特許第5871737号(P5871737)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5871737無線通信端末、基地局、無線通信方法、通信方法および無線通信システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5871737
(24)【登録日】2016年1月22日
(45)【発行日】2016年3月1日
(54)【発明の名称】無線通信端末、基地局、無線通信方法、通信方法および無線通信システム
(51)【国際特許分類】
   H04W 92/18 20090101AFI20160216BHJP
   H04W 88/04 20090101ALI20160216BHJP
   H04W 76/04 20090101ALI20160216BHJP
【FI】
   H04W92/18
   H04W88/04
   H04W76/04
【請求項の数】17
【全頁数】30
(21)【出願番号】特願2012-151403(P2012-151403)
(22)【出願日】2012年7月5日
(65)【公開番号】特開2014-14047(P2014-14047A)
(43)【公開日】2014年1月23日
【審査請求日】2015年1月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100146835
【弁理士】
【氏名又は名称】佐伯 義文
(72)【発明者】
【氏名】北川 幸一郎
(72)【発明者】
【氏名】畑川 養幸
(72)【発明者】
【氏名】小西 聡
【審査官】 松野 吉宏
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−082655(JP,A)
【文献】 特開2006−279187(JP,A)
【文献】 特開2011−172295(JP,A)
【文献】 特開2011−066764(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24 − 7/26
H04W 4/00 − 99/00
3GPP TSG RAN WG1−4
SA WG1−2
CT WG1
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基地局との間で通信を行う基地局通信部と、
他の無線通信端末との間で端末間通信を行う端末間通信部と、
接続局である基地局との通信の通信断を検出する通信断検出部と、
前記通信断検出部により前記接続局である基地局との通信の通信断が検出された状態において、他の無線通信端末との間で端末間通信を行って当該他の無線通信端末を経由して当該他の無線通信端末の接続局である基地局と通信することで前記通信断が検出された前記通信を再開する処理を実行する通信再開処理部と、を備え
前記通信再開処理部は、端末間通信を行う前記他の無線端末装置の接続局である基地局が自端末の接続局であった基地局と同一である場合には、前記他の無線通信端末を経由して自端末の接続局であった基地局との通信を再開し、また、端末間通信を行う前記他の無線端末装置の接続局である基地局が自端末の接続局であった基地局とは異なる場合には、前記他の無線通信端末を経由して、自端末の接続局であった基地局から自端末へのデータを受信した前記他の無線通信端末の接続局である基地局と通信する、
ことを特徴とする無線通信端末。
【請求項2】
基地局との間で通信を行う基地局通信部と、
他の無線通信端末との間で端末間通信を行う端末間通信部と、
接続局である基地局との通信の通信断を検出する通信断検出部と、
前記通信断検出部により前記接続局である基地局との通信の通信断が検出された状態において、他の無線通信端末との間で端末間通信を行って当該他の無線通信端末を経由して当該他の無線通信端末の接続局である基地局と通信することで前記通信断が検出された前記通信を再開する処理を実行する通信再開処理部と、を備え
前記通信再開処理部は、端末間通信を行う前記他の無線通信端末に、自端末の接続局であった基地局から自端末へのデータを特定するための自端末の識別情報を通知する自己識別情報通知部を備える、
ことを特徴とする無線通信端末。
【請求項3】
基地局との間で通信を行う基地局通信部と、
他の無線通信端末との間で端末間通信を行う端末間通信部と、
接続局である基地局との通信の通信断を検出する通信断検出部と、
前記通信断検出部により前記接続局である基地局との通信の通信断が検出された状態において、他の無線通信端末との間で端末間通信を行って当該他の無線通信端末を経由して当該他の無線通信端末の接続局である基地局と通信することで前記通信断が検出された前記通信を再開する処理を実行する通信再開処理部と、を備え
前記通信再開処理部は、端末間通信を行う他の無線通信端末として、受信信号品質が定められた閾値以上である他の無線通信端末のうちから、自端末の接続局であった基地局と同一の基地局を接続局とする他の無線通信端末を優先的に選択する端末選択部を備える、
ことを特徴とする無線通信端末。
【請求項4】
無線通信端末との間で通信する無線通信部と、
他の基地局との間で通信する回線通信部と、
無線通信端末へのデータを記憶する記憶部と、
自局との通信の通信断があった無線通信端末により端末間通信が行われる他の無線通信端末の接続局である他の基地局に対して、前記自局との通信の通信断があった無線通信端末へのデータを転送するデータ転送部と、を備え
前記データ転送部は、前記自局との通信の通信断があった無線通信端末へのデータの量が、定められた閾値未満である場合に、当該データを転送する、
ことを特徴とする基地局。
【請求項5】
無線通信端末との間で通信する無線通信部と、
他の基地局との間で通信する回線通信部と、
無線通信端末へのデータを記憶する記憶部と、
自局との通信の通信断があった無線通信端末により端末間通信が行われる他の無線通信端末の接続局である他の基地局に対して、前記自局との通信の通信断があった無線通信端末へのデータを転送するデータ転送部と、を備え
前記データ転送部は、前記自局との通信の通信断があった無線通信端末へのデータの量の全送信データ量に占める割合が、定められた閾値未満である場合に、当該データを転送する、
ことを特徴とする基地局。
【請求項6】
無線通信端末との間で通信する無線通信部と、
他の基地局との間で通信する回線通信部と、
無線通信端末へのデータを記憶する記憶部と、
自局との通信の通信断があった無線通信端末により端末間通信が行われる他の無線通信端末の接続局である他の基地局に対して、前記自局との通信の通信断があった無線通信端末へのデータを転送するデータ転送部と、を備え
前記データ転送部は、前記自局との通信の通信断があった無線通信端末への滞留データを前記他の基地局へ送信するために必要な時間の見積もりと、前記自局との通信の通信断があった無線通信端末への送信済みデータを前記他の基地局から前記他の無線通信端末を経由して前記自局との通信の通信断があった無線通信端末へ通知するために必要な時間の見積もりとを比較し、前者が後者を下回る場合に、前記データを転送する、
ことを特徴とする基地局。
【請求項7】
無線通信端末との間で通信する無線通信部と、
他の基地局との間で通信する回線通信部と、
無線通信端末へのデータを記憶する記憶部と、
自局との通信の通信断があった無線通信端末により端末間通信が行われる他の無線通信端末の接続局である他の基地局に対して、前記自局との通信の通信断があった無線通信端末へのデータを転送するデータ転送部と、を備え
前記データ転送部は、前記自局との通信の通信断があった無線通信端末の移動速度の見積もりと、前記他の無線通信端末の移動速度の見積もりとの和が、定められた閾値未満である場合に、前記データを転送する、
ことを特徴とする基地局。
【請求項8】
無線通信端末との間で通信する無線通信部と、
他の基地局との間で通信する回線通信部と、
無線通信端末へのデータを記憶する記憶部と、
自局との通信の通信断があった無線通信端末により端末間通信が行われる他の無線通信端末の接続局である他の基地局に対して、前記自局との通信の通信断があった無線通信端末へのデータを転送するデータ転送部と、を備え
前記データ転送部は、前記データの送信を端末間通信を経由して完了するまでの端末間通信における信号品質劣化情報に基づいて、信号品質劣化後の端末間通信における信号受信品質が定められた閾値以上である場合に、前記データを転送する、
ことを特徴とする基地局。
【請求項9】
基地局通信部が、基地局との間で通信を行い、
端末間通信部が、他の無線通信端末との間で端末間通信を行い、
通信断検出部が、接続局である基地局との通信の通信断を検出し、
通信再開処理部が、前記通信断検出部により前記接続局である基地局との通信の通信断が検出された状態において、他の無線通信端末との間で端末間通信を行って当該他の無線通信端末を経由して当該他の無線通信端末の接続局である基地局と通信することで前記通信断が検出された前記通信を再開する処理を実行
前記通信再開処理部は、端末間通信を行う前記他の無線端末装置の接続局である基地局が自端末の接続局であった基地局と同一である場合には、前記他の無線通信端末を経由して自端末の接続局であった基地局との通信を再開し、また、端末間通信を行う前記他の無線端末装置の接続局である基地局が自端末の接続局であった基地局とは異なる場合には、前記他の無線通信端末を経由して、自端末の接続局であった基地局から自端末へのデータを受信した前記他の無線通信端末の接続局である基地局と通信する、
ことを特徴とする無線通信方法。
【請求項10】
基地局通信部が、基地局との間で通信を行い、
端末間通信部が、他の無線通信端末との間で端末間通信を行い、
通信断検出部が、接続局である基地局との通信の通信断を検出し、
通信再開処理部が、前記通信断検出部により前記接続局である基地局との通信の通信断が検出された状態において、他の無線通信端末との間で端末間通信を行って当該他の無線通信端末を経由して当該他の無線通信端末の接続局である基地局と通信することで前記通信断が検出された前記通信を再開する処理を実行
前記通信再開処理部は、自己識別情報通知部によって、端末間通信を行う前記他の無線通信端末に、自端末の接続局であった基地局から自端末へのデータを特定するための自端末の識別情報を通知する、
ことを特徴とする無線通信方法。
【請求項11】
基地局通信部が、基地局との間で通信を行い、
端末間通信部が、他の無線通信端末との間で端末間通信を行い、
通信断検出部が、接続局である基地局との通信の通信断を検出し、
通信再開処理部が、前記通信断検出部により前記接続局である基地局との通信の通信断が検出された状態において、他の無線通信端末との間で端末間通信を行って当該他の無線通信端末を経由して当該他の無線通信端末の接続局である基地局と通信することで前記通信断が検出された前記通信を再開する処理を実行
前記通信再開処理部は、端末選択部によって、端末間通信を行う他の無線通信端末として、受信信号品質が定められた閾値以上である他の無線通信端末のうちから、自端末の接続局であった基地局と同一の基地局を接続局とする他の無線通信端末を優先的に選択する、
ことを特徴とする無線通信方法。
【請求項12】
無線通信部が、無線通信端末との間で通信し、
回線通信部が、他の基地局との間で通信し、
データ転送部が、自局との通信の通信断があった無線通信端末により端末間通信が行われる他の無線通信端末の接続局である他の基地局に対して、前記自局との通信の通信断があった無線通信端末へのデータを転送
前記データ転送部は、前記自局との通信の通信断があった無線通信端末へのデータの量が、定められた閾値未満である場合に、当該データを転送する、
ことを特徴とする通信方法。
【請求項13】
無線通信部が、無線通信端末との間で通信し、
回線通信部が、他の基地局との間で通信し、
データ転送部が、自局との通信の通信断があった無線通信端末により端末間通信が行われる他の無線通信端末の接続局である他の基地局に対して、前記自局との通信の通信断があった無線通信端末へのデータを転送
前記データ転送部は、前記自局との通信の通信断があった無線通信端末へのデータの量の全送信データ量に占める割合が、定められた閾値未満である場合に、当該データを転送する、
ことを特徴とする通信方法。
【請求項14】
無線通信部が、無線通信端末との間で通信し、
回線通信部が、他の基地局との間で通信し、
データ転送部が、自局との通信の通信断があった無線通信端末により端末間通信が行われる他の無線通信端末の接続局である他の基地局に対して、前記自局との通信の通信断があった無線通信端末へのデータを転送
前記データ転送部は、前記自局との通信の通信断があった無線通信端末への滞留データを前記他の基地局へ送信するために必要な時間の見積もりと、前記自局との通信の通信断があった無線通信端末への送信済みデータを前記他の基地局から前記他の無線通信端末を経由して前記自局との通信の通信断があった無線通信端末へ通知するために必要な時間の見積もりとを比較し、前者が後者を下回る場合に、前記データを転送する、
ことを特徴とする通信方法。
【請求項15】
無線通信部が、無線通信端末との間で通信し、
回線通信部が、他の基地局との間で通信し、
データ転送部が、自局との通信の通信断があった無線通信端末により端末間通信が行われる他の無線通信端末の接続局である他の基地局に対して、前記自局との通信の通信断があった無線通信端末へのデータを転送
前記データ転送部は、前記自局との通信の通信断があった無線通信端末の移動速度の見積もりと、前記他の無線通信端末の移動速度の見積もりとの和が、定められた閾値未満である場合に、前記データを転送する、
ことを特徴とする通信方法。
【請求項16】
無線通信部が、無線通信端末との間で通信し、
回線通信部が、他の基地局との間で通信し、
データ転送部が、自局との通信の通信断があった無線通信端末により端末間通信が行われる他の無線通信端末の接続局である他の基地局に対して、前記自局との通信の通信断があった無線通信端末へのデータを転送
前記データ転送部は、前記データの送信を端末間通信を経由して完了するまでの端末間通信における信号品質劣化情報に基づいて、信号品質劣化後の端末間通信における信号受信品質が定められた閾値以上である場合に、前記データを転送する、
ことを特徴とする通信方法。
【請求項17】
無線通信端末が、接続局である基地局との通信の通信断が検出された状態において、他の無線通信端末との間で端末間通信を行って当該他の無線通信端末を経由して当該他の無線通信端末の接続局である基地局と通信することで前記通信断が検出された前記通信を再開する処理を実行し、
前記他の無線通信端末が、接続局である基地局との通信の通信断が検出された状態における前記無線通信端末から端末間通信により通知された当該無線通信端末の識別情報を自端末の接続局である基地局に通知し、
前記他の無線通信端末の接続局である基地局が、接続局である基地局との通信の通信断が検出された状態における前記無線通信端末の接続局であった基地局に対して、当該無線通信端末の識別情報を指定して、当該無線通信端末へのデータを転送することを要求し、
接続局である基地局との通信の通信断が検出された状態における無線通信端末の接続局であった基地局が、自局との通信の通信断があった前記無線通信端末により端末間通信が行われる前記他の無線通信端末の接続局である基地局に対して、前記自局との通信の通信断があった前記無線通信端末へのデータを転送する、
ことを特徴とする無線通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信端末、基地局、無線通信方法、通信方法よび無線通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
無線セルラシステムの標準規格の一つとしてLTE(Long−Term Evolution)がある。LTEシステムにおける、無線通信端末(端末)による通信断の仕組みについて説明する(例えば、非特許文献1、2参照。)。
【0003】
無線通信端末が無線リンク断(RLF:Radio Link Failure)を検出した際における、当該無線通信端末により行われる処理の概要を示す。
図11は、LTEにおいて無線通信端末が無線リンク断を検出した際に当該無線通信端末において行われる処理の手順の一例を示す図である。なお、この処理は、全て、無線通信端末において行われる。
【0004】
無線通信端末において通信断が起こる際には、まず、当該無線通信端末においてRLFを検出する(ステップS1001)。
無線通信端末においてRLFを検出した場合、当該無線通信端末において無線リンクの再確立処理(RRC Reconfiguration Procedure)を開始する。無線通信端末は、この再確立処理が正常に終了した場合には、接続局との通信を再開する。
一方、無線通信端末は、この再確立処理が失敗した場合には(ステップS1002)、再接続先基地局の選択(Cell Reselection)の処理を開始する(ステップS1003)。無線通信端末は、この再接続先基地局の選択により、正常に元の接続局へ接続された場合には、送信途中であったデータを途中から受信することができる。
【0005】
しかしながら、無線通信端末の再接続先基地局が元の基地局ではなかった場合(現在の接続基地局以外の基地局を再接続先基地局として選択した場合)には、基地局において送信待機状態で保持されていたデータは全て失われてしまう。この場合、無線通信端末では、データ送受信を最初から実施することとなり、当該無線通信端末における通信に大きな遅延が発生してしまう可能性がある。
また、無線通信端末の再接続先基地局として適切な基地局が見つからなかった場合にも、通信断が発生してしまう可能性がある。
【0006】
なお、従来技術の一例として、特許文献1には、通信中に無線エリア圏外に移動した場合であっても、事前に識別情報や鍵情報を登録する操作を要することなく、端末間の通信を継続することを図る無線通信端末などが開示されている(特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−171409号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】3GPP、TS 36.300、v9.0.0、http://www.3gpp.org/.
【非特許文献2】3GPP、TS 36.331、v9.0.0、http://www.3gpp.org/.
【非特許文献3】W.Xinzhou et al.、“FlashLinQ:A synchronous distributed scheduler for peer−to−peer ad hoc networks”、2010 48th Annual Allerton Conference on Communication,Control,and Computing(Allerton)、pp.514−521、Sept.29 2010−Oct.1 2010
【非特許文献4】3GPP、TS 36.423、v10.4.0、http://www.3gpp.org/.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述のように、従来の無線セルラシステムでは、基地局と通信中である無線通信端末が何らかの理由で当該基地局と通信不能となった場合(基地局と無線通信端末との間の通信が何らかの理由で継続不能となった場合)に、当該基地局から送信途中であったデータが失われて、通信が途絶してしまい、当該無線通信端末におけるデータ受信に大きな遅延が発生してしまうという問題があった。
【0010】
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、基地局との間の通信が通信断となった無線通信端末により通信を再開することを効率的に可能とすることができる無線通信端末、基地局、無線通信方法、通信方法よび無線通信システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(1)上記の課題を解決するために、本発明に係る無線通信端末は、基地局との間で通信を行う基地局通信部と、他の無線通信端末との間で端末間通信を行う端末間通信部と、接続局である基地局との通信の通信断を検出する通信断検出部と、前記通信断検出部により前記接続局である基地局との通信の通信断が検出された状態において、他の無線通信端末との間で端末間通信を行って当該他の無線通信端末を経由して当該他の無線通信端末の接続局である基地局と通信することで前記通信断が検出された前記通信を再開する処理を実行する通信再開処理部と、を備えることを特徴とする。
【0012】
(2)本発明は、上記した(1)に記載の無線通信端末において、前記通信再開処理部は、前記通信断検出部により前記接続局である基地局との通信の通信断が検出された後であって、再接続先基地局の選択を実行する前にまたは再接続先基地局の選択を実行した後に、前記通信断が検出された前記通信を再開する処理を実行する、ことを特徴とする。
【0013】
(3)本発明は、上記した(1)または上記した(2)に記載の無線通信端末において、前記通信再開処理部は、端末間通信を行う前記他の無線端末装置の接続局である基地局が自端末の接続局であった基地局と同一である場合には、前記他の無線通信端末を経由して自端末の接続局であった基地局との通信を再開し、また、端末間通信を行う前記他の無線端末装置の接続局である基地局が自端末の接続局であった基地局とは異なる場合には、前記他の無線通信端末を経由して、自端末の接続局であった基地局から自端末へのデータを受信した前記他の無線通信端末の接続局である基地局と通信する、ことを特徴とする。
【0014】
(4)本発明は、上記した(1)から上記した(3)のいずれか1つに記載の無線通信端末において、前記通信再開処理部は、端末間通信を行う前記他の無線通信端末に、自端末の接続局であった基地局から自端末へのデータを特定するための自端末の識別情報を通知する自己識別情報通知部を備える、ことを特徴とする。
【0015】
(5)本発明は、上記した(1)から上記した(4)のいずれか1つに記載の無線通信端末において、前記通信再開処理部は、端末間通信を行う他の無線通信端末として、端末間通信が可能な無線通信端末のうちから、最も受信信号品質が高い無線通信端末を選択する端末選択部を備える、ことを特徴とする。
【0016】
(6)本発明は、上記した(1)から上記した(4)のいずれか1つに記載の無線通信端末において、前記通信再開処理部は、端末間通信を行う他の無線通信端末として、受信信号品質が定められた閾値以上である他の無線通信端末のうちから、自端末の接続局であった基地局と同一の基地局を接続局とする他の無線通信端末を優先的に選択する端末選択部を備える、ことを特徴とする。
【0017】
(7)上記の課題を解決するために、本発明に係る無線通信端末は、基地局との間で通信を行う基地局通信部と、他の無線通信端末との間で端末間通信を行う端末間通信部と、接続局である基地局との通信の通信断が検出された状態における他の無線通信端末から端末間通信により通知された当該他の無線通信端末の識別情報を自端末の接続局である基地局に通知する他識別情報通知部と、を備えることを特徴とする。
【0018】
(8)上記の課題を解決するために、本発明に係る基地局は、無線通信端末との間で通信する無線通信部と、他の基地局との間で通信する回線通信部と、無線通信端末へのデータを記憶する記憶部と、自局との通信の通信断があった無線通信端末により端末間通信が行われる他の無線通信端末の接続局である他の基地局に対して、前記自局との通信の通信断があった無線通信端末へのデータを転送するデータ転送部と、を備える、ことを特徴とする。
【0019】
(9)本発明は、上記した(8)に記載の基地局において、前記データ転送部は、前記自局との通信の通信断があった無線通信端末へのデータの量が、定められた閾値未満である場合に、当該データを転送する、ことを特徴とする。
【0020】
(10)本発明は、上記した(8)または上記した(9)に記載の基地局において、前記データ転送部は、前記自局との通信の通信断があった無線通信端末へのデータの量の全送信データ量に占める割合が、定められた閾値未満である場合に、当該データを転送する、ことを特徴とする。
【0021】
(11)本発明は、上記した(8)から上記した(10)のいずれか1つに記載の基地局において、前記データ転送部は、前記自局との通信の通信断があった無線通信端末への滞留データを前記他の基地局へ送信するために必要な時間の見積もりと、前記自局との通信の通信断があった無線通信端末への送信済みデータを前記他の基地局から前記他の無線通信端末を経由して前記自局との通信の通信断があった無線通信端末へ通知するために必要な時間の見積もりとを比較し、前者が後者を下回る場合に、前記データを転送する、ことを特徴とする。
【0022】
(12)本発明は、上記した(8)から上記した(11)のいずれか1つに記載の基地局において、前記データ転送部は、前記自局との通信の通信断があった無線通信端末の移動速度の見積もりと、前記他の無線通信端末の移動速度の見積もりとの和が、定められた閾値未満である場合に、前記データを転送する、ことを特徴とする。
【0023】
(13)本発明は、上記した(8)から上記した(12)のいずれか1つに記載の基地局において、前記データ転送部は、前記データの送信を端末間通信を経由して完了するまでの端末間通信における信号品質劣化情報に基づいて、信号品質劣化後の端末間通信における信号受信品質が定められた閾値以上である場合に、前記データを転送する、ことを特徴とする。
【0024】
(14)上記の課題を解決するために、本発明に係る基地局は、無線通信端末との間で通信する無線通信部と、他の基地局との間で通信する回線通信部と、他の基地局に対して、当該他の基地局との通信の通信断があった無線通信端末の識別情報を指定して、当該無線通信端末へのデータを転送することを要求するデータ転送要求部と、を備えることを特徴とする。
【0025】
(15)上記の課題を解決するために、本発明に係る無線通信方法は、基地局通信部が、基地局との間で通信を行い、端末間通信部が、他の無線通信端末との間で端末間通信を行い、通信断検出部が、接続局である基地局との通信の通信断を検出し、通信再開処理部が、前記通信断検出部により前記接続局である基地局との通信の通信断が検出された状態において、他の無線通信端末との間で端末間通信を行って当該他の無線通信端末を経由して当該他の無線通信端末の接続局である基地局と通信することで前記通信断が検出された前記通信を再開する処理を実行する、ことを特徴とする。
【0026】
(16)上記の課題を解決するために、本発明に係る無線通信方法は、基地局通信部が、基地局との間で通信を行い、端末間通信部が、他の無線通信端末との間で端末間通信を行い、他識別情報通知部が、接続局である基地局との通信の通信断が検出された状態における他の無線通信端末から端末間通信により通知された当該他の無線通信端末の識別情報を自端末の接続局である基地局に通知する、ことを特徴とする。
【0027】
(17)上記の課題を解決するために、本発明に係る通信方法は、無線通信部が、無線通信端末との間で通信し、回線通信部が、他の基地局との間で通信し、データ転送部が、自局との通信の通信断があった無線通信端末により端末間通信が行われる他の無線通信端末の接続局である他の基地局に対して、前記自局との通信の通信断があった無線通信端末へのデータを転送する、ことを特徴とする。
【0028】
(18)上記の課題を解決するために、本発明に係る通信方法は、無線通信部が、無線通信端末との間で通信し、回線通信部が、他の基地局との間で通信し、データ転送要求部が、他の基地局に対して、当該他の基地局との通信の通信断があった無線通信端末の識別情報を指定して、当該無線通信端末へのデータを転送することを要求する、ことを特徴とする。
【0029】
(19)上記の課題を解決するために、本発明に係る無線通信プログラムは、基地局通信部が、基地局との間で通信を行うステップと、端末間通信部が、他の無線通信端末との間で端末間通信を行うステップと、通信断検出部が、接続局である基地局との通信の通信断を検出するステップと、通信再開処理部が、前記通信断検出部により前記接続局である基地局との通信の通信断が検出された状態において、他の無線通信端末との間で端末間通信を行って当該他の無線通信端末を経由して当該他の無線通信端末の接続局である基地局と通信することで前記通信断が検出された前記通信を再開する処理を実行するステップと、をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【0030】
(20)上記の課題を解決するために、本発明に係る無線通信プログラムは、基地局通信部が、基地局との間で通信を行うステップと、端末間通信部が、他の無線通信端末との間で端末間通信を行うステップと、他識別情報通知部が、接続局である基地局との通信の通信断が検出された状態における他の無線通信端末から端末間通信により通知された当該他の無線通信端末の識別情報を自端末の接続局である基地局に通知するステップと、をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【0031】
(21)上記の課題を解決するために、本発明に係る通信プログラムは、無線通信部が、無線通信端末との間で通信するステップと、回線通信部が、他の基地局との間で通信するステップと、データ転送部が、自局との通信の通信断があった無線通信端末により端末間通信が行われる他の無線通信端末の接続局である他の基地局に対して、前記自局との通信の通信断があった無線通信端末へのデータを転送するステップと、をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【0032】
(22)上記の課題を解決するために、本発明に係る通信プログラムは、無線通信部が、無線通信端末との間で通信するステップと、回線通信部が、他の基地局との間で通信するステップと、データ転送要求部が、他の基地局に対して、当該他の基地局との通信の通信断があった無線通信端末の識別情報を指定して、当該無線通信端末へのデータを転送することを要求するステップと、をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【0033】
(23)上記の課題を解決するために、本発明に係る無線通信システムは、無線通信端末が、接続局である基地局との通信の通信断が検出された状態において、他の無線通信端末との間で端末間通信を行って当該他の無線通信端末を経由して当該他の無線通信端末の接続局である基地局と通信することで前記通信断が検出された前記通信を再開する処理を実行し、前記他の無線通信端末が、接続局である基地局との通信の通信断が検出された状態における前記無線通信端末から端末間通信により通知された当該無線通信端末の識別情報を自端末の接続局である基地局に通知し、前記他の無線通信端末の接続局である基地局が、接続局である基地局との通信の通信断が検出された状態における前記無線通信端末の接続局であった基地局に対して、当該無線通信端末の識別情報を指定して、当該無線通信端末へのデータを転送することを要求し、接続局である基地局との通信の通信断が検出された状態における無線通信端末の接続局であった基地局が、自局との通信の通信断があった前記無線通信端末により端末間通信が行われる前記他の無線通信端末の接続局である基地局に対して、前記自局との通信の通信断があった前記無線通信端末へのデータを転送する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、基地局との間の通信が通信断となった無線通信端末により通信を再開することを効率的に可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】本発明の一実施形態に係る無線通信システムの概略的な構成を示すブロック図である。
図2】本発明の一実施形態に係る基地局の概略的な構成を示すブロック図である。
図3】本発明の一実施形態に係る無線通信端末の概略的な構成を示すブロック図である。
図4】本発明の第1実施形態に係る無線通信端末が無線リンク断を検出した際に当該無線通信端末において行われる処理の手順の一例を示す図である。
図5】本発明の一実施形態に係る端末間通信による救済手続きの具体的な処理の手順の一例を示す図である。
図6】端末Aと端末Bとの間の端末間通信の確立までの処理(手順1〜手順2の処理)のシーケンスの一例を示す図である。
図7】基地局Aから未送信データを転送する場合における処理(手順3および手順4の処理)のシーケンスの一例を示す図である。
図8】基地局Aからのデータ転送を棄却して、端末間通信により通信を再確立する場合における処理(手順3および手順4の処理)のシーケンスの一例を示す図である。
図9】基地局Aからのデータ転送を棄却して、セルラ通信により通信を再確立する場合における処理(手順3および手順4の処理)のシーケンスの一例を示す図である。
図10】本発明の第2実施形態に係る無線通信端末が無線リンク断を検出した際に当該無線通信端末において行われる処理の手順の一例を示す図である。
図11】LTEにおいて無線通信端末が無線リンク断を検出した際に当該無線通信端末において行われる処理の手順の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。
なお、ある値と閾値との大小関係を比較する表現として、矛盾が無い範囲で、「閾値以上」という表現と「閾値を超える」という表現とが入れ替えられてもよく、また、「閾値以下」という表現と「閾値未満」という表現とが入れ替えられてもよい。
【0037】
[第1実施形態]
図1は、本発明の一実施形態に係る無線通信システム1の概略的な構成を示すブロック図である。
本実施形態では、無線通信システム1として、端末間通信が混在する無線セルラシステムを示す。
本実施形態に係る無線通信システム1は、複数(図1の例では、2個)の基地局11A、11Bと、複数(図1の例では、2個)の無線通信端末12A、12Bと、複数の基地局11A、11Bの間を接続する回線(基地局間回線)13を備える。
また、図1は、各基地局11A、11Bにより無線通信するエリア(通信エリア)21A、21Bを示す。
【0038】
無線通信システム1では、各基地局11A、11Bと、当該各基地局11A、11Bの通信エリア21A、21Bに存在する無線通信端末12A、12Bとの間で、無線の通信(基地局−端末間通信)を行う。
また、各基地局と他の基地局との間(本実施形態では、基地局11Aと基地局11Bとの間)で、基地局間回線13を介して通信(基地局間通信)を行う。なお、本実施形態では、基地局間回線13として、有線の回線を用いるが、他の構成例として、無線の回線が用いられてもよい。
また、無線通信端末と他の無線通信端末との間(本実施形態では、無線通信端末12Aと無線通信端末12Bとの間)で、無線の通信(端末間通信)を行う。
【0039】
ここで、無線通信システム1に備えられる基地局の数としては、本実施形態では、2個としたが、例えば、さらに多くの数が用いられてもよい。
また、無線通信システム1に備えられる無線通信端末の数としては、本実施形態では、2個としたが、例えば、さらに多くの数が用いられてもよい。
【0040】
図2は、本発明の一実施形態に係る基地局11の概略的な構成を示すブロック図である。
ここで、本実施形態では、各基地局11A、11Bは同様な構成を有しており、ここでは、これらをまとめて、基地局11として説明する。
基地局11は、通信部101と、記憶部102と、制御部103を備える。
通信部101は、無線通信端末12A、12Bとの間で無線により通信する無線通信部111と、基地局間回線13を介して他の基地局との間で通信する回線通信部112を備える。
記憶部102は、制御部103により実行されるプログラムや、他の様々な情報(データ)を記憶する。具体例として、記憶部102は、それぞれの無線通信端末12A、12B向けの未送信データ(滞留データ)や、基地局11が通信対象として管理している無線通信端末12A、12Bの識別情報を記憶する。
制御部103は、基地局11における様々な処理や制御を行う。
【0041】
制御部103は、データ転送部1001と、データ転送要求部1002を備える。
データ転送部1001は、他の基地局へのデータの転送に関する処理を実行する。
データ転送要求部1002は、他の基地局に対するデータの転送の要求に関する処理を実行する。
【0042】
図3は、本発明の一実施形態に係る無線通信端末12の概略的な構成を示すブロック図である。
ここで、本実施形態では、各無線通信端末12A、12Bは同様な構成を有しており、ここでは、これらをまとめて、無線通信端末12として説明する。
無線通信端末12は、通信部201と、記憶部202と、制御部203を備える。
通信部201は、基地局(基地局11Aや基地局11B)との間で無線により通信する基地局通信部211と、他の無線通信端末との間で直接的に通信する端末間通信部212を備える。
記憶部202は、制御部203により実行されるプログラムや、他の様々な情報(データ)を記憶する。具体例として、記憶部202は、無線通信端末12の識別情報を記憶する。
制御部203は、無線通信端末12における様々な処理や制御を行う。
【0043】
制御部203は、通信断検出部1101と、通信再開処理部1102と、他識別情報通知部1103を備える。
通信断検出部1101は、基地局との通信の通信断の検出に関する処理を実行する。
通信再開処理部1102は、基地局との通信の通信断が発生した場合に、通信の再開に関する処理を実行する。
他識別情報通知部1103は、他の無線通信端末の識別情報の基地局への通知に関する処理を実行する。
【0044】
通信再開処理部1102は、自己識別情報通知部1111と、端末選択部1112を備える。
自己識別情報通知部1111は、自己(無線通信端末12)の識別情報の通知に関する処理を実行する。
端末選択部1112は、端末間通信を行う他の無線通信端末の選択に関する処理を実行する。
【0045】
図4は、本実施形態に係る無線通信端末12が無線リンク断を検出した際に当該無線通信端末12において行われる処理の手順の一例を示す図である。
ここで、本実施形態では、図4に示される概略的な処理に関して、各無線通信端末12A、12Bは同様な動作を行い、ここでは、これらをまとめて、無線通信端末12として説明する。
【0046】
無線通信端末12において通信断が起こる際には、まず、当該無線通信端末12においてRLFを検出する(ステップS1)。
無線通信端末12においてRLFを検出した場合、当該無線通信端末12において無線リンクの再確立処理(RRC Reconfiguration Procedure)を開始する。無線通信端末12は、この再確立処理が正常に終了した場合には、接続局との通信を再開する。
一方、無線通信端末12において、この再確立処理が失敗した場合には(ステップS2)、端末間通信による救済手続きの処理が実行される(ステップS3)。
その後、無線通信端末12は、再接続先基地局の選択(Cell Reselection)の処理を開始する(ステップS4)。
【0047】
このように、本実施形態では、無線通信端末12において無線リンク再確立の失敗が検知された後であって、当該無線通信端末において再接続先基地局の選択が実施される前のタイミングで、無線通信端末と基地局の関連する手続きである救済手続きの処理(ステップS3の処理)が実行される。
【0048】
次に、端末間通信による救済手続きの処理(ステップS3の処理)について、具体的に説明する。
ここで、以下の説明では、便宜上、基地局11A、基地局11Bをそれぞれ基地局A、基地局Bとも呼び、また、無線通信端末12A、無線通信端末12Bをそれぞれ端末A、端末Bとも呼び、また、通信エリア21A、通信エリア21Bをそれぞれ通信エリアA、通信エリアBとも呼ぶ。
【0049】
また、初期状態において、端末Aは基地局Aと接続されており、つまり、端末Aの接続局が基地局Aであるとする。
また、端末Bは、場合に応じて、基地局Aまたは基地局Bと接続されており、つまり、端末Bの接続局が基地局Aまたは基地局Bであるとする。
【0050】
図5は、本実施形態に係る端末間通信による救済手続きの具体的な処理の手順の一例を示す図である。
[手順1](ステップS11〜ステップS13の処理)
本実施形態に係る端末間通信による救済手続きの手法は、RLFを検出(検知)した無線通信端末12A、12Bにおける無線リンク再確立処理が失敗した場合に適用される。
ここでは、端末AがRLFを検出し(ステップS11)、無線リンク再確立処理を行ったが(ステップS12)、その無線リンク再確立処理が失敗した場合(ステップS13)を例として説明する。この場合、通信断端末救済手法(ステップS14〜ステップS22の手法)を行うこととなり、まず、[手順2]の処理を行う。
なお、いずれの無線通信端末12A、12BにおいてもRLFが検出されない場合や、あるいは、RLFが検出されても、無線リンク再確立処理が失敗しない場合には、本処理は終了する。
【0051】
[手順2](ステップS14〜ステップS16の処理)
無線リンク再確立処理が失敗した端末Aは、当該端末Aとの間で端末間通信が可能な他の端末が存在するか否かを検索(探索)する(ステップS14)。そして、端末Aは、このような検索の結果、当該端末Aとの間で端末間通信が可能な他の端末が存在するか否かを判定する(ステップS15)。
ここでは、端末Aが、当該端末Aとの間で端末間通信が可能な他の端末として、端末Bを検出した場合を例として説明する。
なお、端末Aが、当該端末Aとの間で端末間通信が可能な他の端末を検出しなかった場合には、本処理は終了する。
【0052】
端末Aが、当該端末Aとの間で端末間通信が可能な他の端末として、端末Bを検出した場合には、端末Aは、端末Bとの間で端末間通信を行って、端末Bから、端末Bの接続局情報を取得する。
この接続局情報には、それぞれの端末A、Bが接続される基地局A、B(接続局)を識別する情報が含まれる。
【0053】
ここで、一般に、端末Aとの間で端末間通信が可能な他の端末は複数存在する場合の可能性がある。
この場合には、端末Aは、例えば、次のような(端末選択手法a)または(端末選択手法b)のうちのいずれかの手法を用いて、1個の他の端末を選択する。
(端末選択手法a)では、最も信号品質(例えば、受信信号品質)が高い端末を選択する。
(端末選択手法b)では、受信信号品質が定められた閾値(例えば、あらかじめ定められた一定の閾値)以上である端末のうちで、端末Aと接続局が同一である端末が存在する場合には当該端末を選択し、端末Aと接続局が同一である端末が存在しない場合には最も受信信号品質が高い端末を選択する。
【0054】
なお、(端末選択手法a)や(端末選択手法b)において、受信信号品質としては、例えば、端末Aが端末間通信が可能な他の端末から受信する信号の品質を用いることができる。
また、信号の品質としては、任意の指標の値が用いられてもよい。
【0055】
ここでは、端末Aが、当該端末Aとの間で端末間通信が可能な他の端末として、1個の端末Bのみを検出した場合、または、複数個の端末を検出したが、そのうちで1個の端末Bを選択した場合を例として説明する。
端末Aは、当該端末Aとの間で端末間通信が可能な他の端末とした端末Bの接続局が、RLFを検出した当該端末Aの接続局と同一であるか否かを判定する(ステップS16)。
この判定処理の結果、端末Aが、端末Bの接続局と当該端末Aの接続局とが同一であると判定した場合には、[手順3]の処理を行い、一方、端末Bの接続局と当該端末Aの接続局とが同一ではない(つまり、異なる)と判定した場合には、[手順4]の処理を行う。
なお、端末Aが、当該端末Aとの間で端末間通信が可能な他の端末を検出することができなかった場合には、本処理は終了する。
【0056】
なお、周辺の端末を検出する方法としては、例えば、非特許文献3に記載された方法などを用いることができる(例えば、非特許文献3参照。)。
また、2個の異なる端末の間の情報のやり取り(本実施形態では、端末Aと端末Bとの間の情報のやり取り)は、例えば、非特許文献3に記載の方法で端末間通信を実施することなどにより実現することができる(例えば、非特許文献3参照。)。
【0057】
[手順3](ステップS17の処理)
ステップS16の判定処理の結果、端末Aが、端末Bの接続局と当該端末Aの接続局とが同一であると判定した場合には、当該端末Aは、当該端末Bを経由して、その接続局(基地局A)との通信を継続する(ステップS17)。そして、本処理は終了する。
この場合、基地局Aに滞留している端末A向けのデータ(未送信データ)が、基地局Aから端末Bを経由して当該端末Aへ、当該端末Aと当該端末Bとの間の端末間通信を使用して送信される。具体的には、基地局Aから端末Bへデータが無線通信により送信され、当該データが当該端末Bから端末Aへ端末間通信により送信される。
【0058】
[手順4](ステップS18〜ステップS23の処理)
ステップS16の判定処理の結果、端末Aが、端末Bの接続局と当該端末Aの接続局とが同一ではない(つまり、異なる)と判定した場合について説明する。ここでは、端末Aの接続局が基地局Aであり、端末Bの接続局が基地局Bであるとする。
この場合、端末Aは、端末Bとの間の端末間通信を使用して、当該端末Bを経由して、自己(当該端末A)の識別情報を基地局Bへ送信して通知する(ステップS18)。具体的には、端末Aから端末Bへ識別情報が送信され、当該識別情報が当該端末Bから基地局Bへ送信される。
この端末Aの識別情報には、当該端末Aを識別する情報が含まれる。この端末Aの識別情報は、当該端末Aの接続局(基地局A)により記憶されて管理される。このような端末Aの識別情報に基づいて、他の基地局Bは、当該端末Aの接続局が基地局Aであることを検出することができる。
【0059】
基地局Bは、端末Aの識別情報を受信すると、当該端末Aの接続局(基地局A)に対して、当該端末Aに関するデータを自己(当該基地局B)へ送信(転送)することを要求する信号(データ転送要求信号)を送信する(ステップS19)。
ここで、基地局Aにおける端末Aに関するデータとしては、基地局Aに滞留している端末A向けのデータ(未送信データ)を用いている。
【0060】
基地局Aは、基地局Bにより要求されたデータ送信(データ転送)の可否を判定する(ステップS20)。
この判定処理の結果、基地局Aが、基地局Bにより要求されたデータ送信(データ転送)を可とすると判定した場合には、当該基地局Aは当該基地局Bへ要求されたデータを送信(転送)する(ステップS21)。
この場合、端末Aは、端末Bとの間の端末間通信を使用して、当該端末Bを経由して、当該端末Bの接続局(基地局B)との通信を開始して継続する(ステップS22)。そして、本処理は終了する。
この場合、基地局Aに滞留している端末A向けのデータ(未送信データ)が、基地局Aから基地局B、端末Bを経由して当該端末Aへ、当該端末Aと当該端末Bとの間の端末間通信を使用して送信される。具体的には、基地局Aから基地局Bへデータが基地局間通信により送信され、当該データが基地局Bから端末Bへ無線通信により送信され、当該データが当該端末Bから端末Aへ端末間通信により送信される。
【0061】
ステップS20の判定処理の結果、基地局Aが、基地局Bにより要求されたデータ送信(データ転送)を不可とすると判定した場合には、当該基地局Aは、基地局Bから受信したデータ転送要求信号によるデータ転送要求を棄却する(ステップS23)。そして、本処理は終了する。
【0062】
ここで、ステップS18〜ステップS23の処理に関し、さらに具体的に、([手順4]の具体的な処理1)〜([手順4]の具体的な処理6)を説明する。
([手順4]の具体的な処理1)
端末Aは、端末Bに対して、当該端末Aの接続局(基地局A)における当該端末Aの識別情報を通知する(ステップS18の処理の一部)。
例えば、LTE標準に準拠したシステムでは、端末の識別情報として、端末Aは、自己(当該端末A)のUE context情報を通知する。UE context情報には、基地局における接続端末の識別に用いられる情報が含まれている(例えば、非特許文献4参照。)。
【0063】
基地局が端末に対してUE context情報を通知するために、例えば、次のような(UE context情報の通知手順1)〜(UE context情報の通知手順2)に従う。
(UE context情報の通知手順1)
端末Aにおいて通信品質が低下することが予測された場合には、当該端末Aは、当該端末Aの接続局(基地局A)に対して、UE context通知要求(UE context request)を送信してもよい。
通信品質や、通信品質の低下に関しては、例えば、次のような(通信品質に関する例1)〜(通信品質に関する例2)のうちの1つまたは2つ(両方)に記載する条件に基づいて判断することができる。
【0064】
(通信品質に関する例1)では、端末Aにおける接続局(基地局A)のRSRQ(Reference Signal Received Quality)の測定値が定められた閾値(例えば、あらかじめ定められた一定の閾値)以下となり、その状態が定められた時間(例えば、あらかじめ定められた一定の時間)継続した場合に、通信品質が低下したとみなす。この場合、RSRQの値を、通信品質を表す値として用いている。
(通信品質に関する例2)では、端末Aにおける通信レートが定められた閾値(例えば、あらかじめ定められた一定の閾値)未満となり、その状態が定められた時間(例えば、あらかじめ定められた一定の時間)継続した場合に、通信品質が低下したとみなす。この場合、通信レートの値を、通信品質を表す値として用いている。
【0065】
(UE context情報の通知手順2)
端末Aの接続局Aは、UE context通知要求を受信した場合に、UE context情報を当該端末Aに通知する(UE context report)。
また、次のような(UE context情報の通知条件1)〜(UE context情報の通知条件3)のうちの定められたもの(例えば、あらかじめ定められた1つ以上)に記載する条件を満たす端末Aに対しては、当該端末Aの接続局(基地局A)は、UE context通知要求を受信しない状態においても、UE context通知開始メッセージを通知して、UE context情報を通知してもよい。
【0066】
(UE context情報の通知条件1)では、無条件とする。この場合、端末Aの接続局Aは、常に、最新のUE context情報を当該端末Aに対して通知する。
(UE context情報の通知条件2)では、端末AのCQI(Channel Quality Indicator)に基づいて判定される受信信号品質が、定められた期間(例えば、あらかじめ定められた一定の期間)、定められた閾値(例えば、あらかじめ定められた一定の閾値)以下である場合に、当該端末Aの接続局(基地局A)は、UE context情報を当該端末Aに対して通知する。
(UE context情報の通知条件3)では、端末Aより最近の定められた時間(例えば、あらかじめ定められた一定の時間)以内に通知されたMeasurement Reportに含まれる当該接続局Aに関するRSRQ値もしくはRSRP値が、定められた閾値(例えば、あらかじめ定められた一定の閾値)未満である場合に、当該端末Aの接続局(基地局A)は、UE context情報を当該端末Aに対して通知する。
【0067】
([手順4]の具体的な処理2)
端末Bは、当該端末Bの接続局(基地局B)に対して、端末Aの識別情報(端末識別情報)を通知する(ステップS18の処理の一部)。
【0068】
([手順4]の具体的な処理3)
端末Bの接続局(基地局B)は、端末Aの接続局(基地局A)に対して、当該端末Aの識別情報を通知するとともに、当該端末A向けに当該接続局(基地局A)において滞留しているデータの転送要求を通知する(ステップS19の処理)。
【0069】
([手順4]の具体的な処理4)
端末Aの接続局(基地局A)は、端末Bの接続局(基地局B)に対して、当該端末A向けに滞留しているデータを転送するか否かを、次のような(判定基準の例1)〜(判定基準の例5)のうちの1つ以上の任意の組み合わせの条件に基づいて判定してもよい(ステップS20の処理)。
端末Aの接続局(基地局A)がデータを転送することとなった場合には、([手順4]の具体的な処理5)を実行する。
一方、端末Aの接続局(基地局A)がデータ転送を棄却することとなった場合には、([手順4]の具体的な処理6)を実行する。
【0070】
(判定基準の例1)
この例では、D2D(デバイス トゥ デバイス)により送信するデータ量を許容値(閾値)以下に留めることをポリシーとする場合を示す。
具体的には、基地局Aに端末A向けに滞留しているデータの量が、定められた閾値(例えば、あらかじめ定められた一定の閾値)未満である場合には、当該基地局Aは、そのデータを転送する(ステップS21)。一方、基地局Aに端末A向けに滞留しているデータの量が、前記定められた閾値(例えば、あらかじめ定められた一定の閾値)以上である場合には、当該基地局Aは、そのデータ転送要求を棄却する(ステップS23)。
【0071】
(判定基準の例2)
この例では、途絶した通信がデータ送信過程のいずれの位置で途絶えたのかによって、判断する場合を示す。
具体的には、基地局Aにおいて、端末A向けに滞留しているデータの量をx[bit]とし、当該端末Aに対して送信済みのデータの量をy[bit]とする。基地局Aは、この滞留しているデータ量の全送信データ量に占める割合x/(x+y)が定められた閾値(例えば、あらかじめ定められた一定の閾値)未満である場合に、そのデータを転送する(ステップS21)。一方、基地局Aは、この割合x/(x+y)が前記定められた閾値(例えば、あらかじめ定められた一定の閾値)以上である場合に、そのデータ転送要求を棄却する(ステップS23)。
【0072】
(判定基準の例3)
この例では、通信完了時刻をできるだけ早めることをポリシーとする場合を示す。
具体的には、基地局Aにおいて端末A向けに滞留しているデータの量をx[bit]とし、当該端末Aに対して送信済みのデータの量をy[bit]とする。また、基地局Aから基地局Bへのデータ転送速度の見積もりをα[kbps]とし、基地局Bから端末Bへの下りデータレートの見積もりをβ[kbps]とし、端末Bから端末Aへの通信のデータレートの見積もりをγ[kbps]とする。また、基地局Aにおける基地局Bへの滞留データの転送の開始手続きと終了手続きに必要な処理遅延をd[s]とし、基地局Bから端末Bへのデータ転送の開始手続きと終了手続きに必要な処理遅延をd[s]とし、端末Bにおいて端末Aへのデータ転送時に必要な処理遅延の見積もりをd[s]とする。なお、これらのパラメータは外部入力(または、他の任意の手法)により与えられるものとする。
【0073】
基地局Aは、これらのパラメータを用いてデータ送信完了までの所用時間を見積もり、そして、当該基地局Aに滞留しているデータを基地局Bへ転送して(ステップS21)、端末Aにおいて途絶した通信を再開する処理、または、途絶した通信で得たデータを棄却して(ステップS23)、基地局Bと新たに通信を開始する処理、のうちで、いずれか所用時間が短い方の処理を選択して実行する。
【0074】
このような選択手法は、次のような式(1)を用いて表現される。
すなわち、式(1)が成り立つ場合には、基地局Aは、基地局Bへ未送信データを転送する(ステップS21)。一方、式(1)が成り立たない場合には、基地局Aは、未送信データを廃棄して、基地局Bからのデータ転送要求を棄却する(ステップS23)。
【0075】
(x/α)+d<(y/β)+(y/γ)+d+d ・・・(1)
【0076】
(判定基準の例4)
この例では、端末の移動を加味する場合を示す。
具体的には、端末Aにおける移動速度の見積もりをv[m/s]とし、当該端末Aと端末間通信を実行する端末Bの移動速度の見積もりをv[m/s]とする。なお、これらのパラメータは外部入力(または、他の任意の手法)により与えられるものとする。
ここで、端末の速度としては、例えば、対地速度を用いる。
このとき、次のような(移動速度に関する条件1)〜(移動速度に関する条件4)のうちの任意の1つまたは任意の2つ以上の組み合わせの条件に従って処理を実行する。
【0077】
(移動速度に関する条件1)では、端末Aの移動速度の見積もりvと端末Bの移動速度の見積もりvとの和が定められた閾値(例えば、あらかじめ定められた一定の閾値)以上である場合には、これらの端末A、Bの間での端末間通信により接続可能な時間が十分ではないとして、基地局Aは、未送信データの基地局Bからのデータ転送要求を棄却する(ステップS23)。他の場合には、基地局Aは、未送信データを基地局Bへ転送する(ステップS21)。
(移動速度に関する条件2)では、前記した移動速度の見積もりに加えて、端末Aおよび端末Bに関する移動方向の情報をさらに入力として受け取り、基地局Aは、端末Aの端末Bに対する相対移動速度(端末Bに近づく方向を負とし、端末Bから遠ざかる方向を正とするスカラー速度)を計算する。この相対移動速度が定められた閾値(例えば、あらかじめ定められた一定の閾値)以上である場合には、基地局Aは、未送信データの基地局Bからのデータ転送要求を棄却する(ステップS23)。他の場合には、基地局Aは、未送信データを基地局Bへ転送する(ステップS21)。
【0078】
(移動速度に関する条件3)では、端末Aの移動速度の見積もりvが定められた閾値(例えば、あらかじめ定められた一定の閾値)以上である場合には、当該端末Aに関する端末間通信による接続可能な時間を十分に保つことができないとして、基地局Aは、未送信データの基地局Bからのデータ転送要求を棄却する(ステップS23)。他の場合には、基地局Aは、未送信データを基地局Bへ転送する(ステップS21)。
(移動速度に関する条件4)では、端末Bの移動速度の見積もりvが定められた閾値(例えば、あらかじめ定められた一定の閾値)以上である場合には、当該端末Bに関する端末間通信による接続可能な時間を十分に保つことができないとして、基地局Aは、未送信データの基地局Bからのデータ転送要求を棄却する(ステップS23)。他の場合には、基地局Aは、未送信データを基地局Bへ転送する(ステップS21)。
【0079】
(判定基準の例5)
この例では、端末の移動を加味して、距離減衰による信号品質劣化を考慮する場合を示す。
基地局Aは、例えば外部入力により、端末Aと端末B(当該端末Aと端末間通信を実行する端末B)との間の距離の、通信中における単位時間当たりの変動見積もりdd2d[m/s]と、未送信データを端末間通信を経由して送信するために必要な所用時間の見積もりtd2dを入力として受信する。
そして、基地局Aは、端末間通信中の移動距離の見積もり(dd2d×td2d)を用いて、距離減衰による受信電力レベルの劣化量を算出し、現在の端末間通信における信号受信品質からの信号品質劣化を算出し、信号受信品質の劣化を考慮した場合における信号受信品質が定められた閾値(例えば、あらかじめ定められた一定の閾値)以上である場合には、基地局Bへ未送信データを転送する(ステップS21)。一方、信号受信品質の劣化を考慮した場合における信号受信品質が前記定められた閾値(例えば、あらかじめ定められた一定の閾値)未満である場合には、基地局Aは、データ転送要求を棄却する(ステップS23)。
【0080】
([手順4]の具体的な処理5)
基地局Aにより端末Aに対するデータの送信(転送)が行われる場合には(ステップS21)、端末Bの接続局(基地局B)が基地局Aから受信した端末A向けのデータを当該端末Bに対して(本実施形態では、セルラ通信により)無線送信する。端末Bは、このデータを受信して、端末Aに対して端末間通信により、当該受信したデータを無線送信する(ステップS22)。端末Aは、このデータを受信する。
この場合には、これで、図5に示される本実施形態に係る端末間通信による救済手続きの処理(本処理)が終了する。
【0081】
([手順4]の具体的な処理6)
基地局Aによりデータ転送要求が棄却される場合には(ステップS23)、端末Aは、例えば、RLFを検出したときより前の通信を継続せずに、端末Bを経由して、新たな通信を開始する、または、端末間通信を中止して、接続可能な基地局を検索(探索)する再接続先基地局の選択(Cell Reselection)の処理を開始する(ステップS4)。
この場合には、これで、図5に示される本実施形態に係る端末間通信による救済手続きの処理(本処理)が終了する。
【0082】
以上のように、本実施形態では、上記のような端末間通信による救済手続きを適用することにより、例えば、従来技術においては途絶していた端末Aにおける通信を、当該端末Aとの間で端末間通信を行うことが可能な他の端末Bが当該端末Aの周囲に存在する場合に、継続することができる。
なお、上記のような端末間通信による救済手続きにおいて、例えば、非特許文献4に記載される技術などを利用することが可能である。
【0083】
ここで、図5に示されるフローチャートの処理において、本実施形態では、ステップS11の処理は端末Aの通信断検出部1101により行われ、ステップS12〜ステップS13の処理は端末Aの通信再開処理部1102により行われ、ステップS14〜ステップS16の処理は端末Aの通信再開処理部1102(特に、端末選択部1112)により行われ、ステップS17の処理は端末Aの通信再開処理部1102により行われ、ステップS18の処理は端末Aの通信再開処理部1102(特に、自己識別情報通知部1111)および端末Bの他識別情報通知部1103により行われ、ステップS19の処理は基地局Bのデータ転送要求部1002により行われ、ステップS20〜ステップS21およびステップS23の処理は基地局Aのデータ転送部1001により行われ、ステップS22の処理は端末Aの通信再開処理部1102により行われる。
【0084】
次に、図6図9を参照して、上記した端末間通信による救済手続きにおける[手順1]〜[手順4]について、処理のシーケンスの例を示す。
図6は、端末Aと端末Bとの間の端末間通信の確立までの処理(手順1〜手順2の処理)のシーケンスの一例を示す図である。
これは、データフォワード(データ転送)の判断前までの処理のシーケンスに相当する。
【0085】
端末Aは、RLFを検出する前に、基地局Aに対して、当該端末Aの識別情報を要求する場合がある(処理T1)。この場合、基地局Aは、その要求を受信したことに応じて、端末Aに対して、当該端末Aの識別情報を通知する(処理T2)。
【0086】
端末Aは、RLFを検出した際に(処理T3:ステップS11)、無線リンクの再確立処理に失敗すると(処理T4:ステップS12〜ステップS13)、端末間通信が可能な他の端末を検索する(処理T5:ステップS14〜ステップS15)。端末Aは、検索した周辺に存在する他の端末(この例では、端末B)に対して、当該端末Bの接続局(基地局B)の識別情報(接続局ID)を要求し(処理T6:ステップS16)、これに応じて、当該端末Bは、当該端末Aに対して、当該端末Bの接続局(基地局B)の識別情報(接続局ID)を通知する(処理T7:ステップS16)。
そして、端末Aは、端末間通信を行う他の端末(この例では、端末B)を決定し(処理T8:ステップS16)、端末間通信を開始する(処理T21:ステップS16)。
【0087】
図7は、基地局Aから未送信データを転送する場合における処理(手順3および手順4の処理)のシーケンスの一例を示す図である。
これは、データフォワード(データ転送)を実行するときの処理のシーケンスに相当する。
ここで、端末間通信において(処理T21)、端末Aは、端末間通信の相手の端末Bの接続局(基地局)が当該端末Aの接続局(この例では、基地局A)と同一である場合には、当該端末Bを経由して、当該端末Aの接続局(この例では、基地局A)との通信を継続する(ステップS17)。
【0088】
一方、端末間通信において(処理T21)、端末Aによる端末間通信の相手の端末Bの接続局(基地局)が当該端末Aの接続局(この例では、基地局A)と同一ではない場合について説明する。
端末Aは、端末Bに対して、当該端末Aの識別情報を通知し(処理T22:ステップS18)、これに応じて、当該端末Bは、当該端末Bの接続局(この例では、基地局B)に対して、当該端末Aの識別情報を通知する(処理T23:ステップS18)。
【0089】
基地局Bは、端末Aの接続局(基地局A)に対して、当該端末A向けに滞留しているデータの転送要求を通知する(処理T24:ステップS19)。基地局Aは、このデータ転送要求を承認する場合には、基地局Bに対して、端末A向けに滞留しているデータを転送する(処理T25:ステップS20〜ステップS21)。
そして、基地局Bは、基地局Aから受信した端末A向けに滞留しているデータを端末Bへ転送し(処理T26:ステップS22)、次いで、当該端末Bは、受信した端末A向けに滞留しているデータを端末間通信により当該端末Aへ転送する(処理T27:ステップS22)。
【0090】
図8は、基地局Aからのデータ転送を棄却して、端末間通信により通信を再確立する場合における処理(手順3および手順4の処理)のシーケンスの一例を示す図である。
これは、データフォワード(データ転送)を実行せずに、端末間通信により通信を継続するときの処理のシーケンスに相当する。
ここで、処理T21〜処理T24については、図7について説明したのと同様であり、ここでは、その続きの処理を説明する。
【0091】
基地局Aは、基地局Bからのデータ転送要求を棄却する場合には、当該基地局Bに対して、端末A向けに滞留しているデータの転送を棄却することを通知する(処理T41:ステップS23)。
この場合、例えば、基地局Bは、端末A向けのデータを新たに取得して(処理T42)、取得した端末A向けのデータを端末Bへ転送する(処理T43)。そして、端末Bは、基地局Bから受信した端末A向けのデータを当該端末Aへ転送する(処理T44)。
【0092】
図9は、基地局Aからのデータ転送を棄却して、セルラ通信により通信を再確立する場合における処理(手順3および手順4の処理)のシーケンスの一例を示す図である。
これは、データフォワード(データ転送)を実行せずに、端末間通信することを諦めて、再接続先基地局の選択(Cell Reselection)の処理を行うときの処理のシーケンスに相当する。
ここで、処理T21〜処理T24については、図7および図8について説明したのと同様であり、ここでは、その続きの処理を説明する。
【0093】
処理T41については、図8について説明したのと同様である。具体的には、基地局Aは、基地局Bからのデータ転送要求を棄却する場合には、当該基地局Bに対して、端末A向けに滞留しているデータの転送を棄却することを通知する(処理T41:ステップS23)。
この場合、例えば、基地局Bは、データ転送が棄却されたことを端末Bへ通知し(処理T61)、これに応じて、当該端末Bは、データ転送が棄却されたことを端末Aへ通知する(処理T62)。そして、これに応じて、端末Aは、再接続先基地局の選択(Cell Reselection)の処理を行う(処理T63)。
【0094】
以上のように、本実施形態に係る無線通信システム(本実施形態では、無線セルラシステム)では、無線通信端末と基地局との間の通信(基地局−端末間通信)と、無線通信端末と他の無線通信端末との間の通信(端末間通信)が共存する状況において、ある無線通信端末(端末A)と基地局との間の通信が不可能(通信の途絶)となった場合に、端末間通信を利用して当該無線通信端末(端末A)と基地局との通信を継続し、通信の途絶の影響を最小限にとどめることが可能である。これにより、接続局(基地局)との通信が不能となった無線通信端末(端末A)は、当該無線通信端末(端末A)の周辺(周囲)に基地局と通信可能な他の無線通信端末(端末B)が存在する場合(状況)において、より遅延が少ない方法で通信を再開することができる。そして、このような通信断が発生した無線通信端末(端末A)を救済することができる。
このように、本実施形態に係る無線通信システムでは、基地局との間の通信が通信断となった無線通信端末により通信を再開することを効率的に可能とすることができる。
【0095】
また、本実施形態に係る無線通信システムでは、基地局−端末間通信(例えば、基地局Aと端末Aとの無線通信)の負荷を生じさせる代わりに、端末間通信(例えば、端末Aと端末Bとの無線通信)の負荷を生じさせて、データの通信が可能であり、データオフロードの効果を得ることもできる。
【0096】
一構成例として、本実施形態に係る無線通信システムでは、無線通信端末(端末A)と基地局との無線接続が途絶した際に、当該無線通信端末(端末A)と端末間通信が可能な他の無線通信端末(端末B)を経由することで、当該他の無線通信端末(端末B)の接続局と当該無線通信端末(端末A)とにおいて途絶した通信を再開する。
具体的な構成例として、無線通信端末において、基地局との間で通信を行う基地局通信部211と、他の無線通信端末との間で端末間通信を行う端末間通信部212と、接続局である基地局との通信の通信断を検出する通信断検出部1101と、前記通信断検出部1101により前記接続局である基地局との通信の通信断が検出された状態において、他の無線通信端末との間で端末間通信を行って当該他の無線通信端末を経由して当該他の無線通信端末の接続局である基地局と通信することで前記通信断が検出された前記通信を再開する処理を実行する通信再開処理部1102と、を備える。
【0097】
一構成例として、本実施形態に係る無線通信システムでは、無線通信端末(端末A)における無線リンク断を検出した後であって、セル再選択(再接続先基地局の選択)の処理を実行する前に、端末間通信を利用した基地局から当該無線通信端末(端末A)に対する未送信データの送信を実行する。
具体的な構成例として、無線通信端末において、前記通信再開処理部1102は、前記通信断検出部1101により前記接続局である基地局との通信の通信断が検出された後であって、再接続先基地局の選択を実行する前に、前記通信断が検出された前記通信を再開する処理を実行する。
【0098】
一構成例として、本実施形態に係る無線通信システムでは、無線通信端末(端末A)と基地局との無線接続が途絶した際に、端末間通信が可能な他の無線通信端末(端末B)の接続局(基地局)が前記無線接続が途絶した無線通信端末(端末A)の接続局(基地局)と同一である場合には、当該無線通信端末(端末A)と当該接続局(基地局)との通信を、前記端末間通信が可能な他の無線通信端末(端末B)を経由して、再開する。一方、無線通信端末(端末A)と基地局との無線接続が途絶した際に、端末間通信が可能な他の無線通信端末(端末B)の接続局(基地局)が前記無線接続が途絶した無線通信端末(端末A)の接続局(基地局)とは異なる場合には、当該無線通信端末(端末A)が前記端末間通信が可能な他の無線通信端末(端末B)の接続局(基地局)と前記途絶した通信を再開する際に、当該無線通信端末(端末A)の元の接続局(基地局A)が当該無線通信端末(端末A)向けに滞留しているデータを前記端末間通信が可能な他の無線通信端末(端末B)の接続局(基地局B)に対して転送する。
具体的な構成例として、無線通信端末において、前記通信再開処理部1102は、端末間通信を行う前記他の無線端末装置の接続局である基地局が自端末の接続局であった基地局(直前に接続局であったが通信断が発生した基地局)と同一である場合には、前記他の無線通信端末を経由して自端末の接続局であった基地局(直前に接続局であったが通信断が発生した基地局)との通信を再開し、また、端末間通信を行う前記他の無線端末装置の接続局である基地局が自端末の接続局であった基地局(直前に接続局であったが通信断が発生した基地局)とは異なる場合には、前記他の無線通信端末を経由して、自端末の接続局であった基地局(直前に接続局であったが通信断が発生した基地局)から自端末へのデータを受信した前記他の無線通信端末の接続局である基地局と通信する。
【0099】
一構成例として、本実施形態に係る無線通信システムでは、無線接続が途絶した無線通信端末(端末A)の接続局(基地局A)において当該無線通信端末(端末A)向けの未送信データを特定するための無線通信端末の識別情報(ここでは、端末Aの識別情報)を、当該無線通信端末(端末A)から端末間通信が可能な他の無線通信端末(端末B)へ通知する。
具体的な構成例として、無線通信端末において、前記通信再開処理部1102は、端末間通信を行う前記他の無線通信端末に、自端末の接続局であった基地局(直前に接続局であったが通信断が発生した基地局)から自端末へのデータを特定するための自端末の識別情報を通知する自己識別情報通知部1111を備える。
【0100】
一構成例として、本実施形態に係る無線通信システムでは、無線接続が途絶した無線通信端末(端末A)との間で端末間通信が可能な他の無線通信端末を選択する手法として、最も受信信号品質が高い無線通信端末を選択する。
具体的な構成例として、無線通信端末において、前記通信再開処理部は、端末間通信を行う他の無線通信端末として、端末間通信が可能な無線通信端末のうちから、最も受信信号品質が高い無線通信端末を選択する端末選択部1112を備える。
【0101】
一構成例として、本実施形態に係る無線通信システムでは、無線接続が途絶した無線通信端末(端末A)との間で端末間通信が可能な他の無線通信端末を選択する手法として、受信信号品質が定められた閾値(例えば、あらかじめ定められた一定の閾値)以上である他の無線通信端末のうちで、前記無線接続が途絶した無線通信端末(端末A)の接続局と同一の接続局に接続された他の無線通信端末を優先的に選択する。
具体的な構成例として、無線通信端末において、前記通信再開処理部1102は、端末間通信を行う他の無線通信端末として、受信信号品質が定められた閾値以上である他の無線通信端末のうちから、自端末の接続局であった基地局(直前に接続局であったが通信断が発生した基地局)と同一の基地局を接続局とする他の無線通信端末を優先的に選択する端末選択部1112を備える。
【0102】
一構成例として、本実施形態に係る無線通信システムでは、無線接続が途絶した無線通信端末(端末A)との間で端末間通信が可能な他の無線通信端末(端末B)が、その接続局(基地局B)へ前記無線接続が途絶した無線通信端末(端末A)の識別情報を通知する。
具体的な構成例として、無線通信端末において、基地局との間で通信を行う基地局通信部211と、他の無線通信端末との間で端末間通信を行う端末間通信部212と、接続局である基地局との通信の通信断が検出された状態における他の無線通信端末から端末間通信により通知された当該他の無線通信端末の識別情報を自端末の接続局である基地局に通知する他識別情報通知部1103と、を備える。
【0103】
一構成例として、本実施形態に係る無線通信システムでは、無線接続が途絶した無線通信端末(端末A)向けに当該無線通信端末(端末A)の元の接続基地局(基地局A)において滞留しているデータを、当該元の接続基地局(基地局A)から、途絶した通信を再開した基地局(基地局B)へ転送する。
具体的な構成例として、基地局において、無線通信端末との間で通信する無線通信部111と、他の基地局との間で通信する回線通信部112と、無線通信端末へのデータを記憶する記憶部102と、自局との通信の通信断があった無線通信端末により端末間通信が行われる他の無線通信端末の接続局である他の基地局に対して、前記自局との通信の通信断があった無線通信端末へのデータを転送するデータ転送部1001と、を備える。
【0104】
一構成例として、本実施形態に係る無線通信システムでは、無線接続が途絶した無線通信端末(端末A)向けに基地局において滞留しているデータの量が、定められた閾値(例えば、あらかじめ定められた一定の閾値)未満である場合には、当該無線通信端末(端末A)の元の接続基地局(基地局A)から、途絶した通信を再開した基地局(基地局B)へ前記データを転送する。
具体的な構成例として、基地局において、前記データ転送部1001は、前記自局との通信の通信断があった無線通信端末へのデータの量が、定められた閾値未満である場合に、当該データを転送する。
【0105】
一構成例として、本実施形態に係る無線通信システムでは、無線接続が途絶した無線通信端末(端末A)向けに基地局において滞留しているデータの量の全送信データ量に占める割合が、定められた閾値(例えば、あらかじめ定められた一定の閾値)未満である場合には、当該無線通信端末(端末A)の元の接続基地局(基地局A)から、途絶した通信を再開した基地局(基地局B)へ前記データを転送する。
具体的な構成例として、基地局において、前記データ転送部1001は、前記自局との通信の通信断があった無線通信端末へのデータの量の全送信データ量に占める割合が、定められた閾値未満である場合に、当該データを転送する。
【0106】
一構成例として、本実施形態に係る無線通信システムでは、無線接続が途絶した無線通信端末(端末A)向けの滞留データを当該無線通信端末(端末A)の元の接続基地局(基地局A)から途絶した通信を再開した基地局(基地局B)へ送信するために必要な時間の見積もりと、当該無線通信端末(端末A)向けの送信済みデータを前記途絶した通信を再開した基地局(基地局B)から端末間通信が可能な他の無線通信端末(端末B)を経由して当該無線通信端末(端末A)へ通知するために必要な時間の見積もりとを比較し、前者が後者を下回る場合に、当該無線通信端末(端末A)の元の接続基地局(基地局A)から、途絶した通信を再開した基地局(基地局B)へ前記滞留データを転送する。
具体的な構成例として、基地局において、前記データ転送部1001は、前記自局との通信の通信断があった無線通信端末への滞留データを前記他の基地局へ送信するために必要な時間の見積もりと、前記自局との通信の通信断があった無線通信端末への送信済みデータを前記他の基地局から前記他の無線通信端末を経由して前記自局との通信の通信断があった無線通信端末へ通知するために必要な時間の見積もりとを比較し、前者が後者を下回る場合に、前記データを転送する。
【0107】
一構成例として、本実施形態に係る無線通信システムでは、無線接続が途絶した無線通信端末(端末A)の移動速度の見積もりと、端末間通信を行う他の無線通信端末(端末B)の移動速度の見積もりとの和が、定められた閾値(例えば、あらかじめ定められた一定の閾値)未満である場合には、当該無線通信端末(端末A)の元の接続基地局(基地局A)から、途絶した通信を再開した基地局(基地局B)へ当該無線通信端末(端末A)向けの滞留データを転送する。
具体的な構成例として、基地局において、前記データ転送部1001は、前記自局との通信の通信断があった無線通信端末の移動速度の見積もりと、前記他の無線通信端末の移動速度の見積もりとの和が、定められた閾値未満である場合に、前記データを転送する。
【0108】
一構成例として、本実施形態に係る無線通信システムでは、無線接続が途絶した無線通信端末(端末A)の元の接続基地局(基地局A)からの未送信データの送信を端末間通信を経由して完了するまでの端末間通信における信号品質劣化情報(例えば、移動距離の見積もりを用いて算出される信号品質劣化情報)に基づいて、信号品質劣化後の端末間通信における信号受信品質が定められた閾値(例えば、あらかじめ定められた一定の閾値)以上である場合には、当該無線通信端末(端末A)の元の接続基地局(基地局A)から、途絶した通信を再開した基地局(基地局B)へ当該無線通信端末(端末A)向けの滞留データ(未送信データ)を転送する。
具体的な構成例として、基地局において、前記データ転送部1001は、前記データの送信を端末間通信を経由して完了するまでの端末間通信における信号品質劣化情報に基づいて、信号品質劣化後の端末間通信における信号受信品質が定められた閾値以上である場合に、前記データを転送する。
【0109】
一構成例として、本実施形態に係る無線通信システムでは、無線接続が途絶した無線通信端末(端末A)との間で端末間通信が可能な他の無線通信端末(端末B)の接続局(基地局B)が、前記無線接続が途絶した無線通信端末(端末A)の接続局(基地局A)に対して、無線通信端末の識別情報(ここでは、端末Aの識別情報)を指定して、指定した無線通信端末に関する未送信データを転送するように要求する。
具体的な構成例として、基地局において、無線通信端末との間で通信する無線通信部111と、他の基地局との間で通信する回線通信部112と、他の基地局に対して、当該他の基地局との通信の通信断があった無線通信端末の識別情報を指定して、当該無線通信端末へのデータを転送することを要求するデータ転送要求部1002と、を備える。
【0110】
[第2実施形態]
以下では、第1実施形態とは異なる部分について詳しく説明し、第1実施形態と同様な部分については説明を省略または簡易化する。
第1実施形態では、端末間通信による救済手続きの処理(図4に示されるステップS3の処理)を再接続先基地局の選択の処理(図4に示されるステップS4の処理)の前に実行する構成であるのに対して、第2実施形態では、端末間通信による救済手続きの処理(図10に示されるステップS104の処理)を再接続先基地局の選択の処理(図10に示されるステップS103の処理)の後に実行する。つまり、RLFを検出した無線通信端末により接続基地局との接続を再確立することができなかった場合に、第1実施形態では、当該無線通信端末が端末間通信が可能な他の無線通信端末の有無を検索したのに対し、第2実施形態では、まず、接続可能な基地局(再接続先基地局)を検索する。
【0111】
図10は、本実施形態に係る無線通信端末12が無線リンク断を検出した際に当該無線通信端末12において行われる処理の手順の一例を示す図である。
ここで、本実施形態では、図10に示される概略的な処理に関して、各無線通信端末12A、12Bは同様な動作を行い、ここでは、これらをまとめて、無線通信端末12として説明する。
【0112】
無線通信端末12において通信断が起こる際には、まず、当該無線通信端末12においてRLFを検出する(ステップS101)。
無線通信端末12においてRLFを検出した場合、当該無線通信端末12において無線リンクの再確立処理(RRC Reconfiguration Procedure)を開始する。無線通信端末12は、この再確立処理が正常に終了した場合には、接続局との通信を再開する。
一方、無線通信端末12において、この再確立処理が失敗した場合には(ステップS102)、再接続先基地局の選択(Cell Reselection)の処理を開始する(ステップS103)
その後、無線通信端末12における再接続先基地局の選択の処理の結果に応じて、必要な場合には、端末間通信による救済手続きの処理が実行される(ステップS104)。
【0113】
ここで、本実施形態では、無線通信端末12における再接続先基地局の選択の処理の結果として、選択された基地局に応じて、次のような[手順2−1]〜[手順2−2]の処理を実行する。
【0114】
[手順2−1]
無線通信端末12における再接続先基地局の選択の処理の結果として、当該無線通信端末12が直前に無線通信していた接続局(元の接続局である基地局)が選択された場合には、当該無線通信端末12は、当該接続局(当該元の接続局である基地局)との無線通信を再開する。
一方、無線通信端末12における再接続先基地局の選択の処理の結果として、当該無線通信端末12が直前に無線通信していた接続局(元の接続局である基地局)以外の基地局が選択された場合には、[手順2−2]の処理を実行する。
【0115】
[手順2−2]
この[手順2−2]では、第1実施形態に示される[手順2]〜[手順4]の処理と同様な処理を実行する。
なお、この[手順2−2]では、第1実施形態に示される[手順4]の([手順4]の具体的な処理6)において、基地局Aによりデータ転送要求が棄却される場合には、無線通信端末12は、一例として、再接続先基地局の選択の処理を再度実行することはせずに、既に選択されている再接続先基地局との間で無線通信を開始する。
他の例として、[手順2−2]では、第1実施形態に示される[手順4]の([手順4]の具体的な処理6)において、基地局Aによりデータ転送要求が棄却される場合には、無線通信端末12は、再度、再接続先基地局の選択の処理(ステップS103の処理と同様な処理)を実行する、構成が用いられてもよい。
【0116】
以上のように、本実施形態に係る無線通信システム(本実施形態では、無線セルラシステム)では、端末間通信による救済手続きのタイミングと比べて、再接続先基地局の選択を事前に実行するため、例えば、無線通信端末が再接続先基地局として元の接続局(基地局)を選択する確率が高い状況では、第1実施形態の場合と比較して、通信に発生する遅延を低く抑えることができる可能性が高い。具体的には、例えば、シャドウィング変動が大きい状況や、無線通信端末の移動速度が大きい状況などのように、無線環境の変動が激しい状況では、第2実施形態の構成の方が第1実施形態の構成よりも、通信の遅延を低く抑えることが期待される。
【0117】
一構成例として、本実施形態に係る無線通信システムでは、無線通信端末(端末A)における無線リンク断を検出した後であって、セル再選択の処理を実行した直後に、端末間通信を利用した基地局から当該無線通信端末(端末A)に対する未送信データの送信を実行する。
具体的な構成例として、基地局との間で通信を行う基地局通信部211と、他の無線通信端末との間で端末間通信を行う端末間通信部212と、接続局である基地局との通信の通信断を検出する通信断検出部1101と、前記通信断検出部1101により前記接続局である基地局との通信の通信断が検出された状態において、他の無線通信端末との間で端末間通信を行って当該他の無線通信端末を経由して当該他の無線通信端末の接続局である基地局と通信することで前記通信断が検出された前記通信を再開する処理を実行する通信再開処理部1102と、を備える無線通信端末において、前記通信再開処理部1102は、前記通信断検出部1101により前記接続局である基地局との通信の通信断が検出された後であって、再接続先基地局の選択を実行した後に、前記通信断が検出された前記通信を再開する処理を実行する。
【0118】
ここで、例えば、第1実施形態を実現する機能と第2実施形態を実現する機能との両方を無線通信システムに備え、無線通信端末における基地局からの信号受信強度の単位時間当たりの変動幅が定められた閾値(例えば、あらかじめ定められた一定の閾値)以上となったことを検出した場合には、当該無線通信端末に関する端末間通信による救済手続きについて第2実施形態に係る機能の処理(例えば、図10に示される手順の処理)を適用して実行し、他の場合には、当該無線通信端末に関する端末間通信による救済手続きについて第1実施形態に係る機能の処理(例えば、図4に示される手順の処理)を適用して実行する構成が用いられてもよい。この構成により、通信の遅延の低減効果を高めるように、第1実施形態に係る機能と第2実施形態に係る機能を使い分けることができる。
【0119】
[以上の実施形態のまとめ]
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【0120】
また、以上に示した各実施形態に係る各装置(例えば、無線通信端末や基地局などの装置)の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより、処理を行ってもよい。
【0121】
なお、ここで言う「コンピュータシステム」とは、オペレーティング・システム(Operating System;OS)や周辺機器等のハードウェアを含むものであってもよい。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、DVD(Digital Versatile Disk)等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことを言う。
【0122】
さらに、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
また、上記のプログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことを言う。
また、上記のプログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。
さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【符号の説明】
【0123】
1…無線通信システム、11、11A、11B…基地局、12、12A、12B…無線通信端末、13…基地局間回線、21A、21B…通信エリア、101、201…通信部、102、202…記憶部、103、203…制御部、111…無線通信部、112…回線通信部、211…基地局通信部、212…端末間通信部、1001…データ転送部、1002…データ転送要求部、1101…通信断検出部、1102…通信再開処理部、1103…他識別情報通知部、1111…自己識別情報通知部、1112…端末選択部、
図1
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