(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記吸引口から流入する前記吸引流体が前記主流体の流路の内周の接線方向から流入し、且つ、前記吸引流体の流入方向が前記主流体の旋回流に対して順方向になる請求項1乃至3の何れか1項記載のエジェクタ。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、各図において共通する要素には、同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0010】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1のエジェクタを示す縦断面図である。
図2は、
図1に示すエジェクタ1が備える旋回翼を示す斜視図である。
図3は、
図1中のD−D線断面図である。
図4は、
図1中のE−E線断面図である。
【0011】
図1に示すように、本実施形態のエジェクタ1は、主流体が流入する流入口2と、主流体の流路断面積を縮小する縮径部3と、最絞り部5と、拡径部6と、流出口7とを備えており、これらが主流体の進行方向(流れ方向)に沿って上流側からこの順序で配置されている。本実施形態では、流入口2、縮径部3、最絞り部5、拡径部6および流出口7の内部空間の横断面形状は、何れも円形になっている。
【0012】
流入口2の内径は、主流体の進行方向(以下、「主流体進行方向」と称する)に沿って一定となっている。すなわち、流入口2は、略円柱状の内部空間を有している。縮径部3の内径は、主流体進行方向に向かって連続的に縮小している。すなわち、縮径部3は、略円錐形状の内部空間を有している。縮径部3の内径は、縮径部3の下流端で最小となっている。最絞り部5の内径は、縮径部3の下流端の内径と等しくなっている。拡径部6の内径は、主流体進行方向に向かって連続的に拡大している。すなわち、拡径部6は、略円錐形状の内部空間を有している。拡径部6の内径は、拡径部6の上流端で最小となっている。最絞り部5の内径は、拡径部6の上流端の内径と等しくなっている。拡径部6のテーパ角度は、縮径部3のテーパ角度より小さくなっている。流出口7の内径は、主流体進行方向に沿って一定となっている。すなわち、流出口7は、略円柱状の内部空間を有している。流出口7の内径は、拡径部6の下流端の内径(拡径部6の最大内径)と等しくなっている。
【0013】
主流体がエジェクタ1内を流れるとき、最絞り部5で主流体に負圧が生ずる。この負圧を利用して、吸引口4から吸引流体が吸引される。吸引口4は、外周側から最絞り部5の内壁に向かって貫通するように形成され、最絞り部5の内壁に開口41を形成して、最絞り部5内に連通している。最絞り部5の主流体進行方向の長さは、吸引口4の主流体進行方向の幅とほぼ等しくなっている。
【0014】
エジェクタ1は、更に、主流体を旋回流SFとして縮径部3に流入させる旋回流発生手段としての旋回翼8を備えている。本実施形態では、旋回翼8は、流入口2内の、縮径部3に近い下流側の位置に配置されている。
図2に示すように、旋回翼8は、流入口2の内径とほぼ等しい外径を有する円筒状の円筒部8aと、円筒部8aの内壁に固定された羽根8bとを有している。本実施形態では、羽根8bは、2枚設けられている。このような旋回翼8を設けて主流体の旋回流SFを形成することにより、吸引流体を微細化して主流体に混合することができる。ただし、本発明では、旋回翼8の形状は、
図2の構成に限定されるものではなく、羽根の枚数も、1枚でも良いし、または3枚以上の複数枚になっても良い。
【0015】
エジェクタ1は、主流体の流路の中心線を中心とする回転方向についての旋回翼8の取り付け角度(以下、単に「旋回翼8の取り付け角度」と称する)と、主流体進行方向についての旋回翼8の取り付け位置(以下、単に「旋回翼8の取り付け位置」と称する)との一方または両方を調整可能な調整手段(図示せず)を備えたものであることが好ましい。そのような調整手段の機構は特に限定されないが、例えば次のようにして構成することができる。旋回翼8の円筒部8aの外周面に爪(図示せず)を設け、流入口2の内周面にその爪が係合して固定可能な穴を複数の異なる位置に設け、旋回翼8を流入口2内に固定する際に、円筒部8aの爪を係合させる流入口2の内周面の穴を複数の穴から選択することによって、旋回翼8を主流体の流路の中心線を中心に回転させて旋回翼8の取り付け角度を調整したり、旋回翼8を主流体進行方向に移動させて旋回翼8の取り付け位置(すなわち、旋回翼8と吸引口4との距離)を調整したりすることのできる調整手段を構成することができる。
【0016】
図3に示すように、吸引口4は、最絞り部5の中心から片側にオフセットした位置に設けられている。これにより、吸引口4から流入する吸引流体は、最絞り部5(主流体の流路)の内周の接線方向から流入する。また、吸引口4から流入する吸引流体の流入方向は、旋回翼8により形成される主流体の旋回流SFの旋回方向(回転方向)に対して順方向となる。このような構成により、吸引口4から流入する吸引流体の流れが、主流体の旋回流SFの妨げとなることを抑制することができ、吸引量を向上させることができる。また、
図4に示すように、吸引流体の流れ方向と垂直な平面で吸引口4を切断した断面形状は、矩形状(長方形状)になっている。
【0017】
図5および
図6は、旋回翼8を備えたエジェクタ1内を流れる主流体の圧力分布の流体解析結果を示す図である。
図5は、最絞り部5から後方の3つの断面、すなわち断面A−A、断面B−B、および断面C−Cのそれぞれの圧力分布を示したもので、圧力分布図の色の濃い部分を負圧部として表示している。ただし、
図5および
図6では、圧力分布の現象を分かり易くするために、吸引口4をモデル化せず、また、後述する
図18に示すエジェクタ1Dのように、最絞り部5に代えて、段状拡径部10およびストレート部11が設けられているモデルで解析を行った。
【0018】
流量12L/minのときの断面A−A、断面B−B、および断面C−Cを見ると、二つの円が重なってできた楕円状の負圧分布が後方に進むにつれて回転しながら進行していることが分かる。さらに、流量を変化させて9L/min、6L/minのときと比較すると、同断面の楕円状、もしくは二円の負圧分布の回転角度は、流量にかかわらず同じであることが分かる。
【0019】
図6は、一定流量で断面A−Aの圧力分布を時間経過ごとに示したものである。
図6に示す0.1秒〜0.4秒の圧力分布を見ると、定常状態となっており、時間が経過しても圧力分布は変化しないことが分かる。
【0020】
図5および
図6に示す解析結果から分かるように、旋回翼8を備えたエジェクタ1内の縮径部3の下流側における圧力分布は、流量や時間によらず一定の傾向を示す。すなわち、縮径部3の下流側の主流体の流路を、主流体進行方向に垂直な平面で切断した断面(以下、「進行方向垂直断面」と称する)において、圧力が低くなる領域や圧力が高くなる領域の位置は、流量や時間によって変化することなく、一定である。
【0021】
一方、以下に説明するように、進行方向垂直断面における主流体の流路内の圧力分布は、旋回翼8の形状や、旋回翼8の取り付け角度、あるいは旋回翼8の取り付け位置に依存して変化する。
【0022】
図7は、進行方向垂直断面における最絞り部5内の圧力分布を示す図である。
図7に示す例では、吸引口4と旋回翼8との距離を一定とし、旋回翼8の取り付け角度を4つの異なる角度に変えることで、進行方向垂直断面内の圧力分布を変化させている。
【0023】
図8乃至
図11は、それぞれ、
図7中に示された4つの図を別々に模式的に表した図である。
図8乃至
図11中では、進行方向垂直断面における最絞り部5内の圧力分布を、等圧線により表している。これらの等圧線は、内側の等圧線ほど、圧力が低い(すなわち負圧が大きい)。
図8乃至
図11に示すように、最絞り部5内には、進行方向垂直断面において、全体として楕円状の負圧部(負圧領域)が発生する。そして、最絞り部5の内周付近の圧力は、周方向に沿って変化する。以下、最絞り部5の内周に沿った圧力の分布を「内周圧力分布」と称する。最絞り部5の内周圧力分布では、上記楕円状の負圧部の長軸と交わる位置で圧力が最低(すなわち負圧が最大)になり、上記楕円状の負圧部の短軸と交わる位置で圧力が最高(すなわち負圧が最小または正圧)になる。
図8乃至
図11中では、最絞り部5の内周圧力分布において圧力が最低(すなわち負圧が最大)になる位置を最低圧力部Xとして表し、最絞り部5の内周圧力分布において圧力が最高(すなわち負圧が最小または正圧)になる位置を最高圧力部Yとして表す。本実施形態では、最絞り部5の内周圧力分布において、最低圧力部Xは2箇所に生じ、最高圧力部Yも2箇所に生じる。
【0024】
図8乃至
図11に示すように、最絞り部5(主流体の流路)の内壁には、吸引口4により開口41が形成される。本実施形態では、開口41は、進行方向垂直断面において最絞り部5の中心Oに対する中心角が90°の範囲に形成される。
【0025】
旋回翼8の形状、旋回翼8の取り付け角度、および旋回翼8の取り付け位置が同じであれば、最低圧力部Xおよび最高圧力部Yの位置は、主流体の流量や時間によって変化することなく、一定である。旋回翼8の取り付け位置を一定とし、旋回翼8の取り付け角度を変えることにより、最低圧力部Xおよび最高圧力部Yの位置を
図8乃至
図11のように変化させることができる。あるいは、旋回翼8の取り付け角度を一定とし、旋回翼8の取り付け位置を変えることにより、最低圧力部Xおよび最高圧力部Yの位置を
図8乃至
図11のように変化させることができる。
【0026】
ここでは、
図8乃至
図11において、最絞り部5の中心Oと一方の最低圧力部Xとを結ぶ直線が図中の水平線に対してなす角度を負圧部角度θとして定義する。
図8は負圧部角度θが0°の場合(比較例)を示し、
図9は負圧部角度θが45°の場合(比較例)を示し、
図10は負圧部角度θが90°の場合(比較例)を示し、
図11は負圧部角度θが135°の場合(本実施形態)を示している。
図12は、負圧部角度θと、吸引口4から吸入される吸引流体の流量(以下、「吸引量」と称する)との関係を示すグラフである。
【0027】
図12に示すように、吸引流体の吸引量は、負圧部角度θが0°、45°、90°および135°のうち、負圧部角度θが135°の場合に最大となる。これは、次のような理由による。
図11に示すように、負圧部角度θが135°の場合には、吸引口4の開口41の位置が、最低圧力部Xに対向する位置となる。これにより、最低圧力部Xの大きな負圧を吸引口4に十分に及ぼすことができるので、吸引口4に作用する圧力を十分に低く(すなわち負圧を十分に大きく)することができる。その結果、吸引流体の吸引量を大きくすることができる。また、負圧部角度θが135°の場合には、吸引口4の開口41の位置が、最高圧力部Yに接しない位置となる。これにより、最高圧力部Yの正圧が吸引口4に及ぶことを防止し、吸引口4に作用する圧力をより低く(すなわち負圧をより大きく)することができるため、吸引流体の吸引量をより大きくすることができる。
【0028】
これに対し、
図9に示すように、負圧部角度θが45°の場合には、吸引口4の開口41の位置が、最高圧力部Yに対向する位置であって最低圧力部Xに対向しない(接しない)位置となる。これにより、最高圧力部Yの正圧が吸引口4に及んでしまうため、吸引口4に作用する圧力を十分に低く(すなわち負圧を十分に大きく)することができず、吸引流体の吸引量が小さくなる。
【0029】
また、
図8に示すように、負圧部角度θが0°の場合には、最低圧力部Xが吸引口4の開口41の一方の末端に接しており、吸引口4の開口41が最低圧力部Xに対向(正対)していない。このため、最低圧力部Xの大きな負圧を吸引口4に十分に及ぼすことができない。また、吸引口4の開口41の他方の末端が最高圧力部Yに接しているため、最高圧力部Yの正圧が吸引口4に及んでしまう。このようなことから、負圧部角度θが0°の場合には、吸引口4に作用する圧力を十分に低く(すなわち負圧を十分に大きく)することができず、吸引流体の吸引量が小さくなる。
図10に示す負圧部角度θが90°の場合も、負圧部角度θが0°の場合と同様の理由から、吸引流体の吸引量が小さくなる。
【0030】
以上のことから、進行方向垂直断面において、吸引口4の開口41の位置が最低圧力部Xに対向するように構成することにより、吸引流体の吸引量を十分に向上することができることが分かる。本実施形態のエジェクタ1は、
図11に示すように、進行方向垂直断面において、吸引口4の開口41の位置が最低圧力部Xに対向するように構成されている。このため、本実施形態のエジェクタ1によれば、吸引流体の吸引量を十分に向上することができる。また、エジェクタ1の下流側に、圧力損失の大きな圧損体が付加される流路形態となる場合であっても、吸引口4からの自然吸引を可能とすることができる。
【0031】
前述したように、旋回翼8の取り付け位置を一定とし、旋回翼8の取り付け角度を適切な角度にすることにより、吸引口4の開口41の位置が最低圧力部Xに対向するように構成することが可能である。あるいは、旋回翼8の取り付け角度を一定とし、旋回翼8の取り付け位置を適切な位置にすることにより、吸引口4の開口41の位置が最低圧力部Xに対向するように構成することが可能である。この場合、前述したような調整手段により旋回翼8の取り付け角度と旋回翼8の取り付け位置との一方または両方を調整することによって吸引口4の開口41の位置が最低圧力部Xに対向するように構成しても良いし、あるいは、設計段階において、吸引口4の開口41の位置が最低圧力部Xに対向するような適切な旋回翼8の取り付け角度および取り付け位置を決定し、前述したような調整手段を介さずに旋回翼8を固定またはエジェクタ1の本体と一体的に形成してもよい。
【0032】
また、本実施形態のエジェクタ1では、前述したような調整手段が備えられている場合には、吸引流体の吸引量が最大となるように、旋回翼8の取り付け角度と旋回翼8の取り付け位置との一方または両方が調整されていることが望ましい。これにより、吸引流体の吸引量を最大限に大きくすることが可能となる。
【0033】
図11に示すように、本実施形態では、進行方向垂直断面において最低圧力部Xが吸引口4の開口41のほぼ中央に位置することにより、最低圧力部Xの大きな負圧を極めて効率良く吸引口4に及ぼすことができるので、吸引口4に作用する圧力を更に低く(すなわち負圧を十分に大きく)することができる。その結果、吸引流体の吸引量を大きくすることができる。このように、本発明では、進行方向垂直断面において最低圧力部Xが吸引口4の開口41の中央付近に位置するように構成することが特に好ましい。ただし、本発明では、必ずしも最低圧力部Xが吸引口4の開口41の中央付近に位置しなくてもよく、吸引口4の開口41の範囲に最低圧力部Xが包含されていればよい。
【0034】
前述したように、
図11に示す負圧部角度θが135°の場合には、
図8乃至
図10に示す場合と異なり、吸引口4の開口41が最高圧力部Yに接しない位置となる。本発明では、このように、吸引口4の開口41が最高圧力部Yに接しない位置となるように構成することが好ましい。これにより、最高圧力部Yの正圧が吸引口4に及ぶことを防止し、吸引口4に作用する圧力をより低く(すなわち負圧をより大きく)することができるため、吸引流体の吸引量をより大きくすることができる。これに対し、本実施形態と異なり、吸引口4の開口41が周方向に大きすぎる場合や、極端には最絞り部5の円周上の全周を吸引口4としたような場合には、吸引口4の開口41の一部が最高圧力部Yに接することになり、最高圧力部Yの正圧が吸引口4に及び、吸引口4に作用する負圧が小さくなってしまうため、吸引流体の吸引量が少なくなってしまう。
【0035】
図4に示すように、本実施形態では、吸引流体の流れ方向と垂直な平面で吸引口4を切断した断面形状は、主流体進行方向を短辺とする長方形状になっている。縮径部3を通過した主流体の旋回流により形成される負圧は、主流体進行方向に進むほど小さくなる。このため、吸引口4が主流体進行方向に広がった形状になっていると、吸引口4に作用する負圧が弱まる場合がある。本実施形態では、吸引口4の断面形状を上記形状にすることにより、断面形状が例えば円形の場合と比べて、同一断面積で吸引口4の主流体進行方向の長さを短くすることができるので、吸引口4の断面積を小さくすることなく、吸引口4に作用する負圧を十分に大きくすることができる。このため、吸引流体の吸引量を更に大きくすることができる。
【0036】
実施の形態2.
次に、
図13乃至
図15を参照して、本発明の実施の形態2について説明するが、上述した実施の形態1との相違点を中心に説明し、同一部分または相当部分は同一符号を付し説明を省略する。
図13は、本発明の実施の形態2のエジェクタを示す縦断面図である。
図14は、
図13中のF−F線断面図である。
図15は、
図13中のG−G線断面図である。
【0037】
図14に示すように、本実施の形態2のエジェクタ1Aでは、吸引口4Aは、進行方向垂直断面において、最絞り部5の中心を通る直線に沿って、外周側から最絞り部5の内壁に向かって貫通するように形成されている。
図15に示すように、吸引流体の流れ方向と垂直な平面で吸引口4Aを切断した断面形状は、円形になっている。本実施の形態2のエジェクタ1Aでは、図示を省略するが、
図10と同様にして負圧部角度θが略90°となるように旋回翼8の取り付け角度および取り付け位置を設定することにより、吸引口4Aにより最絞り部5(主流体の流路)の内壁に形成される開口41Aが最低圧力部Xに対向するように構成することができる。
【0038】
実施の形態3.
次に、
図16および
図17を参照して、本発明の実施の形態3について説明するが、上述した実施の形態1との相違点を中心に説明し、同一部分または相当部分は同一符号を付し説明を省略する。
図16は、本発明の実施の形態3のエジェクタを示す縦断面図である。
図17は、
図16中のH−H線断面図である。
【0039】
図17に示すように、本実施の形態3のエジェクタ1Bでは、2つの吸引口4B,4Cが設けられている。吸引口4Bが最絞り部5(主流体の流路)の内壁に形成する開口41Bの位置と、吸引口4Cが最絞り部5(主流体の流路)の内壁に形成する開口41Cの位置とは、周方向において異なる位置となる。
【0040】
旋回翼8の羽根8bの枚数等に応じて、内周圧力分布における最低圧力部Xは、複数個所に形成される場合がある。そのような場合に、本実施の形態3のエジェクタ1Bのように複数の吸引口4B,4Cを設け、それらの開口41B,41Cが、複数の最低圧力部Xの各々に対向する位置となるようにすることにより、吸引流体の吸引量を更に向上することができる。
【0041】
実施の形態4.
次に、
図18を参照して、本発明の実施の形態4について説明するが、上述した実施の形態1との相違点を中心に説明し、同一部分または相当部分は同一符号を付し説明を省略する。
図18は、本発明の実施の形態4のエジェクタを示す縦断面図である。
【0042】
図18に示すように、本実施の形態4のエジェクタ1Dは、実施の形態1のエジェクタ1と比較して、最絞り部5に代えて、段状拡径部10およびストレート部11を備えている。縮径部3の下流側に形成されたストレート部11の内径は、縮径部3の下流端の内径(縮径部3の最小内径)よりやや大きくなっており、主流体進行方向に沿って一定となっている。縮径部3とストレート部11との境界には、段差状に内径が拡大する段状拡径部10が形成されている。吸引口4は、ストレート部11の上流端付近(すなわち段状拡径部10付近)の内壁に貫通するように形成されている。エジェクタ1Dでは、吸引口4によりストレート部11の上流端付近の内壁に形成される開口41が、ストレート部11の上流端付近の内周に沿って形成される内周圧力分布における最低圧力部Xに対向して位置するように、旋回翼8の取り付け角度および取り付け位置が設定されている。このような本実施の形態4のエジェクタ1Dによれば、実施の形態1と同様の効果が得られる。
【0043】
実施の形態5.
次に、
図19および
図20を参照して、本発明の実施の形態5について説明するが、上述した実施の形態1との相違点を中心に説明し、同一部分または相当部分は同一符号を付し説明を省略する。
図19は、本発明の実施の形態5のエジェクタを示す縦断面図である。
図20は、
図19中のJ−J線断面図である。
【0044】
本実施の形態5のエジェクタ1Eは、実施の形態1のエジェクタ1と比較して、旋回流発生手段の構成が異なること以外は同様である。
図19に示すように、本実施の形態5のエジェクタ1Eでは、旋回翼8が省略されている。
図20に示すように、エジェクタ1Eの流入口2には、流入口2の内周の接線方向に沿って主流体を流入させる主流体導入口12が設けられている。図示の構成では、2個の主流体導入口12が、流入口2の中心に対して角度が180°異なる位置(点対称の位置)に配置されている。本実施の形態5のエジェクタ1Eでは、主流体が主流体導入口12から流入口2内に流入することにより、主流体の旋回流が形成され、その旋回流が縮径部3へと流入する。
【0045】
上述したエジェクタ1Eのような構成で旋回流を発生させる場合には、主流体導入口12と吸引口4との距離、もしくは吸引口4に対する主流体導入口12の配置位置(角度)、もしくは主流体導入口12の数を変化させることにより、吸引口4の形成箇所における内周圧力分布を変化させ、吸引口4が主流体の流路の内壁に形成する開口41が、内周圧力分布の最低圧力部Xに対向するように構成することができる。これにより、吸引流体の吸引量を十分に向上することができる。
【0046】
以上、本発明のエジェクタの各実施の形態について説明したが、本発明のエジェクタにおける主流体と吸引流体とは、それぞれ、気体、液体、固体(粉体)の何れでもよく、また、何れの組合せでもよい。