(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5871610
(24)【登録日】2016年1月22日
(45)【発行日】2016年3月1日
(54)【発明の名称】自動販売機の表示装置及びこれを搭載した自動販売機
(51)【国際特許分類】
G07F 9/02 20060101AFI20160216BHJP
G07F 9/00 20060101ALI20160216BHJP
G07F 9/10 20060101ALI20160216BHJP
【FI】
G07F9/02 C
G07F9/00 J
G07F9/10 C
【請求項の数】5
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2011-282634(P2011-282634)
(22)【出願日】2011年12月26日
(65)【公開番号】特開2013-134517(P2013-134517A)
(43)【公開日】2013年7月8日
【審査請求日】2014年12月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001845
【氏名又は名称】サンデンホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124327
【弁理士】
【氏名又は名称】吉村 勝博
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 和彦
【審査官】
大谷 謙仁
(56)【参考文献】
【文献】
特開平07−272076(JP,A)
【文献】
特開2000−322643(JP,A)
【文献】
実開平02−130069(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07F 9/02
G07F 9/00
G07F 9/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面扉の前面において商品に関する表示を行う自動販売機の表示装置であって、コネクタ部が実装された基板と、前記基板が収容されるとともに背面が前記前面扉の裏面に露出され、該背面に前記コネクタ部のケーブル接続用に開口された開口部を有する筐体とを備え、前記筐体は、その背面に前記開口部の上縁及び側縁を囲む凸部を有することを特徴とする自動販売機の表示装置。
【請求項2】
前記凸部は前記開口部の上側の一端から他端に向けて漸次下方に向けて傾斜してなることを特徴とする請求項1記載の自動販売機の表示装置。
【請求項3】
前記凸部は前記開口部の横方向略中心位置を頂点として、前記開口部の両端側に向けて漸次下方に傾斜してなることを特徴とする請求項1記載の自動販売機の表示装置。
【請求項4】
前記凸部は前記開口部の横方向略中心位置を頂点として、前記開口部の両端側に向けて略半円状に形成されたことを特徴とする請求項1記載の自動販売機の表示装置。
【請求項5】
前面扉の前面において商品に関する表示を行う自動販売機であって、請求項1〜4に記載の表示装置を備えたことを特徴とする自動販売機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動販売機及び自動販売機の金額表示器に係り、詳細には金額表示器に接続されるコネクタ部を保護するための防水構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動販売機の筐体表面にその表示部が自動販売機前面から可視できるように取り付けられ、自動販売機のコントローラから受信した投入金額等の金額情報および販売対象毎の在庫数量等のメンテナンス情報を表示するための金額表示器が知られている。当該金額表示器は筐体とコントローラとの通信用及び電源供給用のハーネスが接続されるコネクタ部が実装された基板を備え、筐体の背面にはコネクタ部のハーネス接続用に開口された開口部が形成されている。(例えば特許文献1参照)。
【0003】
このような金額表示器は、本体キャビネット、外扉、内扉から構成される自動販売機の外扉前面に設けられていることが知られている。(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−272076号
【特許文献2】特開2010−271835号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
外扉は本体キャビネットの前面開口を開閉するためのものであり、内扉は、断熱構造を有し、商品収納庫の前面開口を開閉するためのものである。通常、外扉及び内扉を本体キャビネットに対して閉とすることで、自動販売機としての通常動作を行う。
【0006】
このような自動販売機では、オペレータ等による機器のメンテナンスや商品の補充等において外扉及び内扉を開とする状況がある。この際の天候が雨模様である場合には、外扉の内側及び内扉の外側に雨水が付着することが考えられる。また、同様に断熱構造を有する商品収納庫の内外の温度差により発生した結露水が外扉の内側及び内扉の外側に付着することも考えられる。
【0007】
従来の金額表示器は上述のとおり、自動販売機の外扉前面に配備されるものであり、その本体背面側には通信用及び電源用ハーネスが接続されるように構成されている。このため、金額表示器の上方から滴り落ちた雨水や結露水が当該ハーネスの結合部に付着する可能性があり、この場合電気的ショートが発生してしまう不利がある。
【0008】
本発明は、以上のような課題を解消させ、ハーネス接合部が雨水や結露水などによる電気的ショートを発生させない自動販売機の金額表示器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1の発明によれば、前面扉の前面において商品に関する表示を行う自動販売機の表示装置であって、コネクタ部が実装された基板と、前記基板が収容されるとともに背面が前記前
面扉の裏面に露出され、該背面に前記コネクタ部のケーブル接続用に開口された開口部を有する筐体とを備え、前記筐体は、
その背面に前記開口部の上縁及び側縁を囲む凸部を有すること
を特徴とする。これにより、表示装置背面に滴り落ちる雨水や結露水などが結合部に付着することを事前に防止することが可能となる。
【0010】
また、請求項2の発明によれば、前記凸部は前記開口部の上側の一端から他端に向けて漸次下方に向けて傾斜してなることを特徴とする。これにより、表示装置背面に滴り落ちた雨水や結露水は、凸部に設けられた傾斜によって該表示装置の下方に導かれるので、結合部への付着を確実に防止できる。
【0011】
また、請求項3の発明によれば、前記凸部は前記開口部の横方向略中心位置を頂点として、前記開口部の両端側に向けて漸次下方に傾斜してなることを特徴とする。これにより、表示装置背面に滴り落ちた雨水や結露水は、凸部に設けられた傾斜によって該表示装置の下方に導かれるので、結合部への付着を確実に防止できる。
【0012】
また、請求項4の発明によれば、前記凸部は前記開口部の横方向略中心位置を頂点として、前記開口部の両端側に向けて略半円状に形成されたことを特徴とする。これにより、表示装置背面に滴り落ちた雨水や結露水は、半円状の凸部の円周部分を介して該表示装置の下方に導かれるので、結合部への付着を確実に防止できる。
【0013】
また、請求項5の発明によれば、前面扉の前面において商品に関する表示を行う自動販売機であって、請求項1〜4に記載の表示装置を備えたことを特徴とする。これにより、自動販売機に浸入した雨水や結露水を確実に表示装置の下方に導くことが可能となる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、自動販売機上方から金額表示器の背面に水が滴り落ちてきたとしても、金額表示器の電気的接続を行う結合部の上側に防水部を設けているので、金額表示器が電気的ショートを引き起こす可能性を可及的に防止することができる。また、防水部を凸部から構成し、該凸部を漸次傾斜させるように形成したので、金額表示器背面に浸入した水を結合部に付着させることなく下方に導くことができ、より確実に電気的ショートを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施形態に係る金額表示器を備えた自動販売機の内部構造を示す斜視図
【
図2】本発明の実施形態に係る金額表示器の分解斜視図
【
図3】本発明の第1の実施形態を示す金額表示器の背面図
【
図4】本発明の第2の実施形態を示す金額表示器の背面図
【
図5】本発明の第3の実施形態を示す金額表示器の背面図
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は本発明の一実施形態に係る金額表示器を備えた自動販売機の全体斜視図である。ここで例示する自動販売機1は、複数種類の缶入り飲料、ペットボトル入り飲料等の商品を販売するものであり、本体キャビネット2、外扉3及び内扉30を備えている。本体キャビネット2は、複数の鋼板を組み合わせることによって構成したもので、前面が開口した断熱構造の箱状を成している。
図1に示すように、本体キャビネット2の内部には、複数の商品収納ラック21aを備えた商品収納庫21及び商品搬出部22が設けられている。商品収納ラック21aは、例えばサーペンタイン式と称される、上下方向に沿って蛇行状に延在するもので、複数種類の商品を個別に収納する一方、商品払出指令が与えられた場合には対応する商品の払いだしを行う。商品搬出部22は、商品収納ラック21aから商品を商品取出口7に払い出すためのものである。
【0017】
外扉3は、本体キャビネット2の前面の開口を閉塞するためのものであり、開閉可能な構成で本体キャビネット2の開口一端縁部に保持されている。外扉3の背面側には、図示しない紙幣投入口を通じて投入された紙幣の金種を識別するビルバリデータ23と、図示しない硬貨投入口から投入された硬貨の金種を識別するコインメカニズム24、及び、作業員が自動販売機のメンテナンスを行う際に、自動販売機の各種設定を入力するためリモコン25、更に、本発明の実施形態に関連する利用者が投入した貨幣の入金額や釣銭の金額等、商品を販売する上で必要となる各種情報を外部に表示する金額表示器26が設けられている。
【0018】
内扉30は、外扉3の背面側に配置されており、本体キャビネット2に設けた商品収納庫21の前面の開口を覆うに十分な大きさを有したもので、鋼材によって断熱性を備えて構成されている。
図1に例示した自動販売機1では、内扉30が上下30A、30Bに分割され、それぞれが個別に開閉できるようになっている。
【0019】
図2は本発明に係る金額表示器26の分解斜視図である。金額表示器26は、所定の波長の発光光を出射するLEDなどを実装し、投入された金額を表示する金額表示及び釣銭切れを表示する釣銭切ランプ及び商品の販売中を表示する販売中ランプ等の販売関連の表示を行い、後述するハーネスが接続されるコネクタ部が実装される基板11と、基板11を着脱自在に収納するための筐体10と、特定の光透過率を有し、基板11に実装されているLEDからの発光光を拡散させるための拡散シート12と、筐体10に収容された基板11及び拡散シート12を封止するための蓋部13とを備えている。尚、外扉3の背面側となる筐体10の背面にはコントローラからの通信指令及び電源を供給するハーネスを基板11に接続するための後述する開口部が備えられている。
【0020】
図3は本発明の第1の実施形態を示す金額表示器26の背面図である。金額表示器26の背面には、図示しないコントローラ及び電源部からの通信及び電力を供給する配線を接続するために基板11に実装される複数のコネクタ部40と、該結合部40が金額表示器26から開口するための開口部41とが配設されている。
【0021】
開口部41の上側には、コネクタ部40への水の浸入を防止するための凸部42が開口部41の上側にその横方向全幅に亘って配設される。
図3に示すように凸部42は、落下してきた水を金額表示器26の下方に導くため、開口部41の横方向全幅における一端側43から他端側44に向けて漸次傾斜するように配設されている。また、本実施形態では、凸部42は開口部41の上縁及び両側縁を囲むように形成されている。
【0022】
尚、本実施形態において、凸部42は、筐体10の背面上方に突出するように形成されているがそれに限るものではなく、例えば樋状の凸部を設けて水を堰き止めるように構成してもよいし、落下してきた水の一定量を自身で堰き止めるために筐体10の背面上方に向かって傾斜して形成してもよい。これにより、想定以上の水が落下してきたとしても、その一定量を堰き止めながら凸部42の傾斜により下方に水を落下させることができるので、より確実に開口部41への水の流入を防止できる。
【0023】
また、本実施形態において、凸部42は、開口部41の上側に配設されるようにしているが、詳細には一端側43が筐体10の背面の最上部分に位置するように設けることが好ましい。これにより、水の落下速度が最も遅い段階で水を捕捉することができるため、より確実に開口部41への水の浸入を防止することが可能となる。
【0024】
また、凸部42の傾斜方向を一端側43から他端側44としたが、他端側44から一端側43に向けて傾斜するように形成してもよい。
【0025】
図4は本発明の第2の実施形態を示す金額表示器26の背面図である。第1の実施形態と同様に、外扉3の背面側となる金額表示器26の背面には、図示しないコントローラ及び電源部からの通信及び電力を供給する配線を接続するために基板11に実装される複数のコネクタ部50と、該コネクタ部50が金額表示器26から開口するための開口部51とが配設されている。
【0026】
コネクタ部50への水の浸入を防止するための凸部52は、開口部51の上側にその横方向全幅に亘って配設される。
図4に示すように凸部52は、落下してきた水を金額表示器26の下方に導くため、開口部51の横方向略中心部に位置する頂点53から、開口部51の横方向両端部54及び55に向けて漸次傾斜するように形成されている。また、本実施形態では、凸部52は開口部51の上縁及び両側縁を囲むように形成されている。
【0027】
尚、本実施形態において、凸部52は、筐体10の背面上方に突出するように形成されているがそれに限るものではなく、例えば樋状の凸部を設けて水を堰き止めるように構成してもよいし、落下してきた水の一定量を自身で堰き止めるために筐体10の背面上方に向かって傾斜して形成してもよい。これにより、想定以上の水が落下してきたとしても、その一定量を堰き止めながら凸部52の傾斜により下方に水を落下させることができるので、より確実に開口部51への水の流入を防止できる。
【0028】
また、本実施形態において、凸部52は、開口部51の上側に配設されるようにしているが、詳細には頂点53が筐体10の背面の最上部分に位置するように設けることが好ましい。これにより、水の落下速度が最も遅い段階で水を捕捉することができるため、より確実に開口部51への水の浸入を防止することが可能となる。
【0029】
図5は本発明の第3の実施形態を示す金額表示器26の背面図である。第1及び第2の実施形態と同様に、外扉3の背面側となる金額表示器26の背面には、図示しないコントローラ及び電源部からの通信及び電力を供給する配線を接続するために基板11に実装される複数のコネクタ部60と、該コネクタ部60を金額表示器26から開口させるための開口部61とが配設されている。
【0030】
結合部60への水の浸入を防止するための凸部62は、開口部61の上側にその横方向全幅に亘って配設される。
図5に示すように凸部62は、落下してきた水を金額表示器26の下方に導くため、開口部61の横方向略中心部に位置する頂点63から、開口部61の横方向両端部64、65に向けて略半円状に形成されている。また、本実施形態では、凸部62は開口部61の周囲を囲むように形成されている。
【0031】
尚、本実施形態において、凸部62は、筐体10の背面上方に突出するように形成されているがそれに限るものではなく、例えば樋状の凸部を設けて水を堰き止めるように構成してもよいし、落下してきた水の一定量を自身で堰き止めるために筐体10の背面上方に向かって傾斜して形成してもよい。これにより、想定以上の水が落下してきたとしても、その一定量を堰き止めながら凸部62の傾斜により下方に水を落下させることができるので、より確実に開口部61への水の流入を防止できる。
【0032】
また、本実施形態において、凸部62は、開口部61の上側に配設されるようにしているが、詳細には頂点63が筐体10の背面の最上部分に位置するように設けることが好ましい。これにより、水の落下速度が最も遅い段階で水を捕捉することができるため、より確実に開口部61への水の浸入を防止することが可能となる。
【符号の説明】
【0033】
1・・・自動販売機、2・・・本体キャビネット、3・・・外扉、7・・・商品取出口、10・・・筐体、11・・・基板、12・・・拡散シート、13・・・蓋部、21・・・商品収納庫、21a・・・商品収納ラック、22・・・商品搬出部、23・・・ビルバリデータ、24・・・コインメカニズム、25・・・リモコン、26・・・金額表示器、30・・・内扉、40,50,60・・・コネクタ部、41,51,61・・・開口部、42,52,62・・・凸部