特許第5871681号(P5871681)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5871681
(24)【登録日】2016年1月22日
(45)【発行日】2016年3月1日
(54)【発明の名称】冷凍サイクル及び冷凍ショーケース
(51)【国際特許分類】
   F25B 1/00 20060101AFI20160216BHJP
【FI】
   F25B1/00 389A
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-67761(P2012-67761)
(22)【出願日】2012年3月23日
(65)【公開番号】特開2013-200058(P2013-200058A)
(43)【公開日】2013年10月3日
【審査請求日】2015年3月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001845
【氏名又は名称】サンデンホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078330
【弁理士】
【氏名又は名称】笹島 富二雄
(74)【代理人】
【識別番号】100129425
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 護晃
(74)【代理人】
【識別番号】100154106
【弁理士】
【氏名又は名称】荒木 邦夫
(72)【発明者】
【氏名】小林 誠
【審査官】 藤崎 詔夫
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−251558(JP,A)
【文献】 特開2001−141315(JP,A)
【文献】 特開2010−112690(JP,A)
【文献】 特開2007−078318(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒を圧縮する圧縮機と、
前記圧縮機で圧縮された冷媒を凝縮させる凝縮器と、
前記凝縮器の下流で分岐された冷媒をそれぞれ膨張させる第1膨張弁及び第2膨張弁と、
前記第1膨張弁で膨張した冷媒を蒸発させる蒸発器と、
前記第2膨張弁で膨張した冷媒を蒸発させる熱交換器と、
前記熱交換器で蒸発した冷媒を駆動流とし、前記蒸発器で蒸発した冷媒を吸引流とし、駆動流と吸引流とを混合して前記圧縮機に供給するエジェクタと、
前記圧縮機と前記凝縮器との間に設けられ、前記圧縮機の潤滑油を冷媒から分離する油分離器と、
前記油分離器で分離された潤滑油の少なくとも一部を前記熱交換器と前記エジェクタとの間の冷媒配管に供給する第1流路と、
を含んで構成されたことを特徴とする冷凍サイクル。
【請求項2】
前記第1流路上に、前記潤滑油の供給量を調整する第1弁手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の冷凍サイクル。
【請求項3】
前記油分離器で分離された潤滑油の少なくとも一部を前記エジェクタと前記圧縮機との間の冷媒配管に供給する第2流路を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の冷凍サイクル。
【請求項4】
前記第2流路上に、前記潤滑油の供給量を調整する第2弁手段を備えたことを特徴とする請求項3に記載の冷凍サイクル。
【請求項5】
前記熱交換器は、前記第2膨張弁で膨張した冷媒を、前記凝縮器で凝縮した冷媒との熱交換により蒸発させることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の冷凍サイクル。
【請求項6】
前記熱交換器は、前記第2膨張弁で膨張した冷媒を、前記凝縮器の下流で分岐される前の冷媒との熱交換により蒸発させることを特徴とする請求項5に記載の冷凍サイクル。
【請求項7】
前記熱交換器は、前記第2膨張弁で膨張した冷媒を、前記凝縮器の下流で分岐され前記第1膨張弁で膨張する前の冷媒との熱交換により蒸発させることを特徴とする請求項5に記載の冷凍サイクル。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の冷凍サイクルを含んで構成される冷凍ショーケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エジェクタを備えた冷凍サイクル及び冷凍ショーケースに関し、詳しくは、圧縮機の潤滑油をエジェクタの駆動流の一部として使用することにより、駆動流の流量を増加させることができる冷凍サイクル及び冷凍ショーケースに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の冷凍サイクルとして、圧縮機と、凝縮器と、凝縮器を通過した冷媒を膨張させる第1膨張弁及び第2膨張弁と、第1膨張弁によって膨張した冷媒と、第2膨張弁によって膨張する前の冷媒とを熱交換させる内部熱交換器と、第1膨張弁によって膨張した冷媒を熱交換により蒸発させる蒸発器と、第2膨張弁及び内部熱交換器を通過した冷媒を駆動流とし、内部熱交換器及び第1膨張弁を通過した冷媒を吸引流として、これら駆動流と吸引流とを混合して圧縮機に供給するエジェクタと、を備えたものがあった(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−82693号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、前記従来の冷凍サイクルにおいては、内部熱交換器で十分な気化熱が得られなかった場合、エジェクタの駆動流として使用される冷媒が不足し、冷凍サイクルの効率が低下するおそれがあった。
【0005】
そこで、このような問題点に対処し、本発明が解決しようとする課題は、エジェクタの駆動流の流量を増加させることができる冷凍サイクル及び冷凍ショーケースを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、第1の発明による冷凍サイクルは、冷媒を圧縮する圧縮機と、前記圧縮機で圧縮された冷媒を凝縮させる凝縮器と、前記凝縮器の下流で分岐された冷媒をそれぞれ膨張させる第1膨張弁及び第2膨張弁と、前記第1膨張弁で膨張した冷媒を蒸発させる蒸発器と、前記第2膨張弁で膨張した冷媒を蒸発させる熱交換器と、前記熱交換器で蒸発した冷媒を駆動流とし、前記蒸発器で蒸発した冷媒を吸引流とし、駆動流と吸引流とを混合して前記圧縮機に供給するエジェクタと、前記圧縮機と前記凝縮器との間に設けられ、前記圧縮機の潤滑油を冷媒から分離する油分離器と、前記油分離器で分離された潤滑油の少なくとも一部を前記熱交換器と前記エジェクタとの間の冷媒配管に供給する第1流路と、を含んで構成されたものである。
【0009】
本発明による冷凍ショーケースは、本発明による冷凍サイクルを含んで構成されたものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明による冷凍サイクル及び冷凍ショーケースによれば、油分離器で分離した圧縮機の潤滑油をエジェクタの駆動流の一部として使用することができる。したがって、エジェクタの駆動流の流量が増加し、冷凍サイクルの効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明による冷凍サイクルの第1実施形態を示す概略構成図である。
図2】前記第1実施形態の他の実施例を示す概略構成図である。
図3】本発明による冷凍サイクルの第2実施形態を示す概略構成図である。
図4】本発明による冷凍サイクルの第3実施形態を示す概略構成図である。
図5】前記第3実施形態の他の実施例を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明による冷凍サイクルの第1実施形態について、図1,2を参照して説明する。
この冷凍サイクルは、冷凍ショーケース、自動販売機及び空調設備等に使用されるものであり、図1に示すように、圧縮機1と、凝縮器2と、熱交換器3と、第1膨張弁4と、蒸発器5と、第2膨張弁6と、エジェクタ7と、これらを接続する冷媒配管A〜Hと、を含んで構成される。
【0013】
圧縮機1は、冷媒を圧縮して昇温・昇圧するものであり、レシプロ圧縮機、斜板式圧縮機、スクリュー式圧縮機、スクロール式圧縮機等の周知の圧縮機から選択することができる。圧縮機1で圧縮された冷媒は、冷媒配管Aを通って凝縮器2に供給される。
【0014】
凝縮器2は、圧縮機1で圧縮された冷媒を、外気との熱交換により冷却して凝縮させる。凝縮器2で凝縮した冷媒は、冷媒配管Bを通って熱交換器3に供給される。
【0015】
熱交換器3は、凝縮器2で凝縮した冷媒と第2膨張弁6で膨張した冷媒とを熱交換させることにより、凝縮器2で凝縮した冷媒をさらに冷却し、第2膨張弁6で膨張した冷媒を蒸発させる。熱交換器3で冷却された冷媒は、冷媒配管Cを通り、凝縮器2の下流の分岐点Sで冷媒配管C,Cに分岐される。
【0016】
まず、冷媒配管Cに分岐された冷媒について説明する。冷媒配管Cに分岐された冷媒は、第1膨張弁4に供給される。なお、冷媒配管Cに分岐される冷媒の流量は、第1膨張弁4,第2膨張弁6のそれぞれの開度を調整することにより制御することができる。
【0017】
第1膨張弁4は、熱交換器3で冷却された冷媒を減圧することにより膨張させる。第1膨張弁4で膨張した冷媒は、冷媒配管Dを通って蒸発器5に供給される。
【0018】
蒸発器5は、第1膨張弁4を通過した冷媒と空気とを熱交換させることにより、空気を冷却し、冷媒を蒸発させる。冷媒は、蒸発器5を通過した時点で所定の過熱度を有するように熱交換(加熱)されるのが好ましい。蒸発器5で蒸発した冷媒は、冷媒配管Eを通ってエジェクタ7に吸引される。
【0019】
次に、冷媒配管Cに分岐された冷媒について説明する。冷媒配管Cに分岐された冷媒は、第2膨張弁6に供給される。なお、冷媒配管Cに分岐される冷媒の流量は、第1膨張弁4,第2膨張弁6のそれぞれの開度を調整することにより制御することができる。
【0020】
第2膨張弁6は、熱交換器3で冷却された冷媒を減圧することにより膨張させる。第2膨張弁6で膨張した冷媒の圧力は、第1膨張弁4で膨張した冷媒の圧力よりも高くされるのが好ましい。第2膨張弁6で膨張した冷媒は、冷媒配管Fを通って熱交換器3に供給される。
【0021】
熱交換器3に供給された冷媒は、凝縮器2の下流の分岐点Sで分岐される前(分岐点Sより上流)の冷媒と熱交換されて蒸発する。熱交換器3で蒸発した冷媒は、熱交換器3から冷媒配管Gを通り、エジェクタ7に駆動流として供給される。
【0022】
エジェクタ7は、熱交換器3で蒸発した冷媒を駆動流とし、この駆動流により生じる静圧低下によって蒸発器5で蒸発した冷媒を吸引し、駆動流と吸引流とを混合して圧縮機1に供給する。このエジェクタ7は、駆動流の運動エネルギーを利用して蒸発器5で蒸発した冷媒を吸引するため、冷凍サイクルの効率を向上させることができる。エジェクタ7で混合された冷媒は、冷媒配管Hを通って圧縮機1に供給される。
【0023】
ここで、本発明による冷凍サイクルは、油分離器8をさらに備える。油分離器8は、圧縮機1を潤滑する潤滑油を冷媒から分離し、凝縮器2への潤滑油の流入を妨げるものであり、圧縮機1と凝縮器2との間の冷媒配管A上に設けられている。油分離器8には、分離された潤滑油の流路である第1流路Pと第2流路Qとが接続されている。
【0024】
第1流路Pは、油分離器8と冷媒配管Gとを接続する流路であり、油分離器8で分離された潤滑油の少なくとも一部は、第1流路Pを通って冷媒配管Gに供給される。第1流路Pを通って冷媒配管Gに供給された潤滑油は、熱交換器3から供給された冷媒とともに、エジェクタ7に駆動流として供給される。第1流路P上には、エジェクタ7に供給される潤滑油の供給量を調整する第1弁手段9が設けられており、第1弁手段9の開度を制御することにより潤滑油の供給量を調整することができる。
【0025】
第2流路Qは、油分離器8と冷媒配管Hとを接続する流路であり、油分離器8で分離された潤滑油の少なくとも一部は、第2流路Qを通って冷媒配管Hに供給される。第2流路Qを通って冷媒配管Hに供給された潤滑油は、エジェクタ7から供給された冷媒とともに、圧縮機1に供給される。第2流路Q上には、圧縮機1に供給される潤滑油の供給量を調整する第2弁手段10が設けられており、第2弁手段10の開度を制御することにより潤滑油の供給量を調整することができる。第2弁手段10として、第2流路Qを開閉制御する電磁弁が使用されるのが好ましい。
【0026】
本実施形態によれば、冷凍サイクルは、冷媒を圧縮する圧縮機1と、圧縮機1で圧縮された冷媒を凝縮させる凝縮器2と、凝縮器2の下流の分岐点Sで分岐された冷媒をそれぞれ膨張させる第1膨張弁4及び第2膨張弁6と、第1膨張弁4で膨張した冷媒を蒸発させる蒸発器5と、第2膨張弁6で膨張した冷媒を蒸発させる熱交換器3と、蒸発器5で蒸発した冷媒を吸引流とし、熱交換器3で蒸発した冷媒を駆動流とし、吸引流と駆動流とを混合して圧縮機1に供給するエジェクタ7と、圧縮機1と凝縮器2との間に設けられ、圧縮機1の潤滑油を冷媒から分離する油分離器8と、油分離器8で分離された潤滑油の少なくとも一部を熱交換器3とエジェクタ7との間の冷媒配管Gに供給する第1流路Pと、を含んで構成されるため、油分離器8で分離した圧縮機1の潤滑油を、第1流路Pを介してエジェクタ7に駆動流として供給することができる。これにより、エジェクタ7の駆動流の流量が増加し、冷凍サイクルの効率を向上させることができる。
【0027】
また本実施形態によれば、冷凍サイクルは、第1流路P上に、潤滑油の供給量を調整する第1弁手段9を備えるため、第1弁手段9の開度を制御することにより、冷媒配管Gへの潤滑油の供給量を調整し、エジェクタ7の駆動流の流量を適切に調整することができる。
【0028】
また本実施形態によれば、冷凍サイクルは、油分離器8で分離された潤滑油の少なくとも一部をエジェクタ7と圧縮機1との間の冷媒配管Hに供給する第2流路Qを備えるため、油分離器8から冷媒配管Gに供給される潤滑油の供給量が減少したり、油分離器8で分離される潤滑油の量が増加することにより、潤滑油に余剰が生じた場合であっても、潤滑油を第2流路Qを介して圧縮機1に供給することができる。これにより、油分離器8での潤滑油の分離不良や、冷媒配管Gへの潤滑油の供給過剰を防止することができる。
【0029】
また本実施形態によれば、冷凍サイクルは、第2流路Q上に、潤滑油の供給量を調整する第2弁手段10を備えるため、第2弁手段10の開度を制御することにより、冷媒配管Hへの潤滑油の供給量を適切に調整することができる。
【0030】
また本実施形態によれば、熱交換器3は、第2膨張弁6で膨張した冷媒を、凝縮器2で凝縮した冷媒との熱交換により蒸発させる。すなわち、凝縮器2で凝縮した冷媒は、第2膨張弁6で膨張した冷媒によりさらに冷却される。したがって、凝縮器2で凝縮した冷媒の過冷却度を増加させ、冷凍サイクルの効率を向上させることができる。
【0031】
また本実施形態によれば、熱交換器3は、第2膨張弁6で膨張した冷媒を、凝縮器2の下流の分岐点Sで分岐される前の冷媒との熱交換により蒸発させる。すなわち、凝縮器2で凝縮した冷媒は、あらかじめ熱交換器3で冷却された冷媒によりさらに冷却される。したがって、凝縮器2で凝縮した冷媒の過冷却度を増加させ、冷凍サイクルの効率を向上させることができる。
【0032】
なお、本実施形態において、熱交換器3は、第2膨張弁6で膨張した冷媒を、凝縮器2の下流の分岐点Sで分岐される前の冷媒との熱交換により蒸発させるものであったが、図2に示すように、第2膨張弁6で膨張した冷媒を、凝縮器2の下流の分岐点Sで分岐され第1膨張弁4で膨張する前の冷媒との熱交換により蒸発させる構成としてもよい。
【0033】
次に、本発明の第2実施形態について、図3を参照して説明する。この冷凍サイクルは、圧縮機1と、凝縮器2と、エジェクタ7と、気液分離器11と、蒸発器5と、これらを接続する冷媒配管A〜Iとを含んで構成される。
【0034】
本実施形態において、圧縮機1で圧縮された冷媒は、冷媒配管Aを通って凝縮器2に供給され、凝縮器2で凝縮し、冷媒配管Bを通ってエジェクタ7に駆動流として供給され、エジェクタ7により駆動流と吸引流とを混合され、圧縮機1に供給される。エジェクタ7と圧縮機1との間には、エジェクタ7から圧縮機1に供給される冷媒から液相の冷媒を分離する気液分離器11が設けられており、エジェクタ7から吐出された冷媒は、冷媒配管Hを通って気液分離器11に流入する。気液分離器11に流入した冷媒のうち、気相の冷媒は冷媒配管Iを通って圧縮機1に供給され、液相の冷媒は分離されて冷媒配管Dを通って蒸発器5に供給される。蒸発器5に供給された液相の冷媒は蒸発器5で蒸発し、エジェクタ7の駆動流によって生じる静圧低下により、冷媒配管Eを通ってエジェクタ7の吸引流として吸引される。
【0035】
圧縮機1と凝縮器2との間には、圧縮機1の潤滑油を冷媒から分離する油分離器8が設けられている。油分離器8には、分離した冷媒の流路である第1流路Pと第2流路Qとが接続されている。
【0036】
第1流路Pは、油分離器8と冷媒配管Bとを接続する流路であり、油分離器8で分離された潤滑油の少なくとも一部は、第1流路Pを通って冷媒配管Bに供給される。第1流路Pを通って冷媒配管Bに供給された潤滑油は、凝縮器2から供給された冷媒とともに、エジェクタ7に駆動流として供給される。第1流路P上には、エジェクタ7に供給される潤滑油の供給量を調整する第1弁手段9が設けられており、第1弁手段9の開度を制御することにより潤滑油の供給量を調整することができる。
【0037】
第2流路Qは、油分離器8と冷媒配管Iとを接続する流路であり、油分離器8で分離された潤滑油の少なくとも一部は、第2流路Qを通って冷媒配管Iに供給される。第2流路Qを通って冷媒配管Iに供給された潤滑油は、エジェクタ7から供給された冷媒とともに、圧縮機1に供給される。第2流路Q上には、圧縮機1に供給される潤滑油の供給量を調整する第2弁手段10が設けられており、第2弁手段10の開度を制御することにより潤滑油の供給量を調整することができる。第2弁手段10として、第2流路Qを開閉制御する電磁弁が使用されるのが好ましい。
【0038】
本実施形態によれば、冷凍サイクルは、冷媒を圧縮する圧縮機1と、圧縮機1で圧縮された冷媒を凝縮させる凝縮器2と、凝縮器2で凝縮された冷媒を駆動流とし、駆動流によって生じる静圧低下により吸引される吸引流と前記駆動流とを混合して圧縮機1に供給するエジェクタ7と、エジェクタ7から圧縮機1に供給される冷媒から液相の冷媒を分離する気液分離器11と、気液分離器11で分離された液相冷媒を蒸発させてエジェクタ7の吸引流として供給する蒸発器5と、圧縮機1と凝縮器2との間に設けられ、圧縮機1の潤滑油を冷媒から分離する油分離器8と、油分離器8で分離された潤滑油の少なくとも一部を凝縮器2とエジェクタ7との間の冷媒配管Bに供給する第1流路Pと、を含んで構成されるため、油分離器8で分離した圧縮機1の潤滑油を、第1流路Pを介してエジェクタ7に駆動流として供給することができる。これにより、エジェクタ7の駆動流の流量が増加し、冷凍サイクルの効率を向上させることができる。
【0039】
次に、本発明の第3実施形態について、図4,5を参照して説明する。この冷凍サイクルは、圧縮機1と、凝縮器2と、膨張弁4と、第1蒸発器5aと、エジェクタ7と、第2蒸発器5bと、これらを接続する冷媒配管A〜Iとを含んで構成される。
【0040】
本実施形態において、圧縮機1で圧縮された冷媒は、冷媒配管Aを通って凝縮器2に供給され、凝縮器2で凝縮し、冷媒配管Bを通り、凝縮器2の下流の分岐点Sで冷媒配管B,Bに分岐される。
【0041】
冷媒配管Bに分岐された冷媒は、膨張弁4で膨張し、冷媒配管Dを通って第1蒸発器5aに供給され、第1蒸発器5aで外気との熱交換により蒸発し、冷媒配管Eを通ってエジェクタ7の吸引流として吸引される。
【0042】
冷媒配管Bに分岐された冷媒は、エジェクタ7に駆動流として供給され、吸引流と混合されて圧縮機1に供給される。
【0043】
エジェクタ7と圧縮機1との間には、第2蒸発器5bが設けられており、エジェクタ7から吐出された冷媒は、冷媒配管Hを通って第2蒸発器5bに供給され、外気との熱交換により蒸発する。蒸発器5bで蒸発した冷媒は、冷媒配管Iを通って圧縮機1に供給される。
【0044】
本実施形態において、第1蒸発器5aと第2蒸発器5bとは、並べて配置されており、全体で1つの蒸発器5を構成している。蒸発器5内において、第1蒸発器5aは風下側に、第2蒸発器5bは風上側に配置される。したがって、蒸発器5で冷却される外気(空気)は、まず第2蒸発器5bで冷却され、次に第1蒸発器5aで冷却される。蒸発器5は、蒸発器5により効率的に外気を冷却するために、第2蒸発器5bから第1蒸発器5aに向かって送風するファン12を備えるのが好ましい。
【0045】
圧縮機1と凝縮器2との間には、圧縮機1の潤滑油を冷媒から分離する油分離器8が設けられている。油分離器8には、分離した冷媒の流路である第1流路Pと第2流路Qとが接続されている。
【0046】
第1流路Pは、油分離器8と冷媒配管Bとを接続する流路であり、油分離器8で分離された潤滑油の少なくとも一部は、第1流路Pを通って冷媒配管Bに供給される。第1流路Pを通って冷媒配管Bに供給された潤滑油は、凝縮器2から供給された冷媒とともに、エジェクタ7に駆動流として供給される。第1流路P上には、エジェクタ7に供給される潤滑油の供給量を調整する第1弁手段9が設けられており、第1弁手段9の開度を制御することにより潤滑油の供給量を調整することができる。
【0047】
第2流路Qは、油分離器8と冷媒配管Iとを接続する流路であり、油分離器8で分離された潤滑油の少なくとも一部は、第2流路Qを通って冷媒配管Iに供給される。第2流路Qを通って冷媒配管Iに供給された潤滑油は、エジェクタ7から第2蒸発器5bを通って供給された冷媒とともに、圧縮機1に供給される。第2流路Q上には、圧縮機1に供給される潤滑油の供給量を調整する第2弁手段10が設けられており、第2弁手段10の開度を制御することにより潤滑油の供給量を調整することができる。第2弁手段10として、第2流路Qを開閉制御する電磁弁が使用されるのが好ましい。
【0048】
本実施形態によれば、冷凍サイクルは、冷媒を圧縮する圧縮機1と、圧縮機1で圧縮された冷媒を凝縮させる凝縮器2と、凝縮器2の下流の分岐点Sで分岐された冷媒の一方(冷媒配管Bに分岐された冷媒)を膨張させる膨張弁4と、膨張弁4で膨張した冷媒を蒸発させる第1蒸発器5aと、凝縮器2の下流の分岐点Sで分岐された冷媒の他方(冷媒配管Bに分岐された冷媒)を駆動流とし、第1蒸発器5aで蒸発した冷媒を吸引流とし、駆動流と吸引流とを混合して圧縮機1に供給するエジェクタ7と、エジェクタ7から圧縮機1に供給される冷媒を蒸発させる第2蒸発器5bと、圧縮機1と凝縮器2との間に設けられ、圧縮機1の潤滑油を冷媒から分離する油分離器8と、油分離器8で分離された潤滑油の少なくとも一部を凝縮器2とエジェクタ7との間の冷媒配管Bに供給する第1流路Pと、を含んで構成されるため、油分離器8で分離した圧縮機1の潤滑油を、第1流路Pを介してエジェクタ7に駆動流として供給することができる。これにより、エジェクタ7の駆動流の流量が増加し、冷凍サイクルの効率を向上させることができる。
【0049】
なお、本実施形態において、第1流路Pは、油分離器8と冷媒配管Bとを接続しているが、図5に示すように、油分離器8と冷媒配管Bとを接続してもよい。このような構成により、第1流路Pを介して供給した潤滑油が分岐点Sで分岐して冷媒配管Bに流入しなくなる。したがって、供給する潤滑油の量を減少させることができる。
【0050】
以上、本発明による冷凍サイクルの実施形態について説明したが、本発明による冷凍サイクルはこれに限られず、例えば、第1弁手段9及び第2弁手段10の開度が、冷凍サイクルの運転状態に応じて制御手段により制御されるように構成されてもよい。冷凍サイクルの運転状態として、外気温度や冷凍サイクルの各部における冷媒の温度・圧力等が挙げられるが、これに限られない。なお、第1弁手段9及び第2弁手段10は、電磁弁等の周知の弁手段から選択することができる。
【0051】
以下、本発明による冷凍ショーケースの実施形態について説明する。この冷凍ショーケースは、図1〜5にその実施形態を示したような本発明による冷凍サイクルを含んで構成される。冷凍ショーケースの内部には、少なくとも蒸発器5が内蔵され、蒸発器5が冷凍ショーケース内の空気を冷却する。冷凍サイクルを構成する凝縮器2は、冷媒から効率的に放熱するために室外に設置されてもよい。
【符号の説明】
【0052】
1…圧縮機
2…凝縮器
3…熱交換器
4…第1膨張弁
5…蒸発器
5a…第1蒸発器
5b…第2蒸発器
6…第2膨張弁
7…エジェクタ
8…油分離器
9…第1弁手段
10…第2弁手段
11…気液分離器
12…ファン
A〜I…冷媒配管
P…第1流路
Q…第2流路
S…分岐点
図1
図2
図3
図4
図5