が前記ドアと接続されるワイヤと、
該ワイヤの他方の端部に接続されて該ワイヤが伸びきると該ワイヤを介して前記ドアに該ドアの閉鎖方向と反対方向の所定の負荷をかけることが可能な負荷部と、を備え、
前記ワイヤおよび負荷部は、開放状態から閉鎖状態に向かう前記ドアの閉鎖速度が一定となった後に前記ワイヤが伸びきるように設置され、
前記設定部で前記開閉用モータの電流値を変化させながら前記ドアに前記所定の負荷をかけて、前記ドアが反転または停止するときの前記開閉用モータの電流値を繰り返し測定し、
前記ドアが反転または停止するときの前記開閉用モータの電流値を前記ドアの挟み込みが生じたことを検知する際の閾値として設定することを特徴とするドアの挟み込みを検知する閾値の設定装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動ドア装置のドアに所定の負荷が加わり挟み込みが検出されるときの電流値を測定するための、ドアの挟み込みを検知する閾値の設定方法およびドアの挟み込みを検知する閾値の設定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、閉動作中のドアが、人や荷物などの障害物と衝突すると、この衝突(ドアの挟み込み)を検出して、閉動作中のドアを反転させて開放させる自動ドア装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
このような自動ドア装置では、ドアの挟み込みが発生すると、ドアを開閉する開閉用モータの負荷が変動するため、この開閉用モータの電流値や回転速度が予め設定された基準値を超えたと判断したときに、ドアの挟み込みを検出し、閉動作中のドアを反転させて開放させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−162441号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の自動ドア装置は、開閉用モータの電流値や回転速度が基準値を超えた場合にドアの挟み込みを検出しているため、挟み込みが検出されるときに実際にドアにどの程度の負荷がかかっているのかわからない。また、この基準値は、経験値や実際にドアと障害物が衝突したときの感覚によって決められている。
同様に、特許文献1の自動ドア装置では、基準値が、通常開閉時のドアの速度に対して何%減速した速度というように設定され、また、減速時間の補正係数も同様に設定されているため、ドアの重量や速度により実際に反転に要する力に大きなばらつきが生じている。
このため、ドアに所定の負荷がかかったときに、ドアの挟み込みが検出されてドアが反転するように設定することができないという問題がある。
【0005】
なお、薄膜素子や圧電素子を用いてセンサ表面にかかる圧力を電気信号に変換する圧力センサ、あるいは引っ張る力を測定するバネばかりやプッシュプルゲージなどを用いて、ドアの挟み込み時にドアにかかる負荷を測定することが考えられる。しかし、これらの手段を用いた場合、ドアの衝突力を逃がすことができないため、実際に測定されるのはドアの衝突力(衝撃力)であって、ドアにかかる負荷を測定することは困難である。
さらに、圧力センサにぶつかったドアは、停止するために必ず反転してしまい、また、プッシュプルゲージの場合は、ドアに取り付けられたワイヤが伸びきった後に、停止するために必ず反転してしまうため、ドアの挟み込みが検出されてドアが反転するときのドアにかかる負荷を測定することは困難である。
【0006】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、移動中のドアに所定の負荷がかかり、ドアの挟み込みが検出されるときの開閉用モータの電流値を測定することができるドアの挟み込みを検知する閾値の設定方法およびドアの挟み込みを検知する閾値の設定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明に係るドアの挟み込みを検知する閾値の設定方法は、開口部をスライドして開閉するドアと、該ドアを開閉させる開閉用モータを有する開閉駆動部と、該開閉駆動部を制御する制御部とを備え、該制御部が、開放状態から閉鎖状態に向かう前記ドアが障害物と接触し前記開閉用モータの電流値が閾値を超えたことで前記ドアの挟み込みが生じたことを検知する検知部と、該検知部が前記ドアの挟み込みを検知したときに移動中の前記ドアを反転または停止させる判定を行う判定部と、前記ドアが反転または停止するときの開閉用モータの電流値を設定する設定部と、を有する自動ドア装置において、前記検知部が前記ドアの挟み込みが生じたことを検知する際の前記開閉用モータの閾値を設定するためのドアの挟み込みを検知する閾値の設定方法であって、一方の端部が前記ドアと接続されるワイヤと、該ワイヤの他方の端部に接続されて該ワイヤが伸びきると該ワイヤを介して前記ドアに該ドアの閉鎖方向と反対方向の所定の負荷をかけることが可能な負荷部とを、開放状態から閉鎖状態に向かう前記ドアの閉鎖速度が一定となった後に前記ワイヤが伸びきるように設置し、前記設定部で前記開閉用モータの電流値を変化させながら前記ドアに前記所定の負荷をかけ、前記ドアが反転または停止するときの前記開閉用モータの電流値を繰り返し測定し、前記ドアが反転または停止するときの前記開閉用モータの電流値を前記検知部が前記ドアの挟み込みが生じたことを検知する際の閾値として設定することを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係るドアの挟み込みを検知する閾値の設定装置は、開口部をスライドして開閉するドアと、該ドアを開閉させる開閉用モータを有する開閉駆動部と、該開閉駆動部を制御する制御部とを備え、該制御部が、開放状態から閉鎖状態に向かう前記ドアが障害物と接触し前記開閉用モータの電流値が閾値を超えたことで前記ドアの挟み込みが生じたことを検知する検知部と、該検知部が前記ドアの挟み込みを検知したときに移動中の前記ドアを反転または停止させる判定を行う判定部と、前記ドアが反転または停止するときの開閉用モータの電流値を設定する設定部と、を有する自動ドア装置において、前記検知部が前記ドアの挟み込みが生じたことを検知する際の前記開閉用モータの閾値を設定するためのドアの挟み込みを検知する閾値の設定装置であって、一方の端部が前記ドアと接続されるワイヤと、該ワイヤの他方の端部に接続されて該ワイヤが伸びきると該ワイヤを介して前記ドアに該ドアの閉鎖方向と反対方向の所定の負荷をかけることが可能な負荷部と、を備え、前記ワイヤおよび負荷部は、開放状態から閉鎖状態に向かう前記ドアの閉鎖速度が一定となった後に前記ワイヤが伸びきるように設置され、 前記設定部で前記開閉用モータの電流値を変化させながら前記ドアに前記所定の負荷をかけて、前記ドアが反転または停止するときの前記開閉用モータの電流値を繰り返し測定し、前記ドアが反転または停止するときの前記開閉用モータの電流値を前記検知部が前記ドアの挟み込みが生じたことを検知する際の閾値として設定することを特徴とすることを特徴とする。
【0010】
本発明では、開閉用モータの電流値の閾値(設定値)を変化させながら移動中のドアに所定の負荷をかけて、ドアが反転または停止する電流値の閾値を測定することにより、移動中のドアに所定の負荷がかかりドアが反転または停止するときの開閉用モータの電流値の最適な閾値を知ることができる。
これにより、移動中のドアに所定の負荷がかかったときに、ドアが反転または停止するように設定することができる。
【0011】
また、本発明に係るドアの挟み込み検出時の電流値測定方法では、前記負荷部は、前記所定の負荷と同等の重さの錘としてもよい。
このようにすることにより、ワイヤの他方の端部に錘を吊り下げて、ドアを移動させたときにワイヤが伸びきり、錘が一定高さ持ち上がり、その後にドアが反転または停止した場合は、このときの開閉用モータの電流値の閾値を測定すれば、ドアに所定の負荷がかかりドア反転または停止するときの開閉用モータの電流値の最適な閾値を確実に知ることができる。
また、錘が一定高さ持ち上がり、その後にドアが反転または停止せずに同じ方向に移動した場合は、ドアが反転または停止するときの電流値の閾値を下げ、再度ドアを移動させる。そして、錘が一定高さ持ち上がり、その後にドアが反転または停止するまで電流値の閾値を調整する。
このようにして、錘が一定高さ持ち上がり、その後にドアが反転または停止したときの電流値の閾値を測定することで、ドアに所定の負荷がかかりドアが反転または停止するときの開閉用モータの電流値の最適な閾値を確実に知ることができる。
また、錘が一定高さ持ち上がることにより、ドアの挟み込みが生じたときにドアにかかる衝突力を逃がすことができるため、所定の負荷と同等の重さの錘を使用することで、ドアに所定の負荷をかけることができる。
【0012】
また、本発明に係るドアの挟み込み検出時の電流値測定方法では、前記負荷部は、前記所定の負荷と同等の負荷を電気的にかけることが可能な負荷用モータとしてもよい。
このようにすることにより、ワイヤの他方の端部に負荷用モータを接続し、ドアを移動させたときにワイヤが伸びきり、ドアが反転または停止したときの開閉用モータの電流値の閾値を測定すれば、ドアに所定の負荷がかかりドア反転または停止するときの開閉用モータの電流値の最適な閾値を確実に知ることができる。
また、ドアが反転または停止せずに同じ方向に移動した場合は、ドアが反転または停止するときの電流値の閾値を下げ、再度ドアを移動させる。そして、ドアが反転または停止するまで電流値の閾値を調整する。
このようにして、ドアが反転または停止したときの電流値の閾値を測定することで、ドアに所定の負荷がかかりドアが反転または停止するときの開閉用モータの電流値の最適な閾値を知ることができる。
また、負荷部は、所定の負荷と同等の負荷を電気的にかけることが可能な負荷用モータとしていることにより、負荷用モータが一定距離回転すれば、ドアの挟み込みが生じたときにドアにかかる衝突力を逃がすことができるため、ドアに所定の負荷をかけることができる。
【0013】
また、本発明に係るドアの挟み込み検出時の電流値測定方法では、前記負荷部は、前記所定の負荷と同等の負荷を機械的にかけることが可能な摩擦板としてもよい。
このようにすることにより、ワイヤの他方の端部に摩擦板を接続し、ドアを移動させたときにワイヤが伸びきり、ドアが反転または停止したときの開閉用モータの電流値の閾値を測定すれば、ドアに所定の負荷がかかりドアが反転または停止するときの開閉用モータの電流値の最適な閾値を知ることができる。
また、ドアが反転または停止せずに同じ方向に移動した場合は、ドアが反転または停止するときの電流値の閾値を下げ、再度ドアを移動させる。そして、ドアが反転または停止するまで電流値の閾値を調整する。
このようにして、ドアが反転または停止したときの電流値の閾値を測定することで、ドアに所定の負荷がかかりドアが反転または停止するときの開閉用モータの電流値の最適な閾値を知ることができる。
また、負荷部は、所定の負荷と同等の負荷を機械的にかけることが可能な摩擦板としていることにより、摩擦板が一定距離回転すれば、ドアの挟み込みが生じたときにドアにかかる衝突力を逃がすことができるため、ドアに所定の負荷をかけることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、開閉用モータの電流値の閾値を変化させながら移動中のドアに所定の負荷をかけて、ドアが反転または停止する電流値の閾値を測定することにより、移動中のドアに所定の負荷がかかりドアが反転または停止するときの開閉用モータの電流値の最適な閾値を知ることができる。
これにより、移動中のドアに所定の負荷がかかったときに、ドアが反転または停止するように設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の第1実施形態による自動ドア装置およびドアの挟み込み検出時の電流値測定装置の一例を示す図である。
図2図1に示す自動ドア装置およびドアの挟み込み検出時の電流値測定装置のブロック図である。
図3】ワイヤが伸びきったときのドアの挟み込み検出時の電流値測定装置を説明する図である。
図4】ドアが閉鎖状態となったときのドアの挟み込み検出時の電流値測定装置を説明する図である。
図5】ドアの挟み込み検出時の電流値測定方法のフロー図である。
図6】錘が少し持ち上がったときのドアの挟み込み検出時の電流値測定装置を説明する図である。
図7】第2実施形態によるドアの挟み込み検出時の電流値測定装置の一例を示す図である。
図8】第3実施形態によるドアの挟み込み検出時の電流値測定装置の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1実施形態)
以下、本発明の実施形態によるドアの挟み込み検出時の電流値測定方法、電流値設定方法(ドアの挟み込みを検知する閾値の設定方法)、および電流値測定装置(ドアの挟み込みを検知する閾値の設定装置)について、図1乃至図6に基づいて説明する。
図1および図2に示すように、本実施形態による自動ドア装置1は、開口部2(図1参照)をスライドして開閉するドア3と、ドア3を開閉させる開閉用モータ4を有する開閉駆動部5と、開閉駆動部5を制御する制御部6とを備えている。
そして、制御部6は、閉動作中のドア3が人や荷物などの障害物(不図示)と衝突しドア3の挟み込みが生じたことを検知する検知部7と、検知部7がドア3の挟み込みを検知したときに閉動作中のドア3を反転させて開放させる判定を行う判定部8と、ドア3が反転するときの開閉用モータ4の電流値の閾値を設定する設定部9とを備えている。
【0017】
検知部7は、閉動作中のドア3が障害物と衝突すると、ドア3を開閉させる開閉用モータ4の電流値が上昇するため、開閉用モータ4の電流値が一定の値(閾値)を超えたことでドア3の挟み込みが生じたことを検知するように構成されている。
【0018】
そして、本実施形態によるドア3の挟み込み検出時の電流値測定方法は、閉動作中のドア3に所定の負荷が加わりドア3の挟みこみが検出されるときの開閉用モータ4の電流値の閾値を測定する方法である。
このドア3の挟み込み検出時の電流値測定方法は、一方の端部22aがドア3と接続されたワイヤ22と、ワイヤ22の他方の端部22bに接続されてドア3に所定の負荷をかけることが可能な錘(負荷部)23と、ワイヤ22がかけられる滑車24とを備えるドア3の挟み込み検出時の電流値測定装置21を使用して行う。
【0019】
滑車24は、ドア3の開放される側の側方に、ドア3の上端部の高さと同じ高さに設置されている。
また、錘23は、滑車24の下方の床面に設置されている。
ワイヤ22は、一方の端部22aがドア3の上端部に接続されていて、滑車24にかけられると、滑車24から一方の端部22a側が水平方向に延在し、滑車24から他方の端部22b側が鉛直方向に延在している。
【0020】
そして、図3に示すように、ワイヤ22は、ドア3が開放状態から閉鎖状態に向かうときの閉鎖速度が一定となる区間において伸びきり、ドア3が開放状態の時には、たるむように設置されている。なお、ドア3の閉鎖速度が一定となる区間が複数ある場合は、その中から1つの区間を選定し、選定された区間においてワイヤ22が伸びきるように設定する。
また、図4に示すように、ドア3が、上記区間を通過して閉鎖状態に向かうと、錘23がワイヤ22に引っ張られて上方に持ち上がるように構成されている。これにより、ワイヤ22が伸びきると、ドア3に錘23の荷重が負荷としてかかることになる。
【0021】
次に、ドア3の挟み込み検出時の電流値測定方法について図5のフロー図に基づいて説明する。
本実施形態では、閉動作中のドア3に1kgの負荷がかかりドア3が反転するときの開閉用モータ4の電流値の閾値を測定する。
まず、ドア3を全開状態とし(S1)、ドア3の挟み込み検出時の電流値測定装置21を設置する。このとき、錘23の荷重は1kgとする。
また、設定部9を操作して、挟み込みを検出するときの開閉用モータ4の電流値の閾値を任意の値に設定する(S2)。
【0022】
続いて、開閉駆動部5を駆動させてドア3を閉鎖させる(S3)。
これにより、ドア3が開放状態から閉鎖状態に向かうときの閉鎖速度が一定となる区間においてワイヤ22が伸びきり、錘23の荷重と同等の負荷(1kg)が閉動作中のドア3にかかる。
このとき、図6に示すように、錘23が一定高さ持ち上がり、その後、ドア3が反転して開放するか、反転せずにそのまま閉まるかを確認する(S4)。
なお、錘23が一定高さ持ち上がることにより、ドア3の挟み込みが生じたときにドア3にかかる衝突力を逃がすことができるため、ドア3に1kgの負荷を確実にかけることができる。
【0023】
そして、ドア3が反転した場合は、挟み込みを検出するときの開閉用モータ4の電流値の閾値を既に設定した電流値の閾値から上げた値に変更する(S5)。
また、ドア3が反転せずに錘23が更に持ち上がって閉鎖した場合は、開閉用モータ4の電流値の閾値を既に設定した電流値の閾値から下げた値に変更する(S6)。
【0024】
続いて、再度開閉駆動部5を駆動させてドア3を閉鎖させて、ドア3が反転するかしないかを確認して、挟み込みを検出するときの開閉用モータ4の電流値の閾値を調整する。
これを繰り返して、ドア3が反転する場合と閉鎖する場合との開閉用モータ4の電流値の閾値を求める。そして、このドア3が反転する場合と閉鎖する場合との開閉用モータ4の電流値の閾値が、1kgの荷重がドア3にかかりドア3が反転するときの電流値の閾値(電流値の最適な閾値)となる。
なお、このドア3が反転する場合と閉鎖する場合との閾値を、例えば、ドア3の閉鎖速度50mm/sec毎、ドア3の重量5kg毎に求めて、ドア3の設定閉鎖速度や重量と、ドア3が反転する場合と閉鎖する場合との閾値との関係を示す計算式や表を作成してもよい。
【0025】
そして、ドア3に1kgの荷重がかかりドア3が反転するときの電流値の閾値を設定部9で設定することで、閉動作中のドア3に1kgの負荷がかかるとドア3が反転して開放するように設定することができる。
【0026】
次に、上述したドア3の挟み込み検出時の電流値測定方法の作用効果について図面を用いて説明する。
本実施形態によるドア3の挟み込み検出時の電流値測定方法によれば、開閉用モータ4の電流値の設定値を変化させながら閉動作中のドア3に1kgの負荷をかけて、ドア3が反転する電流値の閾値を測定することにより、ドア3に1kgの負荷がかかり反転するときの開閉用モータ4の電流値を知ることができる。
これにより、閉動作中のドア3に1kgの負荷がかかったときに、ドア3が反転するように設定することができる。
【0027】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について、添付図面に基づいて説明するが、上述の第1実施形態と同一又は同様な部材、部分には同一の符号を用いて説明を省略し、第1実施形態と異なる構成について説明する。
図7に示すように、第2実施形態によるドア3の挟み込み検出時の電流値測定方法では、第1実施形態の錘23(図1参照)に代わって、ドア3に1kgの負荷を電気的にかけることが可能な負荷用モータ31を備えるドア3の挟み込み検出時の電流値測定装置32を使用している。
【0028】
この負荷用モータ31は、ワイヤ22の他方の端部22bと接続されていて、ドア3が開放状態から閉鎖状態に向かうときの閉鎖速度が一定となる区間においてワイヤ22が伸びきると、ワイヤ22を介してドア3に1kgの負荷を電気的にかけるように構成されている。
本実施形態では、第1実施形態と同様に開閉用モータ4の電流値の閾値を変化させながら、ドア3が反転する場合と閉鎖する場合との開閉用モータ4の電流値の閾値を測定する。
【0029】
第2実施形態によるドア3の挟み込み検出時の電流値測定方法では、第1実施形態と同様の効果を奏する。
また、負荷用モータ31を使用することにより、負荷用モータ31が一定距離回転すれば、ドア3の挟み込みが生じたときにドア3にかかる衝突力を逃がすことができるため、ドア3に所定の負荷を確実にかけることができる。
また、ドア3に1kg以外の負荷をかけるときに、負荷用モータ31を調整することで、容易に任意の負荷をかけることができる。
【0030】
(第3実施形態)
図8に示すように、第2実施形態によるドア3の挟み込み検出時の電流値測定方法では、第1実施形態の錘23(図1参照)に代わって、ドア3に1kgの負荷を機械的にかけることが可能な摩擦板33を備えるドアの挟み込み検出時の電流値測定装置34を使用している。
【0031】
この摩擦板33は、ワイヤ22の他方の端部22bと接続されていて、ドア3が開放状態から閉鎖状態に向かうときの閉鎖速度が一定となる区間においてワイヤ22が伸びきると、ワイヤ22を介してドア3に1kgの負荷を機械的にかけるように構成されている。
本実施形態では、第1実施形態と同様に、開閉用モータ4の電流値の閾値を変化させながら、ドア3が反転する場合と閉鎖する場合との開閉用モータ4の電流値の閾値を測定する。
【0032】
第3実施形態によるドアの挟み込み検出時の電流値測定方法では、第1実施形態と同様の効果を奏する。
また、摩擦板33を使用することにより、摩擦板33が一定距離回転すれば、ドア3の挟み込みが生じたときにドア3にかかる衝突力を逃がすことができるため、ドア3に所定の負荷を確実にかけることができる。
また、ドア3に1kg以外の負荷をかけるときに、摩擦板33の摩擦力を調整することで、容易に任意の負荷をかけることができる。
【0033】
以上、本発明によるドアの挟み込み検出時の電流値測定方法、ドアの挟み込み検出時の電流値設定方法、およびドアの挟み込み検出時の電流値測定装置21,32,34の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上述した実施形態では、閉動作中のドア3に1kgの負荷がかかったときに反転するよう電流値の閾値を設定しているが、ドア3にかかる負荷は1kg以外でもよく任意に設定されてもよい。
【0034】
また、上述した実施形態では、閉動作中のドア3に所定の負荷が加わりドア3の挟みこみが検出されるときの開閉用モータ4の電流値の閾値を測定しているが、閉動作中のドア3に代わって、開動作中のドア3に所定の負荷が加わりドア3の挟みこみが検出されるときの開閉用モータ4の電流値の閾値を測定してもよい。開動作中のドア3の挟み込みとは、例えば、開動作中のドア3と戸袋との間に障害物が挟みこまれた状態である。
また、上述した実施形態では、ドア3の挟み込みが検出されると、ドア3が反転するように制御されているが、反転に代わってドア3が停止するように制御されていてもよい。
【符号の説明】
【0035】
1 自動ドア装置
2 開口部
3 ドア
4 開閉用モータ
5 開閉駆動部
6 制御部
7 検知部
8 判定部
9 設定部
21,32,34 電流値測定装置
22 ワイヤ
22a 一方の端部
22b 他方の端部
23 錘(負荷部)
24 滑車
31 負荷用モータ(負荷部)
33 摩擦板(負荷部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8