特許第5871852号(P5871852)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5871852
(24)【登録日】2016年1月22日
(45)【発行日】2016年3月1日
(54)【発明の名称】鶏舎用空冷装置
(51)【国際特許分類】
   A01K 1/00 20060101AFI20160216BHJP
   A01K 31/00 20060101ALI20160216BHJP
   F25D 7/00 20060101ALI20160216BHJP
【FI】
   A01K1/00 D
   A01K31/00
   F25D7/00 Z
【請求項の数】2
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-88975(P2013-88975)
(22)【出願日】2013年4月22日
(65)【公開番号】特開2014-209893(P2014-209893A)
(43)【公開日】2014年11月13日
【審査請求日】2014年12月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】390030661
【氏名又は名称】株式会社ハイテム
(74)【代理人】
【識別番号】100098224
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 勘次
(74)【代理人】
【識別番号】100140671
【弁理士】
【氏名又は名称】大矢 正代
(72)【発明者】
【氏名】椿井 康司
(72)【発明者】
【氏名】石榑 重治
【審査官】 木村 隆一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−136643(JP,A)
【文献】 特開2001−215027(JP,A)
【文献】 特開平9−102(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 1/00
A01K 31/00
F25D 7/00
E04B 2/74
E04B 2/82
E04B 2/88
E06B 1/70
E06B 9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給される水の気化熱により通過する空気を冷却する平板状の冷却パネルと、
水平方向へ延び、複数の該冷却パネルが該冷却パネルの幅方向に並んだ状態で載置されたパネル載置部、該パネル載置部において前記冷却パネルの並んだ方向に対して直角方向の両端から夫々上方へ延出されている一対の立壁部、該立壁部の一部が上方へ開放された状態で長手方向へ一つの前記冷却パネルの幅よりも長く切欠かれた切欠部を有した下枠部材と、
該下枠部材の長手方向両端に取付けられており、前記冷却パネルよりも高く上方へ延びた一対の側枠部材と、
一対の該側枠部材の上端部同士を連結しており、下方へ開放されて複数の前記冷却パネルの上端側が挿入されている挿入溝を有した上枠部材と、
該上枠部材に取付けられており、複数の前記冷却パネルの上面へ水を供給する給水管と
を具備し、鶏舎の壁面に形成された通気口を覆う状態で取付けられることを特徴とする鶏舎用空冷装置。
【請求項2】
前記下枠部材に着脱可能に取付けられ、前記切欠部を閉鎖する閉鎖板を更に備えていることを特徴とする請求項1に記載の鶏舎用空冷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鶏舎内に供給される空気を冷却する鶏舎用空冷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
鶏舎内を冷却する空冷装置として、鶏舎の壁に形成された外気取入口を閉鎖するように配置されている通気性を有した複数の冷却パネルと、冷却パネルの上縁に冷却用の水を給水する給水パイプと、外気取入口の上側縁部に沿って取付けられており冷却パネルの上縁を支持する上縁支持部材と、外気取入口の下側縁部に沿って取付けられており冷却パネルが起立状態で載置されている樋と、を備え、鶏舎外壁に取付けられている空冷装置が提案されている(特許文献1)。これにより、給水パイプから冷却パネルに水を供給した状態で、外気取入口から冷却パネルを通して鶏舎内へ外気を取入れると、冷却パネルに給水された水の気化熱によって冷却パネルを通過している空気の熱を奪って冷却することができ、冷却された空気を鶏舎内へ取入れることができる。
【0003】
特許文献1の空冷装置は、冷却パネルの上縁を支持している上縁支持部材が、冷却パネル上縁の鶏舎外壁から遠い外側を支持する外側支持部材と、冷却パネル上縁の鶏舎外壁に近い内側を支持する内側支持部材との二つの部材で構成されている。外側支持部材は鶏舎外壁に固定されているのに対して、内側支持部材は外側支持部材に脱着自在に取付けられている。そして、空冷装置を設置する時や、冷却パネルを交換する時には、上縁支持部材の内側支持部材を、鶏舎内から外気取入口を通して脱着することにより、冷却パネルを取付けたり取外したりすることができる。
【0004】
しかしながら、特許文献1の空冷装置では、複数の冷却パネルの上縁を、一つの長い内側支持部材で支持しているため、空冷装置を設置する際に、内側支持部材を取付けるまでの間、全ての冷却パネルを倒れないようにしなければならず、設置に手間がかかる問題があった。また、破損等により一部の冷却パネルを交換する場合、内側支持部材を取外して交換するために冷却パネルを取除く際に、交換しない他の冷却パネルが倒れて外れてしまう虞があり、他の冷却パネルが外れないようにしながら交換しなければならず、交換作業に手間がかかる問題があった。
【0005】
また、特許文献1の空冷装置では、冷却パネルを交換する際に、高い位置に取付けられている内側支持部材を脱着させる必要があるため、危険を伴う高い位置での交換作業となる問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明は上記の実情に鑑み、冷却パネルを安全且つ簡単に交換することが可能な鶏舎用冷却装置の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る鶏舎用冷却装置は、「供給される水の気化熱により通過する空気を冷却する平板状の冷却パネルと、水平方向へ延び、複数の該冷却パネルが該冷却パネルの幅方向に並んだ状態で載置されたパネル載置部、該パネル載置部において前記冷却パネルの並んだ方向に対して直角方向の両端から夫々上方へ延出されている一対の立壁部、該立壁部の一部が上方へ開放された状態で長手方向へ一つの前記冷却パネルの幅よりも長く切欠かれた切欠部を有した下枠部材と、該下枠部材の長手方向両端に取付けられており、前記冷却パネルよりも高く上方へ延びた一対の側枠部材と、一対の該側枠部材の上端部同士を連結しており、下方へ開放されて複数の前記冷却パネルの上端側が挿入されている挿入溝を有した上枠部材と、該上枠部材に取付けられており、複数の前記冷却パネルの上面へ水を供給する給水管とを具備し、鶏舎の壁面に形成された通気口を覆う状態で取付けられる」ことを特徴とする。
【0008】
ここで、「パネル載置部」としては、冷却パネルの厚さ方向へ二つに分離している形態としても良いし、冷却パネルの厚さ方向へ分離していない一つの平坦な形態としても良い。また、パネル載置部は、冷却パネルから排出される水を下方へ通過させることができるように、分離、穿孔、網状、等とすることが望ましい。
【0009】
また、「切欠部」は、下枠部材の長手方向の中央に形成しても良いし、下枠部材の長手方向の端部に形成しても良い。また、「切欠部」は、上下方向が立壁部の上端からパネル載置部まで切欠いた形態としても良い、上下方向が立壁部の上端からパネル載置部よりも上側まで切欠いた形態としても良い。換言すると、切欠部の下端を、パネル載置部と同じ高さとしても良いし、パネル載置部よりも高くしても良い。
【0010】
本発明の鶏舎用冷却装置は、上枠部材、下枠部材、及び一対の側枠部材により枠状の部材を形成した状態で、下枠部材の切欠部が形成された位置において、一つの冷却パネルの上端側を、上枠部材の下方へ開放された挿入溝内に斜め下側から挿入させた後に、その冷却パネルの下端側を、下枠部材の切欠部を通して一対の立壁部の間に移動させ、パネル載置部に載置させる。この状態とすることにより、冷却パネルの上端の両面側が、上枠部材の挿入溝内に挟まれた状態となり、冷却パネルが倒れてくることがない。そして、冷却パネルを、上枠部材及び下枠部材に沿って長手方向へスライドさせて切欠部が形成された位置から移動させる。これにより、冷却パネルは、上端側と下端側とが、上枠部材の挿入溝と下枠部材の一対の立壁部とにより夫々支持された状態となる。
【0011】
続いて、次の冷却パネルを、上述と同様に、切欠部が形成された位置で上枠部材と下枠部材との間に挿入させた後に、上枠部材及び下枠部材に沿ってスライドさせて切欠部の位置から移動させる。これを必要な回数繰り返すことで、上枠部材、下枠部材、及び一対の側枠部材により形成された枠内に複数の冷却パネルを取付けることができる。
【0012】
また、冷却パネルを取外す場合は、切欠部と同じ位置にある冷却パネルの下端側を、一対の立壁部の間から切欠部を通して下枠部材の外側へ移動させた後に、その冷却パネルを斜め下方へ移動させて上端側を挿入溝から抜くことにより、上枠部材と下枠部材の間から冷却パネルを取外すことができる。続いて、取外した冷却パネルと隣接していた冷却パネルを、上枠部材及び下枠部材に沿って切欠部が形成された位置へスライドさせることにより、上述と同様の手順で上枠部材及び下枠部材から冷却パネルを取外すことができる。
【0013】
一方、破損や目詰まり等により冷却パネルを交換する場合は、上述した取付け、取外しの作業を適宜組合わせることにより、新しい冷却パネルに交換することができる。或いは、例えば、交換する冷却パネルに対して、刃物等により切込みを入れて強度を低下させ、切欠部の位置へ移動させることなくその位置において無理やり上枠部材及び下枠部材から交換する冷却パネルを引抜いて取外す。そして、冷却パネルが取外された位置に、切欠部に近い側の冷却パネルを順次スライドさせて、切欠部が形成された位置を空けた状態とする。そして、新しい冷却パネルを、切欠部の位置に取付けることにより、冷却パネルを交換するようにしても良い。
【0014】
そして、本発明の鶏舎用冷却装置は、鶏舎の壁面に形成された通気口を覆うように取付けた状態で、給水管から冷却パネルの上面へ水を供給すると、供給された水が冷却パネルの内部や表面を伝って下方へ流下し、冷却パネルの全体が湿潤した状態となる。この状態で空気が冷却パネルを通過すると、冷却パネル内の水が気化する際に発生する気化熱により空気の熱が奪われて冷却される。これにより、鶏舎の壁面に形成された通気口を通して、冷却させた空気を鶏舎内へ供給することができる。
【0015】
このように、本発明の鶏舎用冷却装置によれば、下枠部材に形成された切欠部を通して冷却パネルを上枠部材と下枠部材との間に取付けることができるため、特許文献1のように冷却パネルを取付け取外しする際に、高い位置で作業する必要が無く、冷却パネルの取付け取外しの作業を低い位置で安全に行うことができる。また、冷却パネルの上端側を、上枠部材の挿入溝内に挿入しているため、冷却パネルの取付け取外しの作業中に、冷却パネルの上端側が傾いて倒れるのを防止することができ、冷却パネルの取付け取外し作業(交換作業を含む)を容易にすることができる。
【0016】
また、下枠部材の一対の立壁部に夫々切欠部を形成しているため、冷却パネルの厚さ方向の何れの側からでも、冷却パネルの取付け取外し作業を行うことができる。従って、鶏舎用冷却装置を鶏舎の壁面に取付けた状態では、壁面(鶏舎)の内側や外側の何れの側からでも冷却パネルの交換を行うことができる。
【0017】
更に、複数の冷却パネルを、上枠部材、下枠部材、及び一対の側枠部材により構成された枠状の部材に取付けているため、それら枠部材により冷却パネルを補強することができ、鶏舎用冷却装置全体を搬送等の衝撃にも耐えられるようにすることができる。
【0018】
また、本発明に係る鶏舎用冷却装置は、上記の構成に加えて、「前記下枠部材に取付けられ、前記切欠部を閉鎖する閉鎖板を更に備えている」ことを特徴としても良い。
【0019】
本発明によれば、下枠部材の切欠部を閉鎖板により閉鎖しているため、切欠部の位置の冷却パネルが何らかの理由により押されても、冷却パネルの下端側が切欠部を通して下枠部材から外れてしまうのを防止することができる。
【0020】
また、閉鎖板を下枠部材に取付けていることから、冷却パネルを交換する際の閉鎖板の脱着作業が低い位置となるため、閉鎖板の脱着作業を行い易くすることができ、ひいては冷却パネルを簡単に交換することができる。
【発明の効果】
【0021】
このように、本発明によれば、冷却パネルを安全且つ簡単に交換することが可能な鶏舎用冷却装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の一実施形態である鶏舎用冷却装置の斜視図である。
図2】(a)は図1の鶏舎用冷却装置の側面断面図であり、(b)は鶏舎用冷却装置の上部の断面を拡大して示す拡大断面図であり、(c)は鶏舎用冷却装置の下部において下枠部材の切欠部が備えられた部位の断面を拡大して示す拡大断面図であり、(d)は鶏舎用冷却装置の下部において下枠部材の切欠部が備えられていない部位の断面を拡大して示す拡大断面図である。
図3図1の鶏舎用冷却装置を分解して示す分解斜視図である。
図4図1の鶏舎用冷却装置の下枠部材と閉鎖板とを示す斜視図である。
図5図1の鶏舎用冷却装置において冷却パネルの取付けを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の一実施形態である鶏舎用冷却装置1について、図1乃至図5を参照して詳細に説明する。なお、各部材同士を取付けるための孔やビスについては図示を省略している。本実施形態の鶏舎用冷却装置1は、通過する空気を冷却する平板状の冷却パネル2を複数備えており、鶏舎(図示は省略)の壁面Wに形成された通気口Vを覆う状態で壁面Wに取付けることで、通気口Vを通して鶏舎内へ供給される空気を冷却して鶏舎内を冷却するための装置である。以下では、組立てた状態の鶏舎用冷却装置1において、通気口Vを覆っている時の冷却パネル2の面に沿った水平方向を左右方向(図2において紙面に対して垂直方向)、左右方向に対して直角方向で水平に延びた方向を奥行き方向として説明する。
【0024】
本実施形態の鶏舎用冷却装置1は、供給される水の気化熱により通過する空気を冷却する平板状の冷却パネル2と、水平方向(左右方向)へ延び複数の冷却パネル2が載置された下枠部材3と、下枠部材3の長手方向両端に取付けられており冷却パネル2よりも高く上方へ延びている一対の側枠部材4と、一対の側枠部材4の上端部同士を連結しており冷却パネル2の上端側を支持している上枠部材5と、上枠部材5に取付けられており複数の冷却パネル2の上面へ水を供給する給水管6(図3では、図示を省略)と、下枠部材3に取付けられている閉鎖板7と、を備えている。
【0025】
また、鶏舎用冷却装置1は、冷却パネル2と下枠部材3との間に配置されている網状の下端支持部材8と、複数の冷却パネル2の上側に載置されており給水管6から供給される水を拡散させて冷却パネル2の上面へ供給する拡散部材9と、を備えている。この拡散部材9は、本実施形態では冷却パネル2と同じ部材で形成されている。
【0026】
冷却パネル2は、通気性及び透水性を有しており、図示するように、所定の厚さで上下に延びた直方体状に形成されている。この冷却パネル2は、水が供給されることで湿潤し、その水が気化する際に発生する気化熱によって通過している空気を冷却することができる。本実施形態の冷却パネル2は、段ボール紙を主体として形成されている。
【0027】
下枠部材3は、図4等に示すように、下端支持部材8を介して複数の冷却パネル2が冷却パネル2の幅方向に並んだ状態で載置される平板状のパネル載置部3aと、パネル載置部3aにおいて冷却パネル2の並んだ方向に対して直角方向の両端から夫々上方へ延出している一対の立壁部3bと、立壁部3bの一部が上方へ開放された状態で切欠かれた切欠部3cと、一対の立壁部3bの下端から夫々下方へ延出している一対の垂下壁部3dと、一対の垂下壁部3dの下端同士を連結している底壁部3eと、を備えている。
【0028】
パネル載置部3aは、下枠部材3の長手方向の全長に亘って延びていると共に、長手方向に対して直角方向(組立てた状態では奥行き方向)へ二つに分離している。この二つに分離したパネル載置部3aは、互いに対向した端辺同士の間隔が冷却パネル2の厚さよりも狭く形成されていると共に、互いに背向した端辺同士の間隔が冷却パネル2の厚さよりも広く形成されている。これにより、二つに分離したパネル載置部3aには、冷却パネル2の下面における厚さ方向の端部付近が夫々載置される。また、二つの分離したパネル載置部3aの間の隙間を通して、冷却パネル2の下端から排出された水を、底壁部3e上へ送ることができる。
【0029】
一対の立壁部3bは、二つに分離したパネル載置部3aの背向した端辺から上方へ延出しており、上下方向の途中から上端同士が遠ざかる方向へ斜めに折れ曲がっている。この折れ曲がった部分により、冷却パネル2の外面に沿って流下してきた水を受止めて一対の立壁部3bの間へ送ることができる。この一対の立壁部3bは、パネル載置部3aの互いに背向した端辺から延出しているため、冷却パネル2を間に挿入した状態では、冷却パネル2との間に隙間が形成される(図2(c)を参照)。
【0030】
切欠部3cは、上下方向が立壁部3bの上端からパネル載置部3aまでで、長手方向が一つの冷却パネル2の幅よりも長く切欠いた形態とされている。この切欠部3cは、長手方向の中央が、下枠部材3の長手方向の中央と一致している。つまり、下枠部材3は、長手方向の中央に切欠部3cが備えられており、切欠部3cを間にして長手方向の両側に立壁部3bが備えられている。
【0031】
本実施形態の下枠部材3は、一対の垂下壁部3d及び底壁部3eにより形成され、上方及び長手方向の両端が開放された樋状の受空間3fを備えており、この受空間3fにより冷却パネル2から下方へ排出された水を受けることができる。また、本実施形態の下枠部材3は、二つに分離したパネル載置部3aの対向した端辺から下方へ延出した平板状の補強部3gを更に備えている。この補強部3gにより、パネル載置部3aの強度が高められている。
【0032】
側枠部材4は、組立てた状態で左右方向の一方が開放された直方体の箱状に形成されており、上部に給水管6が挿入される貫通孔4aが形成されている。
【0033】
上枠部材5は、図2に示すように、壁面Wに取付けられる上第一部材5aと、上第一部材5aに取付けられる上第二部材5bと、上第一部材5a及び上第二部材5bとの間に配置されており給水管6を保持するための保持部材5cと、を備えている。上第一部材5aは、冷却パネル2の壁面W側を向く面に沿って延びる平板状のパネル支持片5a1と、パネル支持片5a1の上端と連続し壁面Wとは反対側が開口した断面コ字形状の取付部5a2と、取付部5a2から壁面Wとは反対方向へ延出している平板状の取付片5a3と、取付片5a3の上端からスリット状に切欠かれており上第二部材5bを取付けるための取付溝5a4と、を備えている。
【0034】
また、上枠部材5の上第二部材5bは、上第一部材5aのパネル支持片5a1に対して冷却パネル2の反対側の面に沿って延びる平板状のパネル支持片5b1と、パネル支持片5b1の上端と連続し上第一部材5aの上端へ向ってクランク状に屈曲して延びているカバー部5b2と、カバー部5b2の先端から下方へ垂下しており下端が上第一部材5aの取付溝5a4に挿入されている平板状の係合片5b3と、を備えている。上第二部材5bは、上第一部材5aに対して着脱自在に取付けられており、上第一部材5aから取外すことにより、冷却パネル2の上端側と、壁面Wとは反対側とを露出させることができる。
【0035】
この上枠部材5は、上第一部材5aと上第二部材5bとによって対向している一対のパネル支持片5a1,5b1の間に、下方へ開放されており冷却パネル2の上端側が挿入されている挿入溝5dが形成されている。また、上枠部材5は、挿入溝5d内において、下枠部材3のパネル載置部3aに載置された冷却パネル2の上面よりも上側に、拡散部材9が配置される所定高さの収容空間5eが形成されている。
【0036】
給水管6は、図示は省略するが、複数の孔が形成されており、その孔から水を冷却パネル2の上面へ供給することができる。また、閉鎖板7は、一対が備えられており、折り曲げられた立壁部3bと同じ角度で、上下方向の途中から折り曲げられており、下枠部材3の奥行き方向(図2において左右方向)を向いた面に夫々外側から取付けることにより、切欠部3cを閉鎖することができる。
【0037】
本実施形態の鶏舎用冷却装置1は、組立てた状態で、下枠部材3及び上枠部材5の左右方向の両端が、側枠部材4によって閉鎖されている。これにより、下枠部材3と上枠部材5との間に支持された冷却パネル2が、左右方向の外側へ脱落することがない。また、下枠部材3の受空間3fに受けられた水が、左右両端から漏れることがない。この鶏舎用冷却装置1は、図示は省略するが、下枠部材3に排水管が取付けられており、受空間3fに受けられた水を、排水管を介して給水管6へ戻すことができる。
【0038】
更に、本実施形態の鶏舎用冷却装置1は、下枠部材3及び上枠部材5の左右方向の長さが、三つの冷却パネル2が並ぶ長さに設定されている。また、本実施形態では、下枠部材3、上枠部材4、側枠部材5、及び閉鎖板7が、夫々金属板(例えば、ステンレス鋼板)を屈曲させて形成されている。
【0039】
次に、本実施形態の鶏舎用冷却装置1の取付け及び冷却パネル2の交換について説明する。まず、通気口Vが形成された鶏舎の壁面Wの一方側(例えば、鶏舎外側)において、壁面Wにおける通気口Vの下側に、鶏舎用冷却装置1の下枠部材3を支持するためのクランク状に屈曲したステーS(図2(a)を参照)をボルトやビス等の固定具Bを用いて取付ける。なお、図示は省略するが、ステーSは、鶏舎用冷却装置1の左右方向の長さに応じて、壁面Wに対して左右方向へ複数取付ける。そして、下枠部材3を複数のステーSに載置する。続いて、通気口Vの上側に、下枠部材3と平行になるように上枠部材5の上第一部材5aを、固定具Bを用いて壁面Wに固定する。
【0040】
そして、下枠部材3のパネル載置部3aに網状の下端支持部材8を載置した上で、複数の冷却パネル2を下端支持部材8に載置すると共に、冷却パネル2の上面に拡散部材9を載置し、冷却パネル2の上端側を上第一部材5aのパネル支持片5a1に当接させる。その後、上第一部材5aに取付けられている保持部材5cに給水管6を保持させる。続いて、露出した状態となっている冷却パネルの上端側や拡散部材9や給水管6等を覆うように、上第二部材5bを上側から被せ、固定具Bを用いて上第一部材5aに上第二部材5bを取付ける。これにより、複数の冷却パネル2が、下枠部材2と上枠部材3との間に支持された状態となる。
【0041】
その後、下枠部材2及び上枠部材3の両端側に、側枠部材4を夫々取付けると共に、給水管6及び排水管(図示は省略)に、図示しない給水装置の配管を接続することにより、壁面W(鶏舎)への鶏舎用冷却装置1の取付けが完了する。
【0042】
本実施形態の鶏舎用冷却装置1を、鶏舎の壁面Wに取付けた状態で、給水管6に水を供給すると、給水管6から冷却パネル2の上面へ水が供給される。そして、冷却パネル2に供給された水は、冷却パネル2の内外を伝って流下することにより、冷却パネル2の全体が湿潤した状態となる。この状態で空気が冷却パネル2を通過すると、冷却パネル2内の水が気化する際に発生する気化熱により空気の熱が奪われて冷却される。これにより、鶏舎の壁面Wに形成された通気口Vを通して、冷却させた空気を鶏舎内へ供給させることができる。
【0043】
この鶏舎用冷却装置1では、破損や目詰まり等により冷却パネル2を交換する場合、下枠部材3から一方の切欠部3cを閉鎖している閉鎖板7を取外す。次に、交換する冷却パネル2が切欠部3cの位置にある時、冷却パネル2は取付けた時と逆の手順で取外すことができる。一方、交換する冷却パネル2が切欠部3cの位置にない時、本実施形態では段ボール紙により形成されている冷却パネル2を用いていることから、交換する冷却パネル2に対して、刃物等により切込みを入れて強度を低下させ、冷却パネル2が取付けられている位置において、上枠部材5及び下枠部材4から交換する冷却パネル2を無理やり引抜いて取外すことができる。また、取外した冷却パネル2の上側の拡散部材9も下側へ引っ張って取外す。
【0044】
次に、冷却パネル2が取外された位置に、切欠部3cに近い側の冷却パネル2をその上側の拡散部材9と共にスライドさせて、切欠部3cが形成された位置を空けた状態とする。その後、新しい冷却パネル2の上面に拡散部材9を載置し、そのままの状態で冷却パネル2の上端側を上枠部材5の挿入溝5d内に斜め下側から挿入させた後に、その冷却パネル2の下端側を、下枠部材3の切欠部3cを通して一対の立壁部3bの間に移動させ、パネル載置部3aに載置させる(図5を参照)。そして、切欠部3cを閉鎖する閉鎖板7を取付けることにより、冷却パネル2が交換される。
【0045】
このように、本実施形態の鶏舎用冷却装置1によれば、下枠部材3に形成された切欠部3cを通して冷却パネル2を上枠部材5と下枠部材3との間に取付けることができるため、冷却パネル2を取付け取外しする際に、高い位置で作業する必要が無く、冷却パネル2の取付け取外しの作業を低い位置で安全に行うことができる。また、冷却パネル2の上端側を、上枠部材5の挿入溝5d内に挿入しているため、冷却パネル2の取付け取外しの作業中に、冷却パネル2の上端側が傾いて倒れるのを防止することができ、冷却パネル2の取付け取外し作業(交換作業を含む)を容易にすることができる。
【0046】
また、下枠部材3の一対の立壁部3bに夫々切欠部3cを形成しているため、奥行き方向の何れの側からでも、冷却パネル2の取付け取外し作業を行うことができる。従って、鶏舎用冷却装置1を鶏舎の壁面Wに取付けた状態では、壁面W(鶏舎)の内側や外側の何れの側からでも冷却パネル2の交換を行うことができる。
【0047】
また、冷却パネル2を取付けるための切欠部3cを、下枠部材3の長手方向の中央に形成しているため、切欠部3cから最も遠い冷却パネル2までの距離を、切欠部3cを長手方向の端部に形成した場合と比較して、短くすることができる。従って、切欠部3cから挿入した冷却パネル2を長手方向へスライドさせる距離を短くすることができ、冷却パネル2の取付け取外し作業を容易にすることができる。
【0048】
更に、複数の冷却パネル2を、上枠部材5、下枠部材3、及び一対の側枠部材4により構成された枠状の部材に取付けているため、それら枠部材により冷却パネル2を補強することができる。
【0049】
また、下枠部材3の切欠部3cを閉鎖板7により閉鎖しているため、切欠部3cの位置の冷却パネル2が何らかの理由により奥行き方向に押されても、冷却パネル2の下端側が切欠部3cを通して下枠部材3から外れてしまうのを防止することができる。また、閉鎖板7を下枠部材3に取付けていることから、冷却パネル2を交換する際の閉鎖板7の脱着作業が低い位置となるため、閉鎖板7の脱着作業を行い易くすることができ、ひいては冷却パネル2を簡単に交換することができる。
【0050】
以上、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、以下に示すように、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計の変更が可能である。
【0051】
例えば、上記の実施形態では、三つの冷却パネル2が並ぶ長さの下枠部材3及び上枠部材5を備えた鶏舎用冷却装置1を示したが、これに限定するものではなく、取付ける鶏舎の条件に応じて、下枠部材3及び上枠部材5の長さ(冷却パネル2の数)を設定することができる。
【0052】
また、上記の実施形態では、冷却パネル2の下端側を、網状の下端支持部材8を介してパネル載置部3aに載置する例を示したが、これに限定するものではなく、パネル載置部3aに直接冷却パネル2を載置しても良い。
【0053】
更に、上記の実施形態では、下枠部材3の切欠部3cにおいて、その下端をパネル載置部3aと同じ高さにした例を示したが、これに限定するものではなく、切欠部3cの下端をパネル載置部3aよりも高くしても良い。
【0054】
また、上記の実施形態では、冷却パネル2の上側に拡散部材9を配置した例を示したが、これに限定するものではなく、拡散部材9を取外した状態としても良い。
【0055】
また、上記の実施形態では、冷却パネル2の上端側が挿入される上枠部材5の挿入溝5dを、上第一部材5aと上第二部材5bとの二つの部材で形成される例を示したが、これに限定するものではなく、上第一部材5aと上第二部材5bとを一つの一体の部材としても良い。
【符号の説明】
【0056】
1 鶏舎用冷却装置
2 冷却パネル
3 下枠部材
3a パネル載置部
3b 立壁部
3c 切欠部
3d 垂下壁部
3e 底壁部
3f 受空間
4 側枠部材
4a 貫通孔
5 上枠部材
5a 上第一部材
5a1 パネル支持片
5a2 取付部
5a3 取付片
5a4 取付溝
5b 上第二部材
5b1 パネル支持片
5b2 カバー部
5b3 係合片
5c 保持部材
5d 挿入溝
5e 収容空間
6 給水管
7 閉鎖板
8 下端支持部材
9 拡散部材
W 壁面
V 通気口
【先行技術文献】
【特許文献】
【0057】
【特許文献1】特開2010−136643号公報
図1
図2
図3
図4
図5