(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施の一形態について図面を参照して説明する。
【0013】
図1に示すように、本実施形態に係るインバータ装置1は、主回路2と、その主回路2を制御する制御部3と、各種情報を記憶する記憶部4と、数値や文字などを表示する表示部5と、使用者により入力操作される操作部6とを備えている。
【0014】
主回路2は、三相交流電源A1から供給される交流電圧を整流して電源線11、12間に出力するコンバータ部13と、電源線11、12間に接続された平滑用のコンデンサ14と、電源線11、12間の直流電圧を交流電圧に変換してモータA2に供給するインバータ部15と、そのインバータ部15の入力側の直流電圧を検出する電圧検出回路16と、インバータ部15からモータA2に出力される出力電流を検出する複数の電流検出回路17とを備えている。
【0015】
コンバータ部13は、ダイオード13aを三相ブリッジ接続することにより構成されている。このコンバータ部13は整流部として機能する。また、インバータ部15は、例えばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)などのスイッチング素子15aを三相ブリッジ接続すると共に、各スイッチング素子15aに対して還流ダイオード15bを並列接続することによって構成されている。
【0016】
電圧検出回路16は、電源線11、12間の直流電圧を検出するように設けられており、制御部3に電気的に接続されている。また、各電流検出回路17は三相の相ごとに出力電流を検出するようにそれぞれ設けられており、制御部3に電気的に接続されている。
【0017】
なお、前述の電圧検出回路16は、インバータ装置1の出力電圧を検出可能に、すなわち電源線11、12間の直流電圧を検出するように設けられているが、これに限るものではなく、例えば、インバータ部15の出力側の交流電圧を検出するように設けられても良い。
【0018】
また、前述の電流検出回路17は、インバータ装置1の出力電流を検出可能に、すなわち三相の相ごとに出力電流を検出するように設けられているが、これに限るものではなく、例えば、三相のうち、二相や一相のみの出力電流を検出しても良いし、また、各IGBTに直列に電流検出用抵抗を接続して検出しても良い。
【0019】
制御部3は、スイッチング素子15a用のゲート信号(ゲート駆動信号)を生成し、その生成したゲート信号をインバータ部15に供給してインバータ部15を制御する。この制御部3は、V/f(電圧/周波数)一定制御に代表されるモータ制御に関する各種の演算を高速に実行可能なCPU(Central Processing Unit)や時間計測可能なタイマなどを備えている。
【0020】
特に、制御部3は、モータ制御においてモータA2の回転速度(運転周波数)を調整する速度調整部3aと、電圧検出回路16により検出された直流電圧及び電流検出回路17により検出された出力電流とを用いて出力電力を計算する電力計算部3bと、その電力計算部3bにより計算された出力電力の変化に応じてモータA2の異常を検出する異常検出部3cとを備えている。
【0021】
これらの速度調整部3aや電力計算部3b、異常検出部3cは、電気回路などのハードウエアで構成されても良く、あるいは、これらの機能を実行するプログラムなどのソフトウエアで構成されても良い。また、ハードウエア及びソフトウエアの両方の組合せにより構成されても良い。
【0022】
記憶部4は、各種プログラムや各種データ(例えば、各種設定データや過去のトリップ履歴、累積運転時間)などの各種情報を記憶する。この記憶部4としては、例えば、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリなどを用いることが可能である。
【0023】
表示部5は、運転周波数や出力電流、出力電圧、トリップコードなどの各種情報を表示する。この表示部5としては、例えば、LED(Light Emitting Diode)パネルやLCD(Liquid Crystal Display)パネルなどを用いることが可能である。
【0024】
操作部6は、使用者からの入力操作を受け付ける入力部であり、例えば、最高周波数や加速時間、減速時間などの各種設定、さらに速度パターンの選択など、様々な入力操作を受け付ける。この操作部6としては、例えば、ボタン(キー)などの入力デバイスを用いることが可能である。
【0025】
このようなインバータ装置1では、三相交流電圧がコンバータ部13によって直流電圧に変換され、コンデンサ14によって平滑化される。平滑化された直流電圧はインバータ部15によって任意の三相交流電圧に変換されてモータA2に出力され、モータA2が駆動される。
【0026】
このとき、インバータ部15の入力側の直流電圧は電圧検出回路16によって検出され、また、インバータ部15の出力側の各相の出力電流は各電流検出回路17によってそれぞれ検出され、制御部3に入力される。制御部3は、入力された各値から出力電力を計算し、計算した出力電力の変化からモータ異常の検出を行う。
【0027】
次に、前述のモータ異常の検出を行うモータ異常検出処理について詳しく説明する。まず、単位時間当りの出力電力の変化からモータ異常を検出するモータ異常検出処理について
図2及び
図3を参照して説明する。
【0028】
図2に示すように、電力計算部3bは、入力された直流電圧及び出力電流から単位時間Δt当りの出力電力P
nを計算し(ステップS1)、その後、異常検出部3cは、現在の運転が初回運転であるか否かを判断する(ステップS2)。
【0029】
ここで、出力電力P
nに関して、
図3に示すように、nは単位時間Δtごとに一つ増加する運転回数(n=1、2、3、・・・)である。したがって、出力電力P
nは、nの増加に伴ってP
1、P
2、P
3、・・・というように順次算出されることになる。
【0030】
なお、
図3では、周波数(運転周波数)はF1で一定であり、時間経過の途中でF2に切り替わり(F
1<F
2)、そのまま一定になっている。この周波数とモータA2の回転速度は比例関係にある。このような周波数は、操作部6に対する使用者の入力操作により記憶部4に予め設定されている。速度調整部3aは、設定された周波数に基づいてインバータ部15を制御し、モータA2の回転速度を一定に調整する。
【0031】
図2に戻り、ステップS2において、現在の運転が初回運転である(n=1)と判断すると(ステップS2のYES)、出力電力P
1を基準値(出力電力基準値)P
0として記憶部4に記憶し(ステップS3)、その後、n=n+1を計算し(ステップS4)、ステップS1から処理を繰り返す。
【0032】
一方、ステップS2において、現在の運転が初回運転でない(n≠1)、すなわち二回目以降であると判断すると(ステップS2のNO)、現在の運転におけるモータA2の回転速度変更(運転周波数変更)の有無を判断する(ステップS5)。
【0033】
ステップS5において、モータA2の回転速度変更がないと判断すると(ステップS5のNO)、出力電力変動率α
nが0.9≦α
n≦1.1の許容範囲内にあるか否かを判断する(ステップS6)。出力電力変動率α
nは、α
n=P
n/P
0(n=2、3、・・・)で求められる。
【0034】
なお、前述の許容範囲の下限値である0.9と上限値である1.1は、許容出力電力変動率±10%とした場合(例示)であり、使用者は操作部6を入力操作することで条件に応じて許容範囲を任意に設定することが可能である。
【0035】
ステップS6において、出力電力変動率α
nが0.9≦α
n≦1.1の許容範囲内にないと判断すると(ステップS6のNO)、モータA2の異常発生を検出し、表示部5に警告(アラーム)を表示する(ステップS7)。
【0036】
なお、警告としては、例えば、トリップコードと呼ばれる英数字(どの英数字がモータ異常を示すかは予め決められている)を表示したり、あるいは、表示部5がLCDパネルである場合には、例えば「モータ異常」という文字などを表示したりすることが可能である。
【0037】
一方、ステップS6において、出力電力変動率α
nが0.9≦α
n≦1.1の許容範囲内にあると判断されると(ステップS6のYES)、n=n+1を計算し(ステップS4)、ステップS1から処理を繰り返す。
【0038】
また、ステップS5において、モータA2の回転速度変更、すなわち運転周波数変更があると判断すると(ステップS5のYES)、変更直後の出力電力P
nと変更直前の出力電力変動率α
n-1から変更後の基準値P
0をP
0=P
n/α
n-1として計算し、記憶部4に記憶する(ステップS8)。その後、n=n+1を計算し(ステップS4)、ステップS1から処理を繰り返す。
【0039】
このようなモータ異常検出処理では、入力された直流電圧及び出力電流から単位時間Δt当りの出力電力P
nが計算され、初運転時(n=1)には基準値P
0=P
1として記憶される(
図3参照)。二回目以降には、出力電力変動率α
nが0.9≦α
n≦1.1の許容範囲内にあるか否かが判定される。出力電力変動率α
nが前述の許容範囲内にない場合には、インバータの負荷であるモータA2の異常と判断され、モータ異常が検出される。これに応じ、表示部5は、警告として、例えば、トリップコードの英数字や「モータ異常」という文字を表示する。
【0040】
ここで、出力電力P
nはモータA2の安定動作のため、所定値に保たれている。例えば、インバータ装置1に対する入力電圧の変化により出力電流が変動した場合でも、出力電力P
nは変動せずに一定に維持される。このため、出力電力P
nの変動はモータA2の異常に応じたものとなる。この出力電力P
nの変動からモータA2の異常を検出することから、モータA2の異常を精度良く検出することが可能となる。さらに、モータA2の異常発生に応じてその旨を示す警告が使用者に報知されるので、使用者はモータ異常の発生を迅速に把握することができる。
【0041】
なお、運転周波数(モータA2の回転速度)が変更された場合には(
図3参照)、変更直後の出力電力P
nと変更直前の出力電力変動率α
n-1から変更後の基準値P
0がP
0=P
n/α
n-1として計算されて記憶部4に記憶され、新しい基準値として用いられる。これにより、運転周波数が変更された場合でも、それまでのモータA2の劣化度を加味して基準値P
0が再設定されるので、より精度が高いモータ異常の検出を実現することができる。
【0042】
次に、一つの速度パターン分の出力電力の変化からモータ異常を検出するモータ異常検出処理について
図4及び
図5を参照して説明する。
【0043】
図4に示すように、電力計算部3bは、入力された直流電圧及び出力電流から一つの速度パターン分の出力電力P
nを計算し(ステップS11)、その後、異常検出部3cは、現在の運転が初回運転であるか否かを判断する(ステップS12)。
【0044】
ここで、出力電力P
nに関して、
図5に示すように、nは単位時間Δt、すなわち一つの速度パターン(運転周波数パターン)ごとに増加する運転回数(n=1、2、3、・・・)である。したがって、出力電力P
nは、nの増加に伴ってP
1、P
2、P
3、・・・というように順次算出されることになる。
【0045】
なお、
図5では、単位時間Δtごとに同じ速度パターン(運転周波数パターン)が繰り返される。一つの速度パターンでは、周波数はF
1からF
3に切り替わり、F
3からF
2に切り替わり、周波数が段階的に切り替わる(F
1<F
2<F
3)。この周波数とモータA2の回転速度は比例関係にある。このような速度パターンは、操作部6に対する使用者の入力操作により記憶部4に予め設定されている。速度調整部3aは、単位時間Δtごとに同じ速度パターンに基づいてインバータ部15を制御し、モータA2の回転速度を調整する。
【0046】
図4に戻り、ステップS12において、現在の運転が初回運転である(n=1)と判断すると(ステップS12のYES)、出力電力P
1を基準値(出力電力基準値)P
0として記憶部4に記憶し(ステップS13)、その後、n=n+1を計算し(ステップS14)、ステップS11から処理を繰り返す。
【0047】
一方、ステップS12において、現在の運転が初回運転でない(n≠1)、すなわち二回目以降であると判断すると(ステップS12のNO)、現在の運転における速度パターン変更(運転周波数パターン変更)の有無を判断する(ステップS15)。
【0048】
ステップS15において、速度パターン変更がないと判断すると(ステップS15のNO)、出力電力変動率α
nが0.9≦α
n≦1.1の許容範囲内にあるか否かを判断する(ステップS16)。出力電力変動率α
nは、α
n=P
n/P
0(n=2、3、・・・)で求められる。
【0049】
なお、ここでも前述と同様に、前述の許容範囲の下限値である0.9と上限値である1.1は、許容出力電力変動率±10%とした場合(例示)であり、使用者は操作部6を入力操作することで条件に応じて許容範囲を任意に設定することが可能である。
【0050】
ステップS16において、出力電力変動率α
nが0.9≦α
n≦1.1の許容範囲内にないと判断すると(ステップS16のNO)、モータA2の異常発生を検出し、表示部5に警告(アラーム)を表示する(ステップS17)。
【0051】
なお、ここでも前述と同様に、警告としては、例えば、トリップコードと呼ばれる英数字(どの英数字がモータ異常を示すかは予め決められている)を表示したり、あるいは、表示部5がLCDパネルである場合には、例えば「モータ異常」という文字などを表示したりすることが可能である。
【0052】
一方、ステップS16において、出力電力変動率α
nが0.9≦α
n≦1.1の許容範囲内にあると判断されると(ステップS16のYES)、n=n+1を計算し(ステップS14)、ステップS11から処理を繰り返す。
【0053】
また、ステップS15において、速度パターン変更、すなわち運転周波数パターン変更があると判断すると(ステップS15のYES)、変更直後の出力電力P
nと変更直前の出力電力変動率α
n-1から変更後の基準値P
0をP
0=P
n/α
n-1として計算し、記憶部4に記憶する(ステップS18)。その後、n=n+1を計算し(ステップS14)、ステップS11から処理を繰り返す。
【0054】
このようなモータ異常検出処理では、入力された直流電圧及び出力電流から一つの速度パターン分の出力電力P
nが計算され、初運転時(n=1)には基準値P
0=P
1として記憶される(
図5参照)。二回目以降には、出力電力変動率α
nが0.9≦α
n≦1.1の許容範囲内にあるか否かが判定される。出力電力変動率α
nが前述の許容範囲内にない場合には、インバータの負荷であるモータA2の異常と判断され、モータ異常が検出される。これに応じ、表示部5は、警告として、例えば、トリップコードの英数字や「モータ異常」という文字を表示する。
【0055】
ここで、出力電力P
nはモータA2の安定動作のため、所定値に保たれている。例えば、インバータ装置1に対する入力電圧の変化により出力電流が変動した場合でも、出力電力P
nは変動せずに一定に維持される。このため、出力電力P
nの変動はモータA2の異常に応じたものとなる。この出力電力P
nの変動からモータA2の異常を検出することから、モータA2の異常を精度良く検出することが可能となる。さらに、モータA2の異常発生に応じてその旨を示す警告が使用者に報知されるので、使用者はモータ異常の発生を迅速に把握することができる。
【0056】
なお、速度パターン(運転周波数パターン)が変更された場合には(
図5参照)、変更直後の出力電力P
nと変更直前の出力電力変動率α
n-1から変更後の基準値P
0がP
0=P
n/α
n-1として計算されて記憶部4に記憶され、新しい基準値として用いられる。これにより、速度パターンが変更された場合でも、それまでのモータA2の劣化度を加味して基準値P
0が再設定されるので、より精度が高いモータ異常の検出を実現することができる。
【0057】
次に、一つの速度パターン内の回転速度ごとの出力電力の変化からモータ異常を検出するモータ異常検出処理について
図6及び
図7を参照して説明する。
【0058】
図6に示すように、電力計算部3bは、入力された直流電圧及び出力電流から一つの速度パターン内の回転速度ごとの出力電力P
nmを計算し(ステップS21)、その後、異常検出部3cは、現在の運転が初回運転であるか否かを判断する(ステップS22)。
【0059】
ここで、出力電力P
nmに関して、
図7に示すように、nは単位時間Δt、すなわち一つの速度パターン(運転周波数パターン)ごとに増加する運転回数(n=1、2、3、・・・)であり、mは一つの速度パターン内の一定速度の数である(m=1、2、3)。したがって、出力電力P
nmは、n及びmの増加に伴って、n=1でP
11、P
12、P
13、n=2でP
21、P
22、P
23、・・・というように順次算出されることになる。
【0060】
なお、
図7では、単位時間Δtごとに同じ速度パターン(運転周波数パターン)が繰り返される。一つの速度パターンでは、周波数はF
1からF
3に切り替わり、F
3からF
2に切り替わり、周波数が段階的に切り替わる(F
1<F
2<F
3)。このとき、周波数がF
1である時間はT
1、周波数がF
2である時間はT
2、周波数がF
3である時間はT
3である。この周波数とモータA2の回転速度は比例関係にある。このような速度パターンは、操作部6に対する使用者の入力操作により記憶部4に予め設定されている。速度調整部3aは、単位時間Δtごとに同じ速度パターンに基づいてインバータ部15を制御し、モータA2の回転速度を調整する。
【0061】
図6に戻り、ステップS22において、現在の運転が初回運転である(n=1)と判断すると(ステップS22のYES)、出力電力P
1mを基準値(出力電力基準値)P
0mとして記憶部4に記憶し(ステップS23)、その後、n=n+1を計算し(ステップS24)、ステップS21から処理を繰り返す。なお、mは自然数(正の整数)であり、
図7ではm=1、2、3である。
【0062】
一方、ステップS22において、現在の運転が初回運転でない(n≠1)、すなわち二回目以降であると判断すると(ステップS22のNO)、現在の運転における速度パターン変更(運転周波数パターン変更)の有無を判断する(ステップS25)。
【0063】
ステップS25において、速度パターン変更がないと判断すると(ステップS25のNO)、出力電力変動率α
nmが0.9≦α
nm≦1.1の許容範囲内にあるか否かを判断する(ステップS26)。出力電力変動率α
nmは、α
nm=P
nm/P
0m(n=2、3、・・・)で求められる。
【0064】
なお、ここでも前述と同様に、前述の許容範囲の下限値である0.9と上限値である1.1は、許容出力電力変動率±10%とした場合(例示)であり、使用者は操作部6を入力操作することで条件に応じて許容範囲を任意に設定することが可能である。
【0065】
ステップS26において、出力電力変動率α
nmが0.9≦α
nm≦1.1の許容範囲内にないと判断すると(ステップS26のNO)、モータA2の異常発生を検出し、表示部5に警告(アラーム)を表示する(ステップS27)。
【0066】
なお、ここでも前述と同様に、警告としては、例えば、トリップコードと呼ばれる英数字(どの英数字がモータ異常を示すかは予め決められている)を表示したり、あるいは、表示部5がLCDパネルである場合には、例えば「モータ異常」という文字などを表示したりすることが可能である。
【0067】
一方、ステップS26において、出力電力変動率α
nmが0.9≦α
nm≦1.1の許容範囲内にあると判断されると(ステップS26のYES)、n=n+1を計算し(ステップS24)、ステップS21から処理を繰り返す。
【0068】
また、ステップS25において、速度パターン変更、すなわち運転周波数パターン変更があると判断すると(ステップS25のYES)、変更直後の出力電力P
nmと変更直前の出力電力変動率α
(n-1)mから変更後の基準値P
0mをP
0m=P
nm/α
(n-1)mとして計算し、記憶部4に記憶する(ステップS28)。その後、n=n+1を計算し(ステップS24)、ステップS21から処理を繰り返す。
【0069】
このようなモータ異常検出処理では、入力された直流電圧及び出力電流から一つの速度パターン内の回転速度(運転周波数パターン内の周波数)ごとの出力電力P
nmが計算され、初運転時(n=1)には基準値P
0m=P
1mとして記憶される(
図7参照、m=1、2、3)。すなわち、各周波数F
1、F
3、F
2(T
1、T
2、T
3)での出力電力P
11、P
12、P
13が計算されて、それぞれが基準値P
01、P
02、P
03として記憶される。二回目以降には、出力電力変動率α
nmが0.9≦α
nm≦1.1の許容範囲内にあるか否かが判定される。出力電力変動率α
nmが前述の許容範囲内にない場合には、インバータの負荷であるモータA2の異常と判断され、モータ異常が検出される。これに応じ、表示部5は、警告として、例えば、トリップコードの英数字や「モータ異常」という文字を表示する。
【0070】
ここで、出力電力P
nmはモータA2の安定動作のため、所定値に保たれている。例えば、インバータ装置1に対する入力電圧の変化により出力電流が変動した場合でも、出力電力P
nmは変動せずに一定に維持される。このため、出力電力P
nmの変動はモータA2の異常に応じたものとなる。この出力電力P
nmの変動からモータA2の異常を検出することから、モータA2の異常を精度良く検出することが可能となる。さらに、モータA2の異常発生に応じてその旨を示す警告が使用者に報知されるので、使用者はモータ異常の発生を迅速に把握することができる。
【0071】
なお、速度パターン(運転周波数パターン)が変更された場合には(
図7参照)、変更直後の出力電力P
nmと変更直前の出力電力変動率α
(n-1)mから変更後の基準値P
0mがP
0m=P
nm/α
(n-1)mとして計算されて記憶部4に記憶され、新しい基準値として用いられる。これにより、速度パターンが変更された場合でも、それまでのモータA2の劣化度を加味して基準値P
0が再設定されるので、より精度が高いモータ異常の検出を実現することができる。
【0072】
ここで、
図7に示すように、速度パターンが変更された場合には、変更された区間T
2の出力電力の基準値P
02は、変更前の出力電力変動率α
(n−1)2=P
(n−1)2/P
02と変更直後の出力電力P
n2からP
02=P
n2/α
(n−1)2として計算され、新しい基準値として記憶される。このとき、基準値P
01及び基準値P
03に関しては、速度変更がなかったため、再計算は実行されない。これにより、基準値P
0mの再設定に係る計算時間を短縮することが可能となる。
【0073】
なお、前述の三つのモータ異常検出処理のうちどのモータ異常検出処理を実行するかは、操作部6に対する使用者の入力操作により予め設定されているが、これに限るものではなく、例えば、モータA2の回転速度制御に応じ、三つのモータ異常検出処理から自動的に一つのモータ異常検出処理を選択して実行するようにしても良い。
【0074】
例えば、速度パターンが設定されておらず、所定の回転速度だけが設定されている場合には、三つのモータ異常検出処理から一番目のモータ異常検出処理(
図2参照)を自動的に選択して実行する。また、速度パターンが設定されている場合には、三つのモータ異常検出処理から二番目のモータ異常検出処理(
図4参照)又は三番目のモータ異常検出処理(
図6参照)を自動的に選択して実行する。
【0075】
以上説明したように、前述の実施形態によれば、モータA2に対する出力電圧及び出力電流を検出して出力電力を計算し、その計算した出力電力の変化に応じてモータA2の異常を検出する。これにより、出力電流に加え出力電圧が用いられ、出力電力の変化からモータA2の異常が検出されることになる。したがって、モータA2の異常に応じて変動する出力電力を計算すれば良く、高性能な処理装置を必要とせずに精度良くモータA2の異常を検出することが可能となり、その結果、モータ異常の検出を安価で精度良く行うことができる。
【0076】
また、モータA2が一定速度で回転し続ける場合、モータA2の初回運転における単位時間の出力電力及びモータA2の初回運転以降の単位時間ごとの出力電力を計算し、モータA2の初回運転における単位時間の出力電力である出力電力基準値と、モータA2の初回運転以降の単位時間ごとの出力電力との比率が許容範囲内にあるか否かを判断し、その比率が許容範囲内にないと判断した場合にモータA2の異常を検出する。これにより、モータA2が一定速度で回転し続ける場合でも、精度が高いモータ異常の検出を実現することができる。
【0077】
また、モータA2が同じ速度パターンを繰り返して回転し続ける場合、モータA2の初回運転における速度パターンの出力電力及びモータA2の初回運転以降の速度パターンごとの出力電力を計算し、モータA2の初回運転における速度パターンの出力電力である出力電力基準値と、モータA2の初回運転以降の速度パターンごとの出力電力との比率が許容範囲内にあるか否かを判断し、その比率が許容範囲内にないと判断した場合にモータA2の異常を検出する。これにより、モータA2が同じ速度パターンを繰り返して回転し続ける場合でも、精度が高いモータ異常の検出を実現することができる。
【0078】
また、モータA2が同じ速度パターンを繰り返して回転し続ける場合、モータA2の初回運転における速度パターン内の回転速度ごとの出力電力及びモータA2の初回運転以降の速度パターン内の回転速度ごとの出力電力を計算し、モータA2の初回運転における速度パターンの回転速度ごとの出力電力である出力電力基準値と、モータA2の初回運転以降の速度パターンの回転速度ごとの出力電力との比率が許容範囲内にあるか否かを判断し、その比率が許容範囲内にないと判断した場合にモータA2の異常を検出する。これにより、モータA2が同じ速度パターンを繰り返して回転し続ける場合、速度パターン内の回転速度ごとの出力電力の変化に応じてモータ異常を検出するため、より精度が高いモータ異常の検出を実現することができる。
【0079】
また、モータA2の回転速度が切り替えられた場合、あるいは、速度パターンが変更された場合、その時点の運転回数における前述の比率を加味して出力電力基準値を変更することから、それまでのモータA2の劣化度を加味して出力電力基準値が再設定されるので、より精度が高いモータ異常の検出を実現することができる。
【0080】
なお、前述の実施形態においては、出力電力基準値と出力電圧との比率が許容範囲内にあるか否かを判断することによってモータA2の異常を検出しているが、これに限るものではなく、例えば、出力電力基準値と出力電圧との差分が許容範囲内にあるか否かを判断することによってモータA2の異常を検出するようにしても良い。ただし、比率を用いた方がモータA2の異常をより精度良く検出することが可能であるため望ましい。
【0081】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。