特許第5871664号(P5871664)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5871664水質浄化カートリッジおよびこれを備える浄水器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5871664
(24)【登録日】2016年1月22日
(45)【発行日】2016年3月1日
(54)【発明の名称】水質浄化カートリッジおよびこれを備える浄水器
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/28 20060101AFI20160216BHJP
   C02F 1/42 20060101ALI20160216BHJP
   C02F 1/44 20060101ALI20160216BHJP
   B01D 27/00 20060101ALI20160216BHJP
【FI】
   C02F1/28 R
   C02F1/42 A
   C02F1/44 A
   B01D27/00
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-46293(P2012-46293)
(22)【出願日】2012年3月2日
(65)【公開番号】特開2013-180252(P2013-180252A)
(43)【公開日】2013年9月12日
【審査請求日】2013年7月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】592243553
【氏名又は名称】株式会社タカギ
(74)【代理人】
【識別番号】100125184
【弁理士】
【氏名又は名称】二口 治
(72)【発明者】
【氏名】國重 教子
(72)【発明者】
【氏名】松尾 陽
【審査官】 片山 真紀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−083209(JP,A)
【文献】 実開平05−033811(JP,U)
【文献】 特開2008−207175(JP,A)
【文献】 特開2002−346549(JP,A)
【文献】 特開2001−355172(JP,A)
【文献】 朝倉健太郎,不織布のおはなし,日本,財団法人 日本規格協会,2008年 9月25日,第1版,第158、159頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/28、42、44
B01D 27/00−12、33/00−40、35/00−30、
61/00−71/82
E03C 1/00−1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
濾過材から形成された筒状体と、
前記筒状体の下流側に取り付けられた下流側接続端と、
前記筒状体の上流側に取り付けられた上流側カートリッジカバーとを有し、
前記筒状体の内部に水質浄化材が充填された水質浄化カートリッジの製造方法であって、前記筒状体を構成する濾過材として、スパンボンド法、エアスルー法、ポイントボンド法、メルトブロー法、エアレイド法またはそれらの製造方法の組み合わせにより製造された不織布を用い前記不織布を熱刻印またはエンボス加工することにより、前記濾過材に、濾過材の未処理の箇所に比べて通水性が低下するように処理された低通水部と、濾過材の未処理の箇所である通水部とを設けることを特徴とする水質浄化カートリッジの製造方法
【請求項2】
濾過材から形成された筒状体と、
前記筒状体の下流側に取り付けられた下流側接続端と、
前記筒状体の上流側に取り付けられた上流側カートリッジカバーとを有し、
前記筒状体の内部に水質浄化材が充填された水質浄化カートリッジの製造方法であって、前記筒状体を構成する濾過材に樹脂成分をコーティングすることにより、濾過材の未処理の箇所に比べて通水性が低下するように処理された低通水部と、濾過材の未処理の箇所である通水部とを設けることを特徴とする水質浄化カートリッジの製造方法
【請求項3】
濾過材から形成された筒状体と、
前記筒状体の下流側に取り付けられた下流側接続端と、
前記筒状体の上流側に取り付けられた上流側カートリッジカバーとを有し、
前記筒状体の内部に水質浄化材が充填された水質浄化カートリッジの製造方法であって、前記筒状体を構成する濾過材にフィルムを積層することにより、濾過材の未処理の箇所に比べて通水性が低下するように処理された低通水部と、濾過材の未処理の箇所である通水部とを設けることを特徴とする水質浄化カートリッジの製造方法
【請求項4】
前記濾過材に低通水部からなる文字、記号、または、図形を作成する請求項1〜3のいずれか一項に記載の水質浄化カートリッジの製造方法
【請求項5】
前記濾過材として、不織布を用いる請求項2または3に記載の水質浄化カートリッジの製造方法
【請求項6】
筒状体の表面に占める低通水部の面積の割合を、5%以上、40%以下にする請求項1〜5のいずれか一項に記載の水質浄化カートリッジの製造方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水質浄化カートリッジおよびこれを備える浄水器に関するものであり、より詳しくは、水質浄化カートリッジの交換時期を目視で確認する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
浄水器としては、例えば、水道水の蛇口に直結して使用する蛇口直結型のもの、蛇口の内部に一体的に設置する蛇口一体型のもの、蛇口または蛇口に設けた分岐水栓からホースまたは配管などで接続して、蛇口近傍に設置する据え置き型のもの、シンクの内部に設置して使用するアンダーシンク型のもの、家庭や飲食店などの屋内、あるいは、屋外に持運んで使用できる携帯型のもの(例えば、ピッチャー型浄水器、ポット型浄水器)などが知られている。
【0003】
浄水器には、活性炭や中空糸膜などを収容した水質浄化カートリッジを備えたものがある。この水質浄化カートリッジは、所定量の原水を濾過すると、濾過性能が低下してしまうため、新しいカートリッジと交換する必要がある。しかしながら、水質浄化カートリッジは、浄水器の本体内部に取り付けられて使用されることから、利用者が交換時期を忘れがちになる。また、水質浄化カートリッジの浄化性能が低下しているかどうかを外観から判断することはできない。そこで、交換時期を視認できるようにした水質浄化カートリッジが提案されている。
【0004】
例えば、特許文献1には、内部に濾材を備えた濾過用カートリッジと、原水の流入口及び濾過水の流出口を備えると共に上記濾過用カートリッジを収容する濾過器本体とを有し、上記濾過用カートリッジの原水流入口から濾材収容部に至る水路中に濾過性能表示用のフィルタを設けるとともに、上記フィルタ収容部に外部より上記フィルタを目視するための透明部を設けたことを特徴とする濾過器が開示されている。
【0005】
特許文献2には、水に不溶性の単体に塩素により褐色性を示す色素を染色させて得られたインジケータを浄水器の出水側に備えた浄水器であって、該インジケータの褐色変化により該浄水器内に充填された吸着剤の交換時期を知らせることを特徴とする浄水器が開示されている。
【0006】
特許文献3には、内外に貫通する複数の孔が形成された容器と、上記容器内に収納された浄水部材と、上記容器を水に浮上させる浮上手段とを備えた浄水器において、上記容器内に、色彩の変化により上記浄水部材の浄水量が浄水可能な飽和量に達したか否かを判断する寿命判断手段を備えたことを特徴とする浄水器が開示されている。
【0007】
特許文献4には、液体中の残留塩素を除去する残留塩素除去材を内蔵する浄水部と、浄水部に液体を供給する給水部と、浄水部で残留塩素を除去された液体を吐出する吐水部と、を有し、残留塩素除去材と吐水部の間に、担体に残留塩素と接触することにより変色する色素を染色させて得られたインジケータを設け、該インジケータを外部より目視できるようになしたインジケータ付き浄水器において、インジケータの担体がシート状の繊維物質であることを特徴とするインジケータ付き浄水器が開示されている。
【0008】
特許文献5には、原水用流入口と浄水用流出口を有する容体内にフィルター部材を収納した浄水器であって、この容体の外側面に、文字・図形・記号或は形状・模様・色彩等を適宜に組み合わせて形態模様部を施し、この形態模様部を成す一部に、フィルター部材を目視可能な透明又は半透明状の目視領域を設け、この目視領域の形態を前記形態模様部と組み合わせて一体化するように構成したことを特徴とする浄水器が開示されている。
【0009】
特許文献6には、水道水を浄化する筒状のカートリッジであって軸方向端部に端部部材が取り付けてあり、該端部部材に、該端部部材より軸方向内側の浄化材の軸方向端面の汚れを目視観察するための透光性の窓が設けてあることを特徴とする水道水浄化用のカートリッジが開示されている。
【0010】
特許文献7には、浄水カートリッジと、窓部を有する交換時期表示部と、蛇口接続部及び該浄水カーリッジの接続部を有する浄水器本体とからなり、該浄水カートリッジが、浄水器本体を蛇口に接続したときに、蛇口管に対して鉛直下側に来るように配置される蛇口直結型浄水器であって、該交換時期表示部の窓部が、浄水器本体の上面に目視可能に配置されてなる蛇口直結型浄水器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開昭62−247886号公報
【特許文献2】特開昭64−56185号公報
【特許文献3】特開平10−57951号公報
【特許文献4】特開2000−102783号公報
【特許文献5】特開2001−170621号公報
【特許文献6】特開2002−361234号公報
【特許文献7】特開2008−212932号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
交換時期を視認できるようにした従来の水質浄化カートリッジでは、全体が一様に変色してしまうため、交換時期を認知しづらいという問題があった。本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、交換時期を外部から確認できる新規な水質浄化カートリッジおよびこれを備える浄水器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の水質浄化カートリッジは、濾過材から形成された筒状体と、前記筒状体の下流側に取り付けられた下流側接続端と、前記筒状体の上流側に取り付けられた上流側カートリッジカバーとを有し、前記筒状体の内部に水質浄化材が充填された水質浄化カートリッジであって、前記筒状体を構成する濾過材に低通水部が設けられていることを特徴とする。
【0014】
本発明の水質浄化カートリッジは、濾過材から形成された筒状体の外側から内側に流入した原水を、筒状体の内部に充填されている水質浄化材により浄化し、浄化された浄水を下流側に設けられた下流側接続端の浄水排出口から排出する。原水には、水道管の錆などの濁りの成分が存在する。この濁り成分が、筒状体を構成する濾過材に付着して濾過材を着色する。本発明の水質浄化カートリッジは、筒状体を構成する濾過材に原水が通水しにくい低通水部が設けられている。低通水部では、原水が通水しにくくなっているので濁りの成分が付着しにくい。そのため、低通水部は着色されにくい。その結果、通水部と低通水部に色調の差が生じて、低通水部を視認できるようになる。濾過材の変色度合は、原水の処理量に比例するので、低通水部がはっきりと表示されるようになれば、水質浄化カートリッジの交換時期であると使用者が認識できる。前記濾過材には、例えば、低通水部からなる文字、記号、または、図形を作成しておくことができる。具体的な文字、記号、または、図形を用いて、使用者に交換時期を喚起することができる。
【0015】
前記低通水部は、筒状体を構成する濾過材を、例えば、コーティング、熱刻印、または、エンボス加工することにより形成することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、水質浄化カートリッジの交換時期を外部から確認することができ、交換し忘れを低減し、浄水を安定して供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の水質浄化カートリッジの一例を示す縦断面図。
図2】本発明の水質浄化カートリッジの使用前、使用後の状態を示す説明図。
図3】本発明の水質浄化カートリッジを内蔵した浄水器の一例を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の水質浄化カートリッジは、濾過材から形成された筒状体と、前記筒状体の下流側に取り付けられた下流側接続端と、前記筒状体の上流側に取り付けられた上流側カートリッジカバーとを有し、前記筒状体の内部に水質浄化材が充填された水質浄化カートリッジであって、前記筒状体を構成する濾過材に低通水部が設けられていることを特徴とする。
【0019】
本発明において、「低通水部」とは、「濾過材」の通常の通水性と比較して、通水性が低下するように処理された箇所を意味する。「低通水部」としては、例えば、(1)筒状体を構成する濾過材に熱刻印またはエンボス加工を施した箇所、(2)筒状体を構成する濾過材をコーティングした箇所、あるいは、(3)筒状体を構成する濾過材にフィルムが積層された箇所などを挙げることができる。これらの中でも、コーティング剤やフィルムなどを用いることなく、低通水部を容易に形成できるという観点から、本発明では(1)筒状体を構成する濾過材に熱刻印またはエンボス加工を施すことにより、低通水部を形成することが好ましい。以下、低通水部を形成する態様について詳細に説明する。
【0020】
(1)熱刻印またはエンボス加工により低通水部を形成する態様について
筒状体を構成している濾過材に熱刻印またはエンボス加工をすると、濾過材が圧縮されて、濾過材の空隙が小さくなっている箇所や、濾過材を構成する部材が融着して、濾過材の空隙がなくなっている箇所などが形成される。これらの箇所は、濾過材の未処理の箇所に比べて、空隙が少なく、通水性が低下するので、低通水部を形成する。熱刻印またはエンボス加工は、筒状体を構成している濾過材の表面側(原水流路側)に施すことが好ましい。
【0021】
熱刻印またはエンボス加工により低通水部を形成する態様では、濾過材として、加熱により軟化または溶融する樹脂製の濾過材を使用することが好ましい。特に、濾過材として、後述する樹脂製の不織布を使用することが好ましい。本発明の水質浄化カートリッジは、予め熱刻印またはエンボス加工が施された濾過材を使用して、水質浄化材の成形体の周りに巻回して作製してもよいし、水質浄化材の成形体に濾過材を巻回してから熱刻印またはエンボス加工を施してもよい。特に、濾過材を巻回し、圧縮して筒状体を成形するときに、熱刻印またはエンボス加工を同時に施すことが好ましい。
【0022】
(2)筒状体を構成する濾過材をコーティングして、低通水部を形成する態様について
筒状体を構成する濾過材をコーティングした箇所は、濾過材の空隙が、コーティング剤により塞がれる。これらの箇所は、濾過材の未処理の箇所に比べて、空隙が少なく、通水性が低下するので、低通水部を形成する。コーティングは、筒状体を構成する濾過材の表面側(原水流路側)に施すことが好ましい。
【0023】
コーティング剤としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂などの樹脂成分を使用することが好ましい。前記熱可塑性樹脂成分としては、例えば、ポリエチレンおよびポリプロピレンなどのポリオレフィン;ポリスチレン;塩化ビニル、塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル樹脂などのビニル系樹脂;フッソ樹脂;アクリル樹脂;ポリアミド樹脂;アセタール樹脂;ポリカーボネート;ポリフェニレンオキシド;ポリエステル;ポリスルホン;ポリイミド;ポリウレタンなどが挙げられる。低通水部は、例えば、前記熱可塑性樹脂成分を、溶剤などに溶解させて、得られた液状組成物を濾過材に塗布し、乾燥して形成することができる。また、熱可塑性樹脂を加熱し、予め溶融させたものを濾過材に塗布し、冷却固化させて低通水部を形成してもよい。
【0024】
濾過材に塗布し得る熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂などが挙げられる。これらの熱硬化性樹脂は、主剤と硬化剤とを混合し、濾過材に塗布して硬化させることにより、低通水部を形成することができる。
【0025】
コーティング剤により形成された低通水部の厚みは、0.3mm以下が好ましく、0.25mm以下がより好ましい。コーティング剤により形成された低通水部が厚くなりすぎると、使用者が水質浄化カートリッジに触れたときに、低通水部が剥がれる場合がある。また、コーティング剤により形成された低通水部の厚みの下限は、特に限定されないが、0.2mmが好ましい。
【0026】
(3)筒状体を構成する濾過材にフィルムを積層することにより、低通水部を形成する態様について
筒状体を構成する濾過材の表面側または内側にフィルムを積層すれば、フィルムにより、濾過材の上流側または下流側が閉鎖される。フィルムが積層された箇所は、濾過材の未処理の箇所に比べて、通水性が低下するので低通水部を形成する。前記フィルムとしては、特に限定されず、例えば、コーティング剤として例示した熱可塑性樹脂のフィルムを挙げることができる。前記フィルムの厚みとしては、例えば、10μm以上が好ましく、30μm以上が好ましく、100μm以下が好ましく、300μm以下が好ましい。
【0027】
前記コーティング剤や、フィルムは、いずれも、低通水部の全域を完全に遮蔽する形態(全く通水しない)としても、一部を遮蔽する形態(例えば、細かな孔が多数ある等)としても良い。低通水部の色合い変化後の視認性を高める為には前者が好適であり、また、浄化性能(浄水可能な時間当たりの浄水流水量)を高める為には後者が良い。
【0028】
以上、低通水部を形成する態様を3つ例示したが、低通水部を形成する態様は、これらに限定されるものではなく、適宜変更可能である。
【0029】
本発明の水質浄化カートリッジにおいて、筒状体の表面に占める低通水部の面積の割合は、5%以上が好ましく、10%以上がより好ましく、40%以下が好ましく、30%以下がより好ましい。低通水部の面積の割合が、5%未満であると、低通水部を認識することが難しくなる。また、低通水部の面積の割合が40%超であれば、浄水性能が低下する場合がある。
【0030】
本発明の水質浄化カートリッジは、交換時期を喚起するという観点から、使用前には低通水部があまり認識されず、使用によって初めて低通水部が認識されることが好ましい。このような観点から、低通水部は、透明もしくは半透明の材料で形成するか、あるいは、濾過材の色調と同一または類似の色調とすることが好ましい。低通水部を透明もしくは半透明の材料で形成した場合、低通水部の下地である筒状体の色調が現れるので、水質浄化カートリッジを使用する前では、低通水部と通水部の色調差がほとんどなく、低通水部は、あまり認識されない。
【0031】
本発明では、濾過材に(好ましくは筒状体の表面に)、低通水部からなる文字、記号、または、図形を作成することも好ましい。文字、記号、または、図形により、より具体的に交換時期を喚起することができる。
【0032】
以下、本発明の水質浄化カートリッジの構成について、図1を参照しながら詳細に説明するが、本発明の水質浄化カートリッジは、図1に記載された態様に限定されるものではない。水質浄化カートリッジ1は、濾過材から形成された筒状体3と、前記筒状体3の下流側に取り付けられた下流側接続端5と、前記筒状体の上流側に取り付けられた上流側カートリッジカバー7とを有する。濾過材から形成された筒状体3の内部には、水質浄化材9が充填されている。
【0033】
まず、濾過材から形成された筒状体3について説明する。前記濾過材としては、原水中に含まれる比較的大きな不溶物(例えば、水道管の錆など)を除去できるものであれば、特に限定されないが、例えば、不織布、織物、編物、多孔質膜などを挙げることができる。これらのなかでも不織布が好ましい。濾過材は、樹脂製であってもよいし、金属製であってもよい。特に、本発明では、濾過材から形成された筒状体として、不織布製の筒状体を用いることが好ましい。なお、前記濾過材は、後述するような水質浄化材の機能を有していてもよいし、有していなくてもよい。
【0034】
前記不織布としては、例えば、セルロース、レーヨン、コットン等の親水性繊維から形成された不織布;ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド等の疎水性繊維から形成された不織布などを挙げることができる。また、不織布としては、スパンボンド法、エアスルー法、ポイントボンド法、メルトブロー法、エアレイド法やそれらの製法の組み合わせ等により製造されるものが好ましい。また、スパンボンド法とメルトブロー法を組み合わせたSMS法により製造された不織布を用いてもよい。
【0035】
熱刻印またはエンボス加工をして、低通水部を形成しやすくするために、前記不織布が、熱融着繊維を含有することも好ましい。前記熱融着性繊維として、例えば、融点の異なる2種類の樹脂成分からなる複合繊維を挙げることができ、例えば、高融点成分と低融点成分とからなるサイドバイサイド構造を有する複合繊維、または、高融点成分と低融点成分とからなる芯鞘構造の複合繊維を使用することが好ましい。
【0036】
前記熱融着性繊維として、例えば、ポリエステル−変性ポリエステル複合繊維を含むポリエステル系繊維、6ナイロン−66ナイロン複合繊維を含むポリアミド系繊維、ポリオレフィン−変性ポリオレフィンを含むポリオレフィン系繊維等が挙げられる。
【0037】
濾過材の厚みは、特に限定されないが、0.2mm以上が好ましく、1mm以下が好ましく、0.5mmがさらに好ましい。0.2mm未満では濾過材の濾過性能が十分に発揮できない場合があり、1mm超では、濾過材に浸透する水量が限られるため、蛇口から吐水される十分な水量を確保できない。そのため、使用者に不便が生じる。0.5mmであれば、濃淡差および熱刻印が一層明瞭になる。
【0038】
濾過材は、一層あるいは多層構造のいずれであってもよいが、三層であることが好ましい。多層構造の場合は、濾過材の合計厚みが前記範囲に入ることが好ましい。低通水部は、濾過材の少なくとも一層に設けられていれば良く、多層構造のすべての層に設けられていてもよい。
【0039】
筒状体3の形状としては、例えば、円筒状、多角柱状などを挙げることができ、円筒状であることが好ましい。図1の水質浄化カートリッジ1は、円筒状の筒状体3を有している。
【0040】
濾過材から形成された筒状体3の内部には、水質浄化材9が充填される。水質浄化材9は、原水に含まれる塩素、重金属、トリハロメタンなどの有機物、細菌、微生物、その他の濾過材を透過した微小の異物を除去する。水質浄化材9の具体例としては、天然物系吸着剤(天然ゼオライト、銀ゼオライト、酸性白土等)、合成物系吸着剤(合成ゼオライト、細菌吸着ポリマー、リン鉱石、モレキュラーシーブ、シリカゲル、シリカアルミナゲル系吸着剤、多孔質ガラス等)などの無機質吸着剤、粉末状活性炭、粒状活性炭、繊維状活性炭、ブロック状活性炭、押出成形活性炭、成形活性炭、分子吸着樹脂、合成物系粒状活性炭、合成物系繊維状活性炭、イオン交換樹脂、イオン交換繊維、キレート樹脂、キレート繊維、高吸収性樹脂、高吸水性樹脂、吸油性樹脂、吸油剤などの有機系吸着剤などの公知のものが挙げられる。これらの中でも、原水中の残留塩素やカビ臭、トリハロメタンなどの有機化合物の吸着力に優れた活性炭を用いることが好ましい。
【0041】
水質浄化材9は、中空円筒状、円板状、円柱状などに成形されることが好ましく、中空円筒状に成形することがより好ましい。中空円筒状に成形された水質浄化材は、原水が水質浄化材の成形体を通過するときに、水質浄化材の一部のみに水が集中して浄水能力が早期に低下する、いわゆる、水道(みずみち)現象の発生を防ぐことができる。図1に示した水質浄化カートリッジは、中空円筒状に成形された水質浄化材9を使用し、円筒の外側を原水流路とし、内側を浄水流路としている。水質浄化材9の中空部には、水質浄化カートリッジ1の強度を補強するとともに、浄水を整流するための格子状の軸芯を設けてもよい。
【0042】
水質浄化カートリッジ1は、前記筒状体3の上流側に取り付けられた上流側カートリッジカバー7を有する。上流側カートリッジカバー7は、筒状体3の上流側端部の外周面を覆う有底短円筒状に形成されて、底部からは、水質浄化材9の内周面に嵌入する柱部7aが突設され、柱部7aを水質浄化材9の内周面に差し込むことにより、上流側カートリッジカバー7を、水質浄化材9に取り付けることができる。上流側カートリッジカバー7の短円筒部の内周面と、不織布製筒状体3の上流側端部の外周面とは、例えば、接着剤により貼り合わすことが好ましい。上流側カートリッジカバー7の材質は、特に限定されないが、樹脂製であることが好ましく、ABS(アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体)、PP(ポリプロピレン)、POM(ポリオキシメチレン)、PC(ポリカーボネート)など熱可塑性樹脂がより好ましい。
【0043】
水質浄化カートリッジ1は、前記筒状体3の下流側に取り付けられた下流側接続端5を有する。下流側接続端5は、筒状体3の下流側の端面を被覆する大径短円筒状の被覆端5aと浄水器本体に差し込み固定される小径円筒状の接続端5bとを両端に有し、被覆端5aと接続端5bとの間に位置する中央円筒部5cとを有する。下流側接続端5の材質は、特に限定されないが、樹脂製であることが好ましく、ABS(アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体)、PP(ポリプロピレン)、POM(ポリオキシメチレン)、PC(ポリカーボネート)など熱可塑性樹脂がより好ましい。
【0044】
中空円筒状に成形された水質浄化材9の下流側端面には、固定板11が取り付けられている。固定板11は、中央に開口を有し、開口から下流側および上流側に向かって突出した小径円筒部11aと、周縁から下流側に向かって突出する大径円筒部11bとを有する。固定板11は、上流側の小径円筒部11aを水質浄化材9の中空部に差し込み固定されている。これにより、水質浄化材の中空部から浄水排出口17までの浄水流路が形成される。固定板11の下流側には、殺菌セラミック13と、不織布15とが収納されている。
【0045】
殺菌セラミック13は、例えば、リン酸カルシウムを母体として酸化亜鉛、モンモリロナイト等を混合して粒状あるいはペレット状に焼結したものに銀あるいは銅等を吸着したもので、その表面に水中の有害な細菌類を吸着して殺菌するとともに金属イオンを放出して水中の有害な細菌類を殺菌または滅菌し、水質を無害化する。殺菌セラミック13は、必要に応じて収納すればよい。
【0046】
不織布15は、水質浄化材9から発生した不純物を浄水から除去するものである。
【0047】
本発明の水質浄化カートリッジの形状は、特に限定されるものではないが、円柱状、多角柱状など柱状であることが好ましい。原水を処理する流路を確保しやすく、また、カートリッジの交換が容易になるからである。
【0048】
水質浄化カートリッジ1の長さXは、特に限定されないが、例えば、100mm以上が好ましく、120mm以上がより好ましく、200mm以下が好ましく、160mm以下がより好ましい。100mm未満では、水質浄化カートリッジに充填できる水質浄化材が少なくなるため、十分な浄水効果が得られない場合がある。また、200mm超では、水質浄化カートリッジが大型化してしまうため、装着する浄水器も大型化してしまう。そのため、浄水器の使用者に不便が生じる。
【0049】
水質浄化用カートリッジ1の太さYは、特に限定されないが、例えば、20mm以上が好ましく、22mm以上がより好ましく、30mm以下が好ましく、26mm以下がより好ましい。20mm未満では、水質浄化カートリッジに充填できる水質浄化材が少なくなるため、十分な浄水効果が見込めない場合がある。また、30mm超では、水質浄化カートリッジが大型化してしまうため、装着する浄水器が大型化してしまう。そのため、浄水器の使用者に不便が生じる。
【0050】
次に、本発明の水質浄化カートリッジ1の作用について説明する。本発明の水質浄化カートリッジ1は、濾過材から形成された筒状体3の外側を原水流路とする。原水には、水道管の錆などの濁りの成分が存在する。原水は、筒状体3を構成する濾過材を通過して、内部に流入するが、この濁り成分は、筒状体3を構成する濾過材に付着して濾過材を着色する。筒状体3の内側に流入した原水は、筒状体3の内部に充填されている水質浄化材9により浄化され、得られた浄水は、下流側に設けられた下流側接続端5の浄水排出口17から排出される。本発明の水質浄化カートリッジ1の筒状体3を構成する濾過材には、原水が通水しにくい低通水部が設けられている。低通水部では、原水が通水しにくくなっているので濁りの成分が付着しにくい。そのため、低通水部は、着色されにくい。その結果、通水部と低通水部に色調の差が生じて、低通水部が視認できるようになる。濾過材の変色度合は、原水の処理量に比例するので、低通水部がはっきりと表示されるようになれば、使用者が、水質浄化カートリッジの交換時期であると認識できる。
【0051】
図2(a)は、使用前の水質浄化カートリッジ1の側面図であり、図2(b)は、使用により交換時期を迎えた水質浄化カートリッジ1の側面図である。使用前の水質浄化カートリッジ1の筒状部3を構成する濾過材には、「お取り替え」という文字が低通水部により形成されているが認識できない。図2(b)に示すように、使用をしていると、筒状部3の通水部が着色をするが、低通水部は着色しないので、「お取り替え」という文字が、筒状体3の表面に現れる。
【0052】
本発明の浄水器は、本発明の水質浄化カートリッジを備えるものであれば、特に限定されず、水道水の蛇口に直結して使用する蛇口直結型のもの、蛇口の内部に一体的に設置する蛇口一体型のもの、蛇口または蛇口に設けた分岐水栓からホースまたは配管などで接続して、蛇口近傍に設置する据え置き型のもの、シンクの内部に設置して使用するアンダーシンク型のもの、家庭や飲食店などの屋内、あるいは、屋外に持運んで使用できる携帯型のものなどのいずれであってもよい。これらの中でも、本発明の浄水器は、前記水質浄化カートリッジを備える蛇口一体型の浄水器であることが好ましい。
【0053】
本発明の浄水器は、浄水器本体を構成する壁材の一部を、透明または半透明の部材で形成して、浄水器に内蔵された水質浄化カートリッジの筒状体を確認できるようにしてもよい。図3は、本発明の水質浄化カートリッジ1が、交換可能に蛇口に内蔵された水質浄化カートリッジ内蔵浄水器の好ましい態様を示す側面図である。浄水器20は、分離可能な頭部22と胴部24とを有する。頭部22と胴部24とを分離して、浄水器20の内部に水質浄化カートリッジ1を装着する。図3では、浄水器20の壁材に透明の窓26が設けられ、内部に収容された水質浄化カートリッジ1の筒状部3の表面を目視できるように構成されている。これにより、浄水器20の外部からも水質浄化カートリッジ1の交換時期を確認することができ、交換時期が来れば、頭部22と胴部24とを分離して、水質浄化カートリッジ1を容易に交換できる。なお、浄水器の壁材の一部を透明または半透明の部材で形成する必要は必ずしもなく、水質浄化カートリッジを浄水器から取り出して交換時期を確認するようにしてもよい。
【0054】
以上、本発明を好ましい実施形態に基づいて説明したが、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、各実施形態の形状、構成、配置、材料などを適宜変更することができる。また、各実施形態にて示した構成、配置、材料、形状、数値範囲などの規定は、各々独立に、或いは、何れか2以上の規定を組み合わせて適用することができる。
【符号の説明】
【0055】
1:水質浄化カートリッジ、3:濾過材から形成された筒状体、5:下流側接続端、7:上流側カートリッジカバー、9:水質浄化材、11:固定板、13:殺菌セラミック、15:不織布、17:浄水排出口、20:水質浄化カートリッジ内蔵浄水器、22:頭部、24:胴部、26:窓
図1
図2
図3