特許第5871637号(P5871637)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5871637
(24)【登録日】2016年1月22日
(45)【発行日】2016年3月1日
(54)【発明の名称】改質装置
(51)【国際特許分類】
   C01B 3/38 20060101AFI20160216BHJP
【FI】
   C01B3/38
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-14483(P2012-14483)
(22)【出願日】2012年1月26日
(65)【公開番号】特開2013-155051(P2013-155051A)
(43)【公開日】2013年8月15日
【審査請求日】2014年12月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】アイシン精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092727
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 忠昭
(72)【発明者】
【氏名】安原 健一郎
(72)【発明者】
【氏名】高橋 成門
(72)【発明者】
【氏名】桑葉 孝一
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 聡
【審査官】 森坂 英昭
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−059051(JP,A)
【文献】 特開2010−238444(JP,A)
【文献】 特開2008−287959(JP,A)
【文献】 特開2008−243594(JP,A)
【文献】 特開2008−007349(JP,A)
【文献】 特開2004−319420(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 3/00 − 3/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を気化する気化室及び被改質ガスの改質反応を行う反応室を規定する改質ハウジングを備え、前記気化室に改質水を供給するための水供給管が接続され、前記反応室に被改質ガスを水蒸気改質するための改質触媒が充填された改質装置であって、
前記気化室と前記反応室との間には仕切り部材が設けられ、前記仕切り部材は、下端部の第1領域と、前記第1領域以外の第2領域とに分けられ、前記第2領域には多数の孔が設けられ、また前記第1領域は、前記水供給管から前記気化室に供給された改質水が前記反応室に流れるのを防止するための流れ防止部材として機能することを特徴とする改質装置。
【請求項2】
前記仕切り部材の前記第1領域の高さ(H)は、前記気化室の全高(h)の1/10〜1/3である(h/10≦H≦h/3)ことを特徴とする請求項1に記載の改質装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被改質ガスを水蒸気を用いて改質する改質装置に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池としての固体酸化物形燃料電池は、他の燃料電池システムやガスエンジンなどに比して、発電効率が高く、有望な発電技術として注目されている。この固体酸化物形燃料電池は、多数の燃料電池セルから構成されるセルスタックを備え、各燃料電池セルは、酸素イオンを伝導する固体電解質を有し、この固体電解質の片側に燃料極が設けられ、その他側に酸素極が設けられている。このような固体酸化物形燃料電池では、燃料ガスとして例えば炭化水素(例えば、天然ガス)が用いられ、炭化水素を用いた場合、燃料ガスを改質する改質装置が用いられる(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
改質装置は、気化室及び反応室を規定する改質ハウジングを備えている。この改質ハウジングは、例えば細長い箱状のハウジングから構成され、このハウジング内に多数の孔が設けられたプレート状部材が配設され、このプレート状部材の片側に気化室が規定され、その他側に反応室が規定され、この反応室に改質触媒が充填される。燃料ガス(被改質ガス)及び改質水は気化室に供給され、この気化室にて改質水が気化されて水蒸気となり、水蒸気及び燃料ガスが反応室に送給される。反応室には改質触媒が充填されており、この改質触媒の作用によって燃料ガスの水蒸気改質が促進され、改質された改質燃料ガスがセルスタックの各燃料電池セルの燃料電極側に送給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−273252号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような改質装置には、次の通りの問題が存在する。改質ハウジングの一端側に水供給管が接続され、この水供給管からの改質水が改質ハウジング内の一端部に供給され、この一端部から反応室側に向けて流れ、かく流れる間に改質水が水蒸気となるが、燃料電池の起動時、発電出力が低い時などにおいては、改質ハウジングが高温となっておらず、水供給管からの改質水は、気化室を流れる間に充分な水蒸気とならず、改質水の状態で反応室まで流れるおそれがある。改質ハウジングは、起動後に温度が上昇し、セルスタックの発電状態においては、反応室まで流れた改質水は、最終的に全て燃料電池セルスタックからの熱によって蒸発される。
【0006】
このような固体酸化物形燃料電池の起動〜昇温〜発電〜停止までの運転サイクル、又は低出力〜高出力の運転サイクルにおいて、反応室内の改質触媒上で改質水による濡れとその蒸発が繰り返されると、改質触媒が酸化して粉化するようになる。粉化した触媒は、反応室内において充填された改質触媒間の空間を閉塞し、これによって、この反応室の流路抵抗が増し、セルスタックに所望量の改質燃料ガスを送給することができなくなる恐れがある。また、粉化した触媒は、改質燃料ガスとともに下流側に流れ、改質燃料ガスの流路、セルスタック、反応燃料ガスの流路などにおける閉塞の原因となり、また排気ガス中の水分を凝縮させて回収する場合には、凝縮回収した回収水に不純物が混入する原因となる。
【0007】
本発明の目的は、気化室に供給された改質水が反応室まで流れるのを防止し、これによって改質触媒の酸化、粉化を抑えることができる改質装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の請求項1に記載の改質装置は、水を気化する気化室及び被改質ガスの改質反応を行う反応室を規定する改質ハウジングを備え、前記気化室に改質水を供給するための水供給管が接続され、前記反応室に被改質ガスを水蒸気改質するための改質触媒が充填された改質装置であって、
前記気化室と前記反応室との間には仕切り部材が設けられ、前記仕切り部材は、下端部の第1領域と、前記第1領域以外の第2領域とに分けられ、前記第2領域には多数の孔が設けられ、また前記第1領域は、前記水供給管から前記気化室に供給された改質水が前記反応室に流れるのを防止するための流れ防止部材として機能することを特徴とする。
【0009】
また、本発明の請求項2に記載の改質装置では、前記仕切り部材の前記第1領域の高さ(H)は、前記気化室の全高(h)の1/10〜1/3である(h/10≦H≦h/3)ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の請求項1に記載の改質装置によれば、気化室と反応室とを仕切る仕切り部材は、下端部の第1領域と、第1領域以外の第2領域とに分けられ、第2領域には多数の孔が設けられ、また第1領域は、改質水が反応室に流れるのを防止するための流れ防止部材として機能するので、気化室に供給された改質水は、この仕切り部材の第1領域によって反応室に流れることがなく、これによって、反応室の改質触媒の浸水、酸化、粉化を抑えることができる。
【0013】
また、本発明の請求項2に記載の改質装置によれば、仕切り部材の第1領域の高さ(H)が気化室の全高(h)の1/10〜1/3である(h/10≦H≦h/3)ので、気化した水蒸気の反応室への流れを確保しながら改質水の反応室への流入を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1改質装置の第1の参考形態を装備した固体酸化物形燃料電池システムを簡略的に示す図。
図2図1の改質装置の気化室及びその近傍を示す断面図。
図3本発明に従う改質装置の一実施形態を示す断面図。
図4図3の改質装置における仕切り部材を示す斜視図。
図5】改質装置の第2の参考形態を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照して、更に説明する。まず、図1を参照して、第1の参考形態の改質装置を装備した固体酸化物形燃料電池システムについて説明する。図1において、図示の固体酸化物形燃料電池システム2は、燃料としての原燃料ガス(例えば、天然ガス)を改質するための改質装置4と、改質装置4にて改質された改質燃料ガス及び酸化材としての空気により酸化及び還元を行うことによって発電を行うセルスタック6と、酸化材としての空気をセルスタック6に送給するための送風装置8とを備えている。セルスタック6は、電気化学反応によって発電を行うための複数の燃料電池セルを配列して構成され、セルスタック6及び改質装置4が電池ハウジング本体10内に配設され、電池ハウジング本体10内は断熱されて高温空間12を規定する。セルスタック6の各燃料電池セルは、酸素イオンを伝導する固体電解質14と、固体電解質14の一方側(図1において右側)に設けられた燃料極(図示せず)と、固体電解質14の他方側(図1において左側)に設けられた酸素極(図示せず)とを備えており、固体電解質14として例えばイットリアをドープしたジルコニアが用いられる。尚、改質装置4の詳細については、後述する。
【0018】
セルスタック6の燃料極側18は、改質燃料ガス流路20を介して改質装置4に接続され、この改質装置4は、原燃料ガス流路22を介して例えば埋設管、貯蔵タンクなどの原燃料ガス供給源(図示せず)に接続され、この原燃料ガス流路22に昇圧ポンプ24が配設されている。また、セルスタック6の酸素極側26は、空気送給流路28を介して空気を予熱するための空気予熱器30に接続され、この空気予熱器30は、空気供給流路32を介して送風装置8に接続されている。
【0019】
セルスタック6(複数の燃料電池セル)の燃料極側18及び酸素極側26の各排出側には燃焼室34が設けられ、燃料極側18から排出された反応燃料ガス(燃料ガスを含む)と酸素極側26から排出された空気(酸素を含む)とが燃焼室34に送給されて燃焼され、この燃焼熱を利用して改質装置4が加熱される。この燃焼室34は燃焼排気ガス流路36を介して空気予熱器30に接続され、この空気予熱器30には排気ガス排出流路38が接続されている。
【0020】
この固体酸化物形燃料電池システム2は、更に、燃焼室34からの燃焼排気ガスに含まれる水蒸気を凝縮して回収するための凝縮回収手段40と、凝縮回収された凝縮水を改質装置4に送給するための水送給手段42とを備えている。凝縮回収手段40は、燃焼排気ガスに含まれる水蒸気を凝縮する熱交換器44と、凝縮水を回収して貯めるための水回収タンク46とを備えている。熱交換器44は排気ガス排出流路38に配設され、この熱交換器44に水回収流路48を介して水回収タンク46が接続されている。
【0021】
また、熱交換器44には貯湯タンク50からの循環流路52が接続されている。循環流路52には循環ポンプ54が配設され、循環ポンプ54は、貯湯タンク50の底部からの水を熱交換器44を通して貯湯タンク50の頂部に循環する。熱交換器44においては、排気ガス排出流路38を通して流れる燃焼排気ガスと循環流路52を通して循環される水との間で熱交換され、この熱交換によって、セルスタック6からの燃焼排気ガスの熱が温水として回収される。
【0022】
また、水送給手段42は、水回収タンク46に貯められた凝縮水を改質装置4に送給するための水供給流路56と、水供給流路56に配設された水送給ポンプ58とを備え、水回収タンク46内の凝縮水が、水送給ポンプ58の作用によって水供給流路56を通して改質装置4に送給される。この水供給流路56には、必要に応じて、凝縮水に含まれた不純物を除去するための不純物除去手段(例えば、純水フィルタなどから構成される)(図示せず)が配設される。
【0023】
この固体酸化物形燃料電池システム2の稼動運転は、次のようにして行われる。原燃料ガス供給源(図示せず)からの原燃料ガスは、原燃料ガス流路22を通して改質装置4に供給される。改質装置4においては、この原燃料ガスの一部と水供給流路56を通して送給される水(凝縮水)とが改質反応して改質され、このように改質された改質燃料ガスが改質燃料ガス流路20を通してセルスタック6(即ち、複数の燃料電池セル)の燃料極側18に送給される。また、送風装置8からの空気は、空気供給流路32を通して空気予熱器30に供給され、この空気予熱器30において燃焼排気ガスとの間で熱交換されて加温された後に、空気送給流路28を通してセルスタック6の酸素極側26に送給される。
【0024】
セルスタック6では、燃料極側18にて改質された改質燃料ガスが酸化され、またその酸素極側26にて空気中の酸素が還元され、燃料極側18の酸化及び酸素極側26の還元による電気化学反応により発電が行われる。
【0025】
セルスタック6の燃料極側18からの反応燃料ガス及び酸素極側26からの空気は燃焼室34に送給され、空気中の酸素を利用して余剰の燃料ガスが燃焼され、この燃焼熱を利用して改質装置4が改質温度に維持される。燃焼室34からの燃焼排気ガスは、燃焼排気ガス流路36を通して空気予熱器30に送給され、この空気予熱器30において送風装置8からの空気との熱交換に利用されて排気ガス排出流路38を通して熱交換器44に送給される。熱交換器44においては、貯湯タンク50から循環流路52を通して送給される水と排気ガス排出流路38を流れる燃焼排気ガスとの間で熱交換が行われ、熱交換により加温された水(温水)は、循環流路52を通して貯湯タンク50に貯められる。また、熱交換により燃焼排気ガスの温度が露点まで低下されることによって、燃焼排気ガスに含まれる水蒸気が凝縮回収されて水回収流路48を通して水回収タンク46に貯められ、凝縮回収後の燃焼排気ガスは排気ガス排出流路38を通して大気に排出される。水回収タンク46に貯められた凝縮水は、水送給ポンプ58の作用によって水供給流路56を通して改質装置4に送給され、このように凝縮水が改質水として用いられる。尚、この参考形態では、燃焼排気ガス中の水分を凝縮させて改質水として利用しているが、このような構成に代えて、改質水用の専用の水タンクを用い、水タンクから改質用水を改質装置4に供給するようにしてもよい。
【0026】
次に、図2を参照して、改質装置4について説明する。図示の改質装置4は、細長い箱状の改質ハウジング62を備え、この改質ハウジング62は、例えば断面矩形状に形成される。改質ハウジング62内の長手方向(図2において左右方向)中間部には、多数の孔64が設けられた仕切り部材66が配設され、仕切り部材66の片側(図2において左側)に、改質ハウジング62の片側部(図2において左部)及び仕切り部材66によって気化室68が規定され、その他側(図2において右側)に、改質ハウジング62の他側部(図において右部)及び仕切り部材66によって反応室70が規定されている。
【0027】
この参考形態では、改質ハウジング62の一端壁72(図2において左端壁)に、原燃料ガス流路22を構成する燃料ガス供給管74が接続され、改質装置4で改質される原燃料ガス(即ち、被改質ガス)は、この燃料ガス供給管74を通して改質装置4の気化室68に供給される。
【0028】
改質ハウジング62の一端壁72には、更に、水供給流路56を構成する水供給管76が接続され、改質用に用いられる水(即ち、改質水)が、この水供給管76を通して気化室68に供給される。
【0029】
改質ハウジング62の気化室68には、気化室68に供給された水(改質水)が反応室70に流れないように流れ防止部材78が設けられている。この流れ防止部材78はプレート状部材80から構成され、改質ハウジング62の幅方向(図2において紙面に垂直な方向)全幅にわたって設けられ、改質ハウジング62の底壁82に固定される。このプレート状部材80は、後の記載から理解されるように、気化室68側における反応室70に隣接する部位に設けるのが好ましく、このように設けることによって、気化室68の底部に溜めることのできる容量を大きくすることができる。このプレート状部材80の高さHは、例えば、気化室68の全高hの1/10〜1/3(h/10≦H≦h/3)程度に設定される。
【0030】
改質ハウジング62内の反応室70は、原燃料ガス(被改質ガス)の流れ方向に見て気化室68の下流側にあり、この反応室70には、水蒸気改質するための改質触媒84が充填されている。
【0031】
この改質装置4による水蒸気改質は、次のように行われる。水供給管76(水供給流路56)を通して改質装置4の気化室68に供給された水(改質水)は、底壁82の表面に滴下乃至流下し、その表面を反応室70に向けて流れる間に気化して水蒸気となり、このようにして生成された水蒸気が仕切り部材66の多数の孔64を通して反応室70に送給される。このとき、供給された水の気化が不充分であると、供給された水が反応室70に向けて流れるが、かく流れた水は、プレート状部材80によってその流れが阻止されて気化室68の底部に溜まり、これによって、水供給管76からの水(改質水)が反応室70に流れるのを確実に防止することができる。
【0032】
また、燃料ガス供給管74(燃料ガス供給流路22)を通して改質装置4に供給された原燃料ガス(被処理ガス)は、気化室68を流れる間に加熱され、加熱された原燃料ガスが仕切り部材66の多数の孔64を通して反応室70に送給される。
【0033】
反応室70においては、改質触媒84の作用によって水蒸気を用いた原燃料ガスの水蒸気改質が行われ、水蒸気改質された改質燃料ガスが改質装置4からセルスタック6の燃料電極側18に送給される。
【0034】
上述した改質装置4を備えた固体酸化物形燃料電池システム2では、改質装置4の気化室68に、流れ防止部材78としてのプレート状部材80が設けられているので、このプレート状部材80により改質水が反応室70に流れるのを防止することができ、これによって、反応室70の改質触媒84の酸化、粉化を抑えることができ、その結果、粉化した触媒による改質触媒間の空間の閉塞、また改質燃料ガスの流路、セルスタック及び燃焼排気ガスの流路などの閉塞を防止することができる。
【0035】
この参考形態では、燃料ガス供給管74を気化室68に接続し、この気化室68にて加熱した原燃料ガス(被改質ガス)を反応室70に送給しているが、このような構成に代えて、燃料ガス供給管74を反応室70に接続し、原燃料ガスを反応室70に直接的に送給するようにしてもよい。
【0036】
次いで、図3及び図4を参照して、本発明に従う改質装置の一実施形態について説明する。尚、この実施形態において、上述した参考形態と実質上同一の部材には同一の参照番号を付し、その説明を省略する。
【0037】
図3及び図4において、この実施形態の改質装置4Aでは、気化室68と反応室70とを仕切る仕切り部材66Aに流れ防止部材の機能を持たせている。即ち、この仕切り部材66Aは、下端部の第1の領域92と、第1の領域92を除くその他の領域、即ち第2の領域94との二つの領域に分けられ、図4に示すように、第2の領域94においては、原燃料ガス及び水蒸気が通過する多数の孔64が設けられているが、第1の領域92においては、このような孔64は全く設けられていなく、この第1の領域92の部位が流れ防止部材として機能する。このような仕切り部材66Aは、第2の領域94に多数の孔64を設けたメタルプレート(例えば、パンチングメタルと称されているもの)を用いることができる。仕切り部材66Aの第1の領域92の高さHは、上述した同様に、気化室68の全高h(この形態では、この全高hは、仕切り部材66Aの高さと等しい)の1/10〜1/3(h/10≦H≦h/3)程度に設定される。
【0038】
この仕切り部材66Aを備えた改質装置4Aにおいては、気化室68からの原燃料ガス(被処理ガス)及び気化した水蒸気は、仕切り部材66Aの第2の領域94における多数の孔64を通して反応室70に送給されるが、気化室68の底壁82の表面を流れる水(改質水)は、仕切り部材66Aの下端部(即ち、第1の領域92の部位)によって反応室70への流れが防止される。従って、このような構成の改質装置4Aにおいても、上述したと同様に、反応室70への水の流れを防止して改質触媒84の酸化、粉化を抑えることができる。
【0039】
次に、図5を参照して、改質装置の第2の参考形態について説明する。図5において、この参考形態では、改質ハウジング62Bの底壁82Bにおける気化室部位96に改質水溜め部98が設けられている。この改質水溜め部98は、この底壁82Bの気化室部位96に例えばプレス加工を施して突出部100を設けてその内側に形成された凹部から構成することができる。この改質水溜め部98は、気化室68と反応室70とを仕切る仕切り部材66に隣接して設け、この隣接部位から反応室70と反対側に延びるように設けるのが好ましく、このように構成することによって、改質ハウジング62Bの底壁82Bの気化室部位96のほぼ全域を改質水溜め部98とすることができ、改質水を溜めるための容積を大きくすることができる。
【0040】
この改質装置4Bにおいては、改質ハウジング62Bにおける底壁82Bの気化室部位96に改質水溜め部98が設けられているので、水供給管76(水供給流路56)から気化室68に供給された水(改質水)は、改質水溜め部98内を反応室70に向けて流れ、かく流れる水が改質水溜め部98から溢れて更に下流側に流れることがない。従って、このような構成の改質装置4Bにおいても、上述したと同様に、反応室70への水の流れを防止して改質触媒84の酸化、粉化を抑えることができる。
【0041】
以上、本発明に従う改質装置の実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変更乃至修正が可能である。
【符号の説明】
【0042】
2 固体酸化物形燃料電池システム
4,4A,4B 改質装置
6 セルスタック
22 原燃料ガス供給流路
56 水供給流路
62,62B 改質ハウジング
66,66A 仕切り部材
68 気化室
70 反応室
74 燃料ガス供給管
76 水供給管
78 流れ防止部材
80 プレート状部材
84 改質触媒
98 改質水溜め部











図1
図2
図3
図4
図5