特許第5871621号(P5871621)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5871621LEDデバイス、その製造方法、及び発光装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5871621
(24)【登録日】2016年1月22日
(45)【発行日】2016年3月1日
(54)【発明の名称】LEDデバイス、その製造方法、及び発光装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/64 20100101AFI20160216BHJP
【FI】
   H01L33/00 450
【請求項の数】13
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2011-551810(P2011-551810)
(86)(22)【出願日】2011年1月18日
(86)【国際出願番号】JP2011050756
(87)【国際公開番号】WO2011093174
(87)【国際公開日】20110804
【審査請求日】2014年1月7日
【審判番号】不服2015-9495(P2015-9495/J1)
【審判請求日】2015年5月22日
(31)【優先権主張番号】特願2010-18719(P2010-18719)
(32)【優先日】2010年1月29日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000231073
【氏名又は名称】日本航空電子工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077838
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 憲保
(74)【代理人】
【識別番号】100082924
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100129023
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100147809
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 順一
(74)【代理人】
【識別番号】100155424
【弁理士】
【氏名又は名称】亀谷 真太郎
(72)【発明者】
【氏名】菅野 秀千
【合議体】
【審判長】 恩田 春香
【審判官】 山口 裕之
【審判官】 星野 浩一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−165097(JP,A)
【文献】 特開2009−224752(JP,A)
【文献】 特開2006−93295(JP,A)
【文献】 特開昭62−154656(JP,A)
【文献】 特開2007−80878(JP,A)
【文献】 特開2009−267292(JP,A)
【文献】 実開昭61−171089(JP,U)
【文献】 特開2008−300553(JP,A)
【文献】 特表2008−512867(JP,A)
【文献】 特開2006−339653(JP,A)
【文献】 特開2009−283472(JP,A)
【文献】 特開2006−351351(JP,A)
【文献】 特開平8−116096(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L33/00-33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
LEDのベアチップを直接搭載した金属コンタクトをデバイス本体の下面から下方に突出させてソケットコネクタに嵌合可能な端子部とし、前記端子部は前記デバイス本体の下面に沿って一方向に広がった帯板形状を有し、前記ソケットコネクタから前記ベアチップへの電源供給と前記ベアチップから前記ソケットコネクタへの熱伝導とを前記金属コンタクトを介して行うことを特徴とするLEDデバイス。
【請求項2】
請求項1に記載のLEDデバイスであって、前記金属コンタクトを一対備え、かつ、前記一対の金属コンタクトのそれぞれに前記ベアチップを同数備えていることを特徴とするLEDデバイス。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のLEDデバイスであって、前記デバイス本体はプラスチックよりなることを特徴とするLEDデバイス。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載のLEDデバイスの製造方法であって、前記金属コンタクトが対をなして形成されたリードフレームを用意すること、前記金属コンタクトの対をプラスチックでインサート成形して前記金属コンタクトが下面から下方に突出したデバイス本体を形成すること、前記金属コンタクトの対に前記ベアチップを実装して前記リードフレーム上に前記LEDデバイスを形成すること、及び、その後に、前記金属コンタクトを切断して前記リードフレームから前記LEDデバイスを分離させることを含むことを特徴とするLEDデバイスの製造方法。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれか一項に記載のLEDデバイスと、前記金属コンタクトの前記端子部を嵌合可能なコネクタとを含み、前記コネクタ及び前記金属コンタクトを介して前記ベアチップに電源を供給し、かつ、前記ベアチップの熱を前記金属コンタクト及び前記コネクタを介して放熱するように構成したことを特徴とする発光装置。
【請求項6】
請求項5に記載の発光装置であって、さらに取付対象物を含み、前記取付対象物の表面に複数の配線が形成され、前記コネクタが前記配線間に橋渡し状態に配置されかつ前記金属コンタクトが前記配線に接続されていることを特徴とする発光装置。
【請求項7】
請求項5に記載の発光装置であって、隣接配置されかつ電気的に独立した複数の金属板を含み、前記コネクタが前記金属板の隣接したものの間に橋渡し状態に配置されかつ前記金属コンタクトが前記金属板に接続されていることを特徴とする発光装置。
【請求項8】
請求項7に記載の発光装置であって、前記複数の金属板が互いに平行に並べられていることを特徴とする発光装置。
【請求項9】
請求項7に記載の発光装置であって、前記複数の金属板が周方向に並べられていることを特徴とする発光装置。
【請求項10】
請求項7に記載の発光装置であって、前記複数の金属板が径方向に並べられていることを特徴とする発光装置。
【請求項11】
請求項6記載の発光装置であって、さらに、前記コネクタを前記取付対象物に固定する別部品を含むことを特徴とする発光装置。
【請求項12】
請求項7〜10記載の発光装置であって、さらに、前記コネクタを前記金属板に固定する別部品を含むことを特徴とする発光装置。
【請求項13】
請求項11又は12に記載の発光装置であって、前記別部品は絶縁性のものであることを特徴とする発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光ダイオード(以下、「LED」という)のベアチップを用いたデバイス(以下、「LEDデバイス」という)、そのLEDデバイスの製造方法、及びそのLEDデバイスを用いた発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、LEDの高出力化が実現されている。それにともない、大きな光量を求められる一般照明・車両用前照灯などにも、半導体部品であるLEDのベアチップを用いたLEDデバイスが用いられている。しかし、LEDデバイスにおいても、大きな光量を得るためには大きな電力を消費するため、その結果として生じる発熱が問題となっている。即ち、LEDのベアチップは熱に弱いため、特にそのベアチップから効果的に放熱することが必要とされる。
【0003】
特開2004−199896号公報(特許文献1)には放熱性を高めたLED照明システムが開示されている。そのLED照明システムについて、図24を用いて簡単に説明する。基板1上にダイアモンドからなる伝熱層2を設け、その上に所定のパターンを有する導電層3を形成し、その上の所定の位置にLEDチップ4を載置し、導電層3の端子5,6にLEDチップ4の電極7,8を電気的に接続し、また導電層3の熱接触部9にLEDチップ4の下面を接触させて放熱性を高めている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−199896号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のように、基板上にダイアモンドからなる伝熱層を設ける構造では、基板自体が高価になる。その上、伝熱層上に配線を配置する必要があるため、このこともさらにコスト高の原因になる。
【0006】
また、伝熱層を設けた基板が必須であるため、伝熱層をもたない基板にLEDチップを搭載する場合にはLEDチップの冷却効果を期待できない。したがって、LEDチップの取付対象が放熱の点で限定される。
【0007】
それ故に本発明の目的は、上述した課題を解決するLEDデバイスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様によれば、LEDのベアチップを直接搭載した金属コンタクトをデバイス本体の下面から下方に突出させてソケットコネクタに嵌合可能な端子部とし、前記端子部は前記デバイス本体の下面に沿って一方向に広がった帯板形状を有し、前記ソケットコネクタから前記ベアチップへの電源供給と前記ベアチップから前記ソケットコネクタへの熱伝導とを前記金属コンタクトを介して行うことを特徴とするLEDデバイスが得られる。
【0009】
本発明の他の態様によれば、前記LEDデバイスの製造方法であって、前記金属コンタクトが対をなして形成されたリードフレームを用意すること、前記金属コンタクトの対をプラスチックでインサート成形して前記金属コンタクトが下面から突出したデバイス本体を形成すること、前記金属コンタクトの対に前記ベアチップを実装して前記リードフレーム上に前記LEDデバイスを形成すること、及び、その後に、前記金属コンタクトを切断して前記リードフレームから前記LEDデバイスを分離させることを含むことを特徴とするLEDデバイスの製造方法が得られる。
【0010】
本発明のさらに他の態様によれば、前記LEDデバイスと、前記金属コンタクトの前記端子部を嵌合可能なコネクタとを含み、前記コネクタ及び前記金属コンタクトを介して前記ベアチップに電源を供給し、かつ、前記ベアチップの熱を前記金属コンタクト及び前記コネクタを介して放熱するように構成したことを特徴とする発光装置が得られる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、LEDチップの放熱性に優れかつコスト高の原因を改善した簡素な構造のLEDデバイス及びそのLEDデバイスを用いた発光装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係るLEDデバイスの製造方法を説明するための工程説明図。
図2図1(d)に示すLEDデバイスとこれを接続するソケットコネクタとを含む発光装置の分解図。
図3図2に示した発光装置の組立図。
図4図3の断面図。
図5】ソケットコネクタの実装構造の他の例をLEDデバイスと共に示す斜視図。
図6】ソケットコネクタの実装構造のさらに他の例をLEDデバイスと共に示す斜視図。
図6A図6に示すソケットコネクタの変形例をLEDデバイス及び取付対象物と共に示す分解斜視図。
図6B図6AのソケットコネクタによってLEDデバイスを取付対象物に取り付けた状態を示す外観斜視図。
図6C図6Bの拡大断面図。
図7】ソケットコネクタの実装構造のさらに他の例をLEDデバイスと共に示す斜視図。
図8】LEDデバイスにおけるLEDのベアチップの配置及び接続の一例を説明するための斜視図。
図9】LEDデバイスにおけるLEDのベアチップの配置及び接続の他の例を説明するための斜視図。
図10】LEDデバイスにおけるLEDのベアチップの配置及び接続のさらに他の例を説明するための斜視図。
図11】本発明の他の実施形態に係るLEDデバイスの斜視図。
図12図11のLEDデバイスを一部切り欠いて要部のみを示した斜視図。
図13】発光装置の変形例を示し、(a)は分解状態の斜視図、(b)は組立状態の斜視図、(c)は組立状態の側面図。
図14】発光装置の他の変形例を示し、(a)は組み立て途中の裏面側からの斜視図、(b)は組立途中の表面側からの斜視図、(c)は組立状態の表面側からの斜視図、(d)は組立状態の側面図。
図15】発光装置のさらに他の変形例を示す斜視図。
図16図15の発光装置に使用できる接続工法の一例を説明するための斜視図。
図17図15の発光装置に使用できる接続工法の他の例を説明するための斜視図。
図18図15の発光装置に使用できる接続工法のさらに他の例を説明するための斜視図。
図19】発光装置のさらに他の変形例を示す斜視図。
図20】発光装置のさらに他の変形例を示す斜視図。
図21】発光装置のさらに他の変形例を示し、(a)は分解状態の斜視図、(b)は組立状態の斜視図。
図22】発光装置のさらに他の変形例の分解状態の斜視図。
図23】発光装置のさらに他の変形例を示し、(a)は組立途中の斜視図、(b)は組立がさらに進行した状態の斜視図、(c)は組立完了状態の斜視図。
図24】特許文献1(特開2004−199896号公報)に開示されたLED照明システムを説明するための断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
まず図1を参照して、本発明の一実施形態に係るLEDデバイスの製造方法について説明する。
【0014】
LEDデバイスの製造に際し、図1(a)に示す形状の金属製のリードフレーム21を用意する。リードフレーム21には、後工程で金属コンタクトとなる所定の形状の多数の金属片22が一体に形成されている。それらの金属片22は二つずつ対をなしてリードフレーム21にマトリックス状に配列されている。
【0015】
図1(b)に移り、金属片22の対毎にエンジニアリングプラスチックをモールド成形又はインサート成形し、金属片22を部分的に覆った所定の形状のデバイス本体23を形成する。このときデバイス本体23の上面に凹部24を形成し、対の金属片22の端部を凹部24の底部の互いに隣接した位置に露出させる。
【0016】
図1(c)に移り、各デバイス本体23の凹部24にLEDのベアチップ(発光素子)25を2個ずつAu−Sn共晶半田などで固定実装する。その際、各金属片22の端部にベアチップ25を1個ずつ接触させ、かつ、金属片22とベアチップ25との間及びベアチップ25とベアチップ25との間をそれぞれ、後述する導電性ワイヤにより電気的に接続する。こうして、リードフレーム21上にLEDデバイス27を多数形成する。
【0017】
その後に、金属片22のリードフレーム21に結合されている部分を切断し、リードフレーム21からLEDデバイス27を分離させる。こうして、図1(d)に示すLEDデバイス27を多数個、比較的容易に製造することができる。なお、最終的にはデバイス本体23の凹部24に樹脂が充填されて硬化される。
【0018】
ここで、特に図1(d)を参照して、製造されたLEDデバイス27について説明する。
【0019】
LEDデバイス27は、図1(a)に示す金属片22により形成された対の金属コンタクト28を含んでいる。各金属コンタクト28はデバイス本体23にインサート成形されているが、一端はデバイス本体23の凹部24に露出し、他端はデバイス本体23の下面から下方に突出して板状の端子部29とされている。
【0020】
各LEDデバイス27において、ベアチップ25が金属コンタクト28に直接接触されている。こうして、ベアチップ25への電源供給とベアチップ25からの熱伝導とを金属コンタクト28を介して行うように構成されている。しかも、各LEDデバイス27が金属コンタクト28を一対備え、かつ、一対の金属コンタクト28のそれぞれに対し、ベアチップ25が同数搭載されているので、ベアチップ25からの熱伝導が対の金属コンタクト28に均等に分散され、したがって優れた放熱性を期待できる。
【0021】
このように、金属コンタクト28が熱及び電気の両方を導通することを利用しているので、構造が簡単で安価なLEDデバイスを提供できる。
【0022】
次に図2図4を参照して、図1(d)に示すLEDデバイス27を用いた発光装置について説明する。
【0023】
この発光装置は、LEDデバイス27と、このLEDデバイス27を嵌合・離脱可能なソケットコネクタ31を含んでいる。ソケットコネクタ31は、プラスチックなどからなる絶縁性のハウジング32と、ハウジング32に組み付けられた熱伝導率の高い材質からなる多数本の金属バネ33とを含んでいる。ハウジング32は、LEDデバイス27の二つの端子部29をそれぞれ受け入れる二つの長孔34を有している。
【0024】
金属バネ33は、ハウジング32の各長孔34に複数本例えば5本ずつ対応して設けられ、かつ各長孔34の長手方向に間隔をおいて配列されている。各金属バネ33は、長孔34の内部に配置された接触部35と、接触部35からハウジング32の外部に引き出された接続部36とを有している。接続部36は、二つの長孔34の一方に対応したものと他方に対応したものとに分かれて、基板などの取付対象物37に形成された二つの配線38にそれぞれ半田リフロー等の技術を用いて接続される。こうして、ソケットコネクタ31は取付対象物37に表面実装できる。
【0025】
LEDデバイス27がソケットコネクタ31に嵌合されると、金属コンタクト28の端子部29が長孔34に挿入され、そこに配置されている複数の接触部35に纏めて接触する。この結果、二つのベアチップ25から二つの金属コンタクト28に分かれて伝わった熱の各々は、複数本の金属バネ33に分散されて伝わり、さらに接続部36から取付対象物37に伝達される。したがって、優れた放熱性を期待できる。また同時に、取付対象物37の配線38から金属コンタクト28及び金属バネ33を介してベアチップ25に至る電路が形成される。したがって、金属コンタクト28及び金属バネ33を通してベアチップ25に電源を供給することが可能になる。
【0026】
この発光装置によると、LEDデバイス27を嵌合させない状態でソケットコネクタ31を取付対象物37に実装できるので、半田リフローによるLEDデバイス27の熱ダメージや実装後の半田クラック発生によるLEDデバイス27の接続不良を防止できる。また、LEDデバイス27を嵌合・離脱可能なソケットコネクタ31を用いているので、LEDデバイス27を容易に交換することが可能である。また、LEDデバイス27と半田の線膨張係数差による収縮を金属バネ33のバネ接点で緩和するため、信頼性の高い接続機能を発揮する。
【0027】
上述では複数の接続部36を配線38に接続することでソケットコネクタ31を取付対象物37に実装した例を説明したが、図5図7に示す各構造によって取付対象物37にソケットコネクタ31を実装することもできる。
【0028】
図5においては、ソケットコネクタ31の複数の金属バネ33にそれぞれ設けた接続部を予め纏めて一体形成することで一枚の接続板36′としている。そして、接続板36′を取付対象物37にねじ41を用いて締め付け固定することで、取付対象物37上の配線38に接続板36′を電気的に接続している。
【0029】
図6においては、ソケットコネクタ31の複数の金属バネ33にそれぞれ設けた接続部を予め纏めて一体形成することで一枚の接続板36′としている。こうして、上述したハウジング32を使用することなくソケットコネクタ31を構成している。そして、接続板36′を取付対象物37にソケット溶接42を用いて固定することで、取付対象物37上の配線38に接続板36′を電気的に接続している。
【0030】
図6に示すソケットコネクタ31においても、上述したハウジング32の使用が可能なことは勿論である。ハウジング32を使用した例を図6Aから図6Cに示す。
【0031】
図7においても、ソケットコネクタ31の複数の金属バネ33にそれぞれ設けた接続部を予め纏めて一体形成することで一枚の接続板36′としている。こうして、上述したハウジング32を使用することなくソケットコネクタ31を構成している。そして、接続板36′を取付対象物37にソケット加締43を用いて固定することで、取付対象物37上の配線38に接続板36′を電気的に接続している。
【0032】
上述では接続板36′を取付対象物37上の配線38に接続した例を説明したが、電気的に独立した金属板に接続板36′を接合してもよい。
【0033】
なお、図7に示すソケットコネクタ31においても、上述したハウジング32を使用可能なことは勿論である。
【0034】
次に図8図10を参照して、LEDデバイス27におけるベアチップ25の配置及び接続の幾つかの例を説明する。
【0035】
図8のLEDデバイス27においては、二つの金属コンタクト28に対し二つのベアチップ25がそれぞれ搭載されている。二つのベアチップ25は互いに導電性ワイヤ44で電気的に接続されている。また、二つのベアチップ25の各々が対応した金属コンタクト28に導電性ワイヤ45で電気的に接続されている。
【0036】
図9のLEDデバイス27においては、二つの金属コンタクト28に対し四つのベアチップ25が二つの金属コンタクト28にそれぞれ二つ搭載されている。一方の金属コンタクト28に搭載された二つのベアチップ25と他方の金属コンタクト28に搭載された二つのベアチップ25とが、互いに導電性ワイヤ46で電気的に接続されている。また、四つのベアチップ25の各々が対応した金属コンタクト28に導電性ワイヤ47で電気的に接続されている。
【0037】
図10のLEDデバイス27においては、二つの金属コンタクト28に対し六つのベアチップ25が二つの金属コンタクト28にそれぞれ三つ搭載されている。六つのベアチップ25の各々は二つの金属コンタクト28に導電性ワイヤ48,49で電気的に接続されている。
【0038】
図8においては、二つのLEDベアチップが直列に配線されており、図9においては、二つのLEDベアチップが直列に配線され、さらにその直列の構成が二つならんでいる。図10においては、六つのLEDベアチップが並列に配線されている。この様に、配線の形態は適切に決定すればよい。以上、LEDデバイス27の端子部が+と−の2端子(端子部29を二つ有する)についての説明をしてきたが、4端子、6端子でも同様に各々のコンタクトに同数のベアチップを搭載すればよい。その理由は、LEDデバイス27内のベアチップ25からの発熱を端子部29の数で等しく分配することにより、端子部29からの熱を均等に実装基板や箇体などの取付対象物37に伝達するためである。即ち、一対の金属コンタクト28のそれぞれにベアチップ25を同数備えることで、ベアチップ25からの発熱を端子部29に均等に分配できる。こうして、ベアチップ25からの発熱を端子部29に均等に分配することで、熱の偏りをなくし、発生する応力差を軽減でき、信頼性が向上する。なお、LEDデバイス27の端子部29の数をn(n≧2)とすると、LEDデバイス27内に実装されるベアチップ25はnの倍数となる。
【0039】
図11及び図12は本発明の他の実施形態に係るLEDデバイス27′を示している。このLEDデバイス27′は端子部29を四つ有している。四つの端子部29のうちの二つはマイナス端子とされ、残りの二つはプラス端子とされている。即ち、一つのLEDデバイス27′にプラス端子及びマイナス端子が二つずつ備えられている。このように、プラス端子及びマイナス端子の各々を複数にすることにより、異なる色の発光を行うLEDを各々にコントロールでき、色の調整をするのに便利である。
【0040】
図13は発光装置の変形例を示す。同様な機能をもつ部分については同じ参照符号を付して説明を省略する。
【0041】
図13の発光装置に使用したソケットコネクタ31においては、ハウジング32に金属バネ33の一部が保持されている。このソケットコネクタ31を、(a)に示すように、基板などよりなる取付対象物37の表面にマウンターなどを用いて搭載し、かつ、金属バネ33の他部を、取付対象物37の互いに離間配設された二つの配線38に半田リフローなどの技術を用いて接続する。
【0042】
次に、(b)、(c)に示すように、LEDデバイス27をソケットコネクタ31に嵌合させる。LEDデバイス27とソケットコネクタ31との関係は、前述した様々な例と同様である。
【0043】
図14は発光装置の他の変形例を示す。同様な機能をもつ部分については同じ参照符号を付して説明を省略する。
【0044】
図14の発光装置に使用したソケットコネクタ31においても、ハウジング32に金属バネ33の一部が保持されている。取付対象物37には表裏に貫通した貫通穴51が形成される。この貫通穴51を利用してソケットコネクタ31を取付対象物37に装着する。即ち、(a)に示すように、ソケットコネクタ31を図13(a)とは上下反対の姿勢にして貫通穴51に落とし込み、かつ、金属バネ33の他部を、取付対象物37の互いに離間配設された二つの配線38に半田リフローなどの技術を用いて接続する。
【0045】
こうしてソケットコネクタ31を取付対象物37に装着した後に、(b)に示すように取付対象物37を裏返し、(c)、(d)に示すようにLEDデバイス27をソケットコネクタ31に嵌合させる。LEDデバイス27とソケットコネクタ31との関係は、前述した様々な例と同様である。
【0046】
図14の発光装置によれば、取付対象物37の厚み方向における寸法を低減することができる。
【0047】
図15は発光装置のさらに他の変形例を示す。同様な機能をもつ部分については同じ参照符号を付して説明を省略する。
【0048】
図15の発光装置は、電気的に独立した二つの金属板52を取付対象物及び配線として用いている。これらの金属板52の間に、LEDデバイス27を接続した複数のソケットコネクタ31を橋渡し状態に搭載する。さらに、ソケットコネクタ31の金属バネ33を適当な接続工法で金属板52に接続する。その適当な接続工法の一例は所謂バスバー実装である。
【0049】
上記適当な接続工法の他例として、図16に示すようなレーザ溶接部53、図17に示すようなねじ止め部54、及び図18に示すような加締部55を、単独で若しくは複数の組み合わせで用いることができる。
【0050】
図19は発光装置のさらに他の変形例を示す。同様な機能をもつ部分については同じ参照符号を付して説明を省略する。
【0051】
図19の発光装置は、プレス加工などで形成されかつ電気的に独立した複数の例えば7枚の平板状の金属板56を取付対象物及び配線として用いている。これらの金属板56をリング状をなすように周方向に並べて配置し、隣接したものの間に、LEDデバイス27を接続した複数の例えば6個のソケットコネクタ31を橋渡し状態に搭載し、金属バネ33を金属板56に接続して直列回路を形成する。この場合、7枚の金属板56のうち直列回路の両端に位置した二つのものに曲げ加工による接続部57を設け、これらの接続部57にハーネス端子58を嵌合接続し、これにより金属板56をハーネスで固定することが可能である。複数の金属板が周方向に並べられている。
【0052】
各金属板56(52)は平板状に限らず、例えば図20に示すようにアングル状材であってもよい。
【0053】
図21は発光装置のさらに他の変形例を示す。同様な機能をもつ部分については同じ参照符号を付して説明を省略する。
【0054】
図21の発光装置は、絶縁体よりなる円板状の筺体61と、筺体61の円板状表面に配置されたリング状の第1の金属板62と、第1の金属板62の内側で筺体61の円板状表面に配置された多角形状の第2の金属板63と、第1の金属板62の外径と同等な外径をもつ別部品としての絶縁性の円板状のリフレクタ64とを含んでいる。第1の金属板62及び第2の金属板63は配線として働くものであり、いずれもプレス加工などで形成され得る。ここで、第1の金属板62及び第2の金属板63は径方向に並べられているともいえる。
【0055】
(a)に示すように、筺体61の円板状表面で、第1の金属板62の内周面は第2の金属板63の外周面に実質的に均等な隙間をもって対向し、したがって第1の金属板62及び第2の金属板63は互いに電気的に独立している。第1の金属板62と第2の金属板63との間には、LEDデバイス27を接続した複数例えば6個のソケットコネクタ31が橋渡し状態に載置されている。各ソケットコネクタ31の金属バネ33は第1の金属板62と第2の金属板63とに当接している。
【0056】
(a)において、さらに、リフレクタ64を、第1の金属板62及び第2の金属板63の上に重ね合せる。その際、リフレクタ64に形成した複数の孔65にソケットコネクタ31をそれぞれ挿入させる。さらに、ねじ棒66などを用いてリフレクタ64を筺体61に締め付け固定する。かくして、リフレクタ64によって、各ソケットコネクタ31の金属バネ33が第1の金属板62及び第2の金属板63に押し付けられて電気的に接続されるとともに、ソケットコネクタ31の位置が固定される。
【0057】
こうして(b)に示す発光装置が得られる。
【0058】
図21ではそれぞれ6個のLEDデバイス27及びソケットコネクタ31を用いているが、これらの数は図22に3個の場合を示すように適宜変更されてもよい。
【0059】
図23は発光装置のさらに他の変形例を示す。同様な機能をもつ部分については同じ参照符号を付して説明を省略する。
【0060】
図23の発光装置は、絶縁体よりなる矩形板状の筺体71と、筺体71の矩形状表面に隣接配置される二つの金属板72と、金属板72を覆う絶縁性の反射シート73とを含んでいる。各金属板72はプレス加工などで形成され得るものであり、互いに対向する一辺に複数の半円状凹部を有している。これらの半円状凹部は、二つの金属板72を互いに隣接配置した際に互いに協働して実質的に円形の複数の孔74を形成するものである。また反射シート73は、孔74に一対一で対応した複数の小孔75を有するものである。
【0061】
(a)に示すように、筺体71の矩形状表面に、LEDデバイス27を接続した複数のソケットコネクタ31を離間配置する。次いで、筺体71の矩形状表面に二つの金属板72を互いに隙間をおいて隣接配置する。したがって二つの金属板72は互いに電気的に独立し、取付対象物及び配線として用いられる。さらに、ねじ棒76などを用いて金属板72を筺体71に締め付け固定する。かくして、金属板72が、ソケットコネクタ31の金属バネ33に押し付けられて電気的に接続されるとともに、ソケットコネクタ31の位置を固定する。
【0062】
さらに、(b)に示すように、反射シート73を金属板72の上に配置する。その際、金属板72による孔74にLEDデバイス27をそれぞれ挿入させる。こうして(c)に示す発光装置が得られる。この発光装置によると、反射シート73を用いているので、LEDデバイス27の光を有効利用することができる。
【0063】
なお、上記実施形態の一部又は全部は以下の付記のようにも記載され得るが、以下には限られない。
【0064】
(付記1)
LEDのベアチップ25を金属コンタクト28に直接搭載し、ベアチップ25への電源供給とベアチップ25からの熱伝導とを金属コンタクト28を介して行うことを特徴とするLEDデバイス。
【0065】
(付記2)
付記1に記載のLEDデバイスであって、金属コンタクト28を一対備え、かつ、一対の金属コンタクト28のそれぞれにベアチップ25を同数備えていることを特徴とするLEDデバイス。
【0066】
(付記3)
付記1又は2に記載のLEDデバイスであって、金属コンタクト28をインサート成形したプラスチックよりなるデバイス本体23を含み、金属コンタクト28はデバイス本体23から外方に突出している端子部29を有することを特徴とするLEDデバイス。
【0067】
(付記4)
付記1〜3のいずれか一項に記載のLEDデバイスの製造方法であって、金属コンタクト28が対をなして形成されたリードフレーム21を用意すること、金属コンタクト28の対をプラスチックでインサート成形してデバイス本体を形成すること、金属コンタクト28の対にベアチップ25を実装してリードフレーム21上にLEDデバイスを形成すること、及び、その後に、金属コンタクト28を切断してリードフレーム21からLEDデバイスを分離させることを含むことを特徴とするLEDデバイスの製造方法。
【0068】
(付記5)
付記1〜3のいずれか一項に記載のLEDデバイスと、取付対象物37に取り付けられる、金属コンタクト28を嵌合可能なコネクタ31とを含み、取付対象物37からコネクタ31及び金属コンタクト28を介してベアチップ25に電源を供給し、かつ、ベアチップ25の熱を金属コンタクト28及びコネクタ31を介して取付対象物37に伝えて放熱するように構成したことを特徴とする発光装置。
【0069】
(付記6)
付記5に記載の発光装置であって、さらに取付対象物37を含み、取付対象物37の表面に複数の配線38が形成され、コネクタ31が配線38間に橋渡し状態に配置されかつ金属コンタクト28が配線38に接続されていることを特徴とする発光装置。
【0070】
(付記7)
付記5に記載の発光装置であって、さらに取付対象物37として、隣接配置されかつ電気的に独立し複数の金属板を含み、コネクタ31が前記金属板の隣接したものの間に橋渡し状態に配置されかつ金属コンタクト28が前記金属板に接続されていることを特徴とする発光装置。
【0071】
(付記8)
付記7に記載の発光装置であって、前記複数の金属板が互いに平行に並べられていることを特徴とする発光装置。
【0072】
(付記9)
付記7に記載の発光装置であって、前記複数の金属板が周方向に並べられていることを特徴とする発光装置。
【0073】
(付記10)
付記7に記載の発光装置であって、前記複数の金属板が径方向に並べられていることを特徴とする発光装置。
【0074】
(付記11)
付記6〜10記載の発光装置であって、さらに、コネクタ31を取付対象物37に固定する別部品を含むことを特徴とする発光装置。
【0075】
(付記12)
付記11に記載の発光装置であって、前記別部品は絶縁性のものであることを特徴とする発光装置。
【0076】
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【0077】
この出願は、2010年1月29日に出願された日本出願特願2010−18719を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明は、一般照明、街路灯、車両のバックライト等に利用可能である。
【符号の説明】
【0079】
1 基板
2 伝熱層
3 導電層
4 LEDチップ
5,6 導電層の端子
7,8 LEDチップの電極
9 導電層の熱接触部
21 リードフレーム
22 金属片
23 デバイス本体
24 凹部
25 LEDのベアチップ(発光素子)
27 LEDデバイス
27′ LEDデバイス
28 金属コンタクト
29 端子部
31 ソケットコネクタ(コネクタ)
32 ハウジング
33 金属バネ
34 長孔
35 接触部
36 接続部
36′ 接続板
37 取付対象物
38 配線
41 ねじ
42 ソケット溶接
43 ソケット加締
44〜49 導電性ワイヤ
51 貫通穴
52 金属板
53 レーザ溶接部
54 ねじ止め部
55 加締部
56 金属板
57 接続部
58 ハーネス端子
61 筺体
62 第1の金属板
63 第2の金属板
64 リフレクタ
65 孔
66 ねじ棒
71 筺体
72 金属板
73 反射シート
74 孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図6A
図6B
図6C
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24