特許第5871605号(P5871605)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5871605
(24)【登録日】2016年1月22日
(45)【発行日】2016年3月1日
(54)【発明の名称】荷重吊上げ装置
(51)【国際特許分類】
   B66C 23/42 20060101AFI20160216BHJP
   B66C 23/70 20060101ALI20160216BHJP
【FI】
   B66C23/42 A
   B66C23/70 A
【請求項の数】3
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2011-280070(P2011-280070)
(22)【出願日】2011年12月21日
(65)【公開番号】特開2013-129500(P2013-129500A)
(43)【公開日】2013年7月4日
【審査請求日】2014年11月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000140719
【氏名又は名称】株式会社加藤製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100159651
【弁理士】
【氏名又は名称】高倉 成男
(74)【代理人】
【識別番号】100091351
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 哲
(74)【代理人】
【識別番号】100088683
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100109830
【弁理士】
【氏名又は名称】福原 淑弘
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100095441
【弁理士】
【氏名又は名称】白根 俊郎
(74)【代理人】
【識別番号】100084618
【弁理士】
【氏名又は名称】村松 貞男
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100119976
【弁理士】
【氏名又は名称】幸長 保次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140176
【弁理士】
【氏名又は名称】砂川 克
(74)【代理人】
【識別番号】100158805
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 守三
(74)【代理人】
【識別番号】100124394
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 立志
(74)【代理人】
【識別番号】100112807
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 貴志
(74)【代理人】
【識別番号】100111073
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 美保子
(74)【代理人】
【識別番号】100134290
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 将訓
(72)【発明者】
【氏名】丸山 幸治
【審査官】 葛原 怜士郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−131975(JP,A)
【文献】 特開平08−188380(JP,A)
【文献】 実開昭62−013989(JP,U)
【文献】 実公昭53−016129(JP,Y2)
【文献】 特開2000−109288(JP,A)
【文献】 独国特許出願公開第03425604(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66C 23/42
B66C 23/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブームと、
前記ブームの先端部に取付けられ、前記ブームとの連結部を中心に前記ブームに対して回動可能なジブであって、前記ジブの幅方向を向く2つの側面を備えるジブと、
一端が前記ブームの前記先端部に接続され、他端が前記ジブに接続されるテンションロッドであって、前記ジブが前記ブームに対して起状した状態で発生した張力によって前記ジブを支持することにより、前記ジブの曲げに対する強度を高めるテンションロッドと、
前記ジブの軸方向について前記ジブの中間部に設けられ、前記側面の一方に位置する第1のジブ側シーブと、
前記ジブが前記ブームに対して起状した状態において、前記ブームの軸方向に沿って延設され、前記ブームの前記先端部から前記ジブの前記軸方向に沿って前記ジブの前記中間部まで延設されるワイヤロープであって、前記ジブの中間部において前記第1のジブ側シーブに掛けられるワイヤロープと、
前記ジブが前記ブームに対して起状した状態において、前記ワイヤロープにより前記ジブの前記中間部から複索状態で吊下げされる吊り具であって、荷重が引掛けられるフックを備える吊り具と
前記吊り具に設けられるとともに、前記第1のジブ側シーブに掛けられた前記ワイヤロープが1回以上掛けられ、前記ワイヤロープが掛けられる度に前記吊り具に向かう状態から前記ジブの前記中間部に向かう状態に前記ワイヤロープの延設方向を変更する吊り具側シーブユニットと、
前記ジブの前記軸方向について前記ジブの前記中間部に設けられ、前記第1のジブ側シーブが位置する前記側面とは反対側の前記側面に位置する第2のジブ側シーブであって、前記吊り具側シーブユニットに1回以上掛けられた前記ワイヤロープが掛けられる第2のジブ側シーブと
前記ブームの前記先端部に設けられ、前記第2のジブ側シーブに掛けられた前記ワイヤロープの延出端が固定されるブームヘッドと
を具備する荷重吊上げ装置。
【請求項2】
前記第1のジブ側シーブ及び前記第2のジブ側シーブのそれぞれは、前記ジブの前記幅方向に対して平行な軸を有し
前記吊り具側シーブユニットは、前記ジブの前記幅方向に垂直、かつ、鉛直方向に垂直な縦方向に対して平行な軸を有する
請求項1の荷重吊上げ装置
【請求項3】
前記ジブの前記中間部に設けられるとともに、前記第1のジブ側シーブと前記第2のジブ側シーブとの間において前記ワイヤロープが1回以上掛けられ、前記ワイヤロープが掛けられる度に前記ジブの中間部に向かう状態から前記吊り具に向かう状態に前記ワイヤロープの前記延設方向を変更する補助シーブユニットをさらに具備する、請求項1の荷重吊り上げ装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クレーンに設けられ、荷重の吊上げに用いられる荷重吊上げ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ブームの先端部にジブが取付けられたクレーンが開示されている。このクレーンでは、ジブは、ブームとの連結部を回動軸として、ブームに対して回動可能である。また、ブームの先端部とジブとの間には、テンションロッドが張られている。クレーンの車体からは、補巻ワイヤロープが延出されている。ジブがブームに対して起状した状態では、補巻ワイヤロープは、ブームの先端部のガイドシーブに掛けられ、ジブの先端部のシーブに掛けられる。そして、補巻ワイヤロープの延出端が、サブフックを備える軽荷重用吊り具に固定されている。軽荷重用吊り具のサブフックにより、比較的軽い荷重が吊上げられる。以上のようにして、荷重を吊上げる荷重吊上げ装置が構成されている。ここで、軽荷重用吊り具では、補巻ワイヤロープがシーブ等を用いてジブに向かって延出方向が変更されることなく、補巻ワイヤロープの延出端が直接固定されている。すなわち、軽荷重用吊り具は、補巻ワイヤロープにより単索状態でジブから吊下げられている。この荷重吊上げ装置では、ジブから軽荷重用吊り具が吊下げられているため、比較的高い位置、すなわちブームの先端より高い位置で、軽い荷重を吊上げることが可能である。
【0003】
特許文献2には、ブームを備えるクレーンが開示されている。このクレーンでは、ブームの軸方向についてブームの中間部に、ガイドシーブ及びロードシーブが設けられている。また、クレーンの車体からは、主巻ワイヤロープが延出されている。ブームを起上した状態では、主巻ワイヤロープは、ブームの中間部のガイドシーブ及びロードシーブに掛けられる。そして、メインフックを備える重荷重用吊り具でシーブに掛けられ、ブームに向かって主巻ワイヤロープの延出方向が変更される。重荷重用吊り具で延出方向が変更された主巻ワイヤロープの延出端は、ブームに固定されている。重荷重用吊り具のメインフックにより、比較的重い荷重が吊上げられる。以上のようにして、荷重を吊上げる荷重吊上げ装置が構成されている。ここで、重荷重用吊り具では、ブームから延出される主巻ワイヤロープがシーブに掛けられ、シーブに掛けられることにより主巻ワイヤロープの延出方向がブームに向かって変更されている。すなわち、重荷重用吊り具は、主巻ワイヤロープにより複索状態でブームから吊下げられている。この荷重吊上げ装置では、重荷重用吊り具が主巻ワイヤロープにより複索状態でブームから吊下げられているため、重荷重用吊り具により重い荷重を吊上げることが可能である。また、ブームは、強度が高いため、重い荷重を吊上げた状態でも荷重による負荷に対するブームの耐性は高い。
【0004】
また、特許文献2では、垂直ブームの先端部に水平ブームを取付けた構成も開示されている。この構成では、水平ブームの軸方向について水平ブームの中間部から主巻ワイヤロープにより複索状態で、メインフックを備える重荷重用吊り具が吊下げられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−267664号公報
【特許文献2】特許第3521093号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記特許文献1では、軽荷重用吊り具は補巻ワイヤロープにより単索状態でジブから吊下げられ、ジブから延出される補巻ワイヤロープの延出方向は、軽荷重用吊り具でシーブ等を用いてジブに向かって変更されない。このため、軽荷重用吊り具は、複索状態で吊下げられる重荷重用吊り具とは異なり、比較的重量の荷重を吊上げることはできない。また、ジブは比較的軽量な荷重の吊上げを目的として設計されるため、ジブの強度は比較的軽量な荷重を吊上げるために必要な最低限の強度であることが一般的である。したがって、ジブの先端部から吊下げられる軽荷重用吊り具のサブフックにより重い荷重を吊上げるために必要な強度を、ジブは有さない。
【0007】
前記特許文献2では、ブームに取付けられるジブ等が設けられていないため、ブームの先端より高い位置で重い荷重を吊上げることができない。
【0008】
したがって、使用中のクレーンのブームの先端より高い位置で重い荷重を吊上げる場合には、使用しているブームより軸方向の長さが長いブームを備えるクレーンで作業を行う必要がある。すなわち、使用中のクレーンのブームの先端より僅かに高い位置で荷重を吊上げる作業を行う場合でも、高い位置での荷重の吊上げ作業の度に使用中のクレーンとは別のクレーンを使用する必要性が生じてしまう。したがって、重い荷重を吊上げる作業において、コストが増大し、時間効率が低下してしまう。
【0009】
ブームの先端より高い位置で重い荷重を吊上げる場合に、ブームの先端部にブームと略同一の強度の追加ブームを取付けることも考えられる。この場合、追加ブームから複索状態で重荷重用吊り具が吊下げられる。しかし、ブームの先端より高い位置で重い荷重を吊上げる場合にのみブームに追加ブームが取付けられるため、追加ブームをクレーンと作業現場に別送する必要がある。また、追加ブームをブームの先端に取付ける際には、荷重の吊上げに用いられるクレーンとは別のクレーンが必要になる。このため、重い荷重を吊上げる作業において、コストが増大し、時間効率が低下してしまう。また、不使用時における追加ブームの保管コストも必要となる。
【0010】
また、ジブの強度をブームと略同一にすることも考えられる。この場合、強度を高くしたジブから主巻ワイヤロープにより複索状態で重荷重用吊り具を吊下げることにより、ブームの先端より高い位置で重い荷重を吊上げる。しかし、ジブの強度を高めることにより、ジブが重くなる。ジブが重くなることにより、クレーンが転倒し易くなり、荷重の吊上げ性能が低下してしまう。また、ジブの強度を高めることにより、ジブの高さ方向の寸法が大きくなる。ジブの高さ方向の寸法が大きい場合、主巻ワイヤロープをブームの先端から重荷重用吊り具まで適切に導くために、ガイドシーブ及びロードシーブの複数のシーブをジブに設ける必要がある。シーブ等の部品点数が多くなることにより、製造コストが増大してしまう。
【0011】
本発明は前記課題に着目してなされたものであり、その目的とするところは、荷重の吊上げ性能を低下させることなく、コストを増大させることなく、ブームの先端より高い位置での重い荷重の吊上げを効率よく行なうことが可能な荷重吊上げ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記目的を達成するために、本発明のある態様では、ブームと、前記ブームの先端部に取付けられ、前記ブームとの連結部を中心に前記ブームに対して回動可能なジブであって、前記ジブの幅方向を向く2つの側面を備えるジブと、一端が前記ブームの前記先端部に接続され、他端が前記ジブに接続されるテンションロッドであって、前記ジブが前記ブームに対して起状した状態で発生した張力によって前記ジブを支持することにより、前記ジブの曲げに対する強度を高めるテンションロッドと、前記ジブの軸方向について前記ジブの中間部に設けられ、前記側面の一方に位置する第1のジブ側シーブと、前記ジブが前記ブームに対して起状した状態において、前記ブームの軸方向に沿って延設され、前記ブームの前記先端部から前記ジブの前記軸方向に沿って前記ジブの前記中間部まで延設されるワイヤロープであって、前記ジブの中間部において前記第1のジブ側シーブに掛けられるワイヤロープと、前記ジブが前記ブームに対して起状した状態において、前記ワイヤロープにより前記ジブの前記中間部から複索状態で吊下げされる吊り具であって、荷重が引掛けられるフックを備える吊り具と、前記吊り具に設けられるとともに、前記第1のジブ側シーブに掛けられた前記ワイヤロープが1回以上掛けられ、前記ワイヤロープが掛けられる度に前記吊り具に向かう状態から前記ジブの前記中間部に向かう状態に前記ワイヤロープの延設方向を変更する吊り具側シーブユニットと、前記ジブの前記軸方向について前記ジブの前記中間部に設けられ、前記第1のジブ側シーブが位置する前記側面とは反対側の前記側面に位置する第2のジブ側シーブであって、前記吊り具側シーブユニットに1回以上掛けられた前記ワイヤロープが掛けられる第2のジブ側シーブと前記ブームの前記先端部に設けられ、前記第2のジブ側シーブに掛けられた前記ワイヤロープの延出端が固定されるブームヘッドと、を備える荷重吊上げ装置を提供する。

【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、荷重の吊上げ性能を低下させることなく、コストを増大させることなく、ブームの先端より高い位置での重い荷重の吊上げを効率よく行なうことが可能な荷重吊上げ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第1の実施形態に係るクレーンを示す概略図。
図2】第1の実施形態に係る荷重吊上げ装置のブームヘッド、ジブ及びテンションロッドの構成を概略的に示す斜視図。
図3】第1の実施形態に係る荷重吊上げ装置のブームヘッド、ジブ及びテンションロッドの構成を概略的に示す、図2とは異なる方向から視た斜視図。
図4】第1の実施形態に係るジブ側シーブユニットを取外した状態での、軸方向についてジブの中間部を概略的に示す斜視図。
図5】第1の実施形態に係るジブ側シーブユニットと吊り具側シーブユニットとの間での主巻ワイヤの延出状態を示す概略図。
図6】第1の実施形態に係るジブの中間部から重荷重用吊り具を吊下げた状態でのベースジブを概略的に示す側面図。
図7】第1の実施形態に係るブームヘッドから重荷重用吊り具を吊下げる状態での、ブームとジブとの連結部の構成を概略的に示す斜視図。
図8】第1の変形例に係るジブの中間部から重荷重用吊り具を吊下げた状態でのベースジブを概略的に示す側面図。
図9】第1の変形例に係るジブ側シーブユニットと吊り具側シーブユニットとの間での主巻ワイヤロープの延出状態を示す概略図。
図10】第1の変形例に係る補助シーブユニットを概略的に示す側面図。
図11】第2の変形例に係るジブ側シーブユニットと吊り具側シーブユニットとの間での主巻ワイヤロープの延出状態を示す概略図。
図12】第3の変形例に係るジブの中間部から重荷重用吊り具を吊下げた状態でのベースジブを概略的に示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態について図1乃至図7を参照して説明する。図1は、本実施形態のクレーン1を示す図である。図1に示すように、クレーン1は、車体2と、車体2上に取付けられる旋回体3と、を備える。旋回体3には、荷重吊上げ装置5が取付けられている。荷重吊上げ装置5は、旋回体3に基端部が連結されるブーム7を備える。また、クレーン1には、ブーム7を旋回体3に対して起伏させるブーム起伏シリンダ9が設けられている。ブーム起伏シリンダ9は、一端が旋回体3に連結され、他端がブーム7に連結されている。ブーム起伏シリンダ9を伸縮することにより、ブーム7が起伏動作を行う。
【0016】
ブーム7の先端部には、ブームヘッド11が設けられている。ブームヘッド11には、支軸部12を介して、ジブ13の基端部が連結されている。ジブ13は、支軸部12(ブーム7との連結部)を中心にブーム7に対して回動可能である。すなわち、ジブ13は、ブーム7に対して起伏可能な状態で支持されている。ジブ13の内部には、伸縮することによりジブ13をブーム7に対して起伏させるジブ起伏シリンダ(図示しない)が設けられている。
【0017】
また、ブーム7のブームヘッド11(ブーム7の先端部)には、テンションロッド15の一端が接続されている。テンションロッド15の他端は、ジブ13の先端部に接続されている。したがって、ジブ13がブーム7に対して起状した状態において、テンションロッド15はブームヘッド11とジブ13との間に張られている。ジブ13はブーム7より軽量であり、強度は低い。したがって、ジブ13がブーム7に対して起状した状態では、張られたテンションロッド15に張力が発生し、テンションロッド15は張力によりジブ13を支持する。これにより、ジブ13はブームヘッド11との連結部以外の部分で支持され、ジブ13の曲げに対する強度が高められる。
【0018】
図2及び図3は、ブームヘッド11、ジブ13及びテンションロッド15の構成を示す図である。図2及び図3に示すように、ジブ13は、基端(一端)がブーム7のブームヘッド11(ブーム7の先端部)に支軸部12で連結されるベースジブ21を備える。ベースジブ21の基端部は、2つの脚部22A,22Bを備え、二股状に形成されている。ジブ13の幅方向について脚部22A,22Bの間には、スペース23が設けられている。また、ベースジブ21では、脚部22A,22Bの先端方向側に本体部28が設けられている。
【0019】
また、ジブ13は、ベースジブ21に対してジブ13の軸方向に伸縮可能な第1の伸縮ジブ25と、第1の伸縮ジブ25に対してジブ13の軸方向に伸縮可能な第2の伸縮ジブ26と、を備える。第1の伸縮ジブ25は、ベースジブ21の本体部28の内部に収納された収縮状態とジブ13の先端方向にベースジブ21から突出する伸長状態との間で、ベースジブ21に対して伸縮可能である。第2の伸縮ジブ26は、第1の伸縮ジブ25の内部に収納された収縮状態とジブ13の先端方向に第1の伸縮ジブ25から突出する伸長状態との間で、第1の伸縮ジブ25に対して伸縮可能である。ジブ13の内部のジブ起伏シリンダ(図示しない)が伸縮することにより、第1の伸縮ジブ25がベースジブ21に対して伸縮する。また、ジブ13の内部のジブ伸縮シリンダ(図示しない)が伸縮することにより、第2の伸縮ジブ26が第1の伸縮ジブ25に対して伸縮する。
【0020】
以上のような構成にすることにより、ベースジブ21の本体部28でのジブ13の軸方向に垂直な断面積が、第1の伸縮ジブ25でのジブ13の軸方向に垂直な断面積より大きくなる。そして、第1の伸縮ジブ25でのジブ13の軸方向に垂直な断面積が、第2の伸縮ジブ26でのジブ13の軸方向に垂直な断面積より大きくなる。以上より、ベースジブ21の本体部28は第1の伸縮ジブ25より強度が高くなり、第1の伸縮ジブ25は第2の伸縮ジブ26より強度が高くなる。
【0021】
図1に示すように、旋回体3には主巻ウィンチ31が設けられている。主巻ウィンチ31から、主巻ワイヤロープ(ワイヤロープ)32が延出されている。ブーム7が起状し、かつ、ジブ13がブーム7に対して起状した状態では、主巻ワイヤロープ32はブーム7の軸方向に沿って延設されている。図2及び図3に示すように、ブームヘッド11(ブーム7の先端部)には、ガイドシーブユニット33及びトップシーブユニット35が設けられている。ガイドシーブユニット33は、トップシーブユニット35よりブーム7の起状方向側に位置している。ブーム7の軸方向に沿って延設された主巻ワイヤロープ32は、ガイドシーブユニット33に掛けられる。
【0022】
そして、ブームヘッド11(ブーム7の先端部)からジブ13の軸方向に沿って、主巻ワイヤロープ32が延設される。ベースジブ21の本体部28の側面には、ジブ側シーブユニット37が設けられている。ジブ側シーブユニット37は、ジブ13の軸方向についてジブ13の中間部に位置している。ジブ側シーブユニット37は、第1のジブ側シーブ38Aと、第2のジブ側シーブ38Bと、を備える。ジブ側シーブユニット37(第1のジブ側シーブ38A及び第2のジブ側シーブ38B)の軸C1は、ジブ13の幅方向に平行である。
【0023】
図4は、ジブ側シーブユニット37を取外した状態での軸方向についてジブ13の中間部を示す図である。図4に示すように、軸方向についてジブ13の中間部には、シーブ着脱部である第1のブラケット39A及び第2のブラケット39Bが設けられている。第1のブラケット39Aはベースジブ21の本体部28(ジブ13)の一方の側面に位置し、第2のブラケット39Bはベースジブ21の本体部28(ジブ13)の他方の側面に位置している。第1のブラケット39Aには第1のジブ側シーブ38Aが着脱可能に取付けられ、第2のブラケット39Bには第2のジブ側シーブ38Bが着脱可能に取付けられる。
【0024】
図2及び図3に示すように、ジブ13がブーム7に対して起状した状態では、ブームヘッド11から主巻ワイヤロープ32は、ベースジブ21の本体部28(軸方向についてジブ13の中間部)までジブ13の軸方向に沿って延設されている。そして、ベースジブ21の本体部28に設けられるジブ側シーブユニット37の第1のジブ側シーブ38Aに、主巻ワイヤロープ32が掛けられる。
【0025】
荷重吊上げ装置5は、重荷重用吊り具41を備える。ジブ13がブーム7に対して起状した状態では、ベースジブ21の本体部28(軸方向についてジブ13の中間部)から主巻ワイヤロープ32により重荷重用吊り具41が吊下げられている。
【0026】
重荷重用吊り具41は、2つの板状部42A,42Bと、吊上げる荷重が引掛けられるメインフック(フック)43と、を備える。板状部42A,42Bの間では、吊り具側シーブユニット45が挟持されている。吊り具側シーブユニット45の軸C2は、ジブ13の幅方向に垂直、かつ、鉛直方向に垂直な方向である縦方向に対して平行である。したがって、吊り具側シーブユニット45の軸C2は、ジブ側シーブユニット37の軸C1に対して垂直である。
【0027】
図5は、ジブ側シーブユニット37と吊り具側シーブユニット45との間での主巻ワイヤロープ32の延出状態を示す図である。図2図3及び図5に示すように、ジブ側シーブユニット37の第1のジブ側シーブ38Aに掛けられた主巻ワイヤロープ32は、重荷重用吊り具41に向かって延出される。そして、吊り具側シーブユニット45に掛けられ、主巻ワイヤロープ32の延出方向がベースジブ21の本体部28(ジブ13の中間部)に向かって変更される。
【0028】
そして、吊り具側シーブユニット45に掛けられた主巻ワイヤロープ32は、ベースジブ21の本体部28に向かって延出され、ジブ側シーブユニット37の第2のジブ側シーブ38Bに掛けられる。そして、図2及び図3に示すように、第2のジブ側シーブ38Bに掛けられた主巻ワイヤロープ32の延出端は、ソケット47によりブームヘッド11(ブーム7の先端部)に固定される。
【0029】
以上のように、ジブ13の中間部から延出される主巻ワイヤロープ32は吊り具側シーブユニット45に1回以上掛けられる。そして、吊り具側シーブユニット45に主巻ワイヤロープ32が掛けられることにより、主巻ワイヤロープ32の延出方向がジブ13の中間部に向かって変更される。すなわち、重荷重用吊り具41は、ジブ13の中間部から主巻ワイヤロープ32により複索状態で吊下げられている。重荷重用吊り具41が複索状態で吊下げられることにより、ジブ13の中間部と重荷重用吊り具41との間に複数のワイヤ延設部49A,49Bが形成される。メインフック43により荷重を引掛けた際には、荷重による負荷がそれぞれのワイヤ延設部49A,49Bに分散される。このため、比較的重い荷重を吊上げることが可能となる。したがって、ブーム7の先端より高い位置で重い荷重が吊上げられる。
【0030】
また、荷重を吊上げた状態では、吊上げられた荷重によって、ジブ13の軸方向について圧縮荷重がジブ13に作用し、ジブ13の高さ方向について曲げ荷重が作用する。ジブ13の軸方向についてジブ13の中間部は、ジブ13の先端部よりジブ13とブーム7との連結部に近い。このため、ジブ13の中間部から重荷重用吊り具41が吊下げられる場合は、ジブ13の先端部から重荷重用吊り具41が吊下げられる場合より、圧縮荷重に対する座屈区間が小さくなり、座屈に対する耐性が高くなる。また、ジブ13の中間部から重荷重用吊り具41が吊下げられる場合は、ジブ13の先端部から重荷重用吊り具41が吊下げられる場合より、曲げ荷重が作用する位置がジブ13とブーム7との連結部に近くなる。このため、ジブ13の中間部から重荷重用吊り具41が吊下げられる場合は、ジブ13の先端部から重荷重用吊り具41が吊下げられる場合より、曲げモーメントが小さくなり、曲げ応力が小さくなる。したがって、ジブ13の先端部から重荷重用吊り具41が吊下げられる場合に比べ、ジブ13の中間部から重荷重用吊り具41が吊下げられる状態では、荷重からの負荷に対するジブ13の耐性は高くなる。
【0031】
また、重荷重用吊り具41はベースジブ21の本体部28から吊下げられている。ここで、ベースジブ21の本体部28でのジブ13の軸方向に垂直な断面積は、第1の伸縮ジブ25でのジブ13の軸方向に垂直な断面積、及び、第2の伸縮ジブ26でのジブ13の軸方向に垂直な断面積より大きい。このため、ベースジブ21の本体部28は、第1の伸縮ジブ25及び第2の伸縮ジブ26より強度が高くなる。したがって、第1の伸縮ジブ25から重荷重用吊り具41が吊下げられる場合、及び、第2の伸縮ジブ26から重荷重用吊り具41が吊下げられる場合に比べ、ベースジブ21の本体部28から重荷重用吊り具41が吊下げられる状態では、荷重からの負荷に対するジブ13の耐性は高くなる。
【0032】
また、軸方向についてジブ13の中間部から重荷重用吊り具41を吊下げるため、ジブ13の先端部から重荷重用吊り具41を吊下げる場合に比べ、ジブ13の強度を高くする必要はなく、ジブ13は重くならない。したがって、クレーン1が転倒し難くなり、荷重の吊上げ性能の低下も有効に防止される。また、ジブ13の強度を高くする必要がないため、ジブ13の高さ方向の寸法を大きくする必要もない。したがって、ジブ13の中間部(ベースジブ21の本体部28)に1つのジブ側シーブユニット37を設けるだけで、ブームヘッド11から延設される主巻ワイヤ32を重荷重用吊り具41まで適切に導くことが可能となる。
【0033】
以上のように、本実施形態の荷重吊上げ装置5では、荷重の吊上げ性能を低下させることなく、コストを増大させることなく、ブーム7の先端より高い位置で、重い荷重を効率よく吊上げることが可能となる。
【0034】
図6は、ジブ13の中間部から重荷重用吊り具41を吊下げた状態でのベースジブ21を示す図である。前述のように、ジブ側シーブユニット37の軸C1は、ジブ13の幅方向に対して平行である。また、吊り具側シーブユニット45の軸C2は、ジブ13の幅方向に垂直、かつ、鉛直方向に垂直な方向である縦方向に対して、平行である。このため、図6に示すように、板状部42Bの表面が、ジブ13の伏状方向側の面と対向する。すなわち、吊り具側シーブユニット45の軸C2がジブ13と交差する。重荷重用吊り具41の構成上、重荷重用吊り具41では、吊り具側シーブユニット45の軸C2に平行な方向の寸法は、幅方向の寸法より小さくなる。このため、吊り具側シーブユニット45の軸C2がジブ13と交差する状態で重荷重用吊り具41が吊下げられるため、作業時に重荷重用吊り具41とジブ13とが干渉し難くなる。また、このような構成にすることにより、メインフック43は、ジブ側シーブユニット37の軸C1より前方側に位置する。このため、ジブ13と重荷重用吊り具41のメインフック43が干渉し難い。以上のような構成にすることにより、メインフック43をさらに高い位置まで巻上げることが可能となり、さらに高い位置まで荷重を吊上げることが可能となる。
【0035】
また、図1の点線で示すように、ブームヘッド11(ブーム7の先端部)から主巻ワイヤロープ32により重荷重用吊り具41を吊下げる状態に、重荷重用吊り具41の吊下げ位置を変えることも可能である。この場合、軸方向についてジブ13の中間部から重荷重用吊り具41が吊下げられる状態とは、主巻ワイヤロープ32の延設状態、吊り具側シーブユニット45の軸C2の向き等が異なる。
【0036】
図7は、ブームヘッド11から重荷重用吊り具41を吊下げる状態でのブーム7とジブ13との連結部の構成を示す図である。図7に示すように、ブームヘッド11から重荷重用吊り具41を吊下げる状態では、ブーム7の軸方向に沿って延設された主巻ワイヤロープ32は、ガイドシーブユニット33に掛けられる。そして、主巻ワイヤロープ32は、トップシーブユニット35に掛けられ、重荷重用吊り具41に向かって延出される。トップシーブユニット35から延出された主巻ワイヤロープ32は、重荷重用吊り具41の吊り具側シーブユニット45に掛けられる。重荷重用吊り具41の吊り具側シーブユニット45に掛けられることにより、主巻ワイヤロープ32の延出方向がブームヘッド11に向かって変更される。
【0037】
そして、トップシーブユニット35に再び掛けられ、主巻ワイヤロープ32の延出方向が重荷重用吊り具41に向かって変更される。そして、主巻ワイヤロープ32は再び重荷重用吊り具41の吊り具側シーブユニット45に再び掛けられ、主巻ワイヤロープ32の延出方向がブームヘッド11に向かって変更される。そして、ソケット47によりブームヘッド11に主巻ワイヤロープ32の延出端が固定される。主巻ワイヤロープ32の延出端のブームヘッド11への固定位置は、重荷重用吊り具41がベースジブ21の本体部28から吊下げられる場合の主巻ワイヤロープ32の延出端のブームヘッド11への固定位置とは、異なる。
【0038】
以上のように、ブームヘッド11から延出される主巻ワイヤロープ32は、吊り具側シーブユニット45に1回以上掛けられる。そして、吊り具側シーブユニット45に主巻ワイヤロープ32が掛けられることにより、主巻ワイヤロープ32の延出方向がブームヘッド11に向かって変更される。すなわち、重荷重用吊り具41は、ブームヘッド11から主巻ワイヤロープ32により複索状態で吊下げられている。重荷重用吊り具41が複索状態で吊下げられることにより、ブームヘッド11と重荷重用吊り具41との間に複数のワイヤ延設部50A〜50Dが形成される。
【0039】
ここで、ブームヘッド11から重荷重用吊り具41を吊下げる状態では、吊り具側シーブユニット45の軸C2は、ジブ13の幅方向に対して平行となる。前述のように、重荷重用吊り具41では、吊り具側シーブユニット45の軸C2に平行な方向の寸法は、重荷重用吊り具41の幅方向の寸法より小さくなる。このため、吊り具側シーブユニット45の軸C2をジブ13の幅方向に対して平行にすることにより、ジブ13の装着作業時にブーム7に対してジブ13を振出す際に、脚部22A,22Bの間のスペース23を重荷重用吊り具41が通過し易くなる。
【0040】
図1に示すように、旋回体3には補巻ウィンチ51が設けられている。補巻ウィンチ51から、補巻ワイヤロープ52が延出されている。ブーム7が起状し、かつ、ジブ13がブーム7に対して起状した状態では、補巻ワイヤロープ52はブーム7の軸方向に沿って延設されている。そして、図2及び図3に示すように、ブーム7の軸方向に沿って延設された補巻ワイヤロープ52は、ガイドシーブユニット33に掛けられる。そして、ジブ13の軸方向に沿ってジブ13の先端部まで延設される。
【0041】
第2の伸縮ジブ26(ジブ13の先端部)には、シーブユニット53が設けられている。ジブ13の軸方向に沿って延設された補巻ワイヤロープ52は、シーブユニット53に掛けられる。そして、補巻ワイヤロープ52の延出端が、軽荷重用吊り具55に固定される。これにより、ジブ13の先端部(第2の伸縮ジブ26)から補巻ワイヤロープ52により、軽荷重用吊り具55が吊下げられる。軽荷重用吊り具55は、荷重を引掛けるサブフック56を備える。
【0042】
以上のように、ジブ13の先端部から延出される補巻ワイヤロープ52は、軽荷重用吊り具55でジブ13の先端部に向かって延出方向が変更されることなく、補巻ワイヤロープ52の延出端が軽荷重用吊り具55に直接固定されている。すなわち、軽荷重用吊り具55は、ジブ13の先端部から補巻ワイヤロープ52により単索状態で吊下げられている。軽荷重用吊り具55が単索状態で吊下げられることにより、ジブ13の先端部と軽荷重用吊り具55との間にワイヤ延設部57が1つのみ形成される。サブフック56により荷重を引掛けた際には、荷重による負荷がワイヤ延設部57のみに掛かり、複索状態のように荷重による負荷が分散されない。このため、軽荷重用吊り具55は、重荷重用吊り具41に比べ軽い荷重の吊上げに、用いられる。
【0043】
そこで、前記構成の荷重吊上げ装置5では、以下の効果を奏する。すなわち、荷重吊上げ装置5では、ジブ13の中間部から延出される主巻ワイヤロープ32は、吊り具側シーブユニット45に1回以上掛けられる。そして、吊り具側シーブユニット45に主巻ワイヤロープ32が掛けられることにより、主巻ワイヤロープ32の延出方向がジブ13の中間部に向かって変更される。すなわち、重荷重用吊り具41は、ジブ13の中間部から主巻ワイヤロープ32により複索状態で吊下げられている。重荷重用吊り具41が複索状態で吊下げられることにより、ジブ13の中間部と重荷重用吊り具41との間に複数のワイヤ延設部49A,49Bが形成される。メインフック43により荷重を引掛けた際には、荷重による負荷がそれぞれのワイヤ延設部49A,49Bに分散される。このため、比較的重い荷重を吊上げることができる。したがって、ブーム7の先端より高い位置で重い荷重を吊上げることができる。
【0044】
また、荷重を吊上げた状態では、吊上げられた荷重によって、ジブ13の軸方向について圧縮荷重がジブ13に作用し、ジブ13の高さ方向について曲げ荷重が作用する。ジブ13の軸方向についてジブ13の中間部は、ジブ13の先端部よりジブ13とブーム7との連結部に近い。このため、ジブ13の中間部から重荷重用吊り具41が吊下げられる場合は、ジブ13の先端部から重荷重用吊り具41が吊下げられる場合より、圧縮荷重に対する座屈区間が小さくなり、座屈に対する耐性が高くなる。また、ジブ13の中間部から重荷重用吊り具41が吊下げられる場合は、ジブ13の先端部から重荷重用吊り具41が吊下げられる場合より、曲げ荷重が作用する位置がジブ13とブーム7との連結部に近くなる。このため、ジブ13の中間部から重荷重用吊り具41が吊下げられる場合は、ジブ13の先端部から重荷重用吊り具41が吊下げられる場合より、曲げモーメントが小さくなり、曲げ応力が小さくなる。したがって、ジブ13の先端部から重荷重用吊り具41が吊下げられる場合に比べ、ジブ13の中間部から重荷重用吊り具41が吊下げられる状態では、荷重からの負荷に対するジブ13の耐性を高くすることができる。
【0045】
また、軸方向についてジブ13の中間部から重荷重用吊り具41を吊下げるため、ジブ13の先端部から重荷重用吊り具41を吊下げる場合に比べ、ジブ13の強度を高くする必要はなく、ジブ13は重くならない。したがって、クレーン1が転倒し難くなり、荷重の吊上げ性能の低下も有効に防止される。
【0046】
また、ジブ13の強度を高くする必要がないため、ジブ13の高さ方向の寸法を大きくする必要もない。このため、ジブ13の中間部にガイドシーブ及びトップシーブを別個に設ける必要がなく、ジブ13の中間部(ベースジブ21の本体部28)に1つのジブ側シーブユニット37を設けるだけで、ブームヘッド11から延設される主巻ワイヤロープ32を重荷重用吊り具41まで適切に導くことができる。シーブユニット等の部品点数を少なくすることにより、製造コストを削減することができる。また、部品点数を少なくすることにより、ジブ13の下面からの部品の突出が有効に防止される。このため、ジブ13をブームの下面に格納する際に、ジブ13とブーム7との干渉を有効に防止することができる。
【0047】
以上のように、本実施形態の荷重吊上げ装置5では、荷重の吊上げ性能を低下させることなく、コストを増大させることなく、ブーム7の先端より高い位置で、重い荷重を効率よく吊上げることができる。
【0048】
(変形例)
第1の実施形態では、ジブ13の中間部から延出される主巻ワイヤロープ32が吊り具側シーブユニット45に1回だけ掛けられているが、これに限るものではない。例えば、第1の変形例として図8及び図9に示すように、吊り具側シーブユニット45に主巻ワイヤロープ32が3回掛けられてもよい。本変形例では、ベースジブ21の本体部28(ジブ13の中間部)に、補助シーブユニット61が設けられている。補助シーブユニット61の軸C3は、ジブ13の幅方向に垂直、かつ、鉛直方向に垂直な方向である縦方向に対して平行である。すなわち、吊り具側シーブユニット45の軸C2と補助シーブユニット61の軸C3は、平行である。
【0049】
ジブ側シーブユニット37の第1のジブ側シーブ38Aに掛けられた主巻ワイヤ32は、重荷重用吊り具41に向かって延出される。そして、吊り具側シーブユニット45に掛けられ、主巻ワイヤロープ32の延出方向がベースジブ21の本体部28(ジブ13の中間部)に向かって変更される。ジブ13の中間部に向かって延出方向が変更された主巻ワイヤロープ32は、補助シーブユニット61に掛けられ、主巻ワイヤロープ32の延出方向が重荷重用吊り具(吊り具)41に向かって変更される。そして、吊り具側シーブユニット45に掛けられ、主巻ワイヤロープ32の延出方向がジブ13の中間部に向かって変更される。ジブ13の中間部に向かって延出方向が変更された主巻ワイヤロープ32は、再び補助シーブユニット61に掛けられ、主巻ワイヤロープ32の延出方向が重荷重用吊り具41に向かって変更される。そして、再び吊り具側シーブユニット45に掛けられ、主巻ワイヤロープ32はベースジブ21の本体部28に向かって延出される。ベースジブ21の本体部28に向かって延出された主巻ワイヤロープ32は、ジブ側シーブユニット37の第2のジブ側シーブ38Bに掛けられ、延出端がソケット47によりブームヘッド11に固定される。
【0050】
以上のように、重荷重用吊り具41は、ジブ13の中間部から主巻ワイヤロープ32により複索状態で吊下げられている。重荷重用吊り具41が複索状態で吊下げられることにより、ジブ13の中間部と重荷重用吊り具41との間に6つ(複数)のワイヤ延設部49A〜49Fが形成される。
【0051】
また、本変形例においても、ジブ側シーブユニット37の軸C1は、ジブ13の幅方向に対して平行である。また、吊り具側シーブユニット45の軸C2は、ジブ13の幅方向に垂直、かつ、鉛直方向に垂直な方向である縦方向に対して平行である。このため、図8に示すように、板状部42Bの表面が、ジブ13の伏状方向側の面と対向する。すなわち、吊り具側シーブユニット45の軸C2がジブ13と交差する。前述のように、重荷重用吊り具41では、吊り具側シーブユニット45の軸C2に平行な方向の寸法は、吊り具側シーブユニット45の幅方向の寸法より小さくなる。このため、吊り具側シーブユニット45の軸C2がジブ13と交差する状態で重荷重用吊り具41が吊下げられるため、作業時に重荷重用吊り具41とジブ13とが干渉し難くなる。また、このような構成にすることにより、メインフック43は、ジブ側シーブユニット37の軸C1より前方側に位置する。このため、ジブ13と重荷重用吊り具41のメインフック43が干渉し難い。以上のような構成にすることにより、メインフック43をさらに高い位置まで巻上げることが可能となり、さらに高い位置まで荷重を吊上げることが可能となる。
【0052】
図10は、第1の変形例の補助シーブユニット61を示す図である。図10に示すように、補助シーブユニット61は、ベースジブ21との連結部を回動軸として、ジブ13に対して回動可能である。補助シーブユニット61は、ジブ13の対地角度の変化に対応して、ジブ13が水平な状態での位置(図10の実線で示す位置)と、ジブ13が起状した状態での位置(図10の点線で示す位置)と、の間で回動する。ジブ13の使用後にジブ13をブーム7の側面又は下面に収納する際には、補助シーブユニット61は取外される。このため、ジブ13を収納する際に、ジブ13とブーム7との干渉が、有効に防止される。
【0053】
また、第2の変形例として図11に示すように、吊り具側シーブユニット45に主巻ワイヤロープ32が2回掛けられてもよい。本変形例でも、第1の変形例と同様に、ベースジブ21の本体部28(ジブ13の中間部)に、補助シーブユニット61が設けられている。
【0054】
ジブ側シーブユニット37の第1のジブ側シーブ38Aに掛けられた主巻ワイヤロープ32は、メインブロック41に向かって延出される。そして、ブロック側シーブユニット45に掛けられ、主巻ワイヤロープ32の延出方向がベースジブ21の本体部28(ジブ13の中間部)に向かって変更される。ジブ13の中間部に向かって延出方向が変更された主巻ワイヤロープ32は、補助シーブユニット61に掛けられ、主巻ワイヤロープ32の延出方向が重荷重用吊り具(吊り具)41に向かって変更される。そして、吊り具側シーブユニット45に掛けられ、主巻ワイヤロープ32の延出方向がジブ13の中間部に向かって変更される。ジブ13の中間部に向かって延出方向が変更された主巻ワイヤロープ32は、ジブ側シーブユニット37の第2のジブ側シーブ38Bに掛けられ、延出端がソケット47によりブームヘッド11に固定される。
【0055】
以上のように、重荷重用吊り具41は、ジブ13の中間部から主巻ワイヤロープ32により複索状態で吊下げられている。重荷重用吊り具41が複索状態で吊下げられることにより、ジブ13の中間部と重荷重用吊り具41との間に4つ(複数)のワイヤ延設部49A〜49Dが形成される。
【0056】
第1の実施形態、第1の変形例及び第2の変形例で前述したように、本発明では、ジブ13の中間部から延出される主巻ワイヤロープ32が、吊り具側シーブユニット45に1回以上掛けられていればよい。そして、吊り具側シーブユニット45に主巻ワイヤロープ32が掛けられることにより、主巻ワイヤロープ32の延出方向がジブ13の中間部に向かって変更されればよい。これにより、重荷重用吊り具41は、ジブ13の中間部から主巻ワイヤロープ32により複索状態で吊下げられる。重荷重用吊り具41が複索状態で吊下げられることにより、ジブ13の中間部と重荷重用吊り具41との間に複数のワイヤ延設部(第1の実施形態では49A,49B、第1の変形例では49A〜49F、第2の変形例では49A〜49D)が形成される。メインフック43により荷重を引掛けた際には、荷重による負荷がそれぞれのワイヤ延設部に分散される。このため、ブーム7の先端より高い位置で比較的重い荷重を吊上げることが可能となる。
【0057】
また、第1の変形例及び第2の変形例のように、ジブ13の中間部に補助シーブユニット61が設けられる場合は、重荷重用吊り具41から延出される主巻ワイヤロープ32が補助シーブユニット61に1回以上掛けられる。そして、主巻ワイヤロープ32が補助シーブユニット61に掛けられる度に、主巻ワイヤロープ32の延出方向が重荷重用吊り具41に向かって変更される。また、第1の変形例及び第2の変形例のように、ジブ13の中間部に補助シーブユニット61が設けられる場合は、吊り具側シーブユニット45に最後に掛けられた位置からジブ13の中間部に延出された主巻ワイヤロープ32は、ジブ側シーブユニット37の第2のジブ側シーブ38Bに掛けられる。そして、主巻ワイヤロープ32の延出端が、ブームヘッド11に固定される。
【0058】
また、第1の実施形態では、吊り具側シーブユニット45の軸C2は、ジブ13の幅方向に垂直、かつ、鉛直方向に垂直な方向である縦方向に対して平行であるが、これに限るものではない。例えば、第3の変形例として図12に示すように、吊り具側シーブユニット45の軸C2が、ジブ13の幅方向に対して平行であってもよい。本変形例では、第1の実施形態と同様に、ベースジブ21の本体部28(ジブ13の中間部)から主巻ワイヤロープ32により複索状態で重荷重用吊り具41が吊下げされ、ジブ13の中間部と重荷重用吊り具41との間に複数のワイヤ延設部49A,49Bが形成される。ただし、本変形例では、第1の実施形態とは異なり、重荷重用吊り具41の板状部42A表面及び板状部42Bの表面の両方がジブ13の伏状方向側の面と対向せず、吊り具側シーブユニット45の軸C2がジブ13と交差しない。このため、第1の実施形態に比べ、作業時に重荷重用吊り具41とジブ13とが干渉し易い。また、本変形例では、ジブ側シーブユニット37の軸C1から鉛直下方向に延びる直線Lに吊り具側シーブユニット45の軸C2(メインフック43)が交わる。以上のような構成であるため、本変形例では、第1の実施形態に比べ、重荷重用吊り具41とジブ13が干渉し易い。したがって、重荷重用吊り具41とジブ13との干渉を防止する必要があるため、高い位置まで荷重を吊上げる際の作業性が低下してしまう。
【0059】
また、第1の実施形態では、ジブ13は、ベースジブ21、第1の伸縮ジブ25及び第2の伸縮ジブ26を備えるが、これに限るものではない。例えば、伸縮ジブが1つのみ設けられる構成であってもよい。この場合、ベースジブの内部に収納された収縮状態とジブの先端方向にベースジブから突出する伸長状態との間で、ベースジブに対してジブの軸方向に伸縮ジブは伸縮可能である。また、伸縮ジブが設けられず、ジブの軸方向の寸法が変化しない構成であってもよい。また、ジブ13の伸縮において、テンションロッド15の長さが変化しない構成であってもよい。
【0060】
また、第1の実施形態では、主巻ワイヤロープ32の延出端は、ブームヘッド11に固定されているが、これに限るものではない。例えば、ジブ13に主巻ワイヤロープ32の延出端が固定されてもよい。この場合、ジブ側シーブユニット37は第2のジブ側シーブ38Bを備えない。そして、主巻ワイヤロープ32は、吊り具側シーブユニット45によりジブ13の中間部に向かって延出方向が変更され、ソケット47を介して延出端がジブ13に固定される。
【0061】
また、第1の実施形態では、ジブ13の中間部から主巻ワイヤロープ32により、重荷重用吊り具41が吊下げられているが、ジブ13の中間部から補巻ワイヤロープ52により、重荷重用吊り具41が吊下げられていてもよい。この場合も、複索状態で重荷重用吊り具41が吊下げられる。
【0062】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形ができることは勿論である。
【0063】
以下、本発明の他の特徴的な技術事項を下記の通り付記する。

(付記項1)
ブームと、
前記ブームの先端部に取付けられ、前記ブームとの連結部を中心に前記ブームに対して回動可能なジブと、
一端が前記ブームの前記先端部に接続され、他端が前記ジブに接続されるテンションロッドであって、前記ジブが前記ブームに対して起状した状態で発生した張力によって前記ジブを支持することにより、前記ジブの曲げに対する強度を高めるテンションロッドと、
前記ジブの軸方向について前記ジブの中間部の側面に設けられるジブ側シーブユニットと、
前記ジブが前記ブームに対して起状した状態で、前記ブームの軸方向に沿って延設され、前記ブームの前記先端部から前記ジブの前記軸方向に沿って前記ジブの前記中間部まで延設されるワイヤロープであって、前記ジブ側シーブユニットに掛けられるワイヤロープと、
前記ジブが前記ブームに対して起状した状態で、前記ワイヤロープにより前記ジブの前記中間部から複索状態で吊下げされる吊り具であって、荷重が引掛けられるフックと、前記ジブの前記中間部から延出される前記ワイヤロープが1回以上掛けられ、前記ワイヤロープが掛けられる度に前記ワイヤロープの延出方向を前記ジブの前記中間部に向かって変更する吊り具側シーブユニットと、を備える吊り具と、
を具備する荷重吊上げ装置。
【0064】
(付記項2)
前記ジブ側シーブユニットは、前記ジブの幅方向に軸が平行であり、
前記吊り具側シーブユニットは、前記ジブの前記幅方向に垂直、かつ、鉛直方向に垂直な方向である縦方向に対して軸が平行である、
付記項1の荷重吊上げ装置。
【0065】
(付記項3)
前記吊り具側シーブユニットに最後に掛けられた位置から前記ジブの前記中間部に延出された前記ワイヤロープは、前記ジブ側シーブユニットに掛けられ、延出端が前記ブームに固定される付記項1の荷重吊上げ装置。
【0066】
(付記項4)
前記ジブの前記中間部に設けられる補助シーブユニットであって、前記吊り具から延出される前記ワイヤロープが1回以上掛けられ、前記ワイヤロープが掛けられる度に前記ワイヤロープの延出方向を前記吊り具に向かって変更する補助シーブユニットをさらに具備する付記項1の荷重吊上げ装置。
【0067】
(付記項5)
前記ジブは、
基端部が前記ブームの前記先端部に連結され、前記ジブ側シーブユニットが配置されるベースジブと、
前記ベースジブの内部に収納された収縮状態と、前記ジブの先端方向に前記ベースジブから突出する伸長状態との間で、前記ベースジブに対して前記ジブの軸方向に伸縮可能な伸縮ジブと、
を備える付記項1の荷重吊上げ装置。
【0068】
(付記項6)
前記ジブは、前記ジブ側シーブユニットが着脱可能に取付けられるシーブ着脱部を備える付記項1の荷重吊上げ装置。
【符号の説明】
【0069】
5…荷重吊上げ装置、7…ブーム、13…ジブ、15…テンションロッド、32…主巻ワイヤロープ、37…ジブ側シーブユニット、41…重荷重用吊り具、45…吊り具側シーブユニット。
図1
図2
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図12