(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本実施形態に係る医用画像表示装置および医用情報管理サーバを実施するための形態について、添付図面を参照して説明する。
【0015】
まず、
図1を参照して、本実施形態に係る医用画像表示装置および医用情報管理サーバの構成について説明する。
【0016】
MRI装置またはCT装置などの医用画像撮像装置21は、撮像によって断面像(断面上の信号値によって構成される画像)を収集し、ネットワーク20を経由して医用情報管理サーバ15に送信する。なお、このネットワーク20は、例えば、病院や検査機関などのイントラネットであっても良いし、インターネットであっても良い。
【0017】
医用画像表示装置1は、医用情報管理サーバ15に接続して、医用画像撮像装置21が撮像した断面像、または断面像から構築した3次元データを描画して生成した医用画像などを表示し、ユーザが読影および診断情報の入力を行うためのコンピュータ装置であり、例えば、CPU(Central Processing Unit)、メモリ、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、入出力インタフェース、LCD(Liquid Crystal Display)、キーボード、マウスなどから構成される。
【0018】
医用画像表示装置1は、ユーザからの入力を処理する入力部2、医用画像を表示する画面を保有する表示部3、医用情報管理サーバ15および院内情報システム22と情報の送受信を行う通信部4、読影依頼案件および医用情報のリスト、ユーザリストなどを管理するリスト管理部6、描画対象の管理や位置の制御などを行う描画制御部7、断面像および3次元データの変換処理や描画を行う描画処理部8、および、医用画像、描画設定、診断情報などを一時的に保存する記憶部10を備えている。
図1の例において、リスト管理部6、描画制御部7および描画処理部8は、制御部5の一部である。制御部5は、例えば、CPUがメモリに格納されたプログラムを実行することによって実現される。したがって、以下の説明において制御部5(すなわちリスト管理部6、描画制御部7、描画処理部8)が実行する処理は、実際には、メモリに格納されたプログラムに従うCPUによって実行される。
【0019】
なお、医用画像表示装置1は、読影を行わず、医用画像や診断情報を閲覧することを主目的とする装置であっても良い。
【0020】
医用情報管理サーバ15は、いわゆるPACS(Picture Archiving and Communication System:医用画像診断支援システム)サーバであり、医用画像、診断情報、および患者に関する情報などの医用情報を管理するもので、制御部16、通信部17および記憶部18からなる。
【0021】
制御部16は、通信部17が受信したデータを記憶部18が備えるデータベースへ格納する格納処理、および医用画像表示装置1からのデータ要求に応じたデータを記憶部18が備えるデータベースから取得する検索処理などを行う。制御部16は、例えば、CPUとメモリによって実現される。
【0022】
通信部17は、医用画像表示装置1、医用画像撮像装置21、および、患者、検査、会計などの情報を管理する院内情報システム22などとデータの送受信を行う。
【0023】
記憶部18は、医用画像撮像装置21から収集した断面像、医用画像表示装置1で生成された医用画像、描画設定、診断情報、レポートなどの情報、および、院内情報システム22から取得した患者に関する情報などを蓄積するデータベースを備える。記憶部18は、例えば、HDDなどによって実現される。なお、前記のすべての情報に対するデータベースを備えた記憶部18を持つ医用情報管理サーバ15を用いても良いし、特定のデータベースのみを備えた記憶部18を持つ複数の医用情報管理サーバ15を連携して用いても良いし、同等のデータベースを保有する院内情報システム22を連携して用いても良い。
【0024】
次に、医用画像の描画に関する情報の構成例について、
図2を用いて説明する。
【0025】
図2に示す描画設定30は、描画方法31および描画パラメータ32からなる情報である。
【0026】
描画方法31は、3次元データに対して投影処理を行う方法を識別する情報である。より詳細には、3次元データに対する投影処理とは、医用画像撮像装置21によって得られた断面像から構築された信号値(例えばCT値)の3次元の配列に基づいて、2次元の画面上に画像を投影する処理である。このような投影処理を行う方法として、例えばVR(Volume Rendering:ボリュームレンダリング、SR(Surface Rendering:サーフェースレンダリング)、MIP(Maximum Intensity Projection:最大値投影法)、MinIP(Minimum Intensity Projection:最小値投影法)、またはVE(Virtual Endoscopy:仮想内視鏡画像)などがある。以下、本実施形態では3次元データに対して投影処理を行う描画方法について説明する。
【0027】
描画パラメータ32は、上記の描画方法によって2次元データを生成し、その2次元データに基づいて画像を表示するために適用されるパラメータである。具体的には、描画パラメータ32は、対象となる値の範囲33、および、描画方法31に関わるその他のパラメータ34によって構成される。
【0028】
対象となる値の範囲33とは、医用画像撮像装置21によって測定された信号値の範囲に対して、その他のパラメータ34の適用対象となる信号値の範囲を限定するものである。例えば、CT値(CT装置で測定される信号値)の範囲は一般に−2000〜+4000程度であり、脳に対する描画パラメータ32を設定するのであれば、対象となる値の範囲33として60〜90程度の信号値の範囲を指定する。範囲外の信号値に関してはその他のパラメータ34は適用されない。
【0029】
その他のパラメータ34は、例えば、描画方法31がVRの場合には、ウィンドウレベル、ウィンドウ幅、オパシティカーブ(opacity curve、信号値に対する不透明度と色の割り当て)、光源の情報、および3次元空間における視点位置などを含む。
【0030】
描画設定30は、特定の3次元データに依存しない情報である。すなわち、ある3次元データの描画に利用された描画設定を、それ以外の任意の3次元データに対して同様の描画を行う際に再利用することが可能である。記憶部18等には、種々の描画方法31と種々の描画パラメータ32との組み合わせからなる複数の描画設定30が格納されてもよい。
【0031】
描画要素35は、描画対象36および描画設定30の組み合わせである。描画対象36は、描画設定30が適用される対象(すなわち描画設定30に基づく描画の対象)を指定する情報であり、3次元データ名37およびマスク名38によって構成される。
【0032】
3次元データ名37は、3次元データ(すなわち3次元の信号値の配列)を識別する情報であり、これによって、描画設定30が適用される対象の3次元データが指定される。
【0033】
マスクは、3次元データが属する3次元空間内において描画対象領域を指定する情報であり、3次元データの各ボクセル(voxel、3次元空間における座標格子点)が描画の対象であるか否かを示す2値のデータを含む。3次元データとマスクは情報量が大きいため、本実施形態の描画対象36はそれぞれを呼び出すキーとなる名前(すなわち3次元データ名37およびマスク名38)のみを含むが、描画対象36がデータそのものを含んでも良い。
【0034】
描画要素35は、特定の3次元データに関する情報であるため、他の3次元データへの再利用ではなく、特定の3次元データに関する描画の再現を行うために用いられる。描画設定30に描画対象36を割り当てることによって、描画要素35を構成することも可能である。
【0035】
描画設定30又は描画要素35は描画制御部7が管理し、描画要素35を用いて描画処理部8が描画処理を行う。描画設定30又は描画要素35は、描画制御部7が医用画像表示装置1の記憶部10または医用情報管理サーバ15の記憶部18に保存し、必要に応じて呼び出し、そのまま用いたり、変更を加えて用いたりすることが可能である。
【0036】
また、描画設定30又は描画要素35は、複合的な医用画像を生成するために、それぞれ複数を組み合わせた集合として扱うことも可能である。
【0037】
複合的な医用画像とは、複数の描画設定30または描画対象36が混在する状態で描画を行った画像であり、3次元データまたは特定の領域ごとに異なる描画設定を用いることによって、医用画像の分かりやすさおよび読影の精度を向上することが可能である。
【0038】
ここで、読影対象の3次元データが定義された3次元座標空間において、マスク名38で指定されたマスク領域に含まれており、かつ描画方法31と描画パラメータ32により、0より大きい不透明度および色を割り当てられ、描画処理の対象となるボクセル(3次元単位格子上の点)の領域を、有効3次元データ領域91とする。例えば、
図4Aの表示物54が有効3次元データ領域91を描画したものである。
【0039】
次に表示部3の特性および記憶部10に保存される表示部の情報40の構成例について説明する。ここでは表示部3として立体表示が可能なディスプレイを用いる。立体表示の実現方式には、アナグリフ(anaglyph)や分光などの波長分割方式、シャッター眼鏡などの時分割方式、偏向、バリア(barrier)、レンチキュラ(lenticular)などの空間分割方式、IntegralPhotography、ホログラム(hologram)、重畳投影などの光線再生方式など、様々な方式がある。選択した方式により、立体視を適切に行うことが可能な飛び出し量の範囲や、奥行位置に応じた画質(画像の認識のし易さ)の変化などの特性が異なる。適正な飛び出し量の範囲を超えて表示すると、ユーザが視覚疲労を生じたり、可読性が低下したりするおそれがある。
【0040】
また立体表示の方式により表示部3へ表示する出力画像の形式、数量、生成条件などが異なるため、制御部5は出力画像を生成する際に表示部の情報40を用いる必要がある。表示部の情報40は記憶部10に保存され、表示部3を接続する際に設定しても良いし、あらかじめいくつかの方式に関する複数の情報を記憶部10に蓄積しておき、必要に応じて切り替えても良い。
【0041】
さらに、表示部3として立体表示できないディスプレイを用いることも可能であり、このとき表示部の情報40としては立体表示が不可であるという情報を含み、本実施例で述べる描画手順により描画された出力画像を、立体表示せずに表示することも可能である。
【0042】
図3は記憶部10に保存される、立体視表示が可能な表示部の情報40の例である。表示部の情報40は、画像形式42、画像枚数43、画像生成条件44などの立体視に必要となる出力画像の情報41と、文字情報および図形情報それぞれに対する、適切に立体視可能な奥行値の推奨範囲45とを含む。さらに表示部3の画面50に垂直なz軸72上の奥行値により画面50に平行なx−y平面上の画質(画像の認識のし易さ)が変化する場合は、その情報を含んでも良い。描画制御部7は、配置が可変である描画対象に関して、配置を決定する際に、記憶部10に保存された表示部の情報40を参照し、立体視可能な奥行値の推奨範囲45内において配置を行い、画像形式42で指定された形式の画像を、画像枚数43で指定された数量で画像生成条件44に従い描画を行う。
【0043】
次に、
図4Aを用いて表示部3の画面50と付帯情報の例について説明する。表示部3に表示される画面50は、全体を立体表示しても良いし、画面内の一部分だけ立体表示しても良い。
図4Aでは一部分に立体画像表示領域51を設けている例であり、立体画像表示領域51以外にも、断面像表示領域52や、さまざまな操作メニューやライブラリ、設定内容などを表示するツール領域53などを含む。立体画像表示領域51内には、描画要素35に基づき描画された医用画像(即ち、表示物)54を立体表示する。ここで、立体画像表示領域51内に表示する、描画要素35から生成された医用画像54以外のすべての情報を付帯情報とする。付帯情報の例として、ユーザが入力操作を行うマウスカーソル60、患者や検査、描画設定に関する文字情報、3次元データの値に対する色の割当を示すカラースケール、医用画像の大きさを示すサイズスケール、医用画像の特定の位置に割り当てたマーカ55やROI56、57、2点間距離や周囲長、面積、体積などを測る計測ツール59、診断所見などのコメント58、見ている方向を示す姿勢情報などがある。これらの付帯情報は、描画要素35に含まれている情報や、ユーザが付与して記憶部10に蓄積された情報などにより生成される。
【0044】
付帯情報は、立体画像表示領域51内に表示する際に、奥行位置を設定して描画を行う必要がある。ただし3次元データから医用画像54を生成する投影方法はVR(Volume Rendering)など読影に用いるための特殊な方法である場合が多く、付帯情報はポリゴンレンダリング(polygon rendering)など別の方法で描画する必要がある。そこで、特開2004−86428号公報のように3次元データと付帯情報それぞれに対して別々に出力画像と奥行画像(出力画像中の各画素について、その画素値を算出する投影光線上において、有効3次元データ領域91のうち最も手前側にあるボクセルのz軸72の値を記録したもの)を生成し、奥行画像を参照しながら重ね合せる方法が提案されている。本画像表示装置1においても、描画処理部8が奥行画像を用いて出力画像の統合処理を行うものとする。ただし3次元データに付帯情報を重畳して出力画像を生成する方法は、これ以外の方法を用いても良い。
【0045】
付帯情報を表示する位置の取り扱いは、付帯情報の性質により異なる。付帯情報の性質は、付帯情報種別501、付帯情報の(表示)形式502、画面内の位置503、及び3次元データ座標との位置の関連504からなる。
【0046】
図5に付帯情報の性質に応じた表示位置の取り扱いの例を示す。例えば、患者や検査、描画設定に関する文字情報や、カラースケール(color scale)、サイズスケール(size scale)、姿勢情報などは、医用画像54の表示位置に依存しない情報であるため、立体画像表示領域51内の特定の位置に固定した方が見やすいと考えられる。ただし、ここで固定とするのは、
図4Bに示すように、画面50に平行なx軸70とy軸71を定めたx−y平面内での位置であり、奥行に相当するz軸72上の位置は変更しても良い場合がある。また必要に応じて表示のオンとオフを切り替えても良い。
【0047】
それぞれの付帯情報には、
図5に示した例のような、付帯情報の配置・表示方針80を割り当てて付帯情報と共に記憶部に保存する。付帯情報の配置・表示方針80の構成例を
図6に示す。この情報は、あらかじめシステム管理者などが設定しておいても良いし、ユーザが個別に設定を変更しても良い。また、付帯情報の種別ごとに一括して割り当てても良いし、一つ一つの付帯情報ごとに設定を変えても良い。
【0048】
付帯情報の配置・表示方針80は、奥行位置の固定/非固定81、画面内位置の固定/非固定82、表示/非表示の切替可否83、表示優先度84、3次元データの特定の座標位置もしくは他の付帯情報との関連性85、ユーザ操作との関連性86、及び3次元データとのオクルージョン(occulusion)処理87からなる。
図6の項目81〜84及び86は、
図5の画面内の位置503に対応し、項目85は、
図5の3次元データ座標との位置の関連504に対応する。
【0049】
奥行位置の固定/非固定81とは、表示部の画面に垂直なz軸上の位置を固定するか否かを設定するものである。画面内の位置の固定/非固定82とは、表示部3の画面50に平行なx−y平面上の位置を固定するか否かを設定するものである。それぞれ固定である場合には、推奨される座標値も記憶部10に保存する。表示優先度84とは、常に表示する、表示可能領域があれば表示する、同じ種別の付帯情報が複数ある場合には優先度に応じて優先表示を行う、などの優先度に応じた表示方法に関する情報を含み、いずれか1つを選択するのではなく、複数の表示方法を組み合わせても良い。
【0050】
3次元データの特定の座標位置もしくは他の付帯情報との関連性85とは、例えばROIなどのように3次元データの特定の座標位置上に重畳して表示する場合や、コメントなどのように3次元データの特定の座標位置もしくは他の付帯情報に対して引き出し線などを引いた上で近くに表示する場合などがある。ユーザ操作との関連性86とは、例えばマウスカーソル60のようにユーザのマウス入力に従い位置が決まるものであれば、関連ありとなる。
【0051】
3次元データとのオクルージョン処理87とは、付帯情報に対して適切に立体表示可能な奥行の推奨範囲45内で配置を行ったときに、3次元データ領域との重複やオクルージョン(occulusion, 手前の物体に遮られて奥の物体が見えなくなる状態)が発生して付帯情報よりも手前側に3次元データが表示される場合、3次元データの立体感を損なわないために付帯情報の可視性が阻害されるがそのまま表示するか(立体感優先)、付帯情報の可視性を優先するためにボリュームデータの立体感を損なうが付帯情報を優先して表示するか(情報表示優先)を設定するものである。なお立体感優先と設定した場合にも、ユーザのマウスクリック(mouse click)やマウスオーバー(mouse over)などの操作により一時的に付帯情報を優先表示しても良い。
【0052】
次に、本実施例による医用画像表示装置1を用いてユーザが付帯情報を含む医用画像の表示を行う流れの例と、描画制御部7が行う付帯情報の位置決定処理について、
図7を用いて説明する。ここで、ユーザとしては、読影依頼を受けた放射線科の読影医師などを想定している。
【0053】
医用画像表示装置1の入力部2がユーザからのログイン処理を受け付けると、リスト管理部6がユーザリストに基づいてユーザ認証処理を行う(S100)。リスト管理部6が読影依頼案件のリストを生成し、ユーザが読影対象の情報を選択する(S102)。ここで、読影対象の情報としては、医用画像撮像装置21で収集された断面像集合、断面像集合を用いてあらかじめ構成された3次元データ、3次元データに対して描画を行った医用画像などを想定している。また、ユーザが患者名、検査名、画像集合名などをキーとして医用情報管理サーバ15が蓄積する情報を検索することによって読影対象の情報を選択することも可能である。
【0054】
通信部4はユーザの選択に従い医用情報管理サーバ15へデータ要求を送信する。医用情報管理サーバ15は要求された情報(すなわちユーザによって選択された読影対象の情報)を記憶部18から検索して取得し、適合する情報を通信部17から医用画像表示装置1へ送信する。医用画像表示装置1の通信部4が読影対象の情報を受け取ると、該情報が断面像集合であった場合には、描画処理部8が断面像集合から3次元データを構成し、記憶部10に蓄積する(S104)。このとき、読影対象に関連付けられたROIや診断所見などの付帯情報がある場合には、同時に医用情報管理サーバ15から取得し、記憶部10に蓄積する。
【0055】
次に、表示部3が保有する画面50のツール領域53を用いて、
図2に示す、描画方法31、描画パラメータ32、読影対象の3次元データ名37、およびマスク名38の組合せからなる描画要素35をユーザが設定する(S106)。この描画要素35と、立体視に必要となる出力画像の情報41に基づき、描画処理部8が3次元データの出力画像と奥行画像の描画を行い、記憶部10に保存する(S108)。立体視に必要となる出力画像の情報41が例えば左右眼画像2枚となっている場合には、右目用および左目用の視点位置から投影処理を行い、それぞれ2枚ずつの出力画像と奥行画像が描画される。
【0056】
また、この描画の過程において、描画処理部8が有効3次元データ領域91の算出も行い、記憶部10に蓄積する。ここで、有効3次元データ領域91のz軸72上の手前側が、表示部3の立体視可能な奥行値の推奨範囲45を超える場合に、描画制御部7がz軸72上の位置を画面50の奥側へシフトさせても良い。また、ユーザが描画設定30に含まれる視点位置もしくは3次元データの表示位置の移動操作を行うことにより、この状態を回避することも可能である。
【0057】
次に、描画制御部7が、有効3次元データ領域91と、3次元データに関連付けられた付帯情報と、各付帯情報の配置・表示方針80を記憶部10より取得し、各付帯情報の描画可否と3次元空間における位置を決定する(S110)。このとき各付帯情報の配置・表示方針80は、医用情報管理サーバ15より付帯情報と共に取得した場合にはそれを用い、付帯情報に付与されていない場合には、記憶部10に蓄積されている付帯情報の種別501ごとに割り当てられた初期設定を用いる。位置決定の手順については後で詳しく述べる。
【0058】
この描画制御部7が決定した付帯情報の位置と、立体視に必要となる出力画像の情報41に基づき、描画処理部8が付帯情報の出力画像と奥行画像の描画を行い、記憶部10に保存する(S112)。また、付帯情報の配置・表示方針80の設定において3次元データとのオクルージョン処理87が情報表示優先となっている付帯情報がある場合は、各画素が付帯情報の表示を優先する領域であるか否かを2値で示す優先表示情報(ビット情報)も生成する。優先表示情報は、各画素のデータに対応して保持される。
【0059】
次に、描画処理部8が3次元データおよび付帯情報の奥行画像を参照しながら、各画素に関して奥行画像の値(z)が大きい方(前面に表示される方)を表示対象とし、そちらの出力画像の画素値を表示部3へ出力する出力画像の画素値としてコピーするという統合処理を行う(S114)。このとき、先に述べた優先表示情報が存在する場合には、付帯情報を優先表示するとされた画素については、奥行画像によらず付帯情報の出力画像の画素を用いるものとする。
【0060】
描画処理部8は、統合した出力画像を表示部3へ出力し、表示部3が画面50内の立体画像表示領域51に表示する(S116)。
【0061】
この表示された立体画像に対して、ユーザが設定の変更や付帯情報の追加などの操作を行った場合には、必要に応じてステップS108もしくはS110以降の処理を再度行う。
【0062】
次に、付帯情報の位置決定処理(S110)について、
図8を用いて説明する。まず描画制御部7は、描画処理部8により生成された有効3次元データ領域91と、3次元データに関連する付帯情報と、各付帯情報の配置・表示方針80を記憶部10より取得する(S200)。次に付帯情報群から1つを選択し(S202)、奥行位置もしくは画面内位置が固定であるか否かを調べる(S204)。いずれかが非固定であれば、描画制御部7が位置決定処理を行う(S206)。この処理の詳細については、さらに後で述べる。
【0063】
次に、ステップS202において奥行位置が固定であり、推奨値が設定されている場合に、描画制御部7が表示部3の立体表示可能な奥行の推奨範囲45に含まれているかどうかを調べ(S208)、範囲外であった場合には、付帯情報の奥行位置を立体表示可能な奥行の推奨範囲45内に補正する(S210)。
【0064】
位置が未設定の付帯情報がある場合には(S212)、ステップS202〜S210の処理を繰り返し、すべての配置が終了した後に、描画処理部8が描画を行う(S112)。
【0065】
奥行位置もしくは画面内位置が非固定の付帯情報の位置決定処理(S206)について、
図9から
図11を用いて詳しく述べる。まず、描画制御部7は、
図10Aに示すように、z軸72の値が立体視可能な奥行の推奨範囲45内である3次元領域について、
図10Bのように、有効3次元データ領域91とオクルージョンが発生しない領域92、もしくは、
図10Cのように、有効3次元データ領域91と重複せずオクルージョンにより有効3次元データ領域91の背面にならない領域93のいずれかを、配置可能領域として記憶部10に保存する(S300)。両者のどちらを用いるかは、配置すべき付帯情報の量や立体画像表示領域51の大きさなどを考慮して、自動的もしくはユーザ設定により選択しても良い。
【0066】
次に、描画制御部7が付帯情報の配置・表示方針80を参照して、ユーザ操作と関連ありの場合は、マウス入力に応じた位置に付帯情報を配置する(S304)。このときマウス入力により決まるのはx−y平面内の2次元座標であり、z軸72上の奥行位置は他の手段を用いて設定するか、立体視可能な奥行の推奨範囲45内で最も画質(画像認識のし易さ)が向上する位置に設定するものとしたり、飛び出し量0(すなわちz=0)としたりしても良い。
【0067】
付帯情報の表示優先度84の設定において「配置可能領域があれば表示」となっている場合には(S306)、配置可能領域内にこの付帯情報を配置することができるか、即ち、配置可能領域内に付帯情報を配置できるスペースがあるかどうかの判定を行う(S308)。また表示優先度84の設定において「優先順に応じた優先処理を行う」となっている場合には(S310)、描画制御部7が、記憶部10より、表示すべき付帯情報のうち同種の付帯情報をすべて取得し、付帯情報の重要度や付帯情報をユーザが付与した際の描画設定30の類似度などを基準に優先順位付けを行い、優先順位の高い付帯情報ほど視認性が高まるように表示方法を設定する(S312)。
【0068】
図11A〜11Dおよび
図12に、優先度に応じて視認性が高まる表示方法の例を示す。
図12において、コメント1101、1104を二重斜線、ドット、又は白抜きの領域で示し、マーカ1102を黒丸で示し、他の表示物で隠れたマーカ1103を破線の丸で示し、表示物1105を太線で囲って示している。
図12ではコメント1101、1104をすべて同じ大きさで最前面に表示している。ここでコメントの優先度に関して、1101a、1101b、1104の順に優先度が低くなるものとして、表示方法を変えた例を
図11A〜11Dに示す。
図11Aは優先度に応じてコメントを表示する大きさを変えた場合であり、優先度が高いコメントほど大きく表示される。小さく表示されるコメントは、表示する文字数を減らすか、もしくは文字の大きさを小さくするなどの方法により表示内容を調整する。
図11Bは優先度に応じてコメントを表示する奥行を変えた場合であり、優先度が最も高いコメント1101aのみが最前面となり、他の1101bおよび1104は表示物1105の背面に表示している。
図11Cは優先度に応じてコメントの色や透明度を変えた場合であり、
図11Dは優先度が最も高いコメント1101aだけを表示した場合を示す。なお優先度が低いコメントについて、ユーザのマウスクリックなどの選択操作により、表示状態を変更することが可能である。
【0069】
また、マーカやROIなど付帯情報の位置が3次元データの特定の座標に関連がある場合には(S314)、描画制御部7が3次元データの特定の座標に対応する位置を設定する(S316)。さらに、マーカやROIに対して付与されたコメントなど、他の付帯情報に関連がある場合には(S318)、描画制御部7が、付帯情報とその対象となる付帯情報との間に引き出し線を追加して関連性を示し、配置可能領域内で対象付近の位置を設定する(S320)。
【0070】
以上の手順により、立体視可能な奥行の範囲内で付帯情報の配置を行う。