特許第5871678号(P5871678)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5871678
(24)【登録日】2016年1月22日
(45)【発行日】2016年3月1日
(54)【発明の名称】移床式砂濾過装置のエアリフト管
(51)【国際特許分類】
   B01D 24/02 20060101AFI20160216BHJP
【FI】
   B01D23/10 Z
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-64279(P2012-64279)
(22)【出願日】2012年3月21日
(65)【公開番号】特開2013-193050(P2013-193050A)
(43)【公開日】2013年9月30日
【審査請求日】2014年11月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001834
【氏名又は名称】三機工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090985
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 幸雄
(72)【発明者】
【氏名】二村 宮史
(72)【発明者】
【氏名】小林 憲市
【審査官】 長谷川 真一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−291670(JP,A)
【文献】 特開平08−309116(JP,A)
【文献】 特開2001−162109(JP,A)
【文献】 特開平07−328329(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 24/00−24/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
濾過槽内に濾床を形成する濾過砂を収容し、原水を濾床下部から連続的に供給して砂濾過を行い、濾過によって汚れた濾床下部の濾過砂をエアリフト管に導き、前記エアリフト管に供給される圧縮空気によってエアリフト管内を上昇する間に汚れが剥離された濾過砂が濾床の上部に戻される移床式砂濾過装置において、
前記エアリフト管の少なくとも一部が可撓性部材からなり、かつ前記エアリフト管の点検、交換時における抜き取り応力によって生じる前記可撓性部材の変形や切断を防止するため、少なくとも2本のワイヤが、それぞれの両端を前記エアリフト管の可撓性部材ではないリジッドな上部と下部とに固定して設けられてなることを特徴とする移床式砂濾過装置のエアリフト管。
【請求項2】
前記ワイヤが、前記可撓性部材ではないリジッドな下部として、エアリフト管下端に設けられたエア供給部と、前記可撓性部材ではないリジッドな上部として、エアリフト管を上部でエアリフト管と濾床の間に設けられた保護管に固定するガイドリングとに、その両端が固定されてなることを特徴とする請求項1に記載の移床式砂濾過装置のエアリフト管。
【請求項3】
前記エアリフト管が、その中間部に中間エア供給部を設けてなり、前記ワイヤが前記中間エア供給部に備えられたアイナットに挿通されてなることを特徴とする請求項1又は2に記載の移床式砂濾過装置のエアリフト管。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、濾過槽に収容した濾過砂の下部から原水を供給して濾過する移床式砂濾過装置において、濾過によって汚れた濾床下部の濾過砂から汚染物質が剥離されて清浄になった濾過砂を前記濾床上部に戻すエアリフト管に関する。
【背景技術】
【0002】
移床式砂濾過装置のエアリフト管は、下から供給されて砂濾過装置内に満たされた水に対する浮力を有する圧縮空気によって生じる管の中の水の上向流に同伴されることによって濾過砂が上方向に常時流されていることから、管への砂接触での磨耗による劣化のおそれがあり定期的な点検やあらかじめ定められた耐用年数ごとの交換が必要になる。濾過砂層を貫通して設けられているこのエアリフト管を点検又は交換するには、従来は濾過槽内の濾過砂を一時排出して行われなければならなかったが、濾過槽にあらかじめエアリフト管と濾過砂が直接接触しないようにする鞘管状の保護管を設けておき、保護管内面とエアリフト管外面との間を空間隙間として摩擦抵抗を減らすことで、エアリフト管を上方に引き出せるようにし、かつ前記移床式砂濾過装置の設置建屋の天井高を考慮して前記エアリフト管の一部に可撓性を持たせた発明(特許文献1)がなされ、移床式砂濾過装置の保守点検作業が濾過砂を排出することなく実施されるようになり、作業時間の短縮と作業の効率化が図られるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3139732号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1の発明におけるエアリフト管は、その請求項1で「耐磨耗性ゴムにより構成したことを特徴とする」とし、実施例として明細書の段落〔0014〕から〔0015〕にかけて、
「〔0014〕図2はエアリフト管3の詳細を示す図であり、エアリフト管3は補強コーティングワイヤ入りの耐摩耗性の合成ゴムホース3aを主体として構成されている。即ち、図2に示すように、エアリフト管3には中間部にステンレス鋼からなる接続金具3bが設けられ、2本の合成ゴムホース3aが接続部3bで接続されている。そして、エアリフト管3の上端部、下端部及び中間部の接続部には、加締リング3cが設けられている。
〔0015〕図3はエアリフト管3の一部欠截正面図である。図3に示すように、合成ゴムホース3aは、EPDM(エチレン・プロピレンジエンモノマ)からなる合成ゴムに補強コーティングワイヤwと補強繊維コードcとを入れることにより構成されている。
なお、接続金具3bには結合用の挿入部材(タケノコ)3eが溶接固定されている。」
と記載されており、一部がゴムホースであるエアリフト管を保護管から抜き取る際の可撓部の潰れによる変形や可撓部自体の損傷を防ぐ考慮はゴムホース内部のワイヤ補強によりなされてはいるが、エアリフト管を抜き取る力は前記エアリフト管の上部にのみ加えられることからゴムホースに張力が加わることは避けられず、ゴムホースの劣化によっては、或いは鞘管状の保護管8とエアリフト管3外面間の少しの隙間に濾過砂粒が入り込むと噛み込みを起こしゴムホースの劣化がなくても、前記螺旋状の補強コーティングワイヤwが延びたり、ゴムホースと接続金具との接続が外れたりする危惧が残る。
本発明は、エアリフト管を抜き取る力を該エアリフト管の可撓性部材ではないリジッドな上部と下部に同時に加え、特許文献1のゴムホースに相当するエアリフト管の可撓性部材、及び可撓性部材と圧縮空気供給部との接続部には抜き取りに伴う張力が一切加わらないようにして、上記危惧を解消したエアリフト管を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記課題を下記の手段によって解決した。
(1)濾過槽内に濾床を形成する濾過砂を収容し、原水を濾床下部から連続的に供給して砂濾過を行い、濾過によって汚れた濾床下部の濾過砂をエアリフト管に導き、前記エアリフト管に供給される圧縮空気によってエアリフト管内を上昇する間に汚れが剥離された濾過砂が濾床の上部に戻される移床式砂濾過装置において、
前記エアリフト管の少なくとも一部が可撓性部材からなり、かつ前記エアリフト管の点検、交換時における抜き取り応力によって生じる前記可撓性部材の変形や切断を防止するため、少なくとも2本のワイヤが、それぞれの両端を前記エアリフト管の可撓性部材ではないリジッドな上部と下部とに固定して設けられてなることを特徴とする移床式砂濾過装置のエアリフト管。
(2)前記ワイヤが、前記可撓性部材ではないリジッドな下部として、エアリフト管下端に設けられた下部エア供給部と、前記可撓性部材ではないリジッドな上部として、エアリフト管を上部でエアリフト管と濾床の間に設けられた保護管に固定するガイドリングとに、その両端が固定されてなることを特徴とする前項(1)に記載の移床式砂濾過装置のエアリフト管。
(3)前記エアリフト管が、その中間部に中間エア供給部を設けてなり、前記ワイヤが前記中間エア供給部に備えられたアイナットに挿通されてなることを特徴とする前項(1)又は(2)に記載の移床式砂濾過装置のエアリフト管。
【発明の効果】
【0006】
本発明の移床式砂濾過装置のエアリフト管によって、下記の効果が発揮できる。
〈1〉濾過槽内に濾床を形成する濾過砂を収容し、原水を濾床下部から連続的に供給して砂濾過を行い、濾過によって汚れた濾床下部の濾過砂をエアリフト管に導き、前記エアリフト管に供給される圧縮空気によってエアリフト管内を上昇する間に汚れが剥離して、濾床の上部に戻す移床式砂濾過装置において、
前記エアリフト管が可撓性を有し、かつ前記エアリフト管の点検、交換時における抜き取り応力によって生じる変形や切断を防止するため、少なくとも2本のワイヤの両端をそれぞれ前記エアリフト管上部の可撓性部材ではないリジッドなガイドリングと、下部の前記可撓性部材ではないリジッドなエア供給部とに固定されているので、
エアリフト管を抜き取るために上部のガイドリングに加えられた力が、少なくとも2本のワイヤを介してエアリフト管下部のエア供給部に伝達されることから、前記エアリフト管の可撓性部材、及び可撓部材と接続金具との接続部には抜き取りに伴う張力が一切加わらず、可撓性部材の変形や切断、可撓性部材と接続金具と離脱の危惧は皆無となり、点検又は交換の作業が安全かつ確実に実施できる。
また、可撓性部材にコーティングワイヤや補強繊維コード等によって補強された特製のゴムホース等の使用を不要とし、コスト低減が図れる。
〈2〉前記エアリフト管が、その中間に中間エア供給部を設けられてなり、前記ワイヤが前記中間エア供給部に備えられたアイナットに挿通されているので、
エアリフト管上部のガイドリングに加えられたエアリフト管を抜き取る力が、前記中間エア供給部の存在に係わらず、少なくとも2本のワイヤを介してエアリフト管下部のエア供給部に伝達され、前記エアリフト管の上部と下部に同時に抜き取る力が加わることから、可撓性部材の変形や切断のおそれがなく、また中間エア供給部と可撓性部材との接続が外れてしまう危惧はなく、点検又は交換の作業が安全確実に実施できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明のエアリフト管の構成斜視図
図2】エアリフト管上部構造とワイヤ接続状態を示す斜視図
図3】エアリフト管中間部構造とワイヤ挿通状態を示す斜視図
図4】エアリフト管下部構造とワイヤ接続状態を示す斜視図
図5】移床式砂濾過装置の概要構成を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の移床式砂濾過装置のエアリフト管を実施するための形態を実施例の図に基づいて説明する。
図1は本発明のエアリフト管の外形斜視図、図2はエアリフト管上部構造とワイヤ接続状態を示す斜視図、図3はエアリフト管中間部構造とワイヤ挿通状態を示す斜視図、図4はエアリフト管下部構造とワイヤ接続状態を示す斜視図、そして図5は移床式砂濾過装置の概要構成を示す断面図である。
図において1はエアリフト管、2は可撓性部材、3は下部エア供給部、3aは開口部、4は中間エア供給部、5、5’はエア吹込管、6はワイヤ、7はスペーサ、8はガイドリング、9はワイヤ固定具、10はアイナットであり、20は移床式砂濾過装置、21は濾過槽、22は濾床、23は原水注入管、24は濾過水取出口、25は洗浄部、26は洗浄排水排出口、27は保護管である。
【0009】
本発明のエアリフト管1が用いられる移床式砂濾過装置20は、図5に示すように、濾過槽21内に濾過砂を収容して濾床22を形成してなり、濾過すべき原水を前記濾床22内に配置された複数の原水注入管23を介して連続的に注入し、濾床22の濾過砂層を通過することによって清浄になって濾床上に湧出する濾過水を濾過水取出口24から取り出すとともに、原水を濾過したことによって汚れた下層の濾過砂を濾過槽21のすり鉢状の下部形状により、原水の一部とともに前記濾床22を貫通して設けられたエアリフト管1の下端の開口部に導き、濾過槽21上部から前記エアリフト管1に沿って設けられたエア吹込管5を介して吹き込まれる圧縮空気を、エアリフト管1下端でエアリフト管1内に開放してその浮力によって原水の上向流を生じさせながら、汚れた下層の濾過砂を前記エアリフト管1内を原水上向流に同伴させて上昇させ、その際濾過砂とは異なる速度で上昇する水と空気とによって濾過砂から汚染物質が剥離され、そして濾過槽21の上部に蓄えられる清浄な濾過水と隔離されるようにして設けられた洗浄部25において剥離した汚染物質を含む洗浄排水と洗浄された濾過砂とは重力により分離され、洗浄排水は可動堰26aを乗り越えて洗浄排水排出口26から排出され、洗浄された濾過砂は濾床22の上部に戻されるよう構成されており、したがって濾過槽21内に収容された濾過砂はその濾過機能を損なうことなく長期間使用できるという特徴を有している。
そしてエアリフト管1は、濾床22の中心部にあらかじめ設けられた保護管27内に挿入され、エアリフト管1外面と濾床22をなす濾過砂層とが直接接触しないようになされており、管外周に対する濾過砂層が及ぼす圧力から解放されているエアリフト管1を上方に容易に引き出して点検、交換が行えるようになされている。 r
【0010】
本発明のエアリフト管1は、図1の全体図、及び図2図4の詳細図に示すように、後述の下部エア供給部3、中間エア供給部4を除く部分が可撓性部材2で構成されている。
該リフト管1の下端部には濾床22の下層部に溜まった濾過によって汚れた濾過砂を、濾過槽21の上部からエア吹込管5を介して吹き込まれた空気の浮力による上向流によってエアリフト管1内に原水とともに取り込む開口部3aを有する下部エア供給部3が設けられ、また中間部には別途濾過槽21の上部からエア吹込管5’を介して吹き込まれる圧縮空気によってエアリフト管1内を上昇中の濾過砂を加速する中間エア供給部4が設けられている。
また、前記下部エア供給部3と中間エア供給部4には、エアリフト管1を前記保護管27の中心に挿入できるよう、また保護管27とエアリフト管1との接触面積を少なくして入り込んだ濾過砂粒の噛み込み機会を減らせたそれぞれ120度の中心角で固定される3枚のスペーサ7が設けられ、またエアリフト管1の上部には、エアリフト管1を保護管に固定するガイドリング8が設けられている。
そして前記ガイドリング8の下面及び下部エア供給部3の上部には少なくとも2個所にアイ状のワイヤ固定具9が設けられ、この間にエアリフト管1に沿ってワイヤ6が配設されている。 なお、中間エア供給部4には、前記ワイヤ6を挿通させるアイナット10が少なくとも2個所に設けられ、エアリフト管1を抜き取る際に撓めることによってワイヤ6がエアリフト管1から離れてその効果が失われるのを防止している。
本発明におけるワイヤ6としては、直径2〜5mm、好ましくは直径3mmのステンレス製のものであるが、それに限られるものでなく、引っ張り強度に強い素材であれば使用することを妨げるものでない。
また、本実施例においては、エアリフト管1に沿って配設されるワイヤ6は2本であるが、使用されるワイヤや環境を考慮して好適な強度を維持できるよう2本以上配設することもできる。
【符号の説明】
【0011】
1:エアリフト管
2:可撓性部材
3:下部エア供給部
3a:開口部
4:中間エア供給部
5、5’:エア吹込管
6:ワイヤ
7:スペーサ
8:ガイドリング
9:ワイヤ固定具
10:アイナット
20:移床式砂濾過装置
21:濾過槽
22:濾床
23:原水注入管
24:濾過水取出口
25:洗浄部
25a:可動堰
26:洗浄排水排出口
27:保護管
図1
図2
図3
図4
図5