(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5871869
(24)【登録日】2016年1月22日
(45)【発行日】2016年3月1日
(54)【発明の名称】統合歯科治療装置
(51)【国際特許分類】
A61G 15/14 20060101AFI20160216BHJP
A61C 19/00 20060101ALI20160216BHJP
【FI】
A61G15/14
A61C19/00 D
【請求項の数】13
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-175152(P2013-175152)
(22)【出願日】2013年8月27日
(62)【分割の表示】特願2009-537619(P2009-537619)の分割
【原出願日】2007年11月20日
(65)【公開番号】特開2014-446(P2014-446A)
(43)【公開日】2014年1月9日
【審査請求日】2013年9月26日
(31)【優先権主張番号】20061024
(32)【優先日】2006年11月21日
(33)【優先権主張国】FI
(31)【優先権主張番号】20061029
(32)【優先日】2006年11月22日
(33)【優先権主張国】FI
(73)【特許権者】
【識別番号】591036309
【氏名又は名称】プランメカ オイ
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100101498
【弁理士】
【氏名又は名称】越智 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100107401
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 誠一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100120064
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 孝夫
(72)【発明者】
【氏名】フロイドマン,ヤン
(72)【発明者】
【氏名】ヴィルタ,アルト
(72)【発明者】
【氏名】ミュラー,ティモ
(72)【発明者】
【氏名】フオタリ,アルト
【審査官】
川島 徹
(56)【参考文献】
【文献】
特開2000−316921(JP,A)
【文献】
特開2003−070854(JP,A)
【文献】
特開2003−235876(JP,A)
【文献】
特開2005−169093(JP,A)
【文献】
国際公開第02/053080(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61G 15/14
A61C 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気的動力、圧縮空気動力、水の少なくとも1つを供給する歯科治療ユニット(10)、及び患者用椅子(20)を備える統合歯科治療装置であって、前記歯科治療ユニットには、スピットン構成体(12)、歯科医の器具用のアーム(40)、助手の器具用/該統合歯科治療装置の吸引システム用のアーム(60)、表示画面用のアーム、ライト(51)用のアーム(50)、トレー用のアーム、歯科処置環境で用いられる他の何らかの道具用のアーム、歯科処置環境で用いられる任意のデバイス又は道具用のコネクタ構造、のうち少なくとも1つが構造的に接続して支持される、統合歯科治療装置において、
該統合歯科治療装置の前記歯科治療ユニット(10)を床に据え付ける手段、及び前記歯科治療ユニット(10)に構造的に接続し前記歯科治療ユニット(10)から水平方向に延在して前記患者用椅子(20)を支持する支持手段(21)と、を備えるように構成され、
前記歯科治療ユニット(10)は、垂直軸の回りで回動可能に構成され、少なくとも外部部分は少なくとも1つの垂直対称面に対して対称となるように構成され、少なくとも前記助手の器具用のアーム(60)の回動軸及び/又は前記歯科医の器具用のアーム(40)の回動軸のいずれかは前記垂直対称面内にあり、前記患者用椅子(20)は、少なくともその外部部分は少なくとも1つの垂直対称面に対して対称となるように構成され、前記歯科治療ユニット(10)の前記垂直軸は、前記患者用椅子の前記垂直対称面内に位置するように構成される、
ことを特徴とする統合歯科治療装置。
【請求項2】
前記統合歯科治療装置は、少なくとも前記外部部分が少なくとも1つの対称面に対して対称となるように構成されるアシスタントユニットを備え、該アシスタントユニットは、前記助手の器具用のアーム(60)に関連して位置付けられ、且つ前記助手の器具用に設けられる少なくとも1つの器具ホルダを備え、該器具ホルダの位置は、前記アシスタントユニットの前記少なくとも1つの対称面のうちの少なくとも1つの対称面内にある軸に対して調整可能に構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の統合歯科治療装置。
【請求項3】
前記統合歯科治療装置は、2つ以上の実質的に水平方向に延在するアーム構造(40,50,60)を備え、該アーム構造は、歯科治療作業に関連して用いられる器具又はデバイスを支持するように配置された回動軸であって、前記歯科治療ユニット(10)の前記垂直対称面内にある少なくとも1つの回動軸を有するように配置されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の統合歯科治療装置。
【請求項4】
前記歯科治療ユニット(10)はスピットン構成体(12)を備え、該スピットン構成体自体又は該スピットン構成体に含まれる構成部分の少なくともいくつかが、前記歯科治療ユニット(10)の前記垂直対称面内にある軸に対して回動可能に位置が調整可能であることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の統合歯科治療装置。
【請求項5】
前記患者用椅子(20)は垂直軸に対して回動可能であるように構成されることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の統合歯科治療装置。
【請求項6】
前記患者用椅子(20)が回動可能に配置される前記垂直軸は前記歯科治療ユニットの前記垂直対称面内に配置されていることを特徴とする、請求項5に記載の統合歯科治療装置。
【請求項7】
前記患者用椅子(20)を垂直軸に対し回動させることを可能にする手段は、前記患者用椅子(20)を支持する手段(21)に関連して配置されることを特徴とする、請求項5又は6に記載の統合歯科治療装置。
【請求項8】
前記歯科治療ユニット(10)及び前記患者用椅子(20)は、前記歯科治療ユニット(10)が前記患者用椅子(20)の両側で少なくとも1つの位置において該患者用椅子に対して対称的に配置可能であるように、互いに対して回動可能に構成される、ことを特徴とする請求項5乃至7のいずれか1項に記載の統合歯科治療装置。
【請求項9】
前記歯科治療ユニット(10)は、垂直部及び実質的に水平方向に延在する部分(11)を備え、該実質的に水平方向に延在する部分(11)には、一方には前記歯科治療ユニット(10)を床に据え付ける手段が、他方には前記歯科治療ユニット(10)の前記垂直部が互いに離れて配置されることを特徴とする、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の統合歯科治療装置。
【請求項10】
前記歯科治療ユニット(10)は、前記垂直軸に対して360度回動可能であるように配置されることを特徴とする、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の統合歯科治療装置。
【請求項11】
前記患者用椅子(20)を支持する手段(21)の水平寸法は、前記歯科治療ユニット(10)の前記水平方向に延在する部分(11)の水平寸法と実質的に同程度であることを特徴とする、請求項1乃至10のいずれか1項に記載の統合歯科治療装置。
【請求項12】
前記歯科治療ユニット(10)及び前記患者用椅子(20)は、互いに独立して回動可能であるように配置されることを特徴とする、請求項5乃至11のいずれか1項に記載の統合歯科治療装置。
【請求項13】
電気的動力、圧縮空気動力、水の少なくとも1つを供給する歯科治療ユニット(10)、及び患者用椅子(20)を備える統合歯科治療装置であって、前記歯科治療ユニットには、スピットン構成体(12)、歯科医の器具用のアーム(40)、助手の器具用/該統合歯科治療装置の吸引システム用のアーム(60)、表示画面用のアーム、ライト(51)用のアーム(50)、トレー用のアーム、歯科処置環境で用いられる他の何らかの道具用のアーム、歯科処置環境で用いられる任意のデバイス又は道具用のコネクタ構造、の少なくとも1つが構造的に接続して支持される、統合歯科治療装置において、
該統合歯科治療装置の前記歯科治療ユニット(10)を床に据え付ける手段、及び前記歯科治療ユニット(10)に構造的に接続し前記歯科治療ユニット(10)から水平方向に延在して前記患者用椅子(20)を支持する支持手段(21)と、を備えるように構成され、
前記歯科治療ユニット(10)は、垂直軸の回りで回動可能に構成され、少なくとも外部部分は少なくとも1つの垂直対称面に対して対称となるように構成され、少なくとも前記助手の器具用のアーム(60)の回動軸及び/又は前記歯科医の器具用のアーム(40)の回動軸のいずれかは前記垂直対称面内にあり、
前記患者用椅子(20)は垂直軸に対して回動可能であるように構成され、
前記患者用椅子(20)は、少なくともその外部部分は少なくとも1つの垂直対称面に対して対称となるように構成され、前記歯科治療ユニット(10)の前記垂直軸は、前記患者用椅子(20)の少なくとも1つの回転位置において、前記患者用椅子の前記垂直対称面内に位置するように構成され、
前記歯科治療ユニット(10)の回動可能な配置の基準となる垂直軸、及び前記患者用椅子(20)の回動可能な配置の基準となる垂直軸は、互いに離れて配置される、
ことを特徴とする統合歯科治療装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも患者用椅子及び歯科治療ユニットを備える統合歯科治療装置であって、歯科治療ユニットに、給水栓及び場合によってはカップスタンドを備えるスピットン構成体、歯科医の器具用のアーム、助手の器具ユニット用のアーム、統合歯科治療装置の吸引システムに接続されるアーム、表示画面用のアーム、無影灯用のアーム、トレー用のアーム、歯科治療環境で用いられる他の何らかのデバイス又は道具用のアーム、上述されているか否かにかかわらず歯科治療環境で用いられる任意のデバイス又は道具用のコネクタ構造、のうち少なくとも1つが構造的に接続される、統合歯科治療装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術では、歯科治療ユニットは、特に歯科医間で異なる文化ごとに異なる構造体として実施されてきた。歯科治療ユニット自体は、歯科作業に関連して用いられる装置であり、その1つの本質的な従来の機能は、歯科医によって用いられる歯科用器具に動作パワー(例えば、電気又は圧縮空気)及び/又は水等の歯科医の業務に必要な物理量を適切に供給することである。したがって、これに関連して、歯科学に携わる当業者には自明であるように、歯科治療ユニットという用語は、少なくともそのような供給機能用の手段を囲むカバーを有する物理的実体を意味する。歯科作業に関連して、血液、唾液、歯石等を患者の口から吸引によって除去する器具を用いる必要がある場合も多い。器具を手元に置いておくために、通常は、歯科治療ユニットに様々なホルダ及び/又はアームが設けられる。歯科治療ユニットには、無影灯、及び今日では例えば表示画面等の設備のために、複数のアームが取り付けられている場合さえある。いくつかの解決手段では、患者用椅子も歯科治療ユニットと統合されて、単一の装置を形成する。歯科治療の文化に関して異なる地域の顧客に対応することができ、且つ歯科医が歯科治療業務に関連して望む器具の利用可能性等の歯科医の個人的ニーズ及び習慣にも対応することができるように、製造業者は、多くの異なる装置生産バージョンを保持せざるを得ない。
【0003】
異なるバージョンの数を減らすための1つの解決手段は、同じ基本構造体を利用して少なくとも2つの異なる顧客ニーズを満たすことができるように、異なる構成の実現を可能にするものとして装置を実現することである。歯科治療ユニットは、概して、例えば圧縮空気、吸引、及び排水用の接続部を必要とし、多くの場合は給水網及び電気用の接続部も必要とするため、このような接続部は、通常、この常設設備に関連して必要なライン及び接続部を設けることによって永管継手(permanent fitting)として処置室に作り付けられる。
【0004】
歯科医の中でも特殊な範疇に入るのが、左利きの歯科医である。特に、今日の歯科医は、通常は横たわった位置まで倒した患者の片側から作業するため、左利きの歯科医は、患者に対して右利きの歯科医が好むのとは異なる側から作業するのが通常はより自然である。
【0005】
従来技術は、左利き/右利き作業間での変更さえも可能にするものとして実施される統合歯科治療装置を含む。例えば、患者用椅子が床に固定されており、歯科治療ユニットを介して用いられることが意図される器具及び他のデバイスに必要なラインが、患者用椅子の構造を通ってそれらの器具及び他のデバイスに通じており、歯科治療ユニットを患者用椅子の第1の側から第2の側に回すことができるように垂直軸に対して回動可能に配置されるアーム部の端に、歯科治療ユニットを据え付けることによって、歯科治療ユニットが患者用椅子に接続される、従来技術の構成体がある。これらの構成体は、患者用椅子の両側からの装置の使用を考慮した状況を改善するが、統合歯科治療装置の考えられる部分全ての観点では、この解決手段の結果自体は対称ではない。
【0006】
他方、上述したような構造体は、患者用椅子が床に据え付けられる基本構造を備える。しかしながら、多くの歯科医の意見では、患者用椅子が床に固定されておらず、例えば歯科治療ユニットに関連して椅子上げ機構が配置されている統合歯科治療装置の方が、間違いなく人間工学的である。このような基本構造によって得られる可能性は、患者用椅子が比較的薄い構造として実施され得ることで、歯科医が座位で自分の膝を患者用椅子の下に置いていても作業が可能であるほど十分な空間を椅子の下に設けることができることである。患者用椅子及び歯科治療ユニットの統合により、装置で必要な構成部分の数を減らすことができる可能性が得られる。
【0007】
さらに、患者用椅子、歯科治療ユニット、又はそれらから形成される装置が、常設設備として歯科処置室に配置される場合が多いことに加えて、歯科処置空間には、通常、棚又は例えば壁に据え付けられた歯科用X線デバイス等の他の固定構造も設けられる。通常、常設設備の解決手段では、例えば処置空間内の固定構造に対して又は統合歯科治療装置に含まれ得る他の構造に対して歯科医又は助手の作業場所を変えることができる可能性があまりないのと同じように、これらの構造に対して処置用椅子上の患者の位置を変えることができる可能性もあまりない。さらにより大まかに言えば、複数の機能が同じ構造体に統合されている多くの統合歯科治療装置を考えると、多くの場合、装置の種々の部分の配置及びそれらの位置の調整可能性には、例えば人間工学的作業及び変わりやすい診療空間によって課せられる特殊な要件の観点から改善の余地が残っている。
【発明の概要】
【0008】
本発明の目的は、統合歯科治療装置の新たな概念、つまり、特に歯科医の個人的ニーズにより柔軟に対応することができるような形で、異なる歯科処置室の異なるニーズを満たすように装置の可変性をそれ自体及びその好適な実施形態で向上させる概念を提供することである。その目標は、患者用椅子が床に据え付けられるように配置されるのではなく統合歯科治療装置の他の構造によって支持されるように配置される、それ自体が既知の基本構造体を保ち続けることである。具体的な目的はさらに、好ましくはユーザから見える部分及び特性の全てに関して装置を対称に配置させることで、装置の全部分を患者用椅子の両側で同じように位置決めすることができ、且つ器具及びそれに接続可能な他のデバイスを患者用椅子の両側から同じように用いることができるように、構造体を実施することを可能にすることである。
【0009】
以下で、本発明のこれらの目的及びいくつかの他の目的、並びにその好適な実施形態のいくつかを、添付図面も参照してより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の装置の好適な実施形態の基本構造を側面図で示す。
【
図2】本発明の装置の第2の好適な実施形態の基本構造を側面図で示す。
【
図3】本発明の装置の第3の実施形態を側面図で示す。
【
図4】歯科治療ユニットに対する患者用椅子のいくつかの可能な位置を示す。
【
図5】患者用椅子に対する歯科治療ユニットのいくつかの可能な位置を示す。
【
図6】本発明の装置の好適な一実施形態を側面図で示す。
【
図7】本発明の装置の好適な一実施形態を側面図で示す。
【
図8】一方が右利き作業用で他方が左利き作業用に位置決めされた、上から見た本発明の装置を示す。
【
図9】作業空間における
図6による装置の構成部分の1つの可能な位置決め方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、本発明による統合歯科治療装置1の基本構造を側面図で示す。
図1による装置は、床据付型歯科治療ユニット10と、歯科治療ユニット10に接続されている実質的に水平方向に延在するアーム部21によって支持されるように配置される患者用椅子20とを備える。
歯科治療ユニット自体は、歯科作業に関連して用いられる装置であり、その1つの本質的な従来の機能は、歯科医によって用いられる歯科用器具に動作パワー(例えば、電気又は圧縮空気)及び/又は水等の歯科医の業務に必要な物理量を適切に供給することである。したがって、これに関連して、歯科学に携わる当業者には自明であるように、歯科治療ユニットという用語は、少なくともそのような供給機能用の手段を囲むカバーを有する物理的実体を意味する。図1による解決手段では、垂直方向に延在する部分を含む歯科治療ユニット10も同じく、実質的に水平方向に延在するアーム部11によって支持されるように配置され、アーム部11の基端は、歯科治療ユニット10の床据付構造に関連して配置される。本発明によれば、患者用椅子20及び歯科治療ユニット10の両方が、垂直軸101、102に対して回動可能であるように配置される。歯科治療ユニット10は、垂直軸101、102に対して360度回動可能であるように配置され得る。
図1に示す解決手段では、歯科治療ユニット10は、実質的にそのアーム部11と共に回動し、このアーム部は、その基端に位置付けられる据え付け点を実質的に中心として回動するが、患者用椅子20は、実質的にその支持アーム21の端において回転する。この構造体は、歯科治療ユニット10を支持する床据付型の実質的に水平方向に延在するアーム部21を備えるため、歯科治療ユニット10の垂直部の底部は、床面レベルから離れた所にある。
図1の構造体では、歯科治療ユニット10には、患者用椅子20を支持するアーム部21を昇降させる手段が設けられ得る。しかしながら、患者用椅子20の支持及びその垂直位置の調整は、例えばレバーアームタイプの構造を用いること等による他の方法で実施することもできる。しかしながら、好ましくは、患者用椅子20の高さ位置を変えるのに必要な機構の少なくとも一部が、歯科治療ユニット10に関連して配置される。
【0012】
図1では、患者用椅子20及び歯科治療ユニット10の回転軸101、102を統一された線で表すことで、本発明のこの実施形態では当該垂直軸101、102の位置が一体であることを強調している。しかしながら、本発明による構造体は、歯科治療ユニット10又は
図1による場合では歯科治療ユニット10の支持アーム11の回動可能な配置の基準となる垂直軸101と、他方では患者用椅子11の回動可能な配置の基準となる垂直軸102とが、互いに離れているように実施することもできる(
図2)。このような構成体は、統合歯科治療装置1自体が床据付型であったとしても、歯科処置空間において患者用椅子20の位置を変えることを可能にする。この解決手段からいくつかの付加的な特徴が得られるが、その中でも、例えばここでは、左利きの人の作業構成体から右利きの人の作業構成体へ又はその逆への構造体の部分の相互位置の変更を、
図1による構造体と比較した場合に可能であるよりも小さな空間で実現することができるという特徴を挙げることができる。
【0013】
歯科治療ユニット10に対する患者用椅子20の回転は、電動技法によって実施され得る。本発明の好適な実施形態によれば、装置には、これら2つの部分を互いに独立して、すなわち、例えばこれらの一方が移動している間他方が固定されたままであるように、回動させることを可能にする構成体が設けられる。他方、例えば、装置及びそのユーザインタフェースの制御システムに、装置の部分を互いに対して所与の所望の位置にするための様々な自動機能を設けることが可能である。すでに述べた部分に加えて、装置に含まれ得る他の部分に適用されるように上記が配置されることもある。好適な一実施形態によれば、歯科治療ユニット10を垂直軸101、102に対して回動させることを可能にする手段は、歯科治療ユニット10を床に据え付ける手段に実質的に関連して配置される。他方、患者用椅子20を垂直軸101、102に対して回動させることを可能にする手段は、患者用椅子20を支持する手段21に関連して配置され得る。
【0014】
本発明の一実施形態によれば、実際の歯科治療ユニット10は、
図1及び
図2のように垂直軸101から離れた支持アーム11の端において回動可能であるように配置されるのではなく、その代わりに、実質的に所定位置で、すなわち例えば、歯科治療ユニット10が上述のように実質的に水平方向に延在するアーム部11を全く含まずに上記物理的又は仮想的な垂直軸101が実際の歯科治療ユニット10自体を通るように配置される(
図3)。他方、患者用椅子20は、実質的にそれ自体を中心として回動可能であるように配置され得ることに加えて、付加的又は代替的に、その支持アーム21によって支持されるものとして支持アーム21の回転運動と共に回動可能であるように配置されてもよい。
【0015】
図1では、患者用椅子20は、椅子の実際のシート部23に機能的に接続される背もたれ24が直立位置に起こされている位置で示されている。本発明の好適な一実施形態によれば、歯科治療ユニット10は、歯科治療ユニット10が回動中に、患者用椅子20の背もたれ24と共にヘッドレスト25を直立位置にしたまま歯科治療ユニット10を患者用椅子20の反対側に回動させる(又は換言すれば、患者用椅子20を歯科治療ユニット10に対して逆に回動させる)のに辛うじて足りるだけの半径の円形路に沿って同時に移動するように、垂直軸101に対して回動可能であるように配置される。患者用椅子20の回動は、水平軸101、102に対して回動可能であるように配置されるシート部23に取り付けられている部分を通して行われ得る。
【0016】
本発明によれば、歯科治療ユニット10は、原理上、例えば患者用椅子20のフットレスト22を垂直位置に曲げることが可能であるように配置することによって、椅子20の周りを回ってフットレスト22の側にも回り込むように配置され得る。しかしながら、最初に述べた代替形態は、患者が診察のために座位にある間は(
図1)歯科治療ユニット10が背もたれ24の後ろにあって目につかず、診察後に歯科治療ユニット10及び患者用椅子20を処置のために所望の相対位置に移動させる機能を可能にする。
図4は、診察状況での患者用椅子20及び歯科治療ユニット10の相対位置(実線)と、右利き作業位置及び左利き作業位置への歯科治療ユニット10に対する患者用椅子20の配置(破線)との上面図を示す。図を簡略化するために、患者用椅子20を支持している支持アーム21は
図4には示されておらず、その位置は当業者には自明であるため、装置を上面図で示す後続の図のいずれにも示されていない。
【0017】
図5は、
図4に対応する患者用椅子20及び歯科治療ユニット10の相対位置を示すが、診察位置から右利き作業位置及び左利き作業位置への変更時の患者用椅子20に対する歯科治療ユニット10の位置の変わり方の観点から示している。
【0018】
上記の説明では、統合歯科治療装置の歯科治療ユニット10及び患者用椅子20を検討してきたが、歯科医の作業場に加えて、多くの現代の統合歯科治療装置は、歯科医の作業場に対して患者用椅子20の反対側、すなわち通常は歯科治療ユニット10が位置付けられる患者用椅子20の反対側に通常位置付けられる、助手の作業場をさらに備える。実際には、助手の作業場は、例えば、歯科医の器具台とは別個で例えばヒンジ式アーム構造を介して歯科治療ユニットに取り付けられる、器具スタンド又はユニットから成り得る。助手の器具スタンド又はユニットは、通常、アームシステムに固定されるように配置され、器具スタンド又はユニットを患者用椅子20の下にくぐらせることで患者用椅子20の反対側に回すことを可能にすることによって、又は患者用椅子20の上を越えてスタンドに手が届くことを可能にすることによって、助手の作業場からも歯科医の作業場からも器具に手が届くことが可能になる。例えば、歯科治療ユニットの吸引システムは、助手の作業場に配置される場合が多い。
【0019】
図6及び
図7に示す構成体は、統合歯科治療装置1に設けられる別の器具ホルダ62に関して本発明で適用可能な一実施形態を含む。この解決手段は、アシスタントユニット61を支持するように歯科治療ユニット10の底部に接続されて歯科治療ユニット10から延びるように配置される、関節アームシステム60を備える。アシスタントユニット61は、互いに離れて位置付けられる少なくとも2つの垂直軸160、161に対して回動可能であるように配置される。
【0020】
したがって、本発明の好適な一実施形態によれば、助手の作業場の主要部分を形成する器具ホルダ62も、統合歯科治療装置の部分の右利き配置を左利き配置に変えるときに器具ホルダ62を含むアシスタントユニット61を歯科治療ユニット10及び患者用椅子20に関して対応する位置に回動させることができるように、歯科治療ユニット10に関連して配置される。好適な実施形態によれば、これは、第1に、アシスタントユニット61が歯科治療ユニット10の下から歯科治療ユニット10に対して実質的に垂直方向に延在するアーム60に据え付けられて、当該アーム60がその基部において垂直軸160に対して回動可能であり、アシスタントユニット61も第2の垂直軸161に対して回動することができるようにこのアーム60に据え付けられるようになっている構成体を用いることによって実施される。さらに、調整可能に配置可能な器具ホルダ62がアシスタントユニット61に設けられる場合、器具ホルダ62の位置も、ホルダ62をアシスタントユニット61に対して対称に配置させるような配置でなければならない。右利き・左利き特性に加えて、このような構成体は、助手の作業場自体に関連して器具ホルダ62を位置決めすることができる幅広い可能性も与える。
図6及び
図7では、アシスタントユニット61は、アーム60に配置されて助手の器具用の器具ホルダ62を担持する垂直部材を備える。アシスタントユニット61のこのタイプの垂直部材は、統合歯科治療装置の吸引システムの一部を形成するように構成される場合が多い。アシスタントユニット61の垂直部材は、垂直軸161に対して360度回動可能であるように配置され得る。
【0021】
歯科医の作業場を患者用椅子20の両側で同一にすることを可能にするために、患者用椅子20及び歯科治療ユニット10に加えて、統合歯科治療装置に備わり得る他の部分も考慮する必要がある。例えば、通常は、給水栓及びカップスタンドを有するスピットン構成体12が歯科治療ユニット10に関連して配置される(
図4)。本発明の好適な実施形態では、スピットン構成体12は、歯科治療ユニット10が右利き作業の観点から見られるか左利き作業の観点から見られるかに関係なく、その部分全てが決まった位置にあるか又はユーザの観点から対応して位置付けられ得るようにも実施される。例えば、スピットン12の場所が可変であるようになっている場合、これは、歯科治療ユニット10に対して対称にその両側に回動可能であるように配置され得る。
【0022】
さらに、現代の統合歯科治療装置は、通常、無影灯51等の補助機器及び例えば歯科作業で用いるために器具台41上に位置決めされる器具に対応するように歯科治療ユニット10に取り付けられる、少なくとも1つの、多くの場合は少なくとも2つのアーム構造40、50も備える(
図6)。例えば、装置の診察位置を考慮して、装置に(コンピュータ)表示画面用のアームを設けることが可能である。
【0023】
上述したもののようなアームは、通常、歯科治療ユニット10から垂直方向に延在する柱30に取り付けられる。他方、添付図面には示されていないが、特に器具台を担持するアームも、歯科治療ユニット10の台座の、床に据え付け固定された不動部分又はその上の部分に、すなわち歯科治療ユニット10のうち患者用椅子20の下に位置付けられて上記垂直軸101に対して回動可能な部分に、取り付けられるように配置され得る。
【0024】
本発明の好適な一実施形態によれば、この種のアームシステム、特に器具用のアームシステム40は、患者用椅子20及び歯科治療ユニット10のどちら側に位置付けられるかに関係なく患者用椅子20に関して対称に位置決めされ得るように実施される。例えば、
図7に示す実施形態では、これは、器具アーム40に3つのスイベルジョイント401、402、403を設けることによって実現されている。これらのスイベルジョイントのうち、第1のスイベルジョイント401は、器具アーム40をその基部において水平面内で回動させることを可能にし、第2のスイベルジョイント402は、アームを水平面内で曲げることを可能にし、第3のスイベルジョイント403は、アーム40の端に配置されている器具台41を水平面内で回動させることを可能にする。柱30における器具台41の高さ位置は、調整可能にすることができ、同じく器具アーム40には、器具台41の高さ位置の調整を可能にするジョイント(図示せず)が設けられ得る。
【0025】
統合歯科治療装置の器具台41又は同等物は、通常、異なる動作量を必要とする複数の異なる器具を保持するように配置される。器具を所望の順序で器具台41に載せることを可能にするために、それ自体が既知の解決手段は、器具置場の少なくともいくつかを汎用であるように構成することである。本発明の好適な一実施形態によれば、器具台41が右利き用に位置決めされているか左利き用に位置決めされているかに関係なく通常の歯科器具を対応する順序で配置することを可能にするために、器具置場の全てが汎用であるように構成される。
【0026】
器具台41の器具置場に関して上述したことに対応して、器具ホルダ62及びそこで用いられる器具置場を含む助手の作業場も同じく、器具の少なくともいくつかを右利きの状況及び左利きの状況の両方で装置のユーザの観点から同じように配置することができるように実施されることが好ましい。
【0027】
したがって、本発明の好適な実施形態によれば、統合歯科治療装置のうち少なくとも、歯科医及び/又は歯科助手から見える部分全てが、処置作業場が患者用椅子20の両側で対称的に同一であるように配置され得るように位置決め及び使用されるように配置される。したがって、本発明の1つの説明の仕方では、本発明は、患者用椅子20及び歯科治療ユニット10が実質的に対称に配置され、且つ患者用椅子20が歯科治療ユニット10の対称面内に配置される軸101、102を中心として歯科医療ユニット10に対して回動可能であるように配置される統合歯科治療装置を含むものとして、また、好ましくは歯科医及び助手の器具を支持する構造、無影灯等の装置の他の部分も歯科治療ユニット10の対称面内に配置される軸に対して回動可能であるように配置される統合歯科治療装置を含むものとして定義される。
【0028】
本発明の統合歯科治療装置は、患者用椅子20及び歯科治療ユニット10を備えるものとも言うことができ、この装置では、歯科治療ユニットに、スピットン構成体12、歯科医の器具用のアーム40、助手の器具用及び/又は統合歯科治療装置の吸引システム用のアーム60、表示画面用のアーム、ライト51用のアーム50、歯科治療環境で用いられる他の何らかのデバイス用に配置されるアーム、上述されているか否かにかかわらず歯科治療環境で用いられる任意のデバイス用のコネクタ構造、の少なくとも1つが構造的に接続され、また、この統合歯科治療装置は、これを床に据え付ける手段を備えるように構成され、歯科治療ユニット10及び患者用椅子20は、少なくとも患者用椅子20を支持する手段によって構造的に接続される。さらに、この装置は、少なくとも歯科処置現場から見える外部部分に関する限り対称で少なくとも1つの垂直対称面を形成するように上記歯科治療ユニット10を配置して、少なくとも助手の器具及び/又は歯科医の器具用のアーム40、60の回動可能な配置の基準となる軸101、102がこの対称面と一体化するように配置されることによって、実施することができ、さらに、上記患者用椅子20は、少なくともその外部部分に関する限り対称で少なくとも1つの垂直対称面を形成するように配置され、上記歯科治療ユニット10の回動可能な配置の基準となっている軸101、102が、この対称面と一体化するように配置される。
【0029】
さらに、本発明の装置は、少なくともその外部部分に関して少なくとも1つの対称面を含むように配置されるアシスタントユニット61を備えることができ、このユニット61は、上記助手の器具用のアーム60に関連して位置付けられ、上記助手の器具用に設けられる少なくとも1つの器具ホルダ62を備え、当該器具ホルダ62の位置は、上記少なくとも1つの対称面のうちの少なくとも1つと一体化する軸161に対して調整可能であるようになっている。装置は、歯科治療作業に関連して用いられる器具又はデバイスを支持するように配置され、且つ歯科治療ユニット10の上記対称面と一体化するような少なくとも1つの関節シャフトを備えるように配置される、1つ又は複数の実質的に水平方向に延在するアーム構造40、50、60も備え得る。歯科治療ユニット10は、それ自体又はそれに含まれる構成部分の少なくともいくつかが、歯科治療ユニット10の上記対称面と一体化する軸に対して回動可能であるように位置を調整可能であるように配置される、スピットン構成体12も備え得る。
【0030】
本発明及びその様々な実施形態は、特に、同じ統合歯科治療装置を用いて右利きの歯科医及び左利きの歯科医で共通の歯科診療を実施することを可能にする。さらに、装置の転売の可能性がある場合又は実習の場合に、本発明は、装置の以前のユーザ及び将来のユーザの利き手が同じであるか異なるかを考慮する必要をなくす。装置の部分の動作は、例えば、診療時に装置の部分それぞれの再位置決めが行われる可能性のある頻度に従って、所望に応じて電動式又は手動式となるように構成することができる。
【0031】
本発明の好適な一実施形態は、患者用椅子20を歯科治療ユニット10に関して180度(少なくとも)回動させる可能性を含む。これを、患者用椅子20及び歯科治療ユニット10の回動可能な配置の基準となる垂直軸101、102が互いに離れている本発明の好適な実施形態と組み合わせると、この装置で、患者用椅子20及び歯科治療ユニット10が単一の組立体に統合される統合歯科治療装置の部分の配置に関して幅広く全く新しい可能性を得ることが可能になる。例えば、
図8は、歯科治療ユニット10及び患者用椅子20を互いに対して回動した位置に配置することで助手の作業場において利用可能な空間を変えることができる様子を視覚化している。患者を、処置空間で種々の向きに位置決めし、例えば必要であれば処置空間の所与の壁、戸棚等に近付ける、換言すれば、例えば壁据付型X線装置、又はライト、顕微鏡、モニタ、カメラ等の他の補助機器に対してより近く又はより人間工学的な位置にすることができる。患者を補助機器に対して位置決めすることができることで、原理上、補助機器用のアームシステムを以前よりも単純な形態で実施することができるようになる。他方、付加的な機器の位置付けはそれほど慎重である必要がなく、患者をこうした機器に手が届く位置にすることができるため、処置空間でのこうした機器の位置決めに関してより多くの可能性が本発明の装置によって得られる。
【0032】
本発明及びその好適な実施形態に関して、処置室内の種々の物体及び戸棚は、通常は所定の場所に位置付けられるため、本発明は、歯科医が一人で作業しているときには助手側にある戸棚に手が届き、助手がいるときには助手が自分側から歯科医を助けて自分側から歯科医に物品を差し出すように、歯科医が一人で/助手と一緒に作業しているときに患者用椅子20の位置を或る程度変えることができる可能性が本発明によって得られることは、さらに言及する価値がある。
【0033】
さらに、本発明は、歯科治療ユニット10をできる限り助手から遠くに移動させることによって助手の作業空間を最適化することを可能にし、他方では、例えばスピットン12に患者の手が届く必要があるときに歯科治療ユニット10を近付けることを可能にする。助手が他の仕事に取り掛かるために作業場を離れるときに、歯科治療ユニット10を患者用椅子20に近付けることもできるため、例えばスピットン12、カップ、及び助手の器具ホルダ62に載っている器具に歯科医の手がより届きやすくなる。
【0034】
本発明の好適な実施形態の本質的特徴は、装置の回転可能な部分の回転軸が装置の少なくとも1つの他の部分の対称面内に適当に配置され、装置に複数の別個の対称面を提供することができることである。
【0035】
統合歯科治療装置で用いられる器具台又は器具ホルダは、特に器具台のコーナに配置される、スプレー器具を対称に置くことができるような少なくとも2つの器具接続場所を備えることができる。本発明の装置は、例えば表示画面又はグラフィックユーザインタフェース用の対称に配置された接続場所も備える。
【0036】
好適な一実施形態では、患者用椅子20を支持する手段21の水平寸法は、歯科治療ユニット10の支持構造の水平方向に延在する部分11の水平寸法と実質的に同程度である。このような状況では、患者用椅子20及び歯科治療ユニット10の回動可能な配置の基準となる垂直軸101、102間の好ましい距離は、約200mm以下である。
【0037】
本発明のさらなる実施形態は、添付の特許請求の範囲内で当業者に自明である。