特許第5871609号(P5871609)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5871609
(24)【登録日】2016年1月22日
(45)【発行日】2016年3月1日
(54)【発明の名称】高濃度メントール含有粉末香料製剤
(51)【国際特許分類】
   C11B 9/00 20060101AFI20160216BHJP
   C11B 15/00 20060101ALI20160216BHJP
【FI】
   C11B9/00 D
   C11B15/00
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2011-282549(P2011-282549)
(22)【出願日】2011年12月26日
(65)【公開番号】特開2013-133341(P2013-133341A)
(43)【公開日】2013年7月8日
【審査請求日】2014年12月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000175283
【氏名又は名称】三栄源エフ・エフ・アイ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】松倉 琢磨
(72)【発明者】
【氏名】加藤 雄亮
(72)【発明者】
【氏名】稲田 徳彦
【審査官】 小久保 敦規
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−102279(JP,A)
【文献】 特開2004−035616(JP,A)
【文献】 特開2010−142124(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11B 1/00−15/00
C11C 1/00− 5/02
A61K 8/00− 8/99
A61Q 1/00−99/00
A23L 1/22− 1/237
A23L 1/24
A23G 1/00− 9/30
CAplus/REGISTRY(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
JSTChina(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メントール20〜45質量%に、以下の(1)〜(3)の乳化剤、および賦形剤を添加混合した溶液を、乳化処理を行った後、乾燥して得られる高濃度メントール含有粉末香料製剤の製造方法;
(1)レシチンおよび/または有機酸モノグリセリドを、メントール量に対し0.5〜50質量%、
(2)トリグリセリドを、メントール量に対し0.5〜50質量%、
(3)ガティガムを、メントール量に対し10〜100質量%。
【請求項2】
メントール20〜45質量%に対して、以下の(1)〜(3)の乳化剤、および賦形剤を添加混合した溶液を、乳化処理を行った後、乾燥して得られる高濃度メントール含有粉末香料製剤の保存安定性向上方法。
(1)レシチンおよび/または有機酸モノグリセリドを、メントール量に対し0.5〜50質量%、
(2)トリグリセリドを、メントール量に対し0.5〜50質量%、
(3)ガティガムを、メントール量に対し10〜100質量%。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メントールを含有する粉末香料製剤で、高濃度のメントールを含有しても保存安定性が高く、また、メントールの香味を速やかに発現することができ、かつ、香気、香味が持続する高濃度メントール含有粉末香料製剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
チューインガム、錠菓、キャンディーなどには、メントールがよく使用されており、口に入れた瞬間に感じる香りや香味の広がり、咀嚼をして感じる香り、そして飲み込む際に感じる香りや味覚などは、製品の差別化を図る重要な因子のひとつである。
粉末香料は、これら食品の香味付けなどに広く用いられており、口に入れた瞬間に感じる香りと、咀嚼して感じる香りに影響を与える。
一般的な粉末香料の製法としては、香料をアラビアガムやエステル化加工澱粉等の乳化剤に添加した後、得られた乳化混合物を噴霧乾燥して粉末香料を製造する方法であるが、この方法で得られる粉末香料は香気、香味の発現が遅く、特に口に入れた瞬間に感じる香りに関して満足できるものではない。
また、チューインガムなどでは、香料がガムベースから脱離しにくく、その香気、香味の発現が遅くなり、かつ香気、香味が持続することなく、すぐに弱くなって感じ難くなるという問題点がある。
【0003】
この香気、香味の発現を促進する解決方法として、香料にアラビアガム、大豆多糖類、エステル化加工澱粉、レシチン、キラヤ抽出物、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステルから選ばれる1種又は2種以上の乳化剤、及びラクチトールなどの糖アルコールを添加混合して乳化処理した後、粉末製剤とする速放性香料粉末製剤が提案されている(特許文献1)。
一方、香気、香味の持続を促進する解決方法としては、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、レシチンなどの乳化剤の水溶液に、香料を加えて高圧下で乳化を行ない、1μm未満の微小乳化油滴を調製し、これに賦形剤の水溶液を加えて撹拌混合し、噴霧乾燥して香味持続型粉末香料を得ることが提案されている(特許文献2)。
また、油溶性香料と中鎖トリグリセライドなどの油溶性成分を、100:1〜1:1の割合で混合又は溶解した油相成分を、アラビアガムなどの乳化剤溶液中に微分散又は乳化して、油相成分の乳化粒子の平均粒子径を0.1μm未満として得られる、水に透明に溶解し、且つ呈味感やトップノートなどの香味発現性が改善された乳化香料組成物も提案されている(特許文献3)。
さらに、油性香料にショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステルおよびレシチンの1種以上と、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルと、ガティガムから選ばれる1種または2種以上の乳化剤を用いた、香気、香味を速やかに発現させ、かつ、香気、香味が長く持続する油性香料含有粉末製剤が提案されている(特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−140482号公報
【特許文献2】特開2001−152179号公報
【特許文献3】特開2006−257246号公報
【特許文献4】特開2011−074306号広報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、チューインガム等にメントールを多量に添加しようとする際には、メントール含有粉末香料製剤自体の添加量を増やす必要があるが、メントール含有粉末香料製剤自体を大量に添加すると異味を感じたり、メントールの香気の発現が悪くなったりする。そこで、粉末香料製剤へのメントールの添加量を増やすことが考えられるが、上述の粉末香料製剤では、メントールの含量が20質量%の添加までは可能であるが、それ以上のメントールを添加すると、メントール含有粉末香料製剤自体の保存安定性が失われる。
そのため、高濃度のメントールを含有し、保存安定性もよく、さらに、香気、香味を速やかに発現し、かつ、香気、香味が持続する高濃度メントール含有粉末香料製剤が求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、鋭意研究の結果、メントール20〜45質量%に、特定量の(1)レシチンおよび/または有機酸モノグリセリド、(2)トリグリセリドおよび(3)ガティガムの乳化剤、および賦形剤を添加混合した溶液を、乳化処理を行った後、乾燥して得られる高濃度メントール含有粉末香料製剤が、保存安定性が高く、また、メントールの香味を速やかに発現することができ、かつ、香気、香味が持続することを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、下記の通りである。
項1.メントール20〜45質量%に、以下の(1)〜(3)の乳化剤、および賦形剤を添加混合した溶液を、乳化処理を行った後、乾燥して得られる高濃度メントール含有粉末香料製剤の製造方法;
(1)レシチンおよび/または有機酸モノグリセリドを、メントール量に対し0.5〜50質量%、
(2)トリグリセリドを、メントール量に対し0.5〜50質量%、
(3)ガティガムを、メントール量に対し10〜100質量%。
項2.メントール20〜45質量%に対して、以下の(1)〜(3)の乳化剤、および賦形剤を添加混合した溶液を、乳化処理を行った後、乾燥して得られる高濃度メントール含有粉末香料製剤の保存安定性向上方法。
(1)レシチンおよび/または有機酸モノグリセリドを、メントール量に対し0.5〜50質量%、
(2)トリグリセリドを、メントール量に対し0.5〜50質量%、
(3)ガティガムを、メントール量に対し10〜100質量%。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、高濃度のメントールを含有しても保存安定性が高く、また、メントールの香味を速やかに発現することができ、かつ、香気、香味が持続する高濃度メントール含有粉末香料製剤を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明のメントール(Menthol)は、環式モノテルペン、アルコールの1種の有機化合物である。本発明に用いるメントールは、特に特有の冷涼感な香味を持っている、l−メントール、dl−メントールが好ましいが、これらと他の異性体との混合物を用いてもよい。また、l−メントールは、和種ハッカ油に65〜85%、洋種ハッカ油に50〜70%含有しており、これらの精油を用いることもできる。
【0010】
本発明の高濃度メントール含有粉末香料製剤中のメントールの含量は、20〜45質量%であり、20質量%以下では、公知の乳化剤を用いてもメントール含有粉末香料製剤の保存安定性には問題を生じず、45質量%以上になると、本願の乳化剤を用いても、高濃度メントール含有粉末香料製剤の保存安定性に問題が生じてくる。
【0011】
本発明で用いるレシチンは、グリセリン二脂肪酸エステル(ジグリセリド)のリン酸誘導体付加物であり、動植物体に広く分布し、特に卵黄に多く含まれている卵黄レシチン、大豆に多く含まれている大豆レシチンを挙げることができる。また、これらレシチンから有効成分を取りだした分別レシチンや、レシチンを酵素で処理した酵素処理レシチンと酵素分解レシチンを用いることもできる。本発明で使用するレシチンは、商業的に入手可能であり、例えば、SLP−ホワイト(辻製油(株)社製)を挙げることができる。
【0012】
本発明におけるレシチンの添加量は、用いるメントール量に対して、0.5〜50質量%、好ましくは2〜10質量%である。添加量が0.5質量%以下では高濃度メントール含有粉末香料製剤の保存安定性の向上が不十分であり、50質量%以上では、乾燥前の乳化溶液の粘度が上昇しすぎて粉末化が困難となるため好ましくない。
【0013】
本発明で用いる有機酸モノグリセリドは、モノグリセリドのヒドロキシ基にさらに有機酸をエステル結合させたもので、モノグリセリド誘導体とも呼ばれ、酢酸モノグリセリド(AMG)、クエン酸モノグリセリド(CMG)、コハク酸モノグリセリド(SMG)、ジアセチル酒石酸モノグリセリド(TMGまたはDATEM)、乳酸モノグリセリド(LMG)を挙げることができる。好ましいHLBは5〜12であり、特に7〜10が好ましい。本発明で使用する有機酸モノグリセリドは、商業的に入手可能であり、例えば、コハク酸モノステアリン酸グリセリン(サンソフトNO.681NU)(太陽化学(株)社製)を挙げることができる。
【0014】
本発明における有機酸モノグリセリドの添加量は、用いるメントール量に対して、0.5〜50質量%、好ましくは2〜10質量%である。有機酸モノグリセリドの添加量が0.5質量%以下では、高濃度メントール含有粉末香料製剤の保存安定性の向上が不十分であり、50質量%以上では、乾燥前の乳化溶液の粘度が上昇しすぎて粉末化が困難となる、また粉末の物性が悪く、流動性に欠けるため、好ましくない。
【0015】
本発明で用いるトリグリセリドは、1分子のグリセロール(グリセリン)に3分子の脂肪酸がエステル結合したアシルグリセロール(グリセリド)で、中性脂肪の1つである。本発明で使用するトリグリセリドは、商業的に入手可能であり、例えば、O.D.O(日清オイリオグループ(株)社製)、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリンを挙げることができる
【0016】
本発明におけるトリグリセリドの添加量は、用いるメントール量に対して0.5〜50質量%、好ましくは2〜10質量%である。トリグリセリドの添加量が0.5質量%以下の場合は高濃度メントール含有粉末香料製剤の保存安定性の向上が不十分であり、50質量%以上になると乾燥前の乳化溶液の粘度が上昇しすぎて粉末化が困難となる、また粉末の物性が悪く、流動性に欠けるため、好ましくない。
【0017】
本発明で用いるガティガムは、シクンシ科ガティノキ(Anogeissus Latifolia WALL.)の幹の分泌液を乾燥して得られる多糖類を主成分とするものであり、増粘安定剤(食品添加物)として公知のガム質である。本発明で使用するガティガムは商業的に入手可能であり、例えば、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製のガティガムSDを挙げることができる。
【0018】
本発明におけるガティガムの添加量は、用いるメントール量に対して、10〜100質量%、好ましくは20〜50質量%である。ガティガムの添加量が10質量%以下の場合は、高濃度メントール含有粉末香料製剤の保存安定性の向上が不十分であり、100質量%以上になると、乾燥前の乳化溶液の粘度が上昇しすぎて粉末化が困難となる。
【0019】
本発明で用いる賦形剤は、水溶性デキストリン、グルコース、フルクトース、ガラクトースなどの単糖類、ラクトース、マルトース、トレハロースなどの二糖類、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、エリスリトールなどの糖アルコール、オリゴ糖、マルトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、ニゲロオリゴ等、パラチット、ゼラチン、ゼラチン加水分解物などを挙げることができる。
【0020】
本発明の高濃度メントール含有粉末香料製剤は、上記のメントール、乳化剤および賦形剤などの混合液を、常法によって乳化を行い、この乳化液を噴霧乾燥または真空乾燥等の方法で乾燥して得ることができる。
【0021】
本発明の高濃度メントール含有粉末香料製剤には、本発明の効果を妨げない範囲で他の食品原料等を添加することができる。例えば、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、大豆多糖類、エステル化加工澱粉、キラヤ抽出物などの界面活性剤、アラビアガム、改質アラビアガム、キサンタンガム、ローカストビーンガム、カラヤガム、プルラン、アラビノガラクタン、トラガントガム、カラギナン(カッパー、イオータ、ラムダ)、タマリンドシードガム、アルギン酸、寒天、タラガム、ジェランガム(ネイティブ、脱アシル)、ペクチンなどの増粘多糖類やゲル化剤、合成および天然の各種食品用色素類、メントール以外の各種食品用香料、L−アスコルビン酸およびL−アスコルビン酸ナトリウム等のアスコルビン酸類;L−アスコルビン酸ステアリン酸エステル、L−アスコルビン酸パルミチン酸エステル等のアスコルビン酸エステル類、抽出トコフェロール、dl−α−トコフェロール、dl−γ−トコフェロール、ミックストコフェロール、ローズマリー抽出物、ヤマモモ抽出物、ルチン抽出物、ルチン酵素分解物、酵素処理ルチン、酵素処理イソクエルシトリン、チャ抽出物およびトコトリエノールなどの抗酸化剤、乳酸やクエン酸、酢酸、アルコルビン酸等の酸味料、各種アミノ酸や各種ビタミン類などを添加してもよい。
【0022】
本発明の高濃度メントール含有粉末香料製剤は、チューインガム、錠菓、キャンディ、ドロップ等の菓子類に使用することができるが、特にチューインガムに使用することが好ましい。
これらの菓子類への添加量は特に制限はないが、10質量%以上になると、喫食するにはメントールが強すぎて不適である。
【実施例】
【0023】
以下、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、特に記載のない限り「%」は、「質量%」、「部」は「質量部」を意味するものとする。なお、実施例のレシチンは、SLP−ホワイト(辻精油(株)社製)、有機酸モノグリセリドは、サンソフト NO.681NU(太陽化学(株)社製)、トリグリセリドは、O.D.O(日清オイリオグループ(株)社製)、ガティガムは、ガティガム SD(三栄源エフ・エフ・アイ社製)、アラビアガムは、Spray Gum 1206(HENELIE INDUSTRIES CO LTD社製)、ショ糖脂肪酸エステルは、DK エステル F160(第一工業製薬(株)社製)、ポリグリセリン脂肪酸エステルはNIKKOL Decaglyn 1−50SV(日光ケミカルズ(株)社製)、デキストリンは特殊デキストリン N.S.D.300(サンエイ糖化(株)社製)を用いた。
【0024】
実験例1
<調製方法>
表1の処方に記載された量の油相成分であるメントール、レシチン、有機酸モノグリセリド、トリグリセリドを均一に混合する。その後、水相成分であるガティガム、またはアラビアガム、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン酸脂肪酸エステル、デキストリンを水に溶解して調製した乳化剤溶液に、均一に混合した油相成分添加し、攪拌混合した。次いで、APV Gaulin社製 高圧ホモジナイザー 15MP−8TAを用いて、圧力2.942kPa(300kg/cm)で2回処理を行い、得られた乳化液をAPV Nordic Anhydro社製 噴霧乾燥機(入口温度:140℃、出口温度80℃)を用いて噴霧乾燥し、メントール含有粉末香料製剤(実施例1〜7、比較例1〜6)を得た。
【0025】
実験方法
<メントールの残存率>
得られたメントール含有粉末香料製剤0.2gを100mlメスフラスコに正確に量り、純水50mlを加えて溶解後、柴田科学(株)社製 超音波処理器SU−2THで3分間超音波処理を行った。次いで、アセトン25mlを加えて、再度超音波処理を3分間行い、内部標準液1%1−オクタノール:アセトン液5mlを加えて、アセトンで100mlに定容した。この液を0.5μmフィルターで濾過し、濾液を試験溶液とした。
【0026】
別途、l−メントール0.8gを100mlメスフラスコに正確に量り、アセトンで100mlに定容した。この液3ml、5ml、8ml、12mlを100mlメスフラスコにそれぞれ正確に量り、試験溶液の調製方法と同様、純水50ml、アセトン25ml、内部標準液5mlを加えて、アセトンで100mlに定量した。この液を0.5μmフィルターで濾過し、濾液を検量用溶液とした。
これら試験溶液、および検量用溶液について、ガスクロマトグラフ法により試験を行い、内部標準法を用いてメントールの定量を行った。メントールの残存率は、(得られたメントールの残存量/メントールの使用量)×100により求めた。
【0027】
<メントールの表面油率>
得られたメントール含有粉末香料製剤2gを100mlビーカーに正確に量り、アセトン50mlを加えてスターラーで5分間攪拌した後、静置した。5分間静置後、上澄み液をADVANTEC社製 濾紙2で濾過し、濾液を100mlメスフラスコに入れた。再度、ビーカーに残った試料にアセトン25mlを加え、スターラーで5分間攪拌した後、静置した。5分間静置後、上澄み液をADVANTEC社製 濾紙2で濾過し、濾液を100mlメスフラスコに入れた。100mlメスフラスコに入れた濾液に内部標準液1%1−オクタノール:アセトン液5mlを加えて、アセトンで100mlに定容した。この液を0.5μmフィルターで濾過し、濾液を試験溶液とした。
これら試験溶液について、ガスクロマトグラフ法により試験を行い、内部標準法を用いてメントールの定量を行った。メントールの表面油率は、(得られたメントールの表面油量/メントールの残存量)×100により求めた。
【0028】
<昇華試験>
100mlの無色透明ガラス管に、メントール濃度が1000ppmになるように得られたメントール含有粉末香料製剤を正確に量り、ガラス管を密閉して60℃の恒温器に3時間保管した。その後、室温20℃まで冷却し、ガラス管内に析出したメントールの結晶を確認した。
【0029】
<香味の発現性>
チューインガムベースに、メントール濃度が2000ppmになるよう得られたメントール含有粉末香料製剤をそれぞれ加え、メントール含有チューインガムを調製した。調製したメントール含有チューインガムからの香味の発現を、8名のパネラーにより表5下部に記載した4段階の官能評価で評価した。
【0030】
【表1】
【0031】
【表2】
【0032】
【表3】
【0033】
【表4】
【0034】
表3、4の結果より、本発明品である粉末製剤(実施例1〜7)は、メントール20〜45%に対して、特定量の(1)レシチンおよび/または有機酸モノグリセリド、(2)トリグリセリド、(3)ガティガムを使用することで、メントールの残存率も90%程度と高く、粉末表面のメントール含量も1%前後と低かった。そのため、昇華試験においてもメントールの結晶生成は確認されず、本発明品の保存安定性は高いことがわかった。
一般的な製法で作られるアラビアガム製剤(比較例1、2)は、メントールの残存率は80%以下であり、粉末表面のメントール含量はメントールの添加量に関わらず、どちらも5〜10%と高かった。そのため、昇華試験においてどちらもメントールの結晶生成が確認された。
【0035】
ショ糖脂肪酸エステルとポリグリセリン脂肪酸エステルの界面活性剤を用いた粉末製剤(比較例3)では、粉末表面のメントール含量は40%以上と非常に高くなった。そのため、昇華試験では、多くのメントールの結晶生成が確認された。
【0036】
また、本発明で使用しているメントール、乳化剤が本発明の特定量を外れる場合も(比較例4、5、6)、粉末表面のメントール含量は高い結果となった。そのため、昇華試験では、粉末表面のメントール含量が3%強である比較例6でも、メントールの結晶生成が確認された。
【0037】
【表5】
【0038】
表5の結果より、香味の発現においても従来の粉末メントール製剤より優れており、良好な風味発現性を有していた。本発明により調製された粉末製剤(実施例1〜7)は、一般的な製法で作られるアラビアガム製剤(比較例1)に比べ、メントールの香味を速やかに発現することができ、かつ、香味の持続性に優れていた。また、ショ糖脂肪酸エステルとポリグリセリン脂肪酸エステルの界面活性剤を用いた粉末製剤(比較例3)に比べ、メントールの香味の持続性が優れており、チューインガムからの香味発現性は、バランスの取れた良好な発現性を有していた。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明によれば、高濃度のメントールを含有しても保存安定性が高く、また、メントールの香味を速やかに発現することができ、かつ、香気、香味が持続する高濃度メントール含有粉末香料製剤を調製することができ、このようにして調製された粉末香料製剤を添加することによって、高濃度のメントールを含有するチューイングガム等の菓子類を提供することができる。