特許第5871793号(P5871793)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ テオクサンの特許一覧

<>
  • 特許5871793-架橋されたゲルを製造する方法 図000005
  • 特許5871793-架橋されたゲルを製造する方法 図000006
  • 特許5871793-架橋されたゲルを製造する方法 図000007
  • 特許5871793-架橋されたゲルを製造する方法 図000008
  • 特許5871793-架橋されたゲルを製造する方法 図000009
  • 特許5871793-架橋されたゲルを製造する方法 図000010
  • 特許5871793-架橋されたゲルを製造する方法 図000011
  • 特許5871793-架橋されたゲルを製造する方法 図000012
  • 特許5871793-架橋されたゲルを製造する方法 図000013
  • 特許5871793-架橋されたゲルを製造する方法 図000014
  • 特許5871793-架橋されたゲルを製造する方法 図000015
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5871793
(24)【登録日】2016年1月22日
(45)【発行日】2016年3月1日
(54)【発明の名称】架橋されたゲルを製造する方法
(51)【国際特許分類】
   C08B 37/08 20060101AFI20160216BHJP
   A61K 8/73 20060101ALN20160216BHJP
   A61K 31/728 20060101ALN20160216BHJP
   C08J 3/24 20060101ALN20160216BHJP
【FI】
   C08B37/08 Z
   !A61K8/73
   !A61K31/728
   !C08J3/24 ZCEP
【請求項の数】11
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2012-510410(P2012-510410)
(86)(22)【出願日】2010年5月7日
(65)【公表番号】特表2012-526889(P2012-526889A)
(43)【公表日】2012年11月1日
(86)【国際出願番号】IB2010052027
(87)【国際公開番号】WO2010131175
(87)【国際公開日】20101118
【審査請求日】2013年4月30日
(31)【優先権主張番号】0953108
(32)【優先日】2009年5月11日
(33)【優先権主張国】FR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】511271971
【氏名又は名称】テオクサン
(74)【代理人】
【識別番号】100085545
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 光夫
(74)【代理人】
【識別番号】100118599
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 博司
(72)【発明者】
【氏名】ブルドン,フランソワ
【審査官】 砂原 一公
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2005/112888(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0148995(US,A1)
【文献】 国際公開第2006/051950(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08B
C08J
A61K
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1の、ヒアルロン酸又はその塩の架橋されたゲルを製造する方法において、
a)該ヒアルロン酸を含む水性媒体を用意すること、
b)段階a)からの媒体から均一なゲルを形成すること、ここで、均一化が30〜100分間の持続期間に亘って行われる、
c)段階b)において得られたゲルを有効量の少なくとも1の架橋剤と接触させること、
d)40℃〜65℃の温度で、段階c)において形成された混合物を架橋すること、そして
e)該架橋されたハイドロゲルを回収すること、
からなる段階を少なくとも含み、少なくとも該段階a)〜d)は変形可能な壁により少なくとも部分的に区切られた密封性の空洞内において行われ、該空洞内に存在する混合物は段階d)において架橋に導く条件に暴露されるところの前記方法。
【請求項2】
架橋を停止させる段階f)をさらに含み、該段階f)は回収段階e)の前、段階e)と一緒に、又は段階e)の後に行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
架橋段階f)が回収段階e)の前に行われる、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
段階a)〜d)及びf)の全てが該空洞内で行われる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
該変形可能な壁が、手で触ることにより手で変形されることができる程度の変形性を有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
該空洞が変形可能な小袋内に設けられている、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
均一化が変形可能な壁の変形により行われる、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
架橋段階が熱的手段により行われる、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
架橋が30〜300分間の範囲の持続期間に亘って行われる、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
アルカリ性媒体中のヒアルロン酸ナトリウムを用意し、架橋剤としてブタンジオールジグリシジルエーテル(BDDE)を使用する、請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
架橋が100〜200分間の範囲の持続期間に亘って行われる、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、架橋されたポリマーをベースとするハイドロゲル、より特に、多糖類から、好ましくはヒアルロン酸又はその塩の一つから誘導されたハイドロゲルを製造する新規な方法に関する。
【0002】
本発明は、特に、皮膚の体積の欠損の長続きする充填に特に有利であるハイドロゲル品質を得ることを可能にする方法を提案する。
【0003】
ヒアルロン酸は、その粘弾性で及び水を吸収するその非常に優れた傾向でもまた公知である。その性質は皮膚の弾性を概ね説明する。その生体適合性、寛容性、及び無毒性は、10年以上の間この分子が医療及び化粧料の分野における使用を有してきたようなものである。
【0004】
ヒアルロン酸は特にしわを充填するために使用される。
【0005】
しわは、皮膚の構造の局所的な衰えからより特に発生する。即ち、処置されるべきしわにおいて架橋されたポリマーのハイドロゲルの皮膚への注入は皮膚の陥没を減らす又は除去さえすることを可能にする。注入は無菌のハイドロゲルを含む予め満たされたシリンジを使用して行われる。しかし、最も深い陥没は相対的に粘度の高いゲルが注入されることを要求する。
【0006】
一般的に、どんな分子でも架橋されているとき、分解及び熱に対してずっとより耐性である。即ち、ヒアルロン酸を架橋することの利点は公知である。この架橋されたヒアルロン酸はさらに、ヒアルロン酸分子より体内においてずっとより安定である。オートクレーブ中での殺菌にもより耐えることができる。
【0007】
ポリマー又は多糖類さえの架橋されたゲルを製造するためにある数の方法が既に提案されてきた。一般的にこれらの方法は2つの主要な段階を必要とし、第一は問題のポリマーをその均一化のために適切な媒体に溶解させることからなり、第二は、その架橋を誘発することのできる剤を添加することを目的とする。架橋に使用される具体的な条件に依存して、生成する架橋されたハイドロゲルの粘度又は流体力学的な性質を調節することが可能である。
【背景技術】
【0008】
これらの方法の例として、特に、少なくとも10%のヒアルロン酸、架橋剤及び水を含む混合物の酸性又は塩基性条件下での使用を含む米国特許出願公開第2006/0105022号に記載の方法、ジビニルスルホンで架橋されたヒアルロン酸のゲルを処理する段階を含む国際公開第2006/056204号、及びジビニルスルホン(DVS)で架橋されたヒアルロナンポリマーから出発する凝集性ゲルを生じる米国特許出願公開第2007/0036745号が特に挙げられ得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、これらの方法の全てが完全な満足を与えるわけではない。
【0010】
上述の記載から分かるように、架橋は、第一に出発ポリマーの均一溶液を有することを必要とする。
【0011】
しかし、溶解することによりヒアルロン酸のように、ポリマーを溶液に入れることは、ヒアルロン酸の場合数百万ドルトンのオーダーのポリマー鎖の完全性及び最初のサイズを最もよい可能性として保存するために、静かな撹拌で行われることが必要である。この制約を満足するために、この均一化段階は従来は非常に低下された機械撹拌下で行われるので、時間が、例えば12時間まで、延長される必要があり、工業スケールでは不利である。
【0012】
最終的な架橋されたハイドロゲルの品質を調節する架橋に関しては、ゲルにおいてそれが均一であることもまた重要である。
【0013】
しかし、現在の方法はどの点においても同じ架橋の程度をゲルに与えることを可能にするわけではない。実際、これらの方法は一般的には容器、例えばポット又はタンク(バッチ) 内でポリマーを配合することを一般的に要求するが、ポット又はタンクは、特に統計的架橋の場合、架橋が起きるのに又はそれを止めるのに必要な環境条件である均一な拡散を許さない。これは、架橋の点で相対的な不均衡を有し得る架橋されたゲルをもたらし、この不均一性はもちろんその品質に影響を与える。
【0014】
最後に、これらのゲルが意図される使用に関して、該ゲルが申し分のない衛生上の品質を有することを担保することが重要である。この無害性は、これらの方法において獲得される種々の媒体の外的環境との接触をかなり最小限にすることにより特に強化されることができるだろう。
【0015】
本発明は、上記の制約に有利に答えることを可能にする方法を正に提案することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
即ち、本発明者らは、架橋前のポリマーの均一化を改善することだけでなく、特定の密封された空洞内で架橋されたゲルへのその転化に必要な段階の全てを使用する架橋方法の正しい進歩を改良することが可能であることを見出した。
【0017】
即ち、本発明は、その第一の特徴に従うと、少なくとも1の、ヒアルロン酸又はその塩の架橋されたゲルを製造する方法において、
a)該ヒアルロン酸を含む水性媒体を用意すること、
b)段階a)からの媒体から均一なゲルを形成すること、ここで、均一化が30〜100分間の持続期間に亘って行われる、
c)段階b)において得られたゲルを有効量の少なくとも1の架橋剤と接触させること、
d)40℃〜65℃の温度で、段階c)において形成された該混合物を架橋すること、そして
e)該架橋されたハイドロゲルを回収すること、
からなる段階を少なくとも含み、少なくとも該段階a)〜d)は変形可能な壁により少なくとも部分的に区切られた密封性の空洞内において行われ、該空洞内に存在する該混合物は段階d)において架橋に導く条件に暴露されるところの前記方法に関する。
【0018】
一つの特定の実施態様に従うと、本方法は、架橋されたゲルをその架橋を停止させることに導く条件に暴露することからなる、架橋を停止させる段階f)をさらに含み、該段階は回収段階e)の前、段階e)と一緒に、又は段階e)の後に行われてもよい。
【0019】
一つの好ましい実施態様の変形に従うと、段階f)は回収段階e)の前に行われる。
【0020】
この有利な実施態様に従うと、段階a)〜d)及びf)の全ては該空洞内で行われる。架橋は密封性の空洞内に存在するゲルを、架橋を停止されることに導く条件に暴露することにより停止される。
【0021】
一つの好ましい実施態様に従うと、空洞が設けられる容器は、密封手段、即ち一方では反応物の取り込みに貢献し、他方では段階b)〜d)又はa)〜f)の間でさえも、全体的な密封性を保証するのに適切である密封手段を備えられていてもよい。
【0022】
しかし、この密封性は、段階b)の均一化を担保するために使用される装置内の容器の調節によってもまた得られ得る。
【0023】
一つの特定の実施態様に従うと、本方法の段階a)は、空洞がポリマー又はその塩の一つを最初に含み、該水性媒体は逐次的に導入される又はその逆という事実により特徴づけられる。
【0024】
一つの好ましい実施態様の変形に従うと、該空洞は、変形可能な小袋内に設けられる。
【0025】
より特に、ポリマーは多糖類、ヒアルロン酸又はその塩の一つである。
【0026】
有利に、得られるポリマーゲルは単相のゲルであり、より特に固体ゲルであり、つまりそれ自身の重さで流動する能力を奪われており、例えばガムのようなものである。
【0027】
全ての期待と反対に、そして下に示される試験から分かるように、上で定義された空洞、より特に変形可能な小袋、における均一化と架橋を行うという事実は、全ての操作が開放系かつ固体の容器、即ち非密封性及び非変形可能な容器、において行われる、慣用の方法の手段によっては得られることのできないハイドロゲルの品質を得ることを可能にする。
【0028】
本発明に従う容器の変形可能な性質及びその密封性は、慣用の方法に従って得られるゲルにより示される注入性より大きな注入性を有する架橋されたゲルが得られることをもたらす最適条件下で均一化及び架橋段階を行うことを可能にし、またそのように見える。本発明に従う、問題の注入可能な性質は、架橋が一端、停止されると回収される架橋されたゲル、即ち補足的な処理なしに回収された架橋されたゲルにより示される性質である。
【0029】
即ち、本発明に従う方法は、段階a)に従う撹拌を、壁の変形、又は空洞を区切る変形可能な壁の全て、又はそれが該ゲルを含む小袋であるときは容器さえの変形により可能にする。
【0030】
この技術の利点は、静かであり、最適化されており、速く、かつ製品の汚染のリスクのない均一化を特徴とする。
【0031】
この点において、本発明の方法は、均一化の慣用の方法と異なり、非常に高い分子量、例えば4MDa超、を有するポリマーの実施と有利に両立することであることが気付かれるべきである。
【0032】
実際、慣用の方法は、そのようなポリマーから得られるゲルにより示される高い粘度が満足できる均一化を得るために適切でない限り、ポリマーの分子量に関して制限を示す。
【0033】
架橋反応に関して、一方では、段階b)の終わりに得られるゲルの良好な均一性に関して、そして他方では該ゲルを含む容器の性質に関して最適条件下で行われ得る。有利には、この密封性容器がその全体が架橋に使用される条件に直接暴露される。
【0034】
例えば、熱手段による架橋の場合、後者は、容器、例えば小袋をこの架橋に導く温度におけるサーモスタット付の浴に直接浸すことにより有利に行われ得、即ち、それは、優れた熱伝導及びゲルの全体の体積にわたる均一な熱勾配を保証することを可能にする。
【0035】
本発明に従う方法は、未架橋の、次に、架橋されたゲルの大気との接触を効率的に最小限にする限り、無害性の観点から特に有利である。
【0036】
最後に、本発明に従う方法の産業上の観点からの別の実質的な利点は、現在の方法で想定されることのできる量よりかなり多い量の物質における架橋段階の履行との両立性にある。
【0037】
I)容器
上で特定されたように、本発明に従う方法は、少なくとも部分的に変形可能な壁により区切られた空洞が設けられている密封性の容器を行う。
【0038】
下の図1において、そのような容器の種々の実施態様が示される。
【0039】
例えば、図Ibは、密封性の空洞を作る枠の表面に配置された一つの変形可能な壁を与えられた実施態様を示す。
【0040】
有利には、空洞を区切る壁の全てが変形可能である。
【0041】
図1a,1c,1d,及び1eに示されたもののように、小袋はこの実施態様を特に代表する。
【0042】
第一に変形可能な壁、又は小袋でさえ、裂けることの如何なるリスクをも回避するために、均一化、及び容器の取り扱いの間、特に内部的に、発揮される応力に耐えるように調節された機械的性質を有する。
【0043】
上で特定されたように、変形可能な壁又は小袋は、手で、即ち例えば単に手で触ること(palpation)からの圧力の効果で変形されることができるような程度の変形性を有する。
【0044】
下で特定されるように、この圧力は機械的に施されてもよい。
【0045】
変形可能な壁の変形性の程度は、一つの特定の実施態様に従うと、空洞がからであるとき特に、それと対抗する面との変形可能な壁の接触を許すような程度であり得る。
【0046】
さらに、架橋段階に関して特に、特定の温度条件に付されることができる該壁、又は該小袋でさえが、例えば0〜140℃の大きな温度変化に耐性である性質を示す。
【0047】
一つの実際の特徴に従うと、容器又は小袋でさえが、できるだけ外の環境との接触を制限するという観点から、密封性をも有する。
【0048】
しかし、本発明に従う容器は、本発明に従うゲルの製造に必要な化合物は如何なるものでも導入するのに適する開口システム又はポート、好ましくは再封鎖可能なもの、を有利に備えられていてもよい。
【0049】
そのような開口システムは特に図Ic及びIdに示されている。
この系は、例えば針によって、該空洞内に追加の成分を導入するのに適していてもよい(図1d)。
【0050】
即ち、空洞は最初、ポリマーを含み、水性媒体は次にそのような開口システムによって、その中へと導入されてもよい。
【0051】
刊行物、欧州特許第0 812 158号に記載のものに似ている開口システム又はポートが特に想定され得る。
【0052】
別の選択肢に従うと、容器が小袋であるとき、閉鎖系は該小袋の上端かつ後者の後ろ側の長さ全体にわたって配置された少なくとも1の凸部の形であってもよく、該凸部の端は外縁において折り曲げられていてもよい(図Ie)。
【0053】
さらに別の選択肢に従うと、該小袋の閉鎖系はある種の食品袋において見られるものに類似しているジップの形である(図1c)。
【0054】
有利には、該容器の構成成分である変形可能な膜は、10μm〜1mm、好ましくは40μm〜0.3mmの厚さを有する。
【0055】
該空洞の体積は、本発明に従うハイドロゲルの製造に使用される化合物の合計量にもまた適切である。
【0056】
一つの特定の実施態様に従うと、空洞は、段階a)における問題の媒体がその少なくとも1/10、好ましくは少なくとも1/5を満たすような体積を有する。
【0057】
本発明に従う問題の空洞は、好ましくは50〜10000cm、好ましくは200〜4000cmのオーダーの体積を有する。
【0058】
該空洞は、有利に、規則的な形状、例えば正方形又は長方形、又は小さな箱のタイプ、例えば図1に示される形状を有し得る。
【0059】
本発明に従う問題の容器は、有利に、不活性雰囲気下、又は真空下でさえそれが含む媒体の貯蔵にそれ自身を貸してもよい。
【0060】
有利に、この容器は、本発明に従うハイドロゲルの製造に使用される種々の化合物に関して不活性である物質から作られている。
【0061】
さらに、変形可能な壁又は小袋は、上記の機械的特徴に関して満足を与えることを可能にする物質から作られている。この物質は、特にプラスチックポリマー、例えば特に薬品又は生物治療産業における使用のための薬品グレードのポリエチレンから選択され得る。
【0062】
本発明に従う方法から得られる製品の目的に関して、該容器は有利に無菌である。この要件を充足するために、使用前の後者は無菌包装で包装されてもよい。
【0063】
本発明に従う方法の実施を容易にするために、容器の成分の少なくとも1は好ましくは透明であるか又は内部的に行われている変化を観察することできるのに十分透明である物質である。
【0064】
上で特定されたように、一つの好ましい変形に従うと、該容器は小袋である。
【0065】
この好ましい変形の一つの特定の実施態様は、2つの側面を有する小袋であって、好ましくはその端の一つに沿って、キャップがねじで留められるところの、ねじ、ねじ山タイプの閉鎖手段(図1d)又はジップ/スライドタイプの閉鎖手段(図1c)を有するものから構成されていてもよい。
【0066】
別の特定の実施態様に従うと、小袋は、単独の区画の小袋である。
【0067】
即ち、一つの変形は、
空であってもよい、又は予め
― 少なくとも1の水性媒体か架橋されるべき少なくとも1のポリマー又はポリマーの塩;
― 又は、架橋されるべきポリマー又はポリマーの塩を既に含んでいる少なくとも1の水性媒体
を含む小袋を有することからなる。
【0068】
さらに別の特定の実施態様に従うと、小袋は多区画の小袋、より特に2つの区画の小袋である。
【0069】
即ち、小袋は、漏れないが圧力の作用下、裂くのに十分弱い膜により互いに分離された少なくとも2の区画を有し得、各区画は本発明に従うゲルの製造に使用される少なくとも1の化合物を貯蔵することを意図されている。
【0070】
第一の選択肢に従うと、第一の区画は、少なくとも1の水性媒体を含み、第二区画は少なくとも1のポリマー又はポリマーの塩を含む。
【0071】
第二の選択肢に従うと、第一の区画は少なくとも1のポリマー又はポリマーの塩と組み合わせた少なくとも1の水性媒体との少なくとも1の混合物を含み、第二の区画は少なくとも1の架橋剤を含む。
【0072】
第三の実施態様に従うと、小袋は3の区画の小袋であり、各区画は、それぞれ架橋されるべきポリマー、水性媒体及び架橋剤を包装することに捧げられていてもよい。
【0073】
しかし、後者の2つの実施態様は、ある種の架橋剤の安定性の欠如の点から好まれない。
【0074】
上記の実施態様は、ゲルの外の環境との接触を要求する任意の段階を排除することを可能し、その結果汚染のリスクを有意に減少させる。
【0075】
II)方法
本発明に従う方法は、第一に少なくとも1の水性媒体を少なくとも1のポリマー又はポリマーの塩と共に含む空洞を有することを要求する。
【0076】
これはより特に段階a)と関連する。
【0077】
一つの選択肢に従うと、本発明に従う空洞は、2つの化合物のうちの1つのみを含み、第二の化合物は、その後、次にそこに添加される。
【0078】
容器が、有利には種々の化合物がそれぞれ容器の区画において互いに分離されていてもよい2つの区画の小袋である実施態様では、段階a)は、次にこれらの2つの区画を分離している膜を、例えば単純な圧力の手段によりまず破ることを含む。
【0079】
1)均一化
本発明に従うと、本発明に従う問題の容器は、本発明に従うハイドロゲルの形成に使用される化合物の改善された均一化を許す。
【0080】
用語「改善された」は、本発明の意味においては、慣用の方法で観察される均一化より高い均一化の質だけでなく、短縮された均一時間をも意味することを理解されたい。
【0081】
均一化の目的は、より特に、水性媒体中のポリマーを完全に溶解させること、及び該ポリマーの鎖の形成を、架橋への準備において後者を活性化するように配置することである。
【0082】
均一化は、得られた溶液が均一な色を有し、凝集がなく、均一な粘度を有するとき、満足できると考えられる。
【0083】
前に述べたように、均一化はポリマー鎖の分解を制限するのに十分静かでなければならない。
【0084】
この段階は、ポリマーが高い分子量を有するときにさらにより重要である。これは、そのような化合物の水和は次に、塊の出現が一般的には観察される高い粘度の溶液の形成をもたらす傾向を有するからである。
【0085】
一つの特定の実施態様に従うと、変形可能な壁、又は小袋でさえが、段階b)において考えられている均一化が、任意的には断続的に、変形可能な壁又は小袋の外表面さえの機械的変形により行われ得るような変形可能性の程度を有する。
【0086】
本願において問題の変形は、当業者に公知の任意の手段を使用して行われ得る。均一化は手で、特に壁又は小袋さえの外面の単純な断続的な手の圧縮により、例えば触診により行われ得る。
【0087】
別の選択肢に従うと、変形は機械的に、例えば、生物学的試料の調整に一般的に使用される「パドルミル」タイプのデバイスを使用して行われ得る。
【0088】
一つのそのような実施態様に従うと、容器はデバイスの中に置かれ、次に、行ったり来たりの動きに従って変形可能な壁又は複数の変形可能な壁の少なくとも1つを交互に押す、横に並んだ2つのブレードの系により均一化が行われる。
【0089】
別の実施態様に従うと、容器は行ったり来たりの動きをするコンベヤーベルト上に置かれ、その近隣に少なくとも1のローラーが配置され、該ローラーはその通過の間に、それが変形可能な壁又は複数の変形可能な壁の少なくとも1の上で圧縮し、このようにして、均一化に導く後者の変形を生み出すような距離に置かれる。
【0090】
さらに別の実施態様に従うと、本発明に従う小袋は2つの直径方向に対峙しておかれたローラーの間を行ったり来たりする動きに暴露され得、該ローラーのそれぞれは、該小袋の通過の間に、小袋の外面のそれぞれにおいて圧縮を行う。
【0091】
満足できる均一化時間は、ポリマーの性質に依存しより特にその分子量に、その濃度に、水性媒体中の操作条件に、また、使用される均一化デバイスに依存する。
【0092】
十分に均一なハイドロゲルを得ることを可能にする均一化時間は、当業者の一般的に知識の範囲内である。
【0093】
好ましくは、本発明に従う方法は、400分間未満、特に150分間未満、30〜100分間に含まれる時間さえの均一時間を許す。
【0094】
水性溶媒中のポリマー又はポリマー混合物の溶解が完全には満足できるものではないとき、必要なだけの多くの撹拌サイクルが施される。
【0095】
例えば、0.5MDa超の分子量のヒアルロン酸ナトリウム及びパドルミルから出発して満足できるゲルを得るために必要な均一化時間は、40〜120分間である。
【0096】
一つの実施態様に従うと、均一化は第一に手(palpation)で、その後機械的デバイスを使用して行われ得る。
【0097】
さらに別の実施態様に従うと、これらの種々の均一化手段は交代で使用され得る。
【0098】
2)架橋
前に述べたように、そのような段階はポリマーの性質、その分子量、水性媒体、及び架橋剤の性質に同時に依存する特定の条件を要求する。
【0099】
用語「条件」は、架橋を始める要素、例えば加熱又はUV暴露、を意味すると理解されたい。
【0100】
架橋されたゲルを得るために適切な開始手段の選択は、当業者の一般的な知識の範囲内である。
【0101】
有利に、架橋段階は熱手段により行われる。
【0102】
これに関して、「加熱」タイプの開始要素は
― 熱い流動体を含む浴に容器又は小袋さえを浸すこと;
― UVタイプのある波長の照射例えば電子線の照射又は赤外線の照射に後者を暴露すること
により達成され得る。
【0103】
熱手段による架橋の場合、本発明に従う問題の容器、より特に小袋は、それが含むゲルの任意の点においてただ一つの温度に保つことを可能にする。均一の観点において最適化された架橋は、その結果起きる。
【0104】
加熱手段及びその強度はもちろん、架橋の方法、架橋の程度、及び所望されるゲルの粘度に関して調節される。
【0105】
ヒアルロン酸を架橋剤、例えばBDDEの存在において架橋する段階に特に適切である温度は、40〜65℃である。
【0106】
しかし、他の方法
― 例えば米国特許出願公開第2008/0139796号明細書に記載の方法のように、イオン化放射を使用する照射;
― 酵素的架橋、
もまた本発明に従う問題の容器と有利に両立する。
【0107】
架橋の程度は、ゲルに課せられた架橋時間にもまた依存する。時間が長いほど、それは大きくなるが、架橋剤及び/又はポリマーを分解するリスクにおいて、超えられるべきではない最適がある。
【0108】
即ち、架橋段階は、30〜300分間、好ましくは100〜200分間の範囲の時間にわたって行われ得る。
【0109】
有利に、架橋条件は形成されたゲルが粘凋、粘弾性がある又は固体のゲルでさえあるような架橋の程度を得るために調節される。
【0110】
一つの特定の好ましい実施態様に従うと、ヒアルロン酸ナトリウムを架橋する段階は塩基性媒体において行われ、対応するゲルを含む小袋は、約50〜55℃の温度に至らせられたサーモスタット付浴に、2〜4時間入れられる。
【0111】
ヒアルロン酸の粘凋な溶液内に架橋剤を均一に分配するために、小袋に該剤の添加に続けて均一化段階が想定され得る。そのような操作は小袋の場合、手で触ること、及び/又は機械的撹拌により、又は他の任意の適切な手段により15〜20分間の範囲の期間にわたって行われ得る。
【0112】
3)架橋を停止させること
以前から知られているように、架橋を停止させること(段階f)は、ゲルを回収する段階e)の前に、一緒に又はその後に行われ得る。
【0113】
そのような段階は、本発明に従う方法に従うと、架橋されたゲル又は架橋されている方法におけるゲル又はそれを含む容器さえを、架橋を停止させることに導く条件又は種々のポリマー鎖の間の結合の形成を停止させることのできる条件に暴露することを要求する。
【0114】
一つの好ましい実施態様の変形に従うと、段階f)は、段階e)の前に行われる。この有利な実施態様に従うと、段階a)〜f)の全てがその後、該空洞内で行われ、その後架橋の停止は密封性空洞内にまだ存在しているゲルを、この架橋を停止させることに導く条件に暴露することからなる。
【0115】
例えば、架橋方法を開始するために適用される熱的条件に関して、
― サーモスタット付浴から容器を単純に引き出し、その後環境温度に戻るまで冷却させることにより
― 容器を冷水の浴、好ましくは環境温度より低い温度における浴に、該容器の内部の温度が環境温度近くになるまで容器を入れることにより;又は
― ゲルを該容器から抽出することにより
架橋は停止され得る。
【0116】
照射による架橋の場合、これは、該ゲルの放射への暴露を停止することにより停止される。
【0117】
このようにして得られた架橋されたゲルは、例えば容器の単純な開封又は変形可能な壁又は複数の変形可能な壁の一つを裂くことにより、例えば該容器から離型され得る。
【0118】
容器は、架橋されたゲルを、そっくりそのまま、その構造を破壊することなく取り出す、又は離型さえすることを可能にする開口システムを備えられていてもよい。
【0119】
上記の方法の終わりに得られる架橋されたゲルは、特にその過度に高いポリマー濃度及び架橋剤の残さの存在の可能性又はその生理学的条件又はpHのために、一般的には直接的に注入できるわけではない。
【0120】
しかし、水性媒体における単純な膨潤後、得られたこのゲルは、図5,6及び7に示されるように、慣用のゲルが有する注入性に関して、改善されている注入性の特徴を既に有している。
【0121】
上記の方法の実施の終わりに得られるゲルは特に患者にそのまま注入されるためには高すぎる硬さを特に有し得る。
【0122】
その結果、当業者に公知のいくつかの追加の段階が行われることができる。
【0123】
より特に、このゲルにインプラント品質を与えるためには、このゲルを中和する工程及び膨らませる工程が要求される。pHが皮膚のpHに到らせられる間にポリマーのネットワークの鎖は延び、水和される。
【0124】
当業者のノウハウに従うと、インプラントの品質をさらに改善するために該ゲルの保護及び再緻密化もまた、実施されることができる。ゲルは、注入される媒体の量と等量の塩の存在により生理学的に配合されなければならない。
【0125】
さらに改善された純度のためには、追加の精製段階が追加的に行われ得る。
【0126】
最後の段階は、コントロールされた大気圧条件下で行われるシリンジにゲルを充填すること、続いてシリンジ充填の直後に行われる最後の熱殺菌からなる。
【0127】
III)ポリマー
本発明に従う用語「ポリマー」は、ただ一つの単位又は異なる単位の繰り返される連結から構成された、共有結合で互いに結合されている任意の巨大分子を意味すると理解されたい。
【0128】
ポリマーは、より特に本発明に従って得られた架橋されたゲルが示すのを見ることが所望される性質に関してより特に選択される。より特にそのようなポリマーは良好な生体適合性を有していなければならない。
【0129】
即ち、生理学的に許容されることができるポリマー又はポリマーの塩は天然又は合成起源のものであってもよい。
【0130】
本発明に適するポリマーは特に、グリコサミノグリカン、例えばコンドロイチン硫酸、ケランタン、ケランタン硫酸、ヘパリン、ヘパリン硫酸、キサンタン、カラギーナン、多糖類例えばヒアルロン酸、キトサン、セルロース及びその誘導体、アルギネート、澱粉、デキストラン、プルラン、ガラクトマンナン及び生物学的に許容されることができるその塩、たんぱく質又は合成ポリマー例えばポリアクリル酸又はポリビニルアルコールから、好ましくは多糖類の中から選択され得る。
【0131】
本発明に従う多糖類の塩は、より特に生理学的に許容されることができる塩例えばナトリウム塩、カリウム塩、及びそれらの混合物、好ましくはナトリウム塩から選択される。
【0132】
一つの特に好ましい多糖類は、ヒアルロン酸又はその塩の一つ、特にヒアルロン酸ナトリウム塩(NaHA)である。
【0133】
予測されるように、本発明の方法は、均一化の慣用の方法と異なり、非常高い分子量、特に4MDa超の分子量を有するポリマーの実施を有利に許す。
【0134】
好ましくは、本発明に従うポリマー又はポリマーの塩は、問題の使用に依存して、高い分子量、好ましくは100000Da以上、又は3MDa超さえの分子量を有する。
【0135】
このポリマーは、本発明に従う方法の段階a)において水性媒体において配合される。
【0136】
本発明に従う表現「水性媒体」は、ポリマー、より具体的には多糖類又はその塩の一つを溶解させる性質を有する任意の液状媒体を意味すると理解されたい。
【0137】
水性媒体の性質は、想定される架橋のタイプに関してだけでなく、使用されるポリマーのタイプに関してより特に調整される。
【0138】
これに関連して、適切であることができる水性媒体は酸又は塩基のいずれかである。
【0139】
一つの特に好ましい水性媒体は、アルカリ性媒体、好ましくは水酸化ナトリウム、(NaOH),より特に12超のpHを有する水酸化ナトリウムの溶液である。
【0140】
IV)架橋剤
本発明に従う表現「架橋剤」は、種々のポリマー鎖間の架橋を誘発することのできる任意の化合物を意味すると理解されたい。
【0141】
架橋されるべきポリマーに関してのこの架橋剤の選択は、明らかに当業者の能力内である。
【0142】
本発明に従う架橋剤はエポキサイド、アルデヒド、ポリアジリジル化合物、ジビニルスルホン(DVS),又はブタンジオールジグリシジルエーテル(BDDE)から選択され,好ましくはブタンジオールジグリシジルエーテルであり、後者は、標準的な架橋剤の中で最も低い毒性を有する。
【0143】
変化し易く、非常にしばしば不安定な性質の架橋剤は、本発明に従う容器の中で保護的な環境において保存され、このようにして、続く架橋段階が成功裏に起きることを担保する。
【0144】
本発明に従う方法は、ポリマー鎖のネットワークを通り抜けての架橋剤の速く、完全でかつ均一な分散をもまた担保する。
【0145】
架橋の品質及び収率における実質的な改善及び慣用の方法と比較して要求される架橋剤の量のかなりの減少はそれからの結果である。
【0146】
架橋反応を行うための架橋剤の量の調節は、明らかに当業者の能力内である。
【0147】
一つの特定の好ましい実施態様に従うと、本発明に従う方法は、アルカリ性媒体におけるヒアルロン酸ナトリウムを、架橋剤としてのブタンジオールジグリシジルエーテル(BDDE)で実施する。
【0148】
以下の実施例及び図面は、非制限的な方法での本発明の説明として示される。
【図面の簡単な説明】
【0149】
図1】本発明に従う容器の模式的な説明を示す。
図2】試料1の架橋反応の間の温度の変化を示す。
図3】試料2の架橋反応の間の温度の変化を示す。
図4】試料3の架橋反応の間の温度の変化を示す。
図5】試料1の注入性の特徴を説明する。
図6】試料2の注入性の特徴を説明する。
図7】試料3の注入性の特徴を説明する。
【発明を実施するための形態】
【0150】
以下の比較調査は、架橋されたヒアルロン酸のゲルの3つの試料について行われ、本発明に従う方法(試料1)又は慣用の方法(試料2及び3)のいずれかを説明する。
― 試料1:400mlの無菌の小袋で行われた方法、パドルミルでの撹拌、3時間、52℃での架橋。
― 試料2:400mlの無菌プラスチックポットで行われた方法、スパチュラでの撹拌、3時間、52℃での架橋。
― 試料3:400mlの無菌プラスチックポットで行われた方法、スパチュラでの撹拌、3時間、55.5℃での架橋。
【0151】
実施例1:均一なヒアルロン酸ゲルの製造
試料のそれぞれについて、10gのNaHAが1%水酸化ナトリウム溶液に溶解されて、12%のNaHAを含む溶液を得る。
【0152】
試料1が溶解された小袋(実際の体積(working volume):400ml、長さ:310mm、幅:180mm、食品グレードPE)が機械的均一化に暴露される。これを行うために、小袋は210rpm(22ラジアン・秒−1)において1時間の合計の持続の間、パドルミルを使用する断続的な撹拌サイクルに暴露される。
【0153】
試料2及び3の場合、撹拌は5〜10分間、無菌のステンレススチールのスパチュラにより手で行われ、続いて完全な水和まで30分間おきに手による新しい撹拌サイクルが行われる。
【0154】
NaHAの全てが水和され、溶液が完全に均一になったら、NaAHの溶解は完全であると考えられる(凝集体の不存在及び均一な色)。溶解が完全でないようである場合は、補足の撹拌サイクルが行われてもよい。
【0155】
3つの試料についての1%水酸化ナトリウム溶液中のNaHAの合計溶解時間が下記の表1に示される。
【0156】
【0157】
小袋におけるヒアルロン酸の均一化は、試料3におけるように、温度の上昇を要求せず、スパチュラでのポットにおける均一化より速い。この代替手段もまたより清潔である、なぜならゲルは外と接触せず、粒子を生じ得る反応媒体上の直接の摩擦がないからである。
【0158】
実施例2:架橋
1%水酸化ナトリウム溶液において1/5に希釈されたBDDEの溶液が実施例1において得られた試料のそれぞれについて、先行する段階の終わりに得られた均一なNaHA溶液に添加される。
【0159】
試料1の反応媒体の均一化が次に断続的な撹拌サイクルにより行われる。
各サイクルは
― 小袋の混練による5〜10分間の手での撹拌;及び
― 210rpmにおけるパドルミルを使用する5の撹拌(22ラジアン・秒−1
【0160】
試料2及び3の反応媒体の均一化が15分間、無菌のステンレススチールスパチュラによる撹拌により行われる。
【0161】
次に、架橋反応の間の反応媒体内の温度を記録できるようにするために、3つの温度プローブが架橋されるべき製品のそれぞれに入れられる(2つは外縁かつ正反対に置かれ、1つは中央に置かれる)。
【0162】
試料1については、密封された小袋は、小袋の開口部が水浴の外にあることを確認して、52℃における水浴の中に3時間置かれる。
【0163】
試料2及び3については、ポットがそれぞれ、52℃及び55.5℃において3時間水浴の中に置かれる。
【0164】
反応媒体中の温度は3つの温度プローブにより架橋反応の間を通して監視された。
【0165】
図1〜3は、該3つの試料の架橋反応の間に観察された温度プロフィールを表す。
【0166】
各プロフィールの数1〜3は、反応媒体中の温度の変化を監視するために小袋又はポットに入れられた3つの温度プローブに相当する。
【0167】
試料1の場合、小袋の中におけるほとんどすぐの上昇温度、次に約52℃における反応媒体の温度の均一な保持が温度プローブにかかわらず観察される。従って、温度は反応媒体を通して均一である。
【0168】
試料2及び3の場合、小袋法におけるより、より遅い温度の上昇が一方では観察され、その後約52℃(試料2)又は55.5℃(試料3)の3つの異なるプローブにより測定された温度の間で著しい差が観察される。従って、温度は反応媒体を通して均一ではない。
【0169】
ひとたび、架橋反応が終わると、小袋及びポットはサーモスタット付浴から取りだされて、冷却された無菌の水を含む容器に、温度が25℃(環境温度)に冷却するまで入れられる。
【0170】
収率は、得られた生成物の重量:出発反応物の重量により定義される。
【0171】
【0172】
小袋で行われた架橋反応の収率は、温度上昇の存在においてさえのポットにおいて行われた反応より良い。
【0173】
実施例3:実施例2において得られたゲルの同定
1)プロトコル
実施例2において得られた架橋されたゲルの3つの試料が約1cmの小さな立方体に分割される。
【0174】
得られた各ゲルについて、小片は、無菌の1Lの硬いプラスチックのポットであって適切な量のピロゲンフリーのリン酸バッファー(PB)を含むポットに導入されて、ゲルを20mg/gの濃度に至らせる。PB溶液の量は20mg/gのHAを含むゲルを得るように調節される。塩酸の量はpHを中和するように調節される。ポットの内容物は無菌のステンレススチールスパチュラを使用して5分間、撹拌される。次に、ポットは環境温度において20時間3次元撹拌機に入れられる。
【0175】
このようにして得られた架橋されたゲルは中性に近いpH及び生理学的濃度のNaClを有する。
【0176】
この段階に従って得られた各試料について、注入力(27G1/2皮下注射針)及びpHの測定を行うために、ある量の生成物が5本の1mlのBD Hypack(商標)ガラスシリンジを使用して取り出される。
【0177】
pH及び注入力の測定は下記の表に示されている(表3)。架橋されたゲルで満たされたシリンジは12.5N.mm−1の圧縮に付され、得られた注入力の測定の値は、各架橋されたゲルの3つのシリンジについて行われた測定の平均を表す。
【0178】
【0179】
小袋法から得られるゲルは流体力学的性質に関して、ポット法により得られるゲルよりも殺菌に対してより高い耐性を有することもまた本発明者らにより観察された。
【0180】
さらに、試料1の実施に使用される方法は、架橋の前のBDDEの残留濃度が試料2及び3について記録されたものより、約2の因子だけ、実質的に低い、架橋されたゲルを得ることを可能にすることが観察される。
図1a
図1b
図1c
図1d
図1e
図2
図3
図4
図5
図6
図7