(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
樹脂製のチューブに圧入するインナーリング本体の外周部に拡径部分が形成され、この拡径部分の先端側に前記チューブの開放口から端部内に圧入させて前記チューブの端部を拡径変形させる先窄まりの外周拡径面が形成されたインナーリングであって、
前記外周拡径面の前記インナーリング本体の軸心に沿う方向の断面形状が、前記拡径部分の最大径部位となる第1箇所と、チューブ圧入側の先端となる第2箇所と、前記第1箇所と前記第2箇所との間で、かつ、前記軸心に対する前記チューブの外径と同径となる第3箇所とのそれぞれを通り、径方向において前記外周拡径面に対して前記軸心よりも遠い位置に存在する中心を有する円弧として定義される凸曲面に形成され、
前記第3箇所における前記外周拡径面の接線と前記軸心とが為す角度αは30〜60度(30°≦α≦60°)とされているインナーリング。
前記インナーリング本体の基端側に、管接続装置に設けられるシール構成部と圧接して奥シール部を構成するシール要素部が形成されている請求項1に記載のインナーリング。
【背景技術】
【0002】
インナーリングを用いた樹脂製のチューブの接続としては、例えば特許文献1のものが知られている。
この特許文献1に示されるものでは、外周に雄ねじが形成された状態で管継手に設けられた筒状螺合部と、内周部が流体流通路とされ径外側に環状大径部が隆起した管固定用のインナーリングと、雄ねじに螺合する雌ねじが形成されたユニオンナットとを備えている。
【0003】
管継手にチューブを接続するには、まずインナーリングをチューブの開放口からチューブの端部内に圧入して環状大径部によりチューブの端部を拡径変形させる。
次に、この拡径変形させたインナーリング付きのチューブを筒状螺合部内に挿入する。
次いで、ユニオンナットの雌ねじを筒状螺合部の雄ねじに螺合する。
そして、ユニオンナットを螺進させて、この螺進によりユニオンナットで、インナーリング付きのチューブを軸心方向に押し付けることにより、チューブの接続を行うものである。
【0004】
ところで、インナーリングをチューブの開放口からチューブの端部内に圧入するには専用の圧入治具(圧入装置)を用いて行われている。
この圧入治具(圧入装置)を用いて行われる強制圧入は、例えば特許文献2や特許文献3などに開示されている。
この特許文献2や特許文献3などに開示されたものでは、インナーリングを押し出し機構に嵌装させる一方、チューブをクランプ治具に固定させてチューブの端部を突出させ、押し出し機構の操作によってインナーリングを軸心方向に押し付けて、チューブの開放口からチューブの端部内に圧入させるものである。
【0005】
この圧入治具(圧入装置)では、チューブとインナーリングとを真っ直ぐきっちりと圧入することができるように、クランプ治具と押し出し機構との軸心の相対位置及び方向を精度良く合致させてある。
【0006】
このチューブとインナーリングの互いの軸心X、Pが傾かずに一致して圧入されていると、以下のようになる。
すなわち、
図12に示すように、チューブ4の端部4Cの内周面とインナーリング3の外周面3Gとは、クロスハッチングで図示するように、要所要所がリング状に圧接されるため、いずれの要所においても途切れのない(欠円箇所のない)リング状のシール状態が構成されることになる。
【0007】
ここでさらに、
図11に示す従来のインナーリング3がチューブ4の端部4C内に互いの軸心X、Pが傾かずに一致して圧入されている場合について、
図12を参照しながら説明すると、以下のようになる。
まず、
図11に示す従来のインナーリング3には、円錐面状の先窄まりの外周拡径面3aと最大径部分3bとを有する拡径部分3fが形成され、この拡径部分3fの最大径部位3bから円錐面状の先拡がりの外周部3cが形成され、この外周部3cから同一外径の直線状の胴外周部3dが形成されている。
【0008】
このインナーリング3がチューブ4の端部4C内に圧入されると、
外周拡径面3aには先端手前部分に
図12に示すリング状の第1圧接部a1が構成され、
外周拡径面3aと最大径部位3bとの間から最大径部位3bにかけて
図12に示すリング状の第2圧接部a2が構成され、
最大径部位3bから、最大径部位3bと先拡がりの外周部3cとの間にかけて
図12に示すリング状の第3圧接部a3が構成され、
先拡がりの外周部3cと胴外周部3dの間には第4圧接部a4が形成され、
胴外周部3dにはその大部分に
図10に示すリング状の第5圧接部a5が構成されることになる。
このようにリング状の第1〜第5の圧接部a1〜a5が構成されると、チューブ4の端部4Cとインナーリング3との間は良好にシールされ、流体の漏れが無いのみならず、端部4Cとインナーリング3との間に流体の入り込む余地もなくなる。
【0009】
しかしながら、実際の圧入作業においては、前述のようにチューブとインナーリングの互いの軸心が傾かずに一致して圧入されるという理想的な状態にならない場合がある。この理想的な状態にならない場合について鋭意研究し解析したところ、主に次の(1)〜(3)の理由による。
【0010】
(1)樹脂製のチューブはクランプ治具に固定させてチューブの端部を突出させるものである。この突出させたチューブの端部内にインナーリングを押し出し機構により強制的に押し付けて圧入させるため、この押し付け圧入時に、突出させたチューブの端部が多少屈曲変形してしまうことがある。この屈曲変形が起こると、インナーリングの軸心がチューブの端部の軸心に対して若干傾いて圧入されてしまうケースがある。
【0011】
(2)現場での人為的操作によって切断されるチューブの端面は、チューブの軸心に対して必ずしも直角に切断されるとは限らず、少し傾斜した状態で切断されてしまうことがある。
この端面が少し傾斜したチューブにインナーリングを押し付けて圧入させると、チューブにおける軸心方向で最も突出している部分から順次圧入が開始されるように時差が付く。 従って、圧入に伴う摩擦力がチューブの全周にわたって同時に均一に作用せず、周方向で偏って順次作用することになり、前述の(1)と同様に、インナーリングの軸心がチューブの端部の軸心に対して若干傾いて圧入されてしまうケースがある。
【0012】
(3)樹脂製のチューブは連続押出成形されてケーブルコアに巻回された状態で納入される。この巻回されたチューブは曲がり癖がついており真っ直ぐに矯正するが、この曲がり癖を完全に除去することが難しく、僅かながら軸心方向で湾曲することが殆どである。
この曲がり癖の程度にもよるが、この曲がり癖が大きいと、インナーリングの軸心がチューブの端部の軸心に対して真っ直ぐに圧入されず、若干傾いて圧入されてしまうケースがある。
【0013】
このような理由でチューブ軸心とインナーリング軸心とが互いに傾いてしまうのである。チューブの傾きはそれぞれの軸心どうしの傾きにしてせいぜい1度程度の小さなずれであるが、互いの軸心どうしが傾いてしまうと、以下の問題が発生する。
【0014】
すなわち、
図13に示すように、第2〜第5圧接部a2〜a5については、
図12に示す場合と同様な圧接状況を示すものの、第1圧接部a1は円錐面の外周拡径面3aにおいてチューブ4の剛性が作用して縮径変形しやすいインナーリング3の先端部に幅狭の帯状領域として形成される。
インナーリング3の最大径部位3bがチューブ4の内周面4Aに圧接しつつその圧接部を始点にチューブ4の端部4Cが軸心Xに対して傾くため、幅狭の第1圧接部a1はその圧接部がリング状とはならず周方向で途切れてしまい、面圧低下部分n又は非接触部nが発生する。
【0015】
この面圧低下部分n又は非接触部nが発生すると、流体が高浸透性の液体であればあるほど毛細管現象によって、その面圧低下部分n又は非接触部nとなる箇所から外周拡径面3aとチューブ4の拡大変形された先窄まりの圧接部4aとの間の間隙部分kに浸み込み、最大径部位3bの間際にまで達するおそれがある。
このような面圧低下部分n又は非接触部nの存在は、インナーリング3にチューブ4を圧入し、探傷浸透液に一定時間浸漬した後インナーリング3とチューブ4の間に浸透した探傷浸透液の有無により知ることができる。
【0016】
流体が間隙部分k(
図13参照)にまで浸み込んでしまうと、以下の不具合が出る。
すなわち、チューブ4内や管継手内を洗浄してから次の流体を流したとしても、先の古い流体が間隙部分kに溜まっており、この先の古い流体が面圧低下部分n又は非接触部nから惨み出して、置換した新たな流体に混入するため、新たな流体の純度が低下したり、新たな流体が変質したり、混入を極力防止するために洗浄や置換に多くの時間、多くの洗浄液、多くの置換流体を費やすといった不具合が生じるのである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明のインナーリングにおける実施の形態を、図面を参照しながら説明する。なお、
図4,5,10に示す管接続装置Aなどにおいては、管継手本体1の軸心Yと、インナーリング3の軸心Pと、チューブ4の軸心Xとの三者は、一直線に並ぶ互いに同一のもの(軸心Y=軸心P=軸心X)として描いてある。
また、本明細書では、管継手本体1、ユニオンナット2、インナーリング3、及びチューブ4の各部品において「先端側」や「先端」とは、
図4,5などにおいて、チューブ4が管継手本体1から軸心Y方向で離れる側(又は方向)を指し、「基端側」や「基端」とは、チューブ4が管継手本体1に軸心Y方向で近付く側(又は方向)を指すと定義する。
【0026】
〔実施形態1〕
図1〜
図3にはインナーリング3が示され、
図4及び
図5にはインナーリング3を用いてチューブ4を接続した管接続装置Aが示されている。
この管接続装置Aは、チューブどうしを接続する管継手よりなり、管継手本体1と、ユニオンナット2と、インナーリング3とを有し、インナーリング本体3Aをチューブの端部であるチューブ端部4C内に圧入させた状態でチューブ4を連通接続するものである。
管継手本体1、ユニオンナット2、インナーリング3、チューブ4はいずれも耐熱、耐薬品性に優れるフッ素樹脂(例:PTFE,PFA,ETFE,CTFE,ECTFEなど)等の樹脂製である。
なお、管継手本体1、インナーリング3、チューブ4が前記のフッ素樹脂で構成されるとき、ユニオンナット2においては、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリエチレンなどの樹脂で形成してもよい。また、管継手本体1、ユニオンナット2、インナーリング3、チューブ4のすべてをポリアミド、ポリプロピレン、ポリエチレンなどの樹脂で形成することもできる。
【0027】
管継手本体1は、筒状の胴部1Cと、その軸心Y方向の先端側に設けた筒状螺合部1Aと、その軸心Y方向の基端側に設けた筒状の受口1Bと、筒状螺合部1Aの付根部の径内側に形成した一方の小径筒部1aと、受口1Bの径内側に形成した他方の小径筒部1bと、内周面(符記省略)よりなる内部流路6とを有する筒状構造のものである。例えば、軸心Y方向において対称となる形状の部品に形成されている。
筒状螺合部1Aには、その先端部外周から基端側に向けて雄ねじ7が形成され、その先端部内周に先拡がりの内周面8が形成され、この内周面8の基端側に同一内径の直線状の内周面9が形成されている。
【0028】
小径筒部1aの径外側には、径一定で直線状の外周面10が形成され、径内側における先端部には、軸心Y方向の先端側にいくに連れて径が次第に大きくなる先拡がり状の傾斜内周面5が形成されている。
また、この一方の小径筒部1aの外周面10と筒状螺合部1Aの内周面9との間には筒状の環状溝mが形成されている。
なお、管継手本体1は、
図4に示すように、受口1Bは筒状螺合部1Aと同構造に、かつ、他方の小径筒部1bは一方の小径筒部1aと同構造に記載されているが、
図10に示す構造のように受口1Bや他方の小径筒部1bはそれら以外の構造であっても良い。
【0029】
ユニオンナット2は、樹脂製ナットよりなり、その内周部に、筒状螺合部1Aの雄ねじ7に螺合する雌ねじ13と、この雌ねじ13よりも先端側に位置して径内側に張り出す環状の鍔部12とを有する。
鍔部12の内径部分は、チューブ4が挿通できるようにチューブ4の外径より極僅かに大きいほぼ同径の内周面12aに設定されている。この鍔部12の基端側は、インナーリング本体3Aを圧入したチューブ端部4Cの先端側外周面(先窄まりの圧接部4aの外周面)を、管継手本体1の軸心Y方向に押す押圧部12bとして構成されている。
従って、雌ねじ13の筒状螺合部1Aの雄ねじ7に螺合させての螺進により、押圧部12bがチューブ端部4Cの先端側外周面を管継手本体1の軸心Y方向に押し付けていくように構成されている。
なお、鍔部12の内周面12aは径一定で描いてあるが、雌ねじ13から遠ざかるほど(軸心Y方向で先端側にいくほど)内径が漸次拡大するテーパ内周面に形成してもよい。
【0030】
インナーリング3は、
図1〜
図5に示すように、チューブ4の開放口からチューブ端部4C内に圧入するインナーリング本体3Aと、このインナーリング本体3Aの基端側にチューブ4の開放口から突出する嵌合筒部3Bとを有する筒状構造である。
このインナーリング本体3Aと嵌合筒部3Bとの内周は、互いに同径で均一な内周部3wに形成され、流体流通路とされている。
インナーリング本体3Aは、その外周部3Gに拡径部分3fが形成され、この拡径部分3fの先端側に先窄まりの外周拡径面3aが形成されている。この拡径部分3fの基端側には、最大径部位3bと、この最大径部位3bの基端側に嵌合筒部3B側にいくほど外径が小さくなる先拡がりの外周部3cが形成されている。また、この先拡がりの外周部3cの基端側には外径が一定の胴外周部(胴外周面)3dが形成されている。
【0031】
本願の図面においては、インナーリングの最大径部位3bが、一定の軸方向の長さを備えた構造として記載されているが、外周拡径面3aが直ちに先拡がりの外周部3cに変化する境界に対応する構造であっても技術的に全く差し支えは無い。その場合、
図6などにおいて示す境界3gは最大径部位3bに一致する。
【0032】
拡径部分3fの先窄まりの外周拡径面3aは、全体が径方向で外側に凸となる凸曲面に形成され、この外周拡径面3aの基端側に最大径部位3bが形成され、この外周拡径面3aと最大径部位3bとがチューブ端部4C内に圧入されることで、チューブ端部4Cが拡径変形されるものである。
また、インナーリング本体3Aの先端部には、軸心Pの先端側にいくほど径が大きくなるように傾斜した内周面よりなるカット状の変形防止部16が形成されている。この変形防止部16によって、外周拡径面3aがチューブ端部4C内に圧入した後、外周拡径面3aの先端部側が径内方向(流体流通路側)に変形して突出するのを防止し、さらにこの変形防止部16によって、流体の流れの勢いや速さで外周拡径面3aの先端側がさらに径内方向(流体流通路側)に変形して突出するのも防止し、これによって外周拡径面3aの先端部の圧接力が低下するのを防いでいる。
【0033】
嵌合筒部3Bには、管継手本体1の環状溝mに圧入する突出円筒部14と、この突出円筒部14の径内側に位置して傾斜外周面11を備える環状小突起部15とが形成されている。環状小突起部15の基端部には、インナーリング本体3Aの軸心Pの基端側にいくほど径が大きくなるように傾斜した内周面よりなるカット状の変形防止部17が形成されている。この変形防止部17により、環状小突起部15の基端側が径内方向(流体流通路側)に変形して突出するのが防止される。
環状小突起部15の傾斜外周面11と突出円筒部14の内周面14aとの間は、環状の窪みに形成されていて、この窪みに管継手本体1の小径筒部1aが嵌入され、この嵌入によって環状小突起部15の傾斜外周面11と小径筒部1aの傾斜内周面5とが当接できるようになっている。
また、嵌合筒部3Bの外周面3eと胴外周部3dとの径差(段差)は、チューブ4の外周面4Bと筒状螺合部1Aの内周面9との間に極力隙間が生じないように、チューブ4の肉厚とほぼ等しく設定されている。
【0034】
チューブ4は、そのチューブ端部4C内にインナーリング本体3Aを圧入して拡径変形することによって、インナーリング本体3Aの外周拡径面3aに圧接する先窄まりの圧接部4aと、インナーリング本体3Aの最大径部位3bに圧接する最大拡径圧接部4bと、インナーリング本体3Aの外周部3cに圧接する先拡がりの圧接部4cと、インナーリング本体3Aの胴外周部3dに圧接する胴圧接部4dとが、形成される。
この形成状態において、チューブ4の内周面で構成される内部流路4wの径とインナーリング3の流体流通路を構成する内周部3wの径、及び管継手本体1の内部流路6の径は、互いに同一寸法d(
図3,4参照)に、即ち、面一状に設定されているが、この面一状に設定する場合に限られるものではない。
【0035】
チューブ4は、そのチューブ端部4C内にインナーリング本体3Aを圧入した後、管継手本体1内に挿入して装備される。そして、
図4及び
図5に示すように、ユニオンナット2の雌ねじ13を管継手本体1の筒状螺合部1Aの雄ねじ7に螺合して螺進させることにより、ユニオンナット2の押圧部12bでチューブ端部4Cの先端側外周面(先窄まりの圧接部4aの外周面)を軸心Y方向に押し付ける。
この押し付けによって、インナーリング3の突出円筒部14が管継手本体1の環状溝mに圧入され、また、インナーリング3の傾斜外周面11が管継手本体1の傾斜内周面5に当接して圧接される。
【0036】
このようにインナーリング3を圧入したチューブ4が管接続装置Aに挿入されて接続されると、次に述べるように、少なくとも3箇所のシール部(S1,S3,S4)が構成される。
第1シール部S1は、チューブ4の先窄まりの圧接部4aとインナーリング本体3Aの外周拡径面3aとの圧接、チューブ4の最大拡径圧接部4bとインナーリング本体3Aの最大径部位3bとの圧接、チューブ4の先拡がりの圧接部4cとインナーリング本体3Aの外周部3cとの圧接、さらにチューブ4の胴圧接部4dとインナーリング本体3Aの胴外周部3dとの圧接によって構成されるシール部である。
【0037】
第2シール部S2は、チューブ4の先拡がりの圧接部4cと、管継手本体1の筒状螺合部1Aにおける先拡がりの内周面8とが圧接する構造が採られる場合に構成されるシール部である。
第3シール部S3は、インナーリング3の嵌合筒部3Bの外周面と管継手本体1の筒状螺合部1Aの内周面9における基端側部分との圧接、さらに嵌合筒部3B、詳しくは突出円筒部14の内周面14aと管継手本体1の小径筒部1aの外周面10との圧接によって構成されるシール部である。
第4シール部S4は、インナーリング3の環状小突起部15における傾斜外周面11と管継手本体1の小径筒部1aにおける傾斜内周面5との衝合当接による圧接によって構成されるシール部である。
【0038】
これら第1,3,4シール部S1,S3,S4が構成されていることによって、チューブ4内・インナーリング3内・管継手本体1内を流れる流体は、管継手本体1の筒状螺合部1Aとチューブ端部4Cとの接触面に侵入して漏れることがなく、万全にシールされる。
なお、これら第1,3,4シール部S1,S3,S4のうち、第1シール部S1が確実にシールされていれば、流体は、管継手本体1の筒状螺合部1Aとチューブ端部4Cとの間から侵入したり漏れることがなく、良好なシールが確保される。しかし、より万全なシールを確保するためには第3シール部S3及び第4シール部S4のうち少なくともいずれか一方を設けておく方が好ましい。
【0039】
ところで、第1シール部S1のうち、チューブ4の先窄まりの圧接部4aとインナーリング本体3Aの外周拡径面3aとの圧接については、次のように構成されている。
すなわち、
図3に示すように、外周拡径面3aのインナーリング本体3Aの軸心Pに沿う方向の断面形状が、拡径部分3fの最大径部位3bとなる第1箇所e1と、チューブ圧入側の先端となる第2箇所e2と、第1箇所e1と第2箇所e2との間で、かつ、軸心Pに対するチューブ4の外径Dと同径となる第3箇所e3とのそれぞれを通る凸曲面となるように形成されている。
例えば、
図3においては、第1箇所e1が、拡径部分3fの最大径部位3bにおけるチューブ圧入側の先端となる箇所であり、第3箇所e3における外周拡径面3aの接線Lと軸心Pとが為す角度αは30〜60度(30°≦α≦60°)とされている。
【0040】
より詳しくは、
図3において、外周拡径面3aの軸心Pに沿う断面形状は、前述の第1箇所e1〜第3箇所e3の三点を通り中心iを有する半径Rの円弧(三点円弧又は三点曲線)として定義されている。この
図3に描かれているものでは、外周拡径面3aと変形防止部16との境目が第1箇所e1で、かつ、外周拡径面3aと最大径部位3bとの境目が第2箇所e2であって、接線角度α≒42度である。
なお、チューブ4の外径Dとは外周面4Bの径である。また、半径Rの円弧の中心iは、
図3においては軸心Pの近くにあるが、接線角度αの条件などにより、その位置は種々に変化する。
【0041】
このように、先窄まりの外周拡径面3aが、前述のように定義される凸曲面に形成されていることにより、次の作用効果が得られる。
今、インナーリング本体3Aがチューブ端部4Cに圧入され、インナーリング本体3Aが傾いて圧入されたため、
図6に示すように、インナーリング本体3Aの軸心Pとチューブの軸心Xとの間に相対角度θが存在するとする。
【0042】
このように傾いて圧入された不測の状況であっても、インナーリング本体3Aの外周拡径面3aとチューブ4の先窄まりの圧接部4aとの間に第1圧接部a1が形成され、この第1圧接部a1は、周方向で途切れることなく連続したリング状で、かつ、軸心P方向に幅の広い面積の圧接を得ることが可能になる。
すなわち、この幅の広い面積の圧接は、チューブ4の材料や、厚み(肉厚)、拡径量に依らず、丁度、
図6に示す従来の第1圧接部a1から第2圧接部a2まで連続して一体化したような圧接となることが可能である。
【0043】
また、インナーリング本体3Aの軸心Pとチューブの軸心Xとの間に相対角度θが存在すると、
図6に示すように、チューブ4の曲がり方向外側部分sでは、チューブ4の自由径部分(
図6にて符号4Aや4Bが付されている部分)から先窄まりの圧接部4aへと拡径変化する部分の曲がり(拡径曲がり)が緩やかになる。従って、インナーリング本体3Aの外周拡径面3aに先窄まりの圧接部4aが押付けられる状態になり、強い圧接状態が得られる。
【0044】
そして、チューブ4の曲がり方向内側部分vでは、チューブ4の自由径部分から先窄まりの圧接部4aへと拡径変化する部分の曲がり(拡径曲がり)が激しく(急に)変化し、インナーリング本体3Aの外周拡径面3aと先窄まりの圧接部4aとを離間させる作用となり、圧接が弱い状態となる。
しかしながら、本願の構成においては、圧接が弱くなる曲がり方向内側部分vにおいても、前述のように幅の広い面積を有するリング状の第1圧接部a1が実現(維持)されて十分に圧接することができ、面圧低下部分n又は非接触部nが生じるといった従来の不具合を解消することができる。
【0045】
参考として、接線角度αが30度である場合のインナーリング先端部を
図7(a)に、そして、接線角度αが60度である場合のインナーリング先端部を
図7(b)に、それぞれ要部断面の例示図として示す。この
図7(a)と(b)において、インナーリング3は、外周拡径面3aから先端側は互いに異なる形状及び寸法であるが、最大径部位3bから基端側の部分は互いに同じである。
いずれの場合であっても、チューブ4は外周拡径面3aに沿う状態となるように円滑に拡径されてインナーリング3に圧入されている。
【0046】
このように、インナーリング本体3Aの外周拡径面3aとチューブ4の先窄まりの圧接部4aとの間にインナーリング3の先端部から軸心Pの基端側に向けて幅の広い面積で、かつ、途切れのないリング状の良好な第1圧接部a1が形成されると、流体が高浸透性の液であっても、
図13に示す従来のように、インナーリング本体3Aが傾いて圧入されて毛細管現象などにより非接触部nから、インナーリング本体3Aの外周拡径面3aとチューブ4の先窄まりの圧接部4aとの間の間隙部分kに浸み込んでいく、という不具合を防止することができる。
この第1圧接部a1により、間隙部分kに溜まっている先の古い流体が非接触部nから惨み出して置換した新しい流体に混入し、この混入によって、新しい流体の純度が落ちるとか、置換後の新しい流体に変質が起こるとかという従来の不具合を解消することができる。また、洗浄や置換に多くの時間、多くの洗浄液、多くの置換流体を費やすという不具合も解消することができる。
【0047】
また、インナーリング本体3Aの外周拡径面3aを前記のように大径で、かつ、凸曲面にする発明とは別の構造として、
図11に示す従来のインナーリング本体3Aの外周拡径面3aよりも軸心Pに対する角度をより小さくする手段、つまり、先窄まりの円錐面の外周拡径面3aの角度τをより小さくする手段も考えられた。
しかしながら、この手段で周方向に途切れのない第1圧接部を得るには、軸心P方向の長さを相当に長くせざるを得えず、そうなるとインナーリング本体3Aの長さが現状(
図11)より大幅に長大化する。加えて、インナーリング本体3Aの軸心Pとチューブの軸心Xとの間に相対角度差が存在する場合には、前述したように、曲がり方向内側部分(
図6に示す「曲がり方向内側部分v」を参照)でのチューブ4とインナーリング3との圧接が弱くなり、浸透のおそれがある。
【0048】
ところで、第3箇所e3の接線角度αが60度超(α>60°)である場合には、
図8(b)に示すように、外周拡径面3aの軸心Pに沿う方向の半径(曲率)Rが小さくなる。この場合には、チューブ4の圧入荷重が大きくなり、インナーリング3の圧入に強い力が必要となり、しかも、急激なチューブ拡径によるチューブ材の機械的物性の低下、すなわちチューブ材の変質を招く。加えて、チューブ4を加熱して柔らかくする必要も生じるなど、チューブの変質を招く可能性も大きくなる。
このようにして圧入された場合、
図8(b)に示すように、チューブ4の自然径部分から圧接部4aに架けての拡がり箇所の曲りが、外周拡径面3aに追従できず、両者の接触面積(
図6のa1参照)自体が小さくなり、安定したシール作用が期待できなくなる。加えて、チューブ4が外周拡径面3aに添えない部分、即ち離反部分Fが大きく発生して液溜りが生じ、液置換特性に悪影響を及ぼすおそれが大になる。
【0049】
一方、第3箇所e3の接線角度αが30度未満(α<30°)である場合には、
図8(a)に示すように、外周拡径面3aの軸心Pに沿う方向の半径(曲率)Rが大きくなって穏やかな曲面になる。この場合では、チューブ4の変形がその穏やかな曲面に沿うことができず、チューブ内周面4Aと外周拡径面3aとの間に隙間Gができてしまう不都合が生じる。これでは、従来の不都合な状態と同様な接触状態になってしまい、芳しくない。
このように、接線角度αが30度未満でも60度超でも種々の不都合を招き易くなるのであり、従って、接線角度αは30〜60度であることが望ましい。
【0050】
実施形態1においては、インナーリング本体3Aの外周拡径面3aが球面状の凸曲面とされているが、外周拡径面3aは球面状に限定されるものではなく、懸垂曲面などのなめらかな凸曲面でもよい。
以上のように、外周拡径面3aの軸心P方向の寸法を増大させることなく、外周拡径面3aと先窄まりの圧接部4aとを圧接状態にすることができ、軸方向に幅広い帯状圧接部を形成できるため、従来の不具合(浸透のおそれ)を防止することができる。
【0051】
〔実施形態2〕
実施形態2のインナーリング3は、
図9,
図10に示すように、嵌合筒部3Bの構成のみが実施形態1のものと相違するものである。この相違により、管接続装置Aにおいても、管継手本体1の嵌合筒部3Bの構成が相違するものである。なお、
図10においては、受口1Bと他方の小径筒部1bとは、
図4に示す管継手本体1のものと同じものに記載されている。
【0052】
すなわち、インナーリング3の嵌合筒部3Bにおいては、外周面3eと、内周部3wと、基端側にインナーリング3の先端部側ほど窄まる先窄まりの内周面20とが形成されている。他方、管継手本体1においては、筒状螺合部1Aの付根部の径内側に、管継手本体1の先端部側ほど径小になる外周面18を有した先窄まりの小径筒部1aが形成され、この小径筒部1aの外周面18と筒状螺合部1Aの内周面9との間には嵌合筒部3Bの基端側が嵌入する先拡がりの環状溝19が形成されている。
そして、小径筒部1aの先端部には、小径筒部1aの先端側が径内方向(流体流通路側)に変形して突出し、これによって流体が侵入して滞留するのを防止するためのカット状の変形防止部21が形成されている。
【0053】
実施形態2の場合は、ユニオンナット2を管継手本体1の筒状螺合部1Aに螺合させて締付方向に回すことにより螺進させる。すると、ユニオンナット2の押圧部12bでチューブ端部4Cの先端側外周面(先窄まりの圧接部4aの外周面)を軸心Y方向に押し付ける。
これにより、インナーリング3の嵌合筒部3Bの基端側が管継手本体1の環状溝19に押し込まれて、管継手本体1の先窄まりの外周面18(シール構成部の一例)とインナーリング3の先窄まりの内周面20(シール要素部の一例)とが当接して圧接され、第3シール部(奥シール部の一例)S3が構成される。
なお、この第3シール部S3を完全に機能させるために、つまり嵌合筒部3Bの基端側が環状溝19の底面に当接して、先窄まりの内周面20が筒状螺合部1Aの外周面18に非圧接の状態にならないように、嵌合筒部3Bの基端側の端面はカット状の当接回避部22に形成されているものである。
【0054】
実施形態2のインナーリング3を用いたチューブ4と管継手本体1との接続は、第3シール部S3(奥シール部)以外の構成について、
図4,5に示す実施形態1の構成のものと同様であるため、
図9,10においても
図4,5に示す符号を付けることによって、その説明を省略する。
【0055】
〔別実施形態〕
インナーリング3を圧入したチューブ4の接続は、実施形態1,2の管接続装置A(管継手)に限られないのは勿論である。本発明を逸脱しない範囲で他の形態の管接続装置A(管継手)と接続するようにしてもよい。また、インナーリング3を圧入したチューブ4の接続は、ポンプ、バルブ等の流体機器よりなる管接続装置に接続するようにしてもよいのは勿論である。