【実施例1】
【0010】
図1から
図6を参照して本発明の実施例1のON/OFF検出型バックルスイッチ1について説明する。
図1は本実施例のON/OFF検出型バックルスイッチ1の分解斜視図である。
図2は本実施例のON/OFF検出型バックルスイッチ1の三面図である。
図2Aは側面図、
図2Bは正面図、
図2Cは底面図である。
図3は本実施例のON/OFF検出型バックルスイッチ1の斜視図である。
図4はスライダ12が初期状態にある場合の本実施例のON/OFF検出型バックルスイッチ1の蓋11aを取り外した状態の正面図である。
図5はスライダ12が初期状態にある場合の端子押込部122と固定端子14の切欠部141の関係を示す斜視図である。
図6はスライダ12がラッチ状態にある場合の本実施例のON/OFF検出型バックルスイッチ1の蓋11aを取り外した状態の正面図である。
【0011】
図1に示すように本実施例のON/OFF検出型バックルスイッチ1は直方体筐体形状のケース11を備え、ケース11は取り外し可能な蓋11aと、蓋11aで開閉可能な開口部11b5を備える収容部11bにより構成される。蓋11a、収容部11bはPBT(polybutylene terephthalate)など樹脂製のものでよい。
図2、3に示すように収容部11bの蓋11aと対向する側面を長手方向側面と呼び、蓋11aと隣り合う2側面を短手方向側面と呼び、残りの面を収容部上面、収容部下面と呼ぶ。収容部11bの収容部上面内側には、略角筒形状であって下方と2側面が開口されたバネ収容部11b1が設けられている。バネ収容部11b1の下端部にはバネ位置固定用爪11b1−Aが設けられている。
【0012】
収容部11bの短手方向内側面の一つには第1溝部11b2が設けられている。収容部11bの長手方向側面内側の中ほどには、開口部を溝とする角筒形状の第2溝部11b3が第1溝部11b2と溝同士が向き合うように設けられている。第1溝部11b2と第2溝部11b3は、抵抗値検出用のプリント基板を位置決め固定するための部材である。また、収容部11bの長手方向内側面の中ほど、第2溝部11b3のやや下側に後述する可動端子15を支持する角棒形状の支持部11b4が長手方向内側面に垂直に設けられている。
【0013】
収容部11bにはスライダ12、バネ13、固定端子14、可動端子15が収容されている。スライダ12は、略板形状のタングプレート接触部121と、タングプレート接触部121の下面に垂直に設けられた略丸棒形状の端子押込部122とを備える。端子押込部122の中ほどに鍔123が設けられている。スライダ12は例えばPOM(polyoxymethylene)などの滑りやすい樹脂製のものでよい。
図2に示すように収容部11b上面の外側には角筒形状のスライダ挿通口11cが設けられており、
図4に示すようにスライダ挿通口11cにはスライダ12の端子押込部122が挿通される。端子押込部122の下端は、スライダ挿通口11c、バネ収容部11b1の下端開口部を貫通してケース内部側に突出される。このときバネ13は、収容部11bのバネ収容部11b1に収容され、バネ13の内腔をスライダ12の端子押込部122が貫通する。バネ13は端子押込部122を内包する位置にバネ収容部11b1、およびバネ位置固定用爪11b1−Aによって位置決めされる。スライダ12が押し下げられると、バネ13は鍔123とバネ位置固定用爪11b1−Aとで挟まれた状態で押し縮められる。バネ13は鋼材、リン青銅などの金属製のものでよい。
【0014】
固定端子14は細長く厚さの薄い板形状(短冊形状)の導体であって、その中ほどを第2溝部11b3を避けるように階段状に折り曲げられている。固定端子14は例えば黄銅、リン青銅などの材質でよい。固定端子14の一方の端部は下方向に折り曲げられて、折曲部14aを形成している。折曲部14aは、収容部11bの第1溝部11b2が設けられた短手方向側面と対向する側面の外側に露出するように取り付け固定されている。
図5に示すように、固定端子14の折曲部14aの反対側の端部には切欠部141が形成されている。切欠部141の先端は鉤状に屈曲加工されてその屈曲部142が可動端子15と接触している。可動端子15は、固定端子14同様、細長く厚さの薄い板形状(短冊形状)の導体であって、その中ほどを階段状に折り曲げられている。可動端子15は固定端子14と同様に、例えば黄銅、リン青銅などの材質でよい。可動端子15の一方の端部は上方向に折り曲げられて、折曲部15aを形成している。折曲部15aは、折曲部14aと同じ側面の外側に露出するように、折曲部14aよりやや下側に、固定端子14と可動端子15とが略平行となるように取り付け固定されている。可動端子15は、前述した支持部11b4の上面に載るように配置されている。可動端子15の折曲部15aの反対側の端部は鉤状に屈曲加工されて屈曲部151が形成されており、その屈曲部151が固定端子14の屈曲部142と軽く接触している。このとき固定端子14と可動端子15の接点は屈曲部の斜面(以下、接触面ともいう)上に位置するように調整されている。スライダ12が下方に押し込まれて端子押込部122が収容部11b内に深く突出したとき、端子押込部122は固定端子14の切欠部141を貫通する位置にある。このため、スライダ12が押し込まれたとき、端子押込部122は固定端子14に接触すること無く、その下方にある可動端子15の上面に突き当たり、可動端子15を下方向に押し下げる。このとき可動端子15は、
図6に示すように支持部11b4を固定端とし、屈曲部151側の端部を自由端とする片持ちバネのように機能する。すなわち、
図6に示すように可動端子15の屈曲部151はスライダ12の端子押込部122に押し下げられて、その先端が下方に沈み込むため、固定端子14の屈曲部142と可動端子15の屈曲部151とは離間される。
【0015】
例えば、折曲部14aを電源の高電圧側、折曲部15aを電源の低電圧側につないで図示しない電源から検出用信号を流しておけば、スライダ12が初期状態にあるとき、固定端子14の屈曲部142と可動端子15の屈曲部151が接触状態にあるため所定の電流値を検出することができる。一方、スライダ12が図示しないタングプレートにより押し下げられてラッチ状態にあるとき、固定端子14の屈曲部142と可動端子15の屈曲部151が離間されるため、電流値が検出されなくなる。従って電流値が検出されたか否かによって、スライダ12が初期状態にあるかラッチ状態にあるかを判別することが可能である。
【0016】
このように本実施例のON/OFF検出型バックルスイッチ1は、固定端子14、可動端子15に鉤状の屈曲部142、151を設け、両端子の接点が屈曲部の斜面(接触面)上に位置するように調整されているため、可動端子15の自由端側の端部の鉛直下方向への移動に対して、固定端子14と可動端子15を接触させた状態のまま、接点位置を大きく変動させることができる。本実施例のON/OFF検出型バックルスイッチ1では、両端子の接触面が水平面に対して略45°の角度をなすように構成されているが、接触面の角度に制限はなく、接触面が水平面に対して一定の傾きを備えていればよい。
【0017】
以下、
図7を参照して本実施例のON/OFF検出型バックルスイッチ1において、固定端子14と可動端子15との接点に異物が侵入した場合に、当該異物を接点から除去する為に必要な接点移動距離について考察する。
図7は端子押込部122の動作に伴う固定端子14と可動端子15との接点位置の変化について示す図である。
図7Aはスライダ12が初期状態にある場合の接点位置を示す図である。
図7Bはスライダ12が押し下げられて固定端子14と可動端子15とが離間する直前の状態における接点位置を示す図である。
図7Cはスライダ12が完全に押し下げられて固定端子14と可動端子15とが離間した状態を示す図である。
図7Dは、
図7Bの接点位置付近を拡大して示す図である。
図7Aに示すようにスライダ12が押し下げられていない場合には、固定端子14は第1接点140−1において、可動端子15と接触している。スライダ12が押し下げられ、端子押込部122の下端が可動端子15の中ほどを押し下げると、固定端子14の第1接点140−1において摩擦力が生じ、固定端子14は可動端子15に伴ってわずかに下方に引き下げられる。端子押込部122を下方に押し下げる力が摩擦力よりも大きくなると、固定端子14は可動端子15上を滑り始める。固定端子14が可動端子15上を滑ることによって、接点の位置は下方向に変位していく。
図7Bに示すように、固定端子14と可動端子15とが離間する直前の状態において、固定端子14と可動端子15との接点を第2接点140−2と呼ぶこととする。
図7Dに示すように第1接点140−1と第2接点140−2とは距離x離れた位置にあるものとする。距離xは、固定端子14が可動端子15上を滑った距離と考えることもできる。この距離xを適切に設定することにより、接点付近に侵入した微小な異物(ゴミ、ホコリなど)を効果的に除去することが可能である。一般的な異物のサイズと、本実施例のON/OFF検出型バックルスイッチの構造の特性の双方を考慮した結果、距離xは0.14mm程度とすることで十分に異物除去することができることが分かった。なお、距離xが大きくなるほど、異物除去効果が期待できるため、距離xは0.14mm以上とすればよい。
【0018】
上述の第1接点140−1、第2接点140−2は別の方法により定めることも可能である。端子押込部122が深く押し下げられ、固定端子14と可動端子15とが離間した状態(ラッチ状態)から、タングプレートがリリースされ、端子押込部122がバネ13の弾性力によって上方向に移動した場合、可動端子15の自由端側の端部は自身の弾性力によって上方向に復帰する。この過程において、固定端子14の屈曲部142と可動端子15の屈曲部151とは再び接触する。接触の瞬間の固定端子14の可動端子15との接点を第2接点140−2とする。その後、固定端子14と可動端子15とは接点において互いに押し合いながら、可動端子15の弾性力によって固定端子14が可動端子15上を滑ってゆき、可動端子15の弾性力は減少してゆく。可動端子15の弾性力と接点における摩擦力とが等しくなるときの接点の位置を第1接点140−1とする。第1接点140−1と第2接点140−2の距離xは前述同様、0.14mm以上とすればよい。
【0019】
このように本実施例のON/OFF検出型バックルスイッチ1によれば、固定端子14と可動端子15に屈曲部142、151を設けることにより両端子の接点が斜面上に位置するように調整し、可動端子15の自由端側の端部の鉛直下方向への移動に対して、固定端子14と可動端子15が接触した状態のまま、接点位置が大きく変動するように構成されているため、接点部の異物を効果的に除去することができる。