(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1.A、
図1.Bおよび
図1.Cは、本発明の一の実施の形態に係る吸収性物品包装体1を示す斜視図であり、
図2は、吸収性物品包装体1に収容される複数の吸収性物品9の積層体(以下、「吸収性物品積層体」という。)90を示す斜視図である。
図1.Aに示すように、吸収性物品包装体1は略直方体であり、
図2に示すように所定の積層方向(すなわち、
図2中のX方向)に積層されるとともに積層方向に圧縮された状態の略シート状の複数の吸収性物品9(すなわち、吸収性物品積層体90)が吸収性物品包装体1内に収容される。
図1.Aないし
図1.C、並びに、
図2では直交する水平な2方向をX方向およびY方向として示し、X方向およびY方向に垂直な鉛直方向をZ方向として示している。
【0017】
図3は、吸収性物品9の構成を示す平面図である。吸収性物品9は、着用者に着用される外装物品(例えば、使い捨ておむつ)の着用者側に取り付けられて着用者からの排泄物を受ける尿取りパッド等の補助吸収具である。
図3では、着用者に接する面(すなわち、着用者側)を手前側にして吸収性物品9を描いている。
【0018】
図3に示すように、吸収性物品9は、略シート状の本体部92、および、本体部92の長手方向のほぼ全長に亘って本体部92の幅方向の両側に設けられた一対の側壁部93を備える。一対の側壁部93のそれぞれには、長手方向に伸びる2本の弾性部材931が接合されており、弾性部材931が収縮することにより、本体部92の側方において側壁部93が着用者側に向かって立ち上がり、着用時に着用者の足の付け根近傍に当接する立体ギャザー(いわゆる、レッグギャザー)が形成される。
【0019】
本体部92は、吸収体である吸収コア922、吸収コア922の着用者側の主面を覆うトップシート921、および、吸収コア922のもう一方の主面を覆うバックシート923を備え、トップシート921およびバックシート923は、ホットメルト接着剤等により吸収コア922の周囲にて互いに接合される。本体部92は、長手方向の両側の端部近傍において、着用者側とは反対側の主面上(すなわち、バックシート923の外側の主面上)に、幅方向に広がって存在する止着部である面ファスナ924を備える。面ファスナ924は、微小なフック部材を多数有し、吸収性物品9が使い捨ておむつに取り付けられる際に使い捨ておむつの着用者側と対向し、使い捨ておむつの着用者側の不織布や布地中の繊維群に着脱可能に接合される。
【0020】
図2に示すように、吸収性物品9は、長手方向における略中央の位置にて着用者側であるトップシート921(
図3参照)を内側にして2つ折りにされた状態で積層方向に積層され、折り目を上側(すなわち、(+Z)側)に向けて吸収性物品包装体1(
図1.A参照)に収容される。2つ折りにされた状態の各吸収性物品9では、バックシート923が(+X)側および(−X)側を向いており、面ファスナ924が、バックシート923の(+X)側および(−X)側の面(すなわち、2つ折にされた吸収性物品9の両側の主面)の下端側((−Z)側)の領域に位置する。
【0021】
図1.Aに示すように、吸収性物品包装体1は、複数の吸収性物品9の積層方向(X方向)に略平行であるとともに吸収性物品積層体90の上面901および下面902(
図2参照)をそれぞれ覆う上面部11および下面部12、上面部11と下面部12とを接続するとともに積層方向に略平行であって吸収性物品積層体90の前面903および後面904(
図2参照)をそれぞれ覆う前面部13および後面部14、並びに、積層方向に略垂直であって吸収性物品積層体90の(+X)側の側面905および(−X)側の側面906(
図2参照)をそれぞれ覆う第1側面部15および第2側面部16を備える。第1側面部15および第2側面部16は、積層方向における吸収性物品積層体90の両側(すなわち、(+X)側および(−X)側)において吸収性物品9の主面に当接する。上面部11、下面部12、前面部13、後面部14、第1側面部15および第2側面部16は、1枚のフィルム(例えば、プラスチックフィルム)にて形成される。
【0022】
吸収性物品包装体1は、また、上面部11に接続されるとともに購入者等に把持される把持部17を備え、把持部17には、把持する者の指が挿入される開口171が形成される。
【0023】
図1.Aに示すように、第1側面部15は、上端近傍において上端のエッジに沿ってY方向に伸びる側面横脆弱線(本実施の形態では、断続的に形成された切れ目)158を有する。前面部13は、側面横脆弱線158から連続して(−X)方向へと伸びる前面横脆弱線138、前面部13のX方向の中央よりも第1側面部15側にて前面横脆弱線138に連続するとともに第2側面部16側に突出した凸形状である前面補助脆弱線137、および、前面補助脆弱線137に連続するとともに(−Z)方向へと伸びる前面縦脆弱線139を有する。また、後面部14も前面部13と同様に、側面横脆弱線158から連続して(−X)方向へと伸びる後面横脆弱線148、後面部14のX方向の中央よりも第1側面部15側にて後面横脆弱線148に連続するとともに第2側面部16側に突出した凸形状である後面補助脆弱線147、および、後面補助脆弱線147に連続するとともに(−Z)方向へと伸びる後面縦脆弱線149を有する。
【0024】
吸収性物品包装体1では、前面部13、第1側面部15および後面部14が、これらの脆弱線137〜139,147〜149,158に沿って破断されることにより(すなわち、その一部が周囲の部位から切り離されることにより)、
図1.Bに示すように、吸収性物品9の取り出しに利用される開口(すなわち、取出口)18が形成される。
図1.Bでは、図示の都合上、第1側面部15側の吸収性物品9が2つ取り出された後の状態を描いている。
【0025】
以下、開口18のうち、前面部13、第1側面部15および後面部14に形成される部分をそれぞれ「前部開口131」、「側部開口151」および「後部開口141」と呼ぶ。前部開口131および後部開口141は、側部開口151に連通している。また、
図1.Aおよび
図1.Bに示すように、前面部13、第1側面部15および後面部14のうち、脆弱線に沿って周囲の部位から切り離されることにより前部開口131、側部開口151および後部開口141を形成する部位をそれぞれ、「前部開口形成部132」、「側部開口形成部152」および「後部開口形成部142」と呼ぶ。
【0026】
図1.Bに示すように、側部開口151は、第1側面部15の前面部13側のエッジから後面部14側のエッジに亘って(すなわち、第1側面部15を横断するように)設けられる。側部開口151の下端は、上下方向に関して第1側面部15の下端と吸収性物品包装体1に収容されている吸収性物品9の面ファスナ924の下端との間に位置する。また、側部開口151の上端は、第1側面部15の上端よりも下側に位置する。
【0027】
図4は、前面部13における前面横脆弱線138、前面縦脆弱線139および前面補助脆弱線137を示す図である。また、
図5は前部開口形成部132近傍にて前面部13に印刷される画像を示す図である。なお、
図5中の太い破線231は、
図4の前面横脆弱線138、前面縦脆弱線139および前面補助脆弱線137に重ねて印刷されており、
図5では、脆弱線137〜139の図示を省略し(後述の
図6ないし
図8、並びに、
図12ないし
図17において同様)、
図4では、印刷画像の図示を省略している(
図1.Aないし
図1.C、後述の
図9ないし
図11、
図18、並びに、
図19において同様)。
【0028】
前面部13は、
図4に示すように、前部開口形成部132の第2側面部16側(すなわち、(−X)側)のエッジの上側に設けられる補助タブ133を備える。後述する吸収性物品包装体1の開封時には、補助タブ133は、第2側面部16側へと突出した形状の前面補助脆弱線137に沿って周囲の部位から切り離された後に、使用者により摘まれることにより前部開口131の形成開始を補助する。したがって、補助タブ133は前面部13の破断開始位置に配置されているといえる。
図5に示すように、補助タブ133近傍には、使用者の注意を促して前面部13の破断開始位置であることを容易に認識させるための目印(本実施の形態では、「ここから開ける」の注意書きや矢印であり、他の注意書きや図形等であってもよい。)が印刷される。
【0029】
図4に示すように、前面横脆弱線138は、X方向に伸びる直線上に一定の長さおよびピッチにて形成された複数の線状切断部1381を有し、前面縦脆弱線139は、Z方向に伸びる直線上に一定の長さおよびピッチにて形成された複数の線状切断部1391を有する。本実施の形態では、前面横脆弱線138の線状切断部1381の長さおよびピッチはそれぞれ2ミリメートル(mm)および5mmであり、前面縦脆弱線139の線状切断部1391の長さおよびピッチはそれぞれ2mmおよび10mmである。したがって、前面横脆弱線138において互いに隣接する2つの線状切断部1381間の部位である非切断部1382の長さは3mmであり、前面縦脆弱線139における線状切断部1391間の非切断部1392の長さは8mmである。
【0030】
このように、前面部13では、前面横脆弱線138における線状切断部1381の長さが、前面縦脆弱線139の線状切断部1391の長さに等しく、前面横脆弱線138の非切断部1382の長さが、前面縦脆弱線139の非切断部1392の長さの半分よりも小さい。したがって、使用者が補助タブ133を引っ張って、シート状の前面部13におよそ垂直な方向(Y方向)に力を加えた場合に、前面横脆弱線138において連続して破断が生じる力が(すなわち、前面横脆弱線138の複数の非切断部1382を連続的に切断するための力が)、前面縦脆弱線139において連続して破断が生じる力よりも小さい。すなわち、前面部13において前面横脆弱線138に沿った破断に要する力が、前面縦脆弱線139に沿った破断に要する力よりも小さい。なお、
図1.Aおよび
図1.C(並びに、後述の
図18および
図19)では、前面横脆弱線138および前面縦脆弱線139を同じ種類の破線にて示している(後面横脆弱線148および後面縦脆弱線149において同様)。
【0031】
既述のように、前面部13では、前面横脆弱線138、前面縦脆弱線139および前面補助脆弱線137に重ねて、
図5に示す破線231(以下、「破断案内線231」という。)が印刷される。また、第1側面部15に向かう方向((+X)方向)を示す複数の矢印232、および、下面部12に向かう方向((−Z)方向)を示す複数の矢印233が破断案内線231に重ねて印刷される。さらに、破断案内線231にて囲まれる前部開口形成部132には、その周囲とは異なる模様や色が印刷される。したがって、前面部13では、前面横脆弱線138および前面縦脆弱線139にて囲まれる領域が周囲と視覚的に容易に識別可能である。
【0032】
図1.Aに示す後部開口形成部142も前部開口形成部132と同様の構造であり、第2側面部16側に突出した形状である後面補助脆弱線147に沿って周囲の部位から切り離された後に、使用者により摘まれる補助タブ143を有し、補助タブ143が後面部14上の破断開始位置において使用者により摘まれることにより後部開口141の形成開始が補助される。後面横脆弱線148の線状切断部の長さおよびピッチは、
図4の前面横脆弱線138の線状切断部1381と同じであり、後面縦脆弱線149の線状切断部の長さおよびピッチは前面縦脆弱線139の線状切断部1391と同じである。したがって、後面部14では、後面横脆弱線148に沿った破断に要する力が、後面縦脆弱線149に沿った破断に要する力よりも小さい。後面部14においても、
図5の前面部13における破断案内線231および矢印232,233と同じ破線および矢印が印刷される。また、後面横脆弱線148および後面縦脆弱線149にて囲まれる領域が周囲と視覚的に識別可能である。
【0033】
吸収性物品包装体1が開封される際には、まず、前面部13が前面補助脆弱線137に沿って使用者により破断されることにより、
図1.Cに示すように、前部開口形成部132の補助タブ133が周囲の部位から切り離され、摘まれて手前側(
図1.C中の(−Y)側)へと引き出される。続いて、補助タブ133が、使用者により斜め下方(すなわち、第1側面部15側かつ下面部12側)へと引っ張られることにより、前部開口131の形成が開始される。
【0034】
実際には、破断開始位置(補助タブ133)から第1側面部15に向かう前面横脆弱線138、および、破断開始位置から下面部12に向かう前面縦脆弱線139に沿って前面部13が破断される。このとき、
図5の前面部13上に印刷された複数の矢印232,233により使用者に対して破断方向について注意が促され、また、前面部13では、切り離すべき領域(すなわち、前部開口形成部132)が周囲と識別可能である。したがって、使用者により前面部13が前面横脆弱線138および前面縦脆弱線139の全体に亘って注意深く破断され、前部開口131が適切に形成される。
【0035】
続いて、
図1.Cの後面部14も、前面部13と同様にして破断される。すなわち、使用者が補助タブ143を引っ張ることにより、破断開始位置(補助タブ143)から第1側面部15に向かう後面横脆弱線148、および、破断開始位置から下面部12に向かう後面縦脆弱線149に沿って後面部14が破断され、後部開口141が形成される。その後、第1側面部15が側面横脆弱線158に沿って破断されることにより、側部開口形成部152が周囲の部位から切り離され、側部開口151が形成される。周囲の部位から切り離された前部開口形成部132、側部開口形成部152および後部開口形成部142は、
図1.Bに示すように下方に引き下ろされる。開口18から露出した吸収性物品9は1つずつ、使用者により(+X)方向に取り出される。
【0036】
好ましい吸収性物品包装体1では、
図6に示すように、吸収性物品包装体1の開封方法を示す表示部251が第1側面部15上に印刷されており、表示部251を参照することにより、使用者が開口18を適切に形成することが可能となる。なお、
図6の表示部251に代えて、
図7に示すように、前面部13、後面部14および第1側面部15に、1ないし3の番号を付した矢印234,244,254を印刷することにより、吸収性物品包装体1の開封方法(開封順序)が使用者に示されてもよい。なお、
図7では、展開した状態における吸収性物品包装体1の一部を示している(後述の
図8および
図12において同様)。また、
図8に示すように、前面部13および第1側面部15上に前面部13から第1側面部15に向かう矢印235を印刷し、後面部14および第1側面部15上に後面部14から第1側面部15に向かう矢印245を印刷し、第1側面部15上に下面部12に向かう矢印255を印刷することにより、吸収性物品包装体1の開封方法が実質的に使用者に示されてもよい。
【0037】
なお、吸収性物品包装体1では、前部開口形成部132、側部開口形成部152および後部開口形成部142の下端側にも脆弱線が設けられ、前部開口131、側部開口151および後部開口141(すなわち、開口18)の形成後、あるいは、開口18の形成と並行して、前部開口形成部132、側部開口形成部152および後部開口形成部142が、当該下端側の脆弱線に沿って吸収性物品包装体1から切り取られて除去されてもよい。
【0038】
ここで、前面横脆弱線の線状切断部の長さおよびピッチが前面縦脆弱線の線状切断部と同じである比較例の吸収性物品包装体を想定する。補助タブを引っ張ることにより吸収性物品包装体を開封する際には、使用者が下向きに大きい力を無意識に付与してしまうことが多いため、比較例の吸収性物品包装体では、前面横脆弱線の全体において前面部が破断されず、前面横脆弱線の途中から下面部に向かって縦方向に前面部が破れてしまい、開口が適切に形成されないことがある。
【0039】
これに対し、
図1.Aの吸収性物品包装体1の前面部13では、前面横脆弱線138に沿った破断に要する力が、前面縦脆弱線139に沿った破断に要する力よりも小さいため、前面横脆弱線138に沿って前面部13を破断しやすくなる。その結果、前面横脆弱線138および前面縦脆弱線139の双方に沿って前面部13を破断することを容易に行うことができ、前部開口131を適切に形成することができる。また、補助タブ133が第2側面部16側に突出した形状であるため、使用者に前面横脆弱線138に沿った破断を促して、前面横脆弱線138に沿った破断をより確実に行わせることができる。さらに、前面部13において、前面横脆弱線138および前面縦脆弱線139により囲まれる領域が周囲と視覚的に識別可能であることにより、切り離すべき領域を使用者が容易に認識することができ、前部開口131を容易に形成することができる。
【0040】
後面部14においても、前面部13と同様に、後面横脆弱線148に沿った破断に要する力が、後面縦脆弱線149に沿った破断に要する力よりも小さいため、後部開口141を適切に形成することができる。また、第1側面部15が、前面横脆弱線138と後面横脆弱線148とを接続する側面横脆弱線158を有することにより、前部開口131と後部開口141とを接続する側部開口151を第1側面部15に形成して、吸収性物品9のより容易な取り出しを実現することができる。
【0041】
吸収性物品包装体1では、吸収性物品9が着用者側を内側にして2つ折りにされた状態で収容されているため、吸収性物品9を包装する際や保管している間、あるいは、吸収性物品9を吸収性物品包装体1から取り出す際に、着用者に接する側が汚損することを防止することができるとともに3つ折りにされた状態で収容されている場合等に比べて取り出した吸収性物品9を片手で容易に展開することができる。また、吸収性物品9が折り目を上側に向けて収容されているため、吸収性物品9の取り出し時に吸収性物品9の上端側を容易に掴むことができ、吸収性物品包装体1からの取り出しをさらに容易化することができる。
【0042】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。
【0043】
図4の前面部13では、前面横脆弱線138における線状切断部1381が、前面縦脆弱線139の線状切断部1391よりも長くてもよい。吸収性物品包装体1では、前面横脆弱線138における線状切断部1381を、前面縦脆弱線139の線状切断部1391の長さ以上とし、前面横脆弱線138における線状切断部1381間の非切断部1382の長さを、前面縦脆弱線139における非切断部1392の長さの半分よりも小さくすることにより、前面横脆弱線138に沿った破断に要する力を、前面縦脆弱線139に沿った破断に要する力よりも小さくすることがより確実に可能となる。なお、前面部13における上記変更は、後面部14についても同様に適用可能である(以下同様)。
【0044】
また、前面横脆弱線138に沿った破断に要する力を、前面縦脆弱線139に沿った破断に要する力よりも小さくすることが可能であるならば、例えば、
図9に示すようにジグザグ状に配置された線状切断部1381,1391や、断続的に配列された丸穴等により構成されるミシン目を有する前面横脆弱線138および前面縦脆弱線139が形成されてもよい。このように、吸収性物品9の積層方向に略平行に伸びる前面横脆弱線138、および、積層方向に略垂直に伸びる前面縦脆弱線139は、様々な態様にて形成可能である(後面横脆弱線148および後面縦脆弱線149において同様)。
【0045】
前面部13では、
図10のように(−X)側かつ(+Z)側に突出する形状にて前面補助脆弱線137が形成されてもよい。この場合も、第2側面部16側((−X)側)に突出した形状である補助タブ133により、使用者に前面横脆弱線138に沿った破断を促して、前面横脆弱線138に沿った破断をより確実に行わせることができる。なお、吸収性物品包装体1の設計によっては、前部開口形成部132から(−Y)側に突出する補助タブが、前部開口形成部132の表面に接合されてもよい。
【0046】
図1.Aの吸収性物品包装体1では補助タブ133を引っ張ることにより、吸収性物品包装体1を容易に開封することが可能であるが、吸収性物品包装体1では、補助タブとして明確に認識される部位が必ずしも設けられる必要はなく、例えば、
図11に示すように、前面横脆弱線138および前面縦脆弱線139が直接的に接続されてもよい。この場合、前面横脆弱線138と前面縦脆弱線139とが交わる位置が破断開始位置と捉えられ、前部開口形成部132における当該位置近傍が使用者により周囲の部位から切り離された後、摘まれ、第1側面部15側かつ下面部12側((+X)側かつ(−Z)側)へと引っ張られる。
【0047】
通常、吸収性物品9が収容される前の折り畳まれた状態の吸収性物品包装体1を、刃が形成された金型にて挟むことにより、脆弱線137〜139,147〜149,158の切れ目(線状切断部)が形成されるため、脆弱線137〜139,147〜149,158の形成の簡素化という観点からは、前部開口形成部132および後部開口形成部142の形状は等しくされることが好ましい。
【0048】
図5に示す前面部13では、複数の矢印232,233が印刷されることにより、前面横脆弱線138および前面縦脆弱線139に沿った破断が使用者に促されるが、例えば、
図12に示すように、前面部13において、第1側面部15に向かう方向を示す1つの矢印232、および、下面部12に向かう方向を示す1つの矢印233のみが印刷され、後面部14において、第1側面部15に向かう方向を示す1つの矢印242、および、下面部12に向かう方向を示す1つの矢印243のみが印刷されてもよい。なお、
図12では、補助タブ133,143の近傍における破断案内線231の一部が、他の部分よりも太くなっており、補助タブ133,143の位置が強調されている。また、補助タブ133,143を引っ張る方向を示す表示は、矢印以外に、
図13に示すように番号を付すことにより行われてもよく(「a,b,c」等の文字でもよい。)、
図14に示すように破断案内線231の太さを順次変更することにより行われてもよい。
【0049】
また、前面部13では、
図15に示すように、(+X)側かつ(−Z)側を向く1つの矢印232aのみが前面部13に印刷されてもよい。さらに、
図16に示すように、前部開口形成部132内において補助タブ133近傍から(+X)側かつ(−Z)側に向かうに従って間隔が漸次増大する平行斜線や、
図17に示すように、前部開口形成部132内において補助タブ133近傍から放射状に広がる多数の直線を印刷することにより、補助タブ133を引っ張る方向を指示する表示が実質的に行われてもよい。
【0050】
図18に示すように、前面部13および第1側面部15の一部のみに脆弱線137〜139,158が形成され、後面部14における脆弱線147〜149は省略されてもよい。この場合、前面部13および第1側面部15に前部開口および側部開口(ただし、側部開口はY方向の全体には形成されない。)が形成され、後面部14には開口は形成されない。また、
図19に示すように、前面部13のみに脆弱線137〜139が形成され、後面部14および第1側面部15における脆弱線147〜149,158は省略されてもよい。この場合、前面部13に前部開口が形成され、後面部14および第1側面部15には開口は形成されない。
図1.Bの開口18と同様に、
図18の例における前部開口および側部開口、並びに、
図19の例における前部開口は、吸収性物品9の取り出しに利用される。
【0051】
吸収性物品包装体1は、尿取りパッド等の補助吸収具以外にも、いわゆるパンツタイプの使い捨ておむつや、着用者の腹側に当接する部位と背側に当接する部位とを腰回りで止着して着用するいわゆるオープンタイプの使い捨ておむつ、おむつカバーと併用されるいわゆるフラットタイプの使い捨ておむつ、生理用品等の他の吸収性物品の包装に利用されてよい。
【0052】
上記実施の形態および各変形例における構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わされてよい。