特許第5871822号(P5871822)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5871822組織欠損を補正するためのインプラントおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5871822
(24)【登録日】2016年1月22日
(45)【発行日】2016年3月1日
(54)【発明の名称】組織欠損を補正するためのインプラントおよび方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/28 20060101AFI20160216BHJP
【FI】
   A61F2/28
【請求項の数】22
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2012-557007(P2012-557007)
(86)(22)【出願日】2011年3月10日
(65)【公表番号】特表2013-521859(P2013-521859A)
(43)【公表日】2013年6月13日
(86)【国際出願番号】SE2011050264
(87)【国際公開番号】WO2011112145
(87)【国際公開日】20110915
【審査請求日】2014年3月5日
(31)【優先権主張番号】1000223-6
(32)【優先日】2010年3月10日
(33)【優先権主張国】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】514045669
【氏名又は名称】オスディーサイン アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】100102668
【弁理士】
【氏名又は名称】佐伯 憲生
(74)【代理人】
【識別番号】100147289
【弁理士】
【氏名又は名称】佐伯 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100182486
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 正展
(74)【代理人】
【識別番号】100189131
【弁理士】
【氏名又は名称】佐伯 拓郎
(74)【代理人】
【識別番号】100158872
【弁理士】
【氏名又は名称】牛山 直子
(72)【発明者】
【氏名】エングクビスト ホーカン
(72)【発明者】
【氏名】エングストランド トマス
(72)【発明者】
【氏名】オーバリ ヨナス
(72)【発明者】
【氏名】ボーリン ヤーン
【審査官】 石田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】 特表2007−526005(JP,A)
【文献】 米国特許第05766176(US,A)
【文献】 特表2009−533177(JP,A)
【文献】 特表2009−538686(JP,A)
【文献】 実開平02−143945(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤを含むアンカー配列によって連接された、厚さ(d)の複数の個別の生体適合性の成形されたセメントのモザイクプレートを含むインプラントであって、該モザイクプレートが、ワイヤの交点で成形され、ワヤが、モザイクプレートの側面から伸び、かつ、ワイヤが該モザイクプレートを相互に関連して維持し、隣接するモザイクプレートが、幅(t)の間隙によって隔てられているインプラント。
【請求項2】
少なくとも2つの隣接するモザイクプレートが、厚さ(d)よりも薄い厚さ(s)を有するスキンによって一つに結び付けられている請求項1に記載のインプラント。
【請求項3】
各々のモザイクプレートが、2〜20ミリメートルの間である最大幅(w)を有する請求項1または2に記載のインプラント。
【請求項4】
各々のモザイクプレートが、3〜15mmの間である最大幅(w)を有する請求項1または2に記載のインプラント。
【請求項5】
各々のモザイクプレートが、4〜10mmの間である最大幅(w)を有する請求項1または2に記載のインプラント。
【請求項6】
厚さ(d)が、最大幅(w)の10%〜150%の間である請求項1乃至5のいずれか1項に記載のインプラント。
【請求項7】
厚さ(d)が、最大幅(w)の20%〜130%の間である請求項1乃至5のいずれか1項に記載のインプラント。
【請求項8】
厚さ(d)が、最大幅(w)の50%〜130%の間である請求項1乃至5のいずれか1項に記載のインプラント。
【請求項9】
各々のモザイクプレートが、モネタイトを形成するリン酸カルシウム粉末組成物、および非水性水混和性液から形成される請求項1乃至8のいずれか1項に記載のインプラント。
【請求項10】
各々のモザイクプレートが、β−リン酸三カルシウム、リン酸一カルシウム一水和物及びグリセロールを含む酸性セメント組成物から形成され、かつ、モネタイトを含む請求項1乃至8のいずれか1項に記載のインプラント。
【請求項11】
各々のモザイクプレートが、2〜20mmの間の最大幅(w)と、厚さ(d)が最大幅(w)の50%〜130%の間である請求項1記載のインプラント。
【請求項12】
各々のモザイクプレートが、上部表面と底部表面を有し、上部表面と底部表面の少なくとも一つが露出している請求項1記載のインプラント。
【請求項13】
請求項1記載のインプラントであって、(i)各々のモザイクプレートが、生体適合性の六角形に成形されたセメントのモザイクプレートであり、(ii)各々のモザイクプレートが、モネタイトを含み、(iii)各々のモザイクプレートの最大幅(w)が4〜10mmであり、各々のモザイクプレートの厚さ(d)が最大幅(w)の50〜130%であり、かつ(iv)幅(t)が、3mm未満であるインプラント。
【請求項14】
アンカー配列の交差ワイヤが、一部またはすべてのその交点で連結される請求項1乃至13のいずれか1項に記載のインプラント。
【請求項15】
アンカー配列の交差ワイヤのどれもが連結されない請求項1乃至13のいずれか1項に記載のインプラント。
【請求項16】
セメント組成物をワイヤの周囲に成形し、その後、前記セメント組成物を硬化させる段階を含む、請求項1乃至15のいずれか1項に記載のインプラントを形成する方法。
【請求項17】
a)その各々がモザイクプレートの形状を有する、該モザイクプレートの厚さ(d)と等しい同じ深さの複数のキャビティを備えた型を準備する段階であって、各々のキャビティが、閉じることのできる底部を有し、反対側の開口端部が開いていてキャビティの充填を可能にし、隣接するキャビティ間の各々の壁は、少なくとも1つの、幅(ww)の細いワイヤ保持チャネルによって貫通されている、段階と、
b)各々のワイヤ保持チャネルにワイヤを設置する段階と、
c)前記型にセメント組成物を充填する段階と、
d)前記セメント組成物を硬化させる段階と、
を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
i)その各々がモザイクプレートの形状を有する、深さ(d1)の複数のキャビティを備えた第1の型半体を準備する段階であって、各々のキャビティが、閉じることのできる底部を有し、反対側の開口端部が開いていてキャビティの充填を可能にしている、段階と、
ii)前記第1の型半体に過剰量のセメント組成物を充填する段階と、
iii)ワイヤを前記キャビティの開口端部の上に設置する段階と、
iv)前記第1の型半体の鏡像のように配置された、深さ(d2)のキャビティを有する第2の型半体を、前記ワイヤの上に設置し、それを前記第1の型半体の方向に圧縮する段階と、
v)前記セメント組成物を硬化させる段階と、
を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記セメント組成物を硬化させる段階が、濡れた環境で行われる、請求項16乃至18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記セメント組成物を硬化させる段階が、湿った環境で行われる、請求項16乃至18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記セメント組成物が、非水性水硬セメント組成物である、請求項16乃至20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記非水性水硬セメント組成物が、モネタイトを形成するリン酸カルシウム粉末組成物、および非水性水混和性液から形成される請求項21に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モザイクインプラント、かかるインプラントを作成するための方法および組織欠損の補正のための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
組織再生によって治癒することのできない骨組織欠損は、オートグラフ、アログラフまたは合成足場材料(synthetiuc scaffold materials)を用いて充填することができる。大きい欠損、例えば、頭蓋の欠損または長骨の欠損に関して、骨欠損の治癒は、特に困難であり得る。足場戦略は、その上および/またはその中に新しい組織が成長することのできる、金属メッシュまたは多孔質セラミック材料を提供することを伴う。
【0003】
金属メッシュを使用する現在の戦略は、低い新骨形成または感染の理由で治癒していない欠損の問題を生じる可能性がある。現在使用されているセラミックスは、機械的に弱く脆弱であり、低い機械的強度に起因する足場不良という高いリスクをもたらす。金属メッシュは、手術室で欠損にぴったり適合するように成形することができるが、セラミックスは、製造後に成形することができない、そのために事前に注文製作しておく必要がある。
【0004】
Ti−メッシュの低い骨内殖(bone in-growth)という問題を克服するため、Ti−メッシュをヒドロキシルアパタイト粉末でコーティングすることが、関節置換術における再手術で使用するために提案された。この方法は、骨内殖を増加させるが、ワイヤを曲げることにより粉末を剥落させ得るので、手術室でメッシュを成形する能力を制限する。そしてこの方法はTi以外の金属で試験されていない。骨内殖を促進し、高い機械的強度を有し、手術室で成形される能力のあるインプラントシステムに対して、必要性が満たされていない。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、生物医学的インプラントとして使用することができ、手術室で成形することができる、ワイヤまたはメッシュアンカーシステム(ワイヤアンカーシステムは、複数のワイヤ、好ましくは交差ワイヤを含み、ワイヤのどれもが相互に連結されないが、メッシュは、一部またはすべてのその交点で連結される少なくとも2つの交差ワイヤを含む)と生体材料モザイクエレメントを組み合わせる、先行技術のシステムと比較して総合骨内殖の増加および良好な機械的性質をもたらすモザイクインプラントを開示する。インプラントは、少なくとも1つの可撓性高強度ワイヤまたはメッシュと、少なくとも2つの成形された固体モザイクプレートを組み合わせるモザイクエレメントを含む。
【0006】
本発明は、軟組織欠損および硬組織欠損の補正のために用いることができる。生体材料システムは、吸収性生体材料および/または安定な生体材料、例えばポリマー、セラミックスおよび金属などで構成され得る。好ましくは、インプラントは、骨伝導性(すなわち、骨細胞が付着し、移動し、成長し、分裂することのできる足場としての機能を果たすことができる)かまたは骨誘導性(すなわち、新骨形成を誘導することができる)であり、手術室(OR)で成形することができ、高い機械的強度を有する。このことは、生体材料アンカーシステム(例えば、ワイヤメッシュ)と固体の生体材料システムをモザイクに組み合わせる、モザイク構造のインプラントシステムを使用することにより満たされる。
【0007】
このシステムは、機械的に強いワイヤメッシュおよび骨伝導性および/または骨誘導性の固体部分の有益な効果を有する。それは、インプラントシステムを、メッシュを望ましい幾何学的形状およびサイズに切断することにより手術室で容易に成形することができることを意味する。インプラントの製造の間にワイヤの交点で成形される固体プレートは、インプラントシステム上での骨内殖を促進する骨伝導性および/または骨誘導性材料で構成される。
【0008】
好ましくは、メッシュは、ワイヤを交差させて平らまたは皿状の形状を形成することにより形成される。本発明では、ワイヤーを含むアンカー配列によって連接された、厚さ(d)の複数の個別の生体適合性の成形されたセメントのモザイクプレートを含むインプラントであって、該モザイクプレートが、ワイヤーの交点で成形され、かつ、ワイヤーが、モザイクプレートの側面から伸び、隣接するモザイクプレートが、幅(t)の間隙によって隔てられているインプラントが提供される。
本発明の一実施形態では、生体材料モザイクプレートは、ワイヤまたはメッシュの交点に取り付けられ、隣接するプレートの端面間に間隙を含む。このようにして、間隙によって隔てられた、ワイヤで支持されたプレートを含むモザイク構造が形成される。
【0009】
本発明のもう一つの実施形態では、生体材料モザイクプレートの厚さよりも薄い厚さのスキンが、モザイクプレートの一部または全部の間に形成される。スキンは、好ましくは壊れやすく、モザイクインプラントを成形するために、それを選択的に割ることを可能にするための脆弱線が施されてよい。
【0010】
ワイヤの限定されない例としては、ポリマー、形状記憶合金、Ti、Ti合金(例えば、TiAlV)およびステンレス鋼が挙げられる。本願において、用語「ワイヤ」は、任意のかかる材料から製造された微細線維(filaments)を含むことが意図される。生体材料は、好ましくは、化学結合セラミッククラスの材料または生体高分子から成形可能であり、限定されない例としては、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、炭酸カルシウムまたはその組合せなどのCa-塩が挙げられる。
【0011】
材料は、好ましくは、非水性水混和性液を用いるか、または水と非水性水混和性液の混合物を用いてワイヤまたはメッシュの上に成形し、水含有浴中で硬化させてモザイクインプラントを形成させ、その後モザイクインプラントを型から取り外す。包装および滅菌後、モザイクインプラントは使用可能となる。
【0012】
交差するワイヤの強度および(存在する場合)プレート間の間隙は、補正される組織欠損にその形状を適合させるために、外科医がモザイクインプラントを手術中に形成することができるように選択される。プレート間の間隙が広くなればなるほど、外科医はインプラントをより大きく変形させることができ、従って複雑な曲線をもつ三次元形状を作り出すことができる。しかし、間隙が広いと骨組織で満たす時間がより長くかかる。この問題を克服するために、複雑な三次元形状の形成を可能にしながらも、インプラントにプレート間の様々な間隙幅を与えることが可能である−小さな間隙は、インプラントが実質的に平らとなる場所を意図し、広い間隙は、インプラントが曲線となる場所を意図する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1a)は、本発明に従うモザイクインプラントを製造するための型の第1の実施形態を概略的に示す図である。図1b)は、図1a)の型の断面A−Aの横断面を概略的に示す図である。
【0014】
図2図2a)は、本発明に従うモザイクインプラントを製造するための方法における第一段階の後の、図1a)に示される型を概略的に示す図である。図2b)は、図2a)の型の断面B−Bの横断面を概略的に示す図である。
【0015】
図3図3a)は、本発明に従うモザイクインプラントを製造するための方法における第二段階の後の、図1a)および図2a)に示される型を概略的に示す図である。図3b)は、図2a)の型の断面C−Cの横断面を概略的に示す図である。
【0016】
図4図4a)は、本発明に従うモザイクインプラントを製造するための方法において図1図3に示される型を使用した場合に形成されるモザイクインプラントを概略的に示す図である。図4b)は、図4a)のモザイクインプラントの断面D−Dの横断面を概略的に示す図である。
【0017】
図5図5aは、本発明に従うモザイクインプラントを製造するための型の第2の実施形態を概略的に示す図である。図5b)は、図5a)の型の断面V−Vの横断面を概略的に示す図である。
【0018】
図6図6a)は、本発明に従うモザイクインプラントを製造するための方法における第一段階の後の、図5a)に示される型を概略的に示す図である。図6b)は、図6a)の型の断面VI−VIの横断面を概略的に示す図である。
【0019】
図7図7a)は、本発明に従うモザイクインプラントを製造するための方法における第二段階の後の、図5a)および図5a)に示される型を概略的に示す図である。図7b)は、図6a)の型の断面VII−VIIの横断面を概略的に示す図である。
【0020】
図8図8a)は、本発明に従うモザイクインプラントを製造するための方法において図5図7に示される型を使用した場合に形成されるモザイクインプラントを概略的に示す図である。図8b)は、図8a)のモザイクインプラントの断面VIII−VIIIの横断面を概略的に示す図である。
【0021】
図9図9a)は、本発明に従うモザイクインプラントを製造するための型の第3の実施形態を概略的に示す図である。図9b)は、図9a)の型の断面IX−IXの横断面を概略的に示す図である。
【0022】
図10図10a)は、本発明に従うモザイクインプラントを製造するための方法において図9a)〜図9b)に示される型を使用した場合に形成されるモザイクインプラントを概略的に示す図である。図10b)は、図10a)のモザイクインプラントの断面X−Xの横断面を概略的に示す図である。
【0023】
図11図11は、本発明に従うモザイクインプラントを製造するためのさらなる型の断面を概略的に示す図である。
【0024】
図12図12a)〜d)は、1番の患者において外科手術直後[a)およびb)]および外科手術3ヶ月後[c)およびd)]の頭蓋骨欠損を覆っているモザイクインプラントを示す、軸方向のCTスキャンを示す図[a)およびc)]および3D形式のCTスキャンを示す図[b)およびd)]である。
【0025】
図13図13a)〜d)は、2番の患者において外科手術直後[a)およびb)]および外科手術3ヶ月後[c)およびd)]の頭蓋骨欠損を覆っているモザイクインプラントを示す、軸方向のCTスキャンを示す図[a)およびc)]および3D形式のCTスキャンを示す図[b)およびd)]である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明に従うモザイクインプラントを製造する方法の一実施形態では、深さDの型1を使用する。型1は、図1a)および図1b)に示されるように、その各々がモザイクプレートの形状を有する深さdの複数のキャビティ3を含む。キャビティの深さdおよび得られるモザイクプレートの厚さは、型の深さDよりも薄い。各々のキャビティ3は、型1の床4によって閉ざされている閉じた底部3’を有し、キャビティ3の充填を可能にするために反対側の開口端部3”が開いている。
【0027】
床4は、永久的に型に付着している必要はないが、例えば、インプラントの製造の間に型が接触している面であり、インプラントの離型を促進するために成形後に取り除くことができる面であってよい。好ましくは各々のキャビティおよび従ってその後にその中に形成される各々のモザイクプレートは、直線の辺をもつ、三角形、正方形、長方形、五角形、六角形(図1図4に示される通り)などの規則正しい形状を有する。好ましくはすべてのキャビティは同一の形状を有する。キャビティの形状が同じでない場合、キャビティを重なり合わないパターンに配置することができ、必要に応じて隣接する端と端の間に実質的に等しい間隙を有することができるように、隣接するキャビティには相補的な形状を与えることが好ましい。
【0028】
各々のキャビティと、従って各々のモザイクプレートの最大幅はwであり、好ましくは各々のキャビティの最大幅wは、その深さdよりも大きい。好ましくは、wは、2〜20ミリメートルの間、より好ましくは3〜15mmの間、さらにより好ましくは、4〜10mmの間である。好ましくは、dは、wの10%〜150%の間、より好ましくは、wの20%〜130%の間、最も好ましくは、wの50%〜130%の間である。
【0029】
各々のキャビティは、型の中でその隣接するキャビティ(群)から厚さtの壁5によって隔てられている。型の中の壁厚tは、インプラントの中の隣接するプレート間にわずかな厚さtの間隙をもたらす。そして、間隙が小さいほど、骨が成長してモザイクプレートの間の間隙を埋めることが容易であるので、壁厚は好ましくは5mm未満、より好ましくは3mm未満、最も好ましくは2mm未満である。しかし、間隙は、相互にモザイクプレートの適切な動きを妨げることになるので小さすぎるべきではない−間隙が小さいと、ごく小さく変形しただけの後に、隣接するモザイクプレートの壁が衝突し、望ましいインプラントのさらなる成形を妨げることになる。言い換えれば、間隙が大きいと、隣接するプレートが相互に接触するよりも前にインプラントをより大きく変形させることができるが、プレート間の間隙が大きいと、骨組織で埋めるために長い時間がかかり、または実際に骨細胞が隙間を埋めることは不可能である可能性もある。
【0030】
インプラントが、実質的に平らとなる領域および三次元形状に成形されることになるその他の領域を有することを意図する場合、当然、キャビティ間に異なるサイズの間隙を有することは可能である。隣接するキャビティ3の間の各々の壁5は、少なくとも1つの、幅wwの細いワイヤ保持チャネル7、7’によって貫通されている。これらのワイヤ保持チャネル7は、キャスティング工程の間に、モザイクプレートを相互に関連して維持するインプラント中のワイヤまたはメッシュアンカー配列を形成するために使用した同様の幅wwのワイヤを受け取り、保持することを意図する。
【0031】
アンカー配列は、インプラントのサイズがメッシュ構造を収容することができるほど十分に大きい場合には、好ましくは交差ワイヤのメッシュ構造の形状である。細く長いインプラントでは、ワイヤは交差せず、実質的に平行であること、または浅い角度でしか交差せず、そのためにキャビティの一部でしか交差しない可能性があることが考えられる。好ましくは、第1の方向に伸びるチャネル7は、深さd1を有し、一方、別の方向、例えば直交する方向に伸びるチャネル7’は、メッシュを形成するために使用されるワイヤの直径(下記参照)と同じか、またはそれよりも小さい距離だけ浅い深さd2を有する、すなわちd1>d2≧(d1−ww)、そのため、交差ワイヤは相互に近接しているか、または相互に接触している。
【0032】
本発明のこの実施形態において、ワイヤは格子状に配列され、各々のワイヤは、同じ平面にあるその隣接するワイヤ(類)と実質的に平行であり、かつ、異なる平面にある少なくとも1つの垂直のワイヤと交差し、かつ接触している。好ましくは、ワイヤは、各々のキャビティが、第1の方向に伸びる2本の実質的に平行なワイヤと、平行でない方向、例えば、垂直方向に伸びる2本のワイヤによって交差されるように間隔を空ける。図示されない本発明のもう一つの実施形態では、各々のキャビティは、第1の方向の1本のワイヤと垂直方向の1本のワイヤによってのみ交差される。
【0033】
このことは、その後に形成されるインプラントがより軽量で、より容易に形成され得ることを意味する。また、キャビティを貫いて一方向に実質的に平行に伸びるが、それよりも少数のワイヤによって交差される複数のワイヤを有すること、例えば、キャビティは、1本の垂直なワイヤによって交差される2本の平行なワイヤを有し得ることも考えられる。120°で交差する3本のワイヤなどのその他の配列も考えられる。
【0034】
垂直な壁5を有するキャビティが示されているが、成形物の離型を助ける開放傾斜を形成するために、各々のキャビティの底の閉じられた端部のいずれの断面の幅も、キャビティの開口端部の対応する断面の幅よりも小さいような、傾斜した壁を有することも当然可能である。適切に傾斜した壁も、隣接するモザイクプレートの端が相互に接触することなく、そうでなければ垂直な壁によって可能なものよりも深い凹面形にインプラントを変形させることが可能である。
【0035】
図2a)および図2b)は、モザイクインプラントを製造するための方法における第一段階の型1を示す。この段階では、ワイヤメッシュ11は、製造中にワイヤを所定の位置に保持し、それらの周囲にセメントが漏れることを防ぐために、それらがワイヤ保持チャネルにぴったりと取り付けられるように、好ましくは幅または直径wwのワイヤ9を重ね合わせることで形成される。ワイヤは、チャネルの中に、好ましくはチャネルの各々の端から端にかけて伸びる。好ましくは、チャネル7は、ワイヤがそれらに配置されている場合、得られるワイヤメッシュ11の中心平面が型1の中心平面にあるように配置される。
【0036】
このことにより、モザイクインプラントが形成される場合に、それがワイヤメッシュの中心平面について実質的に対称であるという利点が得られる。これは、その形状に凹凸面調整を行うことが等しく容易であることを意味する。しかし、一方向だけ(例えば凸面のみ)にくぼませるインプラントを所望する場合には、ワイヤメッシュをキャビティの中心平面から遠く離れた位置に置いて、隣接するプレートが相互に接触する前に望ましい方向により大きく曲げさせることができる。
【0037】
図3a)および図3b)は、モザイクインプラントを製造するための方法の成形段階の後の型を示す。この段階では、キャビティ3に、(a)Ca-塩前駆体粉末組成物、および(b)非水性水混和性液の非水性混合物を含む、非水性水硬セメント組成物13を充填する。このセメント組成物をワイヤメッシュ11の上に成形し、濡れた〜湿った環境で硬化させる。環境中の水は、非水性水混和性液を水硬セメントから追い出し、セメントを硬化させる。好ましくは、環境中の温度および水の量を適合させて、硬化工程が少なくとも24時間かかるようにする(強い生成物をもたらすため)。好ましくは、セメントが完全に硬化する前に、ワイヤ保持チャネル7、7’に存在する過剰なセメント組成物13を除去する。
【0038】
図4a)は、図1図3に示される型を使用した場合に形成される、型1から開放された後のモザイクインプラント15を概略的に示す。モザイクインプラント15は、各々ワイヤ9によって隣接するモザイクプレートに連結され、一方で幅tの間隙10によってそれらから分離されている、複数のモザイクプレート17を含む。図4b)は、図4a)のモザイクインプラントの断面D−Dの横断面を概略的に示す。
【0039】
本発明に従ってインプラントを製造する方法のさらなる実施形態では、深さDの型21が使用され、それは、図5a)および図5b)に示されるように、その各々がモザイクプレートの形状を有する、深さdの複数のキャビティ23を含む。キャビティの深さdは、型の深さDよりも小さい。各々のキャビティ23は、閉じた底部23’を有し、それは型21の床24により閉じられ、反対側の開口端部23”が開いていてキャビティ23の充填を可能にする。隣接するキャビティ23の間の各々の壁25は、少なくとも1つの、幅wwの細いワイヤ保持チャネル27、27’によって貫通されている。
【0040】
この実施形態では、第1の方向に伸びる第1のチャネル27は、深さd1のキャビティの2つの向かい合った壁を貫通し、一方、第2のチャネル27’は、その後モザイクプレートを相互に関連して維持するインプラント中のアンカー配列を形成するために使用されるワイヤの直径と同じであるかまたはそれよりも小さい距離だけ浅い深さd2の第1のチャネルに対して60°の角度で整列している。これらの第2のチャネルは、各々のキャビティ2つの異なる向かい合う壁を貫通する。3番目の組のチャネル27”は、1番目の組のチャネル27に対して120°の角度およびd3の深さで提供され、これらは各々の六角形のキャビティの残りの2つの向かい合う壁を貫通する。
【0041】
従って、本発明のこの実施形態では、ワイヤは、各々のワイヤがその隣接するワイヤ(群)に対して平行であり、それと+60°および−60°の角度をそれぞれ作る少なくとも2本の他のワイヤによって交差される、格子状に配列されている。好ましくは、ワイヤは、各々のキャビティ壁が、一組の平行なワイヤによって貫通されているように間隔を空ける。
【0042】
図示されない本発明のもう一つの実施形態では、各々のキャビティ壁は、第1の方向の1本のワイヤおよび垂直方向の1本のワイヤによってのみ貫通されている。このことは、その後に形成されるインプラントが、強度および安定性を犠牲にして、より軽量で、より容易に形成され得ることを意味する。
【0043】
図6a)および図6b)は、モザイクインプラントを製造するための方法における第一段階の型21を示す。この段階では、ワイヤメッシュ31は、それらがワイヤ保持チャネルにぴったりと取り付けられる、好ましくは幅または直径wwのワイヤ29を重ね合わせることで形成される。
【0044】
図7a)および図7b)は、モザイクインプラントを製造するための方法の成形段階の後の型を示す。この段階では、キャビティ23に、非水性水硬セメント組成物33を充填する。このセメント組成物をワイヤメッシュ31の上に成形し、濡れた〜湿った環境で硬化させる。環境中の水は、非水性水混和性液を水硬セメントから追い出し、セメントを硬化させる。好ましくは、環境中の温度および水の量を適合させて、硬化工程が少なくとも24時間かかるようにする(強い生成物をもたらすため)。好ましくは、セメントが完全に硬化する前に、ワイヤ保持チャネル27、27、27’’’に存在する過剰なセメント組成物33を除去する。
【0045】
図8a)は、図5図7に示される型を使用した場合に形成される、型21から開放された後のモザイクインプラント35を概略的に示す。モザイクインプラント35は、各々ワイヤ29によって隣接するモザイクプレートに連結される、複数のモザイクプレート37を含む。図8b)は、図8a)のモザイクインプラントの断面VIII−VIIIの横断面を概略的に示す。
【0046】
図9a)および図9b)は、本発明に従うモザイクインプラントを製造するための方法のさらに別の実施形態で用いる型41の例を示す。本発明のこの実施形態では、隣接するモザイクプレート間にセメント材料のブリッジングスキンを提供することが求められる。好ましくはこのスキンは、モザイクプレートの厚さsよりも薄い厚さを有する。好ましくは、それは0.5mmよりも厚く、5mmよりも薄く、モザイクプレートの間のモザイクインプラントを強化することを意図する。したがって、スキンはインプラントが成形されることを防ぎ、スキンは十分に薄く作成されることが好ましい、それによって、必要に応じて患者に取り付けられる前に使用者が選択された領域で割るかまたは切断することができる。
【0047】
インプラントのスキンを、インプラントを変形させるために必要な場所で割るかまたは切断するだけで、インプラントを望ましい形状に成形すると同時に、スキンによってもたらされる増加した強度の大部分を維持することができる。スキンは、キャビティ間の壁45の上部を、スキンの望ましい厚さと同じである型43の上面からの深さだけ沈めることにより、形成することができる。壁の上端は、好ましくは先の尖った隆起(ridge)47が備わっていてよく、それは、その後に形成されるスキンに局所的に薄い部分をもたらす。
【0048】
ワイヤ保持チャネルは、必要に応じて提供され、ひとたびワイヤがチャネルに設置されれば、型にセメントが充填され、前の通り固化させられる。ワイヤがスキンの望ましい底面よりも低い深さに位置する場合には、スペーサー材料をワイヤの上に用意して、過剰なセメント材料がワイヤとスキンの底面との間の間隙を埋めるのを防ぐことができる。
【0049】
図10a)は、図9a)および図9b)に示される型を使用した場合に形成される、型41から開放された後のモザイクインプラント55を下側から概略的に示す。モザイクインプラント55は、各々のワイヤ49および厚さsのスキン61によって隣接するモザイクプレートに連結される、複数のモザイクプレート57を含む。図10b)は、図10a)のモザイクインプラントの断面X−Xの横断面を概略的に示す。型の中の隆起が置かれた、スキン61の部分は、局所的に薄くなり、インプラントの変形を必要とする場合にスキン61を割るのに役立つ脆弱線63を形成する。
【0050】
本発明のもう一つの実施形態では、モザイクインプラントは、複数のモザイクプレートを含み、その一部はスキンによって1以上の隣接するモザイクプレートに連結され、その一部は、間隙によって1以上の隣接するプレートから隔てられている(図10aの破線65に示される)。
【0051】
その他の成形方法を用いて本発明に従うモザイクインプラントを形成してもよい。例えば、図11に概略的に示すように、相互接続するメッシュ101(または少なくとも1本のワイヤ)を、壁109によって隔てられた深さd1の複数のキャビティ107を含む第1の型半体105の露出面103の上に設置する。第1の型半体105は、フレーム111の中で支持されている。
【0052】
第1の型半体105に、過剰量のセメント組成物113(破線で示す)を入れる、それはキャビティ107を充填し、メッシュ(またはワイヤ(類))を覆うだけでなく、第1の型半体105の露出面から離れて広がる。第1の型半体の鏡像のように配置された、好ましくは深さd2のキャビティ108を有する第2の型半体115をその後メッシュの上に設置し、底型に向かって圧縮して、相互接続するメッシュの周囲にモザイクプレートを成形させる。第2の型半体113を、支持板117で支えてもよい。過剰量のセメント組成物は、第2の型半体のキャビティを充填するのに十分であるべきであり、第2の型半体を充填することができるように置かれるべきである。
【0053】
過剰なセメントは、2つの型半体が一つになった後に、好ましくはセメントが硬化する前に取り除く。セメントの硬化は、穴119を通して水分を添加することにより実現することができ、各々の穴は、型内部の各々の成形用キャビティに接続されている。穴119は過剰なセメントを型から出させるのにも適している。
【0054】
各々の型半体におけるキャビティの深さは同じである必要はない。それらが異なっている場合、メッシュまたはワイヤ(類)は、得られるインプラントの中心平面に配置されないことになる、それは、必要に応じて、露出したメッシュまたはワイヤを含む使用されるインプラントを、患者の皮膚からさらに遠くで使用することを可能にする、従って事故の場合に損傷を受ける可能性が低い。
【0055】
各々の型におけるキャビティの最小数は2であり、キャビティの最大数には制限はない。ワイヤの最小数は1であるが、好ましくは、ワイヤは、各々の対の平行ワイヤの縦軸を通過する平面に安定性をもたらすために、平行ワイヤの対として少なくとも提供される。
【0056】
本発明のすべての実施形態では、セメントの組成に応じて、セメントの硬化を低温、または常温または高温で、かつ湿ったまたは濡れた環境で実施することができる。型は、セメントまたはメッシュ/ワイヤと否定的に反応しないのであればどんな寸法安定性材料で作られていてもよい。型材料が透水性である場合、それはセメントの硬化を助けることができる。
【0057】
セメント成形に関して好ましい選択肢が3つある。
【0058】
1.(a)Ca-塩前駆体粉末組成物、および(b)非水性水混和性液を使用する。この場合、硬化を開始させるために、固化は濡れた環境にある必要がある。
【0059】
2.(a)Ca-塩前駆体粉末組成物、および(b)水と非水性水混和性液の混合物を使用する。固化は自動的に開始することになるが、最終硬化には濡れた環境が必要である。
【0060】
3.(a)Ca-塩前駆体粉末組成物、および(b)水-基(water-based)液体を使用する。硬化は、混合すると開始する。硬化を濡れた環境で実施する必要はないが、硬化は濡れた環境で実施することもでき得る。
【0061】
Ca-塩前駆体組成物は、無水第二リン酸カルシウム、第二リン酸カルシウム二水和物、リン酸八カルシウム、α−リン酸三カルシウム、β−リン酸三カルシウム、非晶質リン酸カルシウム、カルシウム欠損ヒドロキシアパタイト、非化学量論的ヒドロキシアパタイト、リン酸四カルシウムおよびリン酸一カルシウム一水和物(MCPM)、無水リン酸一カルシウム、リン酸、ピロリン酸、硫酸カルシウム(αまたはβ、好ましくはα)またはケイ酸カルシウム(ケイ酸三カルシウム、ケイ酸二カルシウムまたはケイ酸一カルシウム)、炭酸カルシウム(霰石、バテライト、方解石また非晶質)あるいはそれらの組合せからなる群から選択される1以上のCa塩を含むことができる。
【0062】
本発明の第1の実施形態では、非水性水混和性液を、ペーストを調製する際に使用することができる。可能性のある液体としては、グリセロール、関連する液体化合物および誘導体(非水性水混和性物質由来の物質)、置換体(化学構造の一部が別の化学構造で置換された物質)および同類のものが挙げられる。材料が固化し始めると、モザイク形状を正確に実現することが不可能となるので、非水性水混和性液の目的は、モザイクの成形の間に、より長い製作時間を与えることである。
【0063】
ある種のアルコールも、そのような液体としての使用に適しうる。好ましくは、液体は、グリセロール、プロピレングリコール、ポリ(プロピレングリコール)、ポリ(エチレングリコール)およびそれらの組合せから選択される。また、組成物には、現場で水のペーストへの急速な拡散を促進する薬剤、好ましくはポリソルベートのような非イオン性界面活性剤も含まれてよい。界面活性剤の量は、好ましくは粉末組成物の0.01〜5重量%の間、最も好ましくは0.1〜1重量%である。
【0064】
本発明の代替実施形態では、前駆体粉末組成物は、約30分を超える固化時間を得るように選択され、次に液体は水-基(water-based)のものであるかまたは水-含有(water-containing) のものであってよい。この場合、液体は純水であり得る。一部の製剤では、高速またはより遅い固化を得るために、塩を液体に溶解することができる、例えば、クエン酸H、ピロリン酸二ナトリウムNa、硫酸HSO、リン酸HPOである。次に、硬化を乾燥環境で実施してよい。
【0065】
また、組成物には、高速吸収および組織内殖を促進するマクロ多孔性最終生成物(macroporous end product)を得る細孔生成物質(porogens)を含めてもよい。細孔は、骨細胞が成長するのに良い基礎をもたらす。細孔生成物質には、糖およびその他の高速吸収物質が含まれうる。細孔生成物質の量は、適切には、粉末組成物の5〜30重量%である。これは、上記に選択される組成物が事前に混合されているかいないかに関係がない。
【0066】
また、組成物には、凝集性および流出抵抗を促進するために無毒のゲル化剤を含めてもよい。ゲル化剤としては、コラーゲン、ゴム、ゼラチン、アルギン酸塩、セルロース、ポリアクリル酸(例えば、PAA、PAMA)、中性ポリアクリル酸(例えば、Na−PAA、Na−PAMA酸)、HPMC、HMCおよびCMCならびにそれらの組合せを挙げることができる。ゲル化剤の量は、好ましくは粉末組成物の0.1重量%〜10重量%の間、より好ましくは0.1重量%〜2重量%の間に相当する。これは、上記に選択される組成物が事前に混合されているかいないかに関係がない。
【0067】
上記に選択されるすべてのセメント組成物において、前駆体粉末対液体比は、好ましくは、これが最適の結果を与えるので、1〜10の範囲内であるべきである。前駆体粉末の平均粒度は、容積測定による粒度モードで測定して、好ましくは100マイクロメータ未満、より好ましくは30マイクロメータ未満である。小さい粒度は、大きい粒度よりも高い機械的強度を与える。しかし、多孔性顆粒を含有する本発明の実施形態に関して、顆粒サイズは、大きくなりうるが、好ましくはなお500マイクロメータ未満である。通常、顆粒はペーストの固化反応に関与しない。それらはバラストとして材料に添加され、細孔の存在により、材料に良好な生物学的応答がもたらされる。好ましくは、顆粒の細孔の少なくとも一部は、細胞が顆粒の中に入るのに十分な大きさであるべきであり、通常少なくとも10μm(microns)を超える。必然的に顆粒にはそれよりも小さい細孔も存在することになるが、それらは細胞の統合にそれほど重要ではない。
【0068】
本発明に従ってインプラントを製造する方法のもう一つの実施形態では、成形段階において、(a)ブルシャイトまたはモネタイトを形成するリン酸カルシウム粉末組成物、および(b)非水性水混和性液の非水性混合物を含む、非水性水硬セメント組成物をワイヤメッシュの上に成形し、濡れた〜湿った環境で硬化させる。
【0069】
本発明に従ってインプラントを製造する方法のもう一つの実施形態では、成形段階において、(a)多孔性β−リン酸三カルシウム(β−TCP)顆粒および少なくとも1つのさらなるリン酸カルシウム粉末を含む非水和粉末組成物、および(b)非水性水混和性液の非水性混合物を含む、非水性水硬セメント組成物をワイヤメッシュの上に成形し、濡れた〜湿った環境で硬化させる。濡れた環境の例は、水浴である。湿った環境の例は、相対湿度が100%のチャンバである。所望により、セメント材料の硬化は、湿度の高い、すなわち相対湿度50%以上の環境または濡れた環境と組み合わせて、低温、または常温または高温で実施することができる。
【0070】
代替実施形態では、前駆体粉末組成物は、塩基性(リン灰石)であり、(a)多孔性β−TCP顆粒およびリン酸四カルシウム(TTCP)および/または非晶質リン酸カルシウムを含む塩基性リン酸カルシウム成分、および(b)酸性リン酸塩(その限定されない例としては、リン酸一カルシウム一水和物(MCPM)、無水リン酸一カルシウム、リン酸、ピロリン酸またはそれらの組合せが挙げられる)を含む。
【0071】
リン灰石前駆体粉末組成物の成分は、(i)固化の間のセメントペーストのpHが6よりも大きく;かつ(ii)固化反応の最終生成物が、非晶質リン酸カルシウム水和物、ヒドロキシアパタイト、イオン置換ヒドロキシアパタイト、またはそれらの組合せを含むように選択される。
【0072】
ひとたびセメントが硬化すると、セメントおよびワイヤ構成を型から取り出して、不要なセメント、例えば六角形のプレート15間のワイヤの上に固定されたセメントを除去し、インプラントを包装および滅菌することができる。
【0073】
所望により、本発明のインプラントシステムのセメントおよびワイヤ構成は、より強い最終生成物を得るために、例えば逆型をセメントに押し付けることにより、硬化の間に圧力にさらすことができ得る。
【0074】
所望により、本発明のインプラントシステムを、薬物と組み合わせて薬物送達システムを形成することができる。薬物の例は、抗炎症剤、抗生物質、鎮痛剤、抗癌剤、骨成長促進剤、線維芽細胞増殖因子およびビスホスホネート製剤である。これらの薬物は、インプラントシステムの多孔性成分、例えば、多孔性ワイヤまたは多孔性セメントまたは多孔性顆粒または多孔性コーティングを用いること、および薬物を多孔性成分の細孔に導入することにより、送達され得る。
【0075】
インプラントシステムは、縫合、および/またはプレートおよびねじ、および/またはクランプまたは任意のその他の固定手段によって宿主組織に取り付けることができる。
【0076】
インプラントシステムは、組織置換(骨および軟組織置換)および獣医学で使用することができる。軟組織置換には、モザイク構造は、好ましくはポリマー材料、好ましくは吸収性ポリマーで構成される。硬組織には、モザイクシステムは、好ましくは、金属ワイヤおよびセラミック固体で、好ましくは金属ワイヤおよび吸収性セラミックスで構成される。患者がまだ成長している場合には、ワイヤおよび/またはモザイクプレートに吸収性材料を使用することが適切である。適した吸収性ポリマーは、ポリジオキサノン、ポリL−乳酸、およびポリグリコール酸である。
【0077】
また、インプラントシステムは、任意で、システムのプレート間の間隙へ組織内殖を導く、注射可能な生体材料または薬物送達ビヒクルと組み合わせることもできる。
【実施例】
【0078】
実験的実施例1
モザイクインプラントを、上記の製造方法を用いて、Tiワイヤの上に成形した、事前に混合した酸性リン酸カルシウムセメントを用いて製造した。モザイクインプラントのこの実施例の臨床使用は、大きい頭蓋欠損の修復のためのものであった。ワイヤを型に設置し、次にそれに事前に混合した酸性リン酸カルシウムセメントを充填し、20℃にて48時間水中で硬化させた。
【0079】
事前に混合した酸性リン酸カルシウムセメントは、β−リン酸三カルシウム、リン酸一カルシウム一水和物およびグリセロールからなった。β−リン酸三カルシウムおよびリン酸一カルシウム一水和物を、1:1のモル比で混合し、グリセロールをこの粉末に添加して、3.9:1[g/ml]の粉末:液体比を得た。均質なペーストが形成されるまでセメントを完全に混合した。
【0080】
硬化後、セメントは、主に2つの相ブルシャイト(CaHPO−2HO)およびモネタイト(CaHPO)からなることが見出された−しかし若干のピロリン酸カルシウム(Ca)も見出された。
【0081】
モザイクインプラントを型から取り出し、包装し、蒸気滅菌した。製造されたモザイク構造を臨床的に評価した。
【0082】
臨床評価
患者番号1:
40×40mmと測定される頭頂頭蓋骨欠損のある22歳の患者が手術を受けた。欠損を、局所頭蓋皮膚フラップを経て露出させた。原寸100×100mmの滅菌したモザイクインプラントを、ワイヤカッターを用いて切断し、約45×45mmのサイズに調整した。モザイクインプラントは欠損に適合し、それには確実にうまく適合させるために、少量の隣接する頭蓋骨を切除することを必要とした。欠損の周囲を、インプラントを支持するレッジを作成するように形成し、その後にインプラントをチタンプレートおよびねじでこのレッジに固定した。患者は、局所性または全身性副作用のないことを実証し、外科手術の翌日に退院することができた。
【0083】
術後CT-スキャン(図12a)および図12b)参照)は、元の骨欠損を覆う完璧な位置にあるインプラントを示した。外科手術後3ヶ月に行った臨床および放射線による経過観察により、感染、炎症または皮膚の貫通の徴候のない、十分に許容されるインプラントが明らかとなった。インプラントは、図12c)および図12d)に示されるCT-スキャンにより実証されるように、この早期の時点で吸収されることなく無傷のままであった。
【0084】
患者番号2:
53歳の喫煙患者は、80×90mmと測定される大きい側頭頭蓋骨欠損を有した。患者は、複合頭蓋顔面外傷のために以前に広範囲にわたって手術を受け、感染および皮膚の貫通のために役に立たなくなった前のインプラントに苦しんだ。骨欠損を、標準的な両冠状頭蓋皮膚フラップを経て露出させた。欠損を覆っている軟組織は、主に線維(fibrotic)であった。原寸100×100mmの滅菌したモザイクインプラントを、ワイヤカッターを用いて切断し、約85×95mmのサイズに調整した。モザイクインプラントは、隣接する頭蓋骨を切断して支持レッジを形成することによって欠損に適合し、その後、レッジとチタンプレートとねじの間にインプラントを固定することによって、インプラントを取り付けた。患者は軽度の局所反応を手術部位に示し、それは最終的に外科手術の3〜4日後に減退した。
【0085】
術後CT-スキャンは、図13a)および図13b)において見ることができるように、元の骨欠損を覆う完璧な位置にあるインプラントを示した。外科手術後3ヶ月の臨床および放射線による経過観察により、感染、炎症または皮膚の貫通の徴候のない、十分に許容されるインプラントが示された。インプラントは、図13c)および図13d)に示されるCTスキャンにより実証されるように、この時点で吸収されることなく無傷のままであった。
【0086】
上記の実施例ではクランプを用いてインプラントを取り付けたが、縫合、およびクランプと縫合の組合せを用いてそれを取り付けることも可能である。
【0087】
本発明は、示される実施形態に制限されるものではなく、以下の特許請求の範囲の枠組みの中で自由に改変されてよい。特に、記載される様々な実施形態および実施例の特徴は、さらなる実施形態に到達するために相互に自由に組み合わせることができ、それは全面的に本出願の範囲の一部と見なされる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13