特許第5871820号(P5871820)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5871820改善された溶解性及び応力特性を有する水溶性フィルム、並びにそれから製造された包み
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5871820
(24)【登録日】2016年1月22日
(45)【発行日】2016年3月1日
(54)【発明の名称】改善された溶解性及び応力特性を有する水溶性フィルム、並びにそれから製造された包み
(51)【国際特許分類】
   B65D 30/02 20060101AFI20160216BHJP
   C11D 17/04 20060101ALI20160216BHJP
   B65D 30/22 20060101ALI20160216BHJP
   B65D 77/00 20060101ALI20160216BHJP
【FI】
   B65D30/02
   C11D17/04
   B65D30/22 G
   B65D77/00 F
【請求項の数】20
【全頁数】41
(21)【出願番号】特願2012-551369(P2012-551369)
(86)(22)【出願日】2011年1月31日
(65)【公表番号】特表2013-518009(P2013-518009A)
(43)【公表日】2013年5月20日
(86)【国際出願番号】US2011023176
(87)【国際公開番号】WO2011094687
(87)【国際公開日】20110804
【審査請求日】2012年7月27日
(31)【優先権主張番号】61/299,836
(32)【優先日】2010年1月29日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/299,834
(32)【優先日】2010年1月29日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100117787
【弁理士】
【氏名又は名称】勝沼 宏仁
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100107342
【弁理士】
【氏名又は名称】横田 修孝
(74)【代理人】
【識別番号】100111730
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 武泰
(74)【代理人】
【識別番号】100176094
【弁理士】
【氏名又は名称】箱田 満
(72)【発明者】
【氏名】フランク、ウィリアム、デノーム
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン、ジー.フリードリッヒ
(72)【発明者】
【氏名】レジーヌ、ラベク
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド、エム.リー
(72)【発明者】
【氏名】ジチュン、シ
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー、ピー.ベラル
(72)【発明者】
【氏名】ロクサーヌ、ロスマニオ
【審査官】 結城 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−071782(JP,A)
【文献】 特開昭53−024351(JP,A)
【文献】 英国特許出願公開第02393968(GB,A)
【文献】 特表2009−533287(JP,A)
【文献】 特開2009−051947(JP,A)
【文献】 特表2011−505437(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 30/02
A61K 8/02
A61K 8/81
A61Q 5/02
A61Q 19/10
B65D 30/22
B65D 65/02
B65D 77/00
B65D 77/08
C08L 29/04
C11D 17/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の組成物を収容する第1の密封区画を含む、洗浄用途に適したパウチであって、前記第1の密封区画が、任意の好適な厚さを有する水溶性フィルムを含む少なくとも1つの壁を含み、前記水溶性フィルムが、
少なくとも50重量%の水溶性ポリビニルアルコール(PVOH)樹脂を含み、前記PVOH樹脂が、13.5cP〜20cPの範囲の平均粘度及び84%〜92%の範囲の加水分解度を有し、
前記フィルムが更に、11cP未満の平均粘度を有するPVOHポリマーを30重量%以下で有し、
前記フィルムが76マイクロメートルの厚さを有する場合に、前記フィルムが更に、620〜920の範囲の溶解指数及び145〜626の範囲の応力指数を有することを特徴とし、
前記フィルムが熱成形可能であり、
前記第1の組成物が界面活性剤を含む、パウチ。
【請求項2】
前記PVOH樹脂が、8cP〜40cPの範囲の粘度を有する第1のPVOHポリマーと、10cP〜40cPの範囲の粘度を有する第2のPVOHポリマーとを含み、前記第1のPVOHポリマーの粘度が前記第2のPVOHポリマーの粘度より小さいものである、請求項1に記載のパウチ。
【請求項3】
前記フィルムが1重量%〜40重量%の可塑剤を更に含む、請求項1に記載のパウチ。
【請求項4】
前記可塑剤が、グリセリン、ソルビトール、プロピレングリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、及びこれらの混合物からなる群から選択される物質を含む、請求項3に記載のパウチ。
【請求項5】
前記フィルムが4重量%〜10重量%の範囲の残留水分含量を更に含む、請求項1に記載のパウチ。
【請求項6】
前記フィルムが76マイクロメートルの厚さを有する場合に、前記フィルムが20秒を超える破裂強度試験値によって更に特徴付けられる、請求項1に記載のパウチ。
【請求項7】
前記樹脂が0.255〜0.315の範囲の樹脂選択指数値(RSI)によって特徴付けられ、
前記RSIが下記式によって算出される、請求項1に記載のパウチ。
【数1】
(式中、μは17cPであり、μはそれぞれのPVOHポリマーの平均粘度であり、WはそれぞれのPVOHポリマーの重量分率である。)
【請求項8】
前記第1の密封区画が異なるフィルムを更に含む、請求項1に記載のパウチ。
【請求項9】
前記水溶性フィルムを含む前記壁が前記パウチの外壁として配置される、請求項1に記載のパウチ。
【請求項10】
前記第1の組成物が、液体軽質洗剤組成物、液体重質液体洗剤組成物、粉末洗剤組成物、手洗い用食器洗剤組成物、機械洗い用食器洗剤組成物、硬質表面洗浄組成物、洗濯洗剤ゲル、シャンプー、ボディソープ、及びこれらの組み合わせから選択される、請求項1に記載のパウチ。
【請求項11】
前記第1の密封区画に取り付けられた第2の密封区画を更に含み、前記第2の密封区画が第2の組成物を収容する、請求項1に記載のパウチ。
【請求項12】
前記第1の密封区画及び前記第2の密封区画が仕切り壁の周囲で接合されている、請求項11に記載のパウチ。
【請求項13】
前記第1の密封区画又は前記第2の密封区画のいずれかに取り付けられた第3の密封区画を更に含み、前記第3の密封区画が第3の組成物を収容する、請求項11に記載のパウチ。
【請求項14】
第1の組成物を収容する第1の密封区画を含む、洗浄用途に適したパウチであって、前記第1の密封区画が、任意の好適な厚さを有する水溶性フィルムを含む少なくとも1つの壁を含み、前記水溶性フィルムが、
少なくとも50重量%のPVOH樹脂であって、前記樹脂が、13.5cP〜20cPの範囲の平均粘度及び84%〜90%の範囲の加水分解度を有し、前記樹脂が、第1及び第2のPVOHポリマーの配合物を含み、前記第1のPVOHポリマーが8cP〜40cPの範囲の粘度を有し、前記第2のPVOHポリマーが10cP〜40cPの範囲の粘度を有し、前記第1のPVOHポリマーの粘度が前記第2のPVOHポリマーの粘度より小さい、PVOH樹脂と、
10重量%〜40重量%の可塑剤と、
少なくとも4重量%の残留水分含量と、を含み、
前記フィルムが更に、11cP未満の平均粘度を有するPVOHポリマーを30重量%以下で有し、
前記フィルムが76マイクロメートルの厚さを有する場合に、前記フィルムが、620〜920の溶解指数及び145〜626の応力指数によって特徴付けられ、
前記第1の組成物が界面活性剤を含む、パウチ。
【請求項15】
前記第1の組成物が、液体軽質洗剤組成物、液体重質液体洗剤組成物、粉末洗剤組成物、手洗い用食器洗剤組成物、機械洗い用食器洗剤組成物、硬質表面洗浄組成物、洗濯洗剤ゲル、シャンプー、ボディソープ、及びこれらの組み合わせから選択される、請求項14に記載のパウチ。
【請求項16】
第2の密封区画を更に含み、前記第1の密封区画及び前記第2の密封区画が仕切り壁の周囲で接合されており、前記第2の密封区画が第2の組成物を収容する、請求項14に記載のパウチ。
【請求項17】
前記第1の密封区画又は前記第2の密封区画のいずれかに取り付けられた第3の密封区画を更に含み、前記第3の密封区画が第3の組成物を収容する、請求項16に記載のパウチ。
【請求項18】
第1の組成物を収容する第1の密封区画を含む、洗浄用途に適したパウチであって、前記第1の密封区画が、任意の好適な厚さを有する水溶性フィルムを含む少なくとも1つの壁を含み、前記水溶性フィルムは、
0.255〜0.315の範囲の樹脂選択指数値(RSI)によって特徴付けられ、前記RSIが下記式
【数2】
(式中、μは17cPであり、μはそれぞれのPVOHポリマーの平均粘度であり、WはそれぞれのPVOHポリマーの重量分率である。)
によって算出される少なくとも50重量%のPVOH樹脂であって、前記樹脂が第1及び第2のPVOHポリマーの配合物を含み、前記第1のPVOHポリマーが8cP〜40cPの範囲の粘度を有し、前記第2のPVOHポリマーが10cP〜40cPの範囲の粘度を有し、前記第1のPVOHポリマーの粘度が前記第2のPVOHポリマーの粘度より小さい、PVOH樹脂と、10重量%〜40重量%の可塑剤と、を含み、
前記フィルムは更に、11cP未満の平均粘度を有するPVOHポリマーを30重量%以下で有し、
前記フィルムが76マイクロメートルの厚さを有する場合に、前記フィルムが更に、620〜920の溶解指数及び145〜626の応力指数によって特徴付けられ、
前記第1の組成物が界面活性剤を含む、パウチ。
【請求項19】
前記第1の組成物が、液体軽質洗剤組成物、液体重質液体洗剤組成物、粉末洗剤組成物、手洗い用食器洗剤組成物、機械洗い用食器洗剤組成物、硬質表面洗浄組成物、洗濯洗剤ゲル、シャンプー、ボディソープ、及びこれらの組み合わせから選択される、請求項18に記載のパウチ。
【請求項20】
第2の密封区画を更に含み、前記第1の密封区画及び前記第2の密封区画が仕切り壁の周囲で接合されており、前記第2の密封区画が第2の組成物を収容する、請求項19に記載のパウチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に水溶性フィルムと水溶性フィルムを含むパウチとに関する。より詳細には、本開示は、水溶性フィルムと、良好な冷水溶解性、ぬれた手に対する耐水性、及び機械的特性などの所望の特性を有する水溶性フィルムを含むパウチとに関する。
【背景技術】
【0002】
水溶性高分子フィルムは、供給すべき材料の分散、注入、溶解、及び投与を簡素化するために、梱包材料として一般的に使用される。例えば、水溶性フィルムから製造パウチは、洗濯用又は食器用洗剤などの家庭用ケア組成物を包装するために一般的に使用される。消費者は、バケツ、シンク、又は洗濯機などの混合用容器にパウチ化した組成物を直接添加することができる。好都合なことに、これは、消費者が組成物を計量する必要をなくすと同時に、正確な投与をもたらす。パウチ化した組成物は、例えば液体洗濯洗剤を容器から注ぐなど、同様の組成物を容器から分配するのに伴うであろう面倒も軽減することができる。つまり、事前に計量された可溶性高分子フィルムパウチは、様々な用途で消費者の使用に利便性をもたらす。
【0003】
現在市販されているパウチの製造に使用される一部の水溶性高分子フィルムは、洗浄サイクル中に完全に溶解せず、洗浄物中の物品にフィルムの残留物が残ることがある。このような問題は、例えばパウチを冷水(すなわち、5℃程度の低温の水)で使用する場合など、パウチをストレスがかかった洗浄条件下で使用する場合に特に生じることがある。とりわけ、環境問題及びエネルギーコストによって、消費者はより低温の洗浄水の使用を望むようになっている。
【0004】
あるいは、冷水中で完全に溶解する水溶性高分子フィルムは、水分及び湿度に対する感受性が高すぎてパウチを消費者市場向けに製造できないことがある。例えば、ぬれた手でパウチを取り扱うことにより生じる高湿度又は水滴により、可溶性パウチが共にくっつき、及び/又は包みのフィルムを介して溶解し、パウチの内容物の漏れをもたらすことがある。
【0005】
ポリビニルアルコールポリマーを含むいくつかのフィルムから製造されたパウチは、上記の問題にある程度うまく対応している。しかしながら、これらのパウチの耐用年数にわたって、フィルムが特定の洗剤組成物と接触している場合に、一部のポリビニルアルコールフィルムの冷水溶解性は低下することがある。理論に束縛されるものではないが、フィルムは、フィルムとパウチ内の組成物との化学的相互作用により溶解性が低下すると考えられる。したがって、フィルムが経年変化するにつれて、これらのパウチは低温洗浄サイクル中に完全に溶解できなくなることがあり、その結果、洗浄物中の物品にフィルムの残留物が残ることがある。
【0006】
ポリビニルアルコールポリマー以外のポリマーを含む水溶性フィルムから製造されたパウチは、上記の各問題にうまく対応できないことがある。例えば、デンプン及び/又はセルロース誘導体を含む高分子フィルムは、ぬれた手に対する良好な耐水性を提供することができる。それにもかかわらず、良好な冷水溶解性を達成するには、このようなフィルムは非常に薄くなければならず、その機械的特性(加工性に関する特性など)が損なわれることがある。更に、デンプン及び/又はセルロース誘導体を含むフィルムは、ポリビニルアルコールポリマーを含む同じ厚さのフィルムに比べて機械的伸縮性、又は伸長度が比較的乏しい場合、同程度容易には加工できない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、経年変化した場合でも良好な冷水溶解性、ぬれた手に対する耐水性、及び機械的特性(例えば、良好な加工性が挙げられるがこれに限定されない)という所望の特性を有する水溶性フィルムを含むパウチの必要性が依然として存在する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示は、新たな特性の組み合わせを有する水溶性フィルムを提供することにより、上記の各問題に対応する手段を提供する。これらの特性は、それぞれ以下のように定量化される。
【0009】
冷水溶解性は、フィルムの溶解時間として定量化される。溶解時間は、開示されるスライド溶解試験を使用して測定される。
【0010】
ぬれた手に対する耐水性は、水分及び湿度に対するフィルムの感受性(すなわち、フィルムの湿潤処理特性(wet-handling characteristics))により定量化される。ぬれた手に対する耐水性は、以下に記載の破裂強度試験を使用して測定される。
【0011】
これら2つの物理的特性を組み合わせて、フィルムの溶解指数を提供する。これらの各パラメーターは、消費者の経験の異なる観点(すなわち、洗濯した衣類上のパウチの残留物、及びぬれた手で触ることによるパウチ同士のくっつき)にかかわるため、式(1)で定義されるような溶解指数に使用される式では異なる重み付けが与えられる。
【0012】
(1)溶解指数=7×(溶解時間)+(破裂強度)
フィルムの機械的特性は、その100%伸長時の応力及びその最大引張り強度により定量化される。これらの量は、ASTM D 882「Standard Test Method for Tensile Properties of Thin Plastic Sheeting」を使用して測定される。
【0013】
これら2つのフィルムの機械的特性が組み合わされて、以下の式(2)で定義されるようなフィルムの応力指数を提供する。
【0014】
(2)応力指数=(100%伸長時の応力)×(最大引張り強度)
理論に束縛されるものではないが、溶解指数が非常に高い(すなわち、約920超)フィルムは、使用中に完全に溶解しないパウチをもたらすことがあると考えられる。反対に、溶解指数が非常に低い(すなわち、約620未満)フィルムは、消費者市場で水分及び湿度に対する感受性が高すぎるパウチをもたらすことがあると考えられる。更に、応力指数が高すぎる(すなわち、約626超)フィルムは、空洞の成形が難しいため、パウチへの加工が困難なことがあると考えられる。反対に、応力指数が低すぎる(すなわち、約145未満)フィルムは、パウチへの加工時にピンホールが形成されやすいことがあると考えられる。
【0015】
本開示によるパウチは、第1の組成物を収容する少なくとも1つの密封区画を有し、少なくとも1つの密封区画の少なくとも1つの壁は、任意の好適な厚さを有する水溶性フィルムから作製されており、その水溶性フィルムは、フィルムが約76マイクロメートル(μm)の厚さを有する場合に、フィルムが(a)約620〜約920、又は約665〜約920、又は約710〜約920の溶解指数、及び(b)約145〜約626、又は約155〜約480、又は約165〜約325の応力指数によって特徴付けられるように、1つ以上のポリビニルアルコール(PVOH)ポリマーを含む。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本開示は、添付図面を参照することでより容易に理解され得る。
図1】フィルム試料の水による崩壊及び溶解時間の測定に使用される試験装置の斜視図。
図2】フィルム試料の水溶性の測定方法を示す試験装置及び試験用組立ての斜視図。
図3図2の試験用組立ての平面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
定義
「含む」とは、本明細書で使用するとき、本開示を実施する際に、各種の構成要素、成分、又は工程を併せて採用できることを意味する。したがって、用語「含む」は、より限定的な用語の「から本質的になる」及び「からなる」を包含する。本発明の組成物は、本明細書に開示される必須の及び任意のいずれかの要素を含む、から本質的になる、又はからなることができる。
【0018】
「経年変化(Aged)」フィルムは、本明細書で使用するとき、実際の消費者の使用経験(すなわち、製品の製造、輸送、及び製品使用時までの消費者宅での保存から得られた経験)を表す、長期間にわたって液体及び/又は粉末組成物に曝されていた(又は接触していた)フィルムを意味する。試験目的でフィルムを「経年変化」させる方法は、以下に詳しく記載される。
【0019】
「新品」フィルムは、本明細書で使用するとき、典型的な消費者洗浄製品の液体又は粉末組成物に曝されていないフィルムを意味する。このフィルムは、一般的なフィルムの輸送及び/又は製造工場での保存を通じて周囲空気の水分に曝されている可能性がある。
【0020】
「液体」は、本明細書で使用するとき、ペースト、液体、ゲル、フォーム、及びムースを含む。液体の非限定的な例としては、軽質及び重質液体洗剤組成物、布地柔軟剤(fabric enhancers)、硬質表面洗浄組成物、洗濯及び食器洗いに一般的に使用される洗剤ゲル、漂白剤及び洗濯添加剤、シャンプー、ボディソープ、並びに他のパーソナルケア組成物が挙げられる。気体(例えば、懸濁した気泡又は固体、例えば、粒子)が液体内に含まれていてもよい。
【0021】
「固体」は、本明細書で使用するとき、粉末、凝集物、又はこれらの混合物を含む。固体の非限定的な例としては、マイクロカプセル、ビーズ、ヌードル、及び真珠光沢ボールが挙げられる。固体(例えば、固体組成物)は、技術的効果を提供してもよく、これには、洗浄効果、前処理効果、及び/又は美的効果によるものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0022】
「布地ケア有益剤」は、本明細書で使用するとき、その材料が適切な量で衣服/布地の上にある場合に、布地ケアに効果を与えるあらゆる材料を意味し、例えば、布地柔軟化、着色保護、毛玉/毛羽削減、磨耗防止、皺防止、などの効果を衣服及び布地、特に綿及び綿が多い衣服並びに布地に対して与える。布地ケア有益剤の非限定的な例としては、カチオン性界面活性剤、シリコーン、ポリオレフィンワックス、ラテックス、油性糖誘導体、カチオン性多糖類、ポリウレタン、脂肪酸、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0023】
「付着補助剤」は、本明細書で使用するとき、洗濯中に布地ケア有益剤の布地への付着を顕著に高める、あらゆるカチオン性ポリマー又はカチオン性ポリマーの組み合わせを指す。
【0024】
百分率、部、及び比率は全て、特に言及しない限り、本開示のフィルム組成物の総乾燥重量又は包みの内容組成物の総重量に基づいており、測定は全て約25℃で行われる。表に記載される成分に関連するような重量は全て、活性レベルに基づいており、したがって、特に言及しない限り、市販の材料に含まれるかもしれないキャリア又は副生成物を含まない。
【0025】
本明細書にて開示された全ての数値域は、範囲内の各個々の数を包含し、開示された範囲の上限及び下限の任意の組合せを包含することが意図される。
【0026】
本明細書に開示した寸法及び値は、記述された正確な数値に厳しく限定されるものと理解すべきでない。むしろ、特に言及しない限り、そのようなそれぞれの寸法は、記述された値と、その値の周辺の機能的に同等の範囲との両方を意味することを意図する。例えば、「40mm」として開示された寸法は、「約40mm」を意味することを意図する。
【0027】
本明細書に記載のパウチは、水溶性フィルムを含む。水溶性フィルム、水溶性フィルムを含むパウチ、パウチに収容される組成物(すなわち「パウチ組成物」)、パウチのパッケージ、及びパウチを使用する洗浄プロセスについて、本明細書で以下に記載する。
【0028】
本明細書で使用するとき、包み及びパウチという用語は、互換性があるとみなすものとする。特定の実施形態では、包み及びパウチという用語はそれぞれ、フィルムを使用して製造した容器、及び好ましくは、例えば計量投与量デリバリーシステムの形態で内部に封入された材料を有する密封容器を示すように使用される。封止パウチは、このようなプロセス及び機能、例えば、熱融着、溶剤溶着、及び接着剤封止(例えば、水溶性接着剤の使用を伴う)を含む、任意の好適な方法で製造され得る。
【0029】
水溶性フィルム
本明細書に記載のパウチは、水溶性フィルムを含む。水溶性フィルムは、1つ以上のPVOHポリマーを含むPVOH樹脂を合計で約50重量%含む。フィルムが約76マイクロメートル(μm)の厚さを有するとした場合に、フィルムは、フィルムが(a)約620〜約920、又は約665〜約920、又は約710〜約920の溶解指数、及び(b)約145〜約626、又は約155〜約480、又は約165〜約325の応力指数によって特徴付けられるように、任意の好適な厚さを有することができる。フィルムは、所望により以下の特徴のいずれか1つ以上を有することができる。
【0030】
本明細書に記載のフィルムは、フィルムのPVOH樹脂含量を構成するように、1つ以上のポリビニルアルコール(PVOH)ポリマーを含む。本明細書の教示により、1つ又は複数のPVOHポリマーを選択又は混合し、水溶液に可溶である物品(フィルムなど)を作製することができる。高分子量のPVOHポリマーは、比較的良好な残留水分耐性を提供するが、溶解性が不十分であり、1つにはPVOHポリマーの熱感受性のために熱形成が難しい。低分子量のPVOHポリマーは、良好な冷水溶解性を提供するが、残留水分に対する反応性が高すぎて市場又は消費者の環境では機能せず、1つにはピンホールにより液体又はゲルを充填するとその後に漏出するために熱形成が難しい。
【0031】
ポリビニルアルコールは、一般にポリビニルアセテートのアルコール分解(通常、加水分解又はけん化と呼ばれる)により調製される合成樹脂である。実質上全てのアセテート基がアルコール基に変換された、完全に加水分解されたPVOHは、強力に水素結合された高結晶性ポリマーであり、約60℃(約140°F)より高い温水にのみ溶解する。ポリビニルアセテートの加水分解後に十分な数のアセテート基が残されている場合、すなわちPVOHポリマーが部分的に加水分解されている場合、PVOHポリマーは、より弱く水素結合された低結晶性であり、一般に約10℃(約50°F)より低い冷水に溶解する。このように、部分加水分解ポリマーは、ビニルアルコール−ビニルアセテートコポリマー、すなわちPVOHコポリマーである。したがって、記載される組成物では、1つ以上の部分加水分解PVOHコポリマーを使用する。
【0032】
フィルムの全PVOH樹脂含量は、少なくとも80%、84%、又は85%、多くとも約92%、90%、89%、88%、又は87%、例えば、約84%〜約90%、又は85%〜88%の範囲の、又は86.5%の加水分解度を有していてもよい。本明細書で使用するとき、加水分解度は、ビニルアルコール単位へと変換されたビニルアセテート単位の百分率として記される。
【0033】
PVOHポリマーの粘度(μ)は、British Standard EN ISO 15023−2:2006 Annex E Brookfield Test methodに記載されるように、ULアダプタを備えたBrookfield LV型粘度計を使用して、新たに作製した溶液を測定することにより決定される。4%ポリビニルアルコール水溶液の20℃における粘度を指定することが国際的な慣行である。本明細書に記載のセンチポアズ(cP)単位の粘度は全て、特に言及しない限り、4%ポリビニルアルコール水溶液の20℃における粘度を表すことは理解されるべきである。同様に、樹脂が特定の粘度を有する(又は有しない)と記載されるとき、特に言及しない限り、指定された粘度は、対応する分子量分布を固有に有する、樹脂の平均粘度であることを意味する。PVOH樹脂によっては、樹脂の多分散指数(PDI)は、約1.5〜約5の範囲、又はそれ以上に及ぶことがある。市販のPVOHポリマーのPDIは、典型的には約1.8〜約2.3の範囲であり、典型的な市販のPVOHポリマーは、1.7程度の低いPDI及び2.9程度の高いPDIを有することがある。これらの市販のPVOHポリマーは、典型的には指定された公称粘度及び指定された加水分解度に基づいて識別され、例えば、MOWIOL 13〜88は、13cPの指定された公称粘度及び88%の指定された加水分解度を有する。
【0034】
PVOH樹脂は、少なくとも約13.5cP、14cP、15cP、16cP、又は17cP、多くとも約20cP、19cP、18cP、17.5cP、例えば、約13.5cP〜約20cP、又は約14cP〜約19cP、又は約16cP〜約18cP、又は約17cP〜約17.5cPの範囲の粘度平均値を有していてもよい。PVOH樹脂の粘度は、PVOH樹脂の重量平均分子量
【数1】
と相関し、多くの場合に粘度は
【数2】
の代用として使用されることは、当該技術分野において周知である。したがって、本明細書に開示の水溶性フィルムの性能又は特性におけるPVOH樹脂の粘度変更の効果に関する本開示の教示は、同特性に対するPVOH樹脂の
【数3】
変更の効果に、相応に当てはまる。
【0035】
市販のPVOH樹脂は、典型的には約1.8〜約2.2の多分散指数(PDI)値を有する。本明細書に用いる全PVOH樹脂含量は、少なくとも1.3、1.5、1.8、2、2.5、3、多くとも6、5.5、5、4.5、4、3.5、例えば、約1〜約5、又は約2〜約4.5、又は約2.5〜約4の範囲のPDI値を有していてもよい。
【0036】
PVOHポリマーの混合物
PVOH樹脂は、PVOHポリマーの混合物を含むことができる。例えば、PVOH樹脂は、少なくとも2つのPVOHポリマーを含むことができ、本明細書で使用するとき、第1のPVOHポリマーは第2のPVOHポリマーより小さい粘度を有する。第1のPVOHポリマーは、少なくとも約8cP、10cP、12cP、又は13cP、多くとも約40cP、20cP、15cP、又は13cP、例えば、約8cP〜約40cP、又は約10cP〜約20cP、又は約10cP〜約15cP、又は約12cP〜約14cPの範囲、又は13cPの粘度を有していてもよい。更に、第2のPVOHポリマーは、少なくとも約10cP、20cP、又は22cP、多くとも約40cP、30cP、25cP、又は24cP、例えば、約10cP〜約40cP、又は20〜約30cP、又は約20〜約25cP、又は約22〜約24cPの範囲、又は約23cPの粘度を有していてもよい。
【0037】
個々のPVOHポリマーは、全PVOH樹脂含量の加水分解度が本明細書に記載の範囲内にある限り、任意の好適な加水分解度を有することができる。
【0038】
所望により、PVOH樹脂は、更に又は代わりに、約50,000〜約300,000ダルトン、又は約60,000〜約150,000ダルトンの範囲の
【数4】
を有する第1のPVOHポリマー、及び約60,000〜約300,000ダルトン、又は約80,000〜約250,000ダルトンの範囲の
【数5】
を有する第2のPVOHポリマーを含むことができる。
【0039】
PVOH樹脂は、約10〜約40cPの範囲の粘度及び約84%〜約92%の範囲の加水分解度を有する、1つ以上の追加のPVOHポリマーを更に含むことができる。
【0040】
PVOH樹脂が約11cP未満の平均粘度及び約1.8〜約2.3の範囲の多分散指数を有する第1のPVOHポリマーを含む場合に、ある種の実施形態では、PVOH樹脂は第1のPVOHポリマーを約30重量%未満で含む。同様に、PVOH樹脂は、約70,000ダルトン未満の
【数6】
を有するPVOHポリマーを約30重量%未満で含んでいてもよい。
【0041】
本明細書に記載のフィルム中の全PVOH樹脂含量のうち、PVOH樹脂は、約10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90重量%の第1のPVOHポリマー、及び約10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90重量%の第2のPVOHポリマー、例えば、約30〜約85重量%の第1のPVOHポリマー、又は約45〜約55重量%の第1のPVOHポリマーを含むことができる。例えば、PVOH樹脂は、各PVOHポリマーを約50重量%含むことができ、第1のPVOHポリマーの粘度は約13cPであり、第2のPVOHポリマーの粘度は約23cPである。
【0042】
ある種の実施形態は、約10〜約15cPの範囲の粘度及び約84%〜約92%の範囲の加水分解度を有する第1のPVOHポリマーを約40〜約85重量%含むPVOH樹脂によって特徴付けられる。別の種類の実施形態は、約10〜約15cPの範囲の粘度及び約84%〜約92%の範囲の加水分解度を有する第1のPVOHポリマーを約45〜約55重量%含むPVOH樹脂によって特徴付けられる。PVOH樹脂は、約20〜約25cPの範囲の粘度及び約84%〜約92%の範囲の加水分解度を有する第2のPVOHポリマーを約15〜約60重量%含むことができる。意図されるある種の実施形態は、第2のPVOHポリマーを約45〜約55重量%含むPVOH樹脂によって特徴付けられる。
【0043】
PVOH樹脂が複数のPVOHポリマーを含むとき、樹脂のPDI値は、任意で個々に含まれるPVOHポリマーのPDI値より大きい。所望により、PVOH樹脂のPDI値は、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.5、又は5.0より大きい。
【0044】
フィルム組成
水溶性フィルムは、合計で少なくとも約50重量%、55重量%、60重量%、65重量%、70重量%、75重量%、80重量%、85重量%、90重量%のPVOHポリマーを含む。
【0045】
PVOH樹脂を選択する際、PDI値が約2、2.2、2.4、2.6、2.8、3.0、3.2、3.4、3.6、3.8、4.0、4.2、4.4、4.6、4.8、又は5.0より大きいPVOH樹脂を選択することが望ましく、例えば、PVOH樹脂のPDI値は、樹脂に含まれる全ての個々のPVOHポリマーのPDI値より大きいことがあり得る。
【0046】
更に、約80〜約92%、又は約83〜約90%、又は約85〜約89%の加重平均加水分解度
【数7】
を有するPVOH樹脂を選択することが望ましい。
【数8】

【数9】
の式により計算され、式中、WはそれぞれのPVOHポリマーの重量分率であり、Hはそれぞれの加水分解度である。
【0047】
また、約10〜約25、又は約12〜約22、又は約13.5〜約20の加重対数粘度平均値
【数10】
を有するPVOH樹脂を選択することが望ましい。
【数11】

【数12】
の式により計算され、式中、μはそれぞれのPVOHポリマーの粘度である。
【0048】
また更に、0.255〜0.315、又は0.260〜0.310、又は0.265〜0.305、又は0.270〜0.300、又は0.275〜0.295、好ましくは0.270〜0.300の範囲の樹脂選択指数(RSI)を有するPVOH樹脂を選択することが望ましい。RSIは
【数13】
の式により計算され、式中、μは17であり、μはそれぞれのPVOHポリマーの平均粘度であり、WはそれぞれのPVOHポリマーの重量分率である。
【0049】
所望により、水溶性フィルムは、好ましくは1層又は複数の同様の層からなる自立フィルムである。水溶性フィルムは、更に所望によりPVOH樹脂並びに本明細書に記載されるような可塑剤及び添加剤から本質的になり、溶解度、熱成形性能、又は溶解度と熱成形性能との両方に影響を与えるであろう他のフィルム層を本質的に含まなくてもよい。
【0050】
フィルムのPVOH樹脂部分は、PVOHポリマーから本質的になる、又は全面的になることができる。水溶性フィルムは、PVOHポリマーに加えてフィルム形成ポリマーも含むことができる。これらの追加ポリマーは、フィルムの総重量に基づいて、約0.1〜約40%、又は約1〜約30%の重量パーセントでフィルム中に存在してもよい。非限定的な例としては、デンプン、セルロース性物質、スルホポリエステル、及びこれらの混合物が挙げられる。更なる非限定的な例としては、ポリアルキレンオキシド、ポリアクリル酸、ポリビニルピロリドン、セルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル、セルロースアミド、ポリビニルアセテート、ポリカルボン酸及びその塩、ポリアミノ酸又はペプチド、ポリアミド、ポリアクリルアミド、マレイン酸/アクリル酸のコポリマー、デンプン及びゼラチンを含む多糖類、キサンタンなどの天然ゴム、並びにカラギーナンが挙げられる。
【0051】
水溶性フィルムは、他の補助剤、並びに加工剤、例えばこれらに限定されないが、可塑剤、潤滑剤、離型剤、充填剤、増量剤、架橋剤、ブロッキング防止剤、酸化防止剤、粘着性除去剤、消泡剤、層状ケイ酸塩型ナノクレイ(例えば、モンモリロナイトナトリウム)のようなナノ粒子、漂白剤(例えば、重亜硫酸ナトリウムなど)、及び他の機能性成分を、それらの意図された目的に適した量で含有できる。可塑剤を包含する実施形態が好ましい。このような作用剤の量は、個々に又は総じて、最大約50重量%、最大約20重量%、又は最大15重量%、又は最大約10重量%、又は最大約5重量%、例えば、最大4重量%であってもよい。
【0052】
可塑剤には、グリセリン、ジグリセリン、ソルビトール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール(400MWまで)、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ポリエーテルポリオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、エタノールアミン、及びこれらの組み合わせが挙げられ得るが、これらに限定されない。好ましい可塑剤は、グリセリン、ソルビトール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、トリメチロールプロパン、及びこれらの組み合わせである。可塑剤の総量は、約1重量%〜約40重量%、又は約10重量%〜約40重量%、又は約15重量%〜約35重量%、又は約20重量%〜約30重量%の範囲、例えば約25重量%であってもよい。グリセリン、プロピレングリコール、及びソルビトールを組み合わせて使用してもよい。所望により、グリセリンは、約5重量%〜約30重量%、又は約5重量%〜約20重量%、例えば約13重量%の量で用いることができる。所望により、プロピレングリコールは、約1重量%〜約20重量%、又は約3重量%〜約10重量%、例えば約6重量%の量で用いることができる。所望により、ソルビトールは、約1重量%〜約20重量%、又は約2重量%〜約10重量%、例えば約5重量%の量で用いることができる。
【0053】
水溶性フィルムは、カールフィッシャー(Karl Fischer)滴定により測定するとき、少なくとも4重量%、例えば、約4〜約10重量%の範囲の残留水分含量を更に有していてもよい。
【0054】
本発明の更に特定の実施形態は、以下の表Iの個々の欄に示されるように、総平均(combined average)加水分解度、加重対数平均粘度、及び樹脂選択指数を有するフィルムを含む。
【表1】
【0055】
フィルムの製造方法
意図されるある種の実施形態は、例えば、第1のPVOHポリマー及び第2のPVOHポリマーを混合、同時キャスティング、又は溶着することにより、形成される水溶性フィルムによって特徴付けられる。ポリマーが最初に混合される場合、好ましくは得られた混合物を次にキャスティングしてフィルムを形成することにより水溶性フィルムを形成する。ポリマーが溶着される場合、例えば、溶剤又は熱溶着により、水溶性フィルムを形成してもよい。
【0056】
フィルムは、洗浄活性物質を含む洗剤組成物を収容し、それによって包みを形成するパウチを作製するのに有用である。洗浄活性物質は、粉末、ゲル、ペースト、液体、錠剤、又は任意の組み合わせのような任意の形態をとってよい。フィルムは、湿潤処理及び低温の冷水での残留物が改善されることが望まれる、任意の他の用途にも有用である。フィルムは、パウチ及び/又は包みの少なくとも1つの側壁を形成し、所望によりパウチ及び/又は包み全体を形成し、好ましくは少なくとも1つの側壁の外表面を形成する。
【0057】
本明細書に記載のフィルムを使用して、同じフィルムで形成された、又は他のポリマー材料のフィルムと組み合わせて形成された、2つ以上の区画を有するパウチを製造することもできる。追加のフィルムは、例えば、当該技術分野において既知であるように、同じ又は異なるポリマー材料のキャスティング、吹込成形、押出成形又は押出ブロー成形により得ることができる。ある種の実施形態では、追加のフィルムとしての使用に適したポリマー、コポリマー、又はそれらの誘導体は、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアルキレンオキシド、ポリアクリル酸、セルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル、セルロースアミド、ポリビニルアセテート、ポリカルボン酸及びその塩、ポリアミノ酸又はペプチド、ポリアミド、ポリアクリルアミド、マレイン酸/アクリル酸のコポリマー、デンプン及びゼラチンを含む多糖類、キサンタンなどの天然ゴム、並びにカラギーナンから選択される。例えば、ポリマーは、ポリアクリレート及び水溶性アクリレートコポリマー、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、デキストリン、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、マルトデキストリン、ポリメタクリレート、並びにこれらの組み合わせから選択されてもよく、又はポリビニルアルコール、ポリビニルアルコールコポリマー、及びヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、並びにこれらの組み合わせから選択されてもよい。意図されるある種の実施形態は、パウチ材料(例えば、上記のようなPVOH樹脂)中のポリマー濃度が少なくとも60%であることによって特徴付けられる。
【0058】
パウチ
本開示のパウチは、少なくとも1つの密封区画を含む。したがって、パウチは単区画又は多区画を含んでいてもよい。多区画を含む実施形態では、各区画は同じ及び/又は異なる組成物を収容することができる。また、組成物は、液体、固体、及びこれらの組み合わせ(例えば、液体中に懸濁した固体)などの任意の好適な形態を取ることができるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、パウチは、第1、第2、及び第3の区画を含み、各区画はそれぞれ異なる第1、第2、及び第3の組成物を収容する。いくつかの実施形態では、組成物は、欧州特許出願公開第09161692.0号(2009年6月2日出願、Procter & Gamble Companyに譲渡)に記載されるように、視覚的に区別されていてもよい。
【0059】
多区画パウチの区画は、同じ又は異なる大きさ及び/又は容量であってもよい。本発明の多区画パウチの区画は、分離されていてもよく、又は任意の好適な様式で接合されてもよい。いくつかの実施形態では、第2の、及び/又は第3の、及び/又はそれに続く区画は、第1の区画上に重ね合わされる。1つの実施形態では、第3の区画を第2の区画上に重ね合わせ、次に、これを第1の区画上に挟み込む配置で重ね合わせることができる。あるいは、第2及び第3の区画を第1の区画上に重ね合わせることができる。しかしながら、第1の、第2の、所望により第3の、並びにそれに続く区画を、隣り合わせたもの同士で互いに接着できることも同様に予想される。区画を一続きにパックして、ミシン目線により各区画をそれぞれ分離されているようにしてもよい。それゆえ、例えば、区画中の組成物で布地を前処理又は後処理するために、エンドユーザが一連のものの残りの部分から各区画を個々に切り離すことができてもよい。
【0060】
いくつかの実施形態では、多区画パウチは、大きな第1の区画と2つのより小さな区画からなる3つの区画を含む。第2の及び第3のより小さな区画は、第1のより大きな区画上に重ね合わせられる。区画の大きさ及び形状は、この配置を達成できるように選択される。区画の形状は同じでも異なっていても良い。いくつかの実施形態では、第2の及び所望により第3の区画は、それぞれ第1の区画と比較して異なる形状及び外形を有する。これらの実施形態において、第2の及び所望により第3の区画は、第1の区画上のデザイン中に配置される。デザインは、例えばコンセプト又は使用説明書を入れるように、装飾的、教育的、又は例証的であってもよく、及び/又は製品の供給元を示すために使用されてもよい。いくつかの実施形態では、第1の区画は、全周が封止された2つの大きな面を有する最大区画であり、第2の区画は、それより小さく、第1の区画の1面の表面積の約75%未満、又は約50%未満を覆っている。第3の区画がある実施形態では、前述の構造は同じであってもよいが、第2及び第3の区画は、第1の区画の1面の表面積の約60%未満、又は約50%未満、又は約45%未満を覆っている。
【0061】
本開示のパウチは、1つ以上の異なるフィルムを含むことができる。例えば、単区画の実施形態では、パウチは、2つに折り畳んで端部を封止した1つの壁から形成されてもよく、又は別の方法としては、端部を共に封止した2つの壁から形成されてもよい。多区画の実施形態では、パウチは、任意の所定のパウチ区画が、単一のフィルム、又は異なる組成を有する複数のフィルムから作製された壁を含むように1つ以上のフィルムから作製されていてもよい。一実施形態では、多区画パウチは、上外壁、下外壁、及び仕切り壁の、少なくとも3つの壁を含む。上外壁及び下外壁は、一般に対向しており、パウチの外面を形成する。仕切り壁は、パウチの内部にあり、一般には対向する外壁に封止線に沿って固定されている。仕切り壁は、多区画パウチの内部を少なくとも第1の区画及び第2の区画に分離する。
【0062】
任意の好適な装置及び方法を使用して、パウチを製造することができる。例えば、単区画パウチは、一般に当該技術分野において既知の、垂直成形充填技術、水平成形充填技術、又は回転ドラム充填技術を使用して製造され得る。このような方法は、連続的又は断続的のいずれであってもよい。フィルムを湿らせて、及び/又は加熱して、その展性(malleability)を高めてもよい。また、方法は、フィルムを好適な成形型の中に延伸させるために真空の使用を伴ってもよい。フィルムを表面の水平部分の上に置いたら、フィルムを成形型に延伸させる真空を約0.2秒〜約5秒、又は約0.3秒〜約3秒、又は約0.5秒〜約1.5秒間適用してもよい。この真空は、例えば、1kPa(10mbar)〜100kPa(1000mbar)、又は10kPa(100mbar)〜60kPa(600mbar)の負圧を提供するようなものであってもよい。
【0063】
パウチを作製可能な成形型は、必要とされるパウチ寸法に応じた任意の外形、長さ、幅、及び深さであってよい。成形型はまた、望ましい場合、寸法及び形状が互いに異なっていてもよい。例えば、最終的なパウチの容量は、約5mL〜約300mL、又は約10mL〜約150mL、又は約20mL〜約100mLであってもよく、成形型の寸法はそれに応じて調節される。
【0064】
熱成形として一般に知られるプロセスでは、フィルムに熱を加えることができる。任意の好適な手段を使用して熱を加えることができる。例えば、フィルムは、表面上に供給する前に、又は表面上に供給してすぐに、加熱要素の下あるいは熱風の中を通過させることで直接加熱できる。別の方法としては、例えば、表面を加熱するか、あるいはフィルム上に熱い物を当てることにより、フィルムを間接的に加熱することもできる。いくつかの実施形態では、赤外線を使用してフィルムを加熱する。フィルムは、約50〜約150℃、約50〜約120℃、約60〜約130℃、約70〜約120℃、又は約60〜約90℃の温度まで加熱され得る。別の方法としては、フィルムは任意の好適な手段によりぬらすことができ、例えば、フィルムを表面上に供給する前に又は表面上においてすぐに、湿潤剤(水、フィルム材溶液、若しくはフィルム材のための可塑剤が挙げられる)をフィルム上に噴霧することにより直接的に、又は表面をぬらすことにより若しくはぬれた物をフィルム上に当てることにより間接的にぬらすことができる。
【0065】
フィルムを加熱及び/又はぬらした後、好ましくは真空を使用して、フィルムを適切な成形型の中に延伸してもよい。成型フィルムの充填は、任意の好適な手段を使用して行うことができる。いくつかの実施形態では、最も好ましい方法は、製品の形状及び所要の充填速度によって異なるであろう。いくつかの実施形態では、成型フィルムは、インライン充填技術により充填される。充填された開いたパウチは、次に任意の好適な方法により第2のフィルムを用いて閉じられる。これは、水平位置にある間に連続定速運動で行われてもよい。閉鎖は、開放パウチを覆って及びその上に第2のフィルム、好ましくは水溶性フィルムを連続的に供給し、次いで好ましくは、典型的には型と型との間、したがってパウチとパウチとの間の領域で第1のフィルムと第2のフィルムを一緒に封止することにより行われ得る。
【0066】
任意の好適な方法を使用して、パウチ及び/又はその個々の区画を封止することができる。このような手段の非限定的な例には、熱融着、溶剤溶着、溶剤又は湿式封止、及びこれらの組み合わせが挙げられる。典型的には、封止を形成することになる領域のみが熱又は溶剤により処理される。熱又は溶剤は、いずれかの方法により、典型的には閉鎖材料の上に、典型的には封止を形成することになる領域の上のみに適用されることができる。溶剤若しくは湿式封止又は溶着が使用される場合、熱もまた適用されることが好ましい場合がある。好ましい湿式又は溶剤封止/溶着方法には、溶剤を成形型間の領域上に、又は閉鎖材料上に、例えば溶剤をこれらの領域上に噴霧又は印刷することにより選択的に適用すること、次いでこれらの領域上に圧力を加えて封止を形成することが挙げられる。例えば上記のようなシーリングロール及びベルト(任意にまた熱を提供する)が使用され得る。
【0067】
次いで、形成されたパウチを切断装置によって切断してもよい。切断は任意の既知の方法を用いて行うことができる。切断はまた、連続方式で、並びに好ましくは一定速度で及び好ましくは水平位置にある間に行われることが好ましい場合がある。切断装置は、例えば鋭利な物品又は熱い物品であることができ、それによって後者の場合には、熱い物品はフィルム/封止領域を「焼き」落とす。
【0068】
多区画パウチの異なる区画は、隣接方式で共に形成されてもよく、得られる接合したパウチは、切断により分離されても又は分離されなくてもよい。あるいは、区画を離れ離れに作製してもよい。
【0069】
いくつかの実施形態では、以下の工程を含むプロセスによりパウチを製造してもよい。
【0070】
a)第1の区画を形成する工程(上記したように)と、
b)工程(a)で形成された閉鎖区画の一部又は全ての内部にくぼみを形成して、第1の区画上に重ねて置かれる第2の成形区画を生成する工程と、
c)充填し、第3のフィルムを用いて前記第2の区画を閉鎖する工程と、
d)第1、第2、及び第3のフィルムを封止する工程と、
e)フィルムを切断して多区画パウチを製造する工程と、を含む。
【0071】
工程(b)で形成されるくぼみは、工程a)で調製された区画に真空を適用することによって得ることができる。
【0072】
いくつかの実施形態では、第2及び/又は第3の区画は、国際公開第2009/152031号(2008年6月13日出願、Procter & Gamble Companyに譲渡)に記載されるように、別々の工程で形成された後、第1の区画と組み合わされてもよい。
【0073】
いくつかの実施形態では、以下の工程を含むプロセスによりパウチを製造してもよい。
【0074】
a)第1の成形機械上の第1のフィルムを用いて、所望により熱及び/又は真空を使用して第1の区画を形成する工程と、
b)第1の区画に第1の組成物を充填する工程と、
c)第2の成形機械上で第2のフィルムを変形させて、所望により熱及び真空を使用して第2の及び所望により第3の成形区画を製造する工程と、
d)第2の及び所望により第3の区画を充填する工程と、
e)第3のフィルムを用いて第2の及び所望により第3の区画を封止する工程と、
f)封止した第2の及び所望により第3の区画を、第1の区画の上に配置する工程と、
g)第1の、第2の及び所望により第3の区画を封止する工程と、
h)フィルムを切断して多区画パウチを製造する工程。
【0075】
第1及び第2の成形機械は、上記のプロセスを実施するための適合性に基づいて選択され得る。いくつかの実施形態では、第1の成形機械は、好ましくは水平成形機械であり、第2の成形機械は、好ましくは第1の成形機械上に配置された、好ましくは回転ドラム成形機械である。
【0076】
適切な供給ステーションの使用により、多数の異なる若しくは独特の組成物、及び/又は異なる若しくは独特の液体、ゲル、又はペースト組成物を組み込む、多区画パウチが製造可能であることは理解されるであろう。
【0077】
パウチ組成物
本発明のパウチは、様々な組成物を収容することができる。多区画パウチは、それぞれ個々の区画に同じ又は異なる組成物を収容することができる。本開示のこの機能を使用して、共存できない成分(例えば、漂白剤及び酵素)を含む組成物を互いから物理的に分離して又は仕切って保持することができる。このような仕切りは、このような成分の耐用年数を延ばし、及び/又は物理的不安定性を低減できると考えられる。更に又はあるいは、このような仕切りは、欧州特許出願公開第09161692.0号(2009年6月2日出願、Procter & Gamble Companyに譲渡)に記載されるように、審美的効果を提供することができる。
【0078】
有用な組成物の非限定的な例としては、軽質及び重質の液体洗剤組成物、硬質表面洗浄組成物、布地柔軟剤、洗濯に一般的に使用される洗剤ゲル、漂白剤及び洗濯添加剤、シャンプー、ボディソープ、並びに他のパーソナルケア組成物が挙げられる。本発明のパウチに使用される組成物は、液体、固体、又は粉末の形態を取ることができる。液体組成物は、固体を含んでいてもよい。固体には、マイクロカプセル、ビーズ、ヌードル、若しくは1つ以上の真珠光沢ボール、又はこれらの混合物などの粉末又は凝集物が挙げられる。このような固体要素は、洗浄を通じて、又は前処理成分、遅延若しくは連続の放出成分として、技術的利益を提供することができ、更に又はあるいは、審美的効果を提供することができる。
【0079】
洗濯組成物、洗濯添加剤組成物、及び/又は布地柔軟剤組成物を含むパウチでは、それら組成物は、以下の非限定的な成分一覧の1つ以上を含んでいてもよい:布地ケア有益剤;洗浄性酵素;付着補助剤;レオロジー変性剤;ビルダー;漂白剤;漂白料;漂白前駆体;漂白増進剤;漂白触媒;香料及び/又は香料マイクロカプセル(例えば、米国特許第5,137,646号参照);香料装填ゼオライト;デンプン封入アコード;ポリグリセロールエステル;白化剤;パールエッセンス剤;酵素安定系;アニオン性染料の固定剤、アニオン性界面活性剤の錯化剤、及びこれらの混合物などを含む捕捉剤;光学的光沢剤又は蛍光剤;汚れ放出ポリマー及び/又は汚れ懸濁ポリマーなどが挙げられるがこれらに限定されないポリマー;分散剤;消泡剤;非水性溶媒;脂肪酸;シリコーン石鹸泡抑制剤などの石鹸泡抑制剤(参照:米国特許出願公開第2003/0060390 A1号、p65〜77);カチオンデンプン(参照:米国特許出願公開第2004/0204337 A1号及び米国特許出願公開第2007/0219111 A1号);浮きかす分散剤(参照:米国特許出願公開第2003/0126282 A1号、p89〜90);染料;着色剤;乳白剤;酸化防止剤;トルエンスルホネート、クメンスルホネート、及びナフタレンスルホネートなどのヒドロトロープ;カラースペックル(color speckles);着色ビーズ、球体、又は押出品;粘土柔軟化剤。これらの成分のいずれか1つ以上は、欧州特許出願公開第09161692.0号(2009年6月2日出願)、米国特許出願公開第2003/0139312A1号(2000年5月11日出願)、及び米国特許出願第61/229981号(2009年7月30日出願)に更に記載されており、これらの各特許はProcter & Gamble Companyに譲渡されている。更に又はあるいは、組成物は、界面活性剤及び/又は溶媒系を含むことができ、これらはそれぞれ以下に記載される。
【0080】
界面活性剤:
本開示の組成物は、好ましくは、約1重量%〜80重量%の界面活性剤を含む。界面活性剤は、第1の組成物の成分として特に好ましい。好ましくは、第1の組成物は約5重量%〜50重量%の界面活性剤を含む。第2及び第3の組成物は、0.1〜99.9%の濃度の界面活性剤を含んでもよい。
【0081】
使用される洗浄性界面活性剤は、アニオン性、非イオン性、双極性イオン、両性、若しくはカチオン性の種類のものであってもよく、又はこれらの種類の界面活性剤の相容性混合物を含んでもよい。より好ましくは、界面活性剤は、アニオン性、非イオン性、カチオン性の界面活性剤、及びこれらの混合物からなる群から選択される。本明細書で有用な洗浄性界面活性剤は、米国特許第3,664,961号(Norris、1972年5月23日発行)、同第3,919,678号(Laughlinら、1975年12月30日発行)、同第4,222,905号(Cockrell、1980年9月16日発行)、及び同第4,239,659号(Murphy、1980年12月16日発行)に記載されている。アニオン性及び非イオン性の界面活性剤が好ましい。
【0082】
有用なアニオン性界面活性剤は、それら自体が、いくつか異なる種類の界面活性剤であってもよい。例えば、高級脂肪酸の水溶性塩、すなわち「石鹸」は、本明細書の組成物において有用なアニオン性界面活性剤である。これには、約8〜約24個の炭素原子、好ましくは約12〜約18個の炭素原子を含有する高級脂肪酸のナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、及びアルキルアンモニウム塩のようなアルカリ金属石鹸が挙げられる。石鹸は、脂肪及び油の直接鹸化によって、又は遊離脂肪酸の中和によって製造することができる。特に有用であるのは、ココヤシ油及び獣脂から誘導される脂肪酸の混合物のナトリウム塩及びカリウム塩、すなわち、ナトリウム又はカリウム獣脂及びココヤシ石鹸である。
【0083】
本明細書に用いるのに好適な、石鹸以外の更なるアニオン性界面活性剤としては、その分子構造内に約10〜約20個の炭素原子を含有するアルキル基とスルホン酸又は硫酸エステル基とを有する有機イオウ反応生成物の、水溶性塩、好ましくはアルカリ金属及びアンモニウム塩が挙げられる。(用語「アルキル」にはアシル基のアルキル部分が含まれる)この群の合成界面活性剤の例は、a)アルキル硫酸ナトリウム、アルキル硫酸カリウム、及びアルキル硫酸アンモニウム、特に、獣脂又はココヤシ油のグリセリドの還元によって生成されるもののような高級アルコール(C〜C18炭素原子)の硫酸化によって得られるもの、b)アルキルポリエトキシレート硫酸ナトリウム、アルキルポリエトキシレート硫酸カリウム、及びアルキルポリエトキシレート硫酸アンモニウム、特に、アルキル基が10〜22個、好ましくは12〜18個の炭素原子を含有し、ポリエトキシレート鎖が1〜15個、好ましくは1〜6個のエトキシレート部分を含有するもの、並びにc)アルキル基が直鎖又は分枝鎖構造で約9〜約15個の炭素原子を含有する、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム及びアルキルベンゼンスルホン酸カリウム、例えば、米国特許第2,220,099号及び同第2,477,383号に記載の種類のものが挙げられる。とりわけ価値があるのは、アルキル基の平均炭素原子数が約11〜13個である、C11〜C13LASと略される、直鎖アルキルベンゼンスルホネートである。
【0084】
いくつかの実施形態では、全アニオン性界面活性剤(すなわち、石鹸及び石鹸以外のアニオン性界面活性剤)は、約1重量%〜約65重量%、約2重量%〜約50重量%、又は約5重量%〜約45重量%の重量パーセントで組成物中に存在する。
【0085】
好ましい非イオン性界面活性剤は、式R(OCOHのものであり、式中、Rは、C10〜C16アルキル基又はC〜C12アルキルフェニル基であり、nは3〜約80である。特に好ましいのは、アルコール1モル当たり約5〜約20モルのエチレンオキシドを有するC12〜C15アルコールの縮合生成物であり、例えば、C12〜C13アルコールをアルコール1モル当たり約6.5モルのエチレンオキシドと縮合させたものである。
【0086】
溶媒系:
本発明の組成物における溶媒系は水だけ、又は有機溶媒と水との混合物を含有する溶媒系であることができる。好ましい有機溶媒としては、1,2−プロパンジオール、エタノール、グリセロール、ジプロピレンジグリコール、メチルプロパンジオール、及びこれらの混合物が挙げられる。また、他の低級アルコール、モノエタノールアミン及びトリエタノールアミン等のC〜Cアルカノールアミンを使用してもよい。溶媒系は、例えば本開示の無水固形物実施形態の実施例のように、無くてもよいが、より典型的には約0.1%〜約98%の範囲にある濃度で存在でき、好ましくは少なくとも約1%〜約50%、より通常的には約5%〜約25%で存在する。
【0087】
本明細書の組成物は、一般的に配合成分を共に混合することにより調製できる。パールエッセンス材料を使用する場合、混合の後半の段階で添加するべきである。レオロジー変性剤を使用する場合、レオロジー変性剤が水の一部に分散しているプレミックスを最初に形成することが好ましく、所望により最終的に他の成分が用いられて組成物を構成する。プレミックスは、構造化された液体を形成する方法で形成される。次に、プレミックスが攪拌されている間、この構造化されたプレミックスに、水及び使用されるべきあらゆる任意の洗剤組成物補助剤と共に、界面活性剤及び必須の洗剤補助剤物質を添加することができる。
【0088】
有用な組成物のpHは、約4〜約12、約5〜約11、約6〜約10、約6.5〜約8.5、又は約7.0〜約7.5であってもよい。洗濯洗剤組成物は、約8〜約10のpHを有することができる。洗濯洗剤添加剤組成物は、約4〜約8のpHを有することができる。布地柔軟剤は、約4〜約8のpHを有することができる。
【0089】
液状洗剤のpHは、20±2℃における洗剤の10%(重量/容積)水溶液のpHとして定義され、固体又は粉末洗剤では、20±2℃における洗剤の1%(重量/容積)水溶液のpHとして定義される。pHを±0.01のpH単位まで測定できる任意の計器が好適である。Orionメーター(Thermo Scientific,Clintinpark−Keppekouter,Ninovesteenweg 198,9320 Erembodegem−Aalst,Belgium)又は同等物は、仕様に合った計器である。pHメーターは、カロメル又は銀/塩化銀の基準を有する好適なガラス電極を備える必要がある。例としては、Mettler DB 115が挙げられる。電極は、製造業者が推奨する電解質溶液に保存する必要がある。
【0090】
以下の手順に従って、液状洗剤の10%水溶液を調製する。試料10±0.05グラムを±0.02グラムまで正確に測定できる天秤で計量する。試料を100mLメスフラスコに移し、精製水(水の伝導度が<5μS/cmであれば、脱イオン水及び/又は蒸留水が好適である)で容量まで希釈し、十分に混合する。得られた溶液の約50mLをビーカーに注ぎ、温度を20±2℃に調整し、pHメーター製造業者の標準的な手順に従ってpHを測定する(製造業者の指示に従い、pHアセンブリを設定及び較正することも重要である)。
【0091】
固体及び粉末洗剤では、以下の手順に従って洗剤の1%水溶液を調製する。試料10±0.05グラムを±0.02グラムまで正確に測定できる天秤で計量する。試料を1000mLメスフラスコに移し、精製水(水の伝導度が<5μS/cmであれば、脱イオン水及び/又は蒸留水が好適である)で容量まで希釈し、十分に混合する。得られた溶液の約50mLをビーカーに注ぎ、温度を20±2℃に調整し、pHメーター製造業者の標準的な手順に従ってpHを測定する(製造業者の指示に従い、pHアセンブリを設定及び較正することも重要である)。
【0092】
パッケージ
本開示のパウチを保存及び/又は販売用のパッケージに入れることができる。いくつかの実施形態では、パッケージは、例えば、透明又は半透明の袋、タブ、カートン、又はボトルなどの、透けて見える若しくは部分的に透けて見える容器であってもよい。パッケージは、輸送の間にパウチを保護するのに十分な強度を有する材料であるならば、プラスチック又は任意の他の好適な材料から作製できる。この種類のパックは更に、ユーザーがパックを開けて、内部に残ったパウチの数を確認する必要がないことから、非常に有用である。あるいは、パックは透けて見えない外側パッケージ、恐らくパックの視覚的に独特な内容物を表すしるし又は図柄を備える外側パッケージを有することもできる。いくつかの実施形態では、パッケージは、少なくとも部分的な防湿層を備えてもよい。
【0093】
洗浄プロセス:
本開示のパウチは、洗濯物、食器、及び身体の洗浄(例えば、シャンプー又は石鹸)などの洗浄用途に好適であるが、これらに限定されない。パウチは、手洗い条件及び/又は機械洗い条件に好適である。機械洗いの場合、パウチは分与装置から送達することができ、あるいは洗濯機ドラムの中に直接加えることもできる。
【0094】
試験方法:
特許請求されるフィルム特性に関連するデータの取得に用いた試験方法を以下に記載する。
【0095】
粘度の測定:
PVOHポリマーの粘度(μ)は、British Standard EN ISO 15023−2:2006 Annex E Brookfield Test methodに記載されるように、ULアダプタを備えたBrookfield LV型粘度計を使用して、新たに作製した溶液を測定することにより決定される。4%水性ポリビニルアルコール溶液の20℃における粘度を指定することが国際的な慣行である。本明細書に記載のセンチポアズ(cP)単位の粘度は全て、特に言及しない限り、4%水性ポリビニルアルコール溶液の20℃における粘度を表すことは理解されるべきである。
【0096】
経年変化フィルム:
以下のように経年変化フィルムを作製する。新品フィルムから7.6cm(3インチ)×7.6cm(3インチ)のパウチを作製し、表IIに成分を記載する試験組成物の50mLを内部に封入する。新品フィルムの光沢のある側がパウチの外側を形成し、フィルムの光沢のない側がパウチの内側を形成する。
【表2】
【0097】
試験されるフィルム領域と試験組成物とを完全に接触できるようにするため、気泡を最小限に抑えるようにパウチを充填する。次に、ノート用紙で内張りしたアルミニウムトレイにパウチを配置する。その後、トレイを0.10mm(4ミル)高密度ポリエチレン(「HDPE」)バッグ内に熱融着して封入する。43.2cm(17インチ)×55.9cm(22インチ)のHDPEバッグを使用して、33.0cm(13インチ)×45.7cm(18インチ)のトレイを封入する。34.3cm(13.5インチ)×43.2cm(17インチ)のHDPEバッグを使用して、24.1cm(9.5インチ)×33.0cm(13インチ)のトレイを封入する。試験されるフィルム領域から離れたパウチの角部にパウチ内の全ての気泡が保たれるような配向にトレイを維持する。パウチを含むトレイを、38℃、45%相対湿度(RH)に制御されたオーブン内に120時間配置する。その後、パウチをオーブンから取り出し、HDPEバッグに入れたまま、約25%RHで室温(20±5℃)まで戻す。オーブンから取り出してから5〜8時間以内に、試験されるフィルム領域を切断しないように注意しながらパウチを切り開く。試験組成物をパウチから取り出す。パウチを更に切断して全ての封止領域を取り除き、試験される領域のフィルムを試験組成物が残らないようにきれいに拭き取る。パウチを切り開いてから10分以内に、得られた経年変化フィルムを以下に記載する破裂強度試験及びスライド溶解試験に供する。
【0098】
スライド溶解試験:
添付の図1〜3を参照して、MONOSOL Test Method 205(MSTM 205)が開示されている。
【0099】
装置及び材料:
600mLビーカー12
電磁撹拌器14(Labline Model No.1250又は同等物)
磁気撹拌棒16(5cm)
温度計(0〜100℃、±1℃)
型板、ステンレス鋼製(3.8cm×3.2cm)
タイマー(0〜300秒、四捨五入して秒数単位の正確さ)
Polaroid 35mmスライド台紙20(又は同等物)
MONOSOL 35mmスライド台紙ホルダー25(又は同等物、図1参照)
蒸留水
【0100】
試験片:
1.ステンレス鋼製の型板を使用して、3つの試験片をフィルム試料から切り出す(すなわち3.8cm×3.2cm片)。フィルムウェブから切断する場合、ウェブの横断方向に沿って等しく離間したウェブの領域から試料を切断しなければならない。
2.各試料を別個の35mmスライド台紙20に固定する。
3.ビーカー12に500mLの蒸留水を充填する。水温を温度計で測定し、必要ならば、温度を10℃に維持するために水を加熱又は冷却する。(約50°F)。
4.水のカラムの高さにマークを付ける。ホルダー25の基部27に磁気撹拌器14を設置する。磁気撹拌器14の上にビーカー12を設置し、ビーカー12に磁気撹拌棒16を加え、撹拌器14のスイッチを入れ、水カラムの高さのおよそ5分の1の渦流が出現するまで撹拌速度を調整する。渦の深さをマークする。
5.図2に示されるように、スライド台紙20の長辺21が水面と平行になるように、35mmスライド台紙20をMONOSOL 35mmスライド台紙ホルダー25(図1)のわに口クランプ26に固定する。水に浸けたときに、クランプ26の末端部が水の表面下0.6cmになるように、ホルダー25の深さ調節装置28を設定すべきである。図3に示されるように、フィルムの表面が水の流れに垂直になるように、スライド台紙20の短辺23の一方はビーカー12の側面に隣接し、もう一方は撹拌棒16の中心のすぐ上に位置する必要がある。
6.固定されたスライド及びクランプを1動作で水中に浸け、タイマーを開始する。フィルムが分断されると崩壊が生じる。全ての目に見えるフィルムがスライド台紙から剥離したら、溶解されていないフィルムの断片に関して溶液を引き続きモニターしながら、スライドを水から持ち上げる。フィルムの全断片がもはや目に見えなくなり、溶液が透明になったときに、溶解が起こる。
【0101】
データの記録:
結果は以下のものを含む必要がある。
【0102】
試料の識別情報一式、
個々及び平均の崩壊時間及び溶解時間、及び
試料を試験した水温。
【0103】
完全に溶解した時間(秒単位)を取得する。
【0104】
100%伸長時の応力試験:
フィルムの100%伸長時の応力は、ASTM D 882「Standard Test Method for Tensile Properties of Thin Plastic Sheeting」を使用して測定される。試験は、Model 5544 Instron(登録商標)Tensile Testerで行われる。試験に使用されるInstron(登録商標)グリップは、試験結果に影響を及ぼすことがある。したがって、本試験は、ゴムでコーティングされた25mm幅の、型番号2702−032の面を有するInstron(登録商標)グリップを使用して行われる。
【0105】
最大引張り強度試験:
最大引張り強度は、ASTM D 882「Standard Test Method for Tensile Properties of Thin Plastic Sheeting」を使用して測定される。試験は、Model 5544 Instron(登録商標)Tensile Testerで行われる。試験に使用されるInstron(登録商標)グリップは、試験結果に影響を及ぼすことがある。したがって、本試験は、ゴムでコーティングされた25mm幅の、型番号2702−032の面を有するInstron(登録商標)グリップを使用して行われる。
【0106】
破裂強度試験:
フィルムの背後に圧力17.2kPa(2.5ポンド/平方インチ(「psig」))の圧縮空気を使用してしっかり固定された、(約23℃及び約25% RHで)試験されるフィルム領域に、逆浸透(23℃)により得られた脱イオン水の液滴4μLを配置する。フィルムの直径21mmの固定された円形曝露領域の中心に液滴を丁寧に配置する。液滴の配置から破裂までの時間(すなわち、圧力が13.8kPa(2.0psig)以下になる時間)を記録する。フィルムの厚さも記録する。試験されるフィルム領域は、典型的なパウチの外面を形成する光沢のある側に液滴を受ける。したがって、本試験では、新品又は経年変化フィルムの光沢のある側が液滴を受ける。
【0107】
熱成形試験:
本明細書に記載のフィルムは、好ましくは熱成形可能である。本明細書では、熱成形プロセス後に得られた成形フィルムが、2%未満、好ましくは1%未満、より好ましくは0.5%未満のピンホール試験結果を有する場合、フィルムは熱成形可能である(熱成形変形試験(Thermoforming Converting Test)に合格する)。熱成形プロセス後に得られた成形フィルムは、所望により、4%未満、好ましくは2%未満、より好ましくは1%未満の加圧ピンホール試験結果を有し得る。
【0108】
フィルムの熱成形は、フィルムを加熱し、成形型で成形した後、フィルムを冷却すると、フィルムが成形型の形状に維持されるプロセスである。熱成形は、熱で軟化したフィルムを成形型上に手動でドレーピングするプロセス、又は圧力を誘発させて軟化したフィルムを成形型に成形するプロセス(例えば、真空成形)、又は正確な温度が既知のシートを成形及び仕上げステーションに新たに押出成形する自動高速割り出しプロセス、又はフィルムを自動配置し、プラグ及び/又は空気で伸張し、圧力成形するプロセスのいずれか1つ以上により実行され得る。フィルムの伸張の程度は、ポケット(又は空洞)の表面積を熱成形前のフィルムの表面積で割った、面積延伸比により定義される。面積延伸比(面積延伸深度とも称される)は、Technology of Thermoforming,James L.Throne,Hanser publisher,(1996)Chapter 7.4,pg 488〜494(ISBN 3−446−17812−0)に記載される方法に従って計算できる。本明細書における熱成形フィルムでは、面積延伸比は、1.05〜2.7、好ましくは1.2〜2.3の範囲、最も好ましくは1.3〜2.0の範囲であってもよい。
【0109】
ピンホール試験は、開始時の厚さが25〜150μmの範囲、好ましくは50〜100μmの範囲、最も好ましくは60〜90μmの範囲にあるフィルムで実施できる。フィルムの厚さは、当業者に既知の任意の技術を使用して測定できる。例えば、電子式厚さ試験機である、Thwing−Albert model 89−100(Thwing−Albert;14W.Collings Avenue,West Berlin NJ 08091 USA)を使用して、フィルムの厚さを測定することができる。フィルムは、厚さ測定前に少なくとも24時間、22±5℃及び40±20%相対湿度で状態調整される必要がある。幅約60mm、長さ約60mmのフィルムのシートを調達し、25個の測定値を取得する(シート全体に間隔を置いた位置で)。したがって、厚さは、25個の測定値の平均±標準偏差である。
【0110】
ピンホール試験及び加圧ピンホール試験は、パウチの少なくとも1面として熱成形フィルムを含むパウチの漏れ率を測定する。試験試料の調製は、PVOHフィルムをポケットに熱成形し、ポケットを組成物で充填し、充填したポケットの上に第2のフィルムを配置し、2つのフィルムを一緒に封止することにより、PVOHフィルムから水溶性容器を調製するプロセスを含む。封止は、任意の好適な方法により行われてもよい。例えば、国際公開第02/16205号に開示されるように封止を行ってもよく、その開示内容は本明細書に組み込まれる。ここでは、厚さ76±4μmのフィルムを22±5℃及び40±20%RHの大気条件で面積延伸比2.0を有する空洞に105±15℃で熱成形し、最小厚さが30±5μmの熱成形フィルムを形成する。その後、熱成形フィルムを表1の物質を含む試験溶液で充填し、封止してパウチを形成する。
【表3】
【0111】
次に、22±5℃及び40±20%RHで24時間、パウチを個別に吸収紙上に置き、熱成形フィルムを吸収紙に接触させる。24時間後、フィルムの熱成形された部分で漏れているパウチを全て数える(封止部分を介した漏れ、又は封止プロセスで生じた欠陥を介した漏れとは異なる)。その後、ピンホールを有するパウチの百分率を((漏れたパウチの数)/パウチの総数)×100%により決定する。好ましくは、約500パウチを製造して試験する。とりわけ、封止したパウチに圧力を加えると、ピンホールの発見が容易になる。したがって、加圧ピンホール試験は、ピンホール試験と同じプロセスに従い、更にパウチを吸収紙上に置いた後でパウチに重り(約0.1N/cm)を乗せる工程を追加する。
【実施例】
【0112】
以下は、本開示によるパウチを製造するために組み合わされるフィルム及び組成物の代表的な実施形態である。指示がない限り、全ての値は全組成物の重量パーセントとして与えられ、「100まで」又は「残部」などは、値の合計が100になるように記載の成分を添加することを意味する。
【0113】
I.フィルム
指定されたポリマーの指定された重量パーセントを混合することにより、以下の試料を調製した。PVOHポリマーは、典型的にポリマー等級製品番号により指定される。例えば、PVOHポリマー13−88は、約13cPの指定の公称粘度、及び約88%の公称加水分解度(ビニルアルコール単位へと変換されたビニルアセテート単位の百分率として表される)を有する、部分加水分解ポリビニルアルコールである。以下に一覧表示される実施例の形成に使用されたPVOHポリマーは、そのポリマー等級製品番号で指定されている。
【0114】
表IVを参照すると、フィルムは、指定されたポリマーを水中で可塑剤及び他の微量添加剤(加工助剤など)と共に混合することにより調製される。以下の表における樹脂の重量%は、全PVOH樹脂含量の重量での割合として規定される。その樹脂は、乾燥重量で、フィルム構成成分の大部分(総重量で約67%〜約75%、平均69%)を形成し、約19重量%〜29重量%(平均24重量%)の全可塑剤(グリセリン、プロピレングリコール、及びソルビトールなど)と、微量(合計約3重量%〜8重量%)の安定剤及び加工助剤(ブロッキング防止剤、消泡剤、漂白剤、充填剤、及び界面活性剤の湿潤剤など)とが合わせられる。溶液を約71℃〜約93℃の温度範囲に保ち、高温の溶液を滑らかな表面に塗ることによりキャスティングし、水分を乾燥除去して、約60〜90μmの範囲(典型的には76μm)の厚さ、及びKarl Fischer滴定により測定するときに約4〜約10重量%の残留水分含量を有するフィルムを作製する。
【表4】
【0115】
II.組成物
以下の組成物A〜Qは、本開示のパウチの1つ以上の区画に使用される。
【0116】
組成物A〜Gは、表V及びVIに示される成分を混合することにより調製される液体洗濯洗剤である。
【表5】
また、好ましいLASは、直鎖構造中に約9〜約15個の炭素原子を含むアルキル基を含む。
【表6】
【0117】
組成物Hは、表VIIの成分を混合することにより調製される漂白添加剤である。
【表7】
テトラアセチルエチレンジアミン。
【0118】
組成物I〜Nは、表VIIIに示される成分を混合することにより調製される粒状洗濯洗剤である。
【表8】
ランダムグラフトコポリマーは、ポリエチレンオキシド主鎖と複数のポリビニルアセテート側鎖とを有する、ポリビニルアセテートグラフト化ポリエチレンオキシドコポリマーである。ポリエチレンオキシド主鎖の分子量は約6000であり、ポリエチレンオキシドとポリビニルアセテートとの重量比は約40:60であり、50個のエチレンオキシド単位当たりのグラフト点は1以下である。
【0119】
組成物O〜Tは、表IX及び表Xに示される成分を混合し、液体及び固体組成物を別々の区画に封入することにより調製される、液体の単区画用(Q、R、S、及びT)並びに液体及び固体の多区画用(O、P)布地柔軟剤である。
【表9】
【表10】
ジ(アシルオキシメチル)(2−ヒドロキシエチル)メチルアンモニウムメチルサルフェート(アシル基は部分水素添加キャノーラ脂肪酸から誘導される)。
部分水素添加キャノーラ脂肪酸。
2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール。
PEG 6コカミド−ココナツ脂肪酸のポリエチレングリコールアミド。
ヒドロキシエタンジホスホン酸のナトリウム塩。
供給元により柔軟活性物質に含まれる物質。
【0120】
III.パウチ
単区画パウチは、表IVに記載のフィルムの1つ以上と組成物A〜Nの1つ以上とを使用して製造される。パウチの製造方法は、上記の方法の項に記載されている。
【0121】
多区画パウチは、表IVに記載のフィルムの1つ以上を使用して製造される。パウチの製造方法は、上記の方法の項に記載されている。以下の実施例「パウチA」は、それぞれ以下の表XIに記載の組成物1〜3の1つを個々に封入する、3つの異なる区画を有する。
【表11】
【0122】
以下の代表的なパウチB、C、及びDは、多区画パウチである。各パウチは、表IVに記載のフィルムの1つ以上を使用して製造される。パウチの製造方法は、上記の方法の項に記載されている。各パウチB、C、及びDは、それぞれ以下の表XIIに記載の液体洗剤組成物1〜3の1つを個々に封入する、3つの異なる区画を有する。
【表12】
米国特許第7169744号に記載のもののような硫酸モノ−[2−(3,4−ジヒドロ−イソキノリン−2−イル)−1−(2−エチル−ヘキシルオキシメチル)−エチル]エステル。
PAP=フタロイル−アミノ−ペルオキシカプロン酸、70%活性湿潤ケーキとして。
−NH1個あたり20個のエトキシル基を有するポリエチレンイミン(MW=600)。
エトキシ化チオフェン、EO(R+R)=5。
RA=予備アルカリ度(例えば、>5gNaOH等量/100g投与量)。
【0123】
以下の実施例は、表XIIIからの液体組成物(XL)と、それに対応する表XIVからの粉末組成物(XP)とを含む、2区画パウチである。各パウチは、表IVに記載のフィルムの1つ以上を使用して製造される。パウチの製造方法は、上記の方法の項に記載されている。
【表13】
1.直鎖C11〜13アルキルベンゼンスルホン酸。
2.(ビス(CO)(CO))(CH)−N−C2x−N−(CH)−ビス((CO)(CO))、式中、n=15〜30、及びx=3〜8。
3.ランダムグラフトコポリマーは、ポリエチレンオキシド主鎖と複数のポリビニルアセテート側鎖とを有する、ポリビニルアセテートグラフト化ポリエチレンオキシドコポリマーである。ポリエチレンオキシド主鎖の分子量は約6000であり、ポリエチレンオキシドとポリビニルアセテートとの重量比は約40:60であり、50個のエチレンオキシド単位当たりのグラフト点は1以下である。
【表14】
【0124】
データ
本開示によるフィルム(10試料/フィルム)及び市販のフィルムについて、データを収集する。各フィルムを新品フィルムとして及び経年変化フィルムとして試験する。データを使用し、以下の式(1)及び(2)を用いて指数を算出する。
(1)−溶解指数=7×(経年変化品溶出時間)+(経年変化品破裂強度)
(2)−応力指数=(100%伸長時の応力)×(最大引張り強度)
データを表XVに記載する。
【0125】
【表15】
1.M8630は、MONOSOL.LLC,Merrillville,IN(USA)から入手可能なPVOHコポリマーフィルムである。
2.M8900は、MONOSOL.LLC,Merrillville,IN(USA)から入手可能なPVOHコポリマーフィルムである。
3.試料Aは、23cPの公称粘度及び88の公称加水分解度を有するPVOHポリマーを、PVOH樹脂含量の100%として含む、PVOHコポリマーフィルムである。
4.試料Bは、15cPの公称粘度及び79の公称加水分解度を有するPVOHポリマー1重量部に対して、26cPの公称粘度及び88の公称加水分解度を有するPVOHポリマーを2重量部の割合で含み、この3部がフィルム中のPVOH樹脂含量の100%を形成する、PVOHコポリマーフィルムである。
【0126】
相互参照される又は関連するあらゆる特許又は出願書類を含め、本明細書において引用される全ての文献は、明示的に除外ないしは制限されない限り、その全体を参考として本明細書に組み込まれる。いかなる文献の引用も、それが本明細書において開示され請求されるいずれかの発明に関する先行技術であること、又はそれが単独で若しくは他のいかなる参照とのいかなる組み合わせにおいても、このような発明を教示する、提案する、又は開示することを認めるものではない。更に、本書における用語のいずれかの意味又は定義が、参照により組み込まれた文献における用語のいずれかの意味又は定義と相反する範囲では、本書においてその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0127】
本開示の態様:
本開示の第1の態様は、任意の好適な厚さを有する水溶性フィルムであり、水溶性フィルムは、合計で少なくとも50重量%の樹脂形態のPVOHポリマーを含み、フィルムが約76マイクロメートルの厚さを有する場合に、そのフィルムが(a)約620〜約920、又は約665〜約920、又は約710〜約920の溶解指数、及び(b)約145〜約626、又は約155〜約480、又は約165〜約325の応力指数によって特徴付けられるように、水溶性ポリビニルアルコール(PVOH)樹脂を含み、
その樹脂は、20℃における4重量%水溶液として、少なくとも約13.5cP、14cP、15cP、16cP、又は17cP、多くとも約20cP、19cP、18cP、17.5cP、例えば、約13.5cP〜約20cP、又は約14cP〜約19cP、又は約16cP〜約18cP、又は約17cP〜約17.5cPの範囲の粘度平均値と、
少なくとも84%又は85%、多くとも約92%、90%、89%、88%、又は87%、例えば、約84%〜約90%、又は85%〜88%の範囲、又は86.5%の加水分解度とを有し、
その樹脂は更に、約11cP未満の平均粘度及び約1.8〜約2.3の範囲の多分散指数を有するPVOHポリマーを30重量%以下で有する。
【0128】
第1の態様の任意の一実施形態では、樹脂は少なくとも2つのPVOHポリマーを含むことができ、
第1のPVOHポリマーは、少なくとも約8cP、10cP、12cP、又は13cP、多くとも約40cP、20cP、15cP、又は13cP、例えば、約8cP〜約40cP、又は約10cP〜約20cP、又は約10cP〜約15cP、又は約12cP〜約14cPの範囲、又は13cPの粘度を有し、
第2のPVOHポリマーは、少なくとも約10cP、20cP、又は22cP、多くとも約40cP、30cP、25cP、又は24cP、例えば、約10cP〜約40cP、又は20〜約30cP、又は約20〜約25cP、又は約22〜約24cPの範囲、又は約23cPの粘度を有し、
第1のPVOHポリマーの粘度は、第2のPVOHポリマーの粘度より小さい。
【0129】
第1の態様の任意の一実施形態では、樹脂は、約1〜約5の範囲の多分散指数(PDI)値を有する第1のPVOHポリマーと、約1〜約5の範囲のPDI値を有する第2のPVOHポリマーとを含むことができ、各PVOHポリマーは、約1.5〜約3、又は約1.7〜約2.2の範囲のPDI値を有することができる。
【0130】
第1の態様の任意の一実施形態では、樹脂は、約10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90重量%の第1のPVOHポリマー、及び約10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90重量%の第2のPVOHポリマー、例えば、約30〜約85重量%の第1のPVOHポリマー、又は約45〜約55重量%の第1のPVOHポリマーを含むことができる。
【0131】
第1の態様の任意の一実施形態では、全PVOH樹脂は、約2、2.2、2.4、2.6、2.8、3.0、3.2、3.4、3.6、3.8、4.0、4.2、4.4、4.6、4.8、又は5.0より大きいPDI値を有することができ、例えば、全樹脂のPDI値は、樹脂に含まれる任意の個々のPVOHポリマーのPDI値より大きくてもよい。
【0132】
第1の態様の任意の一実施形態では、第1のPVOHポリマーは、約50,000〜約300,000ダルトン、又は約60,000〜約150,000ダルトンの範囲の重量平均分子量
【数14】
を有することができ、第2のPVOHポリマーは、約60,000〜約300,000ダルトン、又は約80,000〜約250,000ダルトンの範囲の
【数15】
を有することができ、所望により第2のPVOHポリマーは、第1のPVOHポリマーより大きい
【数16】
を有することができ、更に所望により樹脂は、約70,000ダルトン未満の
【数17】
を有するPVOHポリマーを約30重量%以下で有することができる。
【0133】
第1の態様の任意の一実施形態では、フィルムは更に可塑剤を含むことができる。
【0134】
第1の態様の任意の一実施形態では、フィルムは、少なくとも4重量%、例えば、約4〜約10重量%の範囲の残留水分含量を有することができる。
【0135】
第1の態様の任意の一実施形態では、フィルムが約20秒(s)を超える、好ましくは30sを超える、更に好ましくは40sを超える破裂強度試験値によって特徴付けられることができる。
【0136】
第1の態様の任意の一実施形態では、フィルムは、多くとも約4.5、4.0、3.5、3.0、2.9、又は2.8、好ましくは多くとも約2.7、2.6、2.5、2.4、2.3、2.2、2.1、又は2.0である洗浄残留値(wash-residue value)によって特徴付けられることができる。
【0137】
第1の態様の任意の一実施形態では、フィルムは熱成形可能であってもよい。
【0138】
第1の態様の任意の一実施形態では、樹脂選択指数値は、0.255〜0.315、又は0.260〜0.310、又は0.265〜0.305、又は0.270〜0.300、又は0.275〜0.295、好ましくは0.270〜0.300の範囲であってもよい。
【0139】
本開示の第2の態様は、任意の好適な厚さを有する水溶性フィルムであり、水溶性フィルムは、フィルムが約76マイクロメートルの厚さを有する場合に、そのフィルムが(a)約620〜約920、又は約665〜約920、又は約710〜約920の溶解指数、及び(b)約145〜約626、又は約155〜約480、又は約165〜約325の応力指数によって特徴付けられように、約4〜約10重量%の水分と、合計で少なくとも50重量%の樹脂形態のPVOHポリマーとを含み、
その樹脂は、第1及び第2のPVOHポリマーの配合物を更に含み、
第1のPVOHポリマーは、少なくとも8cP又は10cP、多くとも40cP、20cP、又は15cP、例えば、約8cP〜約40cP、又は約10cP〜約20cP、又は約10cP〜約15cPの範囲の粘度を有し、
第2のPVOHポリマーは、少なくとも10cP又は20cP、多くとも40cP、30cP、又は25cP、例えば、約10cP〜約40cP、又は約20cP〜約30cP、又は約20cP〜約25cPの範囲の粘度を有し、
第1のPVOHポリマーの粘度は、第2のPVOHポリマーの粘度より小さく、
かつその樹脂は、約11cP未満の平均粘度及び約1.8〜約2.3の範囲の多分散指数を有するPVOHポリマーを30重量%以下で有する。
【0140】
第2の態様の任意の一実施形態では、樹脂は、所望により約13.5cP〜約20cPの範囲の粘度平均値を有することができ、更に所望により少なくとも84%又は85%、多くとも約92%、90%、89%、88%、又は87%、例えば、約84%〜約90%、又は85%〜88%の範囲、又は86.5%の加水分解度を有することができる。
【0141】
第2の態様の任意の一実施形態では、樹脂は、約1〜約5の範囲の多分散指数(PDI)値を有する第1のPVOHポリマーと、約1〜約5の範囲のPDI値を有する第2のPVOHポリマーとを含むことができ、各PVOHポリマーは、約1.5〜約3、又は約1.7〜約2.2の範囲のPDI値を有することができる。
【0142】
第2の態様の任意の一実施形態では、樹脂は、約10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90重量%の第1のPVOHポリマー、及び約10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90重量%の第2のPVOHポリマー、例えば、約30重量%〜約85重量%、又は約45重量%〜約55重量%の第1のPVOHポリマーを含むことができる。
【0143】
第2の態様の任意の一実施形態では、全PVOH樹脂は、約2、2.2、2.4、2.6、2.8、3.0、3.2、3.4、3.6、3.8、4.0、4.2、4.4、4.6、4.8、又は5.0より大きいPDI値を有することができ、例えば、全樹脂のPDI値は、樹脂に含まれる任意の個々のPVOHポリマーのPDI値より大きくてもよい。
【0144】
第2の態様の任意の一実施形態では、第1のPVOHポリマーは、約50,000〜約300,000ダルトン、又は約60,000〜約150,000ダルトンの範囲の重量平均分子量
【数18】
を有することができ、第2のPVOHポリマーは、約60,000〜約300,000ダルトン、又は約80,000〜約250,000ダルトンの範囲の
【数19】
を有することができ、第2のポリオールポリマーは、第1のポリオールポリマーより大きい
【数20】
を有し、所望により、樹脂は、約70,000ダルトン未満の
【数21】
を有するPVOHポリマーを約30重量%以下で有する。
【0145】
第2の態様の任意の一実施形態では、フィルムは約20秒(s)を超える、好ましくは30sを超える、更に好ましくは40sを超える破裂強度試験値によって特徴付けられることができる。
【0146】
第2の態様の任意の一実施形態では、フィルムは、多くとも約4.5、4.0、3.5、3.0、2.9、又は2.8、好ましくは多くとも約2.7、2.6、2.5、2.4、2.3、2.2、2.1、又は2.0である洗浄残留値によって特徴付けられることができる。
【0147】
第2の態様の任意の一実施形態では、フィルムは更に可塑剤を含むことができる。
【0148】
第2の態様の任意の一実施形態では、フィルムは熱成形可能であってもよい。
【0149】
第2の態様の任意の一実施形態では、樹脂選択指数値は、0.255〜0.315、又は0.260〜0.310、又は0.265〜0.305、又は0.270〜0.300、又は0.275〜0.295、好ましくは0.270〜0.300の範囲であってもよい。
【0150】
本開示の第3の態様は、水溶性フィルムは、任意の好適な厚さを有し、かつフィルムが約76マイクロメートルの厚さを有する場合に、そのフィルムが(a)約620〜約920、又は約665〜約920、又は約710〜約920の溶解指数、及び(b)約145〜約626、又は約155〜約480、又は約165〜約325の応力指数によって特徴付けられるように、約4〜約10重量%の水分と、合計で少なくとも50重量%の樹脂形態のPVOHポリマーと、所望により可塑剤とを含む、水溶性フィルムであり、
樹脂は、約50,000〜約300,000ダルトンの範囲の
【数22】
と、
約84%〜約90%、又は約85%〜約88%の範囲の加水分解度とを更に有し、
樹脂は更に、約70,000ダルトン未満の
【数23】
を有するPVOHポリマーを約30重量%以下で有する。
【0151】
第3の態様の任意の一実施形態では、樹脂は、所望により約13.5cP〜約20cPの範囲の粘度平均値を有することができ、更に所望により、樹脂は、約11cP未満の平均粘度及び約1.8〜約2.3の範囲の多分散指数を有するPVOHポリマーを30重量%以下で有することができる。
【0152】
第3の態様の任意の一実施形態では、樹脂は少なくとも2つのPVOHポリマーを含むことができ、
第1のPVOHポリマーは、少なくとも約8cP、10cP、12cP、又は13cP、多くとも約40cP、20cP、15cP、又は13cP、例えば、約8cP〜約40cP、又は約10cP〜約20cP、又は約10cP〜約15cP、又は約12cP〜約14cPの範囲、又は13cPの粘度を有し、
第2のPVOHポリマーは、少なくとも約10cP、20cP、又は22cP、多くとも約40cP、30cP、25cP、又は24cP、例えば、約10cP〜約40cP、又は20〜約30cP、又は約20〜約25cP、又は約22〜約24cPの範囲、又は約23cPの粘度を有し、
第1のPVOHポリマーの粘度は、第2のPVOHポリマーの粘度より小さい。
【0153】
第3の態様の任意の一実施形態では、樹脂は、約1〜約5の範囲の多分散指数(PDI)値を有する第1のPVOHポリマーと、約1〜約5の範囲のPDI値を有する第2のPVOHポリマーとを含むことができ、各PVOHポリマーは、約1.5〜約3、又は約1.7〜約2.2の範囲のPDI値を有することができる。
【0154】
第3の態様の任意の一実施形態では、樹脂は、約10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90重量%の第1のPVOHポリマー、及び約10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90重量%の第2のPVOHポリマー、例えば、約30〜約85重量%の第1のPVOHポリマー、又は約45〜約55重量%の第1のPVOHポリマーを含むことができる。
【0155】
第3の態様の任意の一実施形態では、全PVOH樹脂は、約2、2.2、2.4、2.6、2.8、3.0、3.2、3.4、3.6、3.8、4.0、4.2、4.4、4.6、4.8、又は5.0より大きいPDI値を有することができ、例えば、全樹脂のPDI値は、樹脂に含まれる任意の個々のPVOHポリマーのPDI値より大きくてもよい。
【0156】
第3の態様の任意の一実施形態では、フィルムは約20秒(s)を超える、好ましくは30sを超える、更に好ましくは40sを超える破裂強度試験値によって特徴付けられることができる。
【0157】
第3の態様の任意の一実施形態では、フィルムは、多くとも約4.5、4.0、3.5、3.0、2.9、又は2.8、好ましくは多くとも約2.7、2.6、2.5、2.4、2.3、2.2、2.1、又は2.0である洗浄残留値によって特徴付けられることができる。
【0158】
第3の態様の任意の一実施形態では、フィルムは熱成形可能であってもよい。
【0159】
第3の態様の任意の一実施形態では、樹脂選択指数値は、0.255〜0.315、又は0.260〜0.310、又は0.265〜0.305、又は0.270〜0.300、又は0.275〜0.295、好ましくは0.270〜0.300の範囲であってもよい。
【0160】
本開示の第4の態様は、任意の好適な厚さを有する水溶性フィルムであり、その水溶性フィルムは、フィルムが約76マイクロメートルの厚さを有する場合に、フィルムが(a)約620〜約920、又は約665〜約920、又は約710〜約920の溶解指数、及び(b)約145〜約626、又は約155〜約480、又は約165〜約325の応力指数によって特徴付けられるように、0.270〜0.300の樹脂選択指数値を有する樹脂形態のPVOHポリマーを合計で少なくとも50重量%含む。
【0161】
第4の態様の任意の一実施形態では、樹脂は、所望により約13.5cP〜約20cPの範囲の粘度平均値を有することができ、更に所望により少なくとも84%又は85%、多くとも約92%、90%、89%、88%、又は87%、例えば、約84%〜約90%、又は85%〜88%の範囲、又は86.5%の加水分解度を有することができる。
【0162】
第4の態様の任意の一実施形態では、樹脂は少なくとも2つのPVOHポリマーを含むことができ、
第1のPVOHポリマーは、少なくとも約8cP、10cP、12cP、又は13cP、多くとも約40cP、20cP、15cP、又は13cP、例えば、約8cP〜約40cP、又は約10cP〜約20cP、又は約10cP〜約15cP、又は約12cP〜約14cPの範囲、又は13cPの粘度を有し、
第2のPVOHポリマーは、少なくとも約10cP、20cP、又は22cP、多くとも約40cP、30cP、25cP、又は24cP、例えば、約10cP〜約40cP、又は20〜約30cP、又は約20〜約25cP、又は約22〜約24cPの範囲、又は約23cPの粘度を有し、
第1のPVOHポリマーの粘度は、第2のPVOHポリマーの粘度より小さい。
【0163】
第4の態様の任意の一実施形態では、樹脂は、約1〜約5の範囲の多分散指数(PDI)値を有する第1のPVOHポリマーと、約1〜約5の範囲のPDI値を有する第2のPVOHポリマーとを含むことができ、各PVOHポリマーは、約1.5〜約3、又は約1.7〜約2.2の範囲のPDI値を有することができる。
【0164】
第4の態様の任意の一実施形態では、樹脂は、約10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90重量%の第1のPVOHポリマー、及び約10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90重量%の第2のPVOHポリマー、例えば、約30〜約85重量%の第1のPVOHポリマー、又は約45〜約55重量%の第1のPVOHポリマーを含むことができる。
【0165】
第4の態様の任意の一実施形態では、全PVOH樹脂は、約2、2.2、2.4、2.6、2.8、3.0、3.2、3.4、3.6、3.8、4.0、4.2、4.4、4.6、4.8、又は5.0より大きいPDI値を有することができ、例えば、全樹脂のPDI値は、樹脂に含まれる任意の個々のPVOHポリマーのPDI値より大きくてもよい。
【0166】
第4の態様の任意の一実施形態では、第1のPVOHポリマーは、約50,000〜約300,000ダルトン、又は約60,000〜約150,000ダルトンの範囲の重量平均分子量
【数24】
を有することができ、第2のPVOHポリマーは、約60,000〜約300,000ダルトン、又は約80,000〜約250,000ダルトンの範囲の
【数25】
を有することができ、第2のポリオールポリマーは、第1のポリオールポリマーより大きい
【数26】
を有し、所望により、樹脂は、約70,000ダルトン未満の
【数27】
を有するPVOHポリマーを約30重量%以下で有する。
【0167】
第4の態様の任意の一実施形態では、フィルムは更に可塑剤を含むことができる。
【0168】
第4の態様の任意の一実施形態では、フィルムは、約4〜約10重量%の残留水分含量を有することができる。
【0169】
第4の態様の任意の一実施形態では、フィルムは約20秒(s)を超える、好ましくは30sを超える、更に好ましくは40sを超える破裂強度試験値によって特徴付けられることができる。
【0170】
第4の態様の任意の一実施形態では、フィルムは、多くとも約4.5、4.0、3.5、3.0、2.9、又は2.8、好ましくは多くとも約2.7、2.6、2.5、2.4、2.3、2.2、2.1、又は2.0である洗浄残留値によって特徴付けられることができる。
【0171】
第4の態様の任意の一実施形態では、フィルムは熱成形可能であってもよい。
【0172】
本開示の第5の態様は、任意の好適な厚さを有する水溶性フィルムの製造方法であり、その水溶性フィルムは、フィルムが約76マイクロメートルの厚さを有する場合に、フィルムが(a)約620〜約920、又は約665〜約920、又は約710〜約920の溶解指数、及び(b)約145〜約626、又は約155〜約480、又は約165〜約325の応力指数によって特徴付けられるように、約4〜約10重量%の水分と、合計で少なくとも50重量%の樹脂形態のPVOHポリマーと、所望により可塑剤とを含み、
その方法は、約13.5cP〜約20cPの範囲の粘度平均値と、少なくとも84%又は85%、多くとも約92%、90%、89%、88%、又は87%、例えば、約84%〜約90%、又は85%〜88%の範囲、又は86.5%の加水分解度とを有するPVOH樹脂からフィルムを成形する工程を含み、更に樹脂は、約11cP未満の平均粘度と約1.8〜約2.3の範囲の多分散指数とを有するPVOHポリマーを30重量%以下で有する。
【0173】
第5の態様の任意の一実施形態では、樹脂は少なくとも2つのPVOHポリマーを含むことができ、
第1のPVOHポリマーは、少なくとも約8cP、10cP、12cP、又は13cP、多くとも約40cP、20cP、15cP、又は13cP、例えば、約8cP〜約40cP、又は約10cP〜約20cP、又は約10cP〜約15cP、又は約12cP〜約14cPの範囲、又は13cPの粘度を有し、
第2のPVOHポリマーは、少なくとも約10cP、20cP、又は22cP、多くとも約40cP、30cP、25cP、又は24cP、例えば、約10cP〜約40cP、又は20〜約30cP、又は約20〜約25cP、又は約22〜約24cPの範囲、又は約23cPの粘度を有し、
第1のPVOHポリマーの粘度は、第2のPVOHポリマーの粘度より小さい。
【0174】
第5の態様の任意の一実施形態では、方法は、第1のPVOHポリマー及び第2のPVOHポリマーを混合し、同時キャスティングし、又は溶着して、PVOH樹脂を形成する工程を含むことができる。
【0175】
第5の態様の任意の一実施形態では、樹脂は、約1〜約5の範囲の多分散指数(PDI)値を有する第1のPVOHポリマーと、約1〜約5の範囲のPDI値を有する第2のPVOHポリマーとを含むことができ、各PVOHポリマーは、約1.5〜約3、又は約1.7〜約2.2の範囲のPDI値を有することができる。
【0176】
第5の態様の任意の一実施形態では、樹脂は、約10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90重量%の第1のPVOHポリマー、及び約10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90重量%の第2のPVOHポリマー、例えば、約30〜約85重量%の第1のPVOHポリマー、又は約45〜約55重量%の第1のPVOHポリマーを含むことができる。
【0177】
第5の態様の任意の一実施形態では、全PVOH樹脂は、約2、2.2、2.4、2.6、2.8、3.0、3.2、3.4、3.6、3.8、4.0、4.2、4.4、4.6、4.8、又は5.0より大きいPDI値を有することができ、例えば、全樹脂のPDI値は、樹脂に含まれる任意の個々のPVOHポリマーのPDI値より大きくてもよい。
【0178】
第5の態様の任意の一実施形態では、第1のPVOHポリマーは、約50,000〜約300,000ダルトン、又は約60,000〜約150,000ダルトンの範囲の重量平均分子量
【数28】
を有することができ、第2のPVOHポリマーは、約60,000〜約300,000ダルトン、又は約80,000〜約250,000ダルトンの範囲の
【数29】
を有することができ、第2のポリオールポリマーは、第1のポリオールポリマーより大きい
【数30】
を有し、所望により、樹脂は、約70,000ダルトン未満の
【数31】
を有するPVOHポリマーを約30重量%以下で有する。
【0179】
第5の態様の任意の一実施形態では、フィルムは約20秒(s)を超える、好ましくは30sを超える、更に好ましくは40sを超える破裂強度試験値によって特徴付けられることができる。
【0180】
第5の態様の任意の一実施形態では、フィルムは、多くとも約4.5、4.0、3.5、3.0、2.9、又は2.8、好ましくは多くとも約2.7、2.6、2.5、2.4、2.3、2.2、2.1、又は2.0である洗浄残留値によって特徴付けられることができる。
【0181】
第5の態様の任意の一実施形態では、フィルムは熱成形可能であってもよい。
【0182】
第5の態様の任意の一実施形態では、樹脂選択指数値は、0.255〜0.315、又は0.260〜0.310、又は0.265〜0.305、又は0.270〜0.300、又は0.275〜0.295、好ましくは0.270〜0.300の範囲であってもよい。
【0183】
本開示の第6の態様は、本明細書に記載されるようなPVOHフィルムを含む、封止可能なパウチ又は包みである。
【0184】
第6の態様の任意の一実施形態では、PVOHフィルムは、パウチ又は包みの外壁として配置される。
【0185】
第6の態様の任意の一実施形態では、パウチ又は包みは、所望によりパウチ又は包み全体の外壁に本開示によるPVOHフィルムを含む、更に所望により少なくとも1つの内壁にも本開示によるPVOHフィルムを含む、単区画又は多区画を含むことができる。パウチ又は包みの1つ以上の外壁を形成するPVOHフィルムは、多区画パウチ又は包みの1つ以上の内壁を形成するフィルムと同じであっても、又は異なっていてもよいが、所望によっては同じである。
【0186】
第6の態様の任意の一実施形態では、樹脂選択指数値が、0.255〜0.315、又は0.260〜0.310、又は0.265〜0.305、又は0.270〜0.300、又は0.275〜0.295、好ましくは0.270〜0.300の範囲であってもよい。
【0187】
本開示の第7の態様は、任意の好適な厚さを有する水溶性フィルムであり、水溶性フィルムは、そのフィルムが約76マイクロメートルの厚さを有する場合に、フィルムが(a)約620〜約920、又は約665〜約920、又は約710〜約920の溶解指数、及び(b)約145〜約626、又は約155〜約480、又は約165〜約325の応力指数によって特徴付けられるように、少なくとも50重量%のPVOH樹脂を含む。
【0188】
本開示の第8の態様は、本明細書(例えば、第1〜第7の態様のいずれか1つ以上)に記載されるようなPVOHフィルムを含むパウチである。パウチは、第1の組成物を収容する少なくとも1つの密封区画を含み、少なくとも1つの密封区画の少なくとも1つの壁は、任意の好適な厚さを有する、本明細書に記載されるようなPVOHフィルムから形成される。
【0189】
本開示の第8の態様によるいくつかの実施形態では、パウチの少なくとも1つの壁がパウチの外壁として配置されている;少なくとも1つの壁が第1の組成物と接触している;第1の組成物が液体、固体、及びこれらの混合物からなる群から選択される;及び/又は第1の組成物が重量パーセントで約1%〜約65%の全アニオン性界面活性剤を含む;の1つ以上が該当することがある。
【0190】
本開示の第8の態様によるいくつかの実施形態では、パウチは、第2の組成物を収容する第2の密封区画を更に含み、第2の密封区画は、第2の密封区画及び第1の密封区画がパウチ内部の仕切り壁を共有するように、第1の密封区画と一般に重ねて置かれた関係にある。第2の組成物は、液体、固体、及びこれらの混合物から選択される。
【0191】
本開示の第8の態様によるいくつかの実施形態では、パウチは、第3の組成物を収容する第3の密封区画を更に含み、第3の密封区画は、第3の密封区画及び第1の密封区画がパウチ内部の仕切り壁を共有するように、第1の密封区画と一般に重ねて置かれた関係にある。パウチの第3の組成物は、液体、固体、及びこれらの混合物から選択される。
【0192】
第8の態様によるいくつかの実施形態では、第1の組成物及び第2の組成物は、液体、液体の組み合わせ;液体、粉末の組み合わせ;粉末、粉末の組み合わせ;及び粉末、液体の組み合わせ;の1つから選択される。
【0193】
第8の態様によるいくつかの実施形態では、第1、第2、及び第3の組成物は、固体、液体、液体の組み合わせ、及び液体、液体、液体の組み合わせの1つから選択される。
【0194】
本開示の第9の態様は、少なくとも第1の組成物を収容する第1の密封区画と第2の組成物を収容する第2の密封区画とを含む多区画パウチであり、第2の密封区画は、第2の密封区画及び第1の密封区画がパウチ内部の仕切り壁を共有するように、第1の密封区画と一般に重ねて置かれた関係にあり;かつそれぞれの第1及び第2の密封区画の少なくとも1つの壁は、本明細書(例えば、第1〜第7の態様のいずれか1つ以上)に記載されるようなPVOHフィルムから形成される。
【0195】
第9の態様によるいくつかの実施形態では、第1の組成物及び第2の組成物は、液体、液体の組み合わせ体;液体、粉末の組み合わせ;粉末、粉末の組み合わせ;及び粉末、液体の組み合わせ;の中の1つから選択される。
【0196】
本開示の第8、第9、又は第10の態様のいずれかでは、組成物は、液体軽質及び液体重質液体洗剤組成物、粉末洗剤組成物、手洗い及び/又は機械洗い用食器洗剤、硬質表面洗浄組成物、布地柔軟剤、洗濯に一般的に使用される洗剤ゲル、漂白剤及び洗濯添加剤、シャンプー、並びにボディソープの群から選択される。
【0197】
本開示の特定の実施形態について説明し記載したが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正が可能であることは当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのような全ての変更及び修正を添付の「特許請求の範囲」で扱うものとする。
図1
図2
図3