(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
空調装置が設置される機械室と、前記空調装置による空調対象となる複数の屋内空間とを備える建物に適用され、前記空調装置が前記機械室内の空気を取り込んで空調空気を生成し、該生成した空調空気を、前記複数の屋内空間ごとに設けられる複数の通気ダクトを介してそれら各屋内空間に供給する建物の空調システムであって、
前記複数の通気ダクトのうち少なくともいずれかには、前記機械室に通じる分岐ダクトが接続されており、前記通気ダクトにおいて前記分岐ダクトが分岐する分岐部には、少なくとも前記空調空気を前記分岐ダクト側に流すか流さないかを切り替える切替手段が設けられており、
前記空調装置を運転状態にして前記複数の屋内空間への空調空気の供給を実施する場合において、前記通気ダクトを介しての前記屋内空間への空調空気の供給に並行して、前記分岐ダクトを介しての前記機械室への空調空気の供給を実施するものであり、
少なくとも前記空調装置による前記複数の屋内空間の空調の開始当初において、前記切替手段を制御対象として、前記空調装置から供給される空調空気を前記分岐ダクト側に流す制御を実施する制御手段を備えることを特徴とする建物の空調システム。
前記通気ダクトを介して前記複数の屋内空間に供給した空調空気を、当該各屋内空間と前記機械室とにそれぞれ設けられた通気部を介して前記機械室に還流させる還流経路を有することを特徴とする請求項1に記載の建物の空調システム。
前記複数の通気ダクトのうち2以上の屋内空間用の各通気ダクトにそれぞれ前記分岐ダクトが接続され、それら各分岐ダクトの分岐部には前記切替手段がそれぞれ設けられており、それら各切替手段は個別の切替操作が可能となっていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の建物の空調システム。
前記通気ダクトを介して前記複数の屋内空間に供給した空調空気を、当該各屋内空間にそれぞれ設けられた通気部を介して還気中継室に取り込むとともに、その還気中継室から前記機械室に還流させる還流経路を有する建物の空調システムであって、
前記複数の屋内空間には空調の優先順位があらかじめ定められており、
その優先順位が上位となる屋内空間には、前記還気中継室を経由する還流経路が設けられておらず、当該優先上位の屋内空間から前記機械室に空調空気を直接還流させる還流経路が設けられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の建物の空調システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1の空調システムは、住宅内の各ゾーンについて風量をゾーンごとに振り分けて調整するものであり、例えば冷房時に冷房能力を高めたいゾーンは風量を大きくし、そうでないゾーンは風量を小さくするようにして風量の調整が行われる。この場合、各ゾーンのうち冷房能力や暖房能力を高めたいゾーンは、風量大とした状態を維持しなくてはならず、そのゾーン内の部屋等にいる人にとって快適感が損なわれることが生じ得ると懸念される。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、複数の屋内空間を空調対象とする空調システムにおいて屋内空間の空調を好適に実施することができる建物の空調システムを提供することを主たる目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下、上記課題を解決するのに有効な手段等につき、必要に応じて作用、効果等を示しつつ説明する。
【0007】
第1の発明は、
空調装置が設置される機械室と、前記空調装置による空調対象となる複数の屋内空間とを備える建物に適用され、前記空調装置が前記機械室内の空気を取り込んで空調空気を生成し、該生成した空調空気を、前記複数の屋内空間ごとに設けられる複数の通気ダクトを介してそれら各屋内空間に供給する建物の空調システムであって、
前記複数の通気ダクトのうち少なくともいずれかには、前記機械室に通じる分岐ダクトが接続されており、前記通気ダクトにおいて前記分岐ダクトが分岐する分岐部には、少なくとも前記空調空気を前記分岐ダクト側に流すか流さないかを切り替える切替手段が設けられており、
前記空調装置を運転状態にして前記複数の屋内空間への空調空気の供給を実施する場合において、前記通気ダクトを介しての前記屋内空間への空調空気の供給に並行して、前記分岐ダクトを介しての前記機械室への空調空気の供給を実施することを特徴とする。
【0008】
上記構成の空調システムでは、空調として冷房が実施される場合において、通気ダクトを介していずれかの屋内空間に冷房空気が供給されてその屋内空間が冷やされるのに並行して、すなわちこれと同時期に、分岐ダクトを介して機械室に冷房空気が供給されて機械室が冷やされる。又は、空調として暖房が実施される場合において、通気ダクトを介していずれかの屋内空間に暖房空気が供給されてその屋内空間が暖められるのに並行して、すなわちこれと同時期に、分岐ダクトを介して機械室に暖房空気が供給されて機械室が暖められる。
【0009】
そのため、機械室内の空気により空調空気を生成する空調装置では、冷房時において冷房空気を効率よく冷やすことができ、一方、暖房時において暖房空気を効率よく暖めることができる。例えば冷房時において、同じ熱交換率であっても、空調装置に取り込まれる空気(空調装置を通過する空気)が比較的高温であれば空調空気が冷えにくいのに対し、同空気が比較的低温であれば空調空気が冷えやすくなる。したがって、通気ダクトを介しての空調空気の供給が実施される屋内空間を、所望の温度に速やかに冷やす(又は暖める)ことが可能となる。この場合、空調装置における冷房又は暖房の効率自体が高められているため、空調空気の風量を大きくしなくても、すなわち風量一定としたままで、空調空気の供給先である屋内空間について所望の空調を実現できる。また、上記構成では、分岐ダクトの分岐部に設けられた切替手段によって、空調空気を分岐ダクト側に流すか流さないかを切り替えることができる。そのため、各屋内空間が所望の温度になった後は、分岐ダクトを閉じてその分岐ダクト側に空調空気を流さないようにすることで、全ての屋内空間について同等性能の空調を実施することが可能となる。以上により、複数の屋内空間を空調対象とする空調システムにおいて屋内空間の空調を好適に実施することができる。
【0010】
第2の発明は、前記通気ダクトを介して前記複数の屋内空間に供給した空調空気を、当該各屋内空間と前記機械室とにそれぞれ設けられた通気部を介して前記機械室に還流させる還流経路を有することを特徴とする。
【0011】
空調空気を、空調装置→通気ダクト→各屋内空間→機械室(空調装置)の経路で還流させる循環式の空調システムでは、例えば冷房時において、空調対象となる各屋内空間がある程度冷えていないと(換言すれば目標温度に対して高温過ぎると)、機械室に導入される空気が高温のため、空調装置にて生成される空調空気が冷えにくく、空調装置における冷房の効率が低くなっている。暖房時も同様である。この点、上記のとおり分岐ダクトを介して機械室への空調空気の供給を実施する構成によれば、循環式の空調システムにおいて冷房及び暖房の効率を高めることができる。
【0012】
第3発明は、前記複数の屋内空間には居室空間と非居室空間とが含まれており、前記居室空間と前記非居室空間とのうち非居室空間に接続される前記通気ダクトに、前記分岐ダクトが接続されていることを特徴とする。
【0013】
上記構成によれば、建物内の居室空間と非居室空間とのうち非居室空間については、空調(冷暖房)の実施時において一時的に空調空気の供給が制限され、その代わりに機械室への空調空気の供給が行われる。また、居室空間については優先的に空調が実施される。これにより、居室空間について、空間内の温度を冷やす(又は暖める)のに要する時間を短縮することが可能となる。
【0014】
第4の発明は、前記複数の通気ダクトのうち2以上の屋内空間用の各通気ダクトにそれぞれ前記分岐ダクトが接続され、それら各分岐ダクトの分岐部には前記切替手段がそれぞれ設けられており、それら各切替手段は個別の切替操作が可能となっていることを特徴とする。
【0015】
上記構成によれば、2以上の屋内空間用の通気ダクトにそれぞれ接続された分岐ダクトから、機械室に空調空気を供給することが可能となっている。この場合、1つの屋内空間用の空調空気を機械室に供給するだけでなく、2以上の屋内空間用の空調空気を機械室に供給することで、機械室内における急速な温度低下(冷房時)又は温度上昇(暖房時)を実現できる。そのため、機械室への空調空気の供給が行われておらず空調空気の供給制限がなされていない屋内空間について、所望の温度環境に迅速に変化させることができる。
【0016】
また、上記構成では、複数の切替手段について個別に切替操作が可能であるため、機械室への空調空気の供給を行うことで空調空気の供給が制限される屋内空間(優先下位の屋内空間)と制限されない屋内空間(優先上位の屋内空間)とを適宜変更することが可能となる。したがって、例えば、複数の屋内空間について空調の優先上位となる屋内空間がA空間からB空間に変わったり、優先上位となる屋内空間の数が1つから2つに変わったりしてもそれに対処することが可能となる。
【0017】
例えば、複数の居室空間のうち1つを空調を最優先で実施する空間とする場合に、その空調最優先の屋内空間だけには空調装置から通気ダクトを介して空調空気を供給し、それ以外の屋内空間については空調空気を供給せず、その代わりに空調空気(本来屋内空間に供給する筈の空調空気)を機械室に供給する構成とするとよい。
【0018】
第5の発明は、前記通気ダクトを介して前記複数の屋内空間に供給した空調空気を、当該各屋内空間にそれぞれ設けられた通気部を介して還気中継室に取り込むとともに、その還気中継室から前記機械室に還流させる還流経路を有する建物の空調システムであって、前記複数の屋内空間には空調の優先順位があらかじめ定められており、その優先順位が上位となる屋内空間には、前記還気中継室を経由する還流経路が設けられておらず、当該優先上位の屋内空間から前記機械室に空調空気を直接還流させる還流経路が設けられていることを特徴とする。
【0019】
上記構成によれば、空調の優先順位が上位となる屋内空間について空調空気の還流経路が短縮されており、例えば冷房時にはその屋内空間に供給された冷気が、還気中継室等を通過することで温度上昇してしまうことなく機械室に戻される。また、暖房時にはその屋内空間に供給された暖気が、還気中継室等を通過することで温度低下してしまうことなく機械室に戻される。これにより、空調の優先順位が上位となる屋内空間について冷房時の温度低下や暖房時の温度上昇を一層早めることができる。
【0020】
例えば、複数の屋内空間のうち空調の優先順位が最上位となる屋内空間だけが、還気中継室を経由する還流経路が設けられておらず、当該優先最上位の屋内空間から機械室に空調空気を直接還流させる還流経路が設けられている構成であってもよい。
【0021】
第6の発明は、少なくとも前記空調装置による前記複数の屋内空間の空調の開始当初において、前記切替手段を制御対象として、前記空調装置から供給される空調空気を前記分岐ダクト側に流す制御を実施する制御手段を備えることを特徴とする。
【0022】
上記構成によれば、複数の屋内空間の空調の開始当初において、切替手段が操作され、それにより空調空気を分岐ダクト側に流す制御が実施される。これにより、屋内空間における実温度と目標の温度との温度差が大きくなっていると想定される空調の開始当初において、通気ダクトを介しての空調空気の供給が実施される屋内空間(空調優先度の高い屋内空間)について所望の温度に冷やす(又は暖める)のに要する時間を短縮することが可能となる。
【0023】
第7の発明は、前記複数の屋内空間における目標温度を設定する目標設定手段と、前記複数の屋内空間の少なくともいずれかに設けられ、該屋内空間内における実温度を検出する温度検出手段と、を備え、前記制御手段は、前記目標設定手段により設定した目標温度と、前記温度検出手段により検出した屋内空間内の実温度との温度差が所定値以上である場合に、前記切替手段を、前記空調空気を前記分岐ダクト側に流す状態とすることを特徴とする。
【0024】
上記構成によれば、目標温度に対して実温度が大きく乖離している場合において、通気ダクトを介しての空調空気の供給が実施される屋内空間(空調優先度の高い屋内空間)を、所望の温度にいち早く冷やす(又は暖める)ことができる。
【0025】
また、上記構成においては、空調の開始当初だけでなく、例えばユーザが窓等を開放することで冷房中に屋内空間の温度が急上昇する場合や、暖房中に屋内空間の温度が急低下する場合にも同様に、目標温度と実温度との温度差に基づいて、切替手段が、空調空気を分岐ダクト側に流す状態に一時的に制御される。これにより、空調の開始当初以外にあっても、通気ダクトを介しての空調空気の供給が実施される屋内空間(空調優先度の高い屋内空間)を、所望の温度にいち早く冷やす(又は暖める)ことができる。
【0026】
第8の発明は、前記複数の屋内空間における目標温度を設定する目標設定手段と、前記複数の屋内空間の少なくともいずれかに設けられ、該屋内空間内における実温度を検出する温度検出手段と、前記空調装置による前記複数の屋内空間の空調の開始時において、前記目標設定手段により設定した目標温度と、前記温度検出手段により検出した屋内空間内の実温度との温度差に基づいて、前記切替手段を、前記空調空気を前記分岐ダクト側に流す状態とする操作時間を設定する設定手段と、を備え、前記制御手段は、前記設定手段により設定した操作時間に基づいて、前記切替手段を、前記空調空気を前記分岐ダクト側に流す状態とすることを特徴とする。
【0027】
上記構成によれば、空調の開始当初において、目標温度と屋内空間内の実温度との温度差が大きい場合と、小さい場合とで、空調空気を分岐ダクト側に流す状態とされる時間(操作時間)が各々異なる時間で設定される。なお、例えば、目標温度と屋内空間内の実温度との温度差が大きいほど、操作時間を長くするとよい。また、目標温度と屋内空間内の実温度との温度差が所定値(例えば5℃)以下なら、操作時間=0として空調空気を分岐ダクト側に流す状態としないようにしてもよい。
【0028】
これにより、必要に応じて空調空気を分岐ダクトを介して機械室に供給でき、空調が優先される屋内空間とそうでない屋内空間との両方について空調空気の供給を好適に操作し、ひいては建物全体としての空調を最適化できる。
【0029】
第9の発明は、前記複数の屋内空間についてそれら各屋内空間での人の有無を検出する人検出手段を備え、前記制御手段は、前記人検出手段により人有りと検出された屋内空間を、前記機械室への空調空気の供給に伴う空調空気の供給制限が行われない非制限空間とするとともに、前記人検出手段により人無しと検出された屋内空間を、前記機械室への空調空気の供給に伴う空調空気の供給制限が行われる制限空間とし、その制限空間について、前記切替手段を、前記空調空気を前記分岐ダクト側に流す状態とすることを特徴とする。
【0030】
上記構成によれば、人のいる屋内空間と人のいない屋内空間とを区別し、その前者について空調空気の供給を制限なく実施し(優先的に空調を実施し)、後者について空調空気の供給を制限するといった態様の空調制御を実施できる。これにより、現実に建物内にいる人にとって最適な空調を実現できる。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態における建物空調システムの概要を示す図である。なお本実施形態では、本発明の空調システムを平屋建物に適用した事例を説明するが、適用される建物は多層階建物であってもよく、また、戸建て建物でも集合住宅の建物であってもよい。
【0033】
図1において、建物10は、複数の屋内空間として、居室11,12と非居室13とを備えている。例えば、居室11はリビングであり、居室12は和室であり、非居室13は脱衣室である。これら各屋内空間は、同一階において互いに間仕切壁により仕切られた状態で配置されている。また、これら各室11〜13は、それぞれ廊下14に隣り合う空間として設けられている。
【0034】
また、建物10には、上記各室11〜13及び廊下14以外の空間として機械室15が設けられている。機械室15は廊下14に隣り合う空間として設けられている。機械室15は、本空調システムの熱源機となる空調装置21を設置するための設置スペースとなっており、例えば四方の壁部や、床部、天井部により囲まれた直方体状の空間であって、廊下14側の壁部に設けられたメンテナンス用開口部を通じてアクセス可能となっている。機械室15は、各室11〜13に比べてその体積(室容積)が小さい小体積空間となっている。なお、機械室15の床〜天井の高さは、各室11〜13と同じであってもよいし、例えば機械室15の上方又は下方に物品等の収納部が形成されることで、各室11〜13よりも小さくなっていてもよい。
【0035】
本建物10には、空調装置21を具備して構成される全館空調システムが導入されている。本全館空調システムでは、同一階に設けられる各室11〜13を空調対象とし、それら各室11〜13に対して共通の空調装置21より空調空気を供給することで、各室11〜13の冷房及び暖房を行うこととしている。本空調システムは、室内機、室外機及び冷媒配管を基本構成として備え、室内機においては冷媒と周囲空気との熱のやりとり(熱交換)により空調空気を生成するようにしている。以下、この空調システムの詳細な構成について説明する。
【0036】
空調装置21は、少なくとも冷房及び暖房の各機能を有する室内機として構成されており、機械室15内の空気を取り込むとともに、その取り込んだ空気により、都度の空調要求に応じた空調空気を生成する。このとき、冷房時であれば冷房空気(冷気)を生成し、暖房時であれば暖房空気(暖気)を生成する。空調装置21により生成された空調空気は、複数の給気系統を通じて各室11〜13に対してそれぞれ供給されるようになっている。
【0037】
給気系統について具体的には、空調装置21の吐出口側には、空調装置21から吐出される空調空気を導入するチャンバ22が設けられ、そのチャンバ22に、複数の通気ダクト23a,23b,23c,23d,23eが接続されている。これらの通気ダクト23a〜23eは、空調装置21にて生成される空調空気を給気SAとして各室11〜13に供給する給気用配管であり、本実施形態ではこれら各通気ダクト23a〜23eが床下部分に設けられている。各室11〜13の床部には吹出口24が設けられており、その吹出口24に通気ダクト23a〜23eがそれぞれ接続されている。居室11に対しては通気ダクト23a,23bを介して給気SAが供給され、居室12に対しては通気ダクト23c,23dを介して給気SAが供給され、非居室13に対しては通気ダクト23eを介して給気SAが供給されるようになっている。この場合、空調装置21の冷房運転時には各室11〜13に冷気が供給され、その冷気によって各室11〜13が冷やされる。一方、空調装置21の暖房運転時には各室11〜13に暖気が供給され、その暖気によって各室11〜13が暖められる。
【0038】
ただし、通気ダクト23a〜23eの設置場所は床下部分に限らず、天井部分(小屋裏部分)であってもよい。また、各室11〜13に対する通気ダクトの本数も適宜変更可能である。チャンバ22についても、床下部分に設置される以外に、機械室15に設けられる構成であってもよい。
【0039】
また、本実施形態では、空調システムとして循環式の空調システムを採用している。この空調システムでは、各室11〜13の空気が還気RAとして機械室15に取り込まれるようになっており、空調装置21は、各室11〜13からの還気RAを使って空調空気を生成するものとなっている。より具体的には、各室11〜13の出入り口(開口部)に設けられたドアのアンダカットやガラリ等が、各室11〜13の通気部11a,12a,13a(還気口)となっているとともに、機械室15のメンテナンス用開口部に設けられたドアのアンダカットやガラリ等が、機械室15の通気部15a(還気口)となっている。この場合、これら各通気部11a〜13a,15aによって、各室11〜13や機械室15がそれぞれ還気中継室としての廊下14に通じている。かかる構成では、機械室15には、屋内を循環する空気が還気RAとして取り込まれ、空調装置21は、その取り込まれた空気(還気RA)から熱を奪うことで冷気を生成する一方、その空気に熱を付加することで暖気を生成する。
【0040】
ところで、本空調システムでは、空調対象となる各室11〜13について空調の優先順位を定めており、居室11,12については優先上位、非居室13については優先下位としている。そして、複数の通気ダクト23a〜23eのうち、空調優先下位である非居室13に接続される通気ダクト23eを使って、空調装置21から供給される空調空気を、非居室13に供給することなく機械室15に還流させる構成としている。その構成について具体的には、通気ダクト23eには、その中間部分に分岐ダクト26が接続されている。分岐ダクト26は、一端が通気ダクト23eに、他端が機械室15の吹出口27にそれぞれ接続されるものであり、この分岐ダクト26によって、空調装置21から供給される空調空気(チャンバ22内の空調空気)を機械室15に対して供給可能となっている。また、通気ダクト23eと分岐ダクト26との分岐部には切替手段としての分岐弁28が設けられている。分岐弁28は、例えば電気駆動式の三方弁よりなり、この分岐弁28により、空調装置21から供給される空調空気を分岐ダクト26側に流すか流さないかが切り替え可能となっている。
【0041】
分岐弁28は、空調装置21から供給される空調空気を分岐ダクト26側に流さない状態、すなわち空調空気を非居室13に供給する状態を初期状態とするものであり、分岐弁28に対して電気的な駆動信号が出力されることで、分岐弁28が駆動状態となり、空調装置21から供給される空調空気を分岐ダクト26側に流す状態に移行するようになっている。
【0042】
また、本空調システムは、制御系の構成として、居室11,12内の温度を検出する温度センサ31と、ユーザによって温度や風量等の設定操作が行われる操作装置32と、これら温度センサ31や操作装置32からの入力結果に基づいて空調に関する各種制御を実施する制御装置33とを備えている。なお、温度センサ31は、各室11〜13のうちいずれかに設けられていればよく、居室11,12の両方に設けられるのに代えて、居室11,12のいずれにのみ設けられていたり、非居室13にも設けられていたりしてもよい。
【0043】
制御装置33は、CPUや各種メモリを有する周知のマイクロコンピュータを具備するものであり、温度センサ31による室温の検出結果や、操作装置32による温度設定値等に基づいて、空調装置21と分岐弁28とを制御対象としてこれらについての制御を実施する。
【0044】
この場合、空調装置21の制御としては、例えば運転のオン/オフ操作のためのメインスイッチがオンになることで冷房又は暖房の空調制御が開始され、制御装置33は、冷房又は暖房の設定温度(目標温度)と、温度センサ31により検出した居室11,12の実温度との偏差に基づいて、空調装置21の運転負荷を決定するとともに、その運転負荷に応じて冷気又は暖気の生成と送風とを実施する。なお、各居室11,12で実温度が異なる場合には、目標温度との偏差が大きい方の実温度を用いて空調制御を実施するとよい。
【0045】
また、分岐弁28の制御としては、制御装置33は、空調制御の開始当初において分岐弁28を操作して、一時的に、空調装置21から供給される空調空気を分岐ダクト26側に流す状態(すなわち空調空気を非居室13に供給しない状態)とする。このとき、分岐弁28を、空調空気を分岐ダクト26側に流す状態に操作するための制御手法としては、以下の手法が考えられる。
【0046】
(1)制御装置33は、空調制御の開始時において、
図2の関係を用い、設定温度と実温度との偏差ΔT(開始時温度偏差)を算出するとともに、その温度偏差ΔTに基づいて、空調空気を分岐ダクト26側(すなわち機械室15側)に流す期間である実施時間KTを設定する。そして、空調制御の開始からその実施時間KTが経過するまでの期間において、分岐弁28を、空調空気を分岐ダクト26側に流す状態に操作する。ここで、
図2によれば、温度偏差ΔTが所定値TA(例えば5℃)以下となる場合に、実施時間KT=0に設定される。これは温度偏差ΔTが比較的小さい場合に、分岐弁28を、空調空気を分岐ダクト26側に流す状態に操作しないことを意味する。また、ΔT>TAの領域では、温度偏差ΔTが大きいほど、実施時間KTとして大きい値が設定されるようになっている。
【0047】
(2)制御装置33は、空調制御の開始後において設定温度と実温度との偏差ΔTを逐次算出し、その温度偏差ΔTが所定値TB(例えば5℃)以上であれば、分岐弁28を、空調空気を分岐ダクト26側(すなわち機械室15側)に流す状態に操作し、その後、温度偏差ΔTが所定値TB(例えば5℃)以下となった場合に、分岐弁28を、空調空気を分岐ダクト26側に流す状態から、流さない状態に切り替え操作する。かかる構成では、例えば、冷房開始後において居室11の温度が設定温度に次第に近づく場合に、その温度偏差ΔTが所定値TB以下となった時点で、分岐弁28が、空調空気を分岐ダクト26側に流す状態から、流さない状態に切り替えられることとなる。なお、本構成において、空調制御の開始時点でΔT<TBであれば、その開始当初から、分岐弁28が、空調空気を分岐ダクト26側に流さない状態に保持されることとなる。
【0048】
図3は、空調装置21の運転開始時における一連の挙動を説明するタイムチャートである。
図3では、夏季において冷房を実施する場合を想定しており、例えば冷房の設定温度が26℃、運転開始前の居室温度が35℃であるとしている。なお、
図3中の居室温度において、実線は、冷房実施時において冷気の一部を分岐ダクト26により機械室15に還流させる場合(本空調システムの場合)の温度変化を示し、一点鎖線は、冷気の一部を分岐ダクト26により機械室15に還流させることのない場合(従来システムの場合)の温度変化を示している。
【0049】
図3において、タイミングt1で空調装置21の運転が開始されると、同タイミングt1で居室11,12に対して冷気の供給が開始される。また、タイミングt1では、分岐弁28=駆動状態(ON)となることで、分岐弁28が、冷気を分岐ダクト26側に流す状態となるため、非居室13に対しては冷気の供給が開始されない。この場合、通気ダクト23a〜23dを介して各居室11,12に冷気が供給されて各居室11,12が冷やされるのに並行して、すなわちこれと同時期に、分岐ダクト26を介して機械室15に冷気が供給されて機械室15が冷やされる。
【0050】
こうして機械室15に冷気が供給されている状態では、空調装置21において冷気を効率よく冷やすことができ、居室温度の低下の傾きが従来システム(一点鎖線)に比べて大きくなる。この場合、空調装置21における冷房効率自体が高められているため、冷気の風量を大きくしなくても、冷気の供給先である居室11,12に関して冷房能力が高められている。
【0051】
非居室13については冷房の開始当初において冷房が実施されないが、この非居室13は例えば脱衣室であり、住人の利用頻度が低いことを考えると、支障は生じないと考えられる。
【0052】
そして、タイミングt2では、分岐弁28=非駆動状態(OFF)となることで、分岐弁28が、冷気を分岐ダクト26側に流さない状態となるため、分岐ダクト26を介しての機械室15への冷気の供給が停止される。また、通気ダクト23eを介しての非居室13への冷気の供給が開始される。タイミングt2以降は、通気ダクト23a〜23eを介して各室11〜13のそれぞれに冷気が供給されることになり、各室11〜13のそれぞれが冷房される。
【0053】
タイミングt2は、例えば、冷房開始から、
図2の関係に基づいて算出した実施時間KTが経過したタイミングであり、これは冷房開始時における設定温度と居室11の実温度との偏差ΔT(開始時温度偏差)に基づくタイミングとなっている(上記(1)参照)。
【0054】
又は、タイミングt2は、冷房開始後において設定温度と実温度との偏差ΔTが次第に小さくなり、その温度偏差ΔTが所定値TB(例えば5℃)未満となるタイミングである(上記(2)参照)。
【0055】
上記のように空調制御を実施することにより、居室11,12について優先的に冷房が実施される。これにより、従来システム(一点鎖線)に比べて、冷房開始後において居室11,12の実温度が冷房設定温度に到達するまでに要する時間が短縮されるようになっている。
【0056】
ちなみに、空調として暖房が実施される場合も同様であり、その暖房の開始当初においては、分岐弁28=駆動状態(ON)となり、通気ダクト23a〜23dを介して各居室11,12に暖気が供給されて各居室11,12が暖められるのに並行して、すなわちこれと同時期に、分岐ダクト26を介して機械室15に暖気が供給されて機械室15が暖められる。かかる状態では、空調装置21において暖気を効率よく暖めることができ、居室温度の上昇の傾きが従来システムに比べて大きくなる。この場合、空調装置21における暖房効率自体が高められているため、暖気の風量を大きくしなくても、暖気の供給先である居室11,12に関して暖房能力が高められている。そして、分岐弁28=非駆動状態(OFF)となることで、機械室15への暖気の供給が停止されるとともに、通気ダクト23eを介して非居室13への暖気の供給が開始される。これ以降、通気ダクト23a〜23eを介して各室11〜13のそれぞれに暖気が供給されることになり、各室11〜13のそれぞれが暖房される。
【0057】
以上詳述した本実施形態によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0058】
複数の通気ダクト23a〜23eのうち通気ダクト23eに分岐ダクト26を接続するとともに、その分岐ダクト26の分岐部に分岐弁28を設け、空調装置21による各室11〜13の空調の実施時において、通気ダクト23a〜23d(23e以外の通気ダクト)を介しての居室11,12への空調空気の供給に並行して、分岐ダクト26を介しての機械室15への空調空気の供給を実施する構成とした。これにより、空調の優先度が高い居室11,12を所望の温度に速やかに冷やす(又は暖める)ことが可能となる。すなわち、建物10内において空調優先したい空間がある場合に、その空間を速やかに空調できる。この場合、空調空気の風量を大きくしなくても、すなわち風量一定としたままで、各居室11,12について所望の空調を実現できる。また、空調空気を分岐ダクト26側に流すか流さないかを分岐弁28により切り替えられるようにしたため、各室11〜13の全てについて同等性能の空調を実施することも可能となる。以上により、複数の屋内空間を空調対象とする空調システムにおいて屋内空間の空調を好適に実施することができる。
【0059】
上記構成では、空調空気の供給が制限なく実施される屋内空間(本実施形態では居室11,12)と、機械室15に空調空気が供給されることで空調空気の供給が制限される屋内空間(本実施形態では非居室13)とで相互に温度差が生じることになるが、建物10として住宅を想定した場合、全ての屋内空間をいつも同等に冷房又は暖房する必要はない。そのため、各屋内空間において相互に温度が生じたとしても、それが一時的なものであれば実質的な問題は生じない。
【0060】
また、上記のとおり空調空気の風量を大きくしなくても所望の空調を実現できるため、風量アップのための電力消費が不要となり、省エネの観点からも好ましい構成であると言える。さらに、特に高気密住宅の場合、屋内空間における空調空気の風量を大きくすると、その屋内空間が正圧となり、出入口部の扉を開閉する際に、扉が勢いよく閉まったり、扉を開けるのが困難になったりすることが懸念される。しかしながら、本実施形態の上記構成によれば、こうした不都合を抑制できる。
【0061】
空調システムとして循環式の空調システムを採用し、各通気ダクト23a〜23eを介して各室11〜13に供給した空調空気を、各室11〜13と機械室15とにそれぞれ設けられた通気部11a〜13a,15aを介して機械室15に還流させるようにした。すなわち、空調空気を、空調装置21→通気ダクト23a〜23e→各室11〜13→機械室15(空調装置21)の経路で還流させるようにした。この循環式の空調システムでは、例えば冷房時において、空調対象となる各室11〜13がある程度冷えていないと(換言すれば目標温度に対して高温過ぎると)、機械室15に導入される空気が高温のため、空調装置21にて生成される空調空気が冷えにくく、空調装置21における冷房の効率が低くなっている。暖房時も同様である。この点、上記のとおり分岐ダクト26を介して機械室15への空調空気の供給を実施する構成によれば、循環式の空調システムにおいて冷房及び暖房の効率を高めることができる。
【0062】
制御装置33により、少なくとも空調装置21による空調の開始当初において、分岐弁28を制御対象として、空調装置21から供給される空調空気を分岐ダクト26側に流す制御を実施する構成とした。これにより、その空調の開始当初において、分岐弁28が操作され、それにより空調空気を分岐ダクト26側に流す制御が実施される。これにより、居室11,12における実温度と目標温度との温度差が大きくなっていると想定される空調の開始当初において、その居室11,12(空調優先度の高い屋内空間)について所望の温度に冷やす(又は暖める)のに要する時間を短縮することが可能となる。
【0063】
居室11,12の目標温度と実温度との温度差が所定値以上である場合に、分岐弁28を、空調空気を分岐ダクト26側に流す状態とするようにした(上記(2)の構成)。したがって、目標温度に対して実温度が大きく乖離している場合において、居室11,12(空調優先度の高い屋内空間)を、所望の温度にいち早く冷やす(又は暖める)ことができる。また、空調の開始当初だけでなく、例えばユーザが窓等を開放することで冷房中に居室11,12の温度が急上昇する場合や、暖房中に居室11,12の温度が急低下する場合にも同様に、目標温度と実温度との温度差に基づいて、分岐弁28を、空調空気を分岐ダクト26側に流す状態に一時的に制御することができる。これにより、空調の開始当初以外にあっても、居室11,12(空調優先度の高い屋内空間)を、所望の温度にいち早く冷やす(又は暖める)ことができる。
【0064】
空調装置21による空調の開始時において、居室11,12の目標温度と実温度との温度差に基づいて、分岐弁28を、空調空気を分岐ダクト26側に流す状態とする実施時間KT(操作時間)を設定するとともに、その実施時間KTに基づいて、分岐弁28を、空調空気を分岐ダクト26側に流す状態とするようにした(上記(1)の構成)。したがって、空調の開始当初において、居室11,12の目標温度と実温度との温度差が大きい場合と、小さい場合とで、空調空気を分岐ダクト26側に流す状態とされる時間(実施時間KT)が各々異なる時間で設定される。これにより、必要に応じて空調空気を分岐ダクト26を介して機械室15に供給でき、空調が優先される屋内空間とそうでない屋内空間との両方について空調空気の供給を好適に操作し、ひいては建物全体としての空調を最適化できる。
【0065】
[他の実施形態]
本発明は上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施されてもよい。
【0066】
・複数の通気ダクト23a〜23eのうち2以上の屋内空間用の各通気ダクトにそれぞれ分岐ダクト26が接続され、それら各分岐ダクト26の分岐部には切替手段としての分岐弁28がそれぞれ設けられており、それら各分岐弁28は個別の切替操作が可能となっている構成としてもよい。
【0067】
具体的には、空調対象となる各室11〜13について、居室11を空調の優先最上位としている。そして、
図4に示すように、居室11以外の屋内空間(居室12,非居室13)に接続される通気ダクト23c,23eを使って、空調装置21から供給される空調空気を、居室12及び非居室13に供給することなく機械室15に還流させる構成としている。すなわち、
図1と同様、通気ダクト23eには、その中間部分に分岐ダクト26aが接続されており、通気ダクト23eと分岐ダクト26aとの分岐部に分岐弁28aが設けられている。また、通気ダクト23cには、その中間部分に分岐ダクト26bが接続されており、通気ダクト23cと分岐ダクト26bとの分岐部に分岐弁28bが設けられている。各分岐弁28a,28bは個別の切替操作(例えば制御装置33による操作)が可能であり、各分岐弁28a,28bにより、空調装置21から供給される空調空気を分岐ダクト26a,26b側に流すか流さないかが切り替え可能となっている。なお、屋内空間の数がより多い建物を想定すれば、3以上の屋内空間用の通気ダクトにそれぞれ分岐ダクト26及び分岐弁28を設ける構成であってもよい。
【0068】
上記構成において、例えば空調の開始当初には、空調最優先の居室11だけに空調装置21から空調空気が供給され、それ以外の居室12及び非居室13については空調空気が供給されず、その代わりに空調空気(本来屋内空間に供給する筈の空調空気)が機械室15に供給される。
【0069】
上記構成によれば、2以上の屋内空間用の通気ダクトにそれぞれ接続された分岐ダクト26から、機械室15に空調空気を供給することが可能となっている。この場合、1つの屋内空間用の空調空気を機械室15に供給するだけでなく、2以上の屋内空間用の空調空気を機械室15に供給することで、機械室15内における急速な温度低下(冷房時)又は温度上昇(暖房時)を実現できる。そのため、機械室15への空調空気の供給が行われておらず、空調空気の供給制限がなされていない屋内空間について所望の温度環境に迅速に変化させることができる。
【0070】
また、複数の分岐弁28について個別に切替操作が可能であるため、空調の優先上位とする屋内空間を、居室11から居室11&12に変更したり、非居室13を優先上位としたりすることが可能となる。
【0071】
なお、各分岐弁28a,28bを、個別の切替操作が可能な構成とする以外に、同一の駆動機構によりまとめて駆動できる構成とすることも可能である。
【0072】
・建物10内の各室11〜13には、各々に供給された空調空気を機械室15に還流させる還流経路がそれぞれ設けられているが、そのうち空調の優先下位となる居室12及び非居室13については、これら各室12,13から還気中継室としての廊下14を経由して機械室15に還流させる還流経路が設けられるのに対し、空調の優先上位となる居室11については、廊下14を経由せず、その居室11から機械室15に直接還流させる還流経路が設けられるようにしてもよい。具体的には、
図5に示すように、居室11と機械室15とを仕切る壁部に通気部11aが形成されており、その通気部11aを介して居室11から機械室15に空調空気が直接還流されるようになっている。
【0073】
上記構成によれば、空調の優先上位となる居室11について空調空気の還流経路が短縮されており、例えば冷房時にはその居室11に供給された冷気が、廊下14を通過することで温度上昇してしまうことなく機械室15に戻される。また、暖房時にはその居室11に供給された暖気が、廊下14を通過することで温度低下してしまうことなく機械室15に戻される。これにより、空調の優先上位となる居室11について冷房時の温度低下や暖房時の温度上昇を一層早めることができる。
【0074】
なお、居室11だけについて空調空気が機械室15に直接還流される構成以外に、居室11及び居室12について空調空気が機械室15に直接還流される構成であってもよい。
【0075】
・上記実施形態では、分岐弁28を、空調空気を分岐ダクト26側に流す状態に操作する期間が、制御装置33により毎回決定される構成としたが、これを変更し、当該期間を、あらかじめ定めた一定時間(例えば10分、又は20分など)とする構成であってもよい。
【0076】
・分岐弁28は、電気駆動式のものに限られず、手動式のものであってもよい。つまり、ユーザが分岐弁28を手動操作することによって、空調装置21から供給される空調空気を分岐ダクト26側に流すか流さないかが切り替えられる構成であってもよい。
【0077】
・上記実施形態では、分岐弁28を、空調空気を分岐ダクト26側に流す状態と流さない状態との2状態で切り替えるものとしたが、これを以下のように変更してもよい。例えば、分岐弁28を、空調空気を分岐ダクト26側に流す状態と流さない状態とで切り替え可能とし、かつ空調空気を分岐ダクト26側に流す状態においてその分岐ダクト26側への空気流量を調整できるようにする。つまりこの場合、分岐弁28は、その弁開度を中間開度で調整可能であり、空調装置21からの空調空気を、
(a)屋内空間(例えば非居室13)だけに供給する状態、
(b)機械室15だけに供給する状態、
(c)屋内空間(例えば非居室13)及び機械室15の両方に供給する状態、
のいずれかに切り替えられるものとなっている。
【0078】
上記(c)に関して、例えば、通気ダクト23eを通じて流れる空調空気のうち、
(c−1)25%を非居室13に、残り75%を機械室15に供給する状態としたり、
(c−2)50%を非居室13に、残り50%を機械室15に供給する状態としたり、
(c−3)75%を非居室13に、残り25%を機械室15に供給する状態としたりして、配分の比率を可変にするとよい。こうした切替は、ユーザの手動操作により実施されてもいいし、制御装置33の制御により実施されてもよい。その後者の場合、制御装置33は、機械室15をどの程度冷やすのか(又は暖めるのか)に応じて分岐弁28の弁開度を制御すればよく、各室11〜13における空調の優先度の兼ね合いや、目標温度と実温度との温度差に応じて弁開度が適宜調整されるとよい。例えば、居室11の目標温度と実温度との温度差が比較的大きければ上記(c−1)とし、その温度差が比較的小さければ上記(c−3)とする。
【0079】
・上記実施形態では、脱衣室を非居室13としたが、これに代えて、トイレを非居室13としてもよい。また、空調対象としての複数の屋内空間として、非居室空間を含まない構成としてもよい。この場合、建物において複数の居室空間を空調対象とし、その複数の居室空間のうち少なくともいずれかについて、上記のとおり分岐ダクトや分岐弁を設ける構成とする。
【0080】
・複数の屋内空間(空調対象)である各室11〜13における人の有無に応じて、各室11〜13のうちどこの空調を優先するかを決定するようにしてもよい。具体的には、
図6に示すように、各室11〜13にそれぞれ接続される通気ダクト23b,23c,23eに分岐ダクト26が接続されるとともに、各通気ダクト23と各分岐ダクト26との分岐部にそれぞれ分岐弁28が設けられている。また、各室11〜13にはそれぞれ人感センサ35が設けられ、それら各人感センサ35の検出結果が制御装置33に逐次入力される。制御装置33は、各人感センサ35の検出結果に基づいて、各室11〜13のうちどこに在室者がいるかを判定する。また、制御装置33は、空調制御の実施に際し、在室者有りと判定された屋内空間を、機械室15への空調空気の供給に伴う空調空気の供給制限が行われない屋内空間(優先的に空調が行われる屋内空間)とするとともに、在室者無しと検出された屋内空間を、機械室15への空調空気の供給に伴う空調空気の供給制限が行われる屋内空間として、各分岐弁28を制御する。
【0081】
例えば、居室12で人有りと検出され、かつ居室11及び非居室13で人無しと検出された場合、居室12での空調が優先的に実施される。したがって、居室12については空調空気が供給制限されることなく通気ダクト23c,23dを介して供給されるのに対し、居室11及び非居室13についてはこれら各空間に供給される筈の空調空気の全て又は一部が、分岐ダクト26を介して機械室15に供給されることとなる。
【0082】
上記構成によれば、人のいる屋内空間と人のいない屋内空間とを区別し、その前者について空調空気の供給を制限なく実施し(優先的に空調を実施し)、後者について空調空気の供給を制限するといった態様の空調制御を実施できる。これにより、現実に建物10内にいる人にとって最適な空調を実現できる。
【0083】
・上記実施形態では、本発明を循環式の空調システムにおいて具体化したが、これを変更し、本発明を循環式でない空調システムに具体化することも可能である。かかる場合においても、上記同様、屋内空間の空調を好適に実施することができる。
【0084】
・本発明を、冷房のみを実施する空調システム、又は暖房のみを実施する空調システムとして具体化することも可能である。