(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記した従来の吐出容器では、例えば目薬容器など、内容物の吐出量が少なく内容器のしぼみ変形量が小さい場合に、外容器と内容器との間に生じる負圧では吸気弁を開くことができず、内容器と外容器との間に吸気を行えないおそれがある。
また、このような事態を回避するために、吸気弁を変形させやすくすることが考えられるが、この場合、内容器と外容器との間の気密性を確保することが難しい。すなわち、例えば内容物を吐出するときに吸気弁が変形して吸気孔が容器外部に連通しやすくなり、外容器をスクイズ変形しても内容器が減容されにくくなって、吐出量が安定しないおそれがある。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、内容物の吐出量が少なく内容器のしぼみ変形量が小さい場合でも、内容器と外容器との間に吸気を確実に行え、かつ、内容物の吐出時における内容器と外容器との間の気密性を確保して、安定した吐出量を確保できる吐出容器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
本発明の吐出容器は、内容物が収容されるとともに該内容物の減少に伴いしぼみ変形する可撓性に富む内容器、及び、前記内容器が内装され弾性変形可能な外容器を有する容器本体と、前記容器本体の口部に装着され、内容物を吐出する吐出口が形成された吐出栓と、前記吐出栓内に配設され、前記吐出口と前記内容器の内部とを連通可能に遮断する吐出弁と、前記吐出栓に着脱自在に装着されて前記吐出口を覆うキャップと、前記容器本体の口部と前記キャップとの間に、容器軸方向にスライド移動可能に配設されるシール部材と、を備え、前記外容器には、前記内容器との間に外気を吸入可能な吸気孔が形成され、前記シール部材は、前記キャップに設けられた係合部に容器軸方向に係合する被係合部を有し、前記キャップを、前記口部に対して容器軸方向に離脱させるときに、前記係合部が前記被係合部に係合することで、前記シール部材がスライド移動して、前記吸気孔を当該吐出容器の外部に開放する開放位置から、前記吸気孔を当該吐出容器の外部に対して遮断する遮断位置に達する構成とされたことを特徴とする。
【0010】
本発明に係る吐出容器では、容器本体の内容器に収容された内容物を吐出させる際、まず、吐出栓からキャップを取り外して、吐出口を露出させる。この際、キャップの係合部がシール部材の被係合部に容器軸方向から係合し、さらにこのキャップが容器軸方向に離脱させられていくことで、シール部材は開放位置から遮断位置へスライド移動して、該シール部材により吸気孔が閉塞されるとともに、吸気孔は容器外部と遮断される。
【0011】
この状態から、容器本体の外容器をスクイズ変形(弾性変形)させると、内容器が外容器とともに変形して減容される。この減容変形に伴い内容器の内圧が正圧となり、この正圧によって吐出弁が開けられ、吐出口と内容器の内部とが連通される。吐出弁が開かれることにより、内容器に収容された内容物が吐出口から吐出される。
【0012】
その後、内容器の内圧が低下すると、吐出弁が閉じられるとともに、吐出口と内容器の内部との連通が遮断される。吐出弁が閉じられることにより、内容器が密封され、さらに前述したスクイズ変形を解除すると、外容器は復元変形しようとするが、前述のように吸気孔が閉じられているため、外容器と内容器との間の内圧が負圧となる。
【0013】
内容物の吐出後は、前述と逆の手順により、吐出栓にキャップを装着する。この際、キャップの係合部がシール部材の被係合部に容器軸方向から係合し、さらにこのキャップが容器軸方向に装着させられていくことで、シール部材は遮断位置から開放位置へスライド移動して、該シール部材による閉塞から吸気孔が開放されるとともに、吸気孔は容器外部と連通される。
【0014】
吸気孔と容器外部とが連通されると、該吸気孔を通して外気が外容器と内容器との間に吸入され、これら外容器と内容器との間の内圧が大気圧となる。また、このように外容器と内容器との間に外気が吸入されることにより、内容器の減容形状が保持される。
【0015】
キャップを装着後、再び吐出栓からこのキャップを取り外して、容器本体の外容器をスクイズ変形させると、前述の作用により吸気孔は遮断状態とされていることから外容器と内容器との間の内圧が正圧となり、この正圧によって内容器が減容変形する。内容器が減容変形すると、前述同様の作用で吐出口から内容物が吐出される。その後、スクイズ変形を解除し、キャップを装着すると、前述同様の作用で外容器と内容器との間に外気が吸入される。
このように、スクイズ変形された外容器が復元変形しても、内容器は内容物の減少とともに減容されていき、しかも内容器の内部に外気が流入することが防止されることで、内容物の劣化が防止されて保存性が高められている。
【0016】
本発明によれば、キャップを取り外して内容物を吐出する際には、シール部材により吸気孔を容器外部と遮断したままとし、内容物の吐出後にキャップを装着した際には、シール部材による吸気孔と容器外部との遮断を解除して、吸気孔を外気に開放させる。これにより、内容物の吐出量が少なく内容器と外容器との間に十分な負圧が発生しなくても、キャップを装着することで吸気孔を強制的に開放することができ、内容物の吐出量によらず内容器と外容器との間へ吸気を確実に行うことができる。また、キャップを取り外して内容物を吐出する際には、外容器の吸気孔をシール部材によって確実に閉塞でき、内容物の吐出時における内容器と外容器との間の気密性を確保することができるので、外容器をスクイズ変形したときに内容器を確実に減容でき、内容物の吐出量が少ない場合であっても安定した吐出量を確保できる。
【0017】
また、本発明に係る吐出容器において、前記係合部は、前記被係合部を容器軸方向に乗り越え可能に形成されていることとしてもよい。
【0018】
この場合、キャップの着脱動作により、シール部材がスライド移動して遮断位置又は開放位置の端部に達したときに、係合部が被係合部を容器軸方向に乗り越えることで、該キャップを容易に着脱できる。すなわち、例えば、これら係合部と被係合部との係合を解除するために複雑な操作(周方向の位置合わせなど)を必要とすることはなく、本発明によれば操作が簡単である。
【0019】
また、本発明に係る吐出容器において、前記係合部及び前記被係合部の少なくともいずれか一方が、容器軸回りに沿って延びる環状に形成されていることとしてもよい。
【0020】
この場合、キャップの着脱動作にあたり、該キャップの係合部とシール部材の被係合部とを係合させるために、これらを容器軸回りに位置合わせするような手間を省くことができ、該キャップの着脱が簡単に行える。
【発明の効果】
【0021】
本発明の吐出容器によれば、内容物の吐出量が少なく内容器のしぼみ変形量が小さい場合でも、内容器と外容器との間に吸気を確実に行え、かつ、内容物の吐出時における内容器と外容器との間の気密性を確保して、安定した吐出量を確保できる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の一実施形態に係る吐出容器1について、図面を参照して説明する。本実施形態の吐出容器1は、例えば、目薬等の液状の内容物を微量ずつ吐出する目薬容器などに適している。
図1に示されるように、吐出容器1は、内容物が収容されるとともに該内容物の減少に伴いしぼみ変形する可撓性に富む内容器2、及び、内容器2が内装され弾性変形可能な外容器3を有する容器本体4と、容器本体4の口部4aに装着され、内容物を吐出する吐出口5が形成された吐出栓6と、吐出栓6内に配設され、吐出口5と内容器2の内部とを連通可能に遮断する吐出弁7と、吐出栓6に着脱自在に装着されて吐出口5を覆うキャップ8と、容器本体4の口部4aとキャップ8との間に、容器軸O方向にスライド移動可能に配設されるシール部材9と、を備えている。
【0024】
ここで、容器本体4は有底筒状に形成され、キャップ8は有頂筒状に形成され、これら容器本体4及びキャップ8の各中心軸線は、共通軸上に位置している。
本明細書では、この共通軸を容器軸Oといい、容器軸O方向に沿ってキャップ8側を上側、容器本体4の底部側を下側といい、また容器軸Oに直交する方向を径方向といい、容器軸O回りに周回する方向を周方向という。
【0025】
容器本体4は、外容器3内に内容器2が配設された二重容器であり、図示の例では、内容器2が外容器3の内面に剥離可能に積層されたデラミボトル(積層剥離型容器)となっている。容器本体4は、例えば、共押出し成形した二層構造のパリソンをブロー成形することにより形成されており、外容器3はPP、PETG等の合成樹脂から比較的硬質に形成され、内容器2はPE、ナイロン、エチレンビニルアルコール等の合成樹脂から比較的軟質に形成されている。
【0026】
容器本体4の口部4aは、二段筒状をなしており、該口部4aの上側部分は、下側部分より小径となっている。容器本体4の口部4aは、内容器2の口部2aと、外容器3の口部3aとが径方向に積層された構成とされており、内容器2の口部2aの上端部は径方向外側に折り返されて、外容器3の口部3aの上端開口縁上に亘り配置されている。
【0027】
外容器3には、該外容器3と内容器2との間に外気を吸入可能な吸気孔10が形成されており、図示の例では、吸気孔10は、外容器3の口部3aに形成されている。
外容器3の口部3aにおける上側部分には、該口部3aを径方向に貫通する前記吸気孔10と、該吸気孔10より上側に配置され、この口部3aの外周面から径方向外側へ突出するとともに周方向に沿って延びる環状突起11と、が形成されている。
【0028】
外容器3の口部3aにおける下側部分は、該口部3aの上側部分の環状突起11より若干大径となっている。
【0029】
吐出栓6は、容器本体4の口部4aの径方向外側に装着される装着筒14と、口部4aの径方向内側に嵌合するシール筒15と、吐出口5が形成された吐出筒16と、吐出筒16内に保持された弁筒部材23と、を備えている。装着筒14、シール筒15及び吐出筒16は一体に形成され、弁筒部材23はこれらとは別体に形成されている。
【0030】
装着筒14は、有頂筒状をなしており、天壁14aと、周壁14bと、を備えている。
天壁14aは、容器本体4の口部4aの上端開口縁に上側から当接している。天壁14aにおける径方向中央部(容器軸O上に位置する部分)は開口されており、この開口部分を覆うように、該天壁14aの内周端縁から吐出筒16が立設されている。また、シール筒15は、天壁14aから垂設されて、口部4aに嵌合している。
【0031】
周壁14bの下端部は、口部4aの下側部分の径方向外側に嵌合している。図中において周壁14bの下端部に破線で示されるものは、外容器3の口部3aにおける下側部分の外周面であり、これら周壁14bと口部3aとの間には、締め代が設けられている。このような締め代が設けられることにより、容器本体4の口部4aと装着筒14との周方向への相対回転が規制或いは抑制されている。また、周壁14bの内周面の下端部には、径方向内側へ突出するとともに周方向に沿って延びる環状突起17が形成されている。
【0032】
また、前述のように装着筒14の周壁14bの下端部が口部4aの下側部分に嵌合し、さらに前記環状突起17が該口部4aの外周面に密着させられることによって、前述の締め代(嵌合)による構成とともに気密なシール部が構成されていて、装着筒14の周壁14bと容器本体4の口部4aとの間と、容器外部との連通を遮断している。
【0033】
周壁14bの内周面の上端部には、径方向内側へ突出するとともに周方向に沿って延びる環状突起19が形成され、該環状突起19は、口部4aの環状突起11に下側から係合している。
また、周壁14bにおいて、口部4aの吸気孔10に対応する位置には、連通孔20が該周壁14bを径方向に貫通して形成されている。図示の例では、連通孔20は、吸気孔10の中心軸に同軸となるように、つまり吸気孔10の容器軸O方向に沿う位置及び周方向に沿う位置に対応するように、該吸気孔10の径方向外側に配置されている。
【0034】
周壁14bの外周面における連通孔20の上側には、径方向外側へ突出するとともに周方向に沿って延びる環状の規制突起21が形成されている。また、周壁14bの外周面における連通孔20の下側には、径方向外側へ突出するとともに周方向に沿って延びる環状のシール突起22が形成されている。
【0035】
吐出筒16は、有頂筒状をなしており、天壁16aと、周壁16bと、を備えている。図示の例では、吐出筒16は、シール筒15よりも小径となっている。
天壁16aには、該天壁16aを容器軸O方向に貫通してその内部が前記吐出口5とされた吐出孔24が形成されている。天壁16aの吐出孔24内における下側部分には、容器軸O方向に沿って延びる係止柱25が、該吐出孔24から下側に向けて突設されている。係止柱25は、吐出孔24の内周面から径方向内側に向けて突出するとともに周方向に間隔をあけて複数形成された支持リブ26に支持されて、その上端部を吐出孔24内に配置している。
【0036】
周壁16bの外周面には、雄ねじ部27が形成されている。また、周壁16bの内周面における上端部には、径方向内側に突出するとともに周方向に沿って延びる環状の弁座28が形成されており、該弁座28には、吐出弁7が上側から離間可能に当接している。弁座28と吐出弁7とは、液密に当接しており、これにより、吐出口5と内容器2の内部とが連通可能に遮断されている。周壁16bの内周面における弁座28の下側には、径方向内側に突出するとともに周方向に沿って延びる環状の係止突起29が形成されている。
【0037】
弁筒部材23は、有頂筒状の本体部30と、本体部30の下部外周に設けられる拡径部31と、本体部30の天壁上面(頂面)から径方向外側へ延びるリップ状の前記吐出弁7とを一体に有している。弁筒部材23は、例えばニトリルゴム、ブチルゴム、シリコンゴム、エラストマー、ウレタン等の弾性変形可能な軟材質で形成されている。
【0038】
弁筒部材23は、吐出筒16内にその下側から挿入され、頂面を係止柱25の下端面に圧接させつつ、拡径部31を周壁16bの係止突起29よりも上側に押し込むことで、下側への抜け止めがなされた状態で吐出筒16内に保持される。この状態で、吐出弁7の外周縁部は、周壁16bの上部内周に突設された弁座28にその上側から液密かつ気密状態に密接する。
【0039】
弁筒部材23の本体部30の周壁には、該周壁を径方向に貫通するとともに、周方向に間隔をあけて連通孔32が複数形成されている。連通孔32は、径方向外側へ向かうに従い漸次拡径するように形成されており、これら連通孔32を通して、容器本体4内の内容物が吐出弁7の直下まで至るようになっている。
【0040】
吐出弁7は、その上側(吐出口5側)から下側(内容器2側)への流体の流れを制限する一方、その逆方向の流れは許可する逆止弁となっている。すなわち、吐出弁7は、その外周縁部が吐出筒16内の弁座28に上側から離間可能に着座するとともに、上側に向けて弾性変形可能とされている。具体的には、吐出弁7は、その外周縁部が上側に向けて弾性変形させられた状態で弁座28に着座させられることで、弾性復元力により該外周縁部を弁座28に上側から密接させている。
【0041】
シール部材9は、筒状をなしており、装着筒14の周壁14bにおける上端部以外の部位を径方向外側から覆うように形成されている。シール部材9は、容器本体4の口部4aに固定された装着筒14に対して、少なくとも容器軸O方向にスライド移動可能である。図示の例では、シール部材9が、装着筒14に対して周方向にも移動(回動)可能である。
【0042】
シール部材9の内周面の上端部には、径方向内側へ突出するとともに周方向に沿って延びる環状のシール突起33が形成されている。シール突起33は、装着筒14の周壁14bの外周面における規制突起21とシール突起22との間に摺動可能に気密に当接している。また、シール部材9の内周面におけるシール突起33の下側には、装着筒14のシール突起22が摺動可能に気密に当接している。
【0043】
シール部材9は、シール突起33が規制突起21に当接するまで装着筒14に対して上側にスライド移動可能であり(
図2を参照)、該シール部材9の下端開口縁が容器本体4の肩部に当接するまで装着筒14に対して下側にスライド移動可能である(
図1を参照)。尚、シール部材9は、そのシール突起33が装着筒14のシール突起22に当接するまで該装着筒14に対して下側に向けてスライド移動可能に形成されていてもよい。
【0044】
図4において、シール部材9のシール突起33は、その容器軸O方向に沿う位置が装着筒14の連通孔20の下端部に対応して配置されている一方、該連通孔20の上端部は容器外部に連通されていて、この連通孔20を通して、吸気孔10と容器外部とは連通されている。このように、少なくとも連通孔20の一部が容器外部に開放(連通)されているとともに、吸気孔10が容器外部に開放されたシール部材9の容器軸O方向に沿う配置領域を、シール部材9の開放位置と呼ぶ。
【0045】
一方、
図2において、シール部材9のシール突起33は、装着筒14の連通孔20よりも上側に配置されており、該連通孔20は、その容器軸O方向に沿う両側(上側及び下側)がシール突起33、22間に挟まれることで、容器外部とは遮断されている。またこれにより、吸気孔10も容器外部とは遮断されている。このように、連通孔20が容器外部と遮断されるとともに、吸気孔10が容器外部と遮断されたシール部材9の容器軸O方向に沿う配置領域を、シール部材9の遮断位置と呼ぶ。
従って、シール部材9のこれら開放位置及び遮断位置は、装着筒14に対する該シール部材9の上端位置及び下端位置のみに限定されるものではない。
【0046】
図1において、シール部材9の外周面における上端部には、径方向外側に突出するとともに周方向に沿って延びるリブ状の被係合部34が、周方向に間隔をあけて複数形成されている。図示の例では、被係合部34は、シール突起33より上側に配置されている。
【0047】
キャップ8は、有頂筒状をなしており、上筒部35と、上筒部35より大径の下筒部36と、を備えている。
図1に示されるように、このキャップ8が吐出栓6に装着された状態で、上筒部35は、吐出筒16を覆っており、下筒部36は、口部4a、装着筒14及びシール部材9を覆っている。
【0048】
上筒部35は、有頂の二段筒状をなしており、天壁35aと、周壁35bと、を備えている。天壁35aの下面には、径方向内側(中央)へ向かうに従い漸次下側へ向けて突出する凸部37が形成されており、該凸部37は、吐出筒16の吐出孔24の上端開口縁に上側から当接して、吐出口5を塞いでいる。
周壁35bの上側部分は、下側部分より小径となっている。周壁35bの下側部分の内周面には、吐出筒16の雄ねじ部27に螺合する雌ねじ部38が形成されている。
【0049】
下筒部36は、有頂の二段筒状をなしており、天壁36aと、周壁36bと、を備えている。天壁36aにおける径方向中央部(容器軸O上に位置する部分)は開口されており、この開口部分を覆うように、該天壁36aの内周端縁から上筒部35が立設されている。
【0050】
周壁36bの上側部分は、下側部分より小径となっている。周壁36bの上側部分の下端部には、径方向外側に突出するとともに周方向に沿って延びる環状のフランジ39が形成されており、該フランジ39により、前記上側部分の下端部と、下側部分の上端部とが連結されている。
【0051】
図1において、周壁36bの上側部分は、装着筒14の周壁14bにおいて連通孔20より上側に位置する領域を径方向外側から覆っている。フランジ39は、シール部材9の上端開口縁に上側から当接している。周壁36bの下側部分は、シール部材9を径方向外側から覆っている。
【0052】
周壁36bの下側部分の内周面における上端部には、径方向内側に突出するとともに周方向に沿って延びる環状の係合部40が形成されている。係合部40と、シール部材9の被係合部34とは、互いに容器軸O方向に係合するようになっており、これらが係合した状態から所定以上の外力が加えられたときに、係合部40は、被係合部34を容器軸O方向に乗り越え可能に形成されている。
【0053】
尚、本実施形態では、係合部40が周方向に沿って延びる環状をなし、被係合部34が周方向に分断されたリブ状をなしているとしたが、これに限定されるものではなく、これら係合部40及び被係合部34の少なくともいずれか一方が、周方向に沿って延びる環状に形成されていればよい。
【0054】
次に、吐出容器1から内容物を吐出させる手順について説明する。
図1において、キャップ8は、吐出栓6に装着された状態となっており、シール部材9は、キャップ8のフランジ39と容器本体4の肩部とに容器軸O方向から挟まれている。また、この状態で、キャップ8の係合部40は、シール部材9の被係合部34の下側に配置されており、連通孔20はその上端部が開口されている。
【0055】
この状態から、
図2に示されるように、キャップ8を、周方向に回転させつつ口部4aに対して容器軸O方向の上側(矢印A方向)に向けて離脱させていく。このとき、キャップ8の係合部40がシール部材9の被係合部34に下側から係合し、さらにこのキャップ8が上側に離脱させられていくことで、シール部材9は上側にスライド移動する。
【0056】
シール部材9が上側にスライド移動することで、該シール部材9のシール突起33は、連通孔20の開口部上から該連通孔20よりも上側に移動する。すなわち、このシール部材9は、
図1に示される連通孔20及び吸気孔10を当該吐出容器1の外部に開放する開放位置から、
図2に示される連通孔20及び吸気孔10を当該吐出容器1の外部に対して遮断する遮断位置に達する。このように、シール部材9は開放位置から遮断位置へスライド移動して、該シール部材9により吸気孔10が閉塞されるとともに、吸気孔10は容器外部と遮断される。
【0057】
さらにシール部材9が上側にスライド移動すると、該シール部材9のシール突起33が、装着筒14の規制突起21に下側から当接する。これにより、シール部材9のそれ以上の上側へ向けたスライド移動が規制され、さらにキャップ8が口部4aに対して上側に移動することで、キャップ8の係合部40がシール部材9の被係合部34を上側へ乗り越える。
【0058】
吐出栓6からキャップ8を取り外して、吐出口5を露出させたら、
図3に示されるように、この吐出容器1を倒立姿勢とする。この状態から、容器本体4の外容器3をスクイズ変形(弾性変形)させると、内容器2が外容器3とともに変形して減容される。この減容変形に伴い内容器2の内圧が正圧となり、この正圧によって吐出弁7が開けられ、吐出口5と内容器2の内部とが連通される。吐出弁7が開かれることにより、内容器2に収容された内容物が吐出口5から吐出される。
【0059】
その後、内容器2の内圧が低下すると、吐出弁7が閉じられるとともに、吐出口5と内容器2の内部との連通が遮断される。吐出弁7が閉じられることにより、内容器2が密封され、さらに前述したスクイズ変形を解除すると、外容器3は復元変形しようとするが、前述のように吸気孔10が閉じられているため、外容器3と内容器2との間の内圧が負圧となる。
【0060】
内容物の吐出後は、
図4に示されるように、この吐出容器1を正立姿勢に戻し、前述と逆の手順により、吐出栓6にキャップ8を装着する。すなわち、キャップ8を、周方向に回転させつつ口部4aに対して容器軸O方向の下側(矢印B方向)に向けて装着していく。このとき、キャップ8の係合部40がシール部材9の被係合部34に上側から係合し、さらにこのキャップ8が下側に装着させられていくことで、シール部材9は下側にスライド移動する。
【0061】
シール部材9が下側にスライド移動することで、該シール部材9のシール突起33は、連通孔20の上側から該連通孔20の開口部上に移動する。すなわち、このシール部材9は、
図3に示される連通孔20及び吸気孔10を当該吐出容器1の外部に対して遮断する遮断位置から、
図4に示される連通孔20及び吸気孔10を当該吐出容器1の外部に開放する開放位置に達する。このように、シール部材9は遮断位置から開放位置へスライド移動して、該シール部材9による閉塞から吸気孔10が開放されるとともに、吸気孔10は容器外部と連通される。
【0062】
吸気孔10と容器外部とが連通されると、
図4に符号Cの矢印で示すように、該吸気孔10を通して外気が外容器3と内容器2との間に吸入され、これら外容器3と内容器2との間の内圧が大気圧となる。また、このように外容器3と内容器2との間に外気が吸入されることにより、内容器2の減容形状が保持される。
【0063】
さらにシール部材9が下側にスライド移動すると、該シール部材9の下端開口縁が、容器本体4の肩部に上側から当接する。これにより、シール部材9のそれ以上の下側へ向けたスライド移動が規制され、さらにキャップ8が口部4aに対して下側に移動することで、キャップ8の係合部40がシール部材9の被係合部34を下側へ乗り越える。
【0064】
キャップ8をさらにねじ込んでいくと、該キャップ8の凸部37が、吐出筒16の吐出孔24の上端開口縁に上側から当接して吐出口5が封止されるとともに、該キャップ8のフランジ39がシール部材9の上端開口縁に上側から当接して、口部4aに対するキャップ8のそれ以上の下側への移動が規制される。
【0065】
キャップ8を装着後、再び吐出栓6からこのキャップ8を取り外して、容器本体4の外容器3をスクイズ変形させると、前述の作用により吸気孔10は遮断状態とされていることから外容器3と内容器2との間の内圧が正圧となり、この正圧によって内容器2が減容変形する。内容器2が減容変形すると、前述同様の作用で吐出口5から内容物が吐出される。その後、スクイズ変形を解除し、キャップ8を装着すると、前述同様の作用で外容器3と内容器2との間に外気が吸入される。
このように、スクイズ変形された外容器3が復元変形しても、内容器2は内容物の減少とともに減容されていき、しかも内容器2の内部に外気が流入することが防止されることで、内容物の劣化が防止されて保存性が高められている。
【0066】
以上説明した本実施形態の吐出容器1によれば、キャップ8を取り外して内容物を吐出する際には、シール部材9により吸気孔10を容器外部と遮断したままとし、内容物の吐出後にキャップ8を装着した際には、シール部材9による吸気孔10と容器外部との遮断を解除して、吸気孔10を外気に開放させる。これにより、内容物の吐出量が少なく内容器2と外容器3との間に十分な負圧が発生しなくても、キャップ8を装着することで吸気孔10を強制的に開放することができ、内容物の吐出量によらず内容器2と外容器3との間へ吸気を確実に行うことができる。また、キャップ8を取り外して内容物を吐出する際には、外容器3の吸気孔10をシール部材9によって確実に閉塞でき、内容物の吐出時における内容器2と外容器3との間の気密性を確保することができるので、外容器3をスクイズ変形したときに内容器2を確実に減容でき、内容物の吐出量が少ない場合であっても安定した吐出量を確保できる。
【0067】
また、キャップ8の着脱動作により、シール部材9がスライド移動して遮断位置又は開放位置の端部に達したときに、キャップ8の係合部40がシール部材9の被係合部34を容器軸O方向(A方向又はB方向)に乗り越えることで、該キャップ8を容易に着脱できる。すなわち、例えば、これら係合部と被係合部との係合を解除するために複雑な操作(周方向の位置合わせなど)を必要とすることはなく、本実施形態によれば操作が簡単である。
【0068】
また、係合部40及び被係合部34の少なくともいずれか一方が、周方向に沿って延びる環状に形成されているので、キャップ8の着脱動作にあたり、該キャップ8の係合部40とシール部材9の被係合部34とを係合させるために、これらを周方向に位置合わせするような手間を省くことができ、該キャップ8の着脱が簡単に行える。
【0069】
また、本実施形態では、装着筒14に対して、シール部材9が開放位置の端部(下側への移動端)に位置している場合でも、吸気孔10及び連通孔20が該シール部材9に径方向外側から覆われている。これにより、容器外部に開放された吸気孔10及び連通孔20の露出が防止され、これら孔10、20への水滴や塵埃等の進入が抑制される。
【0070】
また、キャップ8が吐出栓6に装着された状態で、該キャップ8は装着筒14及びシール部材9を覆うようになっている。これにより、これら装着筒14とシール部材9との間に塵埃等が進入するようなことが防止されており、該塵埃等により装着筒14とシール部材9との摺動動作や密接状態に不具合が生じるようなことが抑制されていて、安定した吐出が維持される。
【0071】
尚、本発明は前述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0072】
例えば、前述の実施形態では、容器本体4の口部4aとシール部材9との間には、装着筒14の周壁14bが介装されているが、該周壁14bを用いなくてもよい。すなわち、容器本体4の口部4aとシール部材9とを直接当接させて、口部4aに対してシール部材9を容器軸O方向に摺動させても構わない。
【0073】
また、シール部材9が、筒状をなしているとしたが、これに限定されるものではない。すなわち、例えば、シール部材9を、横断面視円弧状をなす矩形板状等に形成し、装着筒14の周壁14bには容器軸O方向に延びるガイドレール部を一対形成して、シール部材9の周方向の両端部をこれらガイドレール部に係合することで、装着筒14に対してシール部材9を容器軸O方向にスライド移動可能に構成してもよい。
【0074】
また、容器本体4は、内容器2が外容器3の内面に剥離可能に積層されたいわゆるデラミボトルであるとしたが、これに限定されるものではなく、例えば、内容器2と外容器3とが別体に形成された二重容器であってもよい。
【0075】
また、前述の実施形態では、雄ねじ部27と雌ねじ部38との螺着によって、キャップ8が吐出栓6に着脱可能に装着されているとしたが、これに限定されるものではなく、例えばアンダーカット嵌合によって、キャップ8が吐出栓6に着脱可能に装着されていてもよい。
【0076】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した変形例を適宜組み合わせてもよい。