特許第5871729号(P5871729)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5871729
(24)【登録日】2016年1月22日
(45)【発行日】2016年3月1日
(54)【発明の名称】ハウジングレスコネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 12/71 20110101AFI20160216BHJP
【FI】
   H01R12/71
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2012-145618(P2012-145618)
(22)【出願日】2012年6月28日
(65)【公開番号】特開2014-10966(P2014-10966A)
(43)【公開日】2014年1月20日
【審査請求日】2015年4月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000231073
【氏名又は名称】日本航空電子工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(74)【代理人】
【識別番号】100087790
【弁理士】
【氏名又は名称】尾関 伸介
(74)【代理人】
【識別番号】100129953
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100154900
【弁理士】
【氏名又は名称】関 京悟
(72)【発明者】
【氏名】古本 哲也
(72)【発明者】
【氏名】建部 祐
(72)【発明者】
【氏名】高橋 拓也
(72)【発明者】
【氏名】示野 竜三
【審査官】 前田 仁
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−287394(JP,A)
【文献】 特開2005−197088(JP,A)
【文献】 特開2005−056669(JP,A)
【文献】 実開平05−020280(JP,U)
【文献】 米国特許第04445274(US,A)
【文献】 特開2005−243403(JP,A)
【文献】 特開2004−111081(JP,A)
【文献】 特開2013−65459(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 12/71
H01R 11/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1金属板上に第1絶縁層が形成されて成る複数の梁部と、前記複数の梁部の前記第1絶縁層上に形成された第1導電パターンと、を有する第1ハウジングレスコネクタ部と、
第2金属板上に第2絶縁層が形成されて成る梁部接点部と、前記梁部接点部の前記第2絶縁層上に形成された複数の第2導電パターンと、を有する第2ハウジングレスコネクタ部と、
を備え、
前記第1ハウジングレスコネクタ部と前記第2ハウジングレスコネクタ部を相互に嵌合させることで、前記複数の第1導電パターンと前記複数の第2導電パターンが夫々電気的に接触する、
ハウジングレスコネクタであって、
前記第2ハウジングレスコネクタ部の隣り合う前記第2導電パターン間には、前記第1ハウジングレスコネクタ部と前記第2ハウジングレスコネクタ部を相互に嵌合させた際に、前記第1ハウジングレスコネクタ部の隣り合う前記梁部間に挿入される梁部突出部が夫々形成されている、
ハウジングレスコネクタ。
【請求項2】
請求項1に記載のハウジングレスコネクタであって、
前記複数の梁部は、片持ち梁状に形成されている、
ハウジングレスコネクタ。
【請求項3】
第1金属板上に第1絶縁層が形成されて成る面部と、前記面部の前記第1絶縁層上に形成された複数の第1導電パターンと、有する第1ハウジングレスコネクタ部と、
第2金属板上に第2絶縁層が形成されて成る面部接点部と、前記面部接点部の前記第2絶縁層上に形成された複数の第2導電パターンと、を有する第2ハウジングレスコネクタ部と、
を備え、
前記第1ハウジングレスコネクタ部と前記第2ハウジングレスコネクタ部を相互に嵌合させることで、前記複数の第1導電パターンと前記複数の第2導電パターンが夫々電気的に接触する、
ハウジングレスコネクタであって、
前記第2ハウジングレスコネクタ部の隣り合う前記第2導電パターン間には、前記第1ハウジングレスコネクタ部と前記第2ハウジングレスコネクタ部を相互に嵌合させた際に、前記第1ハウジングレスコネクタ部の隣り合う前記第1導電パターン間に挿入される面部突出部が夫々形成されている、
ハウジングレスコネクタ。
【請求項4】
請求項3に記載のハウジングレスコネクタであって、
前記第1ハウジングレスコネクタ部の隣り合う前記第1導電パターン間には、前記第1絶縁層が存在しないことで前記第1金属板が直接的に露出している面部凹部が形成されており、
前記面部突出部は、前記第1ハウジングレスコネクタ部と前記第2ハウジングレスコネクタ部を相互に嵌合させた際、前記面部凹部に挿入される、
ハウジングレスコネクタ。
【請求項5】
請求項1〜4の何れかに記載のハウジングレスコネクタであって、
前記梁部突出部又は前記面部突出部の嵌合方向における先端部は、先細り状に形成されている、
ハウジングレスコネクタ。
【請求項6】
請求項1〜5の何れかに記載のハウジングレスコネクタであって、
前記梁部突出部又は前記面部突出部は、絶縁体により形成されている、
ハウジングレスコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハウジングレスコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の技術として、特許文献1は、本願の図13に示すように、所定のピッチ方向に複数の開口部100が形成された基材101と、基材101に配設された絶縁層102と、絶縁層102上でかつ開口部100間に形成された接触部103と、接触部103に配設した導体部104と、を有し、接触部103が略U字状に形成されており、導体部104を相手コネクタと接触する接点部としたコネクタ105を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−228612号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1では、コネクタ105と相手側コネクタとの間におけるピッチ方向の位置決めの問題が未解決であった。
【0005】
本願発明の目的は、ハウジングレスコネクタにおいて、導電パターン間の正常な接触を補償するための技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願発明の第1の観点によれば、第1金属板上に第1絶縁層が形成されて成る複数の梁部と、前記複数の梁部の前記第1絶縁層上に形成された第1導電パターンと、を有する第1ハウジングレスコネクタ部と、第2金属板上に第2絶縁層が形成されて成る梁部接点部と、前記梁部接点部の前記第2絶縁層上に形成された複数の第2導電パターンと、を有する第2ハウジングレスコネクタ部と、を備え、前記第1ハウジングレスコネクタ部と前記第2ハウジングレスコネクタ部を相互に嵌合させることで、前記複数の第1導電パターンと前記複数の第2導電パターンが夫々電気的に接触する、ハウジングレスコネクタであって、前記第2ハウジングレスコネクタ部の隣り合う前記第2導電パターン間には、前記第1ハウジングレスコネクタ部と前記第2ハウジングレスコネクタ部を相互に嵌合させた際に、前記第1ハウジングレスコネクタ部の隣り合う前記梁部間に挿入される梁部突出部が夫々形成されている、ハウジングレスコネクタが提供される。
好ましくは、前記複数の梁部は、片持ち梁状に形成されている。
本願発明の第2の観点によれば、第1金属板上に第1絶縁層が形成されて成る面部と、前記面部の前記第1絶縁層上に形成された複数の第1導電パターンと、有する第1ハウジングレスコネクタ部と、第2金属板上に第2絶縁層が形成されて成る面部接点部と、前記面部接点部の前記第2絶縁層上に形成された複数の第2導電パターンと、を有する第2ハウジングレスコネクタ部と、を備え、前記第1ハウジングレスコネクタ部と前記第2ハウジングレスコネクタ部を相互に嵌合させることで、前記複数の第1導電パターンと前記複数の第2導電パターンが夫々電気的に接触する、ハウジングレスコネクタであって、前記第2ハウジングレスコネクタ部の隣り合う前記第2導電パターン間には、前記第1ハウジングレスコネクタ部と前記第2ハウジングレスコネクタ部を相互に嵌合させた際に、前記第1ハウジングレスコネクタ部の隣り合う前記第1導電パターン間に挿入される面部突出部が夫々形成されている、ハウジングレスコネクタが提供される。
好ましくは、前記第1ハウジングレスコネクタ部の隣り合う前記第1導電パターン間には、前記第1絶縁層が存在しないことで前記第1金属板が直接的に露出している面部凹部が形成されており、前記面部突出部は、前記第1ハウジングレスコネクタ部と前記第2ハウジングレスコネクタ部を相互に嵌合させた際、前記面部凹部に挿入される。
好ましくは、前記梁部突出部又は前記面部突出部の嵌合方向における先端部は、先細り状に形成されている。
好ましくは、前記梁部突出部又は前記面部突出部は、絶縁体により形成されている。
【発明の効果】
【0007】
本願発明によれば、前記複数の第2導電パターンに対して前記複数の第1導電パターンが適切に電気的に接触することになる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、基板対基板コネクタの分解斜視図である。
図2図2は、レセプタクルコネクタの斜視図である。
図3図3は、レセプタクルコネクタの別の角度から見た斜視図である。
図4図4は、図2のIV-IV線断面図である。
図5図5は、図2のA部拡大図である。
図6図6は、プラグコネクタの斜視図である。
図7図7は、プラグコネクタの別の角度から見た斜視図である。
図8図8は、図6のVIII-VIII線断面図である。
図9図9は、図6のB部拡大図である。
図10図10は、図7のC部拡大図である。
図11図11は、レセプタクルコネクタの面部とプラグコネクタのU字部の面部接点部との接触状況を示す水平断面図である。
図12図12は、レセプタクルコネクタの梁部とプラグコネクタのU字部の梁部接点部との接触状況を示す水平断面図である。
図13図13は、特許文献1の図1に相当する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図1図12を参照しつつ、本願発明の第1実施形態を説明する。各図において、断面以外に施されている細かいハッチングは、導電パターンを表現したものである。
【0010】
(基板対基板コネクタ1)
図1に示すように、基板対基板コネクタ1(ハウジングレスコネクタ)は、プラグ側基板2(第2基板)のコネクタ実装面2aに実装されるプラグコネクタ3(第2ハウジングレスコネクタ部)と、レセプタクル側基板4(第1基板)のコネクタ実装面4aに実装されるレセプタクルコネクタ5(第1ハウジングレスコネクタ部)と、によって構成されており、プラグコネクタ3をレセプタクルコネクタ5に嵌合させることでプラグ側基板2とレセプタクル側基板4を電気的に接続するものである。本実施形態においてプラグコネクタ3及びレセプタクルコネクタ5は、何れも、金属板上に絶縁層を形成し、その絶縁層上に複数の導電パターンを形成して構成されており、樹脂製のハウジングを有していない。
【0011】
(レセプタクルコネクタ5)
次に、図2図5を参照して、レセプタクルコネクタ5について説明する。
【0012】
図2図5に示すように、レセプタクルコネクタ5は、片面に絶縁層I1(第1絶縁層)が形成された金属板M1(第1金属板)である絶縁層付き金属板6と複数の導電パターン7(第1導電パターン)、一対の絶縁シート8によって構成されている。
【0013】
図2に示すように、絶縁層付き金属板6は、略角筒状に形成されている。詳しくは、絶縁層付き金属板6は、先ず、平板状に形成し、そして片面に形成された絶縁層が外周側となるように折り曲げ加工して略角筒状に形成されている。絶縁層付き金属板6は、天板10、一対の側板11、一対の底板12(梁部支持部)、4つの嵌合ガイド部13、一対の面部14、複数の梁部15によって構成されている。
【0014】
天板10は、長方形状の平板である。天板10には、2つの嵌合孔16が形成されている。2つの嵌合孔16は、天板10の長手方向に沿って細長く形成されている。2つの嵌合孔16は、天板10の短手方向に並べて形成されている。
【0015】
ここで、「ピッチ方向」「幅方向」「基板直交方向」を定義する。ピッチ方向は、天板10の長手方向である。ピッチ方向のうち、レセプタクルコネクタ5の中央に向かう方向をピッチ中央方向とし、レセプタクルコネクタ5の中央から離れる方向をピッチ反中央方向とする。幅方向は、天板10の短手方向である。幅方向のうち、レセプタクルコネクタ5の中央に向かう方向を幅中央方向とし、レセプタクルコネクタ5の中央から離れる方向を幅反中央方向とする。基板直交方向は、天板10に対して直交する方向である。基板直交方向のうち、レセプタクル側基板4のコネクタ実装面4aに向かう方向を基板近接方向とし、レセプタクル側基板4のコネクタ実装面4aから離れる方向を基板離間方向とする。ピッチ方向と幅方向、基板直交方向は、相互に直交している。
【0016】
一対の側板11は、天板10の幅反中央方向側の端部から基板近接方向に向かって延びる長方形状の平板である。一対の側板11は、幅方向に対して直交している。
【0017】
一対の底板12は、一対の側板11の基板近接方向側の端部から幅中央方向に向かって延びる長方形状の平板である。一対の底板12は、基板直交方向に対して直交している。
【0018】
4つの嵌合ガイド部13は、2つの嵌合孔16内に形成されている。4つの嵌合ガイド部13のうち2つの嵌合ガイド部13が一方の嵌合孔16内に形成されており、残りの2つの嵌合ガイド部13が他方の嵌合孔16内に形成されている。各嵌合ガイド部13は、嵌合孔16のピッチ反中央方向側の縁から延びて形成されている。各嵌合ガイド部13は、ピッチ中央方向及び基板離間方向に凸となるように湾曲している。
【0019】
2つの面部14は、2つの嵌合孔16内に形成されている。2つの面部14のうち一方の面部14が一方の嵌合孔16内に形成されており、他方の面部14が他方の嵌合孔16内に形成されている。各面部14は、嵌合孔16の幅反中央方向側の縁から基板近接方向に延びて形成されている。各面部14は、幅中央方向に凸となるように湾曲している(図4及び図5を併せて参照)。
【0020】
複数の梁部15は、一対の側板11の間に形成されている。複数の梁部15のうち半数の梁部15が一方の底板12に支持されており、残りの半数の梁部15が他方の底板12に支持されている。複数の梁部15は、幅方向に対して平行に延びる片持ち梁状に形成されている。複数の梁部15は、所定の間隔でピッチ方向に並べて配置されている。複数の梁部15は、互いに平行である。図4に示すように、各梁部15は、底板12の幅中央方向側の端部から延びて形成されている。図4には、各梁部15と底板12の境界線Bを破線で示している。各梁部15は、水平部15a、第1湾曲部15b、第2湾曲部15cを有している。水平部15aは、底板12の幅中央方向側の端部から幅中央方向に向かって略水平に延びる部分である。第1湾曲部15bは、水平部15aの幅中央方向側の端部から基板離間方向に延びる部分である。第1湾曲部15bは、幅中央方向に凸となるように湾曲している。第2湾曲部15cは、第1湾曲部15bの基板離間方向側の端部から基板近接方向に延びる部分である。第2湾曲部15cは、幅反中央方向に凸となるように湾曲している。
【0021】
複数の導電パターン7は、絶縁層付き金属板6の絶縁層上に形成されている。複数の導電パターン7は、絶縁層付き金属板6の外周側に形成されている。各導電パターン7は、細長いテープ状に形成されている。複数の導電パターン7は、所定の間隔でピッチ方向に並べて配置されている。複数の導電パターン7は、互いに平行である。図4に示すように、各導電パターン7は、面部14と天板10、側板11、底板12、梁部15に順に被さるように形成されている。従って、面部14上の導電パターン7と梁部15上の導電パターン7は何れも1本の導電パターン7の一部である。
【0022】
図5に示すように、絶縁層付き金属板6は、金属板M1上に絶縁層I1を形成して構成されている。本実施形態では、面部14においてピッチ方向に隣り合う導電パターン7間には、絶縁層I1を部分的に除去することで絶縁層I1が部分的に存在せず、金属板M1が直接的に幅中央方向側に露出している面部凹部17が形成されている。各面部凹部17は、金属板M1上に絶縁層I1を一様に形成した後、絶縁層I1を部分的に除去することで形成してもよいし、金属板M1上に絶縁層I1を形成する際に一部をマスキングすることで形成してもよい。
【0023】
各絶縁シート8は、図2に示すように、天板10と側板11、底板12に被さるように設けられている。各絶縁シート8は、外部へ露出した複数の導電パターン7が基板対基板コネクタ1と隣接する他の電気部品と電気的に接触するのを防止するためのシートである。図3に示すように、各絶縁シート8には、複数のハンダ窓8aと一対のホールドダウン窓8bが形成されている。各ハンダ窓8aは、各導電パターン7をレセプタクル側基板4のコネクタ実装面4a上に形成した図示しない信号電極用パッドにハンダ付けするための窓である。ホールドダウン窓8bは、レセプタクルコネクタ5をレセプタクル側基板4のコネクタ実装面4a上に形成した図示しないホールドダウン用パッドにハンダ付けするための窓である。
【0024】
(プラグコネクタ3)
次に、図6図10を参照して、プラグコネクタ3について説明する。なお、プラグコネクタ3を説明するに際し、図2で定義した各方向をそのまま使用することとする。ただし、レセプタクル側基板4のコネクタ実装面4aを参照して定義した「基板近接方向」及び「基板離間方向」もそのまま使用するので、基板直交方向について言及する際は留意されたい。即ち、「基板近接方向」及び「基板離間方向」はあくまでレセプタクル側基板4のコネクタ実装面4aを基準にして定義付けした方向であるから、「基板近接方向」はプラグ側基板2のコネクタ実装面2aから離間する方向となり、「基板離間方向」はプラグ側基板2のコネクタ実装面2aに近接する方向となる。
【0025】
図6図8に示すように、プラグコネクタ3は、片面に絶縁層I2(第2絶縁層)が形成された金属板M2(第2金属板)である絶縁層付き金属板20と複数の導電パターン21、絶縁シート22によって構成されている。
【0026】
図6に示すように、絶縁層付き金属板20は、底板23と、一対のU字部24によって構成されている。絶縁層付き金属板20は、先ず、平板状に形成し、そして片面に形成された絶縁層I2が外側となるように折り曲げ加工して形成されている。
【0027】
底板23は、長方形状の平板である。底板23は、基板直交方向に対して直交している。底板23の長手方向はピッチ方向に対して平行である。
【0028】
各U字部24は、図8に示すように、面部接点部24aと湾曲部24b、梁部接点部24cによって構成されている。面部接点部24aは、底板23の幅反中央方向側の端部から基板近接方向に向かって延びる平板状の部分である。面部接点部24aは、幅方向に対して直交している。湾曲部24bは、面部接点部24aの基板近接方向側の端部から幅中央方向に向かって延びる部分である。湾曲部24bは、基板近接方向に凸となるように湾曲している。梁部接点部24cは、湾曲部24bの幅中央方向側の端部から基板離間方向に向かって延びる平板状の部分である。梁部接点部24cは、幅方向に対して直交している。
【0029】
複数の導電パターン21は、絶縁層付き金属板20の絶縁層I2上に形成されている。複数の導電パターン21は、絶縁層付き金属板20の外側に形成されている。複数の導電パターン21は、所定の間隔でピッチ方向に並べて配置されている。複数の導電パターン21は、互いに平行である。各導電パターン21は、細長いテープ状に形成されている。図8に示すように、各導電パターン21は、底板23とU字部24(面部接点部24a及び湾曲部24b、梁部接点部24cを含む。)に被さるように形成されている。従って、面部接点部24a上の導電パターン21と梁部接点部24c上の導電パターン21は何れも一本の導電パターン21の一部である。
【0030】
絶縁シート22は、図6に示すように、絶縁シート本体25と、複数の面部突出部26と、によって構成されている。
【0031】
絶縁シート本体25は、底板23に被さるように設けられている。絶縁シート本体25は、外部へ露出した複数の導電パターン21がプラグ側基板2のコネクタ実装面2a上の意図しないパターンと電気的に接触するのを防止するためのシートである。絶縁シート本体25には、図6及び図8に示すように、複数のハンダ窓25aが形成されている。各ハンダ窓25aは、各導電パターン21をプラグ側基板2のコネクタ実装面2a上に形成した図示しない信号電極用パッドにハンダ付けするための窓である。図8に示すように、底板23には基板離間方向に向かって局所的に膨らみ出る膨出部23aが複数形成されている。複数の膨出部23aは、各ハンダ窓25aに対応するように形成されている。各膨出部23aの存在により、各導電パターン21は、各ハンダ窓25aを貫通して基板離間方向へと局所的に突出している。この突出により、上記のハンダ付けが容易となっている。なお、この膨出部(膨出部23a)は、レセプタクルコネクタ5においても同様の目的で複数形成されている(図3参照)。
【0032】
図9に示すように、複数の面部突出部26は、絶縁シート本体25の幅反中央方向側の端部から基板近接方向に細長く延びる部分である。各面部突出部26は、面部接点部24aにおいてピッチ方向に隣り合う導電パターン21間に配置されている。各面部突出部26は、各導電パターン21よりも幅反中央方向側に突出している。各面部突出部26の基板近接方向側の先端部26aは、先細り状に形成されている。本実施形態では、各面部突出部26の基板近接方向側の先端部26aは、円弧状とされている。
【0033】
また、図10に示すように、梁部接点部24cにおいてピッチ方向に隣り合う導電パターン21間には、梁部突出部27が形成されている。各梁部突出部27は、基板直交方向に延びて形成されている。各梁部突出部27は、各導電パターン21よりも幅中央方向側に突出している。各梁部突出部27の基板近接方向側の先端部27aは、先細り状に形成されている。本実施形態では、各梁部突出部27の基板近接方向側の先端部27aは、円弧状とされている。
【0034】
(素材)
本実施形態において、レセプタクルコネクタ5の金属板M1やプラグコネクタ3の金属板M2の素材は、SUSであって、その厚みは50〜80マイクロメートルである。しかし、これに代えて、銅や銅合金であってもよい。絶縁層I1や絶縁層I2の素材はポリイミドであって、その厚みは概ね25〜50マイクロメートルである。しかし、これに代えて、絶縁層I1や絶縁層I2の素材はアラミドであってもよいし、絶縁層I1や絶縁層I2は金属板M1や金属板M2の酸化膜であってもよい。また、導電パターン7や導電パターン21の素材は銅箔であって、その厚みは概ね20マイクロメートルである。しかし、これに代えて、導電パターン7や導電パターン21は蒸着や鍍金により形成してもよい。また、絶縁シート8や絶縁シート22の素材は、ポリイミドであって、その厚みは10〜30マイクロメートルである。なお、絶縁シート8や絶縁シート22は、曲げや用途に応じた耐環境性を持つ絶縁体であれば、材料は適宜選択することができる。
【0035】
(嵌合作動)
以下、図1に示すプラグコネクタ3とレセプタクルコネクタ5との嵌合について説明する。ここでは、既に、プラグ側基板2のコネクタ実装面2aにプラグコネクタ3が実装されており、レセプタクル側基板4のコネクタ実装面4aにレセプタクルコネクタ5が実装されているものとする。
【0036】
先ず、図1に示すように、プラグコネクタ3とレセプタクルコネクタ5を対向させた状態で、プラグコネクタ3をレセプタクルコネクタ5に向けて下降させ、図6に示すプラグコネクタ3の一対のU字部24を、図2に示すレセプタクルコネクタ5の天板10の一対の嵌合孔16に夫々挿入する。このとき、図6に示すプラグコネクタ3の一対のU字部24が図2に示すレセプタクルコネクタ5の嵌合ガイド部13に接触することで、レセプタクルコネクタ5に対するプラグコネクタ3のピッチ方向におけるおおまかな位置決めが行われる。
【0037】
継続して、図6に示すプラグコネクタ3の一対のU字部24を、図2に示すレセプタクルコネクタ5の天板10の一対の嵌合孔16に夫々挿入していくと、図4に示すレセプタクルコネクタ5の梁部15の第2湾曲部15cの幅中央方向への弾性変位を伴いつつ、図8のプラグコネクタ3の各U字部24が、図4のレセプタクルコネクタ5の面部14と梁部15の第2湾曲部15cとの間に挿入される。この結果、図8のプラグコネクタ3のU字部24の面部接点部24aが、図4のレセプタクルコネクタ5の面部14に対して幅方向において対向する。同様に、この結果、図8のプラグコネクタ3のU字部24の梁部接点部24cが、図4のレセプタクルコネクタ5の梁部15の第2湾曲部15cに対して幅方向において対向する。これにより、図8のプラグコネクタ3の各導電パターン21と、図4のレセプタクルコネクタ5の各導電パターン7と、が夫々2ヶ所で接触して導通することになる。
【0038】
ここで、図8のプラグコネクタ3の各導電パターン21と、図4のレセプタクルコネクタ5の各導電パターン7と、の接触の様子を図11及び図12に示す。
【0039】
図11には、図4のレセプタクルコネクタ5の面部14と図8のプラグコネクタ3の面部接点部24aとの対向関係を示す水平断面図である。図11に示すように、レセプタクルコネクタ5の面部14とプラグコネクタ3の面部接点部24aが対向した状態で、プラグコネクタ3の面部接点部24aに形成された各面部突出部26は、レセプタクルコネクタ5の面部14に形成された各面部凹部17内に挿入されている。従って、レセプタクルコネクタ5の面部14とプラグコネクタ3の面部接点部24aが一度でもピッチ方向で適正な相対的位置関係になると、レセプタクルコネクタ5の面部14とプラグコネクタ3の面部接点部24aのピッチ方向の相対的位置関係は略変わることがない。よって、面部突出部26及び面部凹部17の存在により、プラグコネクタ3の導電パターン21と、レセプタクルコネクタ5の導電パターン7と、の間の接触信頼性が高くなる。
【0040】
図12には、図4のレセプタクルコネクタ5の梁部15と図8のプラグコネクタ3の梁部接点部24cとの対向関係を示す水平断面図である。図12に示すように、レセプタクルコネクタ5の梁部15とプラグコネクタ3の梁部接点部24cが対向した状態で、プラグコネクタ3の梁部接点部24cに形成された各梁部突出部27は、レセプタクルコネクタ5の隣り合う梁部15間に挿入されている。従って、各梁部15が一度でもプラグコネクタ3の梁部接点部24cに対してピッチ方向で適正な位置になると、梁部接点部24cに対する相対的位置関係は略変わることがない。もって、複数の梁部突出部27の存在により複数の梁部15が整列するので、複数の導電パターン21に対して複数の導電パターン7が適切に電気的に接触することになる。
【0041】
以上に、本願発明の好適な実施形態を説明したが、上記実施形態は、以下の特長を有している。
【0042】
(1)基板対基板コネクタ1(ハウジングレスコネクタ)は、レセプタクルコネクタ5(第1ハウジングレスコネクタ部)と、プラグコネクタ3(第2ハウジングレスコネクタ部)と、を備える。レセプタクルコネクタ5は、金属板M1(第1金属板)上に絶縁層I1(第1絶縁層)が形成されて成る複数の梁部15と、複数の梁部15の絶縁層I1上に形成された導電パターン7(第1導電パターン)と、を有する。プラグコネクタ3は、金属板M2(第2金属板)上に絶縁層I2(第2絶縁層)が形成されて成る梁部接点部24cと、梁部接点部24cの絶縁層I2上に形成された複数の導電パターン21(第2導電パターン)と、を有する。基板対基板コネクタ1は、レセプタクルコネクタ5とプラグコネクタ3を相互に嵌合させることで、複数の導電パターン7と複数の導電パターン21が夫々電気的に接触するように構成されている。そして、図10及び図12に示すように、プラグコネクタ3の隣り合う導電パターン21間には、レセプタクルコネクタ5とプラグコネクタ3を相互に嵌合させた際に、レセプタクルコネクタ5の隣り合う梁部15間に挿入される梁部突出部27が夫々形成されている。以上の構成によれば、複数の梁部突出部27の存在により複数の梁部15が整列するので、複数の導電パターン21に対して複数の導電パターン7が適切に電気的に接触することになる。
【0043】
(2)また、複数の梁部突出部27による梁部15の整列作用は、特に、複数の梁部15が片持ち梁状に形成されている場合に重宝される。
【0044】
(3)レセプタクルコネクタ5は、金属板M1上に絶縁層I1が形成されて成る面部14と、面部14の絶縁層I1上に形成された複数の導電パターン7と、有する。プラグコネクタ3は、金属板M2上に絶縁層I2が形成されて成る面部接点部24aと、面部接点部24aの絶縁層I2上に形成された複数の導電パターン21と、を有する。そして、図9及び図11に示すように、プラグコネクタ3の隣り合う導電パターン21間には、レセプタクルコネクタ5とプラグコネクタ3を相互に嵌合させた際に、レセプタクルコネクタ5の隣り合う導電パターン7間に挿入される面部突出部26が夫々形成されている。以上の構成によれば、面部突出部26の存在により、レセプタクルコネクタ5の導電パターン7と、プラグコネクタ3の導電パターン21と、の間の正常な接触が補償される。
【0045】
(4)また、図5に示すように、レセプタクルコネクタ5の隣り合う導電パターン7間には、絶縁層I1が存在しないことで金属板M1が直接的に露出している面部凹部17が形成されている。図11に示すように、面部突出部26は、レセプタクルコネクタ5とプラグコネクタ3を相互に嵌合させた際、面部凹部17に挿入される。以上の構成によれば、面部突出部26及び面部凹部17の存在により、レセプタクルコネクタ5の導電パターン7と、プラグコネクタ3の導電パターン21と、の間の正常な接触が一層確実に補償される。
【0046】
(5)また、図9及び図10に示すように、梁部突出部27又は面部突出部26の基板近接方向(嵌合方向)における先端部27a(又は先端部26a)は、先細り状に形成されている。以上の構成によれば、プラグコネクタ3をレセプタクルコネクタ5に嵌合させた際に、レセプタクルコネクタ5の導電パターン7と、プラグコネクタ3の導電パターン21と、のピッチ方向における位置ズレが積極的に解消されるようになる。
【0047】
(6)また、梁部突出部27又は面部突出部26は、絶縁体により形成されている。
【符号の説明】
【0048】
1 基板対基板コネクタ(ハウジングレスコネクタ)
2 プラグ側基板(第2基板)
2a コネクタ実装面
3 プラグコネクタ(第2ハウジングレスコネクタ部)
4 レセプタクル側基板(第1基板)
4a コネクタ実装面
5 レセプタクルコネクタ(第1ハウジングレスコネクタ部)
6 絶縁層付き金属板
7 導電パターン(第1導電パターン)
8 絶縁シート
8a ハンダ窓
8b ホールドダウン窓
10 天板
11 側板
12 底板(梁部支持部)
13 嵌合ガイド部
14 面部
15 梁部
15a 水平部
15b 第1湾曲部
15c 第2湾曲部
16 嵌合孔
17 面部凹部
20 絶縁層付き金属板
21 導電パターン(第2導電パターン)
22 絶縁シート
23 底板
23a 膨出部
24 U字部
24a 面部接点部
24c 梁部接点部
24b 湾曲部
25 絶縁シート本体
25a ハンダ窓
26 面部突出部
26a 先端部
27 梁部突出部
27a 先端部
B 境界線
I1 絶縁層(第1絶縁層)
I2 絶縁層(第2絶縁層)
M1 金属板(第1金属板)
M2 金属板(第2金属板)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13