(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5871651
(24)【登録日】2016年1月22日
(45)【発行日】2016年3月1日
(54)【発明の名称】浴槽の安全機構及び開閉式浴槽の安全機構
(51)【国際特許分類】
A61H 33/00 20060101AFI20160216BHJP
A47K 3/022 20060101ALI20160216BHJP
A47K 3/12 20060101ALI20160216BHJP
【FI】
A61H33/00 310N
A61H33/00 310G
A47K3/022
A47K3/12
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-37365(P2012-37365)
(22)【出願日】2012年2月23日
(65)【公開番号】特開2013-169445(P2013-169445A)
(43)【公開日】2013年9月2日
【審査請求日】2014年11月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000182373
【氏名又は名称】酒井医療株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100108578
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 詔男
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(72)【発明者】
【氏名】鳥居 真也
(72)【発明者】
【氏名】大倉 陽一
【審査官】
今井 貞雄
(56)【参考文献】
【文献】
特開2005−230191(JP,A)
【文献】
特開2010−273783(JP,A)
【文献】
特開2006−296715(JP,A)
【文献】
特開平10−077173(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 33/00
A47K 3/022
A47K 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴槽本体の内壁面に沿って設けられていて着座部を支持する支柱と、該支柱に沿って前記着座部を昇降させる昇降駆動部と、を有するリフト機構を備えた浴槽であって、
前記内壁面を有する側壁の上面には前記昇降駆動部を覆うカバー部材が着脱可能に係止され、
前記カバー部材は、上昇する着座部との間に頭部または他の部材が挟まった際に、係止を解除されるようにしたことを特徴とする浴槽の安全機構。
【請求項2】
前記カバー部材はヒンジによって前記昇降駆動部を収納した収納ボックスに取り付けられている請求項1に記載された浴槽の安全機構。
【請求項3】
浴槽本体と、該浴槽本体の一の側壁の上部側に設けられた開口部を開閉させる扉部とを備えた開閉式浴槽であって、
前記浴槽本体内の他の側壁の内壁面に設けられていて着座部を支持する支柱と、該支柱に沿って前記着座部を昇降させる昇降駆動部と、を有するリフト機構を備え、
前記他の側壁の上面には前記昇降駆動部を覆うカバー部材が着脱可能に係止され、
前記カバー部材は、上昇する着座部との間に頭部または他の部材が挟まった際に、係止を解除されるようにしたことを特徴とする開閉式浴槽の安全機構。
【請求項4】
前記カバー部材はヒンジによって前記昇降駆動部を収納した収納ボックスに取り付けられている請求項3に記載された開閉式浴槽の安全機構。
【請求項5】
前記カバー部材は、前記着座部に着座した入浴者の頭部を載せることができるようにした請求項3または4に記載された開閉式浴槽の安全機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴槽本体内で入浴者が着座した着座部を昇降させるリフト機構を備えた浴槽の安全機構及び開閉式浴槽の安全機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば介護施設等の浴槽や家庭用浴槽では、入浴時に浴槽本体の側壁高さが高いと身障者や老人等が側壁をまたぐのが容易ではなく、浴槽内に入ることが困難で手間がかかるおそれがある。そのため、床面をある程度下方に堀り込んでおき、その堀り込んだ部分に浴槽本体を落とし込んで設置することで、床面に対する浴槽本体の側壁高さを低くしている。これにより、身障者や老人等であっても浴槽本体の側壁を容易に跨いで入浴できるようにしている。
しかし、堀り込んだ床面に浴槽本体を落とし込む従来の浴槽にあっては、浴槽本体を落とし込むための床面の堀り込み施工に手間や工事費がかかるという問題がある。
【0003】
また、このような欠点を改善した浴槽として、特許文献1に示す開閉式浴槽が提案されている。この浴槽は、浴槽本体の側壁に開口部を形成し、この開口部に対して上下方向にスライド可能に扉部を設けた。身障者や老人等の入浴者の入浴時には扉を降下させて開口部を開口させて、入浴者を載せた入浴用椅子を浴槽本体に隣接して配置した移送台から浴槽本体内のレール台上に横向きにして移し替え、その後、扉部を閉めて浴槽本体の開口部を閉鎖するように構成されている。
入浴時に入浴者を浴槽本体内に移し替えるとき、開口部より上方の浴槽内の湯量をタンクに一時的に移し替え、開口部を扉部で液密に閉鎖した後にタンクの湯を浴槽内に戻すようにしている。そのため、入浴者の入浴と退出に伴う湯の出し入れ調整が、浴槽内に蓄えられた湯の約半分程度で済むので、入出浴に伴う湯の移し替えを大幅に短縮することができる。
【0004】
ところで、近年、総人口に対する高齢者の割合が年々増加しており、病院や介護施設等での多数の高齢者の介護が困難になってきている。そのため、自宅において老人等の入浴を含む介護の必要性が年々高まってきている。
しかしながら、特許文献1に記載された開閉式浴槽では、入浴者を入浴用椅子や担架に載せたまま移送台によって浴槽本体の開口部を通して浴槽内のレール台に移送する構成であるため、入浴用椅子や担架のスペースを含む占有スペースが大きく、浴室と浴槽本体にそれぞれ大きなスペースが必要になるため、比較的狭い家庭用の浴室や、小さな浴室または浴槽等での入浴には不向きであった。
【0005】
これに対し、特許文献2に記載された浴槽では、浴槽本体の開口部に対向する側壁に入浴者が座る着座部を昇降可能に保持するリフト機構を設け、リフト機構に設けた着座部を回転可能にすると共に開口部方向にスライド可能に構成している。しかも、リフト機構を側壁に沿って移動可能としている。
これによって、家庭用浴室等の狭いスペースでも、浴室のレイアウトに応じて着座部を備えたリフト機構を移動させて入浴しやすい位置に位置決めできる。しかも、浴槽の着座部に入浴者を着座させた状態で着座部を回転させたり移動させたりすることで身障者や老人等が開口部を通して浴槽に入ったり出たりすることができるため、容易に入浴が可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特公平6−7848号公報
【特許文献2】特開2006−296715号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した特許文献2に記載された開閉式浴槽では、浴槽本体内でリフト機構の着座部に着座した入浴者はリフト機構を降下させることで底面側に移動され、タンクの湯を足すことで入浴状態になる。そして、退出時には湯の一部をタンクに戻し、着座部を上昇させると共に扉部を降下させることで入浴者が退出可能になるが、着座部を上昇させる際、入浴者の頭部や髪の毛やタオル等の他の物品がリフト機構の上部に設置した昇降機構部に接触したり挟まれたりして頭部や髪の毛を噛みこむおそれがあった。
【0008】
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、リフト機構によって着座部を上昇させる際、頭部や髪の毛等がリフト機構に挟まれないようにした浴槽の安全機構及び開閉式浴槽の安全機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明による浴槽の安全機構は、浴槽本体の内壁面に沿って設けられていて着座部を支持する支柱と、該支柱に沿って着座部を昇降させる昇降駆動部と、を有するリフト機構を備えた浴槽であって、内壁面を有する側壁の上面には昇降駆動部を覆うカバー部材が着脱可能に係止され、カバー部材は、上昇する着座部との間に頭部または他の部材が挟まった際に、係止を解除されるようにしたことを特徴とする。
本発明による浴槽では、浴槽本体内で入浴者を着座部に着座させて昇降させることができ、着座部が上昇する際、入浴者の頭部や他の部材が着座部とカバー部材との間に挟まった場合に小さな荷重がカバー部材にかかった段階で係止が解除されてカバー部材が外れるため、電動のリフト機構を備えていても安全性が高い。
【0010】
本発明による開閉式浴槽の安全機構は、浴槽本体と、該浴槽本体の一の側壁の上部側に設けられた開口部を開閉させる扉部とを備えた開閉式浴槽であって、浴槽本体内の他の側壁の内壁面に設けられていて着座部を支持する支柱と、該支柱に沿って着座部を昇降させる昇降駆動部と、を有するリフト機構を備え、他の側壁の上面には昇降駆動部を覆うカバー部材が着脱可能に係止され、カバー部材は、上昇する着座部との間に頭部または他の部材が挟まった際に、係止を解除されるようにしたことを特徴とする。
本発明による開閉式浴槽の安全機構では、浴槽本体内で入浴者を着座部に着座させて昇降させることができ、着座部が上昇する際、入浴者の頭部や他の部材が着座部とカバー部材との間に挟まった場合に小さな荷重がカバー部材にかかった段階で係止が解除されてカバー部材が外れるため、電動のリフト機構を備えていても安全性が高い。
【0011】
また、カバー部材はヒンジによって昇降駆動部または昇降駆動部を収納した収納ボックスに取り付けられていてもよい。
カバー部材が外れた際、床面に落下することなくヒンジによって浴槽本体に保持される。
なお、収納ボックスは浴槽本体の他の側壁の裏面側に設置されていることが好ましく、昇降駆動部が浴槽本体の他の側壁の上方に設置されないため、入浴者に圧迫感を与えることがない。
【0012】
また、カバー部材は、着座部に着座した入浴者の頭部を載せることができることが好ましい。
入浴時に着座部に載置した入浴者が頭部をカバー部材に載せれば枕代わりになり、よりリラックスできる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る浴槽及び開閉式浴槽の安全機構によれば、浴槽本体内で入浴者を着座部に着座させて昇降させることができるが、着座部が上昇する際、入浴者の頭部や他の部材が着座部とカバー部材との間に挟まった場合に小さな荷重がカバー部材にかかった段階で係止が解除されてカバー部材が外れるため、電動のリフト機構を備えていても安全性が高い。
しかも、このカバー部材は装着状態で入浴者の枕として利用できる上に、昇降駆動部のカバーを兼ねているから製作コストの低減にもつながる。
そのため、介護施設等の浴槽または開閉式浴槽だけでなく、家庭用等の比較的狭い浴槽であっても、電動式のリフト機構を備えていても安全性を高めた入浴が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施形態による開閉式浴槽を示す斜視図である。
【
図4】
図3に示すカバー部材の取付構造を示す部分拡大図である。
【
図5】開閉式浴槽の側面に設置したリフト機構を示すものであり(a)は側面図、(b)は背面図である。
【
図6】開閉式浴槽における収納ボックスのカバーを一部破断した正面図である。
【
図7】開閉式浴槽の収納ボックス側から見た側面図である。
【
図8】開閉式浴槽において着座部が底面に降下した状態を示す
図3の要部拡大図である。
【
図9】
図8に示す状態から着座部を上昇させて他の物品がカバー部材に当接した状態を示す
図8と同様な図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
図1に示す本実施形態による開閉式浴槽10は、浴槽本体11と、浴槽本体11の手前側の第一側壁11aに設けられた開口部12と、第一側壁11aの高さ方向に沿って移動可能で開口部12を開閉する扉部13とを備えている。
浴槽本体11は上方が開放された略直方体の箱形形状をなしており、4つの側壁11a〜11d及び底面によって形成されている。図では、側壁11a〜11dは長辺板状をなす対向する第一側壁11a及び第二側壁11bと、短辺板状をなす対向する第三側壁11c及び第四側壁11dとで形成されている。開口部12は、手前側の第一側壁11aを上部から下方に向けて例えば略上半分程度矩形状に切除することで形成されている。
【0016】
扉部13は開口部12を開閉するためのものであって、浴槽本体11の第一側壁11aに沿って昇降可能に取り付けられている。第一側壁11aには扉部13の昇降移動をガイドするガイド溝14が設けられ、扉部13の内面にはエア等の気体を供給することで第一側壁11aの開口部12周りとの間を液密にシールして湯漏れを防ぐシール部材15が設けられている(
図6参照)。
シール部材15は扉部13の内面に例えば略コの字状またはU字状に形成されている。シール部材15は中空で伸縮可能な合成樹脂またはゴム部材等からなり、扉部13が開口部12を閉鎖した状態でエア等の気体が供給されると膨張して浴槽本体11内の湯が開口部12から漏れ出ない液密のシール作用を果たしている。
【0017】
また、
図1において、浴槽本体11における短辺板状の側面である第三側壁11cにはリフト機構16が取り付けられ、第三側壁11cの背面側には収納ボックス17が配設されている。リフト機構16は、上記特許文献2に構成が詳述されており、
図2〜
図5に示すように、第三側壁11cの上下方向に沿って浴槽本体11内に支柱18が設けられ、支柱18には支柱18を昇降ガイドとして昇降可能な着座部19が取り付けられている。
【0018】
着座部19は、
図3に示すように、支柱18に沿って昇降するリフト部20と入浴者が着座する座面部21とが側面視略L字形状に設けられている。リフト部20の前面側には入浴者の背もたれをなす背当て部22が取り付けられている。
なお、座面部21にはヒンジを介して折り曲げ可能なフラップ23が片側または両側に設けられていてもよく、
図1に示すように扉部13を降下させて開口部12を開放した状態で、第一側壁11aの開口部12と扉部13の上面がほぼ同一高さとなり、その上に座面部21と同一平面上にフラップ23が載置される。これにより、入浴者が浴槽本体10に出入りする際に、いったんフラップ23に着座することで容易に座面部21に移動したり、浴槽本体11内の座面部21から外部に出たりすることができる。
【0019】
図3及び
図5に示すリフト機構16において、支柱18の上部には水平板25aと下向きの垂直板25bとからなる略L字状のフレーム25が設けられ、このフレーム25の垂直板25bにリフト機構16を駆動するための昇降駆動部26が設置されている。昇降駆動部26は、バッテリー27とギアボックス28及びモータ29とがフレーム25に例えば略並列に取り付けられている。
支柱18の上端に連結されたフレーム25の水平板25aが第三側壁11cの上面に載置され、隣接する収納ボックス17内にその上端開口から垂直板25bと昇降駆動部26が進入して収容されている。
【0020】
また、
図3に示すように、第三側壁11cの上面とフレーム25の水平板25aと収納ボックス17の上端開口とは、カバー部材30で覆われている。カバー部材30は、昇降駆動部26を覆う開口の内壁が収納ボックス17または昇降駆動部26または第三側壁11cの上面に設けた凸部等の係止部に軽く係止されるように構成した。
例えば、
図4に示すように収納ボックス17の上端開口に凸部17a(または凹部)を設け、カバー部材30の開口の端部に凸部17aに軽く嵌合する凹部30a(または凸部)を設けた。
【0021】
カバー部材30は浴槽本体11と反対側の端部において収納ボックス17とヒンジ31で連結されている。また、カバー部材30は、収納ボックス17の上端開口と昇降駆動部26をカバーするだけでなく、浴槽本体11内に入浴者が入浴して座面部21に着座した際、入浴者の頭部を載せる枕としての機能も有する。そのため、カバー部材30の上面は凹曲面を形成している。
このカバー部材30は、常態において開口部分が収納ボックス17の上端開口と昇降駆動部26を覆って収納ボックス17または昇降駆動部26に係止して保持され、しかもカバー部材30の一端部は浴槽本体11内の支柱18上に突出して保持されている。そのため、着座部19が上昇して、入浴者の頭部や髪の毛或いはタオル等の他の物品(以下、これら物品を符号Bで示す)がリフト部20または背当て部22と係止状態のカバー部材30との間に挟まれた場合、更に着座部19が上昇すると、カバー部材30が収納ボックス17または昇降駆動部26または第三側壁11cの凸部等の係止部から僅かな力で外れるようになっている。
【0022】
また、
図5に示すリフト機構16において、ギアボックス28から外部に突出するローラ32にはワイヤー35が取り付けられ、ワイヤー35は他のローラ33、34を介して支柱18内を延びてリフト部20に連結されている。そして、モータ29の一方向の回転によってローラ32でワイヤー35を巻き込むことで、着座部19が支柱18にガイドされて上昇し、モータ29を逆回転させることでローラ32に巻回されたワイヤー35が繰り出されて、着座部19が自重で降下することになる。
【0023】
図6に示す浴槽本体11の側面に設けられた収納ボックス17内において、上部には昇降駆動部26のバッテリー27とギアボックス28とモータ29とが収納されており、下部にはリフト機構17におけるモータ29及び/またはバッテリー27に電気的に接続されたリレーボックス37を収納する摺動部38が設置されている。リレーボックス37も昇降駆動部26の一部を構成する。
図7に示すように、収納ボックス17内の下部にはレール部39が取り付けられている。レール部39は脚部上に設置され、レール部39の側部には略L字状の支持ガイドが設けられている。
【0024】
摺動部38は、基板43上に昇降駆動部26のリレーボックス37が設置されていると共に、扉部13の内面に設けられたシール部材15にエア等の気体を供給する圧力供給手段として、例えばエアポンプ44が設けられている。リレーボックス37は電気配線によってモータ29及び/またはバッテリー27に電気的に接続されている。エアポンプ44はチューブ46を介して扉部13の内面に設けられたシール部材15にエアを供給して、上昇した扉部13と第一側壁11aとを液密にシール可能とされている。
そして、摺動部38はレール部39に沿って摺動させることで、収納ボックス17から引き出し及び収納可能とされ、引き出した時にレール部39から分離して取り出すことができる。また、収納ボックス17の前面には摺動部38を収納した状態で覆うカバー45が取り付けられている。
【0025】
本実施形態による開閉式浴槽10は上述の構成を備えており、次にその作用を説明する。
入浴者を入浴させる場合には、
図1において、開閉式浴槽10の浴槽本体11内に開口部12まで湯を満たし、扉部13を降下させて開口部12を開口させる。そして、入浴者を着座部19の座面部21に接続されたフラップ23を同一平面をなす開口部12及び扉部13の上に載置させ、この上に入浴者が着座する。
そして、入浴者はフラップ23に着座した状態で開口部12をまたいで、浴槽本体11内の着座部19における座面部21上に移動し、その後、介助者等が手動で扉部13を上昇させてフラップ23を扉部13の内側に折り曲げる。この状態で、エアポンプ44からチューブ46を介してエアをシール部材15に供給して膨張させ、
図6に示すように扉部13と第一側壁11aとを液密にシールさせる。
その後、リフト機構16のモータ29を駆動させて着座部19を底面に向けて降下させ、残りの湯を満たすことで入浴者が入浴状態になる。
【0026】
図8に示す入浴状態において、着座部19の座面部21に着座する入浴者は頭を後ろ側にそらせれば、収納ボックス17または昇降駆動部26に係止されたカバー部材30の上面に載せることができ、カバー部材30は枕としての機能を発揮できる。
そして、入浴終了後に、出浴する場合には、上記の手順とは逆に動作させる。即ち、湯を半分ほど別のタンクに戻して湯面を開口部12の下部まで低下させ、リフト機構16の着座部19を上昇させて、入浴者が着座する座面部21を開口部12の下部と同一レベルに保持させる。或いは、湯を浴槽本体11の底面の排水口から排水させてよい。
【0027】
着座部19を上昇させるとき、入浴者の頭部や頭髪、或いはタオル等の他の物品Bがリフト部20または背当て部22と係止状態のカバー部材30との間に挟まれることがあり、しかも着座部19が電動で駆動しているため、更に着座部19が上方に押される。
そして、
図9に示すように、着座部19の上昇によって僅かな力がカバー部材30にかかると、カバー部材30が収納ボックス17または昇降駆動部26の係止部から外れる。このとき、カバー部材30が落下しようとしてもヒンジ31によって収納ボックス17に連結されているため、カバー部材30は落下しないで収納ボックス17に保持される。
そのため、更に着座部19を上昇させても安全に入浴者を開口部12に対向する位置まで上昇させることができる。
【0028】
そして、シール部材15のエアを抜き、介護者や家族等が扉部13を降下させ、座面部21のフラップ23を開いて開口部12及び扉部13の上面に載せて水平に保持する。その後、入浴者は座面部21からフラップ23に腰を移動させて開口部12をまたいで退出する。
【0029】
上述のように、本実施形態による開閉式浴槽10によれば、カバー部材30を第三側壁11c及び収納ボックス17の上に被せて収納ボックス17または昇降駆動部26に係止させるため、収納ボックス17内に収納された昇降駆動部26の各部品を保護できる。しかも、着座部19の上昇時に座面部21に着座している入浴者の頭部や髪の毛、或いは他の物品Bが係止状態のカバー部材30とリフト部20または背当て部22との間に挟まれることがあっても、上昇する着座部19の小さな力でカバー部材26が収納ボックス17または昇降駆動部26との係止を解除されるから、入浴者や開閉式浴槽10の安全性を確保できる。しかも、カバー部材30はヒンジ31を介して収納ボックス17に接続されているから、カバー部材30が外れても落下することはなくカバー部材30を損傷しない。
【0030】
また、カバー部材30によって昇降駆動部26及び収納ボックス17の上端開口を覆って保護できる上に、昇降駆動部26が浴槽本体11の第三側壁11cの裏面側をなす収納ボックス17内に保持されるから、支柱18や浴槽本体11の上方に設置されず入浴者に威圧感を与えることがない。
また、入浴時には、着座部19の座面部21に着座する入浴者はカバー部材30に頭部を載せてリラックスして休めることができるから、カバー部材30に枕としての機能も与えることができ、多機能で製作コストの低減も図れる。
【0031】
なお、本発明による開閉式浴槽10は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限り適宜の変更や置換を行うことができる。
例えば、上述の実施形態では、扉部13で開口部12を開閉する開閉式浴槽10について説明したが、このような構成に限定されることなく、開口部12や扉部13のない通常の浴槽にも本発明を適用できる。
また、上述の実施形態では、リフト機構16と収納ボックス17を第三側壁11cとその裏面に設置したが、他の側壁11a、11b、11d側に設置してもよいことはいうまでもない。
また、上述の実施形態では、カバー部材30は開口の内壁が収納ボックス17または昇降駆動部26の凸部等に係止されるように構成したが、これに代えて、単に第三側壁11cや収納ボックス17や昇降駆動部26等に載置されているだけでもよい。
【0032】
また、上述の実施形態では、リフト機構16において、着座部19を昇降作動させる昇降駆動部26を浴槽本体11の側壁11cの裏面に設置した収納ボックス17内に収めて、リフト機構16の高さを浴槽本体11と同程度に設定したが、本発明はこの構成に限定されることはなく、支柱18の上方に昇降駆動部26を設置してもよい。この場合、リフト機構16の高さが浴槽本体11より高くなるため、入浴者が圧迫感を感じる恐れがあるが、収納ボックス17を設けないので浴槽本体11がコンパクトになり、家庭用等の狭い浴室にも設置できる。
また、上述の実施形態では、扉部13にシール部材15が配設された例を示したが、シール部材15は第一側壁11aの開口部12周りの面に配設してもよい。また、シール部材15はエアの供給により膨らんでシール作用を果たすようにした例を示したが、パッキン等の他のシール材を用いることもできる。
【符号の説明】
【0033】
10 開閉式浴槽
11 浴槽本体
11a 第一側壁
11c 第三側壁
12 開口部
13 扉部
15 シール部材
16 リフト機構
17 収納ボックス
17a 凸部
18 支柱
19 着座部
21 座面部
26 昇降駆動部
30 カバー部材
30a 凹部
31 ヒンジ
B 物品