(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を説明する。むろん、以下に説明する実施形態は、本発明を例示するものに過ぎない。
【0018】
(1)成形品を分ける装置の概要:
まず、
図1〜20を適宜参照して、本発明の一実施形態に係る成形品区分け装置の概要を説明する。
図1,2に示す成形品製造システム1は、成形品PR3を積み重ねた成形品スタックST1から成形品PR3を分ける成形品区分け装置5を有している。なお、
図1,2において、シート搬送方向D1、及び、成形品PR1の搬送方向D2は左から右へ向かう方向である。
図2において、幅方向D4は成形品の搬送方向D2に直交する水平方向である。成形品区分け装置5は、
図9,12等に示すように、昇降テーブル210、掛止部220、非接触センサ230、分離制御手段240、を備える。
【0019】
昇降テーブル210は、成形品スタックST1を載置するための昇降可能なテーブルである。掛止部220は、昇降テーブル210に載置される成形品スタックST1を構成する成形品PR3同士の隙間CL1に第一の高さH1で挿入して該第一の高さH1よりも下の成形品PR3を掛止可能である。非接触センサ230は、昇降テーブル210に載置された成形品スタックST1が第二の高さH2に存在するか否かを非接触で検出する。分離制御手段240は、
図20等に示すように、昇降テーブル210を昇降させて非接触センサ230の検出信号の状態が切り替わったときの昇降テーブル210の高さH3を基準とした相対的な設定高さH6まで前記昇降テーブル210を昇降させて、成形品スタックST1を構成する成形品PR3同士の隙間CL1に掛止部220を挿入させる。
【0020】
すなわち、昇降テーブル210が昇降して非接触センサ230の検出信号の状態が切り替わったときの昇降テーブル210の高さH3を基準とした相対的な設定高さH6まで昇降テーブル210が昇降し、成形品スタックST1を構成する成形品PR3同士の隙間CL1に掛止部220が挿入される。これにより、成形品スタックST1の最上成形品に当接する部品が不要となり、最上成形品への傷の付着が抑制される。
【0021】
また、掛止部220が昇降テーブル210に載置される成形品スタックST1に向かって斜めに下がった上面223を有すると、最上成形品を分け易くすることができる。
【0022】
さらに、掛止部220が前記上面223と交差する鉛直面227を有し第一の高さH1よりも上側の成形品PR3の水平位置を決める位置決め部226を有すると、分けた最上成形品を取り出し易くすることができる。
【0023】
さらに、分離制御手段240は、相対的な設定高さH6を決める入力を受け付ける高さ入力手段242を有し、該受け付けた入力で決まる相対的な設定高さH6まで昇降テーブル210を昇降させて、成形品スタックST1を構成する成形品PR3同士の隙間CL1に掛止部220を挿入させてもよい。本態様は、入力により成形品スタックST1に対する掛止部220の挿入位置が変わるので、成形品PR3の高さが変わるときの切り替え作業を軽減することができる。
【0024】
(2)成形品製造システムの説明:
図1,2に示す成形品製造システム1は、SE1〜SE13で表した各部を備え、成形可能なシートSH1からショット毎に所定数の成形品PR1を形成し、補充用の成形品PR3を必要に応じて供給位置L3に載置(配置)した後、前記所定数の成形品PR1を整列状態で搬送して積重位置L4に積み重ね、設定数積み重ねられた成形品スタックST1を取り出す。前記ショットは、成形品PR1を一度に扱う単位を意味する。本成形品製造システム1の場合、ショット毎にシートSH1から形成される未分離の成形品SH2aの数、ショット毎に成形シートSH2から形成される成形品PR1の数、及び、ショット毎に吸着ボックス50,80で搬送される成形品PR1の数は、同じである。
図2等では、搬送方向D1,D2に3個、幅方向D4に3個、の計9個が1ショットで扱われる成形品数としている。
なお、成形品製造システム1は、供給位置L3に配置された複数の成形品PR1を整列状態で搬送して積重位置L4に積み重ねる成形品取出装置4を有している。トリミング取出装置3は、シート搬送装置10、トリミング装置40、成形品取出装置4、を備える。成形取出装置2は、シート搬送装置10、成形装置20、トリミング装置40、成形品取出装置4、を備える。
【0025】
シート供給部SE1は、例えば、シートSH1を巻いたロールSH0をほどき、連続して繋がった連続シートSH1を所定の成形位置L1へ向かう所定のシート搬送方向D1へ搬送する。この動作は、制御盤100(制御部SE13)の制御に従って、間欠的に行われる。
【0026】
シートSH1は、熱可塑性樹脂シートのような樹脂シート、熱可塑性を示す樹脂以外の熱可塑性シート、紙、等の成形可能なシートを用いることができる。前記樹脂シートは、熱可塑性樹脂等の樹脂のみからなる樹脂シートでも、樹脂に充てん材等の添加剤が添加された材質からなるシートでもよく、単層シートでも、異なる材質をラミネートした積層シートでもよい。シートSH1の素材には、ポリエチレン(Polyethylene)、ポリプロピレン(Polypropylene)、ポリスチレン(Polystyrene)、ポリ塩化ビニル(Poly (vinyl chloride))、ABS樹脂(Acrylonitrile-butadiene-styrene resin)、ポリエチレンテレフタレート(Poly (ethylene terephthalate))、ポリカーボネート(Polycarbonate)、ポリアミド(Polyamide)、アクリル樹脂(Acrylic resin)、これらの組み合わせ、等を利用可能である。また、シートSH1は、シート状ないしフィルム状になっていればよく、ロール状に巻かれていても、所定の長さにカットされていてもよい。シートの厚みは、1〜2mm程度、0.25〜1mm程度、等、様々な厚みとすることが可能であり、3mm程度以上の厚物シートでもよいし、0.25mm程度以下のフィルムでもよい。
シートSH1から形成される成形品PR1には、食品容器といった容器、家電製品の内箱や操作パネルといった構成品、等がある。
【0027】
加熱部SE2は、ヒーターSE2aを有し、搬送中のシートSH1を溶融しない範囲で軟化する温度以上に輻射加熱する。
図1に示す加熱部SE2はシートSH1の上側と下側とにヒーターSE2aが配置されているが、どちらか一方を省略することも可能である。また、シートSH1の加熱は、熱板等による接触加熱、熱風による加熱、バーナー等による加熱、等でもよい。
【0028】
図5に例示するシート搬送装置10は、シートSH1〜SH3の縁部SH1c,SH1cを保持してシートSH1〜SH3をシート搬送方向D1へ搬送する保持搬送機構11,11を備えている。各保持搬送機構11は、シートの縁部SH1cを保持する保持機構を複数取り付けた無端チェーン12をサーボモータ14で周回駆動する。シート縁部の保持は、シート縁部のクランプでもよいし、突き刺し部材によりシート縁部を突き刺すことによる保持でもよい。シート搬送装置は、シート搬送方向D1に対して複数に分割されてもよい。シート搬送方向D1へ繋がったシートSH1〜SH3は、制御盤100の制御に従って間欠的に搬送される。
【0029】
図3,4に例示する成形部SE3の成形装置20は、シートSH1の上面SH1a側で昇降可能なテーブル21、シートSH1の下面SH1b側で昇降可能なテーブル22、上側のテーブル21の下に設けられた成形型23、下側のテーブル22の上に設けられたクランプ24、差圧供給孔23bから成形面23aに差圧を供給する差圧供給機構25、を備えている。各成形型23及び各クランプ24は、供給位置L3に載置される各成形品PR1の整列状態(
図7(c)参照)に合わせて成形位置L1に配置されている。各成形型23は、上方へ凹んだ雌型とされているが、下方へ凸とされた雄型や凹凸のある型でもよい。また、成形型を下側に配置しクランプを上側に配置してもよい。テーブル21,22は、図示しない成形用テーブル駆動機構により、設定された離間位置と近接位置との間で上下方向に近接及び離間する。これにより、成形型23は
図3に示す離間位置L11と
図4に示す近接位置L13との間で昇降し、クランプ24は
図3に示す離間位置L12と
図4に示す近接位置L14との間で昇降する。
【0030】
成形装置20は、
図3に示すように成形型23とクランプ24とが離間した状態で1ショット分の加熱軟化状態のシートSH1が成形位置L1に搬入されると、
図4に示すように成形型23とクランプ24とを近接させ、差圧供給機構25により負圧を差圧供給孔23bに作用させてシートSH1を成形面23aに密接させる。このようにして、各成形型23を用いてシートSH1をショット毎に成形することができる。成形装置20が成形型23とクランプ24とを離間させると、
図6に示すような成形シートSH2は、シートSH1に繋がった状態で成形位置L1から搬出され、トリミング位置L2に搬入される。このとき、次ショットのシートSH1が成形位置L1に搬入される。このようにして、成形装置20は、制御盤100の制御に従ってシートSH1を間欠的に真空成形する。
なお、シートSH1の成形は、上述した真空成形以外にも、圧空成形や圧空真空成形といった差圧成形、プレス成形、熱成形以外の成形、等でもよい。圧空真空成形は、圧空と真空とを併用する差圧成形である。熱成形には、差圧成形やプレス成形が含まれる。成形品PR1には、真空成形品や圧空成形品や圧空真空成形品といった差圧成形品、プレス成形品、等が含まれる。
【0031】
図6に例示するトリミング部SE4のトリミング装置40は、成形シートSH2の上面SH1a側で昇降可能なテーブル41、成形シートSH2の下面SH1b側で昇降可能なテーブル42、下側のテーブル42の上に設けられた型43及び切刃44、上側のテーブル41の下に設けられた受け部材45、を備えている。各型43及び各切刃44は、供給位置L3に載置される各成形品PR1の整列状態(
図7(c)参照)に合わせてトリミング位置L2に配置されている。各型43は、上方へ凸とされているが、下方へ凹んだ形状や凹凸のある形状でもよい。また、切刃を上側に配置し受け部材を下側に配置してもよいし、型を上側に配置してもよい。各切刃44は、例えばトムソン刃とすることができ、各型43の周囲において受け部材45に対向した刃先を有している。テーブル41,42は、図示しないトリミング用テーブル駆動機構により、設定された離間位置と近接位置との間で上下方向に近接及び離間する。これにより、型43及び切刃44は離間位置L22と近接位置L24との間で昇降し、受け部材45は離間位置L21と近接位置L23との間で昇降する。
【0032】
トリミング装置40は、
図6に示すように型43と受け部材45とが離間した状態で1ショット分の成形シートSH2がトリミング位置L2に搬入されると、型43と受け部材45とを近接させて各型43に成形シートSH2を載置(配置)させ、成形品SH2aの周囲で受け部材45に接触した成形シートSH2を切刃44により切断する。このようにして、各型43に配置された成形シートSH2を1ショット分トリミングし、各型43に各成形品PR1が配置された状態にすることができる。トリミング装置40が型43と受け部材45とを離間させると、
図1,5に示すようにスクラップシートSH3は成形シートSH2に繋がった状態でトリミング位置L2から搬出されてスクラップ回収部SE5に搬入され、吸着ボックス50が型43と受け部材45との間に進入して各成形品PR1が各型43上から搬出されて成形品解放部SE6に搬入される。このとき、次ショットの成形シートSH2がトリミング位置L2に搬入される。このようにして、トリミング装置40は、制御盤100の制御に従って成形シートSH2を間欠的にトリミングする。
【0033】
図1,7に示す成形品PR1は、倒置された容器とされ、食品等、物品を収納するための凹部に対応した凸部PR1a、及び、該凸部PR1aの周縁部から外方へ延出したフランジ部PR1bが形成されている。倒置された状態の成形品PR1の凸部PR1aは、上側になるほど若干小さくされ、上に隣接する成形品PR1の物品収納用の凹部に挿入可能である。倒置された状態の成形品PR1のフランジ部PR1bは、成形品PR1の最も下に配置される。むろん、成形品は、正立した容器でもよいし、容器以外の物品でもよい。
なお、トリミング装置は、切刃を受け部材に押し当てて成形シートを切断する装置、型の周囲の切刃により成形シートを打ち抜く装置、上刃と下刃とを摺接させる等して成形シートを打ち抜く装置、等が含まれる。従って、成形シートSH2のトリミングは、ダイプレス等でもよい。
【0034】
スクラップ回収部SE5は、成形品PR1の周囲にあったスクラップシートSH3を成形シートSH2に繋がった状態でシート搬送方向D1へ移送して回収する。この動作は、制御盤100の制御に従って、間欠的に行われる。
【0035】
図7(a),(b)に例示する吸着ボックス50は、
図7(c)に示すような整列状態で複数の型43に載置されたトリミング後の各成形品PR1を同時に保持可能であるとともに、該保持から解放可能である。吸着ボックス50は、差圧供給部53に接続された内部空間51を有する略箱状とされ、負圧を外部に作用させるため、成形品PR1よりも小さい吸引孔52が下面50aに多数形成されている。また、吸着ボックス50は、トリミング位置L2と成形品解放部SE6との間で成形品搬送方向D2に沿って水平に往復移動可能である。本吸着ボックス50は、トリミング装置40の切刃44及び受け部材45が離間したときにトリミング位置L2に進入し吸引孔52に負圧を作用させて成形品PR1を下面50aに吸着し、成形品解放部SE6まで移動し負圧の作用を停止して下面50aから成形品PR1を解放する。吸引孔52から圧空を供給して成形品PR1を解放してもよい。これらの動作は、制御盤100の制御に従って、間欠的に行われる。
【0036】
成形品解放部SE6は、
図7(c)に示すような整列状態で搬送された各成形品PR1を吸着ボックスの下面50aから解放して成形品送出コンベヤ61上に載置(配置)する。
図8(a),(b)に例示する成形品送出コンベヤ61は、
図7(c)に示すような整列状態で各成形品PR1を同時に載置して成形品搬送方向D2へ送り出す。成形品送出コンベヤ61は、差圧供給部67に接続された内部空間65を有するバキュームコンベヤとされ、負圧を外部に作用させるため、成形品PR1よりも小さい吸引孔66が無端ベルトに多数形成されている。また、成形品送出コンベヤ61は、上面61aの高さを変えるための昇降機構68を備えている。本成形品送出コンベヤ61は、下面50aに各成形品PR1を整列状態で吸着した吸着ボックス50が成形品解放部SE6に移動してきたとき、上昇することにより整列状態を維持して各成形品PR1を上面61aに載置させ、元の高さまで下降してから各成形品PR1を整列状態で下流側の成形品送出コンベヤ62へ送り出す。この動作は、制御盤100の制御に従って、間欠的に行われる。
【0037】
検査部SE7は、成形品送出コンベヤ62上を移動する各成形品PR1を検査するための検出装置33が設けられている。検出装置33には、
図7(c)に示すP1〜P9の位置に成形品が存在するか否かを検出するセンサ、成形品が設定サイズの範囲内であるか否かの検出する光センサ、成形品が設定の色範囲内であるか否かを検出する色彩計、成形品が設定の重量範囲内であるか否かを検出する重量センサ、異物としての金属を検出する金属探知器、等を用いることができる。成形品送出コンベヤ62は、
図7(c)に示すような整列状態で各成形品PR1を同時に載置(配置)して成形品搬送方向D2へ送り出す。成形品送出コンベヤ62は、上流側の成形品送出コンベヤ61の動作に合わせて各成形品PR1を整列状態で下流側の成形品送出コンベヤ63へ送り出す。この動作は、制御盤100の制御に従って、間欠的に行われる。
【0038】
待機部SE8は、
図7(c)に示すような整列状態で各成形品PR1を同時に上面63aに載置(配置)して成形品搬送方向D2へ送り出す成形品送出コンベヤ63が設置されている。待機部SE8では、必要に応じて規格外の成形品(不良品)を除いてもよい。この動作は、吸着ヘッド等により規格外品を排出する装置で行われてもよいし、人手により行われてもよい。成形品送出コンベヤ63は、上流側の成形品送出コンベヤ62の動作に合わせて各成形品PR1を整列状態で下流側の終端コンベヤ64へ送り出す。この動作は、制御盤100の制御に従って、間欠的に行われる。
【0039】
図9は、成形品補充部SE9で終端コンベヤ64(供給位置L3)上に設けられた成形品補充装置70を例示している。終端コンベヤ64は、
図7(c)に示すような整列状態で補充処理前の各成形品PR1を同時に載置(配置)する。終端コンベヤ64は、
図8(a),(b)に示すように、差圧供給部67に接続された内部空間65を有するバキュームコンベヤとされ、負圧を外部に作用させるため、成形品PR1よりも小さい吸引孔66が無端ベルトに多数形成されている。また、終端コンベヤ64は、上面64aの高さを変えるための昇降機構68を備えている。本終端コンベヤ64は、補充処理後、吸着ボックス80が供給位置L3に移動してきたとき、上昇することにより整列状態を維持して各成形品PR1を吸着ボックス80の下面80aに吸着させ、元の高さまで下降して上流側の成形品送出コンベヤ63から各成形品PR1を整列状態で搬入する。この動作は、制御盤100の制御に従って、間欠的に行われる。
【0040】
成形品補充装置70は、アーム71、吸着ヘッド72、制御部73、を備える。成形品補充装置70は、昇降テーブル210に載置(配置)された補充用の成形品PR3を終端コンベヤ64上の補充位置L6に補充する処理を行う。アーム71は、制御部73からの指令に従って吸着ヘッド72を上下左右前後に移動させる。吸着ヘッド72は、図示しない差圧供給部に接続され、制御部73からの指令に従って、負圧を外部に作用させて補充用の成形品PR3を吸着したり、負圧の作用を停止して成形品PR3を解放したりする。制御部73は、制御盤100(制御部SE13)の制御に従ってアーム71及び吸着ヘッド72を駆動する。
【0041】
図9,10に示すように、吸着ボックス80による複数の成形品PR1の搬送方向D2に直交する水平方向を幅方向D4とするとき、供給位置L3から幅方向D4の一方の外側D4aに補充品供給部SE12の成形品区分け装置5が設けられている。なお、供給位置L3から幅方向D4の他方の外側D4bにも成形品区分け装置を設けてもよい。成形品補充装置70は、制御盤100からの指令に従って、昇降テーブル210に載置された補充用の成形品PR3を補充位置L6へ移動させる。
【0042】
終端コンベヤ64上から成形品PR1を搬送する吸着ボックス80は、
図7(c)に示すような整列状態で終端コンベヤ64に載置された補充処理後の各成形品PR1を同時に保持可能であるとともに、該保持から解放可能である。吸着ボックス80は、
図7(a),(b)に示すように、差圧供給部(53)に接続された内部空間(51)を有する略箱状とされ、負圧を外部に作用させるため、成形品PR1よりも小さい吸引孔(52)が下面80aに多数形成されている。また、吸着ボックス80は、供給位置L3と積重位置L4との間で成形品搬送方向D2に沿って水平に往復移動可能である。本吸着ボックス80は、補充処理後に供給位置L3に進入し吸引孔(52)に負圧を作用させて成形品PR1を下面80aに吸着し、積重部SE10の積重位置L4まで移動し負圧の作用を停止して下面80aから成形品PR1を解放する。吸引孔(52)から圧空を供給して成形品PR1を解放してもよい。
【0043】
積重部SE10は、
図7(c)に示すような整列状態で搬送された補充処理後の各成形品PR1を吸着ボックスの下面80aから解放してスタック送出コンベヤ91(積重位置L4)上に積み重ねる。スタック送出コンベヤ91は、
図7(c)に示すような整列状態で設定数の成形品PR1を積み重ねた成形品スタックST1を同時に載置して成形品搬送方向D2へ送り出す。スタック送出コンベヤ91は、上面の高さを変えるための昇降機構を備え、下面80aに各成形品PR1を整列状態で吸着した吸着ボックス80が積重位置L4上に移動してきたとき、上昇することにより整列状態を維持して各成形品PR1を積み重ねさせ、設定数の成形品PR1が積み重ねられたときに元の高さまで下降してから各成形品スタックST1を整列状態で下流側のスタック取出コンベヤ92へ送り出す。この動作は、制御盤100の制御に従って、間欠的に行われる。
【0044】
取出部SE11には、スタック送出コンベヤ91から送り出された成形品スタックST1を載置(配置)してさらに成形品搬送方向D2へ搬送するスタック取出コンベヤ92が設置されている。スタック取出コンベヤ92は、制御盤100の制御に従い、上流側のスタック送出コンベヤ91の動作に合わせて動作する。スタック取出コンベヤ92上の成形品スタックST1は、近傍にいる作業者により、大部分が箱詰めされ、一部が後述する供給台274上に移される。
【0045】
図9〜12に示す補充品供給部SE12の成形品区分け装置5は、昇降テーブル210、掛止部220、非接触センサ230、分離制御手段240、補充品搬入装置270、を備えている。
昇降テーブル210は、
図11(b)等に示すように、位置決めプッシャー280の各当接部282を上下に通す各当接部挿通穴212が形成され、上面が成形品スタックST1の載置面211とされている。
【0046】
図11(a)及び
図12(a)に示すように、掛止部220,220は、昇降テーブル210に載置される成形品スタックST1を挟む位置に設けられている。一方の掛止部220は、シリンダ支持部材268及び進退駆動部260を介して当接部272の上端部に取り付けられている。他方の掛止部220は、シリンダ支持部材269及び進退駆動部260を介して位置決めプッシャー280の当接部282の上端部に取り付けられている。
図12(b)及び
図13(a),(b)に例示するように、各掛止部220は、隙間挿入部材221、開口挿入部材225、を備えている。
【0047】
隙間挿入部材221は、上側が略鉛直に向いて進退駆動部260のピストン先端部265にねじ266で取り付けられ、下側が成形品スタックST1に向かって斜めに下がった上面223を有する傾斜部222とされている。傾斜部222の先端部222aは、複数箇所で爪状に延出している。傾斜部222には、開口挿入部材225の位置決め部226を上下に通すための複数の開口224が形成されている。
むろん、隙間挿入部材221は、成形品同士の隙間CL1に挿入される部分に成形品スタックST1に向かって斜めに下がった上面を有する様々な形状とすることができる。
【0048】
開口挿入部材225は、上側が略鉛直に向いて隙間挿入部材221を介してピストン先端部265にねじ267で取り付けられ、中間部が成形品スタックST1に向かって斜めに下がり、下側が最上成形品PR11の水平位置を決める位置決め部226とされている。最上成形品PR11は、成形品スタックST1の最も上の成形品PR3であり、先端部222aが挿入される第一の高さH1よりも上側の成形品PR3である。位置決め部226の先端部226aは、各開口224に対応した複数箇所で爪状に延出し、各開口224に挿入される。位置決め部226は、傾斜部の上面223と交差する鉛直面227を有し、最上成形品PR11の水平位置を決める。
むろん、開口挿入部材225は、傾斜部の上面223と交差する鉛直面を有する様々な形状とすることができる。
【0049】
図12(a)等に示す非接触センサ230は、成形品スタックST1を挟む第二の高さH2に配置された投光器232及び受光器234を備える光電センサとされている。第二の高さH2は、第一の高さH1で掛止部220が掛止した成形品PR3から下側の成形品スタックST1が存在する高さとされている。
図11(a)には、シリンダ支持部材268に投光器232を取り付け、シリンダ支持部材269に受光器234を取り付けた例を示している。むろん、投光器232と受光器234の位置を逆にする等、投光器232と受光器234を様々な位置に設けることができる。投光器232は、レーザダイオード(LD)や発光ダイオード(LED)等を用いることができ、受光器234に向けた水平な光軸を第二の高さH2としている。受光器234は、フォトトランジスタやフォトダイオードや位置検出用フォトダイオード(PSD)等を用いることができ、投光器232からの光を検出したか否かにより異なる状態の検出信号を出力する。昇降テーブル210に載置された成形品スタックST1が第二の高さH2に存在する場合、投光器232からの光が遮られるので、受光器234は遮光状態の検出信号を生成する。成形品スタックST1が第二の高さH2に存在しない場合、投光器232からの光が受光器234に入るので、受光器234は受光状態の検出信号を生成する。このようにして、非接触センサ230は、成形品スタックST1が第二の高さH2に存在するか否かを非接触で検出する。
【0050】
分離制御手段240は、昇降テーブル駆動部250、進退駆動部260、を備える。
図20(b)に示すように、昇降テーブル210を昇降させて非接触センサ230の検出信号の状態が切り替わったときの昇降テーブル210の高さをH3とする。便宜上、床から昇降テーブル210の上面(載置面211)までの距離を高さH3とする。分離制御手段240は、
図20(c)に示すように高さH3を基準とした相対的な設定高さH6まで昇降テーブル210を昇降させ、
図12(a)及び
図20(d)に示すように成形品スタックST1を構成する成形品PR3同士の隙間CL1に掛止部220を挿入させる。
【0051】
図11(a)等に示す昇降テーブル駆動部250は、昇降テーブル210を所定方向に昇降させるためのガイド252、昇降テーブル210の高さを制御しながら昇降テーブル210を昇降駆動するサーボモータ254、を備える。
図12に示す進退駆動部260は、先端部265に掛止部220を取り付けたピストン264、このピストン264を進退駆動するシリンダ262、を備えている。シリンダ262は、エアシリンダ、電動シリンダ、等を用いることができる。
図11(a)に示すように、一方のシリンダ262はシリンダ支持部材268に取り付けられている。このシリンダ支持部材268は、当接部272の上端部に取り付けられている。他方のシリンダ262は、シリンダ支持部材269に取り付けられている。このシリンダ支持部材269は、位置決めプッシャー280の当接部282の上端部に取り付けられている。シリンダ262によりピストン264が進出すると掛止部220が所定の進出位置L34まで進出し、シリンダ262によりピストン264が退避すると掛止部220が所定の退避位置L33まで退避する。
【0052】
補充品搬入装置270は、供給台274、当接部271,272、プッシャー273,280、を備える。
図9,10に示す供給台274は、昇降テーブル210に搬入する成形品スタックST1を載置するテーブルとされ、昇降テーブル210から幅方向外側D4aに設置されている。当接部271は、昇降テーブル210の幅方向外側D4bに設けられている。当接部272は、当接部271に略直交させて、昇降テーブル210から成形品搬送方向D2の反対側に設けられている。供給用プッシャー273は、供給台274の幅方向外側D4aに配置され、供給台274に搬入された成形品スタックST1を幅方向D4の他方側の外側D4bへ押して当接部271に突き当て、昇降テーブル210上に載置させる。位置決めプッシャー280は、昇降テーブル210上に補充された成形品スタックST1を成形品搬送方向D2とは反対の方向へ押して当接部272に突き当てて水平方向を位置決めする。
【0053】
制御部SE13は、成形品製造システム全体の動作を制御する制御盤100が設置されている。制御盤100は、成形品補充装置70や成形品区分け装置5等が接続され、昇降テーブル210に載置された成形品スタックST1から成形品PR3を分離する処理を行う。
【0054】
図14は、制御盤100を中心とした成形品製造システムの電気回路構成を示している。制御盤100は、制御盤全体の動作を制御する中央制御回路101、シート搬送装置10の動作を制御するシート搬送制御部111、ヒーターSE2aの動作を制御するヒーター制御部112、成形装置20の機構部を構成する成形機構20aの動作を制御する成形制御部113、トリミング装置40の機構部を構成するトリミング機構40aの動作を制御するトリミング制御部114、吸着ボックス50の動作を制御する吸着ボックス制御部115、コンベヤ61〜64の動作を制御するコンベヤ制御部116、吸着ボックス80の動作を制御する吸着ボックス制御部117、コンベヤ91,92の動作を制御するコンベヤ制御部118、検出装置33の動作を制御する検出制御部119、成形品補充装置70の動作を制御する成形品補充制御部120、非接触センサ230の動作を制御する非接触センサ制御部121、供給用プッシャー273の動作を制御するプッシャー制御部122、位置決めプッシャー280の動作を制御するプッシャー制御部123、昇降テーブル駆動部250を制御する昇降テーブル制御部124、進退駆動部260を制御する掛止部進退制御部125、情報出力部131、操作部132、等を備えている。
【0055】
中央制御回路101は、内部のバスに、CPU(Central Processing Unit)102、ROM(Read Only Memory)103、RAM(Random Access Memory)104、タイマ回路105、不揮発性メモリ106、等が接続された回路とされている。CPU101は、ROM103や不揮発性メモリ106に記録された制御プログラムに基づいてRAM104をワークエリアとして利用しながら成形品製造システム1の各部を制御する。
情報出力部131は、例えばディスプレイや音声出力器やプリンタで構成され、利用者から操作入力を受け付けた各種設定の内容や成形品製造システム1の運転状況を表す各種情報を表示等により出力する。操作部132は、例えば複数のボタンで構成され、利用者から操作入力を受け付ける。
【0056】
図15は、成形品補充装置70の電気回路構成の概略を例示している。成形品補充装置70の制御部73は、アーム71の動作を制御するアーム駆動制御部73a、吸着ヘッド72の動作を制御する吸着ヘッド制御部73b、制御盤100を接続するための外部入出力I/F73c、等を備える。制御部73は、CPUやROMやRAM等で構成されてもよい。
【0057】
図16(a)は、補充用の成形品PR3を積み重ねた成形品スタックST1の各種構成を模式的に例示している。各成形品PR3は、凸部PR1a及びフランジ部PR1bを有し、凸部PR1aを上に向けた状態で上側の成形品PR3における物品収納用の凹部に下側の成形品PR3の凸部PR1aが挿入されている。ここで、各成形品PR3の高さをH4(H4>0)、上下に隣り合う成形品PR3同士のピッチ、すなわち、フランジ部PR1bのピッチをH5(H5>0)、昇降テーブル210を昇降させて非接触センサ230の検出信号の状態が切り替わったときの昇降テーブル210の高さH3を基準として昇降テーブル210を昇降させる相対的な設定高さをH6とする。第一の高さH1と第二の高さH2が同じである場合、設定高さH6は、成形品の高さH4よりも高く、成形品の高さH4にフランジ部のピッチH5を加えたH4+H5よりも小さくされる。H6−H4を所定高さαとすると、0<α<H5となる。
なお、成形品スタックST1の上から一番目の成形品を最上成形品PR11と呼び、成形品スタックST1の上から二番目の成形品を直下成形品PR12と呼ぶことにする。
【0058】
(3)成形品区分け装置を有する成形品製造システムの動作、作用、及び、効果:
本成形品製造システム1は、
図1,2に示す各部SE1〜SE12を制御盤100が制御することにより、シートSH1から整列状態で成形品PR1を形成し、これらの成形品PR1を成形品補充部SE9へ搬送し、補充処理後、成形品PR1を整列状態で積重位置L4に積み重ね、設定数積み重ねられると成形品スタックST1を取り出す。
【0059】
すなわち、ロールSH0に巻かれたシートSH1は、シート供給部SE1で解かれ、熱可塑性シートであるとき加熱部SE2で加熱されて軟化する。加熱軟化した成形可能なシートSH1は、シート搬送装置10によりショット単位で成形部SE3に搬入され、成形されて、未分離の各成形品SH2aが形成される。形成される成形シートSH2は、ショット単位でトリミング部SE4に搬入され、トリミングされて、各型43上に成形品PR1が形成される。各型43に配置された成形品PR1は、ショット毎に、吸着ボックス50に保持されて、成形品解放部SE6の成形品送出コンベヤ61上に整列状態で載置され、コンベヤ62,63を経て、成形品補充部SE9の終端コンベヤ64上に搬送される。この終端コンベヤ64上の補充位置L6に昇降テーブル210上の成形品PR3が成形品補充装置70で補充される。この補充処理後の終端コンベヤ64上の複数の成形品PR1は、ショット毎に吸着ボックス80に保持されて、積重部SE10のスタック送出コンベヤ91に積み重ねられる。
【0060】
制御盤100は、積重位置L4に積み重ねられた成形品PR1をカウントし、積み重ね数が設定数に到達すると、スタック送出コンベヤ91をスタック取出コンベヤ92の高さにまで下降させてスタック送出コンベヤ91上の成形品スタックST1を取出部SE11のスタック取出コンベヤ92上へ送り出す。これらの成形品スタックST1の一部が作業者により補充品供給部SE12の供給台274上に移され、昇降テーブル210に載置される。
【0061】
制御盤100は、
図17〜19に例示するフローチャートに従って、成形品スタックST1から成形品PR3を分ける処理を行う。制御盤100は、電源がオンにされると
図17〜19に示す処理等を並列して行う。
図17〜19の処理を行う制御盤100は、昇降テーブル駆動部250、進退駆動部260、補充品搬入装置270、とともに分離制御手段240を構成する。
図17のステップS102(以下、「ステップ」の記載を省略)の処理を行う制御盤100は、相対的な設定高さH6を決める入力を受け付ける高さ入力手段242を構成する。以下、成形品区分け装置5を有する成形品製造システム1の動作、作用、及び、効果を説明する。
【0062】
図17に示す初期設定処理は、成形品PR1の製造を開始する操作が操作部132で受け付けられたときに行われる。
処理が開始されると、制御盤100は、成形品の高さH4の操作入力を操作部132で受け付ける(S102)。例えば、成形品の高さの操作入力欄を有する設定画面を情報出力部131で表示し、この操作入力欄への数値入力(例えばmm単位)を操作部132のボタン等で受け付けることにより、成形品の高さH4の入力を受け付けることができる。本初期設定処理は、上述した所定高さαを成形品の高さH4を加えて相対的な設定高さH6(H6>0)にしている。従って、成形品の高さH4と設定高さH6とは1対1に対応し、S102の入力は相対的な設定高さH6を決める入力となる。
【0063】
S104では、進退駆動部260,260を駆動して掛止部220,220を
図12(a)に示す退避位置L33まで退避させる。S106では、昇降テーブル210上に補充用の成形品PR3が無い場合、
図18に示す補充品搬入処理を行う。昇降テーブル210上に成形品PR3が有るか否かの判断は、例えば、昇降テーブル210を第二の高さH2よりも若干低い所定の上限位置まで上昇させて非接触センサ230の検出信号を入力し、この検出信号が遮光状態であるか否かを判断することにより行うことができる。
【0064】
図18に示す補充品搬入処理を行う前提として、プッシャー273,280が退避し、供給台274上に成形品スタックST1が載置されているものとする。補充品搬入処理が開始すると、制御盤100は、供給台274と上面を合わせた所定の搬入位置まで昇降テーブル駆動部250を制御して昇降テーブル210を下降させる(S202)。S204では、供給用プッシャー273を進出させて供給台274上の成形品スタックST1を幅方向外側D4bの当接部271に突き当てて昇降テーブル210上に載置させ、その後、供給用プッシャー273を退避させる。S206では、位置決めプッシャー280を
図11(a)に示すような進出位置L31まで進出させて成形品スタックST1を当接部272に突き当てて水平方向を位置決めする。
【0065】
S208では、昇降テーブル駆動部250を制御して昇降テーブル210を上昇させる。S210では、非接触センサ230の検出信号が遮光状態になったか否かを判断する。遮光状態になるのは、昇降テーブル210上の成形品スタックST1の最上成形品PR11が第二の高さH2に到達したときである。遮光状態になると、制御盤100は、昇降テーブル駆動部250を制御して昇降テーブル210の上昇を停止させ(S212)、補充品搬入処理を終了させる。
【0066】
図17のS108では、昇降テーブル駆動部250を制御して昇降テーブル210を下降させる。昇降テーブル210の下降は、第二の高さH2に成形品スタックST1が存在する高さから開始する。S110では、非接触センサ230の検出信号が遮光状態から受光状態に切り替わったか否かを判断する。
図20(b)に示すように成形品スタックST1の最上部が第二の高さH2に到達したとき、非接触センサ230の検出信号が遮光状態から受光状態に切り替わり、条件成立となる。このとき、制御盤100は、昇降テーブル210の高さH3の情報をサーボモータ254から取得し、RAM104に保持する(S112)。
【0067】
S114では、
図16(a)に示す相対的な設定高さH6=H4+αを昇降テーブルの検出高さH3に加えて目標の高さを求める。S116では、
図20(c)に示すように、検出高さH3を基準とした相対的な設定高さH6まで、すなわち、目標の高さH3+H6まで昇降テーブル駆動部250を制御して昇降テーブル210を上昇させる。その後、制御盤100は、進退駆動部260,260を制御して掛止部220,220を進出位置L34まで進出させ、
図20(d)に示すように、最上成形品PR11と直下成形品PR12との隙間、具体的にはフランジ部PR1b同士の隙間CL1に傾斜部222,222を挿入させ(S118)、初期設定処理を終了させる。このとき、最上成形品PR11は、傾斜部222,222の上面223,223に沿って若干持ち上げられて直下成形品PR12から分けられ、傾斜部の上面223,223と交差する鉛直面227,227を有する位置決め部226,226により水平方向の位置がほぼ決まる。
図20(a)には、成形品補充装置70による搬出前の最上成形品PR10を破線で示している。
【0068】
図19に示す区分け処理は、初期設定処理後に行われる。製造開始確認の操作が操作部132で受け付けられたときに行われてもよい。以下、
図20等を参照して、区分け処理を説明する。
処理が開始されると、制御盤100は、成形品スタックST1を構成する最上成形品PR10が成形品補充装置70で搬出されたか否かを判断する(S302)。例えば、
図20(a)に示す最上成形品PR10の搬出を表す信号を成形品補充装置70から入力すると、条件成立となる。最上成形品PR10が搬出されると、制御盤100は、進退駆動部260,260を駆動して掛止部220,220を進出位置L34から
図20(b)に示す退避位置L33まで退避させる(S304)。S306では、上記S106と同様、昇降テーブル210上に補充用の成形品PR3が無い場合、
図18に示した補充品搬入処理を行う。
【0069】
S308では、昇降テーブル駆動部250を制御して昇降テーブル210を下降させる。昇降テーブル210の下降は、第二の高さH2に成形品スタックST1が存在する高さから開始する。S310では、非接触センサ230の検出信号が遮光状態から受光状態に切り替わったか否かを判断する。遮光状態は第二の高さH2における成形品スタックST1の存在を表す状態であり、受光状態は第二の高さH2における成形品スタックST1の非存在を表す状態である。成形品スタックST1が第二の高さH2に存在するとき、遮光状態が継続し、S310の処理が繰り返される。
図20(b)に示すように成形品スタックST1の最上部が第二の高さH2に到達したとき、非接触センサ230の検出信号が遮光状態から受光状態に切り替わり、条件成立となる。このとき、制御盤100は、昇降テーブル210の高さH3の情報をサーボモータ254から取得し、RAM104に保持する(S312)。このようにして、制御盤100は、非接触センサ230の検出信号が遮光状態から受光状態に切り替わったときの昇降テーブル210の高さH3を検出する。
【0070】
S314では、
図17のS102で受け付けた入力で決まる相対的な設定高さH6=H4+α(
図16(a)参照)を昇降テーブルの検出高さH3に加えて目標の高さを求める。S316では、
図20(c)に示すように、検出高さH3を基準とした相対的な設定高さH6まで、すなわち、目標の高さH3+H6まで昇降テーブル駆動部250を制御して昇降テーブル210を上昇させる。この処理は、成形品スタックST1の上から所定位置にある成形品PR11,PR12同士の隙間CL1を第一の高さH1にするまで昇降テーブル210を昇降させる処理である。
【0071】
S318では、進退駆動部260,260を制御して掛止部220,220を退避位置L33から進出位置L34まで進出させ、
図20(d)に示すように、最上成形品PR11と直下成形品PR12との隙間、具体的にはフランジ部PR1b同士の隙間CL1に傾斜部222,222を挿入させる。このとき、最上成形品PR11は、フランジ部PR1bが傾斜部222,222の上面223,223に接触し、傾斜部の上面223,223に沿って若干持ち上げられて直下成形品PR12から分けられる。また、最上成形品PR11のフランジ部PR1bの外側に傾斜部の上面223,223と交差する位置決め部226,226の鉛直面227,227があるので、最上成形品PR11は水平方向の位置がほぼ決まる。
【0072】
成形品補充装置70が吸着ヘッド72で最上成形品PR11の上部(凸部PR1a)を吸着して持ち上げようとすると、第一の高さH1で挿入した傾斜部の先端部222a,222aが第一の高さH1よりも下の直下成形品PR12のフランジ部PR1bを掛止する。従って、最上成形品PR11の搬出時に直下成形品PR12が搬出されないようにされている。
また、傾斜部の上面223,223により最上成形品PR11が若干持ち上げられるので、最上成形品が分かれ易くなっている。さらに、位置決め部の鉛直面227,227により最上成形品PR11の水平方向の位置がほぼ決まるので、分かれた最上成形品が取り出され易くなっている。
【0073】
S320では、成形品PR1の製造を終了するか否かを判断する。この判断は、例えば、取り出された成形品スタックST1の数が目標数に到達したか否かの判断や、製造終了の操作が操作部132で受け付けられたか否かの判断とすることができる。製造を継続する場合、制御盤100は、S302〜S320の処理を繰り返す。製造を終了する場合、制御盤100は、区分け処理を終了させる。
【0074】
本成形品製造システム1は、昇降テーブル210が昇降して非接触センサ230の検出信号の状態が切り替わったときの昇降テーブル210の高さH3を基準とした相対的な設定高さH6まで昇降テーブル210が昇降し、成形品スタックST1を構成する成形品PR3同士の隙間CL1に掛止部220が挿入される。これにより、成形品スタックST1の成形品の凸部の上面、すなわち、成形品の底に当接する分離ユニットのような部品が不要となる。このような部品が無いことにより、外観上目立ち易い成形品の底への傷の付着が抑制される。
また、成形品スタックST1から成形品PR3を分けるための昇降テーブル210の高さが相対的な設定高さH6及び非接触センサ230の検出状態の切り替わりに応じて決められるので、様々な高さの成形品を分離ユニット等の部品無しに成形品スタックから分けることができる。
さらに、成形品同士の間隔にばらつきがあっても、成形品スタックST1の最上部を基準として昇降テーブル210が昇降するので、成形品を分ける確実性が高い。
【0075】
(4)変形例:
本発明は、種々の変形例が考えられる。
本成形品区分け装置は、成形品取出装置の成形品の補充以外にも、成形品にフィルムをラミネートするラミネート装置に成形品を供給する成形品供給装置等にも適用可能である。
上述した処理の各ステップの順番は、適宜、変更可能である。例えば、
図17の初期設定処理において、S102の前にS104の処理を行ってもよい。
上記サーボモータ254が相対的な昇降量を受け付ける場合、S114,S314の処理を行わずにS116,S316で相対的な設定高さH6を直接サーボモータ254に指令してもよい。
成形品区分け装置に適用可能な成形品を形成する材料は、シート以外にも、塊状や粒状や粉末状といった被成形材等でもよい。
【0076】
各成形品の上部を保持して該成形品を搬送する手段は、吸着ボックス50,80以外にも、各成形品の位置に対応した吸着ヘッド等とされてもよい。また、成形品を搬送する手段として、コンベヤ61,62,63,64の代わりに吸着ボックスといった各成形品の上部を保持して該成形品を搬送する手段等を用いてもよい。成形品スタックを搬送する手段として、コンベヤ91,92の代わりに成形品スタックの側面部を保持して成形品スタックを搬送する手段等を用いてもよい。
非接触センサは、透過形光電形近接スイッチ以外にも、リフレクタ形光電形近接スイッチ、反射形光電形近接スイッチ、超音波形近接スイッチ、静電容量形近接スイッチ、誘電形近接スイッチ、誘電形近接スイッチ、磁場形近接スイッチ、等でもよい。
【0077】
図21,22に示すように、第一の高さH1と第二の高さH2とは異なっていてもよい。
図21は、H2<H1とした成形品区分け装置の動作を模式的に例示している。
図21(a)に示す最上成形品PR10が成形品補充装置70で搬出されると、制御盤100は、進退駆動部260,260を駆動して掛止部220,220を退避位置L33まで退避させる。また、昇降テーブル駆動部250を制御して昇降テーブル210を下降させ、
図21(b)に示すように非接触センサ230の検出信号が遮光状態から受光状態に切り替わったときの昇降テーブル210の高さH3を検出する。
【0078】
その後、
図21(c)に示すように、検出高さH3を基準とした相対的な設定高さH6=H4+βまで、すなわち、目標の高さH3+H6まで昇降テーブル駆動部250を制御して昇降テーブル210を上昇させる。βは、H1−H2+αとなる。これにより、成形品スタックST1の上から所定位置にある成形品PR11,PR12同士の隙間CL1が第一の高さH1になる。そして、進退駆動部260,260を制御して掛止部220,220を進出位置L34まで進出させ、
図21(d)に示すように、成形品PR11,PR12同士の隙間に傾斜部222,222を挿入させる。
従って、本変形例も、成形品スタックの最上成形品に当接する分離ユニットを不要にすることができ、成形品への傷の付着を抑制することができる。
【0079】
また、
図22に示すように、第二の高さにおいて成形品スタックの非存在を表す状態から存在を表す状態に切り替わったときを検出高さH3としてもよい。
図22は、非接触センサ230の検出信号が受光状態から遮光状態に切り替わったときを検出高さH3とする成形品区分け装置の動作を模式的に例示している。
図22(a)に示す最上成形品PR10が成形品補充装置70で搬出されると、制御盤100は、進退駆動部260,260を駆動して掛止部220,220を退避位置L33まで退避させる。また、昇降テーブル駆動部250を制御して昇降テーブル210を上昇させ、
図22(b)に示すように非接触センサ230の検出信号が受光状態から遮光状態に切り替わったときの昇降テーブル210の高さH3を検出する。
【0080】
その後、
図22(c)に示すように、検出高さH3を基準とした相対的な設定高さH6=H4+βまで、すなわち、目標の高さH3+H6まで昇降テーブル駆動部250を制御して昇降テーブル210を上昇させる。本例は、H6<0であり、β=H1−H2+α<0となる。これにより、成形品スタックST1の上から所定位置にある成形品PR11,PR12同士の隙間CL1が第一の高さH1になる。そして、進退駆動部260,260を制御して掛止部220,220を進出位置L34まで進出させ、
図22(d)に示すように、成形品PR11,PR12同士の隙間に傾斜部222,222を挿入させる。
従って、本変形例も、成形品スタックの最上成形品に当接する分離ユニットを不要にすることができ、成形品への傷の付着を抑制することができる。
【0081】
なお、本成形品区分け装置は、成形品スタックから成形品をN個(Nは2以上の整数)ずつ分けることも可能である。ここで、
図16(b)を参照して説明する。例えば、成形品スタックST1から成形品PR3を2つずつ分ける場合、所定高さα2をH5<α2<2×H5にして、相対的な設定高さをH62=H4+α2にすると、成形品スタックST1の上から2番目の成形品PR12と3番目の成形品PR13との隙間に掛止部220が挿入される。傾斜部の上面223により第一の高さH1よりも上側の成形品PR11,PR12が持ち上がり、位置決め部の鉛直面227により成形品PR11,PR12の水平位置がほぼ決まる。これにより、成形品スタックST1から成形品PR3が2枚毎に分かれ、搬出対象となる。また、3つずつ分ける場合、所定高さα3を2×H5<α3<3×H5にして、相対的な設定高さをH63=H4+α3にすれば、成形品PR13,PR14の隙間に掛止部220が挿入される。4以上ずつに分ける場合も、同様である。
【0082】
なお、加熱装置を備えていない成形取出装置、成形装置を備えていないトリミング取出装置、トリミング装置を備えていない成形品取出装置、積重部を備えていない搬送装置、これらの装置に対応した方法、等も、上述した基本的な作用、効果が得られる。
むろん、独立請求項に係る構成要件のみからなる発明でも、上述した基本的な作用、効果が得られる。
【0083】
以上説明したように、本発明によると、種々の態様により、成形品スタックの最上成形品に当接する分離ユニットを不要にする技術等を提供することができる。
むろん、上述した実施形態及び変形例の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成、公知技術並びに上述した実施形態及び変形例の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成、等も実施可能である。本発明は、これらの構成等も含まれる。